JP2001253019A - 耐擦傷性に優れた高分子樹脂積層体およびその成形物 - Google Patents

耐擦傷性に優れた高分子樹脂積層体およびその成形物

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JP2001253019A
JP2001253019A JP2000068705A JP2000068705A JP2001253019A JP 2001253019 A JP2001253019 A JP 2001253019A JP 2000068705 A JP2000068705 A JP 2000068705A JP 2000068705 A JP2000068705 A JP 2000068705A JP 2001253019 A JP2001253019 A JP 2001253019A
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Tatsuichiro Kin
辰一郎 金
Satoshi Omori
智 大森
Michinao Iwai
理直 岩井
Hiromasa Minematsu
宏昌 峯松
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスと同等以上の優れた耐擦傷性を有する
高分子樹脂積層体を得る。 【解決手段】 高分子樹脂基板(C)と、テトラメトキ
シシランおよび/またはテトラエトキシシランの加水分
解縮合物を含む組成物からなる層(A層)と、A層に接
する層(B層)とを含む積層体であって、B層の荷重
4.9N、1000サイクルのテーバー摩耗試験におけ
るヘーズの増加が10%以下であり、A層とB層との間
の層間密着力が200N/m以上である高分子樹脂積層
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、表面の耐摩耗性
が非常に優れた高分子樹脂積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂は透明性に
優れ、軽量で耐衝撃性が高いことから、ガラス代替の窓
材・構造材として、広く応用展開されてきた。しかしな
がらポリカーボネートは硬度・耐摩耗性・耐侯性・耐薬
品性の観点でガラスに大幅に劣るという欠点があるた
め、その改善の手段としてポリカーボネート表面にハー
ドコート性を有するコーティング層(以下ハードコート
層と記す)を積層する方法(例えば特開昭48−819
28、特開昭52−138565、特開昭53−138
476)等が従来より提案されている。
【0003】これらのハードコート層としては、主に紫
外線や電子線等の照射により架橋が進行する多官能アク
リレートによるハードコート層や、主に熱的に架橋が進
行する珪素アルコキシドの加水分解縮合物によるハード
コート層が広く用いられており、特に後者の珪素アルコ
キシドの加水分解縮合物によるハードコート層は一般的
に前記の諸特性に最も高いポテンシャルを有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
珪素アルコキシドの加水分解縮合物によるハードコート
層をコーティングした高分子樹脂積層体は、ガラスに対
比すると耐擦傷性に劣る場合が多い。
【0005】例えば比較例1に例示したように、ガラス
板と、メチルトリメトキシシランの加水分解縮合物と酸
化珪素の超微粒子とからなるハードコート層を積層した
ポリカーボネート基板の表面の耐擦傷性についてテーバ
ー磨耗試験(東洋精機社製テーバー磨耗試験装置513
0タイプ、磨耗輪CS−10F、垂直荷重4.9N、1
000回転)におけるヘーズ値上昇(△H)の大小で比
較すると、ガラス表面が約1.0%であるのに対し、ハ
ードコート層表面では約2.8%と劣っていることがわ
かる。
【0006】こうした状況に鑑み本願発明は、高分子樹
脂基板上に積層した場合にガラス板同等の耐擦傷性の得
られるハードコート層を得ることを目的としてなされた
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願発明は次
の通りである。 1. 高分子樹脂基板(C)と、膜厚が0.05〜0.
3μmで主としてテトラメトキシシランおよび/または
テトラエトキシシランの加水分解縮合物からなるか、あ
るいは該加水分解縮合物(a1)と、平均粒径が3〜3
0nmの超微粒子(a2)とが、重量比(a1/a2)
で1/1以上の割合いで混合されてなる組成物から主と
してなる、層(A層)と、A層に接する膜厚が1〜20
μmの層(B層)と、を含む積層体であって、A層が当
該積層体の最外面の内の少なくとも1面を形成するよう
に積層されており、B層の荷重4.9N、1000サイ
クルのテーバー摩耗試験におけるヘーズの増加が10%
以下であり、A層とB層との間の層間密着力が200N
/m以上である高分子樹脂積層体。
【0008】2. B層が、下記一般式(1)で示され
る珪素アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物
を30重量%以上含むことを特徴とする上記1に記載の
高分子樹脂積層体。 R1−Si(−OR23 ・・・(1) (式中、R1はエポキシ基、グリシジル基、アミノ基、
ビニル基、アクリル基、メタクリル基、クロル基の群の
内の少なくとも一つを含む有機基、R2はメトキシ基お
よび/またはエトキシ基)
【0009】3. 超微粒子が主として、酸化珪素、酸
化アルミニウム、酸化セリウムの超微粒子の群から選ば
れる少なくとも一つであることを特徴とする上記1また
は2に記載の高分子樹脂積層体。
【0010】4. 高分子樹脂基板(C)がポリカーボ
ネートの成形基板であることを特徴とする上記1〜3の
いずれかに記載の高分子樹脂積層体。
【0011】5. 積層体のヘーズ値が5%以下である
ことを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の高分子
樹脂積層体。
【0012】6. 積層体の可視波長域の全光線透過率
が30%以上であることを特徴とする上記1〜5のいず
れかに記載の高分子樹脂積層体。
【0013】7. 樹脂の上に、上記1〜6のいずれか
の高分子樹脂積層体を、A層の上面を外側にして積層し
てなる成形物。
【0014】8. 成形物が、上記1〜6のいずれかに
記載の高分子樹脂積層体であることを特徴とする成形
物。
【0015】9. 成形物が自動車窓もしくは建材用窓
であることを特徴とする上記7または8に記載の成形
物。
【0016】A層において「主としてなる」とは、該当
成分、すなわち、テトラメトキシシランおよび/または
テトラエトキシシランの加水分解縮合物、あるいは、該
加水分解縮合物(a1)と平均粒径が3〜30nmの超
微粒子(a2)と、が固形分全体の70重量%以上、よ
り好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量
%以上を占めていることを意味する。
【0017】A層に主として用いるテトラメトキシシラ
ンおよび/またはテトラエトキシシランは珪素原子に直
接4個のアルコキシ基が結合した4官能性の珪素アルコ
キシドであり、かつこのアルコキシ基が反応性の高いメ
トキシ基もしくはエトキシ基であることから、熱的に硬
化を進行させると極めて高い架橋密度を有すようにな
り、市販の微小押し込み硬度試験を用いて硬度試験を行
うとガラス板と同等以上の高い硬度の層が得られる。
【0018】なお、これらに高硬度の超微粒子を適量分
散させると層の硬度が更に高まる場合がある。高硬度の
超微粒子としては、例えば酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、酸化セリウム等が好ましく挙げられる。なお、これ
らの超微粒子は一種のみを用いても良いし、二種以上を
混合して用いても良い。また超微粒子は適当な表面処理
(アルコキシシランや界面活性剤等による微粒子表面の
被覆等)が施されていると好ましい場合が多い。
【0019】超微粒子の粒径は、層内での分散性を高
め、層の透明性を維持する観点から平均粒径が3〜30
nm程度のものが好ましい。なお、本願明細書において
「粒径」とは「直径」のことを意味する。
【0020】また超微粒子の混合量に関しては、微粒子
が多すぎると珪素アルコキシドおよび/またはその加水
分解縮合物内から剥がれ出てしまう恐れがあるので、前
記のa1とa2との間の重量比(a1/a2)は、1/
1以上の割合で混合することが好ましく、更に好ましく
は3/2以上である。微粒子を使用しない場合はこの値
は∞/1(無限大)となる。
【0021】A層には、副成分としてテトラメトキシシ
ランとテトラエトキシシラン以外の珪素アルコキシド、
および/またはジルコニウムアルコキシド、アルミニウ
ムアルコキシド等の金属アルコキシド、および/または
その加水分解縮合物、および/または硬化触媒、レベリ
ング剤等の各種添加物を30重量%以下の割合で混合す
ることが可能である。
【0022】なお、副成分の混合割合は、20重量%以
下であることがより好ましく、10重量%以下であるこ
とが更に好ましい。
【0023】副成分用として好ましく使用できる珪素ア
ルコキシドは、テトラメトキシシランとテトラエトキシ
シランとを除く、一珪素原子に2つ以上、より好ましく
は3つ以上のメトキシ基および/またはエトキシ基が結
合した珪素アルコキシドが挙げられる。
【0024】このような珪素アルコキシドとしては、例
えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、メタア
クリロイルプロピルトリメトキシシラン等が好ましく挙
げられる。
【0025】また金属アルコキシドとしては、例えばト
リイソプロポキシアルミニウム、モノsec−ブトキシ
ジイソプロポキシアルミニウム、ジルコニウムイソプロ
ポキシド等が好ましく挙げられる。
【0026】しかしながらこのようなA層は硬化収縮が
非常に大きいという問題を有しており、比較例5に示す
ように膜厚がおよそ1μm以上の場合には、多くの場
合、層に多数のクラックが生じてしまう。
【0027】層のクラックの発生を抑制するにはA層の
膜厚を0.3μm以下にすることが好ましく、またA層
の高い硬度を反映させるためにはA層の膜厚は0.05
μm以上であることが好ましい。
【0028】ところが、前述のようにA層はガラスと同
等以上の高い硬度を有する層であっても、A層を0.0
5〜0.3μmの膜厚範囲として、直接に、または通常
の方式に従いプライマーを介して高分子樹脂基板に積層
した場合には、比較例2に示したようにA層の高い硬度
にも関わらず、高い耐擦傷性を得ることはできないここ
とが判明した。
【0029】しかしながら本願発明者らは、実施例1も
しくは2に示すようにA層に接して本願発明に係る前記
B層を積層させた構造とした場合には、該積層体表面は
ガラス板とほぼ同等もしくは同等以上の高い耐擦傷性を
有することを見い出した。
【0030】ここでB層の膜厚は1〜20μmであるこ
とが好ましく、より好ましくは2〜15μm、最も好ま
しくは3〜10μmである。膜厚が1μm未満では前記
のような耐擦傷性の向上効果が実現しにくくなり、20
μm以上を超える場合には層にクラックが発生する場合
があり好ましくない。
【0031】またA層とB層との層間密着力は後述の1
80度剥離試験法において少なくとも200N/m以上
であることが好ましく、より好ましくは400N/m以
上である。A層とB層との層間密着力が不十分な場合に
は、比較例3に示すように、A層の上面のテーバー磨耗
試験においてA層が部分的もしくは全体的に剥離してし
まい、A層の上面の耐摩耗性は高いものにはならない。
【0032】またB層は荷重4.9N、1000サイク
ルのテーバー磨耗試験でのヘーズ値の増加が10%以下
であることが好ましい。
【0033】ヘーズ値の増加が10%以上となる場合、
すなわちB層の耐摩耗性が不十分な場合には、比較例4
に示すように、A層の上面の耐摩耗性は高いものとはな
らない。
【0034】なお、B層の、荷重4.9N、1000サ
イクルのテーバー摩耗性は、B層を1mm厚のポリカー
ボネート板(例えば帝人化成株式会社製「パンライトP
C−1151」)上に5μmの膜厚で積層した後、この
層の表面について測定したものである。
【0035】A層との密着性を高める上で、B層は一般
式(1)で示される珪素アルコキシドおよび/またはそ
の加水分解縮合物を少なくとも30重量%以上含んでい
ることが好ましく、50重量%以上の割合で含んでいる
ことがさらに好ましい。 R1−Si(−OR23 ・・・(1) (式中、R1はエポキシ基、グリシジル基、アミノ基、
ビニル基、アクリル基、メタクリル基、クロル基の群の
内の少なくとも一つを含む有機基、R2はメトキシ基お
よび/またはエトキシ基である。)
【0036】なお、これらの珪素アルコキシドの加水分
解縮合物は2種以上を混合して用いることも好ましく行
われる。特にエポキシ基を有する珪素アルコキシドの加
水分解縮合物とアミノ基を有する珪素アルコキシドの加
水分解縮合物とを重量比で10:1〜1:1の範囲で混
合した組成物を用いた層は、A層との優れた密着性と、
高い耐摩耗性を容易に得ることができるので特に好まし
い。
【0037】一般式(1)で示される珪素アルコキシド
の具体例としては、例えばγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、メタア
クリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】B層を形成する組成物中には、B層の耐摩
耗性の向上やA層との密着性の向上等の目的として、一
般式(1)の珪素アルコキシドおよび/またはその加水
分解縮合物以外の他種の珪素アルコキシドおよび/また
はその加水分解縮合物や、珪素以外の元素のアルコキシ
ドおよび/またはその加水分解縮合物、各種の超微粒
子、および各種の多官能アクリレートもしくはメタクリ
レート、その他の添加物を混合することができる。
【0039】他種の珪素アルコキシドとしては、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が例示され
る。
【0040】また珪素以外の元素のアルコキシドとして
は例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のア
ルコキシドが好ましく挙げられ、より具体的には例え
ば、トリイソプロポキシアルミニウム、モノsec−ブ
トキシジイソプロポキシアルミニウム、ジルコニウムイ
ソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド等が好ま
しく挙げられる。
【0041】なお、高分子樹脂基板上にB層を積層する
にあたり、必要に応じて基板上にまず、B層の密着性を
向上する機能を有するプライマー層を積層することが好
ましい場合がある。プライマー層としては、メタクリル
酸エステルの単重合体や共重合体、およびポリメチルメ
タクリレートに対して10重量%程度アルコキシシラン
成分を共重合した組成物等が好ましく用いられる。
【0042】これらA層、B層およびプライマー層等の
塗膜は、各層を形成する組成物を必要に応じて各種の溶
剤に溶解もしくは希釈した後に、高分子樹脂基板上にコ
ーティングし、通常基板のガラス転移温度(Tg)の2
0℃以下の温度で加熱することによって層を乾燥、硬化
させる。
【0043】コーティング方法としては、スピンコート
法、(ドクター)ナイフコート法、グラビヤコート法、
マイクログラビヤコート法、(マイヤー)バーコート
法、リバースロールコート法、ダイコート法、スプレー
コート法等の各種の方法を用いることができる。
【0044】これらの層が形成される高分子樹脂による
成形基板としては、特に限定はないが、例えばポリカー
ボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルスル
フォン、各種非晶性ポリオレフィン(例えば日本ゼオン
社の「ゼオネックス」、日本合成ゴム社の「アート
ン」)等、およびこれらの樹脂と他種成分との共重合
体、等による成形物、特にシート状もしくはフィルム状
の形状の成形物が好適である。
【0045】また、これらの高分子樹脂基板とB層、も
しくは高分子基板とプライマー層との間に挟持して、適
当な層を積層することも可能である。
【0046】このような層としては、例えば、厚みが5
0〜300μmの鉛筆硬度が3H以上の活性光線硬化層
が好ましい。
【0047】すなわち高分子樹脂基板として例えばポリ
カーボネートの成形基板を用い、上記の活性光線硬化層
を積層せずに、ポリカーボネートの成形基板、B層、A
層の順に積層した場合の積層体(ただし、ポリカーボネ
ートの成形基板とB層との間にプライマー層が存在する
場合を含む)の鉛筆硬度は通常FないしHであるが、上
記の活性光線硬化層を加えて、ポリカーボネートの成形
基板、活性光線硬化層、B層、A層の順に積層した場合
(ただし、ポリカーボネートの成形基板と活性光線硬化
層との間および/または活性光線硬化層とB層との間に
プライマー層が存在する場合を含む)には積層体の鉛筆
硬度は4H以上に向上し、耐摩耗性と鉛筆硬度の双方に
優れたハードコート積層体を得ることができる場合があ
る。
【0048】なお、本願発明において、活性光線硬化層
の鉛筆硬度とは、活性光線硬化層を2mm厚みの石英板
上に50〜300μmの膜厚で積層硬化した後、それら
の層の表面について測定したものである。上記膜厚範囲
内であれば得られるデータに差異はない。
【0049】なお、この測定を行う際、活性光線硬化層
と石英板との間の密着性は良好であることが好ましく、
少なくとも日本工業規格K5400記載の碁盤目テープ
法試験で100/100であることが好ましい。
【0050】このため、プライマー層を活性光線硬化層
と石英板との間に挟持して設けることが好ましい。これ
らのプライマー層としては、例えばポリメチルメタクリ
レートや、メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートとの共重合物、メチルメタクリレート
とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの
共重合物による層等が好ましく例示される。
【0051】なお、このプライマー層の厚みは鉛筆硬度
の測定結果への影響を防ぐ観点から1〜3μmの範囲と
することが好ましい。
【0052】活性光線硬化層としては、例えばジシクロ
ペンタニルジアクリレート(以下DCPAと記す)およ
び/またはジシクロペンタニルジメタクリレート(以下
DCPと記す)が不揮発成分全体の50重量%以上を占
める前駆材料を硬化してなる層が好ましい。なお、本願
発明で「硬化層を形成するための前駆材料」とは、「硬
化層を形成するための硬化前の材料であって、場合によ
ってはそれらの硬化前の材料を溶媒に溶解、分散させた
もの」を意味する。
【0053】上記の層は、硬化時収縮が小さいために5
0μm以上の膜厚に形成しても層にクラック等を生じ
ず、かつ硬化層の表面硬度が高いという特徴を有する。
【0054】またDCPAおよび/またはDCPを主成
分とし、他の成分(以下副成分とも言う)を混合した材
料を用いる場合には、前記の特徴を維持する観点から、
材料の不揮発成分の全体の少なくとも50重量%以上、
より好ましくは70重量%以上をDCPAおよび/また
はDCPが占めていることが好ましい。
【0055】副成分としては、DCPA、DCP以外の
各種(メタ)アクリレートや、ビニル基やアリル基を有
する化合物、珪素アルコキシドを始めとする各種のアル
コキシドおよび/またはその加水分解縮合物、平均粒径
(直径)が3〜30nmの超微粒子、光重合開始剤等の
硬化剤もしくは硬化触媒、光重合開始助剤(増感剤)、
レベリング剤、光吸収剤、光安定剤(酸化防止剤)、消
泡剤、増粘剤等が必要に応じて混合される。
【0056】これらの副成分は活性光線硬化層の更なる
硬度の上昇や、基材およびハードコート層との密着性の
向上、耐候性の向上、表面性の改善等の各種の機能を付
与する目的で混合される。
【0057】副成分としてDCPA、DCP以外の(メ
タ)アクリレートを混合する場合、これらの成分が活性
光線硬化層(A)の不揮発成分全体の50重量%以下、
より好ましくは30重量%以下の割合となるように混合
することが好ましい。
【0058】50重量%を超えると主成分DCPAおよ
び/またはDCPによる硬化層の特徴である低硬化収縮
性、高硬度の性質のいずれかが失われていく場合が多
く、好ましくない。
【0059】前記の副成分として混合可能な(メタ)ア
クリレートについては特に大きな限定はないが、例えば
ポリオールポリ(メタ)アクリレート、変性ポリオール
(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレート、ウ
レタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミン
アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートや、モノ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】具体的には例えば、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレー
ト、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレー
ト、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリ
トールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート、イソシアヌール環を含む多官能アク
リレート(官能基数4〜15程度)、アクリロイルモル
フォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が好適
に挙げられる。
【0061】またこれらのうちでも特に分子内に3個以
上のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を
有する多官能(メタ)アクリレートは、適当な割合で混
合した場合に活性光線硬化層の硬度を更に高める機能を
果たす。
【0062】また前記に例示したイソボルニル(メタ)
アクリレートは、高分子樹脂基板との密着性があまり良
くないので高い割合での混合は難しいが、硬化収縮率が
非常に低いという特徴を有するので、主に硬化層の内部
応力を低減する目的のために必要に応じて適量好ましく
混合される。
【0063】なお、前記のビニル基もしくはアリル基を
有する化合物は、特に活性光線硬化層を電子線照射によ
って硬化させる場合に好適に用いられる。これらの例と
しては、例えばジエチレングリコールアリルカーボネー
ト等が好ましく挙げられる。
【0064】また各種のアルコキシドおよび/またはそ
の加水分解縮合物(珪素、ジルコニウム、チタン、ボロ
ン等)を副成分として混合する場合には、特に分子内に
アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル
基が結合されたアルコキシドが特に好ましく用いられ
る。これらの例としては、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン等が好ましく挙げられる。
【0065】また層の硬度を更に高める目的で、平均粒
径が3〜30nmの超微粒子を副成分として混合するこ
とも好ましく行われる。このような超微粒子としては例
えば酸化珪素、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウ
ム、酸化錫等の無機酸化物による超微粒子や、メチルメ
タクリレートやジビニルベンゼンを酸やイミドにより架
橋した有機架橋微粒子による超微粒子等が好適である。
【0066】活性光線硬化層は、前記の材料を必要に応
じて各種の溶剤で希釈した後に基板上にコーティング
し、電子線、紫外線(可視光を含んでいても良い)等の
活性光線を照射することによって材料の硬化を進行さ
せ、形成することができる。
【0067】ここで電子線硬化法は一般に電子の加速電
圧と硬化層の密度とによって浸入深さが決まり、硬化層
自身の光吸収(主に紫外域)の影響を受けない特徴を有
しているので、本願発明のように活性光線硬化層の厚み
が50μm以上と厚い場合に有効な硬化方法である。
【0068】また、電子線硬化法は紫外線の吸収波長領
域を利用しないため、高分子樹脂積層体の耐候性(例え
ば紫外線老化性)を向上させる目的で硬化層内に紫外線
吸収剤を混合する場合等に特に有効な硬化方法となる。
【0069】紫外線硬化を行う場合には、光重合開始剤
を副成分として適量添加することが好ましく、また硬化
反応の効率を向上する目的で各種の増感剤も必要に応じ
て適量添加される。
【0070】また電子線硬化、紫外線硬化のいずれの方
法においても、酸素による硬化障害を抑制する目的で、
周囲雰囲気の酸素を窒素等の不活性気体で置換すること
も必要に応じて行われる。
【0071】光重合開始剤としては、例えばジエトキシ
アセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチ
オ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン、2−ヒド
ロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の
アセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチ
ルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、
ベンゾイル安息香酸等のベンゾフェノン系化合物;チオ
キサンソン、2、4−ジクロロチオキサンソン等のチオ
キサンソン系化合物等が挙げられる。またこれらの骨格
にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニ
ル基を付与した共重合性の光重合開始剤も好ましく用い
られ、例えばα−アリルベンゾイン、α−アリルベンゾ
インアリールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン等が
例示される。
【0072】光重合開始剤の添加量は、活性光線硬化層
の前駆材料の不揮発成分全体の0.1〜10重量%であ
ることが好ましい。ここで紫外線照射時に周囲雰囲気の
酸素を置換しない場合には1〜10重量%、不活性気体
による置換を行う場合には0.1〜3重量%の添加量が
好ましい。
【0073】また紫外線吸収剤を副成分として添加する
場合、少なくとも300〜350nmの波長範囲の波長
領域に大きな吸収を有する紫外線吸収剤が好ましく用い
られ、その中でも分子内にベンゾトリアゾール骨格やト
リアジン骨格等を含む化合物が特に好ましい。
【0074】これらの例としては、例えば、2−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6
−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノー
ル、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−
tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2
H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−
6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−t
ert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフ
ェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フ
ェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−
フェノール、2−[4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシ
ルオキシプロピル)オキシ]−4,6−ビス(2,4−
ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が好ま
しく挙げられる。
【0075】更には紫外線吸収剤として、前記のベンゾ
トリアゾール骨格やトリアジン骨格等を含む化合物とメ
タクリロイル基、アクリロイル基もしくはビニル基を含
有する化合物を共重合してなる化合物(例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる)は活性光
線硬化層を主に形成するアクリレート成分もしくはメタ
クリレート成分と架橋反応を起こすことが可能な反応型
紫外線吸収剤と呼ばれており、活性光線硬化層内に紫外
線吸収剤を安定に固定し、耐久性を高める目的のために
好ましく用いられる。
【0076】高分子樹脂積層体の耐候性(紫外線老化
性)を充分なものにするためには、活性光線硬化層の3
00〜350nmの波長領域のいずれの波長においても
光吸収率が少なくとも99%以上、より好ましくは9
9.9%以上とすることが好ましい。
【0077】この目的のためには、活性光線硬化層の前
駆材料の不揮発成分中の紫外線吸収剤の添加量(重量
%)と活性光線硬化層の膜厚(μm)との積が、30〜
300重量%・μmの範囲にあることが好ましく、より
好ましくは50〜150重量%・μmである。
【0078】なお、活性光線硬化層の前駆材料に紫外線
吸収剤を混合し、紫外線照射により層の硬化を行う場合
には、硬化(光重合)を誘起する紫外線の波長と紫外線
吸収剤の吸収波長とが幾分相違していることが好まし
い。すなわち前述のように紫外線吸収剤としては300
〜350nmの波長領域に大きな吸収を持つものを用い
ることが好ましいので、光重合を誘起する紫外線の波長
は350nm以上もしくは300nm以下の波長とする
ことが好ましい。
【0079】この目的では、大きな光吸収を有する波長
領域が350〜400nmおよび/または220〜30
0nmであるような光重合開始剤を用いる方法がある。
これらの例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾイル安息香酸、ベンゾ
イル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジ
フェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メト
キシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオ
キサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4ジメチ
ルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,
4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピル
チオキサンソン、ジベンゾスベロン、メチルフェニルグ
リオキシレート、1−フェニル−1,2−プロパンジオ
ン−2(O−エトキシカルボニル)オキシム等が例示さ
れる。
【0080】また同様の目的で、220〜300nmお
よび/または350〜400nmに大きな光吸収性を有
する光重合開始助剤(増感剤)を、光重合開始剤と併用
して用いることも好ましく行われる。
【0081】このような光重合開始助剤としては、例え
ば2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルア
ミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n
−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソ
アミル、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノ
ン、4−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられ
る。
【0082】こうした光重合開始助剤は、光重合開始剤
に対して10〜40重量%の割合で混合されることが好
ましい。
【0083】さて、これら活性光線硬化層は高分子樹脂
基板上にその前駆材料を塗布(コーティング)した後
に、塗布膜に活性光線を照射することにより形成され
る。
【0084】コーティング方法としては、例えば、(ド
クター)ナイフコート法、マイクログラビヤコート法、
ダイレクトグラビヤコート法、オフセットグラビヤ法、
リバースグラビヤ法、リバースロールコート法、(マイ
ヤー)バーコート法、ダイコート法、スプレーコート
法、ディップコート法等の方法が好ましく適用できる。
【0085】ここで活性光線硬化層の前駆材料を塗布し
た高分子樹脂基板は、前駆材料液のレベリング性の向上
や、活性光線硬化層と高分子樹脂基板との間の密着性の
向上等の目的で活性光線の照射を行う前に、50〜13
0℃に昇温することが好ましい。
【0086】この密着性向上効果は、昇温により高分子
樹脂基板内部に前駆材料液が一部浸透して、いわゆるア
ンカー効果をもたらすことに起因している。なお、こう
した基板内部への前駆材料の浸透の状況は走査型電子顕
微鏡(SEM)による積層体の断面観察により知ること
ができる。
【0087】なお、基板をあまり長い間こうした温度に
保持すると前駆材料液が浸透しすぎて、逆に層の硬化性
が低下する場合がある。このため、前記温度で基板を保
持する時間は5〜100秒程度が最も好ましい。
【0088】また、前記のように活性光線硬化層を50
〜300μmに積層する場合、この層が比較的厚いこと
に起因して、この層の厚み斑を抑制して、その表面を平
坦にすることが、積層体の塗膜外観の向上、すなわち積
層体のA層上面の平坦性向上、に大きく寄与する場合が
ある。
【0089】さらに、高分子樹脂基板の表面平滑性が劣
っている場合にも、その上にある活性光線硬化層層の表
面を平坦にすれば積層体の塗膜外観の向上に大きく寄与
する場合がある。
【0090】このような目的のためには、例えば、活性
光線硬化層の前駆材料の層を表面平滑性の高い賦形板
(フィルム形状のものを含む)と高分子樹脂基板との間
に挟持(両者に完全密着)した状態で活性光線を照射し
て層を硬化させ、その後に賦形板を剥離する方法を用い
ることも好ましく行われる。
【0091】なお、この場合に、活性光線硬化層の前駆
材料は、高分子樹脂基板上に塗布されても、表面平滑な
賦形板上に塗布されても良い。
【0092】この方法では、活性光線硬化層が積層され
た積層体の表面形状が、賦形板の表面形状をそのまま反
映したものになり、上記の膜厚の不均一性や基板の表面
平滑性の影響を受け難くなるので、積層体の外観を向上
させることができる場合が多い。
【0093】賦形板としては高分子樹脂板、高分子樹脂
フィルム、ガラス板、金属板等が挙げられ、活性光線硬
化層が硬化した後には層との密着性が低く、僅かな力で
両者を剥離できるような賦形板、もしくは離型剤等によ
る表面処理の施された賦形板であることが好ましい。
【0094】なお、ここで賦形板にあらかじめA層とB
層とをこの順に、もしくはA層とB層とプライマー層と
をこの順に積層しておき、賦形板とA層とを僅かな力に
より剥離可能であるようにしておくと、活性光線硬化層
の硬化形成した際に活性光線硬化層の表面にB層とA
層、もしくはプライマー層とB層とA層をこの順に積層
できる場合がある。そしてこの場合にも、積層体の塗膜
外観の向上、すなわち積層体のA層上面の平坦性向上、
に大きく寄与することが分かった。
【0095】なお、これまでの説明においては、高分子
樹脂基板(C)と、B層と、A層とをこの順に含み、A
層が当該積層体の最外面の内の1面を形成するように積
層された積層体について説明したが、高分子樹脂基板
(C)を挟んで、A層と、B層と、高分子樹脂基板
(C)と、B層と、A層とをこの順に含み、二つのA層
が当該積層体の両方の最外面を形成するように積層され
た積層体も本願発明の中に含まれることは言うまでもな
い。
【0096】本願発明の高分子樹脂積層体は、透視性が
高いことが好ましく、具体的には積層体のヘーズ値が5
%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下
である。
【0097】積層体の光透過率は少なくとも可視波長域
(400〜750nmの波長域)の全光線透過率が30
%以上あることが好ましく、より好ましくは50%以上
である。
【0098】なお、本願発明の高分子樹脂積層体は、樹
脂の上に、A層の上面を外側にして積層してなる成形物
とすることによって、表面が高硬度の成形物を得ること
ができる。本願発明の高分子樹脂積層体は、樹脂の両面
上に積層することも可能である。
【0099】その方法としては、例えば、いわゆるイン
モールド成形あるいはインサート成形におけるインサー
トフィルムまたはシートとして用いることがある。
【0100】すなわち、高分子樹脂積層体を、A層の上
面を金型面に対峙させて射出成形機の金型に固定した後
に、ポリカーボネートやアクリル等の高分子樹脂を金型
内に溶融状態で射出して金型内部で一体化成形する方法
により、様々な形状や大きさの成形物を得ることができ
る。
【0101】また、押出し成形や、反応射出成形等金型
を使用する成形技術ならば、本願発明に係る高分子樹脂
積層体を積層する成形物を作製できる限り、どのような
ものでも良い。
【0102】なお、本願発明は、例えば、樹脂を溶融状
態のまま板状に押出し、平行して走行する本願発明に係
る高分子樹脂積層体と接触させ、両者を押し付け合い、
連続的に板状成形物を製造する、もしくは、本願発明に
係る高分子樹脂積層体を適当な接着層(接着剤層)を介
して別途成形した樹脂成形物と一体化して板状成形物を
製造する等、金型の概念を適用できない場合にも、樹脂
積層成形物を作製できる限り、各種の既存の技術に適用
することも可能である。
【0103】更に、本願発明においては、「成形物が、
上記1〜6のいずれかに記載の高分子樹脂積層体である
ことを特徴とする成形物」は、成形に要する作業を簡略
化できる利益が得られる。すなわち、高分子樹脂基板と
して、適切な形状のものを使用すれば、高分子樹脂積層
体そのものを成形物として得ることができ、この場合に
は、成形に要する作業を簡略化できる利益が得られる。
【0104】上記の諸方法は自動車や建築物の窓材や透
視性を必要とする構造材等を高い生産性をもって製造す
る目的に好適であり、好ましく用いられる。
【0105】
【発明の効果】本願発明により、ガラスと同等以上の優
れた耐擦傷性を有する高分子樹脂積層体を得ることが可
能になり、幅広い用途に用いることが可能になった。
【0106】
【実施例】以下実施例をもって、本願発明を更に詳細に
説明する。ただし、本願発明はこれらに限定されるもの
ではない。また、実施例中、「部」は特に断らない限り
「重量部」を意味する。なお、実施例における各種測定
は次の要領で行ったものである。
【0107】(1) 層間密着力 帝人(株)製の厚さ100μmのポリカーボネートフィ
ルム「ピュアエースC110」およびサンプルをそれぞ
れ幅15mm、長さ150mmの短冊状に切り取り、図
1のようにポリカーボネートフィルムとサンプルの塗膜
表面を接着した試験片を作成した。なお、接着部の幅は
15mm、長さは70mmとした。接着剤としてはシリ
コーン系塗膜との接着力に優れるセメダイン社製のシリ
コーン変性接着剤「CEMEDINE SUPER
X」を用いた。この試験片に対し、万能試験機「テンシ
ロン」を用いて前記ポリカーボネートフィルムを移動片
として室温下で180度剥離試験を行った。ここで試験
片の移動速度は1000mm/分とし、5個の試験片の
平均値で塗膜の剥離力(N/m)を求めた。なお、前記
接着剤層の凝集破壊に基づく剥離はおよそ1650(N
/m)で発生する。
【0108】(2) テーバー摩耗性 テーバー摩耗試験機(東洋精機株製)を用いて、摩耗輪
CS−10F、荷重4.9N、1000サイクルの条件
で試験片表面を摩耗し、次式から求められるヘーズ値の
摩耗前後の差(ΔH)で評価した。 ヘーズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×10
【0109】(3)鉛筆硬度 日本工業規格K5400に記載されている鉛筆硬度測定
法に準拠して測定を行った。
【0110】(4)ヘーズ値および全光線透過率の測定 日本電色工業社製の測定器(商品名「COH−300
A」)を用いて測定を行った。
【0111】[A層形成用前駆材料(1)の作成]テト
ラメトキシシラン250重量部とイソプロピルアルコー
ル1500重量部との混合液を氷冷下で撹拌しながら、
3重量%濃度の酢酸水100重量部を徐々に加えてい
き、混合終了後そのまま10分間撹拌し、その後、室温
下で60分間撹拌した。次にエタノール6000重量部
と1−メトキシ−2−プロパノール2000重量部(和
光純薬工業(株)製)の混合溶媒を加え、更にレベリン
グ剤として東レ・ダウコーニング社(株)製のポリエー
テル変性シリコーンオイル(SH28PA)0.1重量
部を添加してA層形成用前駆材料(1)とした。
【0112】[A層形成用前駆材料(2)の作成]触媒
化成工業(株)製の平均粒径10〜14nmのシリカ微
粒子の水分散液「Cataloid SI−30」(固
形分濃度30重量%)100重量部に10重量%濃度の
酢酸水40重量部を加えて良く混合したものを、氷冷下
でテトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)18
0重量部とイソプロピルアルコール600重量部との混
合液中に撹拌しながら徐々に加えていき、混合終了後そ
のまま10分間撹拌を行い、更に室温で60分間撹拌し
た。次にエタノール6000重量部と1−メトキシ−2
−プロパノール2000重量部(和光純薬工業(株)
製)との混合溶媒を加え、更にレベリング剤として東レ
・ダウコーニング社(株)製のポリエーテル変性シリコ
ーンオイル(SH28PA)0.1重量部を添加してA
層形成用前駆材料(2)とした。
【0113】[B層形成用前駆材料の作成]γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製
「KBM403」)100重量部に10重量%濃度の酢
酸水50重量部とイソプロピルアルコール300重量部
(和光純薬工業(株)製)および1−メトキシ−2−プ
ロパノール100重量部(和光純薬工業(株)製)をよ
く混合した後に、氷冷下でN−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製
「KBM603」)20重量部を徐々に加え20分間撹
拌した後に、室温で120分放置して、B層形成用の前
駆材料とした。
【0114】[実施例1]厚み1mmのポリカーボネー
トシート(帝人化成(株)製「パンライトPC115
1」)の片面に、プライマー層形成用前駆材料としてポ
リメチルメタクリレートを主成分とする信越化学社製の
ポリカーボネート用プライマー液「PC7A」をバーコ
ーターを用いてコーティングし、130℃で2分間キュ
アを行って、厚み0.7μmのプライマー層を形成し
た。
【0115】続いてB層形成用の前駆材料をプライマー
層上にバーコーターを用いてコーティングして、130
℃で1分間キュアを行い、厚み5μmのB層を形成し
た。
【0116】B層は、前記一般式(1)で表される珪素
アルコキシドの加水分解縮合物のみからなっている。
【0117】また、このB層の、荷重4.9N、100
0サイクルのテーバー摩耗性試験(ハードコート層を1
mm厚のポリカーボネート板(帝人化成株式会社製「パ
ンライトPC−1151」)上に5μmの膜厚で積層し
た後、130℃で60分間キュアを行い、この層の表面
について測定したもの)によるヘーズ値の上昇は5.2
%であった。
【0118】続いてB層上に、A層形成用前駆材料
(1)をバーコーターを用いてコーティングし、130
℃で59分間キュアを行い、厚み0.15μmのA層を
積層して、目的の積層体を作成した。
【0119】この積層体のヘイズは、0.4%で全光線
透過率は90.8%であった。
【0120】この積層体のA層上面のテーバー磨耗試験
によるヘーズ値の上昇は1.1%であった。なお、市販
のガラス板を試験した場合のヘーズ値の上昇は1.0%
前後であり、このことから本積層体の表面はガラス板と
ほぼ同等の耐擦傷性を有していると判断される。
【0121】なお、微粒子は使用しなかった。
【0122】またこの積層体のA層上面の鉛筆硬度はF
であった。
【0123】なお、A層は、テトラメトキシシランの加
水分解物が99.9重量%以上を占める層であり、B層
との密着性に関して、この積層体の層間密着性試験にお
ける剥離はA層とB層との間に起こり、層間密着力は8
00N/mであった。
【0124】[実施例2]実施例1においてB層上に、
A層形成用前駆材料(2)をバーコーターを用いてコー
ティングし、130℃で59分間キュアを行い、厚み
0.15μmのA層を積層した以外は実施例1と全く同
様にして目的の積層体を作成した。
【0125】この積層体のヘイズは、0.6%で全光線
透過率は90.6%であった。また、この積層体のA層
上面のテーバー磨耗試験によるヘーズ値の上昇は0.8
%であった。なお、市販のガラス板を試験した場合のヘ
ーズ値の上昇は1.0%前後であり、このことから本積
層体の表面はガラス板と同等以上の耐擦傷性を有してい
ると判断される。
【0126】またこの積層体のA層上面の鉛筆硬度はF
であった。
【0127】なお、A層中には、テトラメトキシシラン
の加水分解物と酸化珪素の微粒子がおよそ7:3の重量
比率で混合されており、かつこの両者で層全体の99.
9重量%以上を占めている。
【0128】またB層との密着性に関して、この積層体
の層間密着性試験における剥離はA層とB層との間に起
こり、層間密着力は720N/mであった。
【0129】[実施例3]高分子樹脂基板として、ビス
フェノールAとジフェニルカーボネートとより合成され
たポリカーボネート樹脂による厚み0.3mm、縦横2
00mm×150mmのフィルム(帝人化成製「パンラ
イトPC−2151」)を用いた。
【0130】この基板上に下記の活性光線硬化層形成用
前駆材料をドクターナイフによりコーティングし、60
℃で30秒間乾燥した後にESI社製の電子線照射装置
TYPE:CB250/15/180Lにより加速電圧
150KV、線量100KGYの条件で電子線を照射し
て、厚み90μmの活性光線硬化層を積層した。
【0131】活性光線硬化層形成用前駆材料として、ジ
シクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学工業製商
品名「ライトアクリレート DCP−A」)100重量
部と紫外線吸収剤0.9重量部(チバスペシャリティケ
ミカルズ製商品名「チヌビン329」)とレベリング剤
(東レ・ダウシリコーン製「SH28PA」)0.05
重量部とノルマルプロピルアルコール30重量部とを混
合した。
【0132】また、上記と同じ前駆材料を使用して活性
光線硬化層を2mm厚みの石英板上に50μmの膜厚で
積層硬化(実施例1に記載の信越化学社製のプライマー
層形成用前駆材料「PC7A」による2μm厚のプライ
マー層を介して積層)した後、測定した鉛筆強度は3H
であり、300〜350nmの波長領域の吸収率は9
9.9%以上であった。
【0133】続いてこの活性光線硬化層が積層された表
面を、UV−オゾン処理装置(アイグラフィック社製O
C2506タイプ)で1分間処理した後に、実施例1と
全く同様にプライマー層、B層、A層の順に積層して、
目的の積層体を得た。
【0134】この積層体のヘイズは、1.1%で全光線
透過率は90.2%であった。またこの積層体のA層上
面のテーバー磨耗試験によるヘーズ値の上昇は1.2%
であり、鉛筆硬度は4Hであった。
【0135】[比較例1]触媒化成工業(株)製の平均
粒径10〜14nmのシリカ微粒子の水分散液「Cat
aloid SI−30」(固形分濃度30重量%)2
00重量部に10重量%濃度の酢酸水40重量部を加え
て良く混合したものを、氷冷下でメチルトリメトキシシ
ラン(東京化成製)300重量部に徐々に添加して10
分間撹拌後、室温下で更に30分撹拌した。次にイソプ
ロピルアルコール350重量部、酢酸ナトリウム4重量
部を加えて更に30分撹拌後、室温下で72時間放置し
て、ハードコート層の前駆材料とした。
【0136】まず厚み1mmのポリカーボネートシート
(帝人化成社製「パンライトPC1151」)の片面
に、ポリメチルメタクリレートを主成分とする信越化学
社製のポリカーボネート用プライマー液「PC7A」を
コーティングし、130℃で2分間キュアを行って、厚
み0.7μmのプライマー層を形成した。
【0137】更にこのプライマー層の上に前記ハードコ
ート層の前駆材料をコーティングし、130℃で60分
キュアを行い、厚み5μmの珪素アルコキシドによるハ
ードコート層を形成した。
【0138】この積層体の、珪素アルコキシドによるハ
ードコート層の上面のテーバー磨耗試験によるヘーズ値
の上昇は2.8%であり、鉛筆硬度はFであった。
【0139】[比較例2]厚み1mmのポリカーボネー
トシート(帝人化成社製「パンライトPC1151」)
の片面に直接、実施例で用いたA層形成用の前駆材料
(1)をバーコーターを用いてコーティングし、130
℃で60分間キュアを行って膜厚0.15μmのA層を
形成した。
【0140】ここでこの積層体の層間密着力試験におけ
る剥離はA層とポリカーボネートシートとの間に起こ
り、層間密着力は50N/mと低く、磨耗輪の接触した
部分ではA層はほぼ完全に剥離していた。
【0141】また、この積層体のA層上面のテーバー磨
耗試験によるヘーズ値の上昇は35.2%であり、鉛筆
硬度はBであった。
【0142】[比較例3]厚み1mmのポリカーボネー
トシート(帝人化成社製「パンライトPC1151」)
の片面に、多官能アクリレートを主成分とする紫外線硬
化型樹脂(新中村化学(株)製「U15HA」)100
部と1−メトキシ−2−プロパノール150部、光開始
剤(チバ・スペシャリーティーケミカルス(株)「イル
ガキュア184」)5部を混合した塗液をバーコーター
を用いてコーティングし、160W/cmの高圧水銀灯
を用いて積算光量1.0J/cm2の紫外線を照射して
塗膜を硬化させ、厚み6μmの紫外線硬化層を形成し
た。
【0143】なお、この紫外線硬化層の上面のテーバー
磨耗試験(帝人化成株式会社製「パンライトPC−11
51」)上に5μmの膜厚で積層、紫外線硬化させた
後、この層の表面について測定したもの)によるヘーズ
値の上昇は4.5%であった。
【0144】次にこの紫外線硬化層の上に実施例で用い
たA層形成用の前駆材料(1)をバーコーターを用いて
コーティングし、130℃で59分間キュアを行って膜
厚0.15μmのA層を積層した。
【0145】ここでこの積層体の層間密着力試験におけ
る剥離はA層と紫外線硬化層との間に起こり、層間密着
力は40N/mと低く、磨耗輪の接触した部分ではA層
がほぼ完全に剥離していた。
【0146】また、この積層体のA層上面のテーバー磨
耗試験によるヘーズ値の上昇は4.9%であり、鉛筆硬
度はFであった。
【0147】[比較例4]還流冷却器および撹拌装置を
備え、窒素置換したフラスコ中に、メチルメタクリレー
ト80重量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン20重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.
16重量部および1,2−ジメトキシエタン200重量
部を添加し、溶解させた。
【0148】70℃で5時間撹拌して得られた反応系を
n−ヘキサンに投入して析出させ、共重合ポリマー90
重量部を得た。
【0149】このポリマーの重量平均分子量はGPC測
定から13万前後であり、一般式(1)の成分の比率は
約20重量%であった。
【0150】このポリマー10重量部をメチルイソブチ
ルケトン63重量部、2−ブタノール27重量部からな
る混合溶媒に溶解した後に、3μmのフィルターでろ過
し、積層体の層形成の前駆材料とした。
【0151】この前駆材料を、厚み1mmのポリカーボ
ネートシート(帝人化成社製「パンライトPC115
1」)の片面にバーコーターでコーティングし、130
℃で2分間キュアを行って、厚み4μmの層を形成し
た。以下この層をB’層と呼称する。
【0152】続いて、B’層上にA層形成用の前駆材料
(1)をバーコーターを用いてコーティングし、130
℃で60分間キュアを行って膜厚0.15μmのA層を
積層した。
【0153】この積層体のA層上面のテーバー磨耗試験
によるヘーズ値の上昇は6.8%であった。
【0154】なお、この積層体の層間密着力試験におけ
る剥離はA層とB’層との間に起こり、層間密着力は3
50N/mであった。
【0155】また、B’層の上面のテーバー磨耗試験
(ハードコート層を1mm厚のポリカーボネート板(帝
人化成株式会社製「パンライトPC−1151」)上に
5μmの膜厚で積層した後、130℃で60分間キュア
を行い、この層の表面について測定したもの)によるヘ
ーズ値の上昇は17.2%であった。
【0156】すなわち、B’層は本願発明に係るB層の
特性を有していなかった。
【0157】[比較例5]厚み1mmのポリカーボネー
トシート(帝人化成社製「パンライトPC1151」)
の片面に直接、実施例で用いたA層形成用の前駆材料
(1)をバーコーターを用いてコーティングし、130
℃で60分間キュアを行って膜厚1.0μmのA層を形
成した。この時、A層には、肉眼で多数のクラックの発
生が観察され、使用に耐えるものではなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における層間密着力測定用のサンプルの
模式図である。
【符号の説明】
1.ポリカーボネートフィルム 2.接着剤 3.サンプル 4.塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩井 理直 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 峯松 宏昌 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F100 AA17B AA17H AA19B AA19H AA20B AA20H AH06C AK01A AK01D AK25 AK45A AK52B AK52C BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10D DE01B EH46 EJ65 GB07 GB32 JA20C JK06B JK06C JK09 JK12 JK14 JN01 JN08 YY00 YY00B YY00C 4J038 CL001 DL021 DL071 DL081 DL111 DL121 HA166 HA446 MA09 NA11 PA07 PA20 PB05 PB07 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂基板(C)と、膜厚が0.0
    5〜0.3μmで主としてテトラメトキシシランおよび
    /またはテトラエトキシシランの加水分解縮合物からな
    るか、あるいは該加水分解縮合物(a1)と、平均粒径
    が3〜30nmの超微粒子(a2)とが、重量比(a1
    /a2)で1/1以上の割合いで混合されてなる組成物
    から主としてなる、層(A層)と、A層に接する膜厚が
    1〜20μmの層(B層)と、を含む積層体であって、
    A層が当該積層体の最外面の内の少なくとも1面を形成
    するように積層されており、B層の荷重4.9N、10
    00サイクルのテーバー摩耗試験におけるヘーズの増加
    が10%以下であり、A層とB層との間の層間密着力が
    200N/m以上である高分子樹脂積層体。
  2. 【請求項2】 B層が、下記一般式(1)で示される珪
    素アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物を3
    0重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の高
    分子樹脂積層体。 R1−Si(−OR23 ・・・(1) (式中、R1はエポキシ基、グリシジル基、アミノ基、
    ビニル基、アクリル基、メタクリル基、クロル基の群の
    内の少なくとも一つを含む有機基、R2はメトキシ基お
    よび/またはエトキシ基)
  3. 【請求項3】 超微粒子が主として、酸化珪素、酸化ア
    ルミニウム、酸化セリウムの超微粒子の群から選ばれる
    少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の高分子樹脂積層体。
  4. 【請求項4】 高分子樹脂基板(C)がポリカーボネー
    トの成形基板であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の高分子樹脂積層体。
  5. 【請求項5】 積層体のヘーズ値が5%以下であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子樹
    脂積層体。
  6. 【請求項6】 積層体の可視波長域の全光線透過率が3
    0%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の高分子樹脂積層体。
  7. 【請求項7】 樹脂の上に、請求項1〜6のいずれかの
    高分子樹脂積層体を、A層の上面を外側にして積層して
    なる成形物。
  8. 【請求項8】 成形物が、請求項1〜6のいずれかに記
    載の高分子樹脂積層体であることを特徴とする成形物。
  9. 【請求項9】 成形物が自動車窓もしくは建材用窓であ
    ることを特徴とする請求項7または8に記載の成形物。
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