JP2016033629A - 窓用断熱フィルム、窓用断熱フィルムの製造方法、窓用断熱ガラスおよび窓 - Google Patents

窓用断熱フィルム、窓用断熱フィルムの製造方法、窓用断熱ガラスおよび窓 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルム、窓用断熱フィルムの製造方法、窓用断熱ガラスおよび窓の提供。
【解決手段】窓の内側に配置され、支持体と繊維状導電粒子含有層を含み、繊維状導電粒子含有層は繊維状導電粒子とSi等の元素のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物とを含み、ゾルゲル硬化物が一般式1で表される部分構造と、一般式2及び/又は一般式3で表される部分構造を含み、繊維状導電粒子の含有量が0.036〜0.200g/m2であり、反射率R(5.5μm)の反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満である窓用断熱フィルム(M1はSi等の元素;R2は水素原子又は炭化水素基)。
Figure 2016033629

【選択図】図1

Description

本発明は、窓用断熱フィルム、窓用断熱フィルムの製造方法、窓用断熱ガラスおよび窓に関する。より詳しくは、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルム、この窓用断熱フィルムの製造方法、この窓用断熱フィルムを用いた窓用断熱ガラスおよびこの窓用断熱フィルムを用いた窓に関する。
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして環境負荷の少ない商品、いわゆるエコな商品が求められており、自動車や建物の窓に対する窓用日射調整フィルムが求められている。このような商品として窓用断熱フィルムが注目されている。窓用断熱フィルムとは窓に貼ることで屋内側と屋外側の熱の行き来を遅くさせるフィルムのことであり、これを使用することにより冷暖房の使用量が減り、節電が期待できる。断熱の度合いは熱貫流率で定義される。国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(いわゆるグリーン購入法)における窓用日射調整フィルム調達基準では、断熱性については、JIS A 5759「建築窓ガラス用フィルム」による計測方法で、熱貫流率5.9W/(m2・K)未満であることが求められており、この数字が小さいほど熱の動きが遅く、断熱性が高いことになる。JIS A 5759によれば、熱貫流率は波長5μm〜50μmの遠赤外線の反射スペクトルから求めることができる。すなわち、熱貫流率を下げるには波長5μm〜50μmの遠赤外線の反射率を上げることが好ましい。
また、窓用断熱フィルムとしては、可視光透過率が高いことも求められている。
断熱性を発揮する熱線遮蔽フィルムの材料として、繊維状導電粒子が知られている。例えば、特許文献1には、透明フィルム、及びその表面に設けられた熱線反射層を含む熱線遮蔽フィルムであって、熱線反射層が、金属ナノ繊維を含む熱線遮蔽フィルムが記載されている。特許文献1の実施例では、断熱性を発揮するという観点で、導電性高分子をバインダーの材料として選択した第1の熱線反射層と、ポリビニルアルコールをバインダーとして用いて金属ナノ繊維を分散させた第2の熱線反射層を積層している。特許文献1によれば、熱線遮蔽フィルムの熱線反射層が金属ナノ繊維を含んでいるので、屋内から放射される暖房等の熱線を反射して逃がさず、外気の熱を屋内に取り込まない断熱性に優れる等と記載されている。
繊維状導電粒子は、導電性部材の材料として用いられることも知られている。
例えば、特許文献2には、基材と、基材上に設けられた導電性層と、を含む導電性部材であって、導電性層が(i)平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤ及び(ii)バインダーを含有し、バインダーが下記一般式(Ia)で示される部分構造と下記一般式(IIa)又は一般式(IIb)で示される部分構造とを含む三次元架橋構造を含む、導電性部材が記載されている。
Figure 2016033629
(式中、M1及びM2はそれぞれ独立に、Si、Ti、及びZrからなる群より選ばれる元素を示し、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を示す)
また、特許文献3には、基材上に、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤおよびマトリックスを含む導電性層、並びに、下記一般式(I)で示される三次元架橋構造を含んで構成される保護層を、この順に備え、保護層上から測定した表面抵抗率が、1,000Ω/□以下である導電性部材が記載されている。
−M1−O−M1− (I)
(一般式(I)中、M1はSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
特開2012−252172号公報 特開2013−225460号公報 特開2013−137982号公報
本発明者が特許文献1に記載の熱線遮蔽フィルムを窓用断熱フィルムとして用いるために性能を検討したところ、窓用断熱フィルムとして必要な物理強度が不足しており、膜強度が不十分であることがわかった。
本発明者が特許文献2に記載の導電性部材を窓用断熱フィルムとして用いるために性能を検討したところ、特許文献2に記載の導電性部材は断熱性能を意識していないため、遠赤外線の反射や吸収は考慮されておらず、十分な断熱効果が出ないことがわかった。ここで、窓用断熱フィルムを窓に用いて断熱性能を高めるためには、窓用断熱フィルムで遠赤外線を屋内側に反射することが必要であり、遠赤外線の反射と同時に伝熱により熱が屋外に逃げないように窓用断熱フィルム自体の遠赤外線の吸収を抑制することが必要となる。
本発明者が特許文献3に記載の導電性部材を窓用断熱フィルムとして用いるために性能を検討したところ、特許文献3でSi等の原子のアルコキシ化合物に用いられていた置換基がアルコキシ基のみであるアルコキシ化合物は、カールの問題が生じることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルムを提供することである。
本発明者が鋭意検討した結果、特許文献2の実施例で開示されている導電性部材は、繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が少なく、遠赤外線の反射が不十分であることがわかった。そこでさらに検討をすすめた結果、繊維状導電粒子の遠赤外線の反射に起因する断熱性能は、繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量に依存することがわかった。繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が多いほど、遠赤外線の反射を高めることができ、断熱効率が高くなる(すなわち、熱貫流率が低くなる)。JIS A 4706では、断熱性能の等級について、熱貫流率4.65W/m2・K以下で断熱性能に等級が付与されており、本発明者が検討したところ、熱貫流率を4.65W/m2・K以下にするためには繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量を0.036g/m2以上にする必要があることを見出すに至った。
一方、繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量について、可視光透過率を十分に高くするためには繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量を0.200g/m2以下にする必要があることを見出すに至った。
さらに、特許文献2に記載のSi等のアルコキシ化合物のゾルゲル膜について検討した結果、断熱性能を犠牲にしない予想外の相乗効果を発揮することを発見した。具体的には、特許文献2に記載の上記一般式(IIa)や(IIb)に示したSi等のオルガノアルコキシ化合物のアルコキシ基以外の置換基は、アルキル基が長く、遠赤外線を吸収してしまうことを見出した。一方で、上記一般式(Ia)に示したSi等のテトラアルコキシ化合物の含有量が多いと特許文献3に記載の導電性部材のようにカールの問題が生じてしまうことを見出した。したがって、繊維状導電粒子含有層のバインダーとして用いるときには、上記一般式(IIa)や(IIb)に示したSi等のオルガノアルコキシ化合物のアルコキシ基以外の置換基を適切な置換基にし、かつ、上記一般式(Ia)に示したSi等のテトラアルコキシ化合物との混合比率を適切な範囲に調整する必要があることを見出した。
以上の知見をもとに本発明者がさらに鋭意検討をすすめた結果、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)はほぼ繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量で決まり、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)はゾルゲル膜に用いるSi等のアルコキシ化合物の遠赤外線を吸収する置換基の量により低下することを見出した。そして、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比を特定の範囲に制御し、かつ、繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量を特定の範囲に制御することにより、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルム提供できることを見出した。
すなわち、上記課題は以下の構成の本発明によって解決される。
[1] 窓の内側に配置される窓用断熱フィルムであって、
支持体と、前述の支持体上に設けられた繊維状導電粒子含有層とを含み、
前述の繊維状導電粒子含有層が、前述の支持体の前述の窓側の面とは反対側の面上に配置され、
前記繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離が1μm以内に設置され、
前述の繊維状導電粒子含有層は、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合して得られるゾルゲル硬化物とを含み、
前述のゾルゲル硬化物が、下記一般式1で表される部分構造を含み、かつ、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含み、
前述の繊維状導電粒子含有層を構成する前述の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2であり、
前述の窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、前述の窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満である窓用断熱フィルム;
Figure 2016033629
一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
[2] [1]に記載の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子の平均長軸長が、5〜50μmであることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子含有層の抵抗率が、1000Ω/□より大きいことが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムは、前述のアルコキシド化合物が、Siのアルコキシド化合物であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子が、銀からなることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムは、前述の支持体と前述の繊維状導電粒子含有層との間に、前述の繊維状導電粒子含有層に直接接し、かつ前述の繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を有することが好ましい。
[7] [6]に記載の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびホスホン酸基、並びに、これらの基の塩からなる群より選ばれることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子含有層が屋内側の最外層に配置されたことが好ましい。
[9] 窓の内側に配置される窓用断熱フィルムの製造方法であって、
支持体上に、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物とを含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程と、
前述のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合してゾルゲル硬化物とする工程を含み、
前述のアルコキシド化合物として、下記一般式1で表される部分構造を有するアルコキシド化合物と、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を有するアルコキシド化合物とを含み、
前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中、前述の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2である窓用断熱フィルムの製造方法;
Figure 2016033629
一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
[10] [9]に記載の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述の繊維状導電粒子の平均長軸長が、5〜50μmであることが好ましい。
[11] [9]または[10]に記載の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述のアルコキシド化合物が、Siのアルコキシド化合物であることが好ましい。
[12] [9]〜[11]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述の繊維状導電粒子が、銀からなることが好ましい。
[13] [9]〜[12]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述の支持体上に前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程の前に、前述の支持体上に前述の繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層の形成用組成物を付与する工程を含み、
前述の中間層の上に前述の繊維状導電粒子含有層が直接接するように前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与することが好ましい。
[14] [13]に記載の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述の繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびホスホン酸基、並びに、これらの基の塩からなる群より選ばれることが好ましい。
[15] [9]〜[14]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムの製造方法で製造された、窓用断熱フィルム。
[16] [1]〜[8]および[15]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムと、ガラスとを積層した窓用断熱ガラス。
[17] 窓用透明支持体と、前述の窓用透明支持体に貼り合わせた[1]〜[8]および[15]のいずれか一つに記載の窓用断熱フィルムを含む窓。
本発明によれば、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の窓用断熱ガラスの一例の断面を示す概略図である。 図2は、本発明の窓用断熱ガラスの他の一例の断面および比較例1の窓用断熱ガラスの断面を示す概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[窓用断熱フィルム]
本発明の窓用断熱フィルムは、窓の内側に配置される窓用断熱フィルムであって、
支持体と、前述の支持体上に設けられた繊維状導電粒子含有層とを含み、
前述の繊維状導電粒子含有層が、前述の支持体の前述の窓側の面とは反対側の面上に配置され、
前記繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離が1μm以内に設置され、
前述の繊維状導電粒子含有層は、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合して得られるゾルゲル硬化物とを含み、
前述のゾルゲル硬化物が、下記一般式1で表される部分構造を含み、かつ、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含み、
前述の繊維状導電粒子含有層を構成する前述の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2であり、
前述の窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、前述の窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満である。
Figure 2016033629
一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
このような構成により、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制された窓用断熱フィルムを提供できる。
繊維状導電粒子含有層が支持体の窓側の面とは反対側の面上に配置される(好ましくは、できるだけ屋内側の最外層に繊維状導電粒子含有層を入れる)と、遠赤外線を反射できる。窓用断熱フィルムがないときは屋内の遠赤外線がガラスに吸収されて、ガラス中を熱伝導することにより、屋内の熱が屋外に出てしまうが、窓用断熱フィルムがあると遠赤外線を屋内に反射するため屋内の熱が屋外に出にくくなる。
以下、本発明の窓用断熱フィルムの好ましい態様を説明する。
<特性>
(R(5.5μm)/R(25.0μm))
本発明の窓用断熱フィルムは、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、前述の窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比、すなわちR(5.5μm)/R(25.0μm)が0.5以上1.0未満である。この範囲内において、R(5.5μm)/R(25.0μm)の値が大きいほど、断熱性が良好であり、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。
繊維状導電粒子の遠赤外線の反射に起因する断熱性能は、その単位面積当たりの含有量に依存し、繊維状導電粒子の量が多いほど、反射率R(5.5μm)およびR(25.0μm)の値が大きくなり、断熱性が良好となる。一方、ゾルゲル硬化物の量やゾルゲル硬化物の一般式2または一般式3で表される部分構造における置換基R2の炭素原子数により、反射率R(5.5μm)の値を制御することができる。すなわち、これらにより、R(5.5μm)/R(25.0μm)を制御することができる。なお、反射率R(5.5μm)に与える影響は、繊維状導電粒子の量の寄与度(正の相関関係)よりも、ゾルゲル硬化物の量およびゾルゲル化合物の一般式2または一般式3で表される部分構造における置換基R2の炭素原子数の寄与度(負の相関関係)の方が小さい。
具体的には、第1に、R(5.5μm)/R(25.0μm)は、ゾルゲル硬化物の一般式1で表される部分構造の一般式2または一般式3で表される部分構造に対する割合により制御することができる。すなわち、ゾルゲル硬化物の一般式1で表される部分構造の一般式2または一般式3で表される部分構造に対する割合を小さくするとR(5.5μm)/R(25.0μm)は大きくなり、ゾルゲル硬化物の一般式1で表される部分構造の一般式2または一般式3で表される部分構造に対する割合を大きくするとR(5.5μm)/R(25.0μm)は小さくなる。
第2に、R(5.5μm)/R(25.0μm)は、ゾルゲル硬化物の一般式2または一般式3で表される部分構造における置換基R2の炭素原子数により制御することができる。すなわち、ゾルゲル硬化物の一般式2または一般式3で表される部分構造における置換基R2の炭素原子数を小さくするとR(5.5μm)/R(25.0μm)は大きくなり、ゾルゲル硬化物の一般式2または一般式3で表される部分構造における置換基R2の炭素原子数を大きくするとR(5.5μm)/R(25.0μm)は小さくなる。
その他、R(5.5μm)/R(25.0μm)は屋内側の最外層からの繊維状導電粒子含有層の位置や距離によっても制御することができる。屋内側の最外層からの繊維状導電粒子含有層の距離を小さくすることで、窓用断熱フィルムの遠赤外線の吸収率を小さくすることができ、その結果としてR(5.5μm)/R(25.0μm)を高めることができる。
(繊維状導電粒子含有層の抵抗率)
本発明の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子含有層の抵抗率が1000Ω/□より大きいことが好ましい。繊維状導電粒子含有層の抵抗率は、1500Ω/□以上であることがより好ましく、2000Ω/□以上であることが特に好ましく、3000Ω/□以上であることがより特に好ましい。窓用断熱フィルムは、繊維状導電粒子含有層の抵抗率が高いことが、電波透過性に優れる観点から、好ましい。
(その他の特性)
本発明の窓用断熱フィルムは、断熱性および透明性が優れるため、熱貫流率が低く、かつ、可視光透過率が高い。熱貫流率および可視光透過率の好ましい範囲は、後述の実施例中に評価基準として記載の好ましい範囲と同様である。
<構成>
本発明の窓用断熱フィルムの構成について、説明する。
図1に本発明の窓用断熱フィルムを含む、本発明の窓用断熱ガラスの一例の断面を示す概略図を示した。本発明の窓用断熱ガラス111は、本発明の窓用断熱フィルム103と、ガラス61を含む。本発明の窓用断熱フィルム103は、ガラス61が窓の一部(窓ガラス)である場合に、窓の内側(屋内側、日中における太陽光入射側とは反対側、図1中のIN側)に配置される。
本発明の窓用断熱フィルム103は、少なくとも支持体10と、支持体10の上に配置された繊維状導電粒子含有層20とを含む。
繊維状導電粒子含有層20は、支持体10の窓(ガラス61)側の面とは反対側の面上に配置される。本発明では、繊維状導電粒子含有層20は、屋内側の最外層または最外層の次の層にあることが断熱性を高める観点から好ましく、屋内側の最外層にあることがより好ましい。
支持体と、支持体上に設けられた繊維状導電粒子含有層20とが、接着層を介して貼り合わせられた積層体を断熱部材102と言うことがある。接着層は単層でも2層以上の積層体でもよく、図1では接着層は第1の接着層31および第2の接着層32の積層体である。また、支持体10上に、接着層(図1では第1の接着層31および第2の接着層32の積層体)を設けた積層体を、接着層付きの支持体101と言うことがある。
本発明の窓用断熱フィルム103は粘着層51を支持体10の窓(ガラス61)側の面に有することが好ましく、ガラス61と粘着層51を貼り合わせられることが好ましい。
以下、本発明の窓用断熱フィルムを構成する各層の好ましい態様を説明する。
<支持体>
上記支持体としては、繊維状導電粒子含有層を担うことができるものである限り、目的に応じて種々のものを使用することができる。一般的には、板状またはシート状のものが使用される。
支持体は、透明であっても、不透明であってもよい。支持体を構成する素材としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。これらの支持体の繊維状導電粒子含有層が形成される表面は、所望により、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などにより前処理がされていてもよい。
支持体の厚さは、用途に応じて所望の範囲のものが使用される。一般的には、1μm〜500μmの範囲から選択され、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
支持体は全可視光透過率が70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。なお、支持体の全光透過率は、ISO 13468−1(1996)に準拠して測定される。
<繊維状導電粒子含有層>
繊維状導電粒子含有層は、繊維状導電粒子を含有する。
繊維状導電粒子含有層は、遠赤外線を反射させるには空隙サイズが小さいことが好ましく、例えば繊維状導電粒子含有層の断面写真において、80%以上の空隙の空隙サイズが25(μm)2以下の空隙面積であることがより好ましい。
(繊維状導電粒子)
繊維状導電粒子は繊維状であり、繊維状は、ワイヤ状や線状と同義である。
繊維状導電粒子は導電性を有する。
繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤ、棒状金属粒子、カーボンナノチューブを挙げることができる。繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤが好ましい。以下、金属ナノワイヤを繊維状導電粒子の代表例として説明することがあるが、金属ナノワイヤに関する説明は繊維状導電粒子の一般的な説明として用いることができる。
繊維状導電粒子含有層は、繊維状導電粒子として、平均短軸長150nm以下の金属ナノワイヤを含有することが好ましい。平均短軸長が150nm以下であると、断熱性が向上し、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくくなるため、好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、中実構造であることが好ましい。
より透明な繊維状導電粒子含有層を形成しやすいという観点からは、例えば、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、平均短軸長が1nm〜150nmのものが好ましい。
製造時の扱い易さから、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、特に25nm以下であることがヘイズに関して一段と優れるものが得られるので好ましい。平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、対候性に優れる繊維状導電粒子含有層が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、及び耐候性の観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均長軸長は、反射したい遠赤外線の反射帯域と同じ程度であることが、その反射したい遠赤外線の反射帯域を反射しやすい観点から好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均長軸長は、5μm〜50μmであることが波長5〜50μmの遠赤外線を反射しやすい観点から好ましく、10μm〜40μmがより好ましく、15μm〜40μmが更に好ましい。金属ナノワイヤの平均長軸長が50μm以下であると、金属ナノワイヤを凝集物が生じることなく合成することが容易となり、平均長軸長が5μm以上であると、十分な断熱性を得ることが容易となる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。具体的には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤについて、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長と平均長軸長を求めることができる。本明細書ではこの方法で求めた値を採用している。なお、金属ナノワイヤの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
ある実施態様においては、繊維状導電粒子含有層における全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量に対する、短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長が5μm以上50μm以下である金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量が、金属量で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。
短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上50μm以下である金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の割合が、50質量%以上であることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。繊維状導電粒子以外の導電性粒子が繊維状導電粒子含有層に実質的に含まれない構成では、プラズモン吸収が強い場合にも透明度の低下を避け得る。
繊維状導電粒子含有層に用いられる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
変動係数が40%以下であると、波長5〜50μmの遠赤外線を反射しやすい金属ナノワイヤの比率が増えて、透明性と断熱性の観点で好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより、求めることができる。
本発明に用いうる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100,000が好ましく、50〜100,000がさらに好ましく、100〜100,000がより好ましい。
アスペクト比が10以上であると、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い断熱性を有する繊維状導電粒子含有層が容易に得られる。また、アスペクト比が100,000以下であると、例えば支持体上に繊維状導電粒子含有層を塗布により設ける際の塗布液において、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が絡まって凝集物を形成することが抑制され、安定な塗布液が得られるので、繊維状導電粒子含有層の製造が容易となる。
繊維状導電粒子含有層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対するアスペクト比が10以上の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量は特に制限されない。例えば、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80%質量%以上であることが最も好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状であり得るが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の断面形状は、支持体上に金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を形成する金属は特に制限がなく、いかなる金属であってもよい。1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金を用いることも可能である。これらの中でも、金属単体又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属単体から形成されるものがより好ましい。
金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらの金属を主成分として含むことが特に好ましい。
金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及び、これらのうちいずれかを含む合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又は、これらのうちいずれかを含む合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。ここで銀を含有する合金における銀の含有量は合金の全量に対して50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。本発明の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子が、銀からなることが好ましい。
繊維状導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、高い断熱性を実現するという観点から、銀ナノワイヤを含むことが好ましく、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmの銀ナノワイヤを含むことがより好ましく、平均短軸長が5nm〜30nmであって、平均長軸長が5μm〜50μmの銀ナノワイヤを含むことが更に好ましい。繊維状導電粒子含有層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に制限されない。例えば、繊維状導電粒子含有層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が実質的に銀ナノワイヤであることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、不可避的に混入する銀以外の金属原子を許容することを意味する。
本発明の窓用断熱フィルムは、前述の繊維状導電粒子含有層を構成する前述の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2である。この範囲内において、繊維状導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の種類等に応じて、繊維状導電粒子含有層の断熱性、抵抗率、可視光透過率が所望の範囲となるような量とされることが好ましい。この繊維状導電粒子含有層の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量(繊維状導電粒子含有層1m2あたりの金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量(グラム))は、例えば銀ナノワイヤの場合は、0.036〜0.200g/m2の範囲にすることができ、好ましくは0.036〜0.150g/m2の範囲であり、より好ましくは0.036〜0.100g/m2の範囲であり、0.036〜0.080g/m2であることが特に好ましい。
このとき、繊維状導電粒子含有層に対する繊維状導電粒子の量を少なくすることが、繊維状導電粒子含有層の抵抗率を制御する観点から好ましい。繊維状導電粒子の量を上述の範囲とする場合、繊維状導電粒子含有層の単位面積当たりの質量(製膜時の塗布液の全固形分の塗布量)は、好ましくは0.110〜1.000g/m2の範囲であり、より好ましくは0.150〜0.600g/m2の範囲であり、0.200〜0.500g/m2であることが特に好ましい。
繊維状導電粒子含有層に対する繊維状導電粒子の量は、1〜35質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましい。
−繊維状導電粒子の製造方法−
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、特に制限はなく、いかなる方法で作製されたものであってもよい。以下のように、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、繊維状導電粒子含有層の経時安定性の観点から好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、金属粒子の表面プラズモン吸収による着色が抑えられ、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
加熱処理は、還元剤を添加して行うことが好ましい。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造は分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい繊維状導電粒子を得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
分散剤を添加する段階は特に制限されない。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を調製する前に添加し、分散剤存在下で金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を添加してもよいし、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子調製後に分散状態の制御のために添加しても構わない。
分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤの形状を変化させることができる。
ハロゲン化合物は、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
ハロゲン化合物は、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤の機能とハロゲン化合物の機能との双方を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤の機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、アミノ基と塩化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド(HTAC)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造方法においては、金属ナノワイヤ形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。金属ナノワイヤを水性溶媒に分散させてなる分散物の電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水性分散物の25℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
電気伝導度及び粘度は、水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度を0.45質量%として測定される。水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度が上記濃度より高い場合には、水性分散物を蒸留水にて希釈して測定する。
繊維状導電粒子含有層の平均膜厚は、通常、0.005μm〜2μmの範囲で選択される。例えば、平均膜厚を0.001μm以上0.5μm以下とすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、平均膜厚を0.01μm〜0.1μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保され得るので好ましい。
本発明は、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合して得られるゾルゲル硬化物とを含み、前述のゾルゲル硬化物が、一般式1で表される部分構造を含み、かつ、一般式2で表される部分構造および一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含む繊維状導電粒子含有層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得る。
さらに、下記条件(i)または(ii)の少なくとも一つを満たす繊維状導電粒子含有層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得ることが好ましい。例えば、繊維状導電粒子含有層の膜厚を0.005μm〜0.5μmという薄層としても、実用上問題のない耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性を有する繊維状導電粒子含有層を得ることができる。このため、本発明の一実施形態である窓用断熱フィルムは種々の用途に好適に使用される。薄層を必要とする態様では、膜厚は、0.005μm〜0.5μmとしてもよく、0.007μm〜0.3μmがさらに好ましく、0.008μm〜0.2μmがより好まく、0.01μm〜0.1μmが最も好ましい。このように繊維状導電粒子含有層をより薄層とすることで、繊維状導電粒子含有層の透明性がさらに向上し得る。
繊維状導電粒子含有層の平均膜厚は、電子顕微鏡による繊維状導電粒子含有層断面の直接観察により、繊維状導電粒子含有層の膜厚を5点測定し、その算術平均値として算出される。なお、繊維状導電粒子含有層の膜厚は例えば、触針式表面形状測定器(Dektak(登録商標)150、Bruker AXS製)を用いて、繊維状導電粒子含有層を形成した部分と繊維状導電粒子含有層を除去した部分の段差として測定することもできる。しかし、繊維状導電粒子含有層を除去する際に支持体の一部まで除去してしまう恐れがあることり、また形成される繊維状導電粒子含有層が薄膜なため誤差が生じやすい。そのため、後述の実施例においては電子顕微鏡を用いて測定される平均膜厚を記載している。
繊維状導電粒子含有層は、優れた耐摩耗性を有することが好ましい。この耐摩耗性は、例えば、特開2013−225461号公報の[0067]の(1)または(2)の方法により評価することができる。
(マトリックス)
繊維状導電粒子含有層は、前述のゾルゲル硬化物を含む。繊維状導電粒子含有層は、前述のゾルゲル硬化物をマトリックスとして含んでもよく、あるいは、バインダーとして含んでもよいい。ここで「マトリックス」は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含んで層を形成する物質の総称である。マトリックスを含むことにより、繊維状導電粒子含有層における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の分散が安定に維持される上、支持体表面に繊維状導電粒子含有層を、接着層を介することなく形成した場合においても支持体と繊維状導電粒子含有層との強固な接着が確保される傾向がある。
−ゾルゲル硬化物−
繊維状導電粒子含有層は、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含み、前述のゾルゲル硬化物が、下記一般式1で表される部分構造を含み、かつ、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含む。
Figure 2016033629
2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
前述のゾルゲル硬化物は、一般式1で表される部分構造と一般式2で表される部分構造とを有するもの、一般式1で表される部分構造と一般式3で表される部分構造とを有するもの、および一般式1で表される部分構造と一般式2で表される部分構造と一般式3で表される部分構造とを有するもののいずれであってもよい。
一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、M1はSiであることが、窓用断熱フィルムは膜強度により優れ得る観点から好ましい。すなわち、本発明の窓用断熱フィルムは、前述のアルコキシド化合物が、Siのアルコキシド化合物であることが好ましい。
一般式1〜3中、R2は、水素原子または炭化水素基を表し、膜強度の観点から、炭化水素基であることが好ましい。R2の表す炭化水素基としては、好ましくはアルキル基またはアリール基が挙げられる。
2がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、R2がアリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
2におけるアルキル基またはアリール基は置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルケニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、エポキシ基などが挙げられる。
繊維状導電粒子含有層は、金属元素(a)を含み且つ平均短軸長が150nm以下である金属ナノワイヤ、並びに、前述のゾルゲル硬化物を少なくとも含むことがより好ましい。
前述のゾルゲル硬化物は、例えば、一般式1で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物(テトラアルコキシ化合物)と、一般式2で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物(トリアルコキシ化合物)および一般式3で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物(ジアルコキシ化合物)からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物(オルガノアルコキシ化合物と総称されることもある)とを、加水分解および重縮合して得ることができる。
より好ましい態様では、前述のゾルゲル硬化物は一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物(テトラアルコキシシラン)と、一般式2で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物(トリアルコキシシラン)および一般式3で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物(ジアルコキシシラン)からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含むアルコキシシラン化合物(オルガノアルコキシシランと総称されることもある)とを、加水分解および重縮合して得ることができる。
以下に、一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物(テトラアルコキシシラン化合物)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物においてM1がSiである場合、即ち4官能のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物においてM1がTiである場合、即ち4官能のテトラアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物においてM1がZrである場合、即ち、即ち4官能のテトラアルコキシジルコニウムとしては、例えば、テトラアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
一般式1で表される部分構造を含むアルコキシシラン化合物においてM1がAlである場合、即ち、即ち4官能のテトラアルコキシアルミニムとしては、例えば、テトラアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するアルミネートを挙げることができる。
次に、一般式2または一般式3で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式3で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がSiである場合、即ち2官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルジメチルジメトキシシラン、クロロジメチルジエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルメチルジメトキシシラン、γ−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、アセトキシプロピルメチルジメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ヒドロキシメチルメチルジエトキシシラン、N−(メチルジエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、ビニルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルメチルジメトキシシラン、ビニルデシルメチルジメトキシシラン、ビニルオクチルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルメチルジエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]メチルジエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(メチルジエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、11−アミノウンデシルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)メチルジエトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルメチルジメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−3−メチルジメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−メチルジメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、アセトアミドプロピルメチルジメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトエチルメチルジエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジエトキシシラン、カルボキシエチルメチルシランジオールナトリウム塩、N−(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(メチルジヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルメチルジエトキシシラン、3−メチルジヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、ビス(メチルジエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(メチルジエトキシシリル)オクタン、p−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(メチルジメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(メチルジエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(メチルジエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
一般式2で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がSiである場合、即ち3官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、γ−ブロモプロピルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−トリエチキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルデシルトリメトキシシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]トリエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルトリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトエチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、p−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(トリエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
一般式3で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がTiである場合、即ち2官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
一般式2で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がTiである場合、即ち3官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
一般式2または一般式3で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がZrである場合、即ち、2官能及び3官能のオルガノアルコキシジルコネートとしては、例えば、2官能及び3官能のオルガノアルコキシチタネートとして例示した化合物においてTiをZrに変えてなるオルガノアルコキシジルコネートを挙げることができる。
一般式2または一般式3で表される部分構造を含むオルガノアルコキシ化合物においてM1がAlである場合、即ち、2官能及び3官能のオルガノアルコキシアルミネートとしては、例えば、2官能及び3官能のオルガノアルコキシチタネートとして例示した化合物においてTiをAlに変えてなるオルガノアルコキシアルミネートを挙げることができる。
ゾルゲル硬化物を得るときに用いる一般式1で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物と、一般式2で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物と、一般式3で表される部分構造を含むSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシ化合物の比率は、前述の窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、前述の窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満となるように制御することが好ましい。
具体的には、ゾルゲル硬化物の調製時における、一般式1で表される部分構造を含むアルコキシ化合物の、一般式2または3で表される部分構造を含むアルコキシ化合物に対する比率は0.01〜100倍であることが好ましく、0.02〜80倍であることがより好ましく、0.05〜50倍であることが特に好ましく、0.1〜40倍であることがより特に好ましい。なお、ゾルゲル硬化物の一般式1で表される部分構造の、一般式2または3で表される部分構造に対する比率の好ましい範囲も、一般式1で表される部分構造を含むアルコキシ化合物の、一般式2または3で表される部分構造を含むアルコキシ化合物に対する比率の好ましい範囲と同様である。
これらのテトラアルコキシ化合物及びオルガノアルコキシ化合物は市販品として容易に入手可能であり、また公知の合成方法、たとえば各金属ハロゲン化物とアルコールとの反応によっても得られる。
テトラアルコキシ化合物及びオルガノアルコキシ化合物は、それぞれ1種類の化合物を単独で用いても、2種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
特に好ましいテトラアルコキシ化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラエトキシジルコネート、テトラプロポキシジルコネート等が挙げられる。また、特に好ましいオルガノアルコキシ化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グルシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシジルコネート等が挙げられる。
繊維状導電粒子含有層は、下記条件(i)または(ii)の少なくとも一つを満たすことが好ましく、下記条件(ii)を少なくとも満たすことがより好ましく、下記条件(i)および(ii)を満たすことが特に好ましい。
(i)繊維状導電粒子含有層に含まれる元素(b)の物質量と、繊維状導電粒子含有層に含まれる金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある。
(ii)繊維状導電粒子含有層においてゾルゲル硬化物の形成に使用されるアルコキシド化合物の質量と、繊維状導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤの質量の比〔(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量)〕が0.25/1〜30/1の範囲にある。
繊維状導電粒子含有層は、前述の金属ナノワイヤの使用量に対する特定アルコキシド化合物の使用量の比率、即ち、〔(特定アルコキシド化合物の質量)/(金属ナノワイヤの質量)〕の比が0.25/1〜30/1の範囲で形成され得ることが好ましい。上記質量比が0.25/1以上である場合、断熱性(繊維状導電粒子の導電性が高いことに起因すると考えられる)と透明性が優れると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性および耐屈曲性の全てが優れた繊維状導電粒子含有層となり得る。上記質量比が30/1以下である場合、導電性および耐屈曲性が優れた繊維状導電粒子含有層となり得る。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜25/1の範囲、更に好ましくは1/1〜20/1、最も好ましくは2/1〜15/1の範囲である。質量比を好ましい範囲とすることで、得られた繊維状導電粒子含有層は、高い断熱性と高い透明性(可視光透過率及びヘイズ)と、を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れることになり、好適な物性を有する窓用断熱フィルムを安定的に得ることができる。
最適な態様として、繊維状導電粒子含有層において、元素(b)の物質量と、金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある態様が挙げられる。モル比は、より好ましくは0.20/1〜18/1、特に好ましくは0.45/1〜15/1、より特に好ましくは0.90/1〜11/1の範囲であり、さらにより特に好ましくは1.5/1〜10/1の範囲である。
モル比が上記範囲にあると、繊維状導電粒子含有層は、断熱性と透明性とが両立し、且つ、物性の観点からは、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、且つ、耐屈曲性にも優れたものとなり得る。
繊維状導電粒子含有層の形成時に用いられた特定アルコキシド化合物は、加水分解及び重縮合により消尽され、繊維状導電粒子含有層中にはアルコキシド化合物は実質的に存在しないが、得られた繊維状導電粒子含有層には、特定アルコキシド化合物由来のSi等である元素(b)が含まれる。含有するSi等の元素(b)と金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)との物質量比を上記範囲に調整することで、優れた特性を有する繊維状導電粒子含有層が形成される。
繊維状導電粒子含有層における特定アルコキシド化合物由来のSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素(b)成分、及び、金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)成分は以下の方法で解析可能である。
即ち、繊維状導電粒子含有層をX線光電子分析(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis(ESCA)に付することで、物質量比、すなわち、(元素(b)成分モル数)/(金属元素(a)成分モル数)の値を算出しうる。しかし、ESCAによる分析方法では元素によって測定感度が異なるために、得られた値は必ずしも直ちに元素成分のモル比を示すものではない。このため、予め元素成分のモル比が既知の繊維状導電粒子含有層を用いて検量線を作成し、その検量線から実際の繊維状導電粒子含有層の物質量比を計算することが可能となる。本明細書における、各元素のモル比は、上記方法に算出した値を用いている。
窓用断熱フィルムは、高い断熱性と高い透明性を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れ得るという効果を奏することが好ましい。そのような効果を奏する理由は必ずしも明らかではないが、以下のような理由によるものと推定される。
即ち、繊維状導電粒子含有層が金属ナノワイヤを含み、かつ特定アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるマトリックスを含んでいることにより、マトリックスとして一般的な有機高分子樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ビニル重合系樹脂など)を含む繊維状導電粒子含有層の場合に比べて、繊維状導電粒子含有層に含まれるマトリックスの割合が少ない範囲であっても、空隙が少なく、且つ、架橋密度の高い緻密な繊維状導電粒子含有層が形成されるため、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れる窓用断熱フィルムが得られる。そして、特定アルコキシド化合物由来の元素(b)/金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)の含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲とされること、及び、0.10/1〜22/1の範囲とされていることのいずれかを満たすことで、上記の作用がバランスよく高まり、断熱性と透明性が維持されつつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れると同時に、耐屈曲性にも優れるという効果がもたらされるものと推定している。
−その他マトリックス−
繊維状導電粒子含有層に含まれる前述のゾルゲル硬化物はマトリックスとしての機能も有するが、繊維状導電粒子含有層は前述の窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の前述の窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満を満たす限りにおいて、さらにゾルゲル硬化物以外のマトリックス(以下、「その他マトリックス」という。)を含んでもよい。その他マトリックスを含む繊維状導電粒子含有層は、後述の液状組成物中に、その他マトリックスを形成し得る材料を含有させておき、これを支持体上に(例えば、塗布により)付与して形成すればよい。
その他マトリックスは、有機高分子ポリマーのような非感光性のものであっても、フォトレジスト組成物のような感光性のものであっても良い。
繊維状導電粒子含有層がその他マトリックスを含む場合、その含有量は、繊維状導電粒子含有層に含まれる特定アルコキシ化合物に由来するゾルゲル硬化物の含有量に対して、0.10質量%〜20質量%、好ましくは0.15質量%〜10質量%、更に好ましくは0.20質量%〜5質量%の範囲から選ばれることが断熱性、透明性、膜強度、耐摩耗性および耐屈曲性の優れる繊維状導電粒子含有層が得られるので有利である。
−−有機高分子ポリマー−−
好適な非感光性マトリックスには、有機高分子ポリマーが含まれる。有機高分子ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ化炭素系重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
−−架橋剤−−
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、繊維状導電粒子含有層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
繊維状導電粒子含有層中における架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物の固形分の総質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
−−分散剤−−
分散剤は、繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中における前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、金属ナノワイヤを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属ナノワイヤに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(登録商標、ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(登録商標、日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(登録商標、味の素株式会社製)などが挙げられる。
繊維状導電粒子含有層中における分散剤の含有量は、特開2013−225461号公報の[0086]〜[0095]に記載のバインダーを用いる場合、のバインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
バインダーに対する分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
−−溶媒−−
溶媒は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子並びに特定アルコキシド化合物とを含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を支持体の表面、または接着層付きの支持体の接着層の表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
−−金属腐食防止剤−−
繊維状導電粒子含有層は金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の金属腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、繊維状導電粒子含有層の経時による断熱性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する繊維状導電粒子含有層の形成用組成物(好ましくは塗布液)による繊維状導電粒子含有層を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合、繊維状導電粒子含有層中におけるその含有量は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
その他マトリックスとしては、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
−−他の導電性材料−−
繊維状導電粒子含有層には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。効果の観点からは、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤ)の含有比率は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含む導電性材料の総量に対して体積基準で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有比率を50%とすることにより、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する繊維状導電粒子含有層を容易に得ることができる。
また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子以外の形状の導電性粒子は、繊維状導電粒子含有層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属であって、球形などのプラズモン吸収が強い形状ではないことが、繊維状導電粒子含有層の透明度が悪化しないようにする観点から好ましい。
ここで、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の比率は、下記のように求めることができる。例えば、繊維状導電粒子が銀ナノワイヤであり、導電性粒子が銀粒子である場合には、銀ナノワイヤ水分散液をろ過して、銀ナノワイヤと、それ以外の導電性粒子とを分離し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定し、金属ナノワイヤの比率を算出することができる。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、ろ紙に残っている金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子をTEMで観察し、300個の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長及び長軸長をそれぞれ測定することにより算出される。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
<中間層>
窓用断熱フィルムは、支持体と繊維状導電粒子含有層との間に少なくとも一層の中間層を有することが好ましい。支持体と繊維状導電粒子含有層との間に中間層を設けることにより、支持体と繊維状導電粒子含有層との密着性、繊維状導電粒子含有層の全光透過率、繊維状導電粒子含有層のヘイズ、及び繊維状導電粒子含有層の膜強度のうちの少なくとも一つの向上を図り得る。
中間層としては、支持体と繊維状導電粒子含有層との接着力を向上させるための接着剤層、繊維状導電粒子含有層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
中間層を更に有する窓用断熱フィルムの構成について、図面を参照しながら説明する。
図1においては、支持体上に中間層(第1の接着層31と第2の接着層)を有してなる接着層付きの支持体101上に繊維状導電粒子含有層20が設けられている。支持体10と繊維状導電粒子含有層20との間に、支持体10との親和性に優れた第1の接着層31と、繊維状導電粒子含有層20との親和性に優れた第2の接着層32とを含む中間層を備える。
図1以外の構成の中間層を有していてもよく、例えば、支持体10と繊維状導電粒子含有層20との間に、第1の実施形態と同様の第1の接着層31及び第2の接着層32に加え、繊維状導電粒子含有層20に隣接して機能性層を備えて構成される中間層を有することも好ましい(不図示)。
中間層に使用される素材は特に限定されず、上記の特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。
例えば、中間層として接着層を備える場合、接着層には、接着剤に使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、Siのアルコキシド化合物を加水分解および重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
繊維状導電粒子含有層と接する中間層(即ち、中間層が単層の場合には、この中間層が、そして中間層が複数のサブ中間層を含む場合には、そのうちの繊維状導電粒子含有層と接するサブ中間層)が、この繊維状導電粒子含有層20に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と静電的に相互作用することのできる官能基(以下「相互作用可能な官能基」という)を有する化合物を含む機能性層であることが、全光透過率、ヘイズ、及び膜強度に優れた繊維状導電粒子含有層が得られることから好ましい。このような中間層を有する場合においては、繊維状導電粒子含有層20が金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と有機高分子とを含むものであっても、膜強度に優れた繊維状導電粒子含有層が得られる。
この作用は明確ではないが、繊維状導電粒子含有層20に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を設けることで、繊維状導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と中間層に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、繊維状導電粒子含有層における導電性材料の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、繊維状導電粒子含有層中における導電性材料の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層を、以下、機能性層と称することがある。機能性層は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子との相互作用によりその効果を発揮することから、繊維状導電粒子含有層が金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含んでいれば、繊維状導電粒子含有層が含むマトリックスに依存せずに、その効果を発現する。
上記の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基としては、例えば金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が銀ナノワイヤの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が挙げられ、これらからなる群より選ばれる一つまたは複数の官能基を化合物が有することがより好ましい。この官能基は、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩であることがより好ましく、更に好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸またはその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH(商品名、ユニケミカル株式会社製)、およびそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301(商品名、DAP株式会社製)などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、繊維状導電粒子含有層の形成用組成物である塗布液を塗布後、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子と中間層に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が凝集するのを抑制し、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が均一に分散された繊維状導電粒子含有層を形成することができる。
中間層は、中間層を構成する化合物が溶解した、もしくは分散、乳化した液を支持体上に塗布し、乾燥することで形成することができ、塗布方法は一般的な方法を用いることができる。その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
<保護層>
窓用断熱フィルムは、図2に示すとおり、繊維状導電粒子含有層(図2中の符号20)の上に保護層(図2中の符号21)を有していてもよく、有していなくてもよい。本発明の窓用断熱フィルムは、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満であることを満たしやすくする観点から、保護層を有していないことが好ましい。保護層としては窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満であることを満たすことができれば特に制限は無いが、優れた耐摩耗性を有することが好ましい。保護層の膜厚としては、特に制限はないが、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。
保護層の組成としては特に制限はないが、COP、COC、ゾルゲル硬化物、シリカスパッタなどが好ましく、ゾルゲル硬化物がより好ましい。保護層に用いるゾルゲル硬化物を形成するための材料としては、繊維状導電粒子含有層に含まれるゾルゲル硬化物を形成する材料を挙げることができる。
<粘着層>
本発明の窓用断熱フィルムは、粘着層を有することが好ましい。粘着層は、紫外線吸収剤を含むことができる。
粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
[窓用断熱フィルムの製造方法]
本発明の窓用断熱フィルムの製造方法は、窓の内側に配置される窓用断熱フィルムの製造方法であって、
支持体上に、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物とを含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程と、
前述のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合してゾルゲル硬化物とする工程を含み、
前述のアルコキシド化合物として、下記一般式1で表される部分構造を有するアルコキシド化合物と、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を有するアルコキシド化合物とを含み、
前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中、前述の繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2である;
Figure 2016033629
一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
このような構成により、本発明の窓用断熱フィルムを容易に製造することができる。
以下、一般式1で表される部分構造を有するアルコキシド化合物と、一般式2で表される部分構造を有するアルコキシド化合物と、一般式3で表される部分構造を有するアルコキシド化合物のことを、特定アルコキシド化合物とも言う。特定アルコキシド化合物の好ましい範囲は、ゾルゲル硬化物の説明に記載した一般式1〜3で表される部分構造を有するアルコキシド化合物の好ましい範囲と同様である。
<中間層の形成用組成物を付与する工程>
本発明の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述の支持体上に前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程の前に、前述の支持体上に前述の繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層の形成用組成物を付与する工程を含み、
前述の中間層の上に前述の繊維状導電粒子含有層が直接接するように前述の繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与することが好ましい。
<繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程>
本発明の窓用断熱フィルムの製造方法は、支持体上に、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物とを含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程を含む。
−繊維状導電粒子含有層の形成方法−
前述の繊維状導電粒子含有層を支持体上に形成する方法には特に制限はなく、一般的な塗布方法で行うことができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
繊維状導電粒子含有層の製膜時において、繊維状導電粒子の量を、全固形分量に比較して少なくして製膜する方法が、前述の繊維状導電粒子含有層の抵抗率が1000Ω/□以上となるように製造する観点から好ましい。その他の好ましい実施態様において、繊維状導電粒子含有層を支持体上に形成する方法としては、前述の平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤと前述の特定アルコキシド化合物とを、その質量比(すなわち、(特定アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量))が0.25/1〜30/1の範囲となるように、或いは特定アルコキシド化合物に由来する元素(b)と金属ナノワイヤに由来する金属元素(a)との含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲となるように、含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)を、支持体上に塗布して液膜を形成すること、及び、この液膜中で特定アルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせることにより繊維状導電粒子含有層を形成すること、を少なくとも含む方法により製造することが好ましい。この方法は、更に必要に応じて、繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中に溶媒として含まれ得る水を加熱により蒸発させること(乾燥)を含んでもよく含まなくてもよい。
ある実施態様では、ゾルゲル塗布液は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水分散液を調製し、これと特定アルコキシド化合物とを混合して調製されてもよい。ある実施態様では、特定アルコキシド化合物を含む水溶液を調製し、この水溶液を加熱して特定アルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解および重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と金属ナノワイヤの水分散液とを混合してゾルゲル塗布液を調製してもよい。
ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。
−溶剤−
上記の液状組成物は、必要に応じて、水及び/または有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより支持体上に、より均一な液膜を形成することができる。
このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
液状組成物が有機溶剤を含む場合、液状組成物の総質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
本発明の窓用断熱フィルムの製造方法は、前述のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合してゾルゲル硬化物とする工程を含む。
支持体上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布液膜中においては、特定アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布液膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
[窓用断熱ガラス、窓]
本発明の窓用断熱ガラスは、本発明の窓用断熱フィルムと、ガラスとを積層した窓用断熱ガラスである。
本発明の窓は、窓用透明支持体と、窓用透明支持体に貼り合わせた本発明の窓用断熱フィルムを含む窓である。
窓用透明支持体は、厚み0.5mm以上の窓用透明支持体であることが好ましく、厚み1mm以上の窓用透明支持体であることがより好ましく、窓用透明支持体の厚みに起因する熱伝導を抑制して温暖性を高める観点からは厚み2mm以上の窓用透明支持体であることが特に好ましい。
窓用透明支持体は一般的には、板状またはシート状のものが使用される。
窓用透明支持体としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。これらの中でも、窓用透明支持体が、ガラスまたは樹脂板であることが好ましく、ガラスであることがより好ましい。
ガラスや窓ガラスを構成する成分としては特に制限は無く、ガラスや窓ガラスとして、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスを用いることができる。
なお、本発明に用いられるガラスは、表面が平滑であることが好ましく、フロートガラスであることが好ましい。
本発明の窓用断熱ガラスの可視光透過率を求める際に、本発明の窓用断熱フィルムを3mmの青板ガラスに貼り合わせて測定することが好ましい。3mmの青板ガラスについてはJISA5759に記載されているガラスを使用することが好ましい。
本発明の窓用断熱フィルムは、窓の内側、すなわち窓ガラスの屋内側に貼り付ける。
本発明の窓用断熱ガラスまたは本発明の窓は、本発明の窓用断熱フィルムの繊維状導電粒子含有層が、支持体の窓(ガラス)側の面とは反対側の面上に配置される。本発明では、繊維状導電粒子含有層は、その層の厚みにもよるが繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離が1μm以内にあることが断熱性を高める観点から好ましく、0.5μm以内であることが更に好ましく、0.1μm以内であることが断熱性を高める観点から特に好ましい。
また、屋内側の最外層または最外層の次の層にあることが断熱性を高める観点から好ましく、屋内側の最外層にあることがより好ましい。
<層間距離の評価>
前述の繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離の評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における繊維状導電粒子含有層及び屋内側の最外面を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、窓用断熱フィルムを、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線遮蔽材の断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
窓ガラスに本発明の窓用断熱フィルムを貼り付ける際、粘着層を塗工、あるいは、ラミネートにより設けた本発明の窓用断熱フィルムを準備し、あらかじめ窓ガラス表面と本発明の窓用断熱フィルムの粘着層表面に界面活性剤(主にアニオン系)を含んだ水溶液を噴霧してから、粘着層を介して窓ガラスに本発明の窓用断熱フィルムを設置すると良い。水分が蒸発するまでの間、粘着層の粘着力は落ちるため、ガラス表面では本発明の窓用断熱フィルムの位置の調整が可能である。窓ガラスに対する本発明の窓用断熱フィルムの貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて窓ガラスと本発明の窓用断熱フィルムの間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、窓ガラス表面に本発明の窓用断熱フィルムを固定できる。このようにして、窓ガラスに本発明の窓用断熱フィルムを設置することが可能である。
<建築材料、建築物、乗物>
本発明の窓用断熱フィルム、窓用断熱ガラスおよび窓は、使用される態様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、乗物用、建築材料や建築物用、農業用などが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、建築材料、建築物、乗物に用いられることが好ましい。
前述の建築材料は、本発明の窓用断熱フィルムまたは本発明の窓用断熱ガラスを含む建築材料である。
前述の建築物は、本発明の窓用断熱フィルム、本発明の窓用断熱ガラス、本発明の建築材料または本発明の窓を含む建築物である。建築物としては、家、ビル、倉庫などを挙げることができる。
前述の乗物は、本発明の窓用断熱フィルム、本発明の窓用断熱ガラスまたは本発明の窓を含む乗物である。乗物としては、自動車、鉄道車両、船舶などを挙げることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例中の含有率としての「%」、及び、「部」は、いずれも質量基準に基づくものである。
[測定法]
以下の例において、金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長、金属ナノワイヤの短軸長の変動係数、並びに、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤの比率は、以下のようにして測定した。
<金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤから、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長を求めた。
<金属ナノワイヤの短軸長(直径)の変動係数>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。標準偏差の値を平均値で割ることにより変動係数を求めた。
<アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤの比率>
透過型電子顕微鏡(JEM−2000FX:上述)を用い、銀ナノワイヤの短軸長を300個観察し、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長が50nm以下であり、かつ長軸長が5μm以上である銀ナノワイヤをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤの比率(質量%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤの比率を求める際の銀ナノワイヤの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、商品名:FALP 02500、孔径:1.0μm)を用いて行った。
[調製例1]
<銀ナノワイヤ水分散液(1)の調製>
予め、下記の添加液A、G、及びHを調製した。
(添加液A)
硝酸銀粉末5.1gを純水500mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
(添加液G)
グルコース粉末1gを280mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(添加液H)
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末4gを220mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤ水分散液(1)を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL、及び添加液G 206mLをロートにて添加した(一段目)。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/min、攪拌回転数800rpmで添加した(二段目)。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加した(三段目)。その後、3℃/分で内温73℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、5.5時間加熱した。
得られた水分散液を冷却した後、限外濾過モジュールSIP1013(商品名、旭化成株式会社製、分画分子量:6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外濾過装置とした。
銀ナノワイヤ水分散液(水溶液)をステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。前述の洗浄を伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、0.84質量%銀ナノワイヤ水分散液を得た。
得られた銀ナノワイヤ水分散液の銀ナノワイヤについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤの短軸長の変動係数およびアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤの比率を測定した。
その結果、平均短軸長17.2nm、平均長軸長34.2μm、短軸長の変動係数が17.8%の銀ナノワイヤを得た。得られた銀ナノワイヤのうち、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤの占める比率は81.8質量%であった。以後、「銀ナノワイヤ水分散液(1)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤ水分散液を示す。
[調製例2]
<図1に示す構成の中間層を有するPET基板101の作製>
下記の配合の接着用溶液1を調製した。
(接着用溶液1)
・タケラック(登録商標)WS−4000 5.0質量部
(コーティング用ポリウレタン、固形分濃度30質量%、三井化学(株)製)
・界面活性剤 0.3質量部
(商品名:ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.3質量部
(サンデット(登録商標)BL、固形分濃度43質量%、三洋化成工業(株)製)
・水 94.4質量部
厚さ50μmのPETフィルム10の一方の表面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理を施した表面に、上記の接着用溶液1を塗布し、120℃で2分間乾燥させて、厚さが0.11μmの第1の接着層31を形成した。
以下の配合の接着用溶液2を調製した。
(接着用溶液2)
・テトラエトキシシラン 5.0質量部
(商品名:KBE−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3.2質量部
(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 1.8質量部
(商品名:KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05質量%、pH=5.2) 10.0質量部
・硬化剤 0.8質量部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ 60.0質量部
(スノーテックス(登録商標)O、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20質量%、
pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤 0.2質量部
(ナローアクティHN−100(上述))
・界面活性剤 0.2質量部
(サンデット(登録商標)BL、固形分濃度43質量%、三洋化成工業(株)製)
具体的には、上記の接着用溶液2は、以下の方法で調製した。酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、この酢酸水溶液中に3分間かけて滴下した。次に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを酢酸水溶液中に強く攪拌しながら3分間かけて添加した。次に、テトラエトキシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分間かけて添加し、その後2時間攪拌を続けた。次に、コロイダルシリカと、硬化剤と、界面活性剤とを順次添加し、接着用溶液2を調製した。
前述の第1の接着層31の表面をコロナ放電処理したのち、その表面に、上記の接着用溶液2をバーコート法により塗布し、170℃で1分間加熱して乾燥し、厚さ0.5μmの第2の接着層32を形成して、図1に示す構成を有する接着層付きの支持体(PET基板)101を得た。
[実施例1]
<繊維状導電粒子含有層の塗布による形成>
アルコキシド化合物として一般式1を満たす化合物であるテトラエトキシシランおよび一般式2を満たす化合物であるメチルトリメトキシシランを用い、下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一な溶液になったことを確認した。調製した溶液をゾルゲル溶液とした。
<アルコキシド化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン 6.0質量部
(商品名:KBE−04(上述))
・メチルトリメトキシシラン 9.0質量部
(商品名:KBM−13、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液 10.0質量部
・蒸留水 4.0質量部
得られたゾルゲル溶液8.1質量部と前述の調整例1で得られた銀ナノワイヤ水分散液(1)32.70質量部を混合し、さらに蒸留水で希釈してゾルゲル塗布液を得た。
上記のPET基板101の第2の接着層32の表面にコロナ放電処理を施し、その表面にバーコート法で銀量が0.040g/m2、全固形分塗布量が0.280g/m2となるように上記ゾルゲル塗布液を塗布したのち、175℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、繊維状導電粒子含有層(図1中の符号20)を形成した。繊維状導電粒子含有層におけるアルコキシド化合物(テトラエトキシシランとメチルトリメトキシシランの合計)由来のバインダー/銀ナノワイヤの質量比は2/1となった。
以下のようにして電子顕微鏡を用いて測定した繊維状導電粒子含有層の平均膜厚は、0.20μmであった。
繊維状導電粒子含有層上にカーボンおよびPtの保護層を形成したのち、日立社製収束イオンビーム装置(商品名:FB−2100)内で約10μm幅、約100nm厚の切片を作製し、繊維状導電粒子含有層の断面を日立製走査透過型電子顕微鏡(商品名:HD−2300、印加電圧:200kV)で観察し、5箇所の繊維状導電粒子含有層の膜厚を測定し、その算術平均値として平均膜厚を算出した。平均膜厚は金属ナノワイヤの存在しないマトリックス成分のみの厚みを測定して算出した。
<粘着層の形成と窓用断熱フィルムの製造>
接着層付きの支持体(PET基板;図1中の符号101)の繊維状導電粒子含有層の反対側の表面上に粘着材を以下の方法で貼り合わせ、粘着層(図1中の符号51)を形成した。粘着材としてパナック(株)製パナクリーンPD−S1(粘着層25μm)を使用して、粘着材の軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がしてから、繊維状導電粒子含有層の反対側の表面に貼り合わせた。
得られた積層体を、実施例1の窓用断熱フィルムとした。
<窓用断熱ガラスの製造>
上記の方法で形成した粘着層から粘着材PD−S1の他方の重剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がし、フィルム施工液であるリアルパーフェクト(リンテック(株)製)の0.5質量%希釈液を使用してソーダ石灰珪酸塩である板ガラス(図1中の符号61、板ガラス厚み:3mmの青板ガラス)と貼り合わせて、図1に示した構成の窓用断熱ガラス(図1中の符号111)を作製した。得られた窓用断熱ガラスを実施例1の窓用断熱ガラスとした。実施例1の窓用断熱ガラス111では、繊維状導電粒子含有層20が屋内側の最外面となり、すなわち繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離は0μmであった。
実施例1の窓用断熱ガラスについて、後述の方法で各特性の評価を行った。なお、板ガラスはイソプロピルアルコールで汚れを拭き取って自然乾燥したものを使用し、貼り合わせ時、25℃、相対湿度65%の環境下で、ゴムローラーを用いて0.5kg/cm2の面圧で圧着した。
[実施例2および3]
実施例1において、使用した銀ナノワイヤ水分散液(1)を、銀ナノワイヤの平均長軸長を下記表1に示される長さとなるように変更した銀ナノワイヤをそれぞれ含む銀ナノワイヤ分散液(2)および(3)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2および3の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[実施例4〜7]
実施例1において、ゾルゲル塗布液の塗布厚みを、繊維状導電粒子である銀の含有量が下記表1に示される含有量となるように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4〜7の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[実施例8〜12]
実施例1において、アルコキシド化合物の溶液中のアルコキシド化合物の種類および量のみを、下記表1に記載の種類および量のアルコキシド化合物を含むように調製したアルコキシド化合物の溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8〜12の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[実施例13]
実施例1において、繊維状導電粒子含有層を作製した後、繊維状導電粒子含有層上に下記のようにして保護層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例13の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを得た。
実施例13の窓用断熱ガラス111では、厚み1.0μmの保護層21が屋内側の最外面となり、すなわち繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離は1.0μmであった。
<保護層の形成>
下記組成の実施例13の保護層塗布液を60℃で1時間撹拌して均一な溶液になったことを確認した。
(保護層塗布液)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 5.9質量部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・テトラエトキシシラン 6.8質量部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液 15.0質量部
得られた保護層塗布液を蒸留水で希釈してアプリケーターコートで固形分塗布量が3.8g/m2となるように繊維状導電粒子含有層上に塗布した後、140℃で1分間乾燥し、ゾルゲル反応を起こさせて保護層を形成した。上記保護層の厚みは、1.0μmであった。
[比較例1]
実施例1において、繊維状導電粒子含有層を作製した後、繊維状導電粒子含有層上に下記のようにして保護層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例1の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを得た。
比較例1の窓用断熱ガラスの構成を図2に示した。比較例1の窓用断熱ガラス111では、厚み2.0μmの保護層21が屋内側の最外面となり、すなわち繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離は2.0μmであった。
<保護層の形成>
下記組成の保護層塗布液を60℃で1時間撹拌して均一な溶液になったことを確認した。
(保護層塗布液)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 5.9質量部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・テトラエトキシシラン 6.8質量部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液 15.0質量部
得られた保護層塗布液を蒸留水で希釈してアプリケーターコートで固形分塗布量が7.6g/m2となるように繊維状導電粒子含有層上に塗布した後、140℃で1分間乾燥し、ゾルゲル反応を起こさせて保護層を形成した。上記保護層の厚みは、2.0μmであった。
[比較例2]
実施例1において、ゾルゲル塗布液の塗布厚みを、繊維状導電粒子である銀の含有量が特開2013−225460号公報の導電性部材34と同じ0.035g/m2となるように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[比較例3]
実施例1において、アルコキシド化合物の溶液中のアルコキシド化合物の量のみを、下記表1に記載の量のアルコキシド化合物を含むように調製したアルコキシド化合物の溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[比較例4]
特開2012−252172号公報の実施例3について、第2の熱線反射層に用いた導電性高分子の量は変更せず、第1の熱線反射層の繊維状導電粒子である銀の含有量が0.040g/m2となるように第1の熱線反射層の塗布厚みを変更した以外は、特開2012−252172号公報の実施例3の熱線遮蔽フィルムと同様にして、比較例4の窓用断熱フィルムを作製した。
その後、実施例1において、実施例1の窓用断熱フィルムの代わりに比較例4の窓用断熱フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4の窓用断熱ガラスを作製した。
[比較例5]
特開2013−225460号公報の実施例に記載の非パターン化導電性部材1と同様にして、比較例5の窓用断熱フィルムを作製した。
その後、実施例1において、実施例1の窓用断熱フィルムの代わりに比較例5の窓用断熱フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5の窓用断熱ガラスを作製した。
[比較例6]
特開2013−137982号公報の実施例117の非パターン化導電性部材と同様にして、比較例6の窓用断熱フィルムを作製した。
その後、実施例1において、実施例1の窓用断熱フィルムの代わりに比較例6の窓用断熱フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例6の窓用断熱ガラスを作製した。
[比較例7]
実施例1において、ゾルゲル塗布液の塗布厚みを、繊維状導電粒子である銀の単位面積当たりの含有量が0.250g/m2となるように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の窓用断熱フィルムおよび窓用断熱ガラスを作製した。
[評価]
(1)R(5.5μm)/R(25.0μm)
各実施例、比較例において作製した窓用断熱ガラス試料の反射スペクトルを、赤外分光機IFS66v/S(ブルカー・オプティクス社製)を用いて5μm〜25μmの波長範囲で測定した。
窓用断熱ガラスの波長5.5μmにおける反射率RG(5.5μm)の、窓用断熱ガラスの波長25.0μmにおける反射率RG(25.0μm)に対する比を計算した。
窓用断熱ガラスに用いたガラスの波長5.5μmおよび波長25.0μmにおける反射率はゼロとみなせることから、窓用断熱ガラスの波長5.5μmにおける反射率RG(5.5μm)の、窓用断熱ガラスの波長25.0μmにおける反射率RG(25.0μm)に対する比を、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱ガラスの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比、すなわちR(5.5μm)/R(25.0μm)の値とした。
(2)断熱性(熱貫流率)
各実施例、比較例において作製した窓用断熱ガラス試料について反射スペクトルを、赤外分光機IFS66v/S(ブルカー・オプティクス社製)を用いて5μm〜25μmの波長範囲で測定した。JIS A 5759に従って熱貫流率を算出した。尚、波長25μm〜50μmの反射率はJIS A 5759に従って25μmの反射率から外挿した。
《評価基準》
A:熱貫流率が4.3W/m2・K未満
B:熱貫流率が4.3W/m2・K以上4.65W/m2・K未満
C:熱貫流率が4.65W/m2・K以上
(3)繊維状導電粒子含有層の抵抗率
非接触抵抗計(EC−80:ナプソン社製)を用いて抵抗率を測定した。
《評価基準》
A:2000Ω/□以上
B:1000Ω/□より大きく2000Ω/□未満
C:1000Ω/□以下
(4)膜強度
日本塗料検査協会検定鉛筆引っかき用鉛筆(硬度HB及び硬度B)をISO/DIS 15184:1996に準じてセットした鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(株式会社東洋精機製作所製、商品名:型式NP)にて荷重500gの条件で長さ10mmにわたり繊維状導電粒子含有層の表面を引っ掻いた後、下記のランク付けを行った。
〔評価基準〕
・ランクAAA:硬度2Hの鉛筆引っ掻きで引っ掻き跡が認められず、極めて優秀なレベル。
・ランクAA:硬度2Hの鉛筆引っ掻きで繊維状導電粒子含有層が削られ、引っ掻き跡が認められるものの、繊維状導電粒子含有層が残存し、支持体表面の露出が観察されない、優秀なレベル。
・ランクA:硬度2Hの鉛筆引っ掻きで支持体含有層表面の露出が観察されるものの、硬度HBの鉛筆引っ掻きで繊維状導電粒子含有層が残存し、支持体表面の露出が観察されない、良好なレベル。
・ランクB:硬度HBの鉛筆で繊維状導電粒子含有層が削られ、支持体表面の露出が部分的に観察される、問題なレベル。
・ランクC:硬度HBの鉛筆で繊維状導電粒子含有層が削られ、支持体表面の殆どが露出している、極めて問題なレベル。
(5)カール評価
作製した断熱フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し、25℃、相対湿度60%の温度湿度環境に48時間以上置いた後、平面上に静置したときに最も平面から離れているところまでの距離をカール量とした。
A:カール量が±5mm未満。
B:カール量が±5mm以上±10mm未満。
C:カール量が±10mm以上。
(6)耐光性
スガ試験機株式会社製、サンシャインウェザーメーター S80を用い、225W/m2、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件で1000時間照射した。カーボンカーク光は各実施例および比較例の断熱フィルムを貼り合わせた、各実施例および比較例の断熱ガラス試料のガラス側から照射した。各実施例および比較例の窓用断熱ガラス試料のカーボンアーク照射後の熱貫流率を測定した。
《評価基準》
A:照射前の熱貫流率と照射後の熱貫流率の差が0.1W/m2・K未満
B:照射前の熱貫流率と照射後の熱貫流率の差が0.1W/m2・K以上0.5W/m2・K未満
C:照射前の熱貫流率と照射後の熱貫流率の差が0.5W/m2・K以上
(7)可視光透過率
各実施例、比較例において作製した窓用断熱ガラス試料の透過スペクトルは紫外可視近赤外分光機(日本分光社製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて測定し、JIS R 3106、JIS A 5759に従って可視光透過率を算出した。
本発明の窓用断熱フィルムは、窓用断熱フィルムを厚み3mmの青板ガラスに貼り合わせた場合(各実施例、比較例の窓用断熱ガラス試料)の可視光透過率が70%以上になることが実用上求められ、本発明の窓用断熱フィルムを厚み3mmの青板ガラスに貼り合わせた場合の可視光透過率が80%以上になることが好ましく、85%以上になることがより好ましい。
《評価基準》
A:可視光透過率80%以上
B:可視光透過率70%以上80%未満
C:可視光透過率70%未満
各測定結果または評価結果を下記表1に示す。
Figure 2016033629
上記表1に示された結果から、本発明の窓用断熱フィルムは、断熱性、可視光透過率および膜強度に優れ、カールが抑制されたことがわかる。また実施例8〜12から、テトラアルコキシ化合物とオルガノアルコキシ化合物からなるゾルゲル化合物を繊維状導電粒子含有層に含むときに、断熱効果が高いとともに、物理強度やカールが良好となることがわかる。
一方、比較例1から、ゾルゲル化合物からなる保護層を有する場合は、その膜厚が大きい場合、保護層によって遠赤外線を吸収してしまうため、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が本発明で規定する下限値を下回る窓用断熱フィルムとなってしまうために断熱性が低下し、保護層のゾルゲル化合物の硬化の影響でカールが良好でない。
繊維状導電粒子含有層を構成する繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が本発明で規定する下限値を下回る比較例2より、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が本発明で規定する下限値を下回る窓用断熱フィルムとなってしまうために断熱性が低下することがわかる。特に、比較例2、実施例4〜実施例7の結果から、繊維状導電粒子含有層を構成する繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が多いときに断熱効果が著しく高まっていることがわかる。
また比較例3から、ゾルゲル化合物として一般式1で表される部分構造を有するテトラアルコキシ化合物のみを有し、ゾルゲル硬化物が一般式2または一般式3で表される部分構造を含まない場合は、カールが良好ではないことがわかる。
特開2012−252172号公報の実施例3を追試したゾルゲル硬化物を繊維状導電粒子含有層のバインダーとして用いていない比較例4は膜強度が劣っていることがわかる。
特開2013−225460号公報の非パターン化導電性部材1を追試した比較例5は、繊維状導電粒子含有層を構成する繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が本発明で規定する下限値を下回り、窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が本発明で規定する下限値を下回る窓用断熱フィルムとなってしまい、断熱性が劣っていることがわかる。
特開2013−137982号公報の実施例117を追試した比較例6は、ゾルゲル硬化物が一般式2または一般式3で表される部分構造を含まず、カールが劣っていることがわかる。
比較例7より、繊維状導電粒子含有層を構成する繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が本発明で規定する上限値を上回ると、可視光透過率が劣ることがわかる。
また、上記表1に示された結果から、本発明の窓用断熱フィルムの好ましい態様によれば、さらに耐光性も良好であることがわかった。また、本発明の窓用断熱フィルムの好ましい態様によれば、さらに耐光性も良好であることがわかった。
実施例1の窓用断熱フィルムを建材の窓に貼ったところ、使用しなかった場合に比べて冬場の平均で10%エアコンの消費量を抑えられた。
また、実施例1の窓用断熱フィルムを自動車の窓に貼ったところ、冬場の平均で15%エアコンの消費量を抑えられた。
本発明の窓用断熱フィルムを用いた本発明の窓用断熱ガラスは、断熱性および膜強度が優れるため、本発明の窓用断熱フィルムが窓の内側に配置されると断熱性および膜強度が優れる窓を提供できる。このような本発明の窓用断熱フィルムは、建築材料として用いることで、断熱性および膜強度が優れる窓を含む建築物や乗物を提供することができる。このような窓が設けられた建築物は、窓の屋外側の光を屋内側に取り入れつつ、屋内側から屋外側への熱交換の抑制をすることができるため、このような窓が設けられた建築物や乗物の屋内側(室内側、社内側)を望ましい環境に保つことができる。
また、本発明の窓用断熱フィルムは、既存の窓(例えば建築物や乗物の窓)に対して、窓の内側に貼ること(内貼り)によっても、断熱性および膜強度が優れる窓を提供できる。
10 支持体
20 繊維状導電粒子含有層
21 保護層
31 第1の接着層
32 第2の接着層
51 粘着層
61 ガラス
101 接着層付きの支持体
102 断熱部材
103 窓用断熱フィルム
111 窓用断熱ガラス
IN 屋内側
OUT 屋外側

Claims (17)

  1. 窓の内側に配置される窓用断熱フィルムであって、
    支持体と、前記支持体上に設けられた繊維状導電粒子含有層とを含み、
    前記繊維状導電粒子含有層が、前記支持体の前記窓側の面とは反対側の面上に配置され、
    前記繊維状導電粒子含有層と屋内側の最外面の距離が1μm以内に設置され、
    前記繊維状導電粒子含有層は、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合して得られるゾルゲル硬化物とを含み、
    前記ゾルゲル硬化物が、下記一般式1で表される部分構造を含み、かつ、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を含み、
    前記繊維状導電粒子含有層を構成する前記繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2であり、
    前記窓用断熱フィルムの波長5.5μmにおける反射率R(5.5μm)の、前記窓用断熱フィルムの波長25.0μmにおける反射率R(25.0μm)に対する比が0.5以上1.0未満である窓用断熱フィルム;
    Figure 2016033629
    一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
    2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
  2. 前記繊維状導電粒子の平均長軸長が、5〜50μmである請求項1に記載の窓用断熱フィルム。
  3. 前記繊維状導電粒子含有層の抵抗率が、1000Ω/□より大きい請求項1または2に記載の窓用断熱フィルム。
  4. 前記アルコキシド化合物が、Siのアルコキシド化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルム。
  5. 前記繊維状導電粒子が、銀からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルム。
  6. 前記支持体と前記繊維状導電粒子含有層との間に、前記繊維状導電粒子含有層に直接接し、かつ前記繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルム。
  7. 前記繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびホスホン酸基、並びに、これらの基の塩からなる群より選ばれる請求項6に記載の窓用断熱フィルム。
  8. 前記繊維状導電粒子含有層が屋内側の最外層に配置された請求項1〜7のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルム。
  9. 窓の内側に配置される窓用断熱フィルムの製造方法であって、
    支持体上に、繊維状導電粒子と、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物とを含む繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程と、
    前記アルコキシド化合物を加水分解および重縮合してゾルゲル硬化物とする工程を含み、
    前記アルコキシド化合物として、下記一般式1で表される部分構造を有するアルコキシド化合物と、下記一般式2で表される部分構造および下記一般式3で表される部分構造からなる群より選択される少なくとも一つの部分構造を有するアルコキシド化合物とを含み、
    前記繊維状導電粒子含有層の形成用組成物中、前記繊維状導電粒子の単位面積当たりの含有量が0.036〜0.200g/m2である窓用断熱フィルムの製造方法;
    Figure 2016033629
    一般式1〜3中、M1はそれぞれ独立にSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれる元素を表し、
    2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。
  10. 前記繊維状導電粒子の平均長軸長が、5〜50μmである請求項9に記載の窓用断熱フィルムの製造方法。
  11. 前記アルコキシド化合物が、Siのアルコキシド化合物である請求項9または10に記載の窓用断熱フィルムの製造方法。
  12. 前記繊維状導電粒子が、銀からなる請求項9〜11のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルムの製造方法。
  13. 前記支持体上に前記繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する工程の前に、前記支持体上に前記繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層の形成用組成物を付与する工程を含み、
    前記中間層の上に前記繊維状導電粒子含有層が直接接するように前記繊維状導電粒子含有層の形成用組成物を付与する請求項9〜12のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルムの製造方法。
  14. 前記繊維状導電粒子と相互作用可能な官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびホスホン酸基、並びに、これらの基の塩からなる群より選ばれる請求項13に記載の窓用断熱フィルムの製造方法。
  15. 請求項9〜14のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルムの製造方法で製造された、窓用断熱フィルム。
  16. 請求項1〜8および15のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルムと、ガラスとを積層した窓用断熱ガラス。
  17. 窓用透明支持体と、前記窓用透明支持体に貼り合わせた請求項1〜8および15のいずれか一項に記載の窓用断熱フィルムを含む窓。
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