JP2008279736A - 親水性部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)特定の構造を有する親水性ポリマー、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布ことにより形成された親水性膜を有し、且つ基板と親水性膜との間に下塗層を有することを特徴とする親水性部材。
【選択図】なし
Description
また、近年、モバイルの普及に伴い、ディスプレイが屋外で使用されることが多くなってきたが、外光が入射されるような環境下で使用されると、この入射光はディスプレイ表面において正反射され、反射光が表示光と混合して表示画像が見にくくなるなどの問題を引き起こす。このため、ディスプレイ表面に反射防止光学部材を配置することがよく行われている。
このような反射防止光学部材としては、例えば、透明基板の表面に金属酸化物などからなる高屈折率層と低屈折率層を積層したもの、透明基板の表面に無機や有機フッ化化合物などの低屈折率層を単層で形成したもの、或いは、透明プラスチックフィルム基板の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成し、凹凸状の表面により外光を乱反射させるものなどが知られている。これら反射防止光学部材表面も、前述の光学部材と同様に、人が使用することによって、指紋や皮脂などの汚れが付着しやすいが、汚れが付着した部分だけ高反射となり、汚れがより目立つという問題に加え、反射防止膜の表面には通常、微細な凹凸があり、汚れの除去が困難であるという問題もあった。
しかしながら、従来の方法で形成された防汚層は、防汚性が不十分であり、特に、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが拭き取りにくく、また、フッ素やケイ素などの表面エネルギーの低い材料による表面処理は経時的な防汚性能の低下が懸念され、このため、防汚性と耐久性の優れた防汚性部材の開発が望まれている。
基板上に(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有し、且つ基板と親水性膜との間に下塗層を有することを特徴とする親水性部材。
〔2〕
前記親水性部材が、さらに(C)触媒を含有する親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする〔1〕に記載の親水性部材。
〔3〕
前記(C)触媒が不揮発性の触媒である前記親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする〔2〕に記載の親水性部材。
〔4〕
前記下塗層が(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する組成物を基板上に塗布することにより形成された被膜であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔5〕
前記下塗層が、さらに不揮発性の触媒を含有する組成物を基板上に塗布することにより形成された被膜であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔6〕
前記親水性部材が、さらにコロイダルシリカを含有する前記親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔7〕
基板がガラス、プラスチック、金属、タイルのいずれかである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔8〕
基板上に下塗層を形成後、(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布して親水性膜を形成する工程を含むことを特徴とする親水性部材の製造方法。
本発明の親水性部材は、基板上に(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有し、且つ支持体と親水性膜との間に下塗層を有することを特徴とする。
また、親水性ポリマーの末端にシランカップリング基を導入することで、親水性層を形成した際、親水性ポリマーが表面上にグラフト状に偏在することでポリマー鎖の自由度が増大し、水との親和性が向上することで高い親水性を発現できる。
〔(A)一般式(I−a)、(I−b)で表される構造を有する親水性ポリマー〕
本発明で使用することのできる(A)特定親水性ポリマーは、下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する。
R1〜R5は、効果および入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
これらポリマー及びオリゴマーに用いられる構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、L2がポリマーまたはオリゴマーの場合は構成する元素数に制限は特になく、分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
Rdとしては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
Re、Rfとしては具体的には、Rdで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、または、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
Rgとしては具体的には、Ra〜Rcで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等の無機アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等の有機アニオンが挙げられる。
また、このようなAとしては具体的には、−CO2 −Na+、−CONH2、−SO3 −Na+、−SO2NH2、−PO3H2等が好ましい。
(A)特定親水性ポリマーの重合方法としては、下記構造単位(I−b)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記構造単位(I−a)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有する化合物、若しくは、ラジカル開始剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。即ち、後者においては、反応性基を有する化合物が連鎖移動能、若しくは、ラジカル開始能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端に反応性基が導入された(A)特定親水性ポリマーの如きポリマーを合成することができる。
この反応様式は特に制限されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下、或いは、高圧水銀灯の照射下において、バルク反応、溶液反応、懸濁反応などを行えばよい。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
本発明で用いられる(B)特定アルコキシドであるSi、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物は、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、(A)特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な被膜を形成する。
親水性膜を硬化させるために、架橋構造を形成するにあたっては、前記(A)特定親水性ポリマーと(B)特定アルコキシドを混合して基板表面に被覆し、加熱、乾燥する。
本発明において、(B)特定アルコキシドは、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
これらの中でも、ZがSiであるアルコキシドが被膜性の観点から好ましい。
(B)特定アルコキシドは、本発明の親水性膜形成用組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%の範囲で使用される。
特定アルコキシドは市販品が容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明における下塗層は(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する組成物を、加水分解、重縮合させたものであることが好ましく、さらに不揮発性の触媒を含有することが好ましい。不揮発性の触媒とは、後述の(C)触媒が不揮発性の触媒である場合に挙げられたものと同様のものが挙げられる。
不揮発性の触媒は、下塗層形成組成物中、不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。また、不揮発性の触媒は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ゼラチン類が好ましい。
上記の親水性樹脂及び水分散性ラテックスは、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水性樹脂や水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
前記親水性樹脂及び/又は水分散性ラテックスの、下塗り層中における総量としては、0.01〜20g/m2 が好ましく、0.1〜10g/m2 がより好ましい。
本発明の親水性膜形成用組成物においては、(A)特定親水性ポリマー、(B)特定アルコキシドなどの架橋成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機−無機複合体ゾル液が形成され、このゾル溶液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性膜が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、このような(C)触媒を含有させることが好ましい。
本発明に用いられる不揮発性の触媒としては、特に限定されないが、金属のキレート化合物やシランカップリング剤が挙げられる。
特に好ましい触媒は、金属のキレート化合物であり、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属のキレート化合物である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
金属のキレート化合物のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
〔界面活性剤〕
本発明においては、前記親水性膜形成用組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、本発明の親水性膜形成用組成物中に、不揮発性成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の親水性部材に抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、親水性塗布液組成物に抗菌剤を含有させることができる。親水性層の形成において、親水性、水溶性抗菌剤を含有させることが好ましい。親水性、水溶性抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた表面親水性部材が得られる。
抗菌剤としては、親水性部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤または、水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される細菌類や、かび,酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以後、BCMと表示〉、10,10'−オキシビスフェノキシアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、ZPTと表示〉、N,N−ジメチル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド〈ジクロルフルアニド〉、ポリ−(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ−2−2'−ビス(ベンズメチルアミド)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、p−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これら有機系の抗菌剤は、親水性、耐水性、昇華性、安全性等を考慮し、適宜選択して使用することができる。有機系抗菌剤中では、親水性、抗菌効果、コストの点から2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。
本発明には、アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタルから成る日鉱の「商品名ホロンキラービースセラ」が好ましい。
これらは蒸散性ではなく、また、親水層のポリマーや架橋剤成分と相互作用しやすく、安定に分子分散あるいは固体分散可能であり、親水層表面に抗菌剤が効果的に露出しやすく、かつ、水がかかっても溶出することなく、効果を長期間持続させることができ、人体に影響を及ぼすこともない。また、親水層や塗布液に対して安定に分散することができ、親水層や塗布液の劣化もおこらない。
上記抗菌剤の中では、抗菌効果が大きいことから、銀系無機抗菌剤と水溶性有機抗菌剤が最も好ましい。特にケイ酸塩系担体であるゼオライトに銀を担持させた銀ゼオライトやシリカゲルに銀を担持させた抗菌剤や2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TPN、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤としては、品川燃料の「ゼオミック」や富士シリシア化学の「シルウェル」や日本電子材料の「バクテノン」等がある。その他、銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させた東亜合成の「ノバロン」や触媒化成工業の「アトミーボール」やトリアジン系抗菌剤の「サンアイバックP」も好ましい。
本発明の親水性膜形成用組成物には、形成される親水性膜の硬化被膜強度向上及び親水性向上のために無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が、好ましくは5nm〜10μm、より好ましくは0.5〜3μmであるのがよい。上記範囲であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、親水性に優れる膜を形成することができる。上述したような無機微粒子はコロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
本発明においては、親水性部材の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、親水性膜形成用組成物中に、不揮発成分に対して、0.5〜15質量%であることが好ましい。
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性膜形成用組成物中に、不揮発成分に対して、0.1〜8質量%であることが好ましい。
本発明の親水性部材の親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性部材形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性膜形成用組成物中に、不揮発成分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
さらにこの他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、親水性膜形成用組成物中に、不揮発成分に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。
上記ジルコニウム化合物は、本発明の親水性膜形成用組成物中に、不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。
親水性膜形成用組成物の調製は、(A)特定親水性ポリマー及び(B)特定アルコキシド、更に好ましくは(C)触媒をエタノールなどの溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
このような本発明の親水性膜形成用組成物を含む溶液を、適切な基板上に被膜し、乾燥することで、本発明の親水性部材を得ることができる。即ち、本発明の親水性部材は、基板上に、前記本発明の親水性膜形成用組成物を被膜し、加熱、乾燥することにより形成された親水性膜を有するものである。
親水性膜の形成において、親水性膜形成用組成物を含む溶液を被膜した後の加熱、乾燥条件としては、高密度の架橋構造を効率よく形成するといった観点からは、50〜200℃の温度範囲において、2分〜1時間程度行うことが好ましく、80〜160℃の温度範囲で、5〜30分間乾燥することがより好ましい。また、加熱手段としては、公知の手段、例えば、温度調整機能を有する乾燥機などを用いることが好ましい。
〔下塗層組成物の調液〕
下塗層組成物についても、上記親水性膜形成用組成物同様の方法により調製可能である。
本発明に用いられる基板は、特に限定されないが、ガラス、プラスチック、金属、タイル、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、皮革、それらの組合せ、それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。特に好ましい基板は、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、またはタイル基板である。
ガラス板としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ナトリウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属性酸化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化リチウム、フッ化トリウム等の金属ハロゲン化物;などで形成した無機化合物層を備えたガラス板を挙げることができる。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。また素板ガラスのまま、前記親水層を塗設できるが、必要に応じ、親水層の密着性を向上させる目的で、片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
本発明の親水性部材を、防汚性及び/または防曇性効果の発現を期待して使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
1)接着層
本発明の親水性部材を、別の基板上に貼り付けて使用する場合、基板の裏面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基板における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂およびこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類または混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、さらに好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237 に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
本発明の親水性部材が前記の接着層を有する場合には、さらに離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤しては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
親水性層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性部材を適切な基板へ貼り付けた後には剥がされる。
本発明の親水層を有する構造体は、シート状、ロール状あるいはリボン状の形態で供給されてもよく、適切な基板に貼り付けるために、あらかじめカットされたもとして供給することもできる。
また、下塗り層の厚さは0.01μm〜100μmが好ましく、0.02μm〜80μmがさらに好ましく、0.05μm〜50μmが最も好ましい。
透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性被膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
本発明の親水性部材の製造方法は、基板上に下塗層を形成後、(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布して親水性膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法には上述した本発明の親水性膜形成用組成物を用いることが好ましい。
塗布の方法は公知の方法を用いることが可能であり、特に限定がなく、例えばスプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、フィルムアプリケーター法、スクリーン印刷法、バーコーター法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が適用できる。
ガラスとしては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスなどの何れのガラスを使用しても良い。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。
防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;その他建材用ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラス、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
防汚効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、外壁や屋根のような建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
看板、交通標識、防音壁、ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、壁間や硝子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レール、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニールハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等を含む。
雪国用屋根材、アンテナ、送電線等への適用も可能であり、その際は、着雪防止性にも優れた特性が得られる。
水等の速乾性効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、外壁や屋根のような建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
看板、交通標識、防音壁、ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、壁間や硝子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レール、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニールハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等を含む。またこれらの用途に使用される製品を製造する工程において乾燥工程を有する場合は乾燥時間が短縮でき生産性が向上する効果も期待できる。
(特定親水性ポリマー(I−1)の合成)
1.親水性ポリマー(1)の合成
500ml三口フラスコにアクリルアミド50g、3−メルカプトプロピオン酸1.8g、及びジメチルスルホキシド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.5gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。メタノール2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する親水性ポリマー(1)を得た。乾燥後の重量は50.4gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量3,400のポリマーであった。
300ml三口フラスコに、前記合成で得られた親水性ポリマー(1)30g、3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン2.36g、及び蒸留水150gを入れ、室温で3時間攪拌した。それをメタノール1.5リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する特定親水性ポリマー(1−1)を得た。1H−NMRによりトリメトキシシリル基(Si−OCH3;3.5ppm)が末端に導入されたことを確認した。
以後、実施例にて使用した特定親水性ポリマーは上記と同様の手法により合成し、評価に使用した。
〔親水性ゾルゲル液(1)〕
エチルアルコール200g、精製水100g中に、(B)テトラメトキシシラン8gと(A)特定親水性ポリマー(I−1)5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
〔親水性膜形成用組成物(1)〕
上記親水性ゾルゲル液(1)500gにコロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックC)100g、下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液30g、精製水450gを混合し、塗布液とした。
エチルアルコール200g、不揮発性の触媒としてアセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン8gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
〔下塗層用組成物〕
上記下塗層用ゾルゲル液500gにコロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックC)100g、下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液30g、精製水450gを混合し、塗布液とした。
〔塗布方法〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、該板ガラスの表面を10分間UV/O3処理により親水化した後、下塗層用組成物をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、100nmの膜厚を有する下塗層を形成した。室温で十分冷却した後に、下塗層上に親水性膜形成用組成物(1)をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、100nmの膜厚を有する親水性層を形成した。
(A)特定親水性ポリマー(I−1)を下記のものに変更した以外は実施例1と同様に親水性部材を作成した。
実施例2:特定親水性ポリマー(I−6)
実施例3:特定親水性ポリマー(I−21)
実施例4:特定親水性ポリマー(I−46)
〔親水性ゾルゲル液(2)〕
エチルアルコール200g、(C)触媒として1N塩酸水溶液1.5g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン8gと特定親水性ポリマー(1)5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
〔親水性膜形成用組成物(2)〕
上記親水性ゾルゲル液(2)500gにコロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックC)100g、上記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液30g、精製水450gを混合し、塗布液とした。
〔塗布方法〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、該板ガラスの表面を10分間UV/O3処理により親水化した後、下塗層用組成物をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、100nmの膜厚を有する下塗層を形成した。室温で十分冷却した後に、下塗層上に親水性膜形成用組成物(2)をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、100nmの膜厚を有する親水性層を形成した。
(C)触媒を下記のものに変更した以外は実施例5と同様の親水性部材を作成した。 実施例6:チタンアセチルアセトナート20g
アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gを親水性ゾルゲル液(2)に加えて調製した。
実施例7:エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)20g
実施例8:ジルコニウムキレート化合物20g 撹拌器を備えた反応機に、テトラブトキシジルコニウム50g、アセト酢酸エチル20gを加え、室温で1時間撹拌してジルコニウムキレート化合物を得た。
(B)特定アルコキシドを下記のものに変更した以外は実施例6と同様の親水性部材を作成した。
実施例9:トリエトキシアルミネート
実施例10:テトラエトキシジルコネート
実施例11:テトラエトキシチタネート
(A)特定親水性ポリマーを下記のものに変更した以外は実施例6と同様に親水性部材を作成した。
実施例12:特定親水性ポリマー(I−6)
実施例13:特定親水性ポリマー(I−21)
実施例14:特定親水性ポリマー(I−46)
基板を下記のものに変更した以外は実施例6と同様に親水性部材を作成した。
実施例15:UVオゾン洗浄した市販の鏡
実施例16:表面をグロー処理により親水化したポリエチレンレテフタレート基板(厚み50μm)
塗布方法を下記のとおりに変更した以外は実施例6と同様に親水性部材を作成した。
実施例17:親水性膜形成用組成物をバー塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、1.0μmの膜厚を有する親水性層を形成した。
実施例18:親水性膜形成用組成物をバー塗布し、乾燥する前にスピナーで200rpm300秒回転させて製膜し、15μmの膜厚を有する親水性層を形成した。
実施例6の親水性膜形成用組成物に下記化合物10gを添加した以外は実施例6と同様に親水性部材を作成した。
実施例19:オキシ塩化ジルコニウム
実施例20:テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
〔親水性膜形成用組成物(3)〕
精製水150g中に、(B)テトラメトキシシラン8gと(A)特定親水性ポリマー(1)5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。前期記親水性ゾルゲル液(1)250gにコロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックC)50g、前記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液15g、精製水225gを混合し、塗布液とした。
〔触媒液〕
エチルアルコール200g、精製水2g中に、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gを混合し、室温で1時間撹拌して、調製した。
〔塗布方法〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、該板ガラスの表面を10分間UV/O3処理により親水化した後、親水性膜形成用組成物(3)150gと触媒液30g混合し、室温で5分間撹拌した溶液をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、100nmの膜厚を有する親水性層を形成した。
前記実施例6において、本発明の特定親水性ポリマー(1)に代えて、下記構造を有する本発明の範囲外の下記構造を有する比較親水性ポリマー(i)を用いた他は、同様にして比較例1の親水性部材を得た。
(比較例2)
前記実施例6において、下塗層用組成物を基板上に塗布しない他は、同様にして比較例2の親水性部材を得た。
前記実施例で用いた基板表面に、本発明に係る親水性膜に代えて、光触媒フィルム〔東洋陶器(株)製、ハイドロテクト〕を貼付して親水性表面を形成し、比較例3の表面親水性部材を得た。
〔表面自由エネルギー〕
親水性層表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角(協和界面科学(株)製、DropMaster500)で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10°以下、さらには5°以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギー(mN/m)を測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
本発明の親水性被膜を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に使用する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性被膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。
透明性は、分光光度計(日立分光光度計U3000)で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率(%)を測定し評価した。
得られた親水性部材表面を不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で200gの負荷をかけ250往復擦り、その前後の見た目の変化を目視により観察する。
○:擦り前後の表面に傷なし
△:1本程度傷あり
×:傷が多数存在
0.1mm径サファイア針に5gから始めて5gきざみに加重をかけて親水層表面を走査し、傷つきが発生した加重(g)を評価した(新東科学株式会社製引っかき強度試験機Type18Sで測定)。加重が大きくても傷つきがないほうが耐久性良好である。
上記で得られた親水性部材に、昼間、室内の蛍光灯下で、1分間水蒸気を当て、水蒸気から離した後、25℃、RH10%の環境下に配置し、前記と同様の照射条件の蛍光灯下において曇り具合及びその変化を下記基準により三段階で官能評価した。
○:曇りが観察されない
△:曇っているが、10秒以内に回復し、曇りが見られなくなる
×:曇っており、曇りが10秒経過しても回復しない
上記で得られた親水性部材表面に油性インク(三菱鉛筆株式会社製油性マーカー)で線を書き、水を掛け続け、流れ落ちるかを三段階で感能評価した。
○:インクが1分以内に取れる
△:1分を経過した後インクが取れる
×:2分を超え10分間にわたり実施してもインクがとれない
各評価結果は下記表1〜表3に示す。
上記で得られた親水性部材に約1ccの純水を滴下し、25℃50%RH環境下で静置させ、水滴が乾くまでの時間(分)を5分おきに目視観察して測定した。
Claims (8)
- 基板上に(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有し、且つ基板と親水性膜との間に下塗層を有することを特徴とする親水性部材。
- 前記親水性部材が、さらに(C)触媒を含有する親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする請求項1に記載の親水性部材。
- 前記(C)触媒が不揮発性の触媒である前記親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする請求項2に記載の親水性部材。
- 前記下塗層が(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する組成物を基板上に塗布することにより形成された被膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親水性部材。
- 前記下塗層が、さらに不揮発性の触媒を含有する組成物を基板上に塗布することにより形成された被膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の親水性部材。
- 前記親水性部材が、さらにコロイダルシリカを含有する前記親水性膜形成用組成物を塗布することにより形成された親水性膜を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の親水性部材。
- 基板がガラス、プラスチック、金属、タイルのいずれかである請求項1〜6のいずれかに記載の親水性部材。
- 基板上に下塗層を形成後、(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される部分構造を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性膜形成用組成物を塗布して親水性膜を形成する工程を含むことを特徴とする親水性部材の製造方法。
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