JP2010083141A - 親水性部材の製造方法及び親水性部材 - Google Patents

親水性部材の製造方法及び親水性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い親水性を有し、親水性塗膜表面の割れがなく、基材と親水性塗膜の密着性、及び耐擦り性に優れた親水性部材を提供すること。
【解決手段】金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行い、該加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaを、該加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%とすることを特徴とする親水性部材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水性部材の製造方法及び親水性部材に関する。
各種基材の表面に、親水性組成物を塗布、乾燥して親水性塗膜を形成した親水性部材が種々提案されている。例えば、ルームエアコン等に代表される熱交換器は、冷房時に発生する凝集水が水滴となりフィン間にとどまることで水のブリッジが発生し、冷房能力が低下する。またフィン間に埃などが付着することでも同様な問題が発生する。これらの課題を解決するための従来技術として特許文献1〜6のように熱交換器のフィン材表面を親水性組成物で処理することが知られている。またガラスや樹脂成形物、フィルムなどの表面に親水性塗膜を付与することで防曇性やセルフクリーニング性を付与することも知られている(特許文献7参照)。
特開2008−93905号公報 特開2008−36588号公報 特開2008−20154号公報 特開2007−225174号公報 特開平7−268009号公報 特開平9−292197号公報 特開2008−74972号公報
上記従来技術はいずれも親水性塗膜を形成する際に加熱処理を施しているが、該加熱処理における加熱温度は50℃〜300℃と比較的高温であり、加熱時間は60分間以内と比較的短時間の処理である。このように上記従来技術では高温短時間で加熱処理するため、加熱処理過程で発生する基材の熱膨張又は熱収縮に親水性塗膜の熱膨張又は熱収縮が追従しにくくなり、親水性塗膜表面が割れたり、基材と親水性塗膜の密着力が低下し耐擦り試験により親水性塗膜が脱落したりするという問題がある。
また例えば特許文献3では、用いている親水性ポリマーは架橋性が不十分であり親水性塗膜の耐水性が低下する問題もある。一方、特許文献5は加水分解性アルコキシシランを有し架橋させることで親水性塗膜に耐水性を付与できるが親水性塗膜が脆く耐擦り性に問題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、高い親水性を有し、親水性塗膜表面の割れがなく、基材と親水性塗膜の密着性、及び耐擦り性に優れた親水性部材を提供することである。
本発明者は、加熱処理過程で発生する基材の熱膨張又は熱収縮に親水性塗膜の熱膨張又は熱収縮を追従させるためには、該加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaを、該加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%とすることが必要であることを見出し、本発明に至った。
すなわち上記課題は下記構成の手段によって解決された。
〔1〕
金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行い、該加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaを、該加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%とすることを特徴とする親水性部材の製造方法。
〔2〕
前記基材がアルミニウム合金又はポリエステルを含むことを特徴とする上記〔1〕に記載の親水性部材の製造方法。
〔3〕
前記加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaが500nm〜3000nmであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の親水性部材の製造方法。
〔4〕
前記親水性ポリマーが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
Figure 2010083141
(一般式(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xは反応性基を表し、L、及びLはそれぞれ独立に単結合又は連結基を表し、Yは−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−CONH、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OH、−OR、−OM、−COM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又はNRを表し、ここで、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数を表し、Zはハロゲンイオンを表す。)
〔5〕
前記親水性ポリマーが、加水分解性シリル基を含有することを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
〔6〕
前記親水性ポリマーが、−OH、−COOH、−CONHから選ばれる少なくとも一種の親水性基及び加水分解性アルコキシシリル基を有することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
〔7〕
前記加水分解性アルコキシシリル基が、−Si(OCH(R1023−n、−Si(OC(R1023−n、及び−Si(OC(R1023−nから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記〔6〕に記載の親水性部材の製造方法。ただし、上記nは2又は3であり、R102は水素原子又はアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表し、複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
〔8〕
前記加熱処理における加熱温度が25℃〜140℃であることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
〔9〕
前記加熱処理における加熱時間が3時間〜120時間であることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
〔10〕
金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行うことで得られる親水性部材であって、該加熱処理後の親水性塗膜表面粗さRaが、該加熱処理前の表面粗さRaに対して80%〜150%であることを特徴とする親水性部材。
本発明によれば、高い親水性を有し、親水性塗膜表面の割れがなく、基材と親水性塗膜の密着性、及び耐擦り性に優れた親水性部材を提供することができる。
また本発明の親水性部材の製造方法は、親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして加熱処理を行うため、塗布インラインの速度などの制約を受けずにオフラインで処理できるという製造上の利点も有する。ここで、インラインとは親水性組成物を基材へ塗布する工程のあと巻き取らずに同じラインで加熱乾燥を行い親水性組成物中の溶媒除去及び架橋反応等を行うことを示す。オフラインとは塗布する工程のあと親水性組成物中の溶媒を除去する乾燥工程を行ったのち親水性組成物を塗布した基材を巻き取ったあと、別ラインで架橋反応のための加熱処理等を行うことを示す。
本発明に係る親水性部材の製造方法を説明するための模式図である。 本発明に係る親水性部材の製造方法を説明するための模式図である。 本発明に係る親水性部材の製造方法を説明するための模式図である。
本発明の親水性部材の製造方法は、金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行い、該加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaを、該加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%とすることを特徴とする。
通常、コイル状又はロール状でオフライン加熱処理すると製造工程が増えたり加熱設備を導入するなどの製造上のデメリットが多いと考えられ、当業者であればインラインで処理すること考えると思われる。
インラインではハンドリング性を確保する制約がでてくるので搬送系のテンションを高くすることが必要になる。テンションの高い状態で加熱処理すると、より一層熱変形が起こり易く親水性塗膜表面が割れたり、基材と親水性塗膜の密着力が低下し耐擦り試験により親水性塗膜が脱落したりするという問題があるが、コイル状又はロール状の場合は最小限の巻きとりテンションでコイル状又はロールが状にできればよいので加熱処理時に大きなテンションがかからないメリットがある。
[親水性ポリマー]
本発明における親水性組成物に含有される親水性ポリマーの主鎖構造は特に限定されない。親水性ポリマーの好ましい主鎖構造としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、及び天然ゴム等が挙げられる。親水性ポリマーの好ましい主鎖構造としては、特に基材との密着性に優れるという理由からアクリル樹脂、及びメタクリル樹脂がより好ましく、アクリル樹脂が更に好ましい。また、親水性ポリマーは共重合体であってもよく、該共重合体はランダム共重合体であってもよい。
親水性ポリマーは親水性基を有する。親水性基としては、例えば、−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−CONH、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OH、−OR、−OM、−COM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又はNRなどが挙げられる。ただし、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数(好ましくは1〜100の整数)を表し、Zはハロゲンイオンを表す。また、−CONRのように複数のRを有する場合、R同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。Rは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、後述する一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーにおけるR、Rがアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げるものを同様に挙げることができる。
前記Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
また、前記Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが好適に挙げられる。
親水性基としては、−OH、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COOH、−SO NMe 、−SO 、−(CHCHO)H、モルホリル基等が好ましい。より好ましくは、−OH、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COOH、−SO 、−(CHCHO)Hであり、更に好ましくは、−OH、−COOH、−CONHである。
親水性ポリマーは、反応性基を含むことが好ましい。該反応性基としては、後述するSi、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド(金属アルコキシドともいう)と、触媒の作用により結合を生じる基であることが好ましい。反応性基としては、加水分解性シリル基、シランカップリング基、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基等が挙げられる。
反応性基は好ましくは加水分解性シリル基である。加水分解性シリル基は下記一般式(a)で表される基が好ましい。
一般式(a): −Si(R102(OR1013−a
一般式(a)中、R101は水素原子又はアルキル基、R102は水素原子、又はアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す。R101及びR102は複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
101がアルキル基を表す場合は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基(すなわちOR101としてはメトキシ基、エトキシ基)などが好ましい。
102がアルキル基を表す場合は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、ヘキシル基などが好ましく、アリール基を表す場合は炭素数6〜25のアリール基が好ましく、具体的にはフェニル基などが好ましく、アラルキル基を表す場合は炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、具体的にはスチリル基などが好ましい。
加水分解性シリル基は、好ましくは加水分解性アルコキシシリル基であり、−Si(OCH(R1023−n、−Si(OC(R1023−n、−Si(OC(R1023−nから選ばれる少なくとも一種であることがより好ましく(ただし、上記nは2又は3であり、R102は上記一般式(a)におけるものと同義である。)、−Si(OCH102、−Si(OCH、−Si(OC102、−Si(OC、−Si(OC102、−Si(OCが更に好ましく、−Si(OCH102、−Si(OCH、が特に好ましい。
反応性基は、好ましくは炭素原子に結合した反応性基である。
2つ以上の反応性基を含む場合、該2つ以上の反応性基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
反応性基は、後述する金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応して化学結合を形成できることが好ましい。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。この場合の化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。該化学結合は、共有結合であることがより好ましい。
親水性ポリマーは前記親水性基と前記加水分解性アルコキシシリル基とを有するものが好ましく、−OH、−COOH、−CONHから選ばれる少なくとも一種の親水性基と前記加水分解性アルコキシシリル基とを有するものがより好ましい。
親水性ポリマーは、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される構造を含む親水性ポリマーであることが好ましい。
Figure 2010083141
一般式(I)〜(III)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xは反応性基を表し、A、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は連結基を表し、Yは−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−CONH、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OH、−OR、−OM、−COM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又はNRを表し、ここで、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数を表し、Zはハロゲンイオンを表す。Bは下記一般式(IV)で表される構造を有する基を表す。
Figure 2010083141
一般式(IV)中、R11、R12、L及びYの定義は、それぞれ一般式(II)中のR、R、L及びYの定義と同じである。
一分子当たりの反応性基を数多く導入することができ、常温乾燥によって非常に良好な硬化性を得ることができることから、前記一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーがより好ましい。
一般式(I)〜(III)において、Xは反応性基を表すが、反応性基の具体例及び好ましい範囲は前記したものと同様である。
(一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマー)
一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーは、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter(Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例えばアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例えばアクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーは、末端に反応性基を有する親水性ポリマーである。上記一般式(I)において、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R、Rは、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは前述のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖状、炭素原子数3〜12の分岐状及び炭素原子数5〜10の環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られる置換アルキル基の好ましい具体例としては、ヒドロキシメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
親水性の観点から上記のなかでもヒドロキシメチル基が好ましい。
前記一般式(I)において、A及びLは単結合又は連結基を表す。ここで、A及びLが連結基を表す場合、有機連結基が好ましく、A及びLは非金属原子からなる多価の連結基を表し、好ましくは、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。A及びLは、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、及びそれらの組合せから選ばれることが好ましく、−O−、−S−、−CO−、−NH−、及びそれらの組合せから選ばれる、2価の連結基であることがより好ましい。
より具体的な連結基としては下記構造の基又はこれらが組合わされて構成される基を挙げることができる。
Figure 2010083141
A及びLは、より好ましくは、−CHCHCHS−、−CHS−、−CONHCH(CH)CH−、−CONH−、−CO−、−CO−、−CH−である。
また、A及びLはポリマー又はオリゴマーから形成されていてもよく、具体的には不飽和二重結合系モノマーから得られるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンなどを含むことが好ましい。また、その他の好ましい例として、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノ酸、ポリシロキサン等が挙げられる。より好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンが挙げられ、更に好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレートである。
これらポリマー及びオリゴマーに用いられる構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、A及びLがポリマー又はオリゴマーの場合は構成する元素数に制限は特になく、分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000が更に好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
一般式(I)において、Yは−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−CONH、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OH、−OR、−OM、−COM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又はNRを表し、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数を表し、Zはハロゲンイオンを表す。また、−CONRのように複数のRを有する場合、R同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。Rは更に置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R、Rがアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
前記Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
また、前記Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
Yとしては、−OH、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COOH、−SO NMe 、−SO 、−(CHCHO)H、モルホリル基等が好ましい。Yはより好ましくは、−OH、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COOH、−SO 、−(CHCHO)H、であり、更に好ましくは、−OH、−COOH、−CONH、である。
nは1〜100の整数を表すことが好ましい。
一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、例えば、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有する化合物(例えばシランカップリング剤など)を用いてラジカル重合することにより合成することができる。一般式(ii)で表されるが連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端に反応性基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2010083141
上記一般式(i)及び(ii)において、A、R、R、L、X、及びYは、それぞれ上記一般式(I)中のものと同義である。また、一般式(i)で表される化合物、及び一般式(ii)で表される化合物は市販されているし、また容易に合成することもできる。一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーは親水性基Yを有しており、このモノマーが親水性ポリマーにおける一構造単位となる。
一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーは、他のモノマーとの共重合体であってもよい。該他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーが挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーの質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000が更に好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得る一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010083141
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(一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマー)
前記一般式(II)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、具体的な例及び好ましい範囲は前記一般式(I)のR及びRと同様である。L及びLは、それぞれ独立に単結合又は連結基を表し、具体的な例及び好ましい範囲は前記一般式(I)のLと同様である。Y及びXの定義は前記一般式(I)中のものと同じであり、具体的な例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(II)において、Lが単結合、又は、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−及びSO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基であることが好ましい。
一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーを合成するための各化合物は市販されているし、また容易に合成することもできる。
一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。
具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3(1996年、共立出版)、高分子の合成と反応1(高分子学会編、1992年、共立出版)、新実験化学講座19(1978年、丸善)、高分子化学(I)(日本化学会編、1996年、丸善)、高分子合成化学(物質工学講座、1995年、東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーは、他のモノマーとの共重合体であってもよい。該他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。これらの具体例は前記一般式(I)において記載したものと同様である。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
前記他のモノマーから得られる構造単位の割合は、諸物性の改良に十分な量であることが好ましいが、親水性塗膜としての機能が十分であり、親水性ポリマーを添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、親水性ポリマー中の前記他のモノマーから得られる構造単位の好ましい総割合は40質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーの質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000が更に好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーにおける各構造単位の共重合比率は、Yを含有する構造単位のモル比(m)とXを含有する構造単位のモル比(n)が、m/n=30/70〜99/1の範囲が好ましく、m/n=40/60〜98/2がより好ましく、m/n=50/50〜97/3が最も好ましい。m/nが30/70以上であれば十分な親水性が得られる。m/nが99/1以下であれば、反応性基の量が十分であり、硬化反応により膜強度も十分なものとなる。
共重合比の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)や、標準物質で検量線を作成し、赤外分光光度計により測定することができる。
以下に、一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーの具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体又はブロック共重合体であることを意味する。
Figure 2010083141
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(一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマー)
一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマーとしては、反応性基を有する主鎖ポリマーに親水性基を有する側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを挙げることができる。
上記一般式(III)において、R、R、R及びR10の定義は、前記一般式(I)のR及びRの定義と同じであり、具体例及び好ましい範囲も同様である。L及びLの定義は、前記一般式(I)のLの定義と同じであり、具体例及び好ましい範囲も同様である。Xの定義は前記一般式(I)におけるXの定義と同じであり、具体例及び好ましい範囲も同様である。Bは、前記一般式(IV)で表される構造を有する基を有し、一般式(IV)中の、R11、R12、L及びYの定義は、前記一般式(II)中のR、R、L及びYの定義と同じであり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて合成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、及び“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に、1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを合成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と反応性基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の質量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以上であれば有効な親水性が得られ、また10万以下であれば主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が高くなる傾向があり、いずれも好ましい。
一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマーは、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。これらの具体例は前記と同様である。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。これらのモノマーからなる構造単位の親水性ポリマーにおける好ましい含有割合は、前記一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーにおいて記載した範囲と同様である。
一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマーは、質量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、更に好ましくは2万〜10万の範囲のものである。分子量が100万以下であれば親水性組成物を調製する際に溶媒への溶解性が悪化することなく、塗布液粘度が低くなり、均一な被膜を形成し易いなどハンドリング性に問題がなく、好ましい。
以下に、一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマーの具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体又はブロック共重合体であることを意味する。
Figure 2010083141
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一般式(III)で表される構造を有する親水性ポリマーの共重合比率は、Yを含有する構造単位のモル比(m)とXを含有する構造単位のモル比(n)が、好ましくはm/n=30/70〜99/1の範囲であり、m/n=40/60〜98/2がより好ましく、m/n=50/50〜97/3が最も好ましい。m/nが30/70以上であれば十分な親水性が得られる。m/nが99/1以下であれば、反応性基の量が十分であり、硬化反応により膜強度も十分なものとなる。
共重合比の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)や、標準物質で検量線を作成し、赤外分光光度計により測定することができる。
一般式(I)、(II)又は(III)で表される構造を有する親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に関与しており、特に、親水性ポリマーの5%水溶液の20℃で測定した粘度が0.1〜100mPa・s、好ましくは0.5〜70mPa・s、更に好ましくは1〜50mPa・sの範囲にあると良好な膜物性を与える。粘度は、E型粘度計(商品名:RE80L、東京計器(株)製)で測定することができる。
親水性ポリマーは親水性組成物の全固形分に対して20〜99.5質量%使用されることが好ましく、30〜99.5質量%使用されることが更に好ましい。
親水性ポリマーを合成する際に用いられる溶媒としてはテトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
親水性ポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、レドックス系開始剤等公知の化合物が使用できる。
[架橋剤]
親水性組成物中に、前記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーを含有する場合は、良好な硬化性を得るために架橋剤を含有することが好ましい。また、親水性組成物中に前記一般式(II)又は(III)で表される構造を含む親水性ポリマーを含有する場合は架橋剤を含有しない場合でも良好な硬化性を得ることはできるが、膜強度が非常に優れた親水性塗膜を得るためには架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物(金属アルコキシドともいう)が特に好ましい。金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、更に前記親水性ポリマーとも化学結合することができる。金属アルコキシドは下記一般式(V−1)又は一般式(V−2)で表されるものが好ましい。下記一般式(V−1)及び一般式(V−2)中、R20は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R21及びR22はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R20及びR21がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1〜4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。また、架橋剤は低分子化合物であることが好ましく、分子量2000以下であることがより好ましい。
(R20−Z−(OR214−m (V−1)
Al−(OR22 (V−2)
以下に、一般式(V−1)又は一般式(V−2)で表される金属アルコキシドの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
上記のなかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが特に好ましい。
Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物は、前記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーを用いる場合は親水性組成物の全固形分に対して、1〜80質量%使用されることが好ましく、5〜70質量%使用されることが更に好ましい。前記一般式(II)又は(III)で表される構造を含む親水性ポリマーを用いる場合は親水性組成物の全固形分に対して、0〜80質量%使用されることが好ましく、0〜70質量%使用されることが更に好ましい。
[硬化触媒]
本発明における親水性組成物は、前記親水性ポリマー、更に必要に応じて前記金属アルコキシドなどの架橋剤を含有する。これらの成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機無機複合体ゾル液が形成される。このゾル液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性塗膜が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために硬化触媒を用いることが好ましい。
硬化触媒としては酸性触媒、塩基性触媒又は金属錯体触媒を使用することが好ましい。
硬化触媒としては、前記金属アルコキシドなどの架橋剤を加水分解、重縮合し、反応性基を含有する親水性ポリマーと結合を生起させる反応を促進する硬化触媒が選択され、酸、若しくは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、酸、若しくは塩基性化合物を水又はアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)を用いることができる。酸、又は塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、又は塩基性化合物の特性、硬化触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、硬化触媒を構成する酸、又は塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒、及び塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に親水性塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのR30COOHで表される構造式のR30を他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
硬化触媒としては、金属錯体触媒が特に好ましい。
金属錯体触媒は、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができる。特に好ましい金属錯体触媒としては、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素,Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン又はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。
中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、親水性組成物中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより親水性組成物の経時安定性、及び親水性塗膜の皮膜面質の改善、高親水性、及び高耐久性の、いずれをも満足させることができる。
また、金属錯体触媒の他に、前記酸性触媒、塩基性触媒を併用してもよい。
金属錯体触媒は、市販品として容易に入手できるし、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得ることができる。
硬化触媒は、親水性組成物の全固形分に対して、0.1〜20質量%使用されるのが好ましく、1〜10質量%使用されるのが更に好ましい。
[無機微粒子]
本発明における親水性組成物は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子は粒子の中でも親水性が高いため特に好ましい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が10nm〜10μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。上記範囲内であると、親水性塗膜中に安定に分散して、親水性塗膜の膜強度を十分に保持し、耐久性に優れた親水性塗膜を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましい。該コロイダルシリカ分散物は市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水性組成物の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
[界面活性剤]
本発明においては、親水性組成物の被膜面状を向上させるために親水性組成物中に界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、親水性組成物の全固形分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010083141
界面活性剤と前記一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーを併用することでより高い親水性表面を有する親水性塗膜を形成することができる。十分にメカニズムは解明されていないが、これは親水性塗膜が乾燥する過程で低分子量化合物である界面活性剤が親水性塗膜表層にマイグレートする作用に伴いポリマーセグメント中の親水性セグメントが界面活性剤の親水性部位に引き寄せられることで高い親水性が得られるものと推測することができる。
また一般的に比較的低分子量化合物である抗菌剤を併用することで上記界面活性剤とともにマイグレートすることで親水性を大幅に低下させることなく表面に有効的に抗菌作用を付与する作用もあると考えられる。抗菌剤については後述する。
[紫外線吸収剤]
親水性塗膜の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%であることが好ましい。
[酸化防止剤]
親水性組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、欧州特許出願公開第223739号明細書、同309401号明細書、同第309402号明細書、同第310551号明細書、同第310552号明細書、同第459416号明細書、独国特許出願公開第3435443号明細書、特開昭54−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
酸化防止剤の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性組成物の全固形分に対して、0.1〜8質量%であることが好ましい。
[有機溶剤]
親水性組成物による塗膜形成時に、基材に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性組成物に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機化合物)の観点から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性組成物全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
[高分子化合物]
親水性組成物には、塗膜の物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体が好ましい。更に、カルボキシル基含有モノマー、メタクリル酸アルキルエステル、又はアクリル酸アルキルエステルに由来する構造を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
上記高分子化合物の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性組成物の全固形分に対して、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜15質量%であることがより好ましい。
[抗菌剤]
本発明における親水性部材に抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、親水性組成物に抗菌剤を含有させることができる。抗菌剤としては、親水性又は水溶性の抗菌剤が好ましい。親水性又は水溶性の抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた親水性部材が得られる。
抗菌剤としては、親水性部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤、又は水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌及び大腸菌に代表される細菌類、かび、並びに酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
上記抗菌剤の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性組成物の全固形分に対して、0.001〜10質量%が一般的であり、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.02〜1.5質量%が特に好ましく、0.05〜1質量%が最も好ましい。含有量が0.001質量%以上であれば効果的な抗菌効果を得ることができる。また、含有量が10質量%以下であれば親水性も低下せず、かつ膜強度に悪影響を及ぼさない。
親水性組成物には、これらの他にも必要に応じて、例えば、レベリング剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基材への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔親水性組成物の調液〕
親水性組成物の調製は、親水性ポリマー、必要に応じて、硬化触媒、金属アルコキシドなどを溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜50℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は0.5〜20時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により親水性ポリマー及び金属アルコキシドの加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
親水性組成物を調製する際に用いる溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、親水性塗膜を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性組成物)の調製は、ゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明において親水性組成物の調製に適用することができる。
親水性組成物を、適切な基材上に被膜し、乾燥することで、親水性部材を得ることができる。即ち、親水性部材は、基材上に、親水性組成物を被膜し、加熱、乾燥することにより形成された親水性塗膜を有する。
〔基材〕
親水性組成物を金属又は樹脂を含有する基材上に塗布、乾燥し、親水性塗膜を形成することにより、親水性部材を得ることができる。
本発明における基材は、金属又は樹脂を含んでいれば特に限定されない。好ましくはアルミニウム合金又はポリエステルを含むものであり、アルミニウム合金コイル又はポリエステルフィルムなどが特に好ましく挙げられる。
基材が金属を含むものである場合、該金属としては、アルミニウム、銅、鉄、及びこれらの合金などが好ましく、アルミニウム及びこれらの合金がより好ましく、アルミニウム合金が更に好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムを90〜99.9%含むものが好ましく、アルミニウム以外に含有する金属としては、Mn、Mg、Znなどが好ましい。アルミニウム合金としては特に限定されず、用途に応じてJISに準じたものを用いることができる。
基材が樹脂を含むものである場合、特に制限はないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、ポリエーテルスルフォン等を含むプラスチック基材を挙げることができる。その中でも特にポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィンを含む基材が好ましい。なかでも汎用性、加工性に優れるポリエステルフィルムがより好ましい。ポリエステルフィルムとしては公知のものを用いることができる。好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエステルフタレートなどを用いることができる。より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
なお、光学的には、透明性に優れている方が好ましい場合が多いが、用途によっては半透明、又は印刷されたものも用いられる。
本発明では、基材上に、親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行うが、親水性組成物を塗布する前の基材の形態は特に限定されない。親水性組成物を塗布する前の基材は、例えば、シート状、ロール状、コイル状又はリボン状の形態を有していてもよい。基材は、親水性組成物を塗布した後、コイル状又はロール状にして加熱処理を施されるため、親水性組成物を塗布する前の形態がロール状又はコイル状であることが好ましい。
基材の厚みは、親水性部材の用途によって様々である。例えば曲面の多い部分に使用する場合では、薄いものが好まれ、6〜50μm程度の基材が用いられることがある。また平面に用いられる場合、又は強度を要求される場合では50〜400μmの基材が用いられることがある。
基材と親水性塗膜の密着性を向上させる目的で、所望により基材の片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
また基材表面を改質してもよい。改質方法としてはコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、アルカリ化成処理など公知の方法を用いることができる。
(中間層)
基材と親水性塗膜の密着力を確保するために、必要に応じて基材表面、又は基材と親水性塗膜の間に一層又は二層以上の中間層を設けてもよい。中間層としては親水性塗膜との濡れ性のよいものであれば市販されているものを用いても良いが、好ましくは加水分解性アルコキシシリル基を有するものである。
加水分解性アルコキシシリル基を有するものとして好ましいものは、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどであり、より好ましくはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランである。
また中間層の素材としては、親水性樹脂や水分散性ラテックスを用いることができる。
親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、等〕等が挙げられる。また、カルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
更に、ポリシロキサン等に代表される金属アルコキシドの加水分解縮合物等も好ましく、前記架橋剤として記載した化合物を使用することができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類、金属アルコキシドの加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ゼラチン類、金属アルコキシドの加水分解縮合物が好ましい。
水分散性ラテックスとしては、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、NBR樹脂、ポリウレタン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、SBR樹脂、ポリアミド系ラテックス等が挙げられる。中でも、アクリル系ラテックスが好ましい。
上記の親水性樹脂及び水分散性ラテックスは、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水性樹脂や水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。架橋剤の官能基数は2個以上で、かつ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレン又はプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性塗膜の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
前記親水性樹脂及び水分散性ラテックスの、中間層中における総量としては、0.01〜20g/mが好ましく、0.1〜10g/mがより好ましい。
〔親水性部材使用時の層構成〕
親水性部材を、防汚性、防曇性等の効果の発現を期待して使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
(接着層)
親水性部材を、別の基材上に貼り付けて使用する場合、親水性部材の親水性塗膜を有する面とは反対の面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基材における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂及びこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類又は混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、更に好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
(離型層)
親水性部材が前記の接着層を有する場合には、更に離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤しては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
(その他の層)
親水性塗膜の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層や、中間層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性部材を適切な基材へ貼り付けた後には剥がされる。
[親水性部材の形態]
本発明では、親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行うが、該加熱処理後の親水性部材の形態は特に限定されない。該加熱処理後の親水性部材は、加熱処理前の形態であるコイル状又はロール状でもよいし、シート状又はリボン状でもよい。
[親水性塗膜の物性]
(水の接触角)
親水性は、汎用的に水の接触角で測定される。本発明における親水性部材の表面は、20℃にて測定した表面の空中水滴接触角が15°以下であることが好ましく、より好ましくは10°以下である。
親水性部材は、窓ガラス等に適用(使用、貼り付け)する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。前記親水性塗膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。
前記親水性塗膜の厚さは、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜1μmがより好ましい。膜厚が厚すぎると乾燥むら等の欠陥が生じることがあり、薄すぎると親水性を発揮しないことがある。
本発明において、親水性、基材と親水性塗膜との密着性、耐擦り性の観点から、加熱処理後(後述する第2加熱処理後)の親水性塗膜の表面粗さRaが、加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%である。ここで、表面粗さは、JIS−B0601(1982)による中心線平均粗さRaである。加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaが、加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して上記範囲内であると、親水性部材のプレス成形加工性にも優れるため、例えば熱交換器用のフィン材などへの応用に適している。
なお、本発明においては、基材上に親水性組成物によって形成された膜を加熱処理前後において「親水性塗膜」と呼ぶ。
親水性塗膜表面の突起の最大高さRmaxは、0.1μm〜2μmであることが好ましい。この範囲であることにより、十分な親水性を維持することができる。また、この範囲であると、親水性部材を熱交換器などに適用した場合、熱交換効率を維持することができるという効果を奏する。Rmaxはより好ましくは0.5μm〜1.5μmである。
親水性塗膜の表面粗さRaは塗布工程上のハンドリングのしやすさの観点から、500nm〜3000nmが好ましく、500nm〜1000nmがより好ましい。
親水性塗膜のTgは、40℃〜150℃が好ましい。この範囲であると親水性部材を熱交換器に適用した場合、熱交換器内の発熱に対する耐熱性を持たせることができる。
親水性塗膜の弾性率は1GPa〜7GPaが好ましい。
なお、上記の親水性塗膜の表面性状の制御方法は、使用する無機微粒子の粒子サイズ、含有量を制御する;基材自体の表面粗さを調整する;親水性塗膜形成用塗布液組成物の粘度、親水性塗膜の加熱温度、速度などを制御する、等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
加熱処理前後の表面粗さを制御する因子としては加熱温度、加熱時間、用いる親水性ポリマー、コロイダルシリカなどの無機粒子の添加等がある。
加熱温度は低い方が加熱処理前後の粗さの差を小さくでき、加熱時間も短い方が小さくなるが、塗膜強度が弱くなる傾向がある。
親水性ポリマーの含有量が多いほど加熱処理前後の粗さの差が大きくなるが、本発明のようなアルコキシシリル基に代表される架橋基を持たないポリマーの方がより加熱処理前後の差が大きくなる。
コロイダルシリカのような無機微粒子を添加すると加熱処理前後の粗さの差が小さくなるが添加する粒子の粒径が大きいと塗膜に空隙が発生しやすいために加熱処理前後の粗さの差が大きくなる。添加量も多すぎると同様である。
親水性部材の透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価することができる。本発明における親水性部材は、光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性塗膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
[親水性部材の作製方法]
本発明における親水性部材の製造方法は、親水性組成物を金属又は樹脂を含む基材上に塗布し、親水性組成物が塗布された基材をコイル状又はロール状に巻き取り、加熱処理を行う。親水性部材はコイル状又はロール状の形態で加熱処理を行われるため、塗布インラインの速度などの制約を受けずにオフラインで処理できるという製造上の利点を有する。また、親水性組成物が塗布された基材をコイル状又はロール状に巻き取る際に親水性組成物が基材の塗布面と反対側の面に付着しないように、前記加熱処理(便宜的に第2加熱処理ということもある)の前に乾燥工程(便宜的に第1加熱処理ということもある)を設けてもよい。
前記第1加熱処理における加熱温度は100℃〜300℃が好ましく、更に好ましくは150℃〜200℃である。加熱時間は1秒〜60秒が好ましく、更に好ましくは5秒〜15秒である。
第1加熱処理はインラインで行うため、通常工業的には高圧蒸気ゾーンを設けて乾燥することが好ましい。
前記第2加熱処理の加熱温度と加熱時間は、有機無機複合体ゾル液中の溶媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、加熱温度は25〜140℃であることが好ましく、50〜100℃がより好ましい。加熱時間は3時間〜120時間が好ましく、3時間〜12時間がより好ましく、3時間〜5時間が更に好ましい。加熱温度が25℃以上であれば架橋反応が進行しやすく、親水性塗膜の強度が高くなり、耐擦り性が向上するため好ましい。加熱温度が140℃以下であれば親水性塗膜のひび割れが生じにくく、ひび割れによる部分的な親水性の低下が発生しにくいため、十分な親水性が得られやすく好ましい。加熱時間が3時間以上であれば親水性ポリマーの架橋反応が十分に進行し、親水性塗膜の強度が向上し耐擦り性が向上するため好ましい。加熱時間が120時間以下であれば、基材が劣化しにくく、好ましい。
加熱処理における加熱手段としては、公知の手段を用いることができ、例えば、温度調整機能を有する恒温室、及び乾燥機などが挙げられる。第2加熱処理はオフラインで行うため、加熱オーブンやサーモ庫などで熱源は蒸気、電気などが挙げられる。
親水性組成物は公知の塗布方法で塗布することが可能であり、特に限定がなく、例えばスプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、フィルムアプリケーター法、スクリーン印刷法、バーコーター法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が適用できる。
次に、本発明に係る親水性部材の一例を製造方法を図を参照して説明する。
親水性組成物が塗布される金属又は樹脂を含む基材はロール状又はコイル状であってもよい。図1に示すように、金属又は樹脂を含む基材が巻かれてなる基材ロール1はその末端部が引き出される。引き出された基材上には親水性組成物が塗布される。親水性組成物が塗布された基材は再び巻回されて基材ロール2を形成する。
基材ロール2はオフラインで加熱処理される。例えば図2に示すように、恒温室3にて、熱Hをかけられる。
また、図3に示すように、親水性組成物が塗布される前に、前処理、中間層用液塗布、中間層用液乾燥などの各工程を設けてもよく、親水性組成物が塗布された後に、前記第1加熱処理(親水性組成物の乾燥)の工程を設けてもよい。
親水性部材が適用可能な用途を例示するが、これらに限定されるものではない。
眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、構造部材、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、看板、交通標識、防音壁、ビニールハウス、乗物用カバー、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、壁間や硝子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レール、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニールハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ、雪国用屋根材、アンテナ、送電線、医療用診断装置の各部材、医療用のカテーテル、パソコンやテレビのディスプレイ、化粧品の容器、フィルター、自動車用アルミホイール、カメラのファインダー、印刷装置の各部材、及び上記物品表面に貼着可能なフィルム、ワッペン等を含む。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
[親水性ポリマー合成例]
500ml三口フラスコにアクリルアミド56.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、エタノール140g、1−メトキシ−2−プロパノール140gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル2.3gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。アセトン2リットル中に投入し、析出した固体を沈殿させた。得られた固体をデカンテーションして採取した。
ついで30℃で乾燥質量が恒量に達するまで乾燥して溶媒を除去し式−1で表される親水性ポリマーを得た。得られたポリマーの乾燥質量は65.6gであった。得られたポリマーの分子量をGPC(ポリエチレンオキシド標準)により測定したところ質量平均分子量23000のポリマーであった。
アクリルアミドをビニルアルコールに変更した以外は上記式−1で表される親水性ポリマーと同様の方法で式−2で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミドをアクリル酸に変更した以外は上記式−1で表される親水性ポリマーと同様の方法で式−3で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−3−(メトキシシリル)プロピルに変更した以外は上記式−1で表される親水性ポリマーと同様の方法で式−4で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−3−(プロポキシシリル)プロピルに変更した以外は上記式−1で表される親水性ポリマーと同様の方法で式−5で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルを用いないで合成した以外は上記式−1で表される親水性ポリマーと同様の方法で式−6で表される親水性ポリマーを作製した。
[親水性組成物の調製]
表1記載の各親水性ポリマー20質量部、チタンアセチルアセトナートを前記親水性ポリマーのアルコキシシリル基のモル数と等モルを添加、下記構造のアニオン性界面活性剤の5質量%水溶液10質量部、必要に応じて表1記載その他の成分を表1記載の各質量部、蒸留水400質量部、エタノール70質量部を加え25℃で30分間攪拌し親水性組成物を得た。
Figure 2010083141
[中間層用液の調製]
テトラメトキシシラン10質量部、メチルトリメトキシシラン10質量部、チタンアセチルアセトナートを前記テトラメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランのアルコキシシリル基のモル数と等モルを添加、蒸留水900質量部、エタノール1000質量部を20℃で30分間攪拌し中間層用親水性組成物を得た。
[親水性部材の作製]
表1記載の各方法で前処理したアルミ合金コイル又はポリエステルフィルムロール表面に必要に応じて乾燥後の厚さが0.1μmになるように中間層用液をバ−コータで塗布したのち溶媒を乾燥させるために、蒸気加熱オーブンを用いて120℃で10秒間乾燥を行った。
ついで親水性組成物を基材上又は中間層上に乾燥後の厚さが0.1μmになるようにバ−コ−タで塗布したのち溶媒を乾燥させるために、蒸気加熱オーブンを用いて120℃で10秒間乾燥を行った。そして、基材をロール状又はコイル状に巻き取った。
その後、ポリエステルフィルムロール又はアルミ合金コイルを恒温室に入れ、表1記載の温度及び時間にて放置した。
得られたポリエステルフィルムロール、又はアルミ合金コイルの芯側より5m付近でサンプルを採取し下記の評価方法で評価した。表1に評価結果を記す。
表1中に記載された基材、成分、基材の前処理の説明を以下に示す。
・アルミコイル:JIS A1200 100μm厚 500mm幅 1000m巻き
・PETフィルム:東洋紡製ポリエステルフィルムA4100 50μm厚 500mm幅 1000m巻き
・スノーテックスC:日産化学製コロイダルシリカ(平均粒径20nm)
・スノーテックスXL:日産化学製コロイダルシリカ(平均粒径50nm)
・エポキシ化合物A:ジャパンエポキシレジン製827
・アルカリ脱脂:横浜油脂製アルカリ洗浄剤セミクリーンA1(5%希釈液)に50m/minの搬送速度で15秒間浸漬させ、その後蒸留水で10分間洗浄した。
・コロナ処理:春日電機製コロナ処理機を用い5W・min/mで処理した。
また、表1中、「測定せず」は、親水性部材にタック性及ひび割れが発生したため測定しなかったものである。
[評価法]
(タック性)
上記サンプル採取の際に張り付きが発生し巻きほぐせなかったものを「不良」、巻きほぐせたが粘着性があったものを「良好」、粘着性がなかったものを「優秀」とした。
(表面粗さRa)
デジタルオプティカルプロフィメーター(WYKO製)を用いて100μm四方の面積を光干渉法によりカットオッフ0.25mmの条件で測定した範囲の中心線平均粗さRaを求めた。
(水滴の接触角)
協和界面科学(株)製 接触角計DropMaster500を用いて超純水を用いて親水性塗膜表面の接触角を求めた。
接触角は上記サンプル採取直後及びサンプルを85℃の熱水に24時間浸漬させた後で測定した。
(ひび割れ)
得られた親水性部材を微分干渉顕微鏡(倍率400倍)及び目視で観察し以下のランクで評価した。
微分干渉顕微鏡及び目視でひび割れが観察されなかったもの・・・優秀
目視ではひび割れが観察されなかったが微分干渉顕微鏡観察でひび割れが確認できたもの・・・良好
目視でひび割れが観察できたもの・・・不良
(密着性)
スコッチ製メンディングテープ(長さ3cm、幅1.5cm)を親水性塗膜に貼り、剥すことで親水性塗膜が剥れるか目視で確認した。
塗膜の剥離なし・・・優秀
一部剥離するが、面積で約80%以上剥離していないもの・・・良好
一部又は全部で剥離が観察され、剥離していない面が80%未満のもの・・・不良
(耐擦り性)
得られた親水性部材表面を蒸留水で湿らせた不織布(旭化成製BEMCOT)を面圧500gf/cm、ストローク30mmで5000回繰り返し擦り、傷の発生具合を確認した。また、水滴接触角を上記と同様に測定した。
目視にて表面に傷が確認できたもの・・・不良
傷は確認できなかったが水滴接触角が15°以上になったもの・・・良好
水滴接触角が15°より小さく、かつ傷が確認できなかったもの・・・優秀
Figure 2010083141
Figure 2010083141
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本発明により、高い親水性を有し、塗膜表面の割れがなく、基材と塗膜の密着性、耐擦り性に優れた親水性部材を提供することができ、該親水性部材は様々な用途に用いることができる。

Claims (10)

  1. 金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行い、該加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaを、該加熱処理前の親水性塗膜の表面粗さRaに対して80%〜150%とすることを特徴とする親水性部材の製造方法。
  2. 前記基材がアルミニウム合金又はポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の親水性部材の製造方法。
  3. 前記加熱処理後の親水性塗膜の表面粗さRaが500nm〜3000nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の親水性部材の製造方法。
  4. 前記親水性ポリマーが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
    Figure 2010083141
    (一般式(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xは反応性基を表し、L、及びLはそれぞれ独立に単結合又は連結基を表し、Yは−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−CONH、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OH、−OR、−OM、−COM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又はNRを表し、ここで、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数を表し、Zはハロゲンイオンを表す。)
  5. 前記親水性ポリマーが、加水分解性シリル基を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
  6. 前記親水性ポリマーが、−OH、−COOH、−CONHから選ばれる少なくとも一種の親水性基及び加水分解性アルコキシシリル基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
  7. 前記加水分解性アルコキシシリル基が、−Si(OCH(R1023−n、−Si(OC(R1023−n、及び−Si(OC(R1023−nから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の親水性部材の製造方法。ただし、上記nは2又は3であり、R102は水素原子又はアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表し、複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
  8. 前記加熱処理における加熱温度が25℃〜140℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
  9. 前記加熱処理における加熱時間が3時間〜120時間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の親水性部材の製造方法。
  10. 金属又は樹脂を含む基材上に、少なくとも一種の親水性ポリマーを含有する親水性組成物を塗布し、該親水性組成物を塗布した基材をコイル状又はロール状にして、加熱処理を行うことで得られる親水性部材であって、該加熱処理後の親水性塗膜表面粗さRaが、該加熱処理前の表面粗さRaに対して80%〜150%であることを特徴とする親水性部材。
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