JP5604126B2 - 親水性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルフィルム上に、親水性ポリマーを含む親水性組成物を用いて形成された親水性層を有する親水性フィルムに関する。
防曇性の持続が必要とされる浴室・洗面台などの鏡や、住宅やビルの窓へ、親水性組成物を塗設した親水性フィルムを貼り付けることで防曇性を持たせる技術が知られている(特許文献1〜6)。
しかしながら、特許文献1〜5に記載の技術は、防曇性の持続が不十分であり、親水性塗膜が溶け出し視認性が低下したり、濡れた布などで擦ると塗膜表面にキズが発生し視認性が低下するという問題がある。また特許文献6の技術では、防曇性を有する層をコーティングする方法ではなくヒーターを鏡に内蔵することで防曇性を持たせているが、装置が大掛かりになり、コストもかかる欠点がある。
特開2002−322422号公報 特開2008−150454号公報 特開2008−156530号公報 特開2008−195553号公報 特開2001−40294号公報 特開平8−317841号公報
本発明は、防曇効果の持続性、擦り耐性、及びセルフクリーニング性に優れた親水性フィルムを提供することを目的とする。
<1>
ポリエステルフィルム上に、親水性組成物を用いて形成された親水性層を有する親水性フィルムであって、該親水性組成物は、下記群から選ばれる少なくとも一種の極性基とアルコキシシリル基とを有する親水性ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有することを特徴とする親水性フィルム。
極性基:−CONH 、−COOM、−OH
(Mは、水素原子、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表す。)
アルコキシシリル基:−Si−(OR) 3−n
(Rは各々独立に、−CH 、−C 、または−C を表し、nは2または3を表す。)
<2>
前記ポリエステルフィルムと前記親水性層との間に、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびメチルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する組成物を用いて形成された中間層を有することを特徴とする<1>に記載の親水性フィルム。
<3>
前記親水性ポリマーの極性基が、−CONH 、−COOH、および−OHから選ばれる少なくとも1種であり、且つ前記中間層が、テトラメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたことを特徴とする<2>に記載の親水性フィルム。
<4>
前記親水性層および中間層の膜厚が30nm〜200nmであることを特徴とする<2>または<3>に記載の親水性フィルム。
<5>
前記親水性層表面に、水を噴霧し、80℃で5秒間乾燥を100サイクル繰り返した後の親水性層表面の水滴接触角が15°以下であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の親水性フィルム。
本発明は、前記<1>〜<5>に係る発明であるが、参考のためにそれ以外の事項(例えば、下記1〜6)についても記載している。
1. ポリエステルフィルム上に、親水性組成物を用いて形成された親水性層を有する親水性フィルムであって、該親水性組成物は、親水性ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有することを特徴とする親水性フィルム。
2. 前記親水性ポリマーが、下記群から選ばれる少なくとも一種の極性基とアルコキシシリル基とを有することを特徴とする上記1に記載の親水性フィルム。
極性基:−CONH、−COOM、−OH
(Mは、水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。)
アルコキシシリル基:−Si−(OR)3−n
(Rは各々独立に、−CH、−C、又は−Cを表し、nは2又は3を表す。)
3. 前記ポリエステルフィルムと前記親水性層との間に、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する組成物を用いて形成された中間層を有することを特徴とする上記1又は2に記載の親水性フィルム。
4. 前記親水性ポリマーの極性基が、−CONH、−COOH、及び−OHから選ばれる少なくとも1種であり、かつ前記中間層が、テトラメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたことを特徴とする上記3に記載の親水性フィルム。
5. 前記親水性層及び中間層の膜厚が30nm〜200nmであることを特徴とする上記3又は4に記載の親水性フィルム。
6. 前記親水性層表面に、水を噴霧し、80℃で5秒間乾燥を100サイクル繰り返した後の親水性層表面の水滴接触角が15°以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の親水性フィルム。
本発明は、ポリエステルフィルム上に極めて親水性の高い親水性層を有する親水性フィルムであり、優れた防曇性を発揮する。該親水性層にはコロイダルシリカなどに代表される親水性の無機質材料を有さず、親水性ポリマー、例えば、アクリルアミドのような親水性の高い極性基及び加水分解により親水性が高く架橋構造を形成できるアルコキシシリル基とをもつポリマーを主成分とすることで強靭かつ優れた防曇性が得られるとともにセルフクリーニング性にも優れる。また、結露と乾燥を繰り返しても水垢が固着しにくく長期にわたり防曇性の持続も可能である。また油汚れなどが付着しても水洗で容易に除去できる特徴もある。加えて濡れた布などにより繰り返し擦られてもキズがつきにくいという耐擦り性も有する。また従来技術と比較し薄膜で前記効果を得ることができるため親水性フィルムを貼り付けた部材の視認性や意匠性を損なうことも少ない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の親水性フィルムは、ポリエステルフィルム上に、親水性組成物を用いて形成された親水性層を有する親水性フィルムであって、該親水性組成物は、親水性ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有することを特徴とする。
〔親水性ポリマー〕
本発明における親水性組成物は、親水性ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有する。
親水性ポリマーとしては特に限定されないが、親水性ポリマーが有する好ましい主鎖構造としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル系樹脂、合成ゴム、天然ゴム等が挙げられ、特にポリエステル製基材との密着性に優れるという理由からアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。親水性ポリマーは共重合体であってもよく、該共重合体はランダム共重合体であってもよい。
親水性ポリマーとしては、下記一般式(I−1)で表される構造及び一般式(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)、一般式(II−1)で表される構造及び一般式(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)又は一般式(III−1)で表される構造及び一般式(III−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(III)のいずれか少なくとも1種が好ましい。
Figure 0005604126
{一般式(I−1)及び(I−2)中、R101〜R108はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。pは1〜3の整数を表し、L101及びL102は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
Figure 0005604126
{一般式(II−1)及び(II−2)中、R201〜R205はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。qは1〜3の整数を表し、L201及びL202は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。A201は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
Figure 0005604126
{一般式(III−1)及び(III−2)中、R301〜R311はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。rは1〜3の整数を表し、L301〜L303は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A301は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
〔一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)〕
Figure 0005604126
{一般式(I−1)及び(I−2)中、R101〜R108はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。pは1〜3の整数を表し、L101及びL102は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
上記一般式(I−1)及び(I−2)において、R101〜R108はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R101〜R108は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−リールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R101〜R108において挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、より好ましくは炭素原子数1から12まで、更に好ましくは炭素原子数1から8の直鎖状、より好ましくは炭素原子数3から12までの、更に好ましくは炭素原子数3から8までの分岐状並びにより好ましくは炭素原子数5から10まで、更に好ましくは炭素原子数5から8までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
親水性の観点から上記のなかでもヒドロキシメチル基が好ましい。
101〜L102は単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とXが連結鎖なしに直接結合していることを表す。
101〜L102が多価の有機連結基を表す場合、L101〜L102は非金属原子からなる多価の連結基を表し、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から選択される1つ以上の原子から成り立つものであることが好ましい。具体的には、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、及びそれらの組合せから選ばれることが好ましく、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−又は−S−又は−CO−又は−NH−を含む組合せで、2価の連結基であることが好ましい。
より具体的な連結基としては下記の構造単位又はこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 0005604126
一般式(I−1)及び一般式(I−2)において、L101及びL102は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とA101又はSi原子が連結鎖なしに直接結合していることを表す。
一般式(I−1)において、L101は単結合、又は、−CH−、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−及び−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基であることが好ましい。L101は−CH−、及び−CONH−を含むことがより好ましく、−CONH−(CHn1−であることが更に好ましい(n1は1〜5の整数を表し、1〜4が好ましく、2又は3がより好ましい)。
一般式(I−2)において、L102は単結合であることが好ましい。
一般式(I−2)中、A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。また、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)についてR〜Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R〜Rは更に置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R101〜R108がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
〜Rにおいて、直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
また、R〜Rにおいて、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等、アルカリ土類金属としてしはバリウム等、オニウムとしてはアンモニウム、ヨードニウム又はスルホニウム等が好適に挙げられる。
ハロゲンイオンとしてはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンを挙げることでき、無機アニオンとしては硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等が、有機アニオンとしてはメタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等が好適に挙げられる。
101としては、具体的には、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COOH、−SO NMe 、−SO 、−(CHCHO)H、モルホリル基等が好ましい。より好ましくは、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−SO 、−(CHCHO)H、である。なお、上記において、nは1〜100の整数を表すことが好ましい。
pは1〜3の整数を表し、好ましくは2〜3、より好ましくは3である。
101、R102、及びR103が水素原子であって、R105は炭化水素基であることが好ましく、1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましい。
一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマーにおいて、x及びyは親水性ポリマーにおける、一般式(I−1)で表される構造単位と一般式(I−2)で表される構造単位の組成比を表す。xは0<x<100、yは0<y<100である。xは1<x<90の範囲であることが好ましく、1<x<50の範囲であることが更に好ましい。yは10<y<99の範囲であることが好ましく、50<y<99の範囲であることが更に好ましい。
一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)の共重合比率は、親水性基を有する一般式(I−2)の量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、一般式(I−2)の構造単位のモル比(y)と加水分解性シリル基を有する一般式(I−1)の構造単位のモル比(x)が、y/x=30/70〜99/1の範囲が好ましく、y/x=40/60〜98/2がより好ましく、y/x=50/50〜97/3が最も好ましい。y/xが30/70以上であれば親水性が不足することなく、一方、y/x=99/1以下であれば、加水分解性シリル基の量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含むポリマーの質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000が更に好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
以下に、一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマーの具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体又はブロック共重合体であることを意味する。
Figure 0005604126
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一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマーを合成するための各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。
具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3(1996年、共立出版)、高分子の合成と反応1(高分子学会編、1992年、共立出版)、新実験化学講座19(1978年、丸善)、高分子化学(I)(日本化学会編、1996年、丸善)、高分子合成化学(物質工学講座、1995年、東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
〔一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)〕
Figure 0005604126
{一般式(II−1)及び(II−2)中、R201〜R205はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。qは1〜3の整数を表し、L201及びL202は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。A201は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
一般式(II−1)で表される構造及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)は、上記一般式(II−2)で表される構造単位を有し、かつ、ポリマー鎖の末端に上記一般式(II−1)で表される部分構造を有することが好ましい。
前記一般式(II−1)及び(II−2)において、R201〜R205は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、R201〜R205が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、前記一般式(I−1)及び(I−2)のR101〜R108で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
201、L202は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とA201又はSi原子が連結鎖なしに直接結合していることを表す。L201、L202が多価の有機連結基を表す場合、具体的な例及び好ましい例は、前記一般式(I−1)のL101で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
201は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。A201の具体的な例及び好ましい例は一般式(I−2)のA101で挙げられたものと同様のものを挙げることができる。
qは1〜3の整数を表す。好ましくは2〜3、より好ましくは3である。
201及びL202は、より好ましくは、−CHCHCHS−、−CHS−、−CONHCH(CH)CH−、−CONH−、−CO−、−CO−、−(CHn1−である。L201は−CH−を含むことがより好ましく、−(CHn1−であることが更に好ましい(n1は1〜5の整数を表し、1〜4が好ましく、2又は3がより好ましい)。
202は単結合であることが好ましい。
一般式(II−1)で表される構造及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマーは、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter(Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
一般式(II−1)で表される構造及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 0005604126
上記式(i)及び(ii)において、R201〜R205、L201、L202、A201、qは、上記一般式(II−1)中のものと同義である。また、これらの化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーは親水性基A201を有しており、このモノマーが親水性ポリマーにおける一構造単位となる。
一般式(II−1)で表される構造及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)において、加水分解性シリル基を有する一般式(II−1)の構造単位のモル数に対して、一般式(II−2)の構造単位のモル数が、1000〜10倍の範囲が好ましく、500〜20倍の範囲がより好ましく、200〜30倍の範囲が最も好ましい。30倍以上であれば親水性が不足することなく、一方、200倍以下であれば、加水分解性シリル基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
一般式(II−1)で表される構造及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)の質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000が更に好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得る親水性ポリマー(II)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体例中、*はポリマーへの結合位置を表す。
Figure 0005604126
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Figure 0005604126
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〔一般式(III−1)及び(III−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(III)〕
親水性ポリマー(III)は、下記一般式(III−1)及び(III−2)で表される構造を含む。親水性ポリマー(III)は、反応性基を有する幹ポリマーに親水性基を有する側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーであることが好ましい。
Figure 0005604126
{一般式(III−1)及び(III−2)中、R301〜R311はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。rは1〜3の整数を表し、L301〜L303は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A301は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、又は有機アニオンを表す。}
上記一般式(III−1)及び(III−2)において、R301〜R311は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、R301〜R311が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、前記一般式(I−1)及び(I−2)のR101〜R108で挙げたものと同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。
301、L302及びL303は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とA301、側鎖及びSi原子が連結鎖なしに直接結合していることを表す。L301、L302及びL303が多価の有機連結基を表す場合、具体的な例及び好ましい例は、前記一般式(I−1)のL101で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
301は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、又は−PO(R)(R)を表す。A201の具体的な例及び好ましい例は一般式(I−2)のA101で挙げられたものと同様のものを挙げることができる。
rは1〜3の整数を表す。好ましくは2〜3、より好ましくは3である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、及び“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に、1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを作成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と反応性基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の質量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以上であれば有効な親水性が得られ、また10万以下であれば主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が高くなる傾向があり、いずれも好ましい。
一般式(III−1)で表される構造及び(III−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(III)において、xは1<x<90の範囲であることが好ましく、1<x<50の範囲であることが更に好ましい。yは10<y<99の範囲であることが好ましく、50<y<99の範囲であることが更に好ましい。
親水性ポリマー(III)の共重合比率は、親水性基を有する一般式(III−2)の量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、一般式(III−2)の構造単位のモル比(y)と加水分解性シリル基を有する一般式(III−1)の構造単位のモル比(x)が、y/x=30/70〜99/1の範囲が好ましく、y/x=40/60〜98/2がより好ましく、y/x=50/50〜97/3が最も好ましい。y/xが30/70以上であれば親水性が不足することなく、一方、y/x=99/1以下であれば、加水分解性シリル基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
親水性ポリマー(III)は、質量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、更に好ましくは2万〜10万の範囲のものである。分子量が100万以下であれば親水性被膜形成用塗布液を調製する際に溶媒への溶解性が悪化することなく、塗布液粘度が低くなり、均一な被膜を形成し易いなどハンドリング性に問題がなく、好ましい。
以下に、一般式(III−1)で表される構造及び(III−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(III)の具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体又はブロック共重合体であることを意味する。
Figure 0005604126
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親水性ポリマー(I)、(II)及び(III)のうち、親水性ポリマー(I)、(II)がより好ましく、親水性ポリマー(I)が更に好ましい。また、親水性ポリマー(I)及び(II)を含む場合も好ましい。
親水性ポリマー(I)、(II)又は(III)は、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、親水性膜としての機能が十分であり、親水性ポリマー(I)、親水性ポリマー(II)及び/又は親水性ポリマー(III)を添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、親水性ポリマー(I)、親水性ポリマー(II)及び/又は親水性ポリマー(III)中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは50質量%以下である。
親水性ポリマー(I)、(II)又は(III)の共重合比の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)や、標準物質で検量線を作成し、赤外分光光度計により測定することができる。
本発明における親水性組成物は親水性ポリマーを1種含んでいても良いし、2種以上含んでいても良い。
親水性ポリマーは硬化性と親水性の観点から、親水性組成物の全固形分に対して80質量%以上含み、80〜95質量%使用されることが好ましく、80〜90質量%使用されることが更に好ましい。
上記、親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100mPa・s(5%水溶液、20℃測定)、好ましくは0.5〜70mPa・s、更に好ましくは1〜50mPa・sの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
また、親水性ポリマーは、下記群から選ばれる少なくとも一種の極性基とアルコキシシリル基とを有する親水性ポリマーであることが好ましい。
極性基:−CONH、−COOM、−OH
(Mは、水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。)
アルコキシシリル基:−Si−(OR)3−n
(Rは各々独立に、−CH、−C、又は−Cを表し、nは2又は3を表す。)
極性基である−COOMのMとしては水素原子がより好ましい。
極性基としては、−CONH、−COOH、−OHのいずれか少なくとも1種を含むことが好ましい。
アルコキシシリル基としてはテトラメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
極性基とアルコキシシリル基がともに上記好ましい範囲を満たすことがより好ましい。
親水性ポリマーは前記極性基とアルコキシシリル基以外に、親水性基を有していてもよい。親水性基としては、例えば、−NHCOR、−NHCOR、−NHCONR、−NR、−CONR、−OCONR、−COR、−OR、−OM、−COR、−SOM、−OSOM、−SOR、−NHSOR、−SONR、−POM、−OPOM、−(CHCHO)H、−(CHCHO)CH又は−NRなどが挙げられる。ただし、Rは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、nは整数(好ましくは1〜100の整数)を表し、Zはハロゲンイオンを表す。また、−CONRのように複数のRを有する場合、R同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。Rは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記親水性ポリマー(I)におけるR101がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
前記Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。また、Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
親水性基としては、−NHCOCH、−CON(CH、−SO NMe 、−SO 、−(CHCHO)H、モルホリル基等が好ましい。より好ましくは、−NHCOCH、−CON(CH、−SO 、−(CHCHO)H、である。
本発明における親水性組成物は、親水性ポリマー以外にも以下に記載したような他の成分を含んでいても良い。
[架橋剤]
親水性組成物中に、前記親水性ポリマー(II)を含有する場合は、良好な硬化性を得るために架橋剤を含有することが好ましい。また、親水性組成物中に前記親水性ポリマー(I)又は(III)を含有する場合は架橋剤を含有しない場合でも良好な硬化性を得ることはできるが、膜強度が非常に優れた塗膜を得るためには架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物(金属アルコキシドともいう)がとくに好ましい。金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、更に前記親水性ポリマーとも化学結合することができる。金属アルコキシドは一般式(V−1)又は一般式(V−2)で表すことができ、式中、R20は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R21及びR22はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R20及びR21がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
(R20−Z−(OR214−m (V−1)
Al−(OR22 (V−2)
以下に、一般式(V−1)又は一般式(V−2)で表される金属アルコキシドの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
上記のなかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが特に好ましい。
Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物は、親水性組成物の全固形分に対して、0〜20質量%使用されることが好ましく、10〜15質量%使用されることがより好ましい。
〔硬化触媒〕
本発明の親水性組成物においては、親水性ポリマー、必要に応じて架橋剤を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機−無機複合体ゾル液が形成され、このゾル溶液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために硬化触媒を用いることが好ましい。触媒を使用することにより、親水性層皮膜形成するための乾燥温度を低く設定することが可能であり、抗菌剤やポリエステルフィルム上での熱変形を抑制できる。
本発明で用いることができる硬化触媒としては、前記架橋剤を加水分解、重縮合し、親水性ポリマーと結合を生起させる反応を促進する触媒が選択され、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、酸、あるいは塩基性化合物を水又はアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)を用いる。酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、前記の触媒の他に金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン又はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。
中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
硬化触媒は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは10〜15質量%の範囲で使用される。また、硬化触媒触媒は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
〔その他の添加剤〕
(界面活性剤)
本発明においては、前記親水性組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
本発明に用いられるフッ素系界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
界面活性剤は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0.001〜30質量%、更に好ましくは0.01〜20質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005604126
界面活性剤と前記一般式(I−a)で表される構造単位と前記一般式(I−b)で表される構造単位とを少なくとも有する親水性ポリマーを併用することでより高い親水性表面を形成することができる。十分にメカニズムは解明されていないが、これは塗膜が乾燥する過程で低分子量化合物である界面活性剤が塗膜表層にマイグレートする作用に伴いポリマーセグメント中の親水性セグメントが界面活性剤の親水性部位に引き寄せられることで高い親水性が得られたと推測する。
(酸化防止剤)
本発明の親水性フィルムの安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
(高分子化合物)
本発明の親水性フィルムの親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリエステルフィルムへの密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔親水性組成物の調製〕
親水性組成物の調製は、親水性ポリマー、適宜、架橋剤、硬化触媒、その他の添加剤を溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。硬化触媒をポリエステルフィルムに塗設する直前に混合することが好ましい。具体的には硬化触媒の混合直後〜1時間以内で塗設することが好ましい。
硬化触媒を混合し、長時間放置したのちに塗設すると親水性組成物の粘度があがり、塗布むら等の欠陥を生じることがある。
その他の成分も塗設直前に混合することが好ましいが混合後、長時間保存してもかまわない。
調製における反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により親水性ポリマー及び架橋剤の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
前記親水性組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、親水性組成物により親水性層を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性組成物)の調製は、ゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明において親水性組成物の調製に適用することができる。
このような親水性組成物を含む溶液を、ポリエステルフィルム上に被膜し、乾燥することで、親水性フィルムを得ることができる。
乾燥温度は樹脂が変形しない程度の温度であればよい。30℃〜200℃が好ましく、より好ましくは80℃〜180℃である。
乾燥温度が低いと十分な架橋反応が進まず塗膜強度が低い。温度が高いと塗膜のひび割れを生じやすく部分的に防曇性が不十分になる。
乾燥時間は5〜30秒間が好ましい。更に好ましくは10〜30秒間である。
乾燥時間が短いと乾燥不十分により塗膜強度が低下することがある。必要以上に乾燥時間を長くしすぎると生産性が低下する。
親水性組成物の固形分濃度は1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
親水性組成物は、公知の塗布方法で塗布することが可能であり、特に限定がなく、例えば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
親水性層の厚さは、30nm〜200nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜100nmである。厚みが30nm以上であれば十分な親水効果を発揮するので好ましい。また厚みが200nm以下であれば乾燥むら等の欠陥を生じにくいため好ましい。厚みは親水性組成物の固形分濃度、バーコータのコイル径等で調整することができるほか公知の方法で可能である。
親水性層の表面の中心平均粗さRaは、1nm〜10nmであることが好ましい。
また、親水性層のTgは、塗膜強度の観点から、40℃〜150℃が好ましい。また、親水性層の弾性率は1GPa〜7GPaが好ましい。
なお、上記の親水性層の表面性状は、ポリエステルフィルムの表面粗さ、親水性層形成用塗布液組成物の粘度、親水性被膜の加熱温度、速度などを調節することによって制御できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
親水性層表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角で測定される。本発明における親水性層は、好ましくは表面の水滴接触角が40°以下であり、より好ましくは、30°以下であり、更に好ましくは20°以下である。
また、親水性層表面に、水を噴霧し、80℃で5秒間乾燥を100サイクル繰り返した後の親水性層表面の水滴接触角が15°以下であることが特に好ましい。
また、親水性層表面に霧吹きでまんべんなく水をふきつけたのち45℃の水蒸気に10秒間あてて、防曇試験(親水性層表面の曇り面積を測定し、該曇り面積が全体の80%以下であるかを判断)を行ったのち80℃1分間乾燥するサイクルを1サイクルとし、防曇試験において親水性層表面の曇り面積が80%以下になるまでのサイクル数(80%以下を維持できるサイクル数)を評価した場合、100サイクル以上が好ましく、150サイクル以上がより好ましく、200サイクル以上が更に好ましい。また、該サイクル試験後の水滴接触角は20°以下が好ましく、15°以下がより好ましい。
また、他にも、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、更に好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にある親水性層が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
〔ポリエステルフィルム〕
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナエチレンフタレート、ポリエステルイミド、ポリエーテルエステルなどからなるフィルムが挙げられる。中でも汎用性の面からポリエチレンテレフタレートが好ましい。特に二軸延伸させて得られるポリエステルフィルムが強度が高く好ましい。
ポリエステルフィルムの膜厚は25μm〜150μmが好ましい。
上記の厚み範囲であれば窓やガラス面への貼り付け施工性が優れるため好ましい。
[中間層]
ポリエステルフィルムと親水性層の間に一層以上の中間層を設けることができる。中間層としては、特に限定されないが、例えばポリエステルフィルムと親水性層の密着力を確保するためのプライマー層などがある。プライマー層としては親水性層との濡れ性のよいものであれば市販されている製品を用いても良い。中でも水性アクリル系のものが好ましい。また中間層には紫外線吸収剤などを含むことも好ましい。
またポリエステルフィルム表面を改質してもよい。改質方法としてはコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、アルカリ化成処理など公知の方法を用いることができる。
中間層は、加水分解性アルコキシシリル基を有する化合物を含有する組成物(中間層用組成物ともいう)を用いて形成されたものが好ましい。
中でもテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する組成物を用いて形成された中間層がより好ましく、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する組成物を用いて形成された中間層が更に好ましい。
中間層用組成物は、前記加水分解性アルコキシシリル基を有する化合物以外にも種々の成分を含有しても良い。例えば、硬化触媒、溶剤などが挙げられる。中でも硬化触媒、溶剤を含有することが好ましい。硬化触媒としては特に制限はなく、例えば親水性組成物に用いられる前記硬化触媒が挙げられるが、特にチタンアセチルアセトナートが好ましく、チタンアセチルアセトナートがより好ましい。硬化触媒は、前記加水分解性アルコキシシリル基1モルに対して、1〜2モル添加することが好ましく、1モル添加することがより好ましい。
溶剤としては特に制限がなく、例えば親水性組成物に用いられる前記溶剤が、特に蒸留水、エタノールなどが好ましい。
中間層用組成物の固形分濃度は好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは3〜5質量%である。
中間層用組成物は、公知の塗布方法で塗布することが可能であり、特に限定がなく、例えば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
中間層の厚さは30nm〜200nmが好ましい。30nm以上であればポリエステルフィルム表面に突起が存在する場合、該突起を埋めることが十分となり上塗り層がはじくなどの塗布欠陥がおきることが少ないため好ましい。200nm以下であれば乾燥ムラや硬化収縮による塗膜欠陥が起きることが少ないため好ましい。
〔親水性フィルム使用時の層構成〕
本発明の親水性フィルムを使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
[粘着層]
本発明の親水性フィルムの裏面に粘着層を付与することが好ましい。粘着層としては特に限定せず公知のものが用いられる。例えばポリエチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリル系などのビニル系共重合体。ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエステルなどの縮合系樹脂を用いたものが好ましい。粘着層のガラス転移温度は粘着のしやすさから−20℃〜20℃が好ましい。
中でも親水性層との密着性が優れるので縮合系樹脂を用いた粘着層が好ましい。特に好ましくはポリエステル系、ポリエーテル系樹脂である。
[接着層]
本発明の親水性フィルムを、別の基板上に貼り付けて使用する場合、基板の裏面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基板における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂及びこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類又は混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、更に好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
[離型層]
本発明の親水性フィルムが前記の接着層を有する場合には、更に離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤としては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
[その他の層]
親水性層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性フィルムを適切な基板へ貼り付けた後には剥がされる。
親水性フィルムは、窓ガラス等に適用(使用、貼り付け)する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性フィルムを各種用途に適用することができる。
本発明の親水性フィルムの用途としては、防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、太陽電池カバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レール、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニールハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ、雪国用屋根材、アンテナ、送電線、医療用診断装置の各部材、医療用のカテーテル、パソコンやテレビのディスプレイ、化粧品の容器、フィルター、自動車用アルミホイール、カメラのファインダー、浴室・洗面台などの鏡、住宅やビルの窓などの表面に貼着可能なフィルム等がある。
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、部とあるのは質量部を意味する。
[実施例1]
[親水性ポリマー合成例]
500ml三口フラスコにアクリルアミド56.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、エタノール140g、1−メトキシ−2−プロパノール140gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル2.3gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。アセトン2リットル中に投入し、析出した固体を沈殿させた。得られた固体をデカンテーションして採取した。
ついで30℃で乾燥質量が恒量に達するまで乾燥して溶媒を除去し式−1で表される親水性ポリマーを得た。得られたポリマーの乾燥質量は65.6gであった。得られたポリマーの分子量をGPC(ポリエチレンオキシド標準)により測定したところ質量平均分子量18800のポリマーであった。
アクリルアミドをアクリル酸に変更した以外は上記と同様の方法で式−2で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミドをビニルアルコールに変更した以外は上記と同様の方法で式−3で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−3−(メトキシシリル)プロピルに変更した以外は上記と同様の方法で式−4で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−3−(プロポキシシリル)プロピルに変更した以外は上記と同様の方法で式−5で表される親水性ポリマーを作製した。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−メチル−2−(エトキシシリル)プロピルに変更した以外は上記と同様の方法で式−6で表される親水性ポリマーを作製した。
Figure 0005604126
上記式−1〜式−9において、質量平均分子量(M.W.)はGPC測定による標準ポリスチレン換算値である。
中間層用組成物の調製
テトラメトキシシラン10質量部、チタンアセチルアセトナートを前記テトラメトキシシランのアルコキシシリル基のモル数と等モルを添加し蒸留水900質量部、エタノール1000質量部を加え、20℃で30分間攪拌し中間層用組成物を得た。
親水性組成物の調製、及び親水性層の形成
式−1の親水性ポリマー、チタンアセチルアセトナート、及びその他の成分を表1記載の量(質量%)で添加し、該親水性ポリマー、チタンアセチルアセトナート、及びその他の成分からなる混合物の固形分100質量部当たり、蒸留水900質量部、エタノール1000質量部を加え、20℃で30分間攪拌し親水性組成物を得た。
ついで表1記載のPETフィルム支持体表面に15w・min/mの処理量でコロナ処理したうえに前記中間層用組成物を膜厚100nmになるようにバーコーターのコイル径を調整して塗布し180℃5秒間乾燥し、更に該中間層上に前記親水性組成物を膜厚100nmになるようにバーコーターのコイル径を調整して塗布し180℃5秒間乾燥したのちフィルムを巻き取った。
得られたフィルムロールを80℃5時間サーモ処理し実施例1の親水性フィルム試料を作製した。
Figure 0005604126
親水性層及び中間層の膜厚はフィルム断面を走査型電子顕微鏡で観察することで確認した。
[実施例2〜13、比較例1〜4]
親水ポリマー、チタンアセチルアセトナート、その他の成分、中間層の有無、親水性層膜厚、及び中間層膜厚を表1記載のものにした以外は実施例1と同様に親水性フィルム試料を作製した。
なお親水性層及び中間層の膜厚は前記組成物の固形分濃度を調整して変更した。
[評価法]
・防曇持続性
親水性層表面に霧吹きでまんべんなく水をふきつけたのち45℃の水蒸気に10秒間あてて防曇試験を行ったのち80℃1分間乾燥するサイクルを1サイクルとし、防曇試験において親水性層表面の曇り面積が80%以下になるまでサイクル数を評価した(防曇サイクル試験)。なお評価は最大200サイクルまでとした。
・外観
また、上記の防曇サイクル試験後の親水性層表面の外観を以下のランクで目視評価した。
優秀:防曇サイクル試験前と変化なし
良好:防曇サイクル試験前に比べてやや透明度が低下しているが視認性あり
不良:透明度が低下し、視認性なし
・水滴接触角
協和界面科学(株)製 接触角計DropMaster500を用いて超純水を用いて親水性層表面の接触角を求めた。水滴接触角は初期と上記防曇サイクル試験後のものを測定した。
・耐擦り性
親水性層表面を蒸留水で湿らせた不織布(旭化成製BEMCOT)を面圧10gf/cm、ストローク30mmで5000回繰り返し擦り、目視にて表面にキズが確認できたものを不良、キズは確認できなかったが水に対する接触角が20°以上になったものを良好、水に対する接触角が20°未満かつキズが確認できなかったものを優秀とした。
・セルフクリーニング性
親水性層表面に油性マジック(ゼブラ社製マッキ−黒色)で直径30mmの円を描き50℃10分間乾燥したのち水道水を1L/分の流量で5分間流水しマジックインキの除去を以下のレベルで評価した。
優秀:全てのマジックインキが除去
良好:マジックインキの90%以上が除去
不良:マジックインキの90%未満が除去
評価結果は表2に示した。
Figure 0005604126
Figure 0005604126
防曇サイクル試験前の初期接触角は実施例、比較例ともに全て5°以下であった。
表1において、「PET」は2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚100μm)、「スノーテックスC」は日産化学製コロイダルシリカ(平均粒径10〜20nm)、「TMOS」はテトラメトキシシラン(和光純薬製試薬)、「MTMS」はメチルトリメトキシシラン(東京化成製試薬)である。

Claims (5)

  1. ポリエステルフィルム上に、親水性組成物を用いて形成された親水性層を有する親水性フィルムであって、該親水性組成物は、下記群から選ばれる少なくとも一種の極性基とアルコキシシリル基とを有する親水性ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有することを特徴とする親水性フィルム。
    極性基:−CONH 、−COOM、−OH
    (Mは、水素原子、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表す。)
    アルコキシシリル基:−Si−(OR) 3−n
    (Rは各々独立に、−CH 、−C 、または−C を表し、nは2または3を表す。)
  2. 前記ポリエステルフィルムと前記親水性層との間に、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびメチルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する組成物を用いて形成された中間層を有することを特徴とする請求項に記載の親水性フィルム。
  3. 前記親水性ポリマーの極性基が、−CONH、−COOH、および−OHから選ばれる少なくとも1種であり、且つ前記中間層が、テトラメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたことを特徴とする請求項に記載の親水性フィルム。
  4. 前記親水性層および中間層の膜厚が30nm〜200nmであることを特徴とする請求項またはに記載の親水性フィルム。
  5. 前記親水性層表面に、水を噴霧し、80℃で5秒間乾燥を100サイクル繰り返した後の親水性層表面の水滴接触角が15°以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の親水性フィルム。
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