JP5886133B2 - ビニルアルコール系重合体及びこれを含む水溶液 - Google Patents
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Description
下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含有し、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体である。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
本発明のPVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位を含有する。すなわち、当該PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位とビニルアルコール単位(−CH2−CHOH−)とを含む共重合体であり、さらに他の単量体単位を有していてもよい。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
400≦P×S≦3,000 ・・・(I’)
500≦P×S≦2,000 ・・・(I’’)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
500≦P≦3,000 ・・・(II’)
1,000≦P≦2,400 ・・・(II’’)
0.25≦S≦6 ・・・(III’)
0.5≦S≦5 ・・・(III’’)
当該PVAの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体と、上記式(1)で表される基を有する単量体とを共重合させ、得られる共重合体(ビニルエステル系重合体)をけん化することにより得ることができる。
当該PVAは、粉末の状態で保存及び輸送することが可能である。また、当該PVAの使用に際しては、粉末の状態のままで、あるいは水等の液体に溶解又は分散させた状態で使用することができる。当該PVAを水溶液として用いる場合には、当該PVAを水に分散させた後、攪拌しながら加温することにより均一な水溶液とすることができる。なお、当該PVAによれば、水に対して水酸化ナトリウムなどのアルカリや酸を特に添加しなくとも均一な水溶液を得ることができる。
本発明の水溶液は、当該PVAを4質量%以上20質量%以下含有し、pHが4以上8以下である。当該水溶液の調製方法は、当該PVAの用途として上述したとおりである。
MAmPTMS :3−メタクリルアミドプロピルトリメトキシシラン
MAmPTES :3−メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン
MAmBTMS :4−メタクリルアミドブチルトリメトキシシラン
MAmOTMS :8−メタクリルアミドオクチルトリメトキシシラン
MAmDDTMS:12−メタクリルアミドドデシルトリメトキシシラン
MAmODTMS:18−メタクリルアミドオクタデシルトリメトキシシラン
AMBTMS :3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメトキシシラン
4−PTMS :4−ペンテニルトリメトキシシラン
VMS :ビニルトリメトキシシラン
MAmMTMS :メタクリルアミドメチルトリメトキシシラン
AMPTMS :2−アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン
下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、上記式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率(S)(一部の例では、シリル基を有する単量体単位の含有率)、粘度平均重合度(P)を求めた。また、以下の評価方法にしたがって、皮膜の性能及び無機物とのバインダー力を評価した。
PVAの分析は、特に断らない限りJIS−K6726に記載の方法に従って行った。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた6Lセパラブルフラスコに、酢酸ビニル1,500g、メタノール500g、上記式(1)で表される基を有する単量体(モノマーA)としてのMAmPTMS1.87gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてMAmPTMSをメタノールに溶解して濃度8%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとモノマーA(MAmPTMS)の比率)が一定となるようにしながら、60℃で2.7時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液(逐次添加液)の総量は99gであった。また、重合停止時の固形分濃度は29.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、上記式(1)で表される基を有するポリ酢酸ビニル(PVAc)を40%含有するメタノール溶液を得た。さらに、これにPVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.04、PVAcの固形分濃度が30質量%となるように、メタノール及び水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。アルカリ溶液を添加後、約5分でゲル状物が生成した。このゲル状物を粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチルを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノールを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置し、上記式(1)で表される基を有するPVA1を得た。PVA1の粘度平均重合度(P)は1,700、けん化度は98.6モル%であった。
式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率(S:モル%)
={(βのピーク面積/9)/(αのピーク面積+(βのピーク面積/9))}×100
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、モノマーAの種類や添加量等の重合条件、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1及び表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPVA2〜PVA53を得た。得られた各PVAについて分析した結果を表1及び表2に示す。
PVA1〜PVA53について、所定の濃度及びpHとなるように、PVA水溶液を調製した。下記の評価方法によりPVA水溶液の粘度安定性、皮膜の耐水性、無機物を含有する皮膜の耐水性、及びPVAと無機物とのバインダー力を評価した。使用したPVAの種類と水溶液のpH及び評価結果を表3に示す。
8%のPVA水溶液を調製して20℃恒温槽中に放置し、このPVA水溶液の温度が20℃になった直後の粘度と7日後の粘度を測定した。PVA水溶液の温度が20℃になった直後の粘度で7日後の粘度を除した値(7日後の粘度/直後の粘度)を求め、以下の基準にしたがって判定した。
A:2.5倍未満。
B:2.5倍以上3.0倍未満。
C:3.0倍以上5.0倍未満。
D:5.0倍以上であるが、PVA水溶液はゲル化していない。
E:PVA水溶液は流動性を失いゲル化している。
4%PVA水溶液を調製してこれを20℃で流延し、厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し(回収し)、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の質量を測定した。水膨潤時の質量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の質量を測定した。ここで水膨潤時の質量を乾燥時の質量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
S:3.0倍未満。
A:3.0倍以上5.0倍未満。
B:5.0倍以上8.0倍未満。
C:8.0倍以上10.0倍未満。
D:10.0倍以上。
E:浸漬した試験片を回収することができない。
4%のPVA水溶液を調製し、PVA/コロイダルシリカの固形分基準の質量比が100/10となるように、コロイダルシリカ(日産化学工業製:スノーテックスST−O)の20%水分散液を加えた後、20℃で流延して厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し(回収し)、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の質量を測定した。水膨潤時の質量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の質量を測定した。ここで水膨潤時の質量を乾燥時の質量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:3.0倍未満。
B:3.0倍以上5.0倍未満。
C:5.0倍以上8.0倍未満。
D:8.0倍以上10.0倍未満。
E:10.0倍以上であるか、または浸漬した試験片を回収することができない。
シリカ(水沢化学工業製:ミズカシルP78D)及びシリカの質量に対し0.2%の分散剤(東亞合成化学工業製:アロンT40)をホモミキサーにて水に分散し、シリカの20%水分散液を調製した。このシリカ水分散液に、シリカ/PVAの固形分基準の質量比が100/20となるように、8%に調整したPVA水溶液を添加し、必要量の水を添加することで上記シリカ及びPVAの合計濃度が15%のシリカ分散PVA水溶液を得た。
A:260cm/sec以上。
B:220cm/sec以上260cm/sec未満。
C:180cm/sec以上220cm/sec未満。
D:140cm/sec以上180cm/sec未満。
E:140cm/sec未満。
Claims (5)
- 下記式(2)で表される単量体単位を含有し、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 下記式(II)及び(III)をさらに満たす請求項1に記載のビニルアルコール系重合体。
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記式(2)中のXが−CO−NR6−*(R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表される請求項1又は請求項2に記載のビニルアルコール系重合体。
- 上記式(2)中のXが−CO−NH−*(*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表され、nが12以下の整数である請求項3に記載のビニルアルコール系重合体。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体を4質量%以上20質量%以下含有し、pHが4以上8以下である水溶液。
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