JP5646671B2 - 導電性部材、その製造方法、タッチパネル、及び太陽電池 - Google Patents

導電性部材、その製造方法、タッチパネル、及び太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、導電性部材、その製造方法、タッチパネル、及び太陽電池に関する。
近年、金属ナノワイヤーのような導電性繊維を含む導電性層を有する導電性部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この導電性部材は、基材上に、複数の金属ナノワイヤーを含む導電性層を備えるものである。この導電性部材は、例えば導電性層中にマトリックスとしての光硬化性組成物を含有させておくことにより、パターン露光及びそれに引き続く現像によって、所望の導電性領域と非導電性領域とを含む導電性層を有する導電性部材に容易に加工することができる。この加工された導電性部材は、例えばタッチパネルとして、又は太陽電池の電極としての用途に供することができる。
上記の導電性部材の導電性層は、物理的及び機械的な性質を向上させるため、マトリックス材中に分散又は埋め込まれたものとすることも記載されている。そして、このようなマトリックス材として、ゾルゲルマトリックスのような無機材料が例示されている(例えば、特許文献1の段落0045〜0046及び0051参照)。
更に、高い透明性と高い導電性を兼ね備えた導電性層として、透明樹脂と金属ナノワイヤーのようなファイバー状の導電性物質とを含有する導電性層を基材上に設けた導電性部材が提案されている。そして、上記の透明樹脂として、アルコキシシラン、アルコキシチタン等の化合物をゾルゲル法により熱重合させた樹脂が例示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、表面粗さが低く、金属ナノワイヤーを用いた平滑性の高い導電性層を基板上に備えた導電性部材が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。これらはカレンダ処理(加圧処理)を施すことにより金属ナノワイヤーの接触点を増加させることで導電性を高め、さらに平滑性が従来のものに比較し、より向上していた。
特表2009−505358号公報 特開2010−121040号公報 特開2011−029098号公報 特開2010−244747号公報 特開2011−198642号公報
上記のような導電性部材を、例えばタッチパネル用途に適用する場合、導電性が高く、接触抵抗が小さいことに加えて、導電性層のパターニング性に優れることが求められている。導電性層のパターニング方法として例えば、導電性層に含まれる金属ナノワイヤー等をエッチング処理で除去して非導電性領域を形成する方法がある。このような用途では特に導電性層のエッチング特性に優れる導電性部材が求められている。
しかしながら、上記のような導電性部材では、優れた導電性及び接触抵抗とエッチング特性とをすべて満たすことは困難である場合であった。更に導電性向上のためにカレンダ処理(加圧処理)を行う場合、製造工程への負荷が大きかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、導電性と接触抵抗に優れると共に、エッチング特性に優れる導電性部材及びその製造方法、並びに当該導電性部材を用いたタッチパネル及び太陽電池を提供することにある。
前記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
<1> 基材と、前記基材上に設けられた導電性層と、を備え、前記導電性層は、下記一般式(I)で示される部分構造を含む三次元架橋構造を有し、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるバインダーと、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤーと、を含み、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲であり、前記基材側の面とは反対側の面の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である、導電性部材。
−M−O−M− (I)
(一般式(I)中、Mは、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素を示す。)
<2> 前記アルコキシド化合物は、下記一般式(II)で示される化合物を含む前記<1>に記載の導電性部材である。
(OR (4−a) (II)
(一般式(II)中、MはSi、Ti及びZrからなる群より選ばれる元素を示す。R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示す。aは2〜4の整数を示す。)
<3> 前記一般式(I)中のMがSiである前記<1>又は<2>に記載の導電性部材である。
<4> 前記金属ナノワイヤーが、銀ナノワイヤーである前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
<5> 前記導電性層の表面抵抗率が、1,000Ω/□以下である前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
<6> 前記導電性層は導電性領域及び非導電性領域を含み、且つ少なくとも前記導電性領域が前記金属ナノワイヤーを含む前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
<7> 前記基材と前記導電性層との間に、更に少なくとも1層の中間層を有し、前記中間層のうち、前記導電性層に接する中間層が、前記金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層である前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
> 前記官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及びこれらの基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1つである前記<>に記載の導電性部材である。
> 前記導電性層の表面を、連続加重引掻試験機を使用し、前記導電性層の表面と接する面のサイズが20mm×20mmの擦り部材表面にガーゼを配置して500g荷重で50往復擦る耐摩耗試験を行った場合に、前記耐摩耗試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記耐摩耗試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(耐摩耗試験後/耐摩耗試験前)が、100以下である前記<1>〜<>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
10> 前記導電性部材を、直径10mmの円筒マンドレルを装着した円筒形マンドレル屈曲試験器を用いて、20回曲げ試験を行った場合に、前記曲げ試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(曲げ試験後/曲げ試験前)が5.0以下である前記<1>〜<>のいずれか1つに記載の導電性部材である。
11> (a)金属ナノワイヤーと、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合させて得られる部分縮合物と、を含み、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲である液状組成物を基材上に付与して、液膜を前記基材上に形成することと、
(b)前記液膜中の前記部分縮合物を、加水分解及び重縮合させてゾルゲル硬化物を形成させることにより、前記金属ナノワイヤー及びゾルゲル硬化物であるバインダーを含み、前記基材側の面とは反対側の面の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である導電性層を形成することと、を有する前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の導電性部材の製造方法である。
12> 前記部分縮合物の重量平均分子量が1,000〜50,000の範囲である前記<11>に記載の導電性部材の製造方法である。
13> 前記ゾルゲル硬化物は、前記金属ナノワイヤーに対する酸化性を有さない酸性触媒の存在下に加水分解及び重縮合される前記<11>又は<12>に記載の導電性部材の製造方法である。
14> 前記(a)に先だって、前記基材における前記液膜が形成される面に、少なくとも1層の中間層を形成することを更に含む前記<11>〜<13>のいずれか1つに記載の導電性部材の製造方法である。
15> 前記(b)の後に、(c)前記導電性層にパターン状の非導電性領域を形成して、非導電性領域及び導電性領域と有する導電性層を形成することを更に含む前記<11>〜<14>のいずれか1つに記載の導電性部材の製造方法である。
16> 前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の導電性部材を備えるタッチパネルである。
17> 前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の導電性部材を備える太陽電池である。
本発明によれば、導電性と接触抵抗に優れると共に、エッチング特性に優れる導電性部材及びその製造方法、並びに当該導電性部材を用いたタッチパネル及び太陽電池が提供される。
本発明の第一の実施形態に係る導電性部材の概略断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る導電性部材の概略断面図である。
以下、本発明の導電性部材について詳細に説明する。以下では、本発明の代表的な実施形態に基づいて記載されるが、本発明の主旨を超えない限りにおいて、本発明は記載された実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「光」という語は、可視光線のみならず、紫外線、エックス線、ガンマ線などの高エネルギー線、電子線のような粒子線等を含む概念として用いる。
本明細書中、アクリル酸、メタクリル酸のいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリル酸」と、アクリレート、メタクリレートのいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリレート」と、それぞれ表記することがある。
また、含有量は特に断りのない限り、質量換算で示す。また特に断りのない限り、「質量%」は組成物の総量に対する割合を表す。更に「固形分」とは組成物中の溶剤を除く成分を表す。
<導電性部材>
本発明の導電性部材は、基材と、前記基材上に設けられた導電性層とを備える。本発明に係る前記導電性層は、下記一般式(I)で示される部分構造を含む三次元架橋構造を含み、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるバインダーと、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤーと、を含み、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲であり、前記基材に対向する面とは反対側の面(以下、「オモテ面」ともいう)の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である導電性層である。前記導電性部材は、基材及び導電性層に加え、必要に応じてその他の層等の構成要素を更に有していてもよい。
−M−O−M− (I)
一般式(I)中、Mは、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素を示す。
前記導電性層が特定の平均短軸長を有する金属ナノワイヤーと特定構造のバインダーとを特定の比率で含み、オモテ面の表面粗さRaが所定の範囲であることで、本発明の導電性部材は、導電性が高く、また接触抵抗が小さいと共に、エッチング特性に優れる。更に耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性及び耐屈曲性に優れる。「耐屈曲性」とは、導電性層が屈曲した場合においても、その性能が屈曲により損なわれないことを意味し、以下、「屈曲性に優れる」ともいう。
[基材]
前記導電性部材を構成する基材としては、導電性層を保持することができるものである限り特に制限されず、目的に応じて種々のもの使用することができる。一般的には、板状又はシート状のものが使用される。
基材は、透明であっても、不透明であってもよい。基材を構成する素材としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の高分子樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;その他セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。
これらの基材の導電性層が形成される表面は、所望により、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を、単独で、または2以上の処理を組み合わせて行うことができる。
基材の厚さは、用途に応じて所望の範囲のものが使用される。一般的には、1μm〜500μmの範囲から選択され、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
導電性部材に透明性が要求される場合には、前記基材は全光透過率が70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。なお、基材の全光透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定される。
[導電性層]
前記導電性層は、前記一般式(I)で表される部分構造を含む三次元架橋構造を有し、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう)の少なくとも1つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるバインダーと、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤーとを含む。また前記導電性層は、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比が0.25/1〜30/1の範囲である。更に前記導電性層の前記基材に対向する面とは反対側の面(オモテ面)の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である。
本構成により、カレンダ処理(加圧処理)を行うことなく導電性が高く、耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性及び屈曲性に優れ、更に接触抵抗、エッチング特性に優れた導電性部材を提供できる。
前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比が0.25/1未満又は30/1を超えると、オモテ面の表面粗さRaを所望の範囲とすることが困難になる場合があり、更にエッチング特性が低下する場合がある。
また前記導電性層のオモテ面の表面粗さRaが0.5nm未満であると、接触抵抗を十分に小さくすることができず、更にエッチング特性が低下する。また表面粗さRaが50nmを超えると十分な導電性が得られない。前記オモテ面の表面粗さRaは、導電性、接触抵抗及びエッチング特性の観点から、1nm〜30nmであることが好ましく、1.5nm〜20nmであることがより好ましく、2nm〜15nmであることが最も好ましい。
これは例えば以下のように考えることができる。
表面粗さRaが所定の範囲より小さい状態の場合は、導電性層の表面近傍におけるマトリックス成分である前記バインダーの含有量が金属ナノワイヤーの含有量に比して大きくなる傾向がある。そのため導電性層の表面がマトリックス成分に被覆され、接触抵抗が大きくなると考えられる。また導電性層の表面がマトリックス成分に被覆されていることで、エッチング特性が低下すると考えられる。
一方、表面粗さRaが所定の範囲より大きい状態の場合には、個々の金属ナノワイヤーがマトリックス成分に被覆されていると考えられる。そのため金属ナノワイヤー間の接触が妨げられ、導電性が低下すると考えることができる。特に金属ナノワイヤーの存在下に特定アルコキシド化合物からそのゾルゲル硬化物であるバインダーを形成する場合、特定アルコキシド化合物が金属ナノワイヤーに付着しやすいため、金属ナノワイヤー間にマトリックス成分が形成されやすいと考えられる。
ここで導電性層の表面粗さRaは、導電性層のオモテ面における算術平均粗さであり、JIS B0601に規定されるものである。本発明において表面粗さRaは、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、JIS B0601に準拠して測定される。
導電性層の導電性は、導電性層のオモテ面について、表面抵抗率を測定することで評価される。具体的に表面抵抗率は、導電性部材における導電性層の基材側とは反対側の表面を四探針法により測定して得られる値である。四探針法による表面抵抗率の測定方法は、例えばJIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計(例えば、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600)を用いて、簡便に測定することができる。
前記導電性層のオモテ面における表面抵抗率は目的に応じて適宜選択される。例えば、1,000Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□〜900Ω/□であることがより好ましい。なお、後述するように導電性層が導電性領域及び非導電性領域を有する場合、導電性層の表面抵抗率は導電性領域上で測定される。
導電性層の接触抵抗は、非接触表面抵抗率(SR)に対する接触表面抵抗率(SR)の比として評価され、比(SR/SR)が小さいほど接触抵抗に優れる。前記接触表面抵抗率(SR)は、上記と同様に表面抵抗率計を用いて測定される。また非接触表面抵抗率(SR)は、非接触表面抵抗率計(例えば、NAGY社製SRM−14)を用いて測定される。
前記導電性層の接触抵抗は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1.00〜2.50であることが好ましく、1.10〜2.00であることがより好ましく、1.20〜1.80であることが最も好ましい。なお、後述するように導電性層が導電性領域及び非導電性領域を有する場合、導電性層の接触抵抗は導電性領域上で測定値から評価される。
導電性層の表面粗さRaは、通常用いられる方法で所望の範囲に調整することができる。例えば導電性層の形成方法や、導電性層の組成を適宜選択することで調整することができる。Raを調整可能な導電性層の構成要素としては、金属ナノワイヤーの形状(好ましくは平均短軸長)、金属ナノワイヤーの含有量、金属ナノワイヤーの含有量に対するバインダーの含有量の比率、バインダーの種類等を挙げることができる。
具体的には金属ナノワイヤーの平均短軸長を大きくすることで、導電性層の表面粗さRaを大きくすることができる傾向がある。また導電性層における金属ナノワイヤーの含有量を増やすことで、導電性層の表面粗さRaを大きくすることができる傾向がある。更に金属ナノワイヤーの含有量に対するバインダーの含有量の比率を大きくすることで、導電性層の表面粗さRaを小さくすることができる傾向がある。
また後述するようにバインダーを特定アルコキシド化合物の部分縮合物を加水分解及び重縮合して形成する場合、部分縮合物の重量平均分子量を適宜調整することで導電性層の表面粗さRaを調整することができる。具体的には部分縮合物の重量平均分子量を大きくすることで導電性層の表面粗さRaを小さくすることができる傾向がある。
更に導電性層を液状組成物の付与によって形成する場合、導電性層を形成する液状組成物に含まれる溶媒の構成を適宜選択することで、形成される導電性層の表面粗さRaを調整することができる。具体的には、液状組成物における水の含有量に対する有機溶剤の含有量を大きくすることで、導電性層の表面粗さRaを大きくすることができる傾向がある。
導電性層の表面粗さRaの調整方法は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
例えば上記の表面粗さRaの調整方法により、カレンダ処理(加圧処理)を行うことなく導電性が高く、耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性及び耐屈曲性に優れ、更に接触抵抗、エッチング特性に優れた導電性部材を提供できる。
(金属ナノワイヤー)
前記導電性層に含まれる金属ナノワイヤーの平均短軸長は150nm以下である。より透明性の高い導電性層を形成しやすいという観点からは、例えば、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmであることが好ましい。
製造時の扱い易さの観点、より低いヘイズ値を得る観点、及び導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とする観点から、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、25nm以下であることが特に好ましい。また耐酸化性、耐候性、及び導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とする観点から、金属ナノワイヤーの平均短軸長は1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
更に前記金属ナノワイヤーの平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、耐候性、及び導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とする観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長は、1μm〜40μmであることが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。金属ナノワイヤーの平均長軸長が40μm以下であると、金属ナノワイヤーを凝集物が生じることなく合成することが容易となる。また平均長軸長が1μm以上であると、十分な導電性を得ることが容易となる。
ここで、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。具体的に、金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤーについて、各々短軸長と長軸長を測定し、その算術平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長及び平均長軸長を求めることができる。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
前記金属ナノワイヤーは、短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長が5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーを、全金属ナノワイヤー中に金属量で50質量%以上含んでいることが好ましく、60質量%以上含んでいることがより好ましく、75質量%以上含んでいることが更に好ましい。
前記短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーの割合が、50質量%以上であると、十分な導電性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。一方、繊維状以外の導電性粒子が感光性層に含まれると、プラズモン吸収が強い場合には透明度が低下するおそれがある。
前記導電性層に含まれる金属ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
前記変動係数が40%を超えると、耐久性が悪化することがある。これは例えば、短軸長(直径)の小さいワイヤーに電圧が集中してしまうためと考えることができる。
前記金属ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤーの短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより求めることができる。
(金属ナノワイヤーのアスペクト比)
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100,000が好ましく、50〜100,000がより好ましく、100〜100,000が更に好ましい。
前記アスペクト比が10以上であると、金属ナノワイヤー同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い導電性を有する導電性層が容易に得られる。また、前記アスペクト比が100,000以下であると、例えば基材上に導電性層を塗布により設ける際の塗布液において、金属ナノワイヤー同士が絡まって凝集してしまうことが抑制される安定な塗布液が得られるので、製造が容易となる。
金属ナノワイヤーに含まれるアスペクト比が10以上の金属ナノワイヤーの含有率は特に制限されない。例えば70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
前記金属ナノワイヤーの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができる。高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
前記金属ナノワイヤーを形成する金属としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。これらの中でも、金属又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属から形成されるものがより好ましい。
前記金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらを主成分として含むことが特に好ましい。
前記金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及び、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又はこれらの合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。
前記導電性層に含まれる金属ナノワイヤーは、高い導電性の観点から、銀ナノワイヤーを含むことが好ましく、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmの銀ナノワイヤーを含むことがより好ましく、平均短軸長が5nm〜30nmであって、平均長軸長が5μm〜30μmの銀ナノワイヤーを含むことが更に好ましい。金属ナノワイヤーに含まれる銀ナノワイヤーの含有率は、本発明の効果を妨げない限り特に制限されない。例えば、金属ナノワイヤー中の銀ナノワイヤーの含有率は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、金属ナノワイヤーは実質的に銀ナノワイヤーであることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、不可避的に混入する銀以外の金属原子を許容することを意味する。
導電性層に含まれる金属ナノワイヤーの含有量は、金属ナノワイヤーの種類等に応じて、導電性層の表面粗さRaが所望の値となるような量とされることが好ましい。例えば銀ナノワイヤーの場合については、0.001g/m〜0.100g/mの範囲であり、好ましくは0.002g/m〜0.050g/mの範囲であり、より好ましくは0.003g/m〜0.040g/mの範囲である。
更に前記導電性層は、導電性、接触抵抗、及びエッチング特性の観点から、平均短軸長が5nm〜60nmの金属ナノワイヤーを0.001g/m〜0.100g/mの範囲で含むことが好ましく、平均短軸長が10nm〜60nmの金属ナノワイヤーを0.002g/m〜0.050g/mの範囲で含むことがより好ましく、平均短軸長が20nm〜50nmの金属ナノワイヤーを0.003g/m〜0.040g/mの範囲で含むことが更に好ましい。
(金属ナノワイヤーの製造方法)
前記金属ナノワイヤーの製造方法は特に制限はなく、金属ナノワイヤーはいかなる方法で作製されてもよい。以下のようにハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また金属ナノワイヤーを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、導電性層の経時安定性の観点から好ましい。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
金属ナノワイヤーの製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましい。例えば、水、アルコール溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。エーテル溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ケトン溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
金属ナノワイヤーの製造において加熱処理を行う場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤーの長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤーの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよい。途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果が得られることがある。
前記加熱処理の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、グルコース等の還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
前記金属ナノワイヤー製造の際には分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよい。ハロゲン化合物の添加は2段階以上に分けることが好ましい。これにより単分散性により優れる金属ナノワイヤーを得ることができる。これは例えば、核形成と成長を制御できるためと考えることができる。
前記分散剤を添加する段階は特に制限されない。金属ナノワイヤーを調製する前に添加し、分散剤存在下で金属ナノワイヤーを形成してもよいし、金属ナノワイヤーを調製後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は必要とする金属ナノワイヤーの長さにより変更することが好ましい。これは核となる金属粒子量の制御による金属ナノワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸誘導体等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
前記分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤及びハロゲン化合物は双方の機能を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
金属ナノワイヤーの製造方法においては、金属ナノワイヤー形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤー形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
前記金属ナノワイヤーは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。前記金属ナノワイヤーを水性分散物とさせたときの電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
前記金属ナノワイヤーを水性分散物とさせたときの20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
前記電気伝導度及び粘度は、金属ナノワイヤーの濃度が0.45質量%である分散液において測定される。
前記導電性層は、金属ナノワイヤーに加えて、他の導電性材料、例えば、導電性粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。本発明の効果の観点からは、金属ナノワイヤー(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤー)の含有比率は、金属ナノワイヤーを含む導電性材料の総量中に体積基準で、50体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましく、75体積%以上が特に好ましい。前記金属ナノワイヤーの含有比率を50体積%以上とすることにより、金属ナノワイヤー同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する導電性層を容易に得ることができる。
また、金属ナノワイヤー以外の形状の導電性粒子は、導電性層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属の場合であって、球形などのプラズモン吸収が強い場合には、導電性層の透明度が悪化してしまうことがある。
ここで、前記金属ナノワイヤーの含有比率は、例えば、金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーであり、導電性粒子が銀粒子である場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の導電性粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀粒子の量を各々測定することで、金属ナノワイヤーの比率を求めることができる。また金属ナノワイヤーのアスペクト比は、ろ紙に残っている金属ナノワイヤーをTEMで観察し、300個の金属ナノワイヤーの短軸長及び長軸長をそれぞれ測定することにより算出される。金属ナノワイヤーの平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
(バインダー)
前記導電性層は、バインダーとして、下記一般式(I)で示される部分構造を含む三次元架橋構造を有し、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物の少なくとも1種を含む。
−M−O−M− (I)
一般式(I)中、MはSi、Ti、Zr及びAlからなる群から選ばれる元素を示す。
上記のバインダーは、Si、Ti、Zr及びAlからなる群から選ばれる元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物で構成されたものである。これにより、導電性及び透明性に優れ、かつ膜強度、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び屈曲性に優れる導電性層が容易に構成できる。
ここで、上記一般式(I)で示される部分構造を含む三次元架橋構造に含まれるMの価数は、一般式(I)中のMがSi、Ti及びZrのいずれかの場合には、4となり、MがAlの場合には、3となる。
上記一般式(I)におけるMは、Si、Ti及びZrからなる群より選ばれることが好ましく、Siであることが更に好ましい。
〔特定アルコキシド化合物〕
特定アルコキシド化合物は、下記一般式(II)又は一般式(III)のいずれかで示される化合物であることが、入手容易である点で好ましい。
(OR (4−a) (II)
(OR (3−b) (III)
一般式(II)中、MはSi、Ti及びZrから選択される元素を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。
一般式(III)中、MはAlを示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、bは1〜3の整数を示す。
一般式(II)におけるR及びR、並びに一般式(III)におけるR及びRの各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、更により好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、一般式(II)で示される化合物及び一般式(III)で示される化合物は、低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(II)で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
がSiでaが2の場合、即ち2官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルジメチルジメトキシシラン、クロロジメチルジエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルメチルジメトキシシラン、γ−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、アセトキシプロピルメチルジメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ヒドロキシメチルメチルジエトキシシラン、N−(メチルジエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド
、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、ビニルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルメチルジメトキシシラン、ビニルデシルメチルジメトキシシラン、ビニルオクチルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルメチルジエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]メチルジエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(メチルジエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、11−アミノウンデシルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)メチルジエトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルメチルジメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−3−メチルジメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−メチルジメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、アセトアミドプロピルメチルジメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトエチルメチルジエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジエトキシシラン、カルボキシエチルメチルシランジオールナトリウム塩、N−(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(メチルジヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルメチルジエトキシシラン、3−メチルジヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、ビス(メチルジエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(メチルジエトキシシリル)オクタン、p−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(メチルジメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(メチルジエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(メチルジエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが3の場合、即ち3官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、γ−ブロモプロピルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−トリエチキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルデシルトリメトキシシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]トリエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルトリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトエチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、p−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(トリエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが4である場合、即ち4官能のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
がTiでaが2の場合、即ち2官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが3の場合、即ち3官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが4の場合、即ち4官能のアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
がZrでaが2又は3である場合、即ち、2官能及び3官能のオルガノアルコキシジルコネートとしては、例えば、前記2官能及び3官能のオルガノアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するオルガノアルコキシジルコネートを挙げることができる。
がZrでaが4である場合、即ち、即ち4官能のテトラアルコキシジルコニウムとしては、例えば、前記テトラアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、一般式(III)で示されるAlのアルコキシド化合物としては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
これらの特定アルコキシド化合物は、市販品として容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属ハロゲン化物とアルコールとの反応によっても得られる。
特定アルコキシド化合物は、それぞれ1種類の化合物を単独で用いても、2種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
特定アルコキシド化合物を1種単独で用いる場合、前記バインダーは、前記一般式(II)で示される化合物のうち、a=4である化合物(テトラアルコキシ化合物)を含む水性ゾル液を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であることが好ましい。
また特定アルコキシド化合物を2種以上組み合わせる場合、前記バインダーは、前記一般式(II)で示される化合物のうち、a=4である化合物(テトラアルコキシ化合物)及びa=3である化合物(オルガノトリアルコキシ化合物)を含む水性ゾル液を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であることが好ましく、前記一般式(II)で示される化合物のうち、a=3である化合物(オルガノトリアルコキシ化合物)に対するa=4である化合物(テトラアルコキシ化合物)の質量比(テトラアルコキシ化合物/オルガノトリアルコキシ化合物)が0.01/1〜100/1であることが好ましく、0.02/1〜50/1であることがより好ましく、0.05/1〜20/1であることが更に好ましい。
前記バインダーは、導電性、接触抵抗、及びエッチング特性の観点から、特定アルコキシド化合物の少なくとも1種を加水分解及び重縮合させて得られる部分縮合物を、更に加水分解及び重縮合させて得られるゾルゲル硬化物であることが好ましく、前記部分縮合物の重量平均分子量が1,000〜50,000であることがより好ましく、前記部分縮合物の重量平均分子量が4,000〜46,000であることが更に好ましく、前記部分縮合物の重量平均分子量が10,000〜35,000であることが特に好ましい。
本明細書において、前記部分縮合物の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定されたポリスチレン換算値である。重量平均分子量のGPC法による測定は、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mmI.D.×15cm)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行うことができる。
部分縮合物の重量平均分子量が大きくなると、形成される導電性層の表面粗さRaが小さくなり、導電性がより良好になる傾向がある。また部分縮合物の重量平均分子量が小さくなると、形成される導電性層の表面粗さRaが大きくなり、導電性がより低下する傾向がある。これは例えば以下のように考えることができる。すなわち、部分縮合物の重量平均分子量が小さいとアルコキシド化合物の由来の水酸基の量が相対的に多くなり、この水酸基が金属ナノワイヤーと相互作用するために、金属ナノワイヤーへの部分縮合物の吸着量が多くなると考えられる。これにより金属ナノワイヤーはアルコキシド化合物の部分縮合物に覆われてしまい、導電性層を形成した際に表面が粗くなってしまうと考えられる。更に金属ナノワイヤー同士の接触も阻害されるため表面抵抗率が高くなってしまうと考えられる。一方、アルコキシド化合物の部分縮合物の重量平均分子量が大きくなると水酸基の量が相対的に少なくなるために金属ナノワイヤーへの吸着量が減るため導電性層表面のRaは小さくなり、表面抵抗率も低くなると考えることができる。
前記部分縮合物は、特定アルコキシド化合物を含む水溶液を加熱処理することで得ることができる。以下、前記部分縮合物を含む水溶液を「ゾルゲル液」ともいう。
加熱処理の温度及び時間等の加熱処理の条件は、目的とする部分縮合物の重量平均分子量に応じて適宜選択できる。加熱処理の条件は、前記導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とする観点から、20℃〜100℃で、0.5時間〜100時間であることが好ましく、25℃〜80℃で、1.0時間〜60時間であることが更に好ましく、30℃〜60℃で、1.5時間〜35時間であることが更に好ましい。
前記導電性層は、金属ナノワイヤーに対する特定アルコキシド化合物の質量比率、即ち、特定アルコキシド化合物/金属ナノワイヤーの質量比が0.25/1〜30/1の範囲で使用されることが好ましい。前記質量比が0.25/1以上であると、透明性に優れると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性がバランスよく向上した導電性層となる。他方、上記質量比が30/1以下であると、導電性及び耐屈曲性に優れる導電性層となる。更に前記質量比が0.25/1〜30/1の範囲であると、導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とすることができる。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜20/1の範囲、更に好ましくは1/1〜15/1、最も好ましくは2/1〜12/1の範囲が高い導電性と高い透明性(全光透過率及びヘイズ)を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、及び耐屈曲性に優れ、導電性層の表面粗さRaを所望の範囲である導電性部材を安定的に得ることができるので、好ましい。
更に前記金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーを含む場合、導電性層における銀に対する前記Mで示される元素の含有モル比率(M/銀)は、0.10/1〜22/1であることが好ましく0.20/1〜18/1であることがより好ましく、0.45/1〜15/1であることが更に好ましい。前記含有比率が0.10/1〜22/1であると、導電性、接触抵抗、及びエッチング特性がバランスよく向上する傾向がある。
本発明により、高い導電性と高い透明性を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる導電性層を有する導電性部材が得られる理由は必ずしも明らかではない、以下のような理由によるものと推定される。
即ち、導電性層が金属ナノワイヤーを含み、かつ特定アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物をマトリックスとして含んでいることにより、マトリックスとして一般的な有機高分子樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ビニル重合系樹脂など)を含む導電性層の場合に比べて、導電性層に含まれるマトリックスの割合が少ない範囲であっても空隙の少ない、かつ架橋密度の高い緻密な導電性層が形成されるため、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れる導電性層が得られる。更に、金属ナノワイヤーの調製時に使用された分散剤としての親水性基を有するポリマーが、金属ナノワイヤー同士の接触を少なくとも幾分かは妨げていると推測されるが、上記ゾルゲル硬化物の形成過程で、金属ナノワイヤーを覆っている上記の分散剤が剥離され、更に特定アルコキシド化合物が重縮合する際に収縮するために多数の金属ナノワイヤー同士の接触点が増加する。そのため、金属ナノワイヤー同士の接触点が増加して、高い導電性がもたらされると同時に、高い透明性が得られる。そして、特定アルコキシド化合物/金属ナノワイヤーの質量比が0.25/1〜30/1の範囲とされていることと関連して、導電性と透明性が維持されつつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れと同時に、耐屈曲性にも優れるという効果がもたらされる。
(その他マトリックス)
導電性層は、前述の特定アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物に加えて、前記ゾルゲル硬化物以外の成分(以下、「その他マトリックス」ともいう。)をマトリックスとして含んでいてもよい。その他マトリックスを更に含む導電性層は、前述の液状組成物中に、その他マトリックスを形成し得る材料を含有させておき、これを基材上に付与し、加熱処理して形成すればよい。
ここで、「マトリックス」とは、金属ナノワイヤーを含んで層を形成する物質の総称である。マトリックスを含むことにより、導電性層における金属ナノワイヤーの分散が安定に維持される上、基材表面に導電性層を、接着層等の中間層を介することなく形成した場合においても基材と導電性層との強固な接着が確保される。前述のゾルゲル硬化物はマトリックスとしての機能も有する。
その他マトリックスは、有機高分子ポリマーのような非感光性のものであっても、フォトレジスト組成物のような感光性のものであってもよい。
導電性層がその他マトリックスを含む場合、その含有率は、特定アルコキシ化合物に由来するゾルゲル硬化物の含有量に対して、0.10質量%〜20質量%、好ましくは0.15質量%〜10質量%、更に好ましくは0.20質量%〜5質量%の範囲から選ばれることが導電性、透明性、膜強度、耐摩耗性及び耐屈曲性の優れる導電性部材が得られるので有利である。
その他マトリックスは、前述のとおり、非感光性のものであっても、感光性のものであってもよい。
好適な非感光性マトリックスには、有機高分子ポリマーが含まれる。有機高分子ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、ポリカーボネート等)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテルなどの芳香族性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーン及びその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、及びフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)又はデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
感光性のマトリックスには、リソグラフィック・プロセスに好適なフォトレジスト組成物が含まれる。マトリックスとして、フォトレジスト組成物が含まれる場合には、導電性層を導電性領域と非導電性領域とをパターン上に有するものとして、リソグラフィック・プロセスにより形成することが可能となる点で好ましい。このようなフォトレジスト組成物のうち、特に好ましいものとして、透明性及び柔軟性に優れ、かつ基材との接着性に優れた導電性層が得られるという点から、光重合性組成物が挙げられる。以下、この光重合性組成物について、説明する。
(光重合性組成物)
光重合性組成物は、(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含み、更に所望により(c)バインダー、(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤を含むものである。
以下、これらの成分について、説明する。
(a)付加重合性不飽和化合物
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは2つ以上の、更に好ましくは4つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(a)の含有量は、前述の金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、2.6質量%以上37.5質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下であることがより好ましい。
(b)光重合開始剤
成分(b)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物及びその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ−又はトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジン又は1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
前記トリアジン系化合物としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記(1)光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である観点から特に好ましい。
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなカルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、及びアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、BASF社製のイルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、米国特許第4,311,783号、米国特許第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オキシムエステル化合物としては、例えばJ.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、BASF社製のイルガキュア(登録商標)OXE−01、OXE−02等が好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えばBASF社製のイルガキュア819、ダロキュア(登録商標)4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)が特に好ましい。
成分(b)の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その含有量は、金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。このような数値範囲において、後述の導電性領域と非導電性領域とを含むパターンを導電性層に形成する場合に、良好な感度とパターン形成性が得られる。
(c)バインダー
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、CH=CR1112〔ただし、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R12は炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
成分(c)のバインダーの含有量は、前述の金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜85質量%がより好ましく、20質量%〜80質量%が更に好ましい。前記好ましい含有量範囲であると、現像性と金属ナノワイヤーの導電性の両立が図れる。
(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤
上記成分(a)〜(c)以外のその他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(d−1)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等の複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等の脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
(d−2)架橋剤
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン系化合物は、1種単独で又はエポキシ系化合物と混合して使用することができる。特にエポキシ系化合物との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も、また、前記(c)重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における(c)重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
(d−3)分散剤
分散剤は、光重合性組成物中における前述の金属ナノワイヤーが凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、前記金属ナノワイヤーを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用できる。特に金属ナノワイヤーに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、前記金属ナノワイヤーの製造に用いたもの以外を更に別に添加する場合、当該高分子分散剤も、また、前記成分(c)のバインダーに包含され、その含有量は、前述の成分(c)の含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量としては、成分(c)のバインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤーの凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、付与工程において安定な液膜が形成され、ムラの発生が抑制されるため好ましい。
(d−4)溶媒
溶媒は、前述の金属ナノワイヤー並びに特定アルコキシド化合物と、光重合性組成物とを含む組成物を基材表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤーの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
(d−5)金属腐食防止剤
金属ナノワイヤーの金属腐食防止剤を含有させておくことが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電性部材の経時による導電性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、金属ナノワイヤーに対して0.5質量%〜10質量%含有させることが好ましい。
その他マトリックスとしては、前述の金属ナノワイヤーの製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
[導電性層の製造方法]
前記導電性層は、例えば、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤーと、前記特定アルコキシド化合物と、水とを含む液状組成物を、基材上に付与して液膜を形成し、この液膜中で特定アルコキシド化合物の加水分解及び重縮合の反応(以下、この加水分解及び重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう)を起こさせ、更に必要に応じて溶媒としての水を加熱して蒸発させて乾燥することにより導電性層を製造することができる。液状組成物(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう)の調製に際しては、金属ナノワイヤーの水分散液を別に調製しておき、これと特定アルコキシド化合物とを混合してもよい。更に、特定アルコキシド化合物を含む水溶液を調製したのち、この水溶液を加熱して特定アルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解及び重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と金属ナノワイヤーの水分散液とを混合したものを液状組成物としてもよい。
〔触媒〕
導電性層を形成する液状組成物は、ゾルゲル反応を促進させる触媒の少なくとも1種を含むことが好ましい。触媒としては、ケイ素を含むアルコキシド化合物の加水分解及び重縮合の反応を促進させるものであれば特に制限はなく、通常用いられる触媒から適宜選択して使用することができる。
このような触媒としては、酸及び塩基性化合物が挙げられる。これらはそのまま使用することもできるし、水又はアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)で使用してもよい。
酸又は塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸又は塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は液状組成物での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒及び塩基性触媒の種類は特に限定されない。濃度の高い触媒を用いる必要がある場合には、導電性層中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒を選択することが好ましい。具体的に、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸等の無機酸、蟻酸や酢酸等のカルボン酸、RCOOHで示される構造式のRが置換基を有する置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。また塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどの有機アミンなどが挙げられる。
ここでRは、炭化水素基を表す。Rで表される炭化水素基は前記一般式(II)における炭化水素基と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記酸性触媒及び塩基性触媒は、金属ナノワイヤーに対する酸化性を示さない酸性触媒及び塩基性触媒であることが好ましい。具体的には例えば、蟻酸や酢酸等のカルボン酸、RCOOHで示される構造式の置換カルボン酸、塩酸、硫酸、燐酸、ホスホン酸、スルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも、金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーを含む場合、酢酸等の脂肪族カルボン酸、塩酸、硫酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いてゾルゲル反応を行うことが好ましく、酢酸等の脂肪族カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いてゾルゲル反応を行うことがより好ましい。
金属ナノワイヤーに対する酸化性を示さない酸性触媒又は塩基性触媒を用いて、ゾルゲル反応を行うことで、金属ナノワイヤーの酸化が抑制され、導電性と耐熱性、耐湿熱性により優れる導電性部材を構成することができる。また液状組成物のポットライフの観点から酸性触媒を用いることが更に好ましい。
前記触媒として、金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、並びにエノール性活性水素化合物からなる群より選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物である配位子とから構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiからなる群より選ばれる金属元素を含む錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物の具体例としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有するアセチルアセトン誘導体などが挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以
下のスキームを推定している。すなわち、液状組成物中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、基材に付与後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより液状組成物の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質及び高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
前記液状組成物が触媒を含む場合、前記触媒は、液状組成物の固形分に対して、好ましくは50質量%以下、更に好ましくは5質量%〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔溶剤〕
上記の液状組成物は、必要に応じて、水に加えて有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより基材上に、より均一な液膜を形成することができる。
このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。これらの中でもアルコール系溶剤が好ましく、炭素数が4以下のアルコール系溶剤がより好ましい。
有機溶剤は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液状組成物が有機溶剤を含む場合、導電性層の表面粗さRaを所望の範囲とする観点から、有機溶剤の含有率は溶媒の総質量中に20〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。
有機溶剤の含有率が95質量%以上であると、金属ナノワイヤーが凝集する傾向がある。また95質量%以下であると導電性層の表面粗さRaをより小さくできる傾向がある。
前記液状組成物に含まれる特定アルコキシド化合物の含有率は、基材への付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、液状組成物の総質量中に0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上20質量%以下の範囲がより好ましく、0.4質量%以上10質量%以下の範囲が最も好ましい。
また前記液状組成物は、必要に応じて、その他の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、無機微粒子、酸化防止剤、界面活性剤等を挙げることができる。
前記液状組成物を基材上に付与して液膜を形成する方法としては、液状組成物を基材上に塗布する方法を挙げることができる。塗布方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。塗布方法としては例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
前記液状組成物の基材への付与量は、液状組成物の構成等に応じて適宜選択することができる。例えば、金属ナノワイヤーの付与量として、0.001g/m〜0.100g/mの範囲とすることができる。好ましくは0.002g/m〜0.050g/mの範囲であり、より好ましくは0.003g/m〜0.040g/mの範囲である。
基板上に形成された液状組成物の液膜中においては、特定アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記液膜を加熱処理して、液膜中の溶媒の少なくとも一部を除去して乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
本発明の導電性層の平均膜厚は、0.01μm〜2μmが好ましく、0.02μm〜1μmが更に好ましく、0.03μm〜0.8μmがより好まく、0.05μm〜0.5μmが更により好ましい。膜厚を0.01μm以上50μm以下とすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、0.05μm〜0.5μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保されるので好ましい。
前記導電性層の平均膜厚は、電子顕微鏡による導電性層断面の直接観察により、導電性層の膜厚を5点測定し、その算術平均値として算出される。また導電性層の平均膜厚は金属ワイヤーの存在しないマトリックス成分のみの厚みを測定して算出した。以下に示す本実施例においては電子顕微鏡を用いて測定される平均膜厚を記載している。
更に前記導電性層は、導電性、接触抵抗、及びエッチング特性の観点から、平均膜厚に対する表面粗さRaの比(表面粗さRa(nm)/平均膜厚(nm))が0.05〜250の範囲であることが好ましく、1〜100の範囲であることがより好ましく、3〜50の範囲であることが更に好ましく、4〜10の範囲であることが最も好ましい。表面粗さRa(nm)/平均膜厚(nm)の比が0.05〜250の範囲であることで、導電性、接触抵抗、及びエッチング特性により優れた導電性部材が得られる。
[導電性層の形状]
前記導電性部材における、基材表面に垂直な方向から観察した場合の形状は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。また導電性層は導電性領域に加えて非導電性領域を含むものであってもよい。すなわち導電性層は、導電性層の全領域が導電性領域である第一の態様(以下、この導電性層を「非パターン化導電性層」ともいう)、及び導電性層が導電性領域と非導電性領域とを含む第二の態様(以下、この導電性層を「パターン化導電性層」ともいう)の何れであってもよい。第二の態様の場合には、非導電性領域に金属ナノワイヤーが含まれていても含まれていなくてもよい。非導電性領域に金属ナノワイヤーが含まれている場合、非導電性領域に含まれる金属ナノワイヤーは断線されている。
第一の態様に係る導電性部材は、例えば太陽電池の透明電極として使用することができる。
また、第二の態様に係る導電性部材は、例えばタッチパネルを作成する場合に使用される。この場合、所望の形状を有する導電性領域と非導電性領域とが形成される。
前記非導電性領域及び導電性領域における表面抵抗率は特に制限されない。非導電性領域における表面抵抗率は例えば、1×10Ω/□以上であることが好ましく、1×10Ω/□以上であることがより好ましい。また導電性領域における表面抵抗率は例えば、1×10Ω/□以下であることが好ましく、9×10Ω/□以下であることがより好ましい。
パターン化導電性層は、例えば下記パターニング方法により製造される。
(1)予め非パターン化導電性層を形成しておき、この非パターン化導電性層の所望の領域に含まれる金属ナノワイヤーに炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の高エネルギーのレーザー光線を照射して、金属ナノワイヤーの一部を断線又は消失させて当該所望の領域を非導電性領域とするパターニング方法。この方法は、例えば、特開2010−4496号公報に記載されている。
(2)予め形成した非パターン化導電性層上にレジスト層を形成し得る感光性組成物(フォトレジスト)層を設け、この感光性組成物層に所望のパターン露光及び現像を行って、当該パターン状のレジスト層を形成したのちに、金属ナノワイヤーを溶解可能なエッチング液を付与して処理するウェットプロセスか、又は反応性イオンエッチングのようなドライプロセスにより、レジストで保護されていない領域の導電性層中の金属ナノワイヤーをエッチング除去するパターニング方法。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
(3)予め形成した非パターン化導電性層上に、金属ナノワイヤーを溶解可能なエッチング液を所望のパターン状に付与して、エッチング液が付与された領域の導電性層中の金属ナノワイヤーをエッチング除去するパターニング方法。
上記感光性組成物層のパターン露光に用いる光源は、感光性組成物の感光波長域との関連で選定されるが、一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
パターン露光の方法にも特に制限はなく、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービーム等による走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
前記金属ナノワイヤーを溶解可能なエッチング液の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えばスクリーン印刷、インクジェット法、コーター塗布、ローラー塗布、ディップ(浸漬)塗布、スプレー塗布する方法、などが挙げられる。これらの中でも、スクリーン印刷、インクジェット法、コーター塗布、ディップ塗布が特に好ましい。
また前記エッチング液を所望のパターン状に付与する方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えばスクリーン印刷、インクジェット法などが挙げられる。
前記インクジェット法としては、例えばピエゾ方式及びサーマル方式のいずれも使用可能である。
前記パターンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、文字、記号、模様、図形、配線パターン、などが挙げられる。
前記パターンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
前記金属ナノワイヤーを溶解するエッチング液としては、金属ナノワイヤーに応じて適宜選択することができる。例えば金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーの場合には、所謂写真科学業界において、主にハロゲン化銀カラー感光材料の印画紙の漂白、定着工程に使用される漂白定着液、強酸、酸化剤、過酸化水素などが挙げられる。これらの中でも、漂白定着液、希硝酸、過酸化水素が特に好ましい。なお、前記金属ナノワイヤーを溶解するエッチング液による銀ナノワイヤーの溶解は、溶解液を付与した部分の銀ナノワイヤーを完全に溶解しなくてもよく、導電性が消失していれば一部が残存していてもよい。
前記希硝酸の濃度は、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記過酸化水素の濃度は、3質量%〜30質量%であることが好ましい。
前記漂白定着液としては、例えば特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましく、90秒間以下5秒間以上が更に好ましい。また、水洗又は安定化時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましい。
前記漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
前記金属ナノワイヤーを溶解するエッチング液の粘度は、25℃で、5mPa・s〜300,000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜150,000mPa・sであることがより好ましい。前記粘度を、5mPa・sとすることで、エッチング液の拡散を所望の範囲に制御することが容易となって、導電性領域と非導電性領域との境界が明瞭なパターニングが確保され、他方、300,000mPa・s以下とすることで、エッチング液の印刷を負荷なく行うことが確保されると共に、金属ナノワイヤーの溶解に要する処理時間を所望の時間内で完了させることができる。
[中間層]
基材と導電性層との間に少なくとも一層の中間層を有することが好ましい。基材と導電性層との間に中間層を設けることにより、基材と導電性層との密着性、導電性層の全光透過率、導電性層のヘイズ、及び導電性層の膜強度のうちの少なくとも一つの向上を図ることが可能となる。
中間層としては、基材と導電性層との接着力を向上させるための接着剤層、導電性層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
中間層を更に有する導電性部材の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る導電性部材1を示す概略断面図である。図1に示す導電性部材1は、中間層を有する基材である基板101上に導電性層20が設けられている。導電性部材1は、基材10と導電性層20との間に、基材10との親和性に優れる第1の接着層31と、導電性層20との親和性に優れる第2の接着層32とを含む中間層30とを備える。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る導電性部材2を示す概略断面図である。図2に示す導電性部材2は、中間層を有する基材である基板102上に導電性層20が設けられている。導電性部材2は、基材10と導電性層20との間に、前記第一の実施形態と同様の第1の接着層31及び第2の接着層32に加え、導電性層20に隣接して機能性層33を備えて構成される中間層30を有する。本明細書における中間層30は、前記第1の接着層31、第2の接着層32、及び機能性層33から選択される少なくとも1層を含んで構成される層を指す。
中間層30に使用される素材は特に限定されず、上記の特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。本発明の導電性部材においては、中間層の好ましい態様のひとつである、金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を、前記導電性層に接する中間層として備える。
例えば、中間層として接着層を備える場合、接着層には、接着剤として使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、Siのアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
また、導電性層と接する中間層(即ち、中間層30が単層の場合には、当該中間層が、そして中間層30が複数の層を含む場合には、そのうちの導電性層と接する中間層)が、当該導電性層20に含まれる金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む機能性層33であることが、全光透過率、ヘイズ、及び膜強度に優れた導電性層が得られることから好ましい。このような中間層を有する場合においては、導電性層20が金属ナノワイヤーと有機高分子とを含むものであっても、膜強度に優れた導電性層が得られる。
この作用は明確ではないが、導電性層20に含まれる金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を設けることで、導電性層に含まれる金属ナノワイヤーと中間層に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、導電性層における導電性材料の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、導電性層中における導電性材料の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層を、以下、機能性層と称することがある。機能性層は、金属ナノワイヤーとの相互作用によりその効果を発揮することから、導電性層が金属ナノワイヤーを含んでいれば、導電性層が含むマトリックスに依存せずにその効果を発現する。
上記の金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基としては、例えば金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。更に好ましくは、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩であることが好ましく、最も好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸又はその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH、及びそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、導電性層形成用の塗布液を塗布後、金属ナノワイヤーと中間層に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に金属ナノワイヤーが凝集するのを抑制し、金属ナノワイヤーが均一に分散された導電性層を形成することができる。
中間層は、中間層を構成する化合物が溶解、又は分散(懸濁若しくは乳化)した液を基材上に塗布し、乾燥することで形成することができる。塗布方法は一般的な方法を用いることができる。その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
本発明に係る導電性部材は、優れた耐摩耗性を有する。この耐摩耗性は、例えば、以下の(1)又は(2)の方法により評価することができる。
(1)導電性層の表面を、連続加重引掻試験機(例えば、新東科学株式会社製の連続加重引掻試験機Type18s)を使用し、導電性層の表面と接する面のサイズが20mm×20mmの擦り部材表面にガーゼ(例えば、白十字株式会社製 FCガーゼ)を配置して500g荷重で50往復擦る耐摩耗試験を行った場合に、前記耐摩耗試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記耐摩耗試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(耐摩耗試験後/前記耐摩耗試験)が100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは10以下である。
(2)導電性部材を、直径10mmの円筒マンドレルを装着した円筒形マンドレル屈曲試験器(例えば、コーテック(株)社製の屈曲試験機)を用いて、20回曲げ試験を行った場合に、記試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(曲げ試験後/曲げ試験前)が5.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。
前記導電性部材は、導電性層が高い導電性と透明性を有すると共に、膜強度が高く、耐摩耗性に優れ、かつ耐屈曲性に優れるので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、液晶表示装置、タッチパネル機能付表示装置、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネル及び太陽電池への適用が特に好ましい。
<導電性部材の製造方法>
本発明の導電性部材の製造方法は、(a)金属ナノワイヤーと、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合させて得られる部分縮合物と、を含む液状組成物であって、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲である液状組成物を基材上に塗布して、液膜を前記基材上に形成することと、(b)前記液膜中の前記アルコキシド化合物を、更に加水分解及び重縮合させてゾルゲル硬化物を形成させることにより、金属ナノワイヤー及びゾルゲル硬化物であるバインダーを含み、前記基材に対向する面とは反対側の面の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である導電性層を形成することとを有する。
このような構成を有することで、導電性と接触抵抗に優れると共に、エッチング特性に優れる導電性部材を効率よく製造することができる。
前記部分縮合物の重量平均分子量は、導電性、接触抵抗及びエッチング特性の観点から、1,000〜50,000の範囲であることが好ましく、4,000〜46,000であることが更に好ましく、前記部分縮合物の重量平均分子量が10,000〜35,000であることが更に好ましい。
前記製造方法は、(a)に先だって、前記基材における前記液膜が形成される面に、少なくとも1層の中間層を形成することを更に含むことが好ましい。これにより、密着性がさらに向上し、耐磨耗性により優れる導電性部材を製造することができる。
また前記(b)の後に、(c)前記導電性層にパターン状の非導電性領域を形成して、非導電性領域及び導電性領域と有する導電性層を形成することを更に含むこともまた好ましい。これにより、タッチパネル等のデバイス用に好適な導電性部材を製造することができる。
<タッチパネル>
前記導電性部材は、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどに適用される。ここで、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
前記表面型静電容量方式タッチパネルについては、例えば特表2007−533044号公報に記載されている。
<太陽電池>
前記導電性部材は、集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)における透明電極として有用である。
集積型太陽電池としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、又はタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記太陽電池デバイスが、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、及び銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスであることが好ましい。
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにGeを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
前記導電性部材は、前記全ての太陽電池デバイスに関して適用できる。導電性部材は、太陽電池デバイスのどの部分に含まれてもよいが、光電変換層に隣接して導電性層が配置されていることがいることが好ましい。光電変換層との位置関係に関しては下記の構成が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記に記した構成は太陽電池デバイスを構成する全ての部分を記載しておらず、前記透明導電層の位置関係が分かる範囲の記載としている。ここで、[ ]で括られた構成が、前記導電性部材に相当する。
(A)[基材−導電性層]−光電変換層
(B)[基材−導電性層]−光電変換層−[導電性層−基材]
(C)基板−電極−光電変換層−[導電性層−基材]
(D)裏面電極−光電変換層−[導電性層−基材]
このような太陽電池の詳細については、例えば特開2010−87105号公報に記載されている。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の含有率としての「%」、及び、「部」は、いずれも質量基準に基づくものである。
以下の例において、金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長、短軸長の変動係数、並びに、アスペクト比は、以下のようにして測定した。
<金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤーから、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤーの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長求めた。
<金属ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤーの短軸長(直径)を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。
<平均アスペクト比>
アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、本実施形態に用いられる金属ナノワイヤーの平均アスペクト比を算出することができる。
調製例1:水系ナノワイヤー
以下、金属ナノワイヤー分散液として銀ナノワイヤーを用いた態様を例に挙げて説明する。
―銀ナノワイヤー分散液(1)の調製―
予め、下記の添加液A、B、C、及び、Dを調製した。
〔添加液A〕
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド60mg、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液6.0g、グルコース2.0gを蒸留水120.0gに溶解させ、反応溶液A−1とした。別に、硝酸銀粉末72mgを蒸留水2.0gに溶解させ、硝酸銀水溶液A−1とした。
前記反応溶液A−1を25℃に保ち、激しく攪拌しながら、前記硝酸銀水溶液A−1を添加した。硝酸銀水溶液A−1の添加後から180分間、激しく攪拌し、添加液Aとした。
〔添加液B〕
硝酸銀粉末42.0gを蒸留水958gに溶解し、添加液Bとした。
〔添加液C〕
25%アンモニア水75gを蒸留水925gと混合し、添加液Cとした。
〔添加液D〕
ポリビニルピロリドン(K30)400gを蒸留水1.6kgに溶解し、添加液Dとした。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー分散液(1)を調製した。ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド粉末1.30gと臭化ナトリウム粉末33.1gとグルコース粉末1,000g、硝酸(1N)115.0gを80℃の蒸留水12.7kgに溶解させた。この液を80℃に保ち、500rpmで攪拌しながら、添加液Aを添加速度250cc/分、添加液Bを500cc/分、添加液Cを500cc/分で順次添加した。添加後、攪拌速度を200rpmとし、液温を80℃に維持しながら100分間、加熱攪拌した。その後に、25℃に冷却した。攪拌速度を500rpmに変更し、添加液Dを500cc/分で添加した。この液を仕込液E1とした。
次に、1−プロパノールを激しく攪拌しながら、そこへ仕込液E1を混合比率が体積比1対1となるように一気に添加した。添加後、攪拌を3分間行い、仕込液E2とした。分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、限外濾過を次の通り実施した。
得られた仕込液E2を4倍に濃縮した後、蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返し、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(1)を得た。
得られた銀ナノワイヤー分散液(1)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。その結果、平均短軸長17.2nm、平均長軸長7.9μm、変動係数が16.0%であった。平均アスペクト比は459であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(1)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
(調製例2)
−図1に示す構成を有するPET基板101の作製−
下記の配合で接着用溶液1を調製した。
[接着用溶液1]
・タケラックWS−4000 5.0部
(コーティング用ポリウレタン、固形分濃度30%、三井化学(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
・水 94.4部
基材である厚さ125μmのPETフィルム10の一方の表面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理を施した表面に、上記の接着用溶液1を塗布し120℃で2分間乾燥させて、厚さが0.11μmの第1の接着層31を形成した。
以下の配合で、接着用溶液2を調製した。
[接着用溶液2]
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3.2部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 1.8部
(KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05%、pH=5.2) 10.0部
・硬化剤 0.8部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ 60.0部
(スノーテックスO、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20%、pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
接着用溶液2は、以下の方法で調製した。
酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、3分間かけて滴下して、水溶液1を得た。次に、水溶液1を強く撹拌しながら、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを3分間かけて添加して、水溶液2を得た。次に、水溶液2を強く撹拌しながらテトラエトキシシランを、5分かけて添加し、その後2時間攪拌を続けして、水溶液3を得た。次に、コロイダルシリカと、硬化剤と、界面活性剤とを水溶液3に順次添加し、接着用溶液2を調製した。
前述の第1の接着層31の表面をコロナ放電処理したのち、その表面に、上記の接着用溶液2をバーコート法により塗布し、170℃で1分間加熱して乾燥し、厚さ0.5μmの第2の接着層32を形成して、図1に示す構成を有するPET基板101を得た。
(調製例3)
−ガラス基板の前処理−
水酸化ナトリウム1%水溶液に浸漬した厚み0.7mmの無アルカリガラス板(基材)に超音波洗浄機によって30分間超音波照射し、ついでイオン交換水で60秒間水洗した後200℃で60分間加熱処理を行った。その後、シランカップリング液(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付けた後、純水シャワー洗浄してガラス基板を得た。以後、「ガラス基板」と表記する場合は、上記前処理で得られた無アルカリガラス基板を示す。
(調製例4)
−ポリカーボネート基板の前処理−
ポリカーボネート基板(厚み75μm)の表面をコロナ放電処理したのちに、0.02%の(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液をバーコート法で塗布量8.8mg/mとなるように塗布し、次いで、100℃1分で乾燥し、表面処理されたポリカーボネート基板を得た。
(調製例5)
−TAC基板の前処理−
TAC(トリアセチルセルロース)基材(厚み100μm)の表面をコロナ放電処理したのちに、0.02%の(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液をバーコート法で塗布量8.8mg/mとなるように塗布し、100℃1分で乾燥し、表面処理されたTAC基板を得た。
(導電性部材1の作製)
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認して、ゾルゲル液を得た。得られたゾルゲル液に含まれる部分縮合物の重量平均分子量(Mw)をGPC(ポリスチレン換算)で測定したところMwは4,400であった。
得られたゾルゲル溶液2.24部と前記調製例1で得られた銀ナノワイヤー水分散液(1)17.76部を混合し、更に蒸留水と1−プロパノールで希釈して液状組成物(ゾルゲル塗布液)を得た。得られた液状組成物の溶剤比率は蒸留水:1−プロパノール=60:40であった。
上記のPET基板101の第2の接着層32の表面にコロナ放電処理を施し、その表面にバーコート法で銀量が0.015g/m、全固形分塗布量が0.120g/mとなるように上記液状組成物(ゾルゲル塗布液)を塗布したのち、100℃で1分間、加熱処理してゾルゲル反応を起こさせて、導電性層20を形成した。かくして、図1の断面図で示される構成を有する非パターン化導電性部材1を得た。導電性層におけるテトラエトキシシラン(アルコキシド化合物)/銀ナノワイヤーの質量比は7/1となった。
得られた非パターン化導電性部材1の表面粗さ(Ra)を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて測定したところRa=8.2nmであった。
また電子顕微鏡による導電性層断面の直接観察により、導電性層の平均膜厚を算出した。具体的には導電性部材上にカーボンおよびPtの保護層を形成したのち、日立社製FB−2100型収束イオンビーム装置内で約10μm幅、約100nm厚の切片を作製し作製、導電性層の断面を日立製HD−2300型STEM(印加電圧200kV)で観察し、5箇所の導電性層の膜厚を測定し、その算術平均値として平均膜厚を算出した。なお導電性層の平均膜厚は金属ワイヤーの存在しないマトリックス成分のみの部分の厚みを測定して算出した。得られた導電性部材の導電性層の平均膜厚は29nmであった。
(アルコキシド化合物の溶液)
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 11.0部
・蒸留水 4.0部
[パターニング]
上記で得られた非パターン化導電性部材1を用いて、以下の方法によりパターニング処理を行った。スクリーン印刷は、ミノグループ社製WHT−3型とスキージNo.4イエローを使用した。パターニングを形成するための銀ナノワイヤーの溶解液(エッチング液)はCP−48S−A液と、CP−48S−B液(いずれも、富士フイルム社製)と、純水とを1:1:1となるように混合し、ヒドロキシエチルセルロースで増粘させて調製し、これをスクリーン印刷用のインクとした。使用したパターンメッシュはストライプパターン(ライン/スペース=50μm/50μm)を用いた。
前記エッチング液を非パターン化導電性部材1上に、塗布量が0.01g/cmとなるように塗布し、25℃で2分間放置した後、純水洗浄してパターニング処理した。
上記パターニング処理を行い、導電性領域と非導電性領域とを有する導電性層を含むパターン化導電性部材1を得た。
(導電性部材2〜15の作製)
前記導電性部材1の作製において、ゾルゲル液の調製における反応温度、時間を下記表1に示すように変更したこと以外は導電性部材1の作製と同様にして、導電性部材2〜15をそれぞれ作製した。ゾルゲル液に含まれる部分縮合物の重量平均分子量(Mw)、導電性部材の平均表面粗さ(Ra)、導電性層の平均膜厚も同様に表1に示した。
(導電性部材16〜19の作製)
前記導電性部材1の作製において、ゾルゲル液の調製における組成を下記に示すように変更し、反応温度、時間を下記表2に示すように変更してゾルゲル液を調製した。得られたゾルゲル液4.79部、前記調製例1で得られた銀ナノワイヤー水分散液(1)15.21部を混合して液状組成物を調製したこと以外は、導電性部材1の作製と同様にして導電性部材16〜19をそれぞれ作製した。ゾルゲル液に含まれる部分縮合物の重量平均分子量(Mw)、導電性部材の平均表面粗さ(Ra)及び導電性層の平均膜厚を同様に表2に示した。
<アルコキシド化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン 2.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 13.2部
・蒸留水 4.8部
(導電性部材C2の作製)
導電性部材1の作製において、ゾルゲル溶液を下記溶液Aに変更したこと以外は、導電性部材1の作製と同様にして導電性部材C1を得た。次いで導電性部材C1上に下記溶液Bを固形分塗布量0.18g/mとなるようにバーコート法にて塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀灯i線(365nm)を用いて、露光量40mJ/cmで露光して導電性部材C2を得た。得られた導電性部材の表面粗さRaは0.12nmであった。また導電性層の平均膜厚は130nmであった。
(溶液A)
・ヒドロキシプロピルセルロース 5.0部
・蒸留水 14.0部
(溶液B)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.0部
・光重合開始剤:2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−
[4−{N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ}−3−ブロモ
フェニル]−s−トリアジン 0.4部
・メチルエチルケトン 13.6部
(導電性部材C3の作製)
上記で得られた非パターン化導電性部材1の上に上記溶液Bを固形分塗布量0.18g/mとなるようにバーコート法にて塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀灯i線(365nm)を用いて、露光量40mJ/cmで露光して導電性部材C3を得た。得られた導電性部材の表面粗さRaは0.38nmであった。また導電性層の平均膜厚は125nmであった。
[評価]
上記で得られた各導電性部材について、以下の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性、接触抵抗を評価し、その結果を表3に示した。なお、それぞれの評価は、非パターン化導電性部材を使用して行った。
<表面抵抗率>
導電性層の導電性領域の表面抵抗率を、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。測定は10cm×10cmのサンプルのランダムに選択した5箇所の導電性領域の中央部を測定して算術平均値を求め、これを表面抵抗率とした。
<光学特性(全光透過率)>
導電性部材の導電性領域に相当する部分の全光透過率(%)と、導電性層20を形成する前のPET基板101の全光透過率(%)をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定し、その比から導電性層の透過率を換算した。測定はC光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で測定し、10cm×10cmのサンプルのランダムに選択した5箇所の導電性領域の中央部を測定して算術平均値を求め、これを導電性部材の全光透過率とした。
<光学特性(ヘイズ値)>
導電性部材の導電性領域に相当する部分のヘイズ値をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定した。測定は10cm×10cmのサンプルのランダムに選択した5箇所の導電性領域の中央部を測定して算術平均値を求め、これを導電性部材のヘイズ値とした。
<耐摩耗性>
導電性部材の導電性層表面を、新東科学株式会社製の連続加重引掻試験機(Type18s)を使用し、導電性層の表面と接する面のサイズが20mm×20mmの擦り部材表面にガーゼ(例えば、白十字株式会社製 FCガーゼ)を配置して500g荷重で50往復擦り、その前後の傷の有無を観察し、導電性層の表面抵抗値の変化(摩耗後表面抵抗率/摩耗前表面抵抗率)を測定した。表面抵抗率は三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。傷の有無の確認は目視で行った。傷が無く、表面抵抗率の変化が少ないものほど(1に近いほど)、耐摩耗性に優れる。なお、表中の「OL」は表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上で導電性が無いことを意味する。
<耐熱性>
導電性部材を150℃で60分間加熱し、その前後の表面抵抗率の変化(加熱後表面抵抗率/加熱前表面抵抗率)を観察した。表面抵抗率は三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。表面抵抗率、ヘイズ値の変化が少ないものほど(表面抵抗率変化が1に近いほど)耐熱性が優れる。
<耐湿熱性>
導電性部材を60℃かつ90RH%の環境下で240時間静置する湿熱負荷を与え、その前後の表面抵抗率の変化(湿熱負荷後表面抵抗率/湿熱負荷前表面抵抗率)を観察した。表面抵抗率は三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。表面抵抗率、ヘイズ値の変化が少ないものほど(表面抵抗率変化が1に近いほど)耐湿熱性が優れる。
<屈曲性>
導電性部材をコーテック(株)社製の、直径10mmの円筒マンドレルが装着された円筒形マンドレル屈曲試験器を用いて、20回曲げ試験を行い、その前後のクラックの有無及び抵抗値率の変化(曲げ試験後表面抵抗率/曲げ試験前表面抵抗率)を観察した。クラックの有無は目視及び光学顕微鏡を用い、表面抵抗値率は三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。クラックが無く且つ表面抵抗率の変化が少ないものほど(1に近いほど)、屈曲性が優れる。
<エッチング特性>
導電性部材をパターニング形成に用いたCP−48S−A液と、CP−48S−B液と、純水とを1:1:1となるように混合した溶解液に25℃2分間浸漬し、その後流水で洗浄し乾燥した。表面抵抗率を三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定し、下記基準に従ってランク付けを行った。エッチング後の表面抵抗率が大きい(絶縁性である)ほど、エッチング特性に優れることを示す。
AA:1.0×10Ω/□以上
A:1.0×10以上1.0×10Ω/□未満
B:1.0×10以上1.0×10Ω/□未満
C:1.0×10Ω/□未満
<接触抵抗>
導電性部材の導電性領域に相当する部分の接触表面抵抗率SRを三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。また非接触表面抵抗率SRを、NAGY社製SRM−14を用いて測定した。非接触表面抵抗率SRに対する接触表面抵抗率SRの比(SR/SR)を算出した。SR/SRが低いほど接触抵抗に優れることを示す。
表3に示された結果から、本発明に係る導電性部材は導電性、透明性(全光透過率及びヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、及びエッチング特性に優れていることが理解できる。
(導電性部材20〜27の作製)
上記導電性部材7の作製における液状組成物(ゾルゲル塗布液)の調製において、混合するゾルゲル液及び銀ナノワイヤー水分散液(1)の各量、特定アルコキシド化合物と銀ナノワイヤーの質量比を下記表4に示すように変更したこと以外は、導電性部材7の作製と同様にして導電性部材20〜27をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRa、導電性層の平均膜厚も同様に表4に示した。
(導電性部材28〜35の作製)
上記導電性部材9の作製における液状組成物(ゾルゲル塗布液)の調製において、混合するゾルゲル液及び銀ナノワイヤー水分散液(1)の各量、特定アルコキシド化合物と銀ナノワイヤーの質量比を下記表4に示すように変更したこと以外は、導電性部材9の作製と同様にして導電性部材28〜35をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRa、導電性層の平均膜厚も同様に表4に示した。
(導電性部材C4〜C7の作製)
上記導電性部材7の作製における液状組成物(ゾルゲル塗布液)の調製において、混合するゾルゲル液及び銀ナノワイヤー水分散液(1)の各量、特定アルコキシド化合物と銀ナノワイヤーの質量比を下記表4に示すように変更したこと以外は、導電性部材7の作製と同様にして導電性部材C4〜C7をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRa、導電性層の平均膜厚も同様に表4に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性、接触抵抗をそれぞれ評価し、その結果を表5に示した。
(導電性部材36〜41の作製)
上記導電性部材7の作製において、バーコート法による塗布バーのワイヤー径を変更して銀ナノワイヤーの塗布量を表6に示すように変更したこと以外は、導電性部材7の作製と同様にして導電性部材36〜41をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表6に示した。
(導電性部材42〜47の作製)
上記導電性部材7の作製における液状組成物(ゾルゲル塗布液)の調製において、蒸留水、1−プロパノール、及びメタノールを加えて希釈し、液状組成物の溶媒比率(蒸留水:1−プロパノール:メタノール)を表7に示すように変更したこと以外は、導電性部材7の作製と同様にして導電性部材42〜47をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表7に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表8に示した。
(導電性部材48〜63の作製)
導電性部材1の作製における液状組成物の調製において、銀ナノワイヤー水分散液(1)の代わりに、表9に示すような平均長軸長、平均短軸長を有する銀ナノワイヤー水分散液を使用し、ゾルゲル液の反応条件、及びアルコキシド化合物と銀ナノワイヤーの質量比を表9に示すように変更したこと以外は、導電性部材1の作製と同様にして、導電性部材48〜47をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表9に示した。
(導電性部材C8、C9の作製)
導電性部材1の作製における液状組成物の調製において、銀ナノワイヤー水分散液(1)の代わりに、表9に示すような平均長軸長、平均短軸長を有する銀ナノワイヤー水分散液を使用し、ゾルゲル液の反応条件、及びアルコキシド化合物と銀ナノワイヤーの質量比を表9に示すように変更したこと以外は、導電性部材1の作製と同様にして、導電性部材C8及びC9をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表9に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表10に示した。
(導電性部材64〜72の作製)
導電性部材7の作製における液状組成物の調製において、アルコキシド化合物としてテトラエトキシシランの代わりに、下記表11に記載のテトラアルコキシ化合物、オルガノアルコキシ化合物、又は、これら二つの化合物を、下記に記載の量で使用したこと以外は、導電性部材7の作製と同様にして導電性部材64〜72をそれぞれ作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表11に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表12に示した。
(導電性部材73〜87の作製)
導電性部材2、7、8、13、及び14の作製において、PET基板101を調製例2で作製したガラス基板、調製例4で作製したポリカーボネート基板、調製例5で作製したTAC基板にそれぞれ変更して導電性部材を得た。得られた導電性部材の詳細と表面粗さRaも同様に表13に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表12に示した。なお、導電性部材73〜77については屈曲性の評価を行わなかった。
(導電性部材88の作製)
調製例2で作製されたPET基板101の第2の接着層32の表面をコロナ放電処理したのち、0.1%KBM603(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)の水溶液を、バーコート法で固形分塗布量が3.5mg/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して、機能層33を形成した。かくして、図2に示す構成を有する、接着層31、接着層32及び機能層33の三層構成よりなる中間層30を有するPET基板102を作製した。
得られたPET基板102上に、導電性部材7の導電性層と同じ導電性層20を形成して、図2の断面図で示される非パターン化導電性部材88を作製した。得られた導電性部材の表面粗さRaは5.8nmであった。これを導電性部材7の場合と同様にしてパターニングを実施し、パターン化導電性部材88を得た。
(導電性部材89〜96の作製)
導電性部材88の作製において、導電性層を導電性部材2、3、8、9、12、13、14、15にそれぞれ変更して導電性部材を得た。得られた導電性部材の詳細と表面粗さRaも同様に表15に示した。
(導電性部材97〜104の作製)
導電性部材88の作製において、使用したPET基板102における機能層33の形成において、KBM603(N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)の代わりに、下記表16に記載の化合物を用いたこと以外は、導電性部材88の作製と同様にして導電性部材97〜104を得た。得られた導電性部材の表面粗さRaも同様に表16に示した。
[評価]
得られた各導電性部材について、前述の方法で表面抵抗、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表17に示した。
以上から、導電性部材の導電層のオモテ面の表面粗さRaを所定の範囲とすることで、導電性、透明性(全光透過率及びヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、及びエッチング特性に優れる導電性部材が得られることが理解できる。
(導電性部材105の作製)
導電性部材1の作製において、銀ナノワイヤー水分散液(1)の代わりに、米国特許US2011/0174190A1号公報の例1および例2に記載(8項段落0151〜9項段落0160)の銀ナノワイヤー分散液を蒸留水にて0.45%に希釈した銀ナノワイヤー水分散液(10)を用いた以外は、導電性部材1と同様にして導電性部材105を得た。
(導電性部材106〜51の作製)
上記導電性部材3、7、8、9、13、14、23、及び31の作製において、以下に対応を示すように下記導電性部材の銀ナノワイヤー水分散液(1)を上記銀ナノワイヤー水分散液(10)に変更した以外は、同様にして導電性部材106〜113をそれぞれ得た。
導電性部材106:導電性部材3のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材107:導電性部材7のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材108:導電性部材8のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材109:導電性部材9のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材110:導電性部材13のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材111:導電性部材14のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材112:導電性部材23のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
導電性部材113:導電性部材31のバインダー構成+銀ナノワイヤー分散液(10)
<<評価>>
得られた各導電性部材について、前述の方法で、表面粗さRa、表面抵抗率、光学特性(全光透過率、ヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性、エッチング特性及び、接触抵抗を評価し、その結果を表18に示した。
表18に示された結果から、次のことが理解できる。
導電性部材105〜113の評価結果から、米国特許US2011/0174190A1号公報に記載の銀ナノワイヤーを使用した導電性部材でも、本発明の構成を用いることで導電性、透明性(全光透過率及びヘイズ値)、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性、屈曲性およびエッチング特性に優れた性能を有していることが分かる。
<集積型太陽電池の作製>
−アモルファス太陽電池(スーパーストレート型)の作製−
ガラス基板上に、導電性部材7と同様にして導電性層を形成した。但し、パターニング処理は行わず全面均一な透明導電膜(導電性層)とした。その上部にプラズマCVD法により膜厚約15nmのp型、膜厚約350nmのi型、膜厚約30nmのn型アモルファスシリコンを形成し、裏面反射電極としてガリウム添加酸化亜鉛層20nm、銀層200nmを形成し、光電変換素子(集積型太陽電池)を作製した。
−CIGS太陽電池(サブストレート型)の作製−
ソーダライムガラス基板上に、直流マグネトロンスパッタ法により膜厚500nm程度のモリブデン電極、真空蒸着法により膜厚約2.5μmのカルコパイライト系半導体材料であるCu(In0.6Ga0.4)Se薄膜、溶液析出法により膜厚約50nmの硫化カドミニウム薄膜、を形成した。
その上に導電性部材7の導電性層と同じ導電性層を形成し、ガラス基板上に透明導電膜を形成し、光電変換素子(CIGS太陽電池)を作製した。
<太陽電池特性(変換効率)の評価>
各太陽電池について、AM1.5、100mW/cmの疑似太陽光を照射することで効率)を測定した。その結果、いずれ素子も9%の変換効率を示した。
この結果から、本発明の導電膜形成用積層体を透明導電膜の形成に用いることで、いずれの集積型太陽電池方式においても高い変換効率が得られることが分かった。
−タッチパネルの作製−
導電性部材14の導電性層を形成し、ガラス基板上に透明導電膜を形成した。得られた透明導電膜を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。
作製したタッチパネルを使用した場合、光透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。
1 導電性部材
10 基材
20 導電性層
30 中間層

Claims (17)

  1. 基材と、前記基材上に設けられた導電性層と、を備え、
    前記導電性層は、下記一般式(I)で示される部分構造を含む三次元架橋構造を有し、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるバインダーと、平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤーと、を含み、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲であり、且つ、前記基材側の面とは反対側の面の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である、導電性部材。
    −M−O−M− (I)
    (一般式(I)中、Mは、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素を示す。)
  2. 前記アルコキシド化合物は、下記一般式(II)で示される化合物を含む請求項1に記載の導電性部材。
    (OR (4−a) (II)
    (一般式(II)中、MはSi、Ti及びZrからなる群より選ばれる元素を示す。R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示す。aは2〜4の整数を示す。)
  3. 前記一般式(I)中のMがSiである請求項1又は請求項2に記載の導電性部材。
  4. 前記金属ナノワイヤーが、銀ナノワイヤーである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性部材。
  5. 前記導電性層の表面抵抗率が、1,000Ω/□以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性部材。
  6. 前記導電性層は導電性領域及び非導電性領域を含み、且つ少なくとも前記導電性領域が前記金属ナノワイヤーを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電性部材。
  7. 前記基材と前記導電性層との間に、更に少なくとも1層の中間層を有し、前記中間層のうち、前記導電性層に接する中間層が、前記金属ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の導電性部材。
  8. 前記官能基が、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及びこれらの基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項に記載の導電性部材。
  9. 前記導電性層の表面を、連続加重引掻試験機を使用し、前記導電性層の表面と接する面のサイズが20mm×20mmの擦り部材表面にガーゼを配置して500g荷重で50往復擦る耐摩耗試験を行った場合に、前記耐摩耗試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記耐摩耗試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(耐摩耗試験後/耐摩耗試験前)が、100以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の導電性部材。
  10. 前記導電性部材を、直径10mmの円筒マンドレルを装着した円筒形マンドレル屈曲試験器を用いて、20回曲げ試験を行った場合に、前記曲げ試験前の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)に対する前記試験後の導電性層の表面抵抗率(Ω/□)の比(曲げ試験後/曲げ試験前)が5.0以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の導電性部材。
  11. (a)金属ナノワイヤーと、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる元素のアルコキシド化合物の少なくとも1つを加水分解及び重縮合させて得られる部分縮合物と、を含み、前記金属ナノワイヤーに対する前記アルコキシド化合物の質量比(アルコキシド化合物/金属ナノワイヤー)が、0.25/1〜30/1の範囲である液状組成物を基材上に付与して、液膜を前記基材上に形成することと、
    (b)前記液膜中の前記部分縮合物を、加水分解及び重縮合させてゾルゲル硬化物を形成させることにより、前記金属ナノワイヤー及びゾルゲル硬化物であるバインダーを含み、前記基材側の面とは反対側の面の表面粗さRaが0.5nm〜50nmの範囲である導電性層を形成することと、
    を有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
  12. 前記部分縮合物の重量平均分子量が1,000〜50,000の範囲である請求項11に記載の導電性部材の製造方法。
  13. 前記ゾルゲル硬化物は、前記金属ナノワイヤーに対する酸化性を有さない酸性触媒の存在下に加水分解及び重縮合される請求項11又は請求項12に記載の導電性部材の製造方法。
  14. 前記(a)に先だって、前記基材における前記液膜が形成される面に、少なくとも1層の中間層を形成することを更に含む請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
  15. 前記(b)の後に、(c)前記導電性層にパターン状の非導電性領域を形成して、非導電性領域及び導電性領域有する導電性層を形成することを更に含む請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
  16. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の導電性部材を備えるタッチパネル。
  17. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の導電性部材を備える太陽電池。
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