JP2007222722A - 親水性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種のガラス基板やプラスチック基板の表面に、親水性を保持し、耐久性、透明性、保存安定性に優れ、低コストで製造でき、且つ汚れも防止でき、メンテナンスフリーとなり、実用性能にも優れた電磁波シールド親水化表面層を備える親水性部材を提供することにある。
【解決手段】基板上に、a) 親水性ポリマー、b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、c)導電性化合物を含有し、b)の金属アルコキシドを加水分解、重縮合した親水性被膜を塗設したことを特徴とし、前記親水性被膜が、好ましくはa)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒、またd)コロイダルシリカを含有し、導電性化合物が、粒状またはフレーク状または繊維状フィラーであり、親水化表面層表面抵抗が、103 Ω・cm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面親水性部材に関し、詳細には、親水性を保持し、耐久性、透明性、保存安定性に優れ、防汚機能または防曇機能を有し、且つ電磁波シールド機能を備えた防汚防曇性電磁波シールド部材として適用可能な親水性部材に関する。
近年電磁波障害が問題に成りつつある。例えば、高度情報化社会の発達、マルチメディア社会の到来により、電子機器がオフィス、一般家庭に入りつつあるが、外部から進入してくる電磁波により、これら電子機器の誤作動を引き起こすケースが増えつつある。
又、電子機器の企業、個人の情報は、その電子機器の電波を受信することにより情報・機密事項を盗聴することも可能と成っている。更に、高圧送電線付近ではそこから発生する電磁波により、そこの住民の健康障害を引き起こすことも懸念されており、又、医療現場では、携帯電話、レーザーメスより発生する電磁波が、心臓のペースメーカーを停止させる等の誤作動を引き起こすことも懸念されている。
これらの電磁波障害を防止する為に、オフィス、一般家庭に於いて電磁波シールドする要望が高まりつつある。ビルあるいは一般住宅等を電磁波シールドする場合、ビルあるいは家屋の全面をシールドしなければ成らない。その理由は、少しの漏れは、そこから電磁波の出入りが有って機能を果たさない為である。
全面電磁波シールドする場合、屋根材、床材、壁材は勿論のこと、更に採光部分としての窓材の電磁波シールドも必要である。屋根材、床材、壁材等を電磁波シールドする方法としては、ビルあるいは一般住宅に使用されている材料に、例えば金網等の導電性材料を張り付けるあるいは埋め込む方法で実施されている。しかしながら、これらの方法は、施工が複雑であると同時に何れにしても外観上その上に壁紙等で外装する必要が有る為、壁紙等が電磁波シールド性を示し、それを張り付けるのみで電磁波シールド材となることが、より好ましい。
壁紙、その多くは高分子材料から形成されているが、この高分子材料を電磁波シールドする方法の一つとして、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)等の無機導電物質を高分子材料表面に形成させる方法が考えられるが、一般には、スパッタリング法等によりITO薄膜を形成させている。一方、窓材を電磁波シールドする方法としては、スパッタリング法等により無機導電薄膜である銀薄膜を形成させる等で実施されている。しかしながら、これらスパッタリング法等一般的な方法は、薄膜形成の為に、真空装置等の付帯設備が必要となり、大型投資が必要となるのみならず、薄膜形成速度が遅く生産性が悪い。従ってコスト高となる等の問題点をかかえている。これらを回避する為に、安価に導電薄膜を形成させることにより安価に提供できる電磁波シールド材料が要望されている。
更に、例えば、ビルあるいは一般住宅等の壁紙あるいは窓ガラス等は、大気中の油分付着により汚れて美観を損なう。この為、定期的にクリーニングすることによって美観を維持している。この為、クリーニングすることなく美観を維持することが望まれている。特に高層ビルではこのメンテナンスに大きな労力と経費を要している。もし、メンテナンスフリーの窓ガラスと成れば、大きな省力化及び経費削減につながることになり期待は大きい。この様な状況の中、電磁波シールド性を示し、常に美観を維持できる壁紙あるいは窓ガラス等の材料が無く、又これら材料を安価に提供できる技術も無いのが現状である。
上記の美観の維持の問題に関連して、樹脂フィルムは種々の目的で使用されているが、それらの表面は疎水性を示すものが一般的である。また、ガラスや金属等の無機材料についても、高い親水性を有するものは少ない。樹脂フィルム、無機材料などを用いた基材の表面が親水化されると、付着水滴が基材表面に一様に拡がり均一な水膜を形成するようになるので、ガラス、レンズ、鏡の曇りを有効に防止でき、湿分による失透防止、雨天時の視界性確保等に役立つ。さらに、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着しにくく、付着しても降雨や水洗により簡単に落せるようになるので、種々の用途に有用である。
従来提案されている親水化するための表面処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等によれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案されている(非特許文献1)。この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められている。
化学工業日報、1995年1月30日
本発明の目的は、前記の如き状況に鑑み、各種のガラスやプラスチック等の基板の表面に、親水性を保持し、耐久性、透明性、保存安定性に優れ、低コストで製造でき、且つ汚れも防止でき、メンテナンスフリーとなり、実用性能にも優れた電磁波シールド親水化表面層を備える親水性部材を提供することにある。
上記課題を達成するために、親水性グラフトポリマーの特性に着眼し研究を進めた結果、本発明者らは、親水性ポリマーと金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造とを備えた表面層により上記目的を達成し得ること、さらには、このような表面層に導電性化合物を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく防汚機能または防曇機能、電磁波シールド機能が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)基板上に、a) 親水性ポリマー、b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、c)導電性化合物を含有し、b)の金属アルコキシドを加水分解、重縮合した親水性被膜を塗設した親水性部材。
(2)前記親水性被膜が、a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を含有する前記(1)の親水性部材。
(3)前記基板が、ガラス基板またはプラスチック基板である前記(1)の親水性部材。
(4)前記親水性被膜が、さらにd)コロイダルシリカを有する前記(1)の親水性部材。
(5)a)の親水性ポリマーが、下記一般式(I)及び(II)から選ばれる少なくともいずれかで表される前記(1)のの親水性部材。
Figure 2007222722
式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは式(III)を表す。
Figure 2007222722
式(III)中、R1、R2、L1及びYは式(I)および(II)中のものと同じ。
(6)導電性化合物が、粒状またはフレーク状または繊維状フィラーである前記(1)の親水性部材。
(7)親水層表面抵抗が、103 Ω・cm以下であるの前記(1)〜(6)のいずれかの親水性部材。
本発明は、親水性ポリマーが、金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造を有しており、該親水性ポリマーは、末端で化学結合しているか、または、架橋構造物に化学結合した主鎖に親水性ポリマーが結合しているグラフトポリマー構造を有しているため、親水性ポリマー鎖の運動性が非常に高く、親水性に優れた表面を提供できる。
また、金属アルコキシドを加水分解、縮重合した架橋構造は、架橋密度の高い硬化膜であり、強度に優れた耐久性の良い皮膜を形成する。そのため、ガラス基板またはプラスチック基板上に設けた親水性層が、製造時などのハンドリング時における曲げに対して、ひび割れなどの故障を起こすことなく、常に、正常な親水層表面を提供できる。
更に本発明の親水性部材は、導電性化合物、好ましくは無機系導電性フィラーを添加することにより、電磁波シールド性が向上し、かつ、親水性皮膜強度が改善され、高い耐久性が得られた。
電磁波を遮蔽するためには、導電性化合物どうしの接触が必要であり、そのためには大量の導電性化合物を添加しなければならず、その結果、親水層が脆くなり、耐久性に問題があった。しかし、本発明の親水化表面層(親水層ともいう)においては、親水性ポリマーおよび金属アルコキシドの加水分解、重縮合からなる架橋親水性層の中に、無機系導電性化合物を安定かつ分散性よく存在させることが可能となり、膜強度を劣化させることなく、導電性を付与でき、電磁波を遮蔽することを達成した。
本発明では、触媒を使用する場合は、親水性層皮膜形成するための乾燥温度を低く設定することが可能であり、プラスチック基板上での熱変形を抑制することが可能である。
また、本発明の親水性部材は、表面親水性が非常に高いにもかかわらず、金属アルコキシドの加水分解、重縮合により、架橋密度の高い硬化膜が得られるため、その親水性層は水を含みにくい性質があり、そのため、環境湿度(特に高湿条件下)によるベタツキが抑制され、構造物を重ねて保管したときの、裏面接着防止に効果がある。すなわち、構造物の保存時における、親水性層表面と上に重なった構造物の裏面接着による剥がれなどの故障を抑えることが可能である。
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明の表面親水性部材は、ガラス、プラスチック等の適切な基板上に、親水性ポリマー鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシドを加水分解、重縮合して形成された架橋構造を有する親水性被膜(親水性層または親水層ともいう)を備えるものであるが、このような架橋構造を有する親水性層は、後に詳述する金属アルコキシド化合物と、親水性グラフト鎖を形成しうる親水性の官能基を有する化合物と、適切な導電性化合物を用いて、適宜、形成することができる。金属アルコキシドのなかでも、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
前記したような金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架橋構造と称する。このようなポリマー鎖の片末端が固定されずポリマー鎖の運動性が大きい親水性層は、例えば、(A)シランカップリング基等の反応性基を末端に有する一般式(I)で表される高分子化合物、または、該反応性基を幹ポリマーの側鎖として有する一般式(II)で表される高分子化合物と、(B)加水分解性の金属アルコキシド化合物と、(C)導電性化合物とを含有する親水性塗布液組成物を調製し、それを塗布、乾燥して表面親水性層を形成することにより容易に形成し得る。以下に、この好ましい態様である親水性層を形成するための親水性塗布液組成物に含まれる各成分について説明する。
〔導電性化合物〕
先ず、本発明の親水性部材の特徴は、電磁波を遮蔽することである。通常の親水化表面層(親水層ともいう)は電気伝導性が低いため、電磁波を遮蔽することができないが、本発明の親水性部材は適切な導電性化合物を添加することにより、導電性を高め、電磁波遮蔽することが可能となる。
導電性化合物としては、無機系材料および、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等の素材自身が導電性を有する有機系材料が種々提案されているが、本発明では、親水性機能を劣化させない点から、無機系材料が好ましい。
無機系導電性化合物は、その形状から、粒状、繊維状、フレーク状に大別できるが、本発明ではいずれの導電性化合物でも使用することができる。特に、親水層の親水性、機械的強度、親水層中での導電性化合物の分散性の観点から材料を選択することが重要である。
導電性および機械的強度の観点から、繊維状導電性フィラーが最も好ましい。
導電性フィラーとしては、たとえば、粒状のものとして、導電性カーボン、銀コロイド、銅、ニッケル、ステンレス粉、酸化スズ系、酸化亜鉛系、金属メッキ粒状樹脂粉体、銀被覆ガラスビーズ、等が挙げられる。繊維状のものとしては、カーボン繊維、アルミ繊維、ステンレス繊維、アルミ被覆ガラス繊維、ニッケル被覆ガラス繊維、金属被覆ガラス繊維、ニッケルメッキカーボン繊維、黄銅繊維、等が挙げられる。フレーク状のものとしては、アルミフレーク、ステンレスフレーク、ニッケルフレーク、ニッケル被覆マイカ、等が挙げられる。
金属アルコキシドの加水分解物と重縮合可能な導電性フィラーが、特に好ましく、たとえば、銀コロイド、酸化スズ系粉体、酸化亜鉛系粉体、銀被覆ガラスビーズ、アルミ繊維、アルミ被覆ガラス繊維、ニッケル被覆ガラス繊維、アルミフレーク、ニッケル被覆マイカが、最も好ましい。
親水層成分との相互作用を強め機械的強度をさらに向上させるために、上記導電性フィラー表面にシリカ等の無機材料を部分的に被覆することも可能である。被覆方法は、コーティングやスパッタなど公知の方法を適用できる。このような無機材料の部分被覆は、親水性向上にも効果があり、好ましい。
導電性フィラーの大きさは形状が繊維状の場合には、直径が0.001〜200μm、より好ましくは0.01〜100μm程度であり、アスペクト比が2〜200、より好ましくは5〜100程度である。アスペクト比をこれより大きいと本発明の親水性部材の親水層内での分散性が悪くなり、これより小さいと同様の電磁波シールド効果を得るためにはより多くの導電性フィラーを必要とするからである。
また、その他の形態の場合には粒径で1〜400μm、より好ましくは3〜100μm程度である。なお、粒径が小さくなるほど、酸化皮膜が多くなって、通電性が悪くなる。また粒径が小さくても、逆に粒径が大きくても分散性が低下し、皮膜形成性および強度が低下する。
導電性フィラーの添加量は、親水層の全固形分の1%〜60%が好ましく、2%〜50%がさらに好ましく、5%〜30%が最も好ましい。添加量が少なすぎると、導電性が不十分となり、添加量が多すぎると、皮膜形成性および強度が低下する。
本発明の親水性部材の親水層の固有抵抗値は、103Ω・cm以下であることが好ましく、102Ω・cm以下であることがより好ましい。
〔親水性ポリマー〕
本発明に使用される親水性ポリマーは、親水性基を有し、且つSi、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物と、触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマーである。親水性基としては、好ましくはカルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。金属アルコキシド化合物と、触媒の作用等により結合を生じる基としては、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。また親水性基、および金属アルコキシド化合物と触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマー構造としては、エチレン性不飽和基(例えばアクリレート基、メタクリレート基、イタコン酸基、クロトン酸基、桂皮酸基、スチレン基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基など)がビニル重合したポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸などのような縮重合したポリマー、ポリウレタンなどのような付加重合したポリマーの他、セルロース、アミロース、キトサンなどの天然物環状ポリマー構造を好ましく挙げることができる。具体的には一般式(I)、(II)で表される構造を挙げられる。
Figure 2007222722
式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは式(III)を表す。
Figure 2007222722
式(III)中、R1、R2、L1及びYは式(I)および(II)中のものと同じ。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、反応性基と親水性基を有する。反応性基は、主鎖の一つの末端のみに有する場合や、主鎖に複数個有する場合などがある。
「反応性基」は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる官能基を意味する。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。
化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
反応性基は、一般には、ポリマーの架橋剤に含まれる反応性基と同様であり、熱または光により架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
反応性基の例は、カルボキシル(HOOC−)、その塩(MOOC−、Mはカチオン)、無水カルボン酸基(例えば、無水コハク酸、無水フタル酸または無水マレイン酸から誘導される一価の基)、アミノ(H2N−)、ヒドロキシル(HO−)、エポキシ基(例、グリシジル基)、メチロール(HO−CH2−)、メルカプト(HS−)、イソシアナート(OCN−)、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基を含む。反応性基としては、アルコキシシリル基が最も好ましい。片末端には、2以上の反応性基を有していてもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
親水性ポリマーの繰り返し単位と反応性基との間や、親水性ポリマーの繰り返し単位と主鎖に連結基が介在していることが好ましい。連結基AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−または−S−または−CO−または−NH−を含む組み合わせであることが好ましい。
親水性ポリマーとしては、前記の導電性化合物との相互作用によって、塗布液中および親水層中で安定分散に寄与できるものが好ましい。導電性化合物の安定分散に有効な相互作用を発現させる方法としては、親水性官能基によるイオン結合、配位結合、水素結合からなる相互作用を利用することができる。具体的には、下記に示す、各種親水性ポリマーを挙げることができる。
(末端に反応性基を有する親水性ポリマー(I))
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーは、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーの質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、2000乃至10万が最も好ましい。
この一般式(I)で表される高分子化合物は、末端に反応性基を有する親水性ポリマーである。上記一般式(I)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R1、R2は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
AおよびL1は単結合又は有機連結基を表す。ここで、AおよびL1が有機連結基を表す場合、AおよびL1は非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2007222722
また、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7は、炭素数1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表す。また、−CON(R72のように複数のR7を有する場合、R7同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R7はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1、R2がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。また、Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。Yとしては、具体的には、−NHCOCH3、−CONH2、−COOH、−SO3 -NMe4 +、モルホリル基等が好ましい。
本発明に好適に用い得るa)親水性ポリマーの具体例(例示化合物1〜例示化合物38)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007222722
Figure 2007222722
Figure 2007222722
Figure 2007222722
上記に例示した親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2007222722
上記式(i)及び(ii)において、A、R1〜R2、L1、Yは、上記式(I)と同義である。また、これらの化合物は、市販されおり、また容易に合成することもできる。
(複数個反応性基を有する親水性ポリマー(II))
上記式(II)で表される反応性基を複数個有する親水性ポリマーは、金属アルコキシドと反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを用いることができる。
上記式(II)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、上記式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L2、L3は、上記式(I)のL1と同義である。Bは、上記式(III)で表され、式(III)中の、R1、R2、L1及びYは式(I)および(II)中のものと同じである。Xは上記式(I)と同義である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを作成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
(親水性マクロモノマー)
本発明で使用される親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の重量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以下では有効な親水性を得がたく、また10万以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が低くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
親水性マクロモノマーと共重合可能でかつ架橋剤と反応し得る官能基(以下、適宜、反応性官能基と称する)を有するモノマーの反応性官能基としては、カルボキシル基あるいはその塩、アミノ基、水酸基、フェノール性水酸基、グリシジルなどのエポキシ基、メチール基、(ブロック)イソシアネート基、シランカップリング剤等が挙げられる。一般なモノマーとしては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊〔1981〕、「紫外線硬化システム」加藤清視著、総合技術センター刊〔1989〕、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」加藤清視著、高分子刊行会〔1985〕、「新・感光性樹脂の実際技術」赤松清著、シーエムシー刊行(102−145頁)〔1987〕等に記載されているモノマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される如きフェノール性水酸基含有モノマー、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロールメタクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、下記式(2)で例示されるようなブロックイソシアネートモノマー等のブロックイソシアネートモノマー、ビニルアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
Figure 2007222722
これらのグラフトポリマーとしては、重量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、さらに好ましくは2万〜10万の範囲のものである。分子量が100万をこえるものは、親水性被膜形成用塗布液を調製する際に溶媒へ溶解性が悪化したり、塗布液粘度が高くなり、均一な被膜を形成し難いなどハンドリング性に問題がでる懸念があり、好ましくない。
上記、親水性ポリマーは、式中Yで表される親水性を発現する親水性官能基を有しており、この官能基の密度が高いほど表面親水性が高くなり好ましい。親水性官能基密度は、親水性ポリマー1g当たりの官能基モル数で表すことができ、1〜30meq/gが好まく、2〜20meq/gがより好ましく、3〜15meq/gが最も好ましい。
上記、親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100cPs(5%水溶液、25℃測定)、好ましくは0.5〜70cPs、さらに好ましくは1〜50cPsの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
〔Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物〕
本発明で用いられる金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、さらに、前記親水性ポリマーとも化学結合する。金属アルコキシドは一般式(IV-1)および一般式(IV-2)で表すことができ、式中、R8は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R8及びR9がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
(R8m−Z−(OR94-m (IV-1)
Al−(OR9 (IV-2)
以下に、一般式(IV-1)および一般式(IV-2)で表される加水分解性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
〔触媒〕
本発明の親水性層の形成においては、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起する触媒等を使用できる。触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などの酸性を示す化合物あるいは、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などの塩基性化合物が用いられるが、金属錯体からなるルイス酸触媒を好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ―ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、アセチルアセトン、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol-Gel.Sci.and Tec. 16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
〔無機微粒子〕
本発明の親水層は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水性部材を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水層の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
〔その他の成分〕
以下に、必要に応じて本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)界面活性剤
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
2)紫外線吸収剤
本発明においては、親水性部材の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
3)酸化防止剤
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
4)溶剤
本発明の親水性部材の親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性部材形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
5)高分子化合物
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔基板〕
本発明に用いられる基板は、特に限定されないが、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。特に好ましい基板は、ガラス基板またはでプラスチック基板である。
ガラス基板としては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスなどの何れのガラスを使用しても良い。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。また素板ガラスのまま、前記親水層を塗設できるが、必要に応じ、親水層の密着性を向上させる目的で、片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
本発明に用いられるプラスチック基板としては、特に制限はないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができる。その中でも特にポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステフィルムが好ましい。なお、光学的には、透明性に優れている方が好ましい場合が多いが、用途によっては半透明、あるいは、印刷されたものも用いられる。プラスチック基板の厚みは、積層する相手によってさまざまである。例えば曲面の多い部分では、薄いものが好まれ、6〜50μm程度のものが用いられる。また平面に用いられ、あるいは、強度を要求されるところでは50〜400μmが用いられる。
基板と親水層の密着性を向上させる目的で、所望によりプラスチック基板の片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては、親水性樹脂や水分散性ラテックスを用いることができる。
親水性樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、等〕等が挙げられる。また、カルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ゼラチン類が好ましい。
水分散性ラテックスとしては、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、NBR樹脂、ポリウレタン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、SBR樹脂、ポリアミド系ラテックス等が挙げられる。中でも、アクリル系ラテックスが好ましい。
上記の親水性樹脂及び水分散性ラテックスは、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水性樹脂や水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
前記親水性樹脂及び/又は水分散性ラテックスの、下塗り層中における総量としては、0.01〜20g/m2 が好ましく、0.1〜10g/m2 がより好ましい。
〔親水性部材使用時の層構成〕
本発明の親水性部材を、防汚性及び/または防曇性効果の発現を期待して使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
1)接着層
本発明の親水性部材を、別の基材上に貼り付けて使用する場合、基板の裏面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基材における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂およびこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類または混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、さらに好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237 に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
2)離型層
本発明の親水性部材が前記の接着層を有する場合には、さらに離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤しては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
3)その他の層
親水性層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層や、下塗り層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性部材を適切な基材へ貼り付けた後には剥がされる。
〔表面自由エネルギー〕
親水性層表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10°以下、さらには5°以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、さらに好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にある親水層が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
本発明の親水性被膜を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に適用する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性被膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。
透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性被膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
本発明の親水性部材は、親水性層形成用塗布液組成物を、適切なガラスまたはプラスチック等の基板上に塗布し、加熱、乾燥して表面親水性層を形成することで得ることができる。親水性層形成のための加熱温度と加熱時間は、ゾル液中の溶媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、製造適性などの点から加熱温度は150℃以下であることが好ましく、加熱時間は1時間以内が好ましい。
本発明の親水性部材が適用可能なものとしては、例えば、防曇効果を期待する場合には透明なものであり、その材質としてガラスまたはプラスチック等が好適なものとして例示できる。ガラスとしては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスなどの何れのガラスを使用しても良い。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラス、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
また、本発明の表面親水性部材に防汚効果を期待する場合には、その適用可能なものとしては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。防汚効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
大きさ30mm×30mm、厚み約2mmのフロ−トガラスを、中性洗剤、水すすぎ、イソプロピルアルコールで洗浄、乾燥しガラス基板とした。該ガラス基板上に、下記組成の親水性層塗布液をバー塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、乾燥塗布量1.0g/m2の親水性層を形成して親水性部材を作成した。この親水性部材の表面自由エネルギーは、85mN/mで、非常に親水性の高い表面であった。親水性層の可視光透過率は、93%であった(日立分光光度計U3000で測定)。
<親水性層塗布液(1)>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックスC) 100g
・下記ゾルゲル調製液 500g
・アルミ繊維(直径0.5μm、長さ100μm) 10g
・下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
Figure 2007222722
<ゾルゲル調製液>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gと下記の末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
<末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーの合成>
三口フラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、4000の質量平均分子量を有するポリマーであるこを確認した。5%水溶液粘度は2.5Ps、親水性基の官能基密度は、13.4meq/gであった。
<評価>上記親水性部材について、以下の評価を行った。
(表面抵抗)
試料を25℃、10%で6時間調湿し、4端子法表面抵抗率計(三菱化学(株)製「ロレスタGP」)を用いてその抵抗を測定した。値が小さいほど好ましい。
(電磁波シールド性)
電磁波シールド効果測定装置((株)アドバンテスト製、「TR17301型」)とネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「8753A」)を用いて周波数1MHz〜1GHzにおける電磁波の強度を測定し、次式で電磁波シールド性を求めた。
電磁波シールド性(dB)=20×log 10 (X 0 /X)
(式中、X 0 は電磁波シールド材を用いない時の電磁波強度を示し、X は電磁波シールド材を用いた時の電磁波強度を示す。)
(親水性)
空中水滴接触角の測定(協和界面科学株式会社製DropMaster500で測定)
(耐久性)
磨耗試験:不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で100回こすり、その前後の接触角測定。こすり後も水滴接触角が低い値を示す場合、耐久性が良好。
その結果、表面抵抗は、2.0×10-1Ω・cm、電磁波シールド性は、55dBであり、良好な導電性、電磁波シールド性を示した。水滴接触角は、5°以下で非常に親水性が高く、磨耗試験による親水性低下はなく、耐久性に優れていた。
〔実施例2〜3〕
実施例1のアルミ繊維を、下記のものに変更した以外は実施例1と同様に親水性層を作成した。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の導電性、電磁波シールド性、親水性、耐久性を有していた。
実施例2:銀コロイド(平均粒子径10nm、固形分濃度1質量%):親水層中の固形分比率15質量%
実施例3:酸化スズゾル(多木化学製、セラメースC−10、固形分濃度10質量%)親水層中の固形分比率質量20質量%
〔実施例4〜5〕
触媒を下記のものに変更した以外は実施例1と同様に親水性部材を作成した。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の導電性、電磁波シールド性、親水性を有していた。
実施例4:エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)
実施例5:ジルコニウムキレート化合物
撹拌機を備えた反応器に、テトラブトキシジルコニウム50部、アセト酢酸エチル20部を加え、室温で1時間撹拌してジルコニウムキレート化合物を得た。
〔実施例6〜8〕
親水性ポリマーを下記のものに変更した以外は実施例1と同様に親水性部材を作成した。得られた断熱性ガラスは、実施例1のものと同等の耐湿性、断熱性、親水性を有していた。
実施例6:明細書記載の親水性ポリマー15
実施例7:明細書記載の親水性ポリマー24
実施例8:下記に示す複数個反応性基を有する親水性ポリマー
Figure 2007222722
〔比較例1〕
実施例1記載の親水性層塗布液(1)を下記光触媒含有の比較用親水性層塗布液(2)に置き換え、ワイヤーバーを用いて塗布し、110℃で20分間乾燥して、塗布量0.5g/m2の親水性層を形成して親水性部材を作成した。得られた親水性部材は20J/cm2の紫外線を照射した後、評価を行った。
その結果、水滴接触角は、5°以下で非常に親水性が高いが、表面抵抗は、5.0×104Ω・cm、電磁波シールド性は、25dBであり、導電性、電磁波シールド性は低かった。磨耗試験による親水性低下も認められ、耐久性にも劣っていた。
<比較用親水性層塗布液(2)>
・光触媒酸化チタンゾルST-K211(固形分0.2%、石原産業(株)製)
500g
・銀コロイド(平均粒子径10nm、固形分濃度1質量%) 20g

Claims (7)

  1. 基板上に、a) 親水性ポリマー、b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、c) 導電性化合物を含有し、b)の金属アルコキシドを加水分解、重縮合した親水性被膜を塗設した親水性部材。
  2. 前記親水性被膜が、a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を含有する請求項1に記載の親水性部材。
  3. 前記基板が、ガラス基板またはプラスチック基板である請求項1に記載の親水性部材。
  4. 前記親水性被膜が、さらにd)コロイダルシリカを有する請求項1に記載の親水性部材。
  5. a)の親水性ポリマーが、下記一般式(I)及び(II)から選ばれる少なくともいずれかで表される請求項1に記載の親水性部材。
    Figure 2007222722
    式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは式(III)を表す。
    Figure 2007222722
    式(III)中、R1、R2、L1及びYは式(I)および(II)中のものと同じ。
  6. 導電性化合物が、粒状またはフレーク状または繊維状フィラーである請求項1に記載の親水性部材。
  7. 親水層表面抵抗が、103 Ω・cm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の親水性部材。
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