JP5943790B2 - 剥離紙原紙、その製造方法並びにこの剥離紙原紙を用いた剥離紙及び積層体 - Google Patents
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Description
下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすPVAを含有する剥離紙原紙である。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
当該剥離紙原紙の紙基材は、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の化学パルプやGP、RGP、TMP等の機械パルプ等を抄紙して得られる公知の紙又は合成紙を用いることができる。上記紙基材としては、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙等も含み、セミグラシン紙が好ましい。
上記コーティング剤は、通常、上記PVAの水溶液である。上記コーティング剤には、本発明の効果が大きく阻害されない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。また、水以外の溶媒(例えば、アルコールやエーテル等)を用いてもよい。
上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位を含む。すなわち、上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位とビニルアルコール単位(−CH2−CHOH−)とを含む共重合体であり、さらに他の単量体単位を有していてもよい。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
400≦P×S≦3,000 ・・・(I’)
500≦P×S≦2,000 ・・・(I’’)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
500≦P≦3,000 ・・・(II’)
1,000≦P≦2,400 ・・・(II’’)
0.25≦S≦6 ・・・(III’)
0.5≦S≦5 ・・・(III’’)
上記PVAの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体と、上記式(1)で表される基を有する単量体とを共重合させ、得られる共重合体(ビニルエステル系重合体)をけん化することにより得ることができる。
上記コーティング剤に含まれる上記PVA以外の成分としては、各種高分子(水溶性高分子、高分子分散体等)、充填剤、耐水化剤、界面活性剤(ノニオン性、アニオン性等)、滑剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、pH調節剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
本発明の剥離紙は上記剥離紙原紙と、この剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する。通常、当該剥離紙における上記剥離紙原紙は、上述のように紙基材とこの紙基材の表面に形成される塗工層とを有する。当該剥離紙の剥離層は、上記剥離紙原紙における塗工層の表面に形成される。このような剥離紙は、上記剥離紙原紙に、上記上塗り塗工剤として、剥離層を形成するための剥離剤を塗工することにより得ることができる。上記剥離剤としては、溶媒系のシリコーン、非溶媒系(エマルジョン系、オリゴマー系)のシリコーンを挙げることができる。剥離剤が含む溶媒としては、トルエン等の有機溶媒が挙げられる。
また、本発明の積層体は上記剥離紙原紙、この剥離紙原紙の表面に形成される剥離層、及びこの剥離層表面に形成される粘着層を少なくとも有する。当該積層体において、粘着層の、剥離層が接触する側とは反対の側の面には、紙層、プラスチック層等の基材層がさらに配置されるのが好ましい。このような積層体は、剥離層と粘着層との間での剥離性に優れる。このような積層体は剥離紙における剥離層に、上記上塗り塗工剤として、粘着層を形成するための粘着剤を塗工することにより得ることができる。上記粘着剤としては、溶媒系の粘着剤やエマルジョン系の粘着剤を挙げることができる。
MAmPTMS :3−メタクリルアミドプロピルトリメトキシシラン
MAmPTES :3−メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン
MAmBTMS :4−メタクリルアミドブチルトリメトキシシラン
MAmOTMS :8−メタクリルアミドオクチルトリメトキシシラン
MAmDDTMS:12−メタクリルアミドドデシルトリメトキシシラン
MAmODTMS:18−メタクリルアミドオクタデシルトリメトキシシラン
AMBTMS :3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメトキシシラン
4−PTMS :4−ペンテニルトリメトキシシラン
VMS :ビニルトリメトキシシラン
MAmMTMS :メタクリルアミドメチルトリメトキシシラン
AMPTMS :2−アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン
下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、上記式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率(S)(一部の例では、シリル基を有する単量体単位の含有率)、粘度平均重合度(P)を求めた。また、以下の評価方法にしたがって、剥離紙原紙の性能を評価した。
PVAの分析は、特に断らない限りJIS−K6726に記載の方法に従って行った。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた6Lセパラブルフラスコに、酢酸ビニル1,500g、メタノール500g、上記式(1)で表される基を有する単量体(モノマーA)としてのMAmPTMS1.87gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてMAmPTMSをメタノールに溶解して濃度8%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとモノマーA(MAmPTMS)の比率)が一定となるようにしながら、60℃で2.7時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液(逐次添加液)の総量は99gであった。また、重合停止時の固形分濃度は29.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、上記式(1)で表される基を有するポリ酢酸ビニル(PVAc)を40%含有するメタノール溶液を得た。さらに、これにPVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.04、PVAcの固形分濃度が30質量%となるように、メタノール及び水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。アルカリ溶液を添加後、約5分でゲル状物が生成した。このゲル状物を粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチルを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノールを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置し、上記式(1)で表される基を有するPVA1を得た。PVA1の重合度(P)は1,700、けん化度は98.6モル%であった。
式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率S(モル%)
={(βのピーク面積/9)/(αのピーク面積+(βのピーク面積/9))}×100
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、モノマーAの種類や添加量等の重合条件、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1及び表2に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にしてPVA2〜PVA36を得た。得られた各PVAについて分析した結果を表1及び表2に示す。
下記の方法により、剥離紙原紙を製造し、目止め性(透気度及びトルエンバリヤー性)及び耐水性を評価した。
坪量80g/m2、透気度140秒のセミグラシン紙に、濃度4%の上記PVA1の水溶液を、塗工量が固形分換算で0.5g/m2になるようにMayerBarを用いて手塗り塗工した。次に、110℃で1分間熱風乾燥機を用いて乾燥させ、20℃、65%RHで72時間調湿し、150℃、250Kg/cm、10m/分の条件でスーパーカレンダー処理を1回実施し、剥離紙原紙を得た。得られた剥離紙原紙について、下記に示す方法で、透気度試験、トルエンバリヤー性試験及び耐水性試験を実施した。
JIS−P8117に準じ王研式滑度透気度試験器を用いて剥離紙原紙の透気度を測定し、下記の基準により透気度(目止め性)を判定した。
A:100,000秒以上
B:50,000秒以上、100,000秒未満
C:30,000秒以上、50,000秒未満
D:10,000秒以上、30,000秒未満
E:10,000秒未満
剥離紙原紙の塗工層表面に着色トルエン(赤)を塗布(5×5cm)後、裏面(未塗工面)への裏抜け(小さな赤色の斑点ないし未塗布面の着色)の度合いとして、トルエンバリヤー性(目止め性)を下記の基準により判定した。
A:裏面に斑点なし
B:斑点が数個(〜3個)
C:斑点が多数(着色面積が塗布面積の20%未満)
D:着色面積が塗布面積の20%以上、50%未満
E:着色面積が塗布面積の50%以上
剥離紙原紙の塗工層表面に20℃のイオン交換水を1ml滴下した後に、その部分を指先でこすり、指先にヌメリが感じられた回数を測定し、下記基準により判定した。
S:120回以上
A:100回以上、120回未満
B:50回以上、100回未満
C:30回以上、50回未満
D:10回以上、30回未満
E:10回未満
実施例1において用いたPVA1に代えて、表3に示したPVAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして剥離紙原紙を製造し、その剥離紙原紙の透気度、トルエンバリヤー性及び耐水性を評価した。その結果を表3に併せて示す。
Claims (10)
- 下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体を含有する剥離紙原紙。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記ビニルアルコール系重合体が、下記式(II)及び(III)をさらに満たす請求項1に記載の剥離紙原紙。
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記式(2)中のXが−CO−NR6−*(R6は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表される請求項3に記載の剥離紙原紙。
- 上記式(2)中のXが−CO−NH−*(*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表され、nが12以下の整数である請求項3に記載の剥離紙原紙。
- 紙基材と、この紙基材の表面に形成される塗工層とを備え、
上記塗工層が、上記ビニルアルコール系重合体を含むコーティング剤から形成されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の剥離紙原紙。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の剥離紙原紙の製造方法であって、上記ビニルアルコール系重合体を含むコーティング剤を紙基材に塗工する工程を有する剥離紙原紙の製造方法。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の剥離紙原紙と、この剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する剥離紙。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の剥離紙原紙、この剥離紙原紙の表面に形成される剥離層、及びこの剥離層の表面に形成される粘着層を有する積層体。
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