JP7310213B2 - 転写型ハードコートフィルム、及び当該フィルムを利用したハードコート体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、転写型ハードコートフィルム、及び当該フィルムを利用したハードコート体の製造方法
に関する。
一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁、屋根などの建造物外装、あるいは自動車、列車、船舶、航空機、産業機械、重機などの構造物外装に、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などで構成される樹脂成形品や樹脂板が使用されるケースが近年増加している。また、これらのなかで透明性を有するものは、無機ガラスよりも軽量、かつ衝撃時の破損や飛散の危険がないため、上記の用途のうち、とりわけ建造物の窓ガラス、あるいは自動車の窓、サンルーフ材、さらにはヘッドランプ、ヘッドランプカバーなどといった従来無機ガラスが用いられてきたところに、無機ガラスの代替用部材(いわゆる有機ガラス)として用いられるようになっている。
これらの用途に用いた場合、日々直射日光や風雨に晒されるため、極めて厳しい耐候性が要求される。また、上記の用途では風雨や砂塵等による自然での傷付きや、清掃、洗浄作業における傷付き、落書きや過度な汚染を洗浄する際に有機溶剤等の使用による溶解劣化等により、耐傷性や耐薬品性などの性能も要求される。これらの性能を満足させるため、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂板に、樹脂フィルムなどを介して、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂を用いた高耐候な表面保護層(ハードコート層)を設けることが行われている。
例えば、特許文献1には、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2~50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである有機ガラス積層用フィルムが記載されている。特許文献1に記載された有機ガラス積層用フィルムは、優れた耐候性、耐傷性を有し、かつ優れた三次元成形性を備えており、樹脂基体の表面に当該有機ガラス積層用フィルムを積層することによって、耐候性、耐傷性に優れた有機ガラスを好適に得ることができる。
特許第5267700号
前記のような表面保護層を備えたフィルムとしては、ラミネート型のフィルムと、転写型のフィルムとに大別することができる。ラミネート型のフィルムは、特許文献1の有機ガラス積層用フィルムのように、支持基材となる樹脂フィルム上に表面保護層が最表面に位置するように積層されており、支持基材側に成形樹脂を積層することで、樹脂成形品中に支持基材が取り込まれるように用いられる。
一方、転写型のフィルムは、転写用基材上に直接、または必要により設けられる離型層を介して表面保護層が積層されており、転写用基材とは反対側に成形樹脂を積層後、転写用基材を剥離することで、樹脂成形品に転写用基材が残らないようにして用いられる。これら2種類のフィルムは、樹脂成形品の形状や求める機能などに応じて使い分けがなされている。
転写型のフィルムの場合、ラミネート型フィルムとは異なり、(1)成形工程において、転写用基材が金型に接した状態で成形されるという成形性の点、(2)成形加工において、表面保護層から転写用基材を剥離されなければならないという剥離性の点、(3)転写用基材が剥離されることで表出した面が、耐摩擦性、耐候性などの所望の物性を発現しなければならないという点などから、ラミネート型フィルムの表面保護層を形成する樹脂組成物の設計とは異なる設計が必要となる。
本発明は、転写用基材上に、少なくともハードコート層が積層された転写型ハードコートフィルムであって、当該転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性に優れており、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性に優れた、転写型ハードコートフィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該転写型ハードコートフィルムを利用したハードコート体の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、転写用基材の上に、少なくとも、ハードコート層を有し、当該ハードコート層が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されている転写型ハードコートフィルムは、転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性に優れており、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性に優れることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 転写用基材の上に、少なくとも、ハードコート層を有し、
前記ハードコート層が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されている、転写型ハードコートフィルム。
項2. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと前記多官能オリゴマーとの質量比が、65:35~20:80の範囲である、項1に記載の転写型ハードコートフィルム。
項3. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1000以上である、項1又は2に記載の転写型ハードコートフィルム。
項4. 前記転写用基材の上に、少なくとも、前記ハードコート層、及びプライマー層をこの順に有する、項1~3のいずれか1項に記載の転写型ハードコートフィルム。
項5. 前記転写用基材の上に、少なくとも、前記ハードコート層、前記プライマー層、及び接着層をこの順に有する、項4に記載の転写型ハードコートフィルム。
項6. 前記転写用基材の上にハードコート層が直接積層されている、項1~5のいずれか1項に記載の転写型ハードコートフィルム。
項7. 項1~6のいずれかに記載の転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、樹脂成形体を積層して、転写用基材付きハードコート体を得る工程と、
前記転写用基材付きハードコート体から前記転写用基材を剥離してハードコート体を得る工程と、
を備える、ハードコート体の製造方法。
項8. 前記転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、樹脂を射出することで樹脂成形体を一体化させて、転写用基材付きハードコート体を得る、項7に記載のハードコート体の製造方法。
項9. 前記転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、予め成形された樹脂成形体を貼り合わせて、転写用基材付きハードコート体を得る、項7に記載のハードコート体の製造方法。
本発明によれば、転写用基材上に、少なくともハードコート層が積層された転写型ハードコートフィルムであって、当該転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性に優れており、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性に優れた、転写型ハードコートフィルムを提供することができる。また、本発明によれば、当該転写型ハードコートフィルムを利用したハードコート体の製造方法を提供することもできる。
本発明の転写型ハードコートフィルムの一形態の断面構造の模式図である。 本発明の転写型ハードコートフィルムの一形態の断面構造の模式図である。 本発明の転写型ハードコートフィルムの一形態の断面構造の模式図である。 本発明の転写型ハードコートフィルムの一形態の断面構造の模式図である。 本発明の転写用基材付きハードコート体の一形態の断面構造の模式図である。 本発明のハードコート体の一形態の断面構造の模式図である。 実施例における180°ピール粘着力試験の様子を示す模式図である。
1.転写型ハードコートフィルム
本発明の転写型ハードコートフィルムは、転写用基材の上に、少なくとも、ハードコート層を有し、当該ハードコート層が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されていることを特徴とする。本発明の転写型ハードコートフィルムでは、このような構成を有することにより、当該転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性に優れており、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性に優れる。以下、本発明の転写型ハードコートフィルムについて詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲については、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
転写型ハードコートフィルムの積層構造
本発明の転写型ハードコートフィルムは、図1に示すように、少なくとも、転写用基材1の上に、ハードコート層2が積層された積層構造を備える。
図2又は図3に示されるように、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、ハードコート層2の上には、必要に応じて、プライマー層3、接着層4などを有していてもよい。プライマー層3は、ハードコート層2とその下に位置する層との接着性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。すなわち、プライマー層3は、ハードコート層2の直下に設けられることが好ましい。また、接着層4は、本発明の転写型ハードコートフィルムを樹脂成形体6に転写してハードコート体とする際に、転写型ハードコートフィルムと樹脂成形体6との接着性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。
また、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、転写用基材1とハードコート層2との間には、転写用基材1を剥離し易くするために、必要に応じて離型層が設けられていてもよい。ただし、後述の通り、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいては、所定のハードコート層を備えているため、離型層は設けなくてもよいし、転写用基材1をハードコート層2の表面から剥離した後に、離型層の一部がハードコート層2の表面に残存することを抑制する観点からは、離型層は設けないことが好ましい。
さらに、本発明の転写型ハードコートフィルムは、ハードコート層2とプライマー層3の間、プライマー層3と接着層4の間、及び接着層4のプライマー層3側とは反対側の面上のいずれか少なくとも1つに、本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽、情報表示、意匠性の付与等を目的として、部分的に形成された着色層5が設けられていてもよい。図4には、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、プライマー層3と接着層4の間に、着色層5を有する態様の断面の模式図を示す。
転写型ハードコートフィルムの各層
[転写用基材1]
転写用基材1は、ハードコート層2を支持する支持基材としての役割を果し、ハードコート層2を被転写体に転写した後に剥離される層である。
転写用基材1の構成樹脂としては、支持基材として使用可能で、ハードコート層2を剥離可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミド系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、寸法安定性の観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。
また、転写用基材1は、未延伸フィルム又は延伸フィルムのいずれであってもよいが、転写型ハードコートフィルム製造時の熱や電離放射線照射による収縮を抑制し、優れた寸法安定性を備えるという観点からは、好ましくは延伸フィルムが挙げられる。また、延伸フィルムは、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、優れた寸法安定性を備えるという観点からは、好ましくは2軸延伸フィルムが挙げられる。
転写用基材1は、単一の樹脂フィルムを用いて形成された単層であってもよく、また同種又は異種の樹脂フィルムを用いて形成された複層であってもよい。
更に、転写用基材1は、ハードコート層2との剥離強度を調整するために、必要に応じて、コロナ放電、グロー放電、プラズマ放電、オゾン/UV照射、火炎処理、熱風処理、クロム酸化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
転写用基材1の厚さとしては、通常20~200μm、好ましくは30~100μm、更に好ましくは38~80μmが挙げられる。
[ハードコート層2]
ハードコート層2は、転写用基材1の上に設けられる層であり、被転写体となる樹脂成形体に転写された後に、最表面に位置して樹脂成形体にハードコート性(耐傷性等)を付与する役割を果たし、耐候性の向上にも寄与する層である。
ハードコート層2は、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されており、これにより、本発明の転写型ハードコートフィルムは、成形性と転写用基材の剥離性に優れており、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性に優れる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂組成物である。転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性をより向上させ、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性を効果的に高める観点から、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと前記多官能オリゴマーとの質量比は、好ましくは65:35~20:80の範囲、より好ましくは65:35~30:70の範囲、さらに好ましくは65:35~40:70の範囲、さらに好ましくは65:35~50:50の範囲、さらに好ましくは65:35~55:45の範囲である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物をいう。電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであるポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物とを、触媒存在下に縮合させる方法、あるいは3)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法などが挙げられる。
上記のポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端あるいは側鎖に2個以上、好ましくは2~50個の、より好ましくは3~50個の水酸基を有する重合体である。このポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とから重縮合反応による方法である。原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式 HO-R1-OHで表される。ここで、R1は、炭素数2~20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
ジオール化合物(A)の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらジオールは、それを単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、3価以上の多価アルコール(B)の例としては、トリメチロールプルパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトールなどのアルコール類を挙げることができる。さらに、これらの多価アルコールの水酸基に対して、1~5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。多価アルコールは、これらを単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
カルボニル成分となる化合物(C)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。その具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸ジエステル類、ホスゲン、あるいはクロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニルなどのハロゲン化ギ酸エステル類などが挙げられる。これらは、単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネートポリオールは、前記したジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とを、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。例えば、ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)との仕込みモル比は、50:50~99:1の範囲にあることが好ましく、また、カルボニル成分となる化合物(C)のジオール化合物(A)と多価アルコール(B)に対する仕込みモル比は、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して、0.2~2当量であることが好ましい。
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)は、1分子中に平均して3以上、好ましくは3~50、より好ましくは3~20である。この範囲であると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、またポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64-1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3-181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
本発明に用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。さらに好ましくは、2,000以上50,000以下であり、特に好ましくは、5,000~20,000である。
ハードコート層2において、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、多官能オリゴマーと共に用いられる。多官能オリゴマーとしては、2官能以上のオリゴマーであり、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと反応して硬化物を形成するものであれば、特に制限されないが、多官能(メタ)アクリレート(すなわち、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー)であることが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、2官能以上の(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。ここで、2官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合{(メタ)アクリロイル基}を2個有することをいう。官能基数としては、好ましくは2~6程度が挙げられる。
上記の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、他の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
また、ハードコート層2を形成する樹脂組成物には、多官能(メタ)アクリレートモノマーがさらに含まれていてもよい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。以上述べた多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー及び多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物中におけるポリカーボネート(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限されないが、転写型ハードコートフィルムの成形性と転写用基材の剥離性をより向上させ、さらに、転写用基材を剥離した後のハードコート層の耐摩擦性及び耐候性を効果的に高める観点から、好ましくは35~70質量%程度、より好ましくは35~65質量%程度、さらに好ましくは40~60質量%程度が挙げられる。
<他の添加剤>
ハードコート層2には、紫外線曝露に対する耐候性を備えさせるために、必要に応じて、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。ハードコート層2に使用される紫外線吸収剤の種類については、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物、アクリルニトリル系化合物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、更に好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハードコート層2における紫外線吸収剤の含有量については、特に制限されないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部に対して0.1~10質量部、好ましくは0.2~10質量部であればよいが、更に好ましくは0.5~5質量部、特に好ましくは0.7~2質量部が挙げられる。
ハードコート層2には、前述する成分以外に、耐候性を更に向上させるために、必要に応じて光安定剤を含んでいてもよい。光安定剤としては、好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。また、光安定剤の好適な例として、硬化性樹脂と反応性を有する、すなわち分子内に反応性基を有する反応性ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。このような反応性ヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、架橋阻害が生じることなくハードコート性(耐傷性等)を向上させることができると共に、ブリードアウトを低減できるので、ブリードアウトによる性能低下を効果的に抑制することができる。反応性基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基が挙げられる。このような光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート(BASF社製、商品名「サノール LS-3410」又は日立化成工業株式会社製、商品名「FA-711MM」)、や2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA-712HM」)などが好ましく挙げられる。これらの光安定剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハードコート層2における光安定剤の含有量については、特に制限されないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部に対して0.5~10質量部、好ましくは1~8質量部、更に好ましくは2~6質量部が挙げられる。
更に、ハードコート層2には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の各種添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、易滑剤、防汚剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等が挙げられる。
<ハードコート層2の厚さ>
ハードコート層2の厚さについては、特に制限されないが、例えば、1~100μm、好ましくは1.5~50μm、更に好ましくは2~20μmが挙げられる。
<ハードコート層2の形成方法>
ハードコート層2の形成は、電離放射線硬化性樹脂と、必要に応じて各種添加剤とを混合した樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で転写用基材1に塗工し、当該樹脂組成物に電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化させればよい。
電離放射線硬化性樹脂の硬化に電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる電離放射線硬化性樹脂の種類やハードコート層2の厚み等に応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度が挙げられる。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~100kGy(1~10Mrad)の範囲で選定される。更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
かくして形成されたハードコート層2には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
[プライマー層3]
本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、プライマー層3は、ハードコート層2の密着性を向上させるために、必要に応じて設けられる層である。
プライマー層3は、バインダー樹脂を用いて形成される。本発明におけるプライマー層3の形成には、一般的な転写型ハードコートフィルムのプライマー層に使用されている硬化性樹脂等のバインダー樹脂が使用できる。当該硬化性樹脂として、具体的には、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル/ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、好ましくはウレタン樹脂が挙げられる。
上記ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
プライマー層3には、耐候性を更に向上させるために、必要に応じて光安定剤を含んでいてもよい。光安定剤としては、好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。これらの光安定剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
プライマー層3は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により、バインダー樹脂を含むプライマー層形成用の樹脂組成物をハードコート層2上に塗工することにより形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層3の塗膜を形成し、その後にハードコート層2の表面に被覆する方法である。
プライマー層3の厚さについては、特に制限されないが、例えば0.1~10μm、好ましくは0.1~5μm、更に好ましくは1~4μmが挙げられる。
[接着層4]
接着層4は、本発明の転写型ハードコートフィルムの転写用基材1とは反対側の表面に、必要に応じて配される層であり、被転写体となる樹脂成形体に接着する役割を果たす。
接着層4は、感熱接着性樹脂や加圧接着性樹脂等の接着性樹脂で構成された接着層であればよいが、好ましくは加熱によって溶着作用を発現するヒートシール層が挙げられる。接着層4を構成する接着性樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの接着性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、接着層4には、接着性樹脂以外に、必要に応じて、各種添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。
接着層4の厚さとしては、通常0.1~10μm、好ましくは0.5~6μm、更に好ましくは1~4μmが挙げられる。
接着層4の形成は、接着性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、所定の層上に塗工することによって行われる。
本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、接着層4の表面には、被転写体に対して転写されるまでの間は、ポリエチレン樹脂等の樹脂で形成されたカバーフィルム(保護フィルム)を貼り付けて保護しておくことが望ましい。接着層4の表面にカバーフィルムを設貼り付けた場合には、使用時に当該カバーフィルムを剥がして接着層4を露出させればよい。
[離型層]
離型層は、転写用基材1を剥離し易くするために、転写用基材1とハードコート層2の間に必要に応じて設けられる層である。本発明の転写型ハードコートフィルムにおいては、所定のハードコート層を備えているため、離型層は設けなくてもよいし、転写用基材1をハードコート層2の表面から剥離した後に、離型層の一部がハードコート層2の表面に残存することを抑制する観点からは、離型層は設けないことが好ましい。すなわち、転写用基材1の上にハードコート層2が直接積層されていることが好ましい。
離型層は、ハードコート層2に対して剥離性を高め得る熱可塑性樹脂によって形成される。離型層を形成する熱可塑性樹脂として、具体的には、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、アクリル-メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。
離型層の厚さとしては、通常0.2~20μm、好ましくは0.5~15μm、更に好ましくは1~10μmが挙げられる。
離型層の形成は、熱可塑性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、転写用基材1の上に塗工することによって行われる。
[着色層5]
着色層5は、本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽、情報表示、意匠性の付与等の目的で、転写用基材1とハードコート層2の間、ハードコート層2とプライマー層3の間、プライマー層3と接着層4の間、及び接着層4のプライマー層3側とは反対側の面上のいずれか少なくとも1つに、必要に応じて設けられる層である。
例えば、本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体を自動車の窓枠部材として使用する場合、当該ハードコート体の固定方法には、接着剤での固定、はめ込み、ビス止め等を選択しうるが、作業の簡易さから、接着剤での固定が好まれる。その際に、ハードコート体の全面が透明であると、接着剤塗布部が形成された面と反対側の面から接着剤塗布部が視認され易くなり、外観が損なわれるおそれがある。このような視認されるのが望ましくない領域に対応する部位に、隠蔽目的で着色層5を設けることによって、当該領域を隠すことができる。また、製造者、規制等の情報表示や、柄等の意匠を付与したい場合には、着色層5によって情報表示や意匠を付することもできる。
着色層5は、転写用基材1とハードコート層2の間、ハードコート層2とプライマー層3の間、プライマー層3と接着層4の間、及び接着層4のプライマー層3側とは反対側の面上のいずれか少なくとも1つに設けられていればよいが、密着性、耐候性、耐摩耗性の観点から、プライマー層3と接着層4の間に設けられていることが好ましい。
また、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、着色層5として、色調が異なる2以上の層が、同一又は異なる配置箇所に設けられていてもよい。例えば、ハードコート層2側から、黒色を呈する着色層5と白色を呈する着色層5がこの順で設けられていてもよく、また、ハードコート層2側から、白色を呈する着色層5と黒色を呈する着色層5がこの順で設けられていてもよい。
また、着色層5の形状については、本発明の転写型ハードコートフィルムの面方向に対して垂直方向から見た際に部分的に設けられていることを限度として、特に制限されず、その目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽目的で着色層5を設ける場合であれば、当該ハードコート体の外縁部を隠蔽する枠状であることが好ましい。このようにハードコート体の外縁部を隠蔽する枠状である場合には、着色層5の幅は、例えば10~200mm程度に設定すればよい。更に、ハードコート体の外縁部を隠蔽する枠状の着色層5を設ける場合には、当該枠状の着色層5と、当該枠状の着色層5が設けられていない領域の境界付近には、グラデーションパターンの着色層5が更に設けられていてもよい。このようなグラデーションパターンは、例えば、円(ドット)、長方形(線)、正方形及び三角形等の模様をパターンとして、枠状の着色層5から離れるに連れて、当該模様が小さくなったり、当該模様の色が薄くなったりするように設定すればよい。
また、情報表示や意匠の付与の目的で着色層5を設ける場合であれば、着色層5の形状は、企業のロゴ、商標及び規制指示を含む、文字、記号、数字、柄等であればよい。
着色層5が呈する色調については、特に制限されず、その目的に応じて、着色透明、着色半透明、着色不透明等のいずれを採用してもよい。例えば、着色層5を下部の部分的な隠蔽目的で使用する場合には、着色不透明であることが好ましい。
より具体的には、着色層5を隠蔽目的で設ける場合であれば、優れた隠蔽性を付与するという観点から、当該着色層5のOD(Optical Density;光学濃度)値は、高い程好ましく、具体的には3以上、好ましくは4以上、更に好ましくは5以上が挙げられる。ここで、着色層5のOD値は、以下の方法で求められる値である。
(着色層5のOD値の測定方法)
本発明の転写型ハードコートフィルムから転写用基材1を剥離した状態のシート、又は本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体において、着色層5が設けられていない部位のOD値(ODlow値)と、着色層5が設けられている部位のOD値(ODhigh値)を測定する。算出式(ODhigh値-ODlow値)に従って求められる値が着色層5のOD値となる。ここで、ODlow値とODhigh値は、透過濃度計を用い、中心波長555nmにて測定される値である。
また、前述する着色層5のOD値は、着色層5の形成に使用する顔料や染料の種類や含有量を適宜設定することによって充足させることができる。
着色層5は、着色料と、バインダー樹脂とによって形成される。
前記着色料としては、顔料又は染料のいずれか一方を使用しても、またこれらの双方を使用してもよいが、耐久性や耐候性の観点から、好ましくは顔料が挙げられる。また、前記着色料が呈する色については、着色層5の目的に応じて適宜設定すればよいが、隠蔽目的で設ける場合には、黒色顔料が好適である。黒色顔料の種類については、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、アゾメチンアゾ系ブラック等が挙げられる。
また、前記バインダー樹脂としては、特に制限されないが、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等、ウレタン樹脂、及びこれらの樹脂の共重合樹脂(例えば、ウレタンーアクリル共重合樹脂等)等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1液硬化型又は2液硬化型のいずれであってもよい。また、これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、着色層5には、必要に応じて、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等の添加剤が含まれてもよい。
着色層5の厚さについては、その目的、設定すべきOD値、使用する着色料の種類や含有量等に応じて適宜設定すればよいが、通常0.1~20μm、好ましくは1~15μm、更に好ましくは3~10μmが挙げられる。
着色層5の形成は、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤を含む着色層5用のインキ組成物を、グラビアコート、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、コンマコート、インクジェット、ディスペンサ―等の方法で、所定の層上に塗工することによって行われる。
前記着色層5形成用のインキ組成物は、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤が溶剤に溶解又は分散させたものであればよい。前記着色層5用のインキ組成物で使用される溶剤としては、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤に対して溶解性又は相溶性を示すものであればよく、着色層5用のインキ組成物の塗工方法や着色層5形成時の乾燥方法等に応じて適宜選定すればよいが、着色料及びバインダー樹脂に対する溶解性又は相溶性、乾燥性等の観点から、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
転写型ハードコートフィルムの製造
本発明の転写型ハードコートフィルムは、転写用基材1の上に、ハードコート層2、さらには、必要に応じて、プライマー層3、着色層5、接着層4などを積層させることにより製造される。また、転写用基材1とハードコート層2の間に離型層を設ける場合には、転写用基材1の上に離型層を形成した後に、ハードコート層2などを積層させればよい。
ハードコート層2、プライマー層3、着色層5、接着層4、及び離型層の形成方法については、前記の通りである。
転写型ハードコートフィルムの用途
本発明の転写型ハードコートフィルムは、被転写体となる樹脂成形体に対して、ハードコート層2を転写することにより、ハードコート性(耐傷性等)と共に耐候性を付与するために使用される。本発明の転写型ハードコートフィルムにおける転写用基材1は、樹脂成形体に転写された後に剥離される。
本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、被転写体となる樹脂成形体については、特に制限されないが、例えば、一般住居や公共施設の建築構造物の外内装材、自動車内外装用の部品、太陽電池カバー、太陽電池基板、家電製品の部材、照明用カバー、各種ディスプレー装置の前面板又はカバー、信号機や光学機器に使用されるレンズ類等が挙げられる。本発明の転写型ハードコートフィルムによれば、優れた耐候性を樹脂成形体に付与できることを鑑みれば、本発明の転写型ハードコートフィルム被転写体となる樹脂成形体として、好ましくは、直射日光や風雨に晒される環境で使用される外装部材や準外装部材が挙げられる。このような外装用又は準外装用部材としては、具体的には、自動車、鉄道等の車両用の外装部材(各種ウインドウ、サンルーフ、ルーフパネル、ウインドーリフレクター、ウインカーランプレンズ、サイドミラー、ヘッドランプカバー等);バルコニーの仕切り板、テラスやカーポート等の屋根部材、玄関ドア、建造物の窓等の建築部材;防音壁や風防壁等の壁材;信号機に使用されるレンズ類等が挙げられる。
本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、被転写体は、ハードコート性(耐傷性等)の付与が求められる樹脂成形体であればよいが、好ましくは、透明で強度が高く、現状のガラス代替として使用可能な有機ガラスが挙げられる。有機ガラスとしては、具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等が挙げられる。これらの有機ガラスの中でも、ポリカーボネートは耐衝撃性や透明性に優れており、好適に使用される。
有機ガラスとしてポリカーボネートを使用する場合、そのメルトボリュームレート(MVR)については、特に制限されないが、6~25cm3/10分程度、好ましくは6~12cm3/10分程度が挙げられる。メルトボリュームレートが低い程、優れた耐衝撃性を発揮するため、有機ガラスの用途に応じて、適切なメルトボリュームレートを備えるポリカーボネート樹脂を選定すればよい。なお、当該メルトボリュームレートは、JISK 7210-1999に準拠し、温度300℃、荷重1.2kgfの条件にて測定される値である。
また、被転写体となる樹脂成形体は、同一又は異なる種類の樹脂が複数積層されていてもよい。同一又は異なる種類の樹脂が複数積層されている樹脂成形体は、例えば、共押出しによって調製することができる。
被転写体となる樹脂成形体の厚さについては、特に制限されず、有機ガラスの用途に応じて適宜設定すればよいが、通常0.5~50mm、好ましくは1~20mm、更に好ましくは1.5~5mmが挙げられる。
2.転写型ハードコートフィルムを用いたハードコート体及びその製造方法
本発明の転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側が被転写体となる樹脂成形体6に接するように積層した後に、転写用基材1を剥離することによって、ハードコート体を得ることができる。即ち、本発明の転写型ハードコートフィルムを用いて製造したハードコート体は、図6に示すように、少なくとも、樹脂成形体6、及びハードコート層2がこの順に積層された積層構造になる。また、本発明の転写型ハードコートフィルムにおいて、プライマー層3、接着層4、着色層5などが設けられている場合であれば、これらの層を前記のような位置に積層する。本発明の転写型ハードコートフィルムを用いたハードコート体は、樹脂成形体6上に積層されたハードコート層2によって、ハードコート性(耐傷性)と共に優れた耐候性を備えることができる。
ハードコート体に使用される樹脂成形体6の種類等については、前記の通りである。
本発明の転写型ハードコートフィルムを用いてハードコート体を製造する方法としては、転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側に、樹脂成形体6を積層して、転写用基材付きハードコート体を得る工程と、転写用基材付きハードコート体から転写用基材1を剥離してハードコート体を得る工程とを備える方法が挙げられる。転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側に、予め成形された樹脂成形体6を貼り合わせて、転写用基材付きハードコート体を得ることができる。また、転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側に、樹脂を射出することで樹脂成形体を一体化させて、転写用基材付きハードコート体を得ることができる。
より具体的には、予め成形された樹脂成形体に本発明の転写型ハードコートフィルムを貼付した後に転写用基材1を剥離する方法(以下、第1法);被転写体となる樹脂を射出成形する際に本発明の転写型ハードコートフィルムと一体化させた後に、転写用基材1を剥離する方法(以下、第2法)等が挙げられる。
前記第1法によってハードコート体を製造する方法としては、押出し成形等により樹脂成形体を成形し、その直後又は冷却後に、ロール等を用いて本発明の転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側の面を、当該樹脂成形体に圧着して積層する方法が挙げられる。樹脂成形体に本発明の転写型ハードコートフィルムの転写用基材1側とは反対側の面を圧着する際に、必要に応じて転写型ハードコートフィルムの少なくとも一部(例えば接着層4の一部)が溶融する程度に加熱してもよい。転写型ハードコートフィルムの加熱は、圧着前の転写型ハードコートフィルムの予備加熱、熱圧ロールによる圧着と同時の加熱等によって行うことができる。また、転写前に樹脂成形体を予備加熱してもよい。樹脂成形体に本発明の転写型ハードコートフィルムを貼付した後に、転写用基材1を剥離して除去すればよい。また、樹脂成形体に本発明の転写型ハードコートフィルムを貼付した後に、更に、これを曲げ加工等の成形処理に供してもよい。このような成形加工は、転写用基材1の剥離前又は後のいずれで行ってもよい。
また、前記第2法によるハードコート体の製造は、転写型ハードコートフィルムを使用した公知の射出成型法によって行うことができる。
具体的には、前記第2法によるハードコート体の製造方法の一態様として、下記第I~II工程を実施する方法が挙げられる。
第I工程:本発明の転写型ハードコートフィルムを射出成形型に挿入(転写用基材1側とは反対側が、射出される樹脂側に配置)し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と本発明の転写型ハードコートフィルムを一体化する。
第II工程:樹脂成形体と一体化された本発明の転写型ハードコートフィルムから転写用基材1を剥離する。
前記第I工程において、本発明の転写型ハードコートフィルムが射出された樹脂と一体化し易くするために、本発明の転写型ハードコートフィルムを射出成形型に挿入する前に、必要に応じて、本発明の転写型ハードコートフィルムを予備加熱してもよい。また、本発明の転写型ハードコートフィルムの予備加熱を行わなくても、射出された樹脂の余熱によって射出された樹脂と本発明の転写型ハードコートフィルムを一体化することもできる。また、前記第I工程において、射出成形型に挿入した本発明の転写型ハードコートフィルムは、樹脂を射出する前に真空吸引等によって射出成形型に添わせてもよい。
また、前記第II工程において、転写用基材1の剥離は、射出成形型の離間と同時に行ってもよく、射出成形型の離間後に行ってもよい。また、第II工程において転写用基材1を剥離した後、ハードコート層2の面に保護フィルムを設置してもよい。また、ハードコート体の使用時まで転写用基材1の剥離を行わず、転写用基材1が付した状態を維持してもよい。
また、前記第2法によるハードコート体の製造方法の他の態様として、下記第1~3工程を実施する方法が挙げられる。
第1工程:型開き状態の雌雄一対の金型の間に、本発明の転写型ハードコートフィルムを、転写用基材1側とは反対側がキャビティ側に向くように供給して、固定する。更に、本発明の転写型ハードコートフィルムを加熱、軟化させると共に、転写用基材1と対面している金型側から真空吸引して、本発明の転写型ハードコートフィルムを当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、本発明の転写型ハードコートフィルムを予備成形する。
第2工程:両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより、樹脂成形体と本発明の転写型ハードコートフィルムを積層一体化させる。
第3工程:可動金型を固定金型から離間させて、本発明の転写型ハードコートフィルムが一体化された樹脂成形体を取り出し、本発明の転写型ハードコートフィルムから転写用基材1を剥離する。
また、前記第3工程において、転写用基材1の剥離は、金型の離間と同時に行ってもよく、金型の離間後に行ってもよい。また、第3工程において転写用基材1を剥離した後、ハードコート層2の面に保護フィルムを設置してもよい。また、ハードコート体の使用時まで転写用基材1の剥離を行わず、転写用基材1が付した状態を維持してもよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
1.転写型ハードコートフィルムの製造
[実施例1~5]
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム 東洋紡 コスモシャイン A4100)からなる転写用基材(厚さ50μm)に、表1に記載の質量比でポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーとを含む下記のハードコート層形成用の樹脂組成物を塗工し、電子線照射7Mradにて硬化させることにより、転写用基材上にハードコート層(3μm)を積層させた。次いで、当該ハードコート層面にコロナ放電処理をした上に、下記のプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成し、更に当該プライマー層上に、熱融着樹脂(アクリル樹脂)をグラビアリバース法によって塗工して厚さ4μmの接着層を形成した。斯して、転写用基材上に、ハードコート層、プライマー層、及び接着層が順に積層された転写型ハードコートフィルムを得た。
[比較例1]
ハードコート層形成用の樹脂組成物として、下記のウレタン系オリゴマーを用いたこと以外は、実施例1~5と同様にして、転写用基材上に、ハードコート層、プライマー層、及び接着層が順に積層された転写型ハードコートフィルムを得た。
<ハードコート層形成用の樹脂組成物(実施例1~5で使用)>
・ポリカーボネート(メタ)アクリレートとしてポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート(分子量約5,000)と、多官能オリゴマーとして1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が反応してなるウレタンアクリレートとを、それぞれ表1に記載の質量比で含む混合物を100質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「Tinuvin479」):0.7質量部
・反応性官能基を有する光安定剤(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製「サノールLS-3410」):4.2質量部
・非反応性シリコーン化合物(ポリエーテル変性シリコーンオイル):0.3質量部
・耐傷フィラー(シリカ粒子、平均粒子径:2μm):2重量部
<ハードコート層形成用の樹脂組成物(比較例1で使用)>
・6官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量約1,000):60質量部
・2官能カプロラクトン系ウレタンアクリレート(重量平均分子量約22,000):40質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「Tinuvin479」):0.7質量部
・反応性官能基を有する光安定剤(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製「サノールLS-3410」):4.2質量部
・非反応性シリコーン化合物(ポリエーテル変性シリコーンオイル):0.3質量部
<プライマー層形成用の樹脂組成物(実施例1~5及び比較例1で使用)>
・ ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体(質量平均分子量及びアクリル成分の含有量は、表1に示す通り):100質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*1:17質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*2:13質量部
・ ヒンダードアミン系光安定剤*3:8質量部
・ ブロッキング防止剤*4:9質量部
・ 硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート):25質量部
*1 チヌビン400(商品名)、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*2 チヌビン479(商品名)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*3 チヌビン123(商品名)、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)、BASFジャパン株式会社製
*4 シリカ粒子、平均粒径:3μm
2.ハードコート体の製造
型開き状態の雌雄一対の金型(可動金型と固定金型)の間に、転写型ハードコートフィルムを、接着層面がキャビティ側に向くように供給して、固定した。その後、転写型ハードコートフィルムの接着層を100℃に加熱して軟化させると共に、転写用基材側と対面している金型側から真空吸引して、軟化した転写型ハードコートフィルムを当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、転写型ハードコートフィルムを予備成形した。次いで、両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態のポリカーボネート樹脂(帝人社製 パンライトL-1250Z、MVR8cm3/10min)を成形温度315℃、圧力170MPaにて射出、充填して固化させることにより、ポリカーボネート成型品と転写型ハードコートフィルムを積層一体化させて転写用基材付きハードコート体を得た。その後、可動金型を固定金型から離間させた後、転写用基材をハードコート層から剥離することにより、ポリカーボネート、接着層、プライマー層、及びハードコート層がこの順で積層されているハードコート体を製造した。
<成形性評価:150℃環境でのハードコート層の伸び率の測定>
JIS K 7161-1194に規定された試験方法に準拠して、実施例1~5及び比較例1で得たハードコート層と同様のハードコート層の150℃環境での伸びを測定して、成形性を評価した。それぞれ、実施例1~5及び比較例1で用いたハードコート層形成用の樹脂組成物を、厚さ50μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡 コスモシャイン A4100)の易接着処理面に塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させて、PETフィルム上に形成されたハードコート層(厚さ3μm)を剥離した。得られた各ハードコート層を、ダンベル形状に切りとって試験片とした。試験片の測定部の幅は25mm、引張速度は100mm/min、チャック間距離は500mmとし、試験片にクラックが入るまで延伸して、伸び率(%)として求めた。結果を表1に示す。
<剥離性評価:剥離力の測定>
それぞれ、実施例1~5及び比較例1で用いたハードコート層形成用の樹脂組成物を、厚さ75μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡 コスモシャイン A4100)の易接着処理面に塗工し、電子線照射7Mradにて硬化させて、PETフィルム上にハードコート層(厚さ3μm)を形成した。次に、ハードコート層の表面に、ニチバン製のセロハンテープ(CT-405AP-24)を貼り、長さ200mm、幅12mmのサンプルとなるように、2軸延伸PETフィルム、ハードコート層、及びセロハンテープの積層体を裁断した。得られたサンプルのPETフィルム側を、厚さ1mmのステンレス鋼板の上に両面テープ(寺岡製のNo.751 50mm)で固定し、市販の引張試験機(オリエンテック社製のテンシロン万能材料試験機 RTC-1250A)を用いて、180°ピール粘着力試験を行い、転写用基材としてのPETフィルムからのハードコート層の剥離力(N/12mm)を測定した。図7に180°ピール粘着力試験の様子を示す模式図を示す。引張試験機の上部と下部に、試験板とサンプルを固定する部品として、上部チャックと下部チャックを準備した。セロハンテープを剥がす際には、背面が重なるようにサンプルの掴みしろを持って180°に折り返した。この時、ハードコート層がPETフィルムから剥離していることを確認する。引張試験機の下部チャックに試験板の片端を固定し、上部チャックに試料の掴みしろを固定した。次に、引張試験機を、引張速度毎秒5.0±0.2mmで動かし測定を開始した。測定開始後、最初の25%の長さの測定値は無視した。その後、試験板から引き剥がされた50%の長さの粘着力測定値を平均し、ピール粘着力試験によって測定された剥離力(N/12mm)とした。結果を表1に示す。
<耐摩擦性評価:ΔHの測定>
JIS K 7204;1999に規定された試験方法に準拠して、実施例1~5及び比較例1で得た各転写型ハードコートフィルムのハードコート層の表面について、試験前後のヘイズ値の差ΔHに基づいて、耐摩擦性を評価した。摩耗輪としては、CS10Fを使用した。結果を表1に示す。
<耐候性評価>
JIS K 7350-2:2008(A法-デイライトフィルタを通した暴露)に規定された試験方法に準拠して、実施例1~5及び比較例1で得た各転写型ハードコートフィルムのハードコート層の表面について、耐候性を評価した。露光出力と露光時間は180W-Xe、2000時間で暴露試験を行い、試験前後の色差(ΔE*ab)をJIS Z 8730:2009に準拠して測定し、ΔE*ab≦3.0を〇、ΔE*ab>3.0を×とした。その結果を表1に示す。
Figure 0007310213000001
* 比較例1においては、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含むハードコート層形成用の樹脂組成物の代わりに、ウレタン系オリゴマーを含むハードコート層形成用の樹脂組成物を使用した。
1 転写用基材
2 ハードコート層
3 プライマー層
4 接着層
5 着色層
6 樹脂成形体

Claims (7)

  1. 転写用基材の上に、少なくとも、ハードコート層を有し、
    前記ハードコート層が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能オリゴマーを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されており、
    前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと前記多官能オリゴマーとの質量比が、65:35~20:80の範囲であり、
    前記転写用基材の上にハードコート層が直接積層されている、転写型ハードコートフィルム。
  2. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1000以上である、請求項に記載の転写型ハードコートフィルム。
  3. 前記転写用基材の上に、少なくとも、前記ハードコート層、及びプライマー層をこの順に有する、請求項1又は2に記載の転写型ハードコートフィルム。
  4. 前記転写用基材の上に、少なくとも、前記ハードコート層、前記プライマー層、及び接着層をこの順に有する、請求項に記載の転写型ハードコートフィルム。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、樹脂成形体を積層して、転写用基材付きハードコート体を得る工程と、
    前記転写用基材付きハードコート体から前記転写用基材を剥離してハードコート体を得る工程と、
    を備える、ハードコート体の製造方法。
  6. 前記転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、樹脂を射出することで樹脂成形体を一体化させて、転写用基材付きハードコート体を得る、請求項に記載のハードコート体の製造方法。
  7. 前記転写用基材付きハードコート体を得る工程において、転写型ハードコートフィルムの前記転写用基材側とは反対側に、予め成形された樹脂成形体を貼り合わせて、転写用基材付きハードコート体を得る、請求項に記載のハードコート体の製造方法。
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