JP5432624B2 - 透明導電膜付き基材 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に透明導電膜を設けた透明導電膜付き基材に関するものである。
透明導電膜は、液晶ディスプレイやPDP、タッチパネル、また有機ELや太陽電池などの分野で、透明電極として広く用いられている。そしてこのような透明で導電性を発現する透明導電膜を形成するにあたっては、透明で導電性を有する材料を用いて膜を形成する方法の他に、透明樹脂に導電性物質を含有させて膜を形成することによって、着色するけれども導電性物質の形状や配向によって透明性を確保しつつ導電性が発現した透明導電膜を形成する方法がある。
ここで、一般的に導電性物質は導電特性を発現する自由電子が多いため、特に可視光波長域から生じるプラズマ共鳴振動吸収により着色していることが多い。このため、例えば粒子状の導電性物質を含有させる場合には、粒径をナノオーダーまで小さくすることによって、可視域で透明性を確保するようにしている。しかしながら、粒径を小さくすると表面積が増大するために、導電性物質の粒子間の凝集が起こり易くなる。これを防ぐために分散剤で粒子の表面を修飾するなどの必要があるが、この分散剤が透明導電膜の導電性の妨げとなる。この場合、導電性物質の添加量を増やすことで導電性を上げることは可能であるが、逆に透明性は低下することになり、従って透明性と導電性を両立させることが困難になる。
このような透明性と導電性のトレードオフを解決する手法の一つに、導電性物質の形状を粒子状からファイバー状に変更し、導電性物質の接触確率を高めて、導電性物質の配合量を低減する方法がある。
特に近年では、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブといった材料を用いて透明導電膜を形成する手法が報告されており、例えば特許文献1にみられるように、気相法炭素繊維を用いて透明導電膜を形成する例がある。しかし、カーボン系の材料は比抵抗が50S/cm程度であるため、高い導電性が必要とされる透明電極への適用は、現在では困難である。
一方、特許文献2では、金属ナノワイヤを用いて透明導電膜を形成することが提案されている。金属ナノワイヤの導電性はその金属に由来し、例えば銀の場合には10−7Ω・cmと非常に優れた導電性を有しているので、透明電極に適用することが可能である。
ここで、金属ナノワイヤ3を含有する透明導電膜2を形成する方法の一つとして、金属ナノワイヤ3を分散した樹脂溶液を透明基材1の表面に塗布して成膜する方法があり、図2に示すように、透明導電膜2は膜を形成するマトリクス樹脂5中に金属ナノワイヤ3が含有されたものとして形成されている。そして金属ナノワイヤ3同士が接触していることによって、透明導電膜2に導電性が付与されるものである。
このようにマトリクス樹脂5中に金属ナノワイヤ3を含有して形成される透明導電膜2にあって、透明導電膜2の導電性を高めるには、金属ナノワイヤ3の含有量を増やす必要がある。しかし金属ナノワイヤ3の含有量を増やすと透明導電膜2のヘイズが高くなって、光の透過率が低下することになり、透明導電膜2としての品質が損なわれるおそれがあるという問題があった。
特開2002−266170号公報 特表2009−505358号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、金属ナノワイヤの含有量を増やす必要なく、光の透過率を確保しつつ、導電性を高めた透明導電膜を備える透明導電膜付き基材を提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明導電膜付き基材は、マトリクス樹脂中に金属ナノワイヤを含有して形成される透明導電膜を透明基材の表面に備えた透明導電膜付き基材であって、透明導電膜のマトリクス樹脂中には、マトリクス樹脂との屈折率の差が±0.03以内であり、かつ透明導電膜の膜厚の0.5〜1.2倍の粒子径を有する透光性粒子を含有して成ることを特徴とするものである。
このようにマトリクス樹脂中に透光性粒子が含有されていることによって、マトリクス樹脂中の金属ナノワイヤの存在領域を透光性粒子で制限することができ、金属ナノワイヤの接触確率が高くなって、金属ナノワイヤ同士の接点を多く確保することができるものであり、金属ナノワイヤの含有量を多くする必要なく、透明導電膜の導電性を高めることができるものである。従って、金属ナノワイヤの含有量を多くする場合のような、透明導電膜のヘイズが高くなって透過率が低下するようなことがないものである。また透光性粒子はマトリクス樹脂との屈折率の差が±0.03以内であるため、マトリクス樹脂中に含有される透光性粒子によって透明導電膜のヘイズが高くなることがなく、透明導電膜の透過率を低下させることはないものである。
また本発明は、透光性粒子の粒子径(D)と金属ナノワイヤの長さ(L)の比が、0.005≦D/L<1であることを特徴とするものである。
透光性粒子の粒子径(D)と金属ナノワイヤの長さ(L)の比をこの範囲に設定することによって、マトリクス樹脂中の金属ナノワイヤの存在領域を透光性粒子で制限して、金属ナノワイヤの接触確率を高める効果を良好に得ることができるものである。
また本発明は、透明導電膜中のマトリクス樹脂と透光性粒子の体積比率が、マトリクス樹脂/透光性粒子≦5であることを特徴とするものである。
マトリクス樹脂と透光性粒子の体積比率をこの範囲に設定することによって、マトリクス樹脂中の金属ナノワイヤの存在領域を透光性粒子で制限して、金属ナノワイヤの接触確率を高める効果を良好に得ることができるものである。
本発明によれば、透明導電膜の膜厚の0.5〜1.2倍の粒子径を有する透光性粒子がマトリクス樹脂中に含有されていることによって、マトリクス樹脂中の金属ナノワイヤの存在領域を透光性粒子で制限することができ、金属ナノワイヤの接触確率が高くなって、金属ナノワイヤ同士の接点を多く確保することができるものであり、金属ナノワイヤの含有量を多くして透明性を低下させることなく、透明導電膜の導電性を高めることができるものである。また透光性粒子はマトリクス樹脂との屈折率の差が0.03以内であるため、マトリクス樹脂中に含有される透光性粒子によって透明導電膜のヘイズが高くなることがなく、透明導電膜の透過率を低下させることはないものである。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。 従来例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において金属ナノワイヤとしては任意のものを用いることができるものであり、また金属ナノワイヤの製造手段には特に制限は無く、例えば、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。具体的な製造方法にも特に制限は無く、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法として、Adv.Mater.2002,14,P833〜837や、Chem.Mater.2002,14,P4736〜4745、前記の特許文献2等を、Auナノワイヤの製造方法として、特開2006−233252号公報等を、Cuナノワイヤの製造方法として、特開2002−266007号公報等を、Coナノワイヤの製造方法として、特開2004−149871号公報等を挙げることができる。特に、上記のAdv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明で用いる金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明において金属ナノワイヤの平均直径は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。平均直径が200nm以下であれば光透過率の低下を抑えることができるため好ましい。一方で、平均直径が10nm以上であれば導電体としての機能を有意に発現でき、平均直径がより大きい方が導電性が向上するため好ましい。従って平均直径は、より好ましくは20〜150nmであり、40〜150nmであることが更に好ましい。また金属ナノワイヤの平均長さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましく、凝集による透明性への影響から100μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜50μmであり、3〜50μmであることが更に好ましい。金属ナノワイヤの平均直径及び平均長さは、SEMやTEMを用いて十分な数のナノワイヤについて電子顕微鏡写真を撮影し、個々の金属ナノワイヤ像の計測値の算術平均から求めることができる。金属ナノワイヤの長さは、本来直線状に伸ばした状態で求めるべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて金属ナノワイヤの投影径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)ものとする。計測対象の金属ナノワイヤ数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の金属ナノワイヤを計測するのが更に好ましい。
上記の金属ナノワイヤは樹脂溶液に分散させて使用されるものであり、後述のようにこの樹脂溶液を透明基材の表面に塗布して、透明導電膜を形成するものである。樹脂溶液において、透明導電膜の膜を形成するためのマトリクス樹脂としては、モノマーやオリゴマーの重合反応によりポリマー化するものが用いられる。
このようなマトリクス樹脂として、光重合反応または熱重合反応する樹脂を使用する場合、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマーあるいはオリゴマーを用いることができ、アクリル基あるいはメタクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが好適である。中でも架橋させて耐擦傷性、硬度を上げるには多官能性バインダー成分であることが好ましい。
そして一分子中に一個の官能基をもつものとして、具体的には例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また二個以上の官能基を持つものとして、具体的には例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、更にベンゼン環を有する化合物としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレートエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジアクリレート、ポリエステルアクリレート等の多官能アクリレート類あるいはメタクリレート類が挙げられる。
また、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼンなどの硫黄含有(メタ)アクリレート類を用いることも高屈折率化に有効である。
さらに、紫外線や熱による硬化を促進させるため、光または熱重合開始剤を配合してもよい。
光重合開始剤としては、一般に市販されているもので構わないが、特に例示すると、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー651」)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアー1173」、ランベルティー社製「エサキュアーKL200」)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(ランベルティー社製「エサキュアーKIP150」)、2−ヒドロキシエチル−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー2959」)、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー369」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「CGI403」)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(=TMDPO)(BASF社製「ルシリンTPO」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアーTPO」)、チオキサントンまたはその誘導体などが挙げられ、これらのうち1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、光増感作用の目的により第三アミン、例えばトリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、イソペンチルメチルアミノベンゾエートなどを添加しても良い。
熱による重合開始剤としては、主として過酸化ベンゾイル(=BPO)などの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル(=AIBN)などのアゾ化合物が用いられる。
上記の光重合開始剤や熱重合開始剤の配合量は、通常、組成物(樹脂+金属ナノワイヤ)100質量部に対し、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性官能基を有するモノマーあるいはオリゴマーを用いてもよい。さらに必要に応じて光カチオン開始剤等を組み合わせて用いることもできる。これらは同様に多官能であることが好ましい。
また、熱重合する樹脂については一般的にゾル−ゲル系材料が挙げられ、アルコキシシシラン、アルコキシチタン等のゾル−ゲル系材料が好ましい。これらのなかでもアルコキシシランが好ましい。ゾル−ゲル系材料は、ポリシロキサン構造を形成する。アルコキシシランの具体的は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等があげられる。これらアルコキシシランはその部分縮合物等として用いることができる。これらのなかでもテトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物等が好ましい。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物が好ましい。
さらに、樹脂溶液のマトリクス樹脂として導電性高分子を用いることもできる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリトリフェニルアミン等を例示することができる。
また樹脂溶液のマトリクス樹脂としては、上記した光重合性の樹脂、熱重合性の樹脂、導電性高分子から選ばれる2種類以上のものを併用してもよい。
本発明は、樹脂溶液に金属ナノワイヤの他に、透光性粒子を分散させて使用するものである。透光性粒子は、透明など透光性を有し、且つ上記のマトリクス樹脂との屈折率の差が±0.03以内、すなわち、マトリクス樹脂と透光性粒子の屈折率の差が+0.03〜−0.03の範囲内のものであればよく、特に限定されるものではないが、例えばシリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化アルミニウム、アクリル粒子、スチレン粒子、ウレタン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体粒子、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の粒子、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)の粒子、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)の粒子、PVDF(ポリフルオロビニリデン)の粒子、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子、ガラスビーズ等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いる他、2種類以上を混合して使用してもよい。また透光性粒子は中実粒子であってもよく、一つの空洞を外殻が覆う構造を有する中空状粒子や、或いは多孔質粒子であってもよい。さらに透光性粒子の形状は球状であってもよく、異形状であってもよい。
また、透光性粒子は後述する理由により、透明導電膜の膜厚50%以上120%以下、すなわち透明導電膜の膜厚の0.5〜1.2倍の粒子径を有するものが用いられるものである。さらに、透光性粒子の粒子径は後述する理由により、透光性粒子の粒子径をD、金属ナノワイヤの長さ(平均長さ)をLとすると、透光性粒子の粒子径Dと金属ナノワイヤの長さLの比が、0.005≦D/L<1となるように設定するのが好ましい。尚、本発明において透光性粒子の粒子径は、平均粒子径を意味するものであり、またこの平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって測定された値である。
樹脂溶液への金属ナノワイヤの配合量は、後述のように透明導電膜を形成した際に、透明導電膜中に金属ナノワイヤが0.01〜90質量%含有されるように調整して設定するのが好ましい。金属ナノワイヤの含有量は0.1〜30質量%がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
また樹脂溶液への透光性粒子の配合量は後述する理由により、後述のように透明導電膜を形成した際に、透明導電膜中のマトリクス樹脂と透光性粒子の体積比率が、マトリクス樹脂/透光性粒子≦5となるように、設定するのが好ましい。
ここで、樹脂溶液には、樹脂固形分、金属ナノワイヤ、透光性粒子など固形成分を溶解乃至分散するための溶剤が含有されることが必須であるが、溶剤の種類は特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましく、ケトン系溶剤を用いて樹脂溶液を調製すると、透明基材の表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積の透明導電膜を容易に得ることができるものある。また、溶剤としては上記の有機溶剤の他に、水を用いる場合もあり、有機溶剤と水を組み合わせて用いる場合もある。溶剤の量は、上記の各固形成分を均一に溶解、分散することができ、樹脂溶液を調製した後の保存時に凝集を来たさず、かつ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適宜調節するものである。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用量を少なくして高濃度の樹脂溶液を調製し、容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出して塗工作業に適した濃度に溶剤で希釈するのが好ましい。固形分と溶剤の合計量を100質量部とした時に、全固形分0.1〜50質量部に対して、溶剤の量を50〜99.9質量部に設定するのが好ましく、さらに好ましくは、全固形分0.5〜30重量部に対して、溶剤を70〜99.5質量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適した樹脂溶液を得ることができる。用いる樹脂と溶剤の組み合わせについては、特に規定されるものではないが、配合する樹脂が溶解しやすい溶剤を用いるほうが好ましい。また塗工する透明基材によっては、用いる溶剤によって溶解が発生する場合もあるので、予め透明基材への溶解性を確認したうえで適切な溶剤組成を設計することが望ましい。
一方、本発明で用いる透明基材において、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透明基材の形状としては、例えば平板状、シート状、フィルム状などが挙げられ、また構造としては、例えば単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、適宜選択することができる。透明基材の材料についても特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれであっても好適に用いることができる。透明基材を形成する無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。また有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また本発明において透明基材としては、上記のような基材単体のものであってもよいが、基材の表面に一層ないし複数層のハードコート層が形成されたものであってもよい。このように透明基材がハードコート層を備える場合、透明導電膜はハードコート層の上に形成されるものである。
本発明において、透明導電膜と透明基材の間で屈折率が問題になるのは、透明基材のうち透明導電膜との接触界面部である。従って本発明において透明基材の屈折率とは、透明基材が基材単体のものであれば、透明基材自体の屈折率をいうものであり、透明基材が表面にハードコート層を有するものであれば、ハードコート層の屈折率をいうものである。
ハードコート層は、例えば、反応性硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂の少なくとも一方を含むハードコートコーティング材を用いて形成することができる。
前記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を使用することができ、これらの熱硬化性樹脂に必要に応じて架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤を加えて使用することもできる。
また、前記電離放射線硬化型樹脂としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー、プレポリマー、及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものを使用することができる。さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂とするには、この中に光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類などを例示することができる。また、光重合開始剤に加えて光増感剤を用いてもよい。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、チオキサントンなどを例示することができる。
また、ハードコートコーティング材中に高屈折率粒子、すなわち高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することで、ハードコート層に高屈折率粒子を含有させて屈折率を調整しても良い。高屈折率粒子は屈折率が1.6以上で粒径が0.5〜200nmのものが好ましい。高屈折率粒子の配合量はハードコート層に対して例えば5〜70体積%の範囲となるように調整される。前記高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子としては、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる一つあるいは二つ以上の酸化物の粒子が挙げられ、具体的には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO(屈折率2.3〜2.7)、CeO(屈折率1.95)、Sb(屈折率1.71)、SnO、ITO(屈折率1.95)、Y(屈折率1.87)、La(屈折率1.95)、ZrO(屈折率2.05)、Al(屈折率1.63)等の微粉末が挙げられる。
このようなハードコートコーティング材を基材に重ねて塗布し、必要に応じて乾燥した後、熱硬化性樹脂を含むハードコートコーティング材の場合は加熱し、電離線硬化性樹脂を含むハードコートコーティング材の場合は紫外線等の電離線を照射するなどして硬化成膜することで、ハードコート層が形成される。塗布方法は特に制限されず、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の各種方法が採用される。
このハードコート層の屈折率は1.54〜1.90の範囲であることが好ましい。この屈折率が1.54より小さくなると特に反射防止用途の光学部材においては十分な反射防止効果が得られなくなるおそれがあり、またこの屈折率が1.90より大きくなるとハードコート層の高屈折率化のために高屈折率粒子を多く添加することとなって、耐摩耗性等の実用性が低下するおそれがある。
そして透明基材1の表面に、上記の金属ナノワイヤ3と、透光性粒子4とを配合した樹脂溶液を塗布して乾燥・硬化させることによって、図1のように透明導電膜2を形成することができるものである。このように形成される透明導電膜2中には図1のように、透明なマトリクス樹脂5内に金属ナノワイヤ3や、透光性粒子4がほぼ均一に分散した状態で含有されている。樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
このように形成される透明導電膜2は、膜のマトリクス樹脂5中に含有される金属ナノワイヤ3同士が接触しあうことによって導電性を発現するものである。ここで、透明導電膜2のマトリクス樹脂5中には透光性粒子4が含有されている。このため、例えば同じ厚みで透明導電膜2を形成する場合、マトリクス樹脂5中に透光性粒子4が含有されていると、透明導電膜2に占める透光性粒子4の体積ぶん、マトリクス樹脂5の体積が少なくなる(図1と図2の対比を参照)。このように、マトリクス樹脂5の体積が減少すると、マトリクス樹脂5中に金属ナノワイヤ3が存在できる領域が制限されることになり、すなわち金属ナノワイヤ3は集中して密度高く存在することになって、金属ナノワイヤ3同士が接触する確率が高くなり、金属ナノワイヤ3同士の接点を多く確保することができるものである。従って、金属ナノワイヤ3の含有量を多くする必要なく、金属ナノワイヤ3の接点の確保で透明導電膜2の導電性を高めることができるものである。そしてこのように、透明導電膜2の導電性を高めるにあたって金属ナノワイヤ3の含有量を多くする必要がないので、金属ナノワイヤ3の含有量を多くする場合のように、透明導電膜2のヘイズが高くなることがなく、透明導電膜2の透過率を高く維持することができるものである。
ここで、透光性粒子4の粒子径は上記のように、透明導電膜2の膜厚の0.5〜1.2倍のものが用いられるものである。透光性粒子4の粒子径が透明導電膜2の膜厚の0.5倍未満であると、透光性粒子4を透明導電膜2のマトリクス樹脂5中に含有させることによる導電性向上の効果を十分に得ることができない。また透光性粒子4の粒子径が透明導電膜2の膜厚の1.2倍を超えると、透光性粒子4が透明導電膜2の表面から大きく突出して、透明導電膜2の表面の平滑性が損なわれることになり、また粒子径が膜厚に対して大き過ぎると却って金属ナノワイヤ同士の接点を確保できなくなって、導電性が低下するおそれがある。
また透光性粒子4の粒子径は上記のように、透光性粒子4の粒子径をD、金属ナノワイヤの長さ(平均長さ)をLとすると、透光性粒子4の粒子径Dと金属ナノワイヤ3の長さLの比が、0.005≦D/L<1となるものが使用されるものである。すなわち透光性粒子4として、金属ナノワイヤ3の長さ寸法よりも小さい粒径で且つ、金属ナノワイヤ3の長さの1/200以上の大きさの粒子径を有するものを用いるものである。透光性粒子4の粒径がこの範囲より大きい場合も、小さい場合もいずれも、マトリクス樹脂5中で金属ナノワイヤ3が存在する領域を透光性粒子4によって制限する作用が不十分になり、透明導電膜2の導電性を高める効果を十分に得ることができない。
また、透明導電膜2中の透光性粒子4の含有量は上記のように、透明導電膜2中のマトリクス樹脂5と透光性粒子4の体積比率が、マトリクス樹脂/透光性粒子≦5となるように設定されるものである。すなわち、透光性粒子4がマトリクス樹脂5の1/5以上の体積比率となるように設定されるものである。透光性粒子4の含有量がこれより少ないと、マトリクス樹脂5中で金属ナノワイヤ3が存在する領域を透光性粒子4によって制限する作用が不十分になり、透明導電膜2の導電性を高める効果を十分に得ることができない。透明樹脂4の含有量の上限は特に設定されるものではないが、実用上、マトリクス樹脂/透光性粒子≧0.1である。従って、マトリクス樹脂5と透光性粒子4の体積比率は、0.1≦マトリクス樹脂/透光性粒子≦5の範囲が好ましい。
そして、上記のように透明導電膜2のマトリクス樹脂5中に透光性粒子4を含有させることによって透明導電膜2の導電性を高めるにあたって、透光性粒子4としてマトリクス樹脂5との屈折率の差が±0.03以内のものを用いているため、マトリクス樹脂5中に含有される透光性粒子4によって透明導電膜2のヘイズが高くなることがなく、透明導電膜2の透過率を透光性粒子4で低下させるようなことはないものである。透光性粒子4とマトリクス樹脂5との屈折率の差が±0.03を超える場合、マトリクス樹脂5と透光性粒子4の界面で光が散乱し易くなり、透明導電膜2のヘイズが高くなって透過率が低下するおそれがある。
尚、透明導電膜2の表面には、透明導電膜2の表面抵抗を増大させない範囲で、表面平滑層を形成してもよい。
上記のようにして得られる本発明に係る透明導電膜付き基板の用途は、特に制限されるものではないが、有機EL素子、透明配線、光電変換素子、電磁波シールド、タッチパネル、電子ペーパー等に適用することができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)10.00質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径300nm、屈折率1.49)4.55質量部を、メチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。また金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いた。この銀ナノワイヤは、公知論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333-338 “Preparation ofAg nanorods with high yield by polyol process”」に準じて作製したものであり、平均直径150nm、平均長さ5μmである。この金属ナノワイヤをメチルエチルケトンに3.0質量%の量で分散させて混合物Bを調製した。そして混合物Aに混合物Bを15.0質量部加えてよく混合した後、これに光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.72質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm、屈折率1.665)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#4で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚0.5μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例2)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)10.00質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径350nm、屈折率1.49)4.55質量部を、メチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。この混合物Aに実施例1で調製した混合物Bを15.0質量部加えてよく混合した後、これに光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー製「イルガキュア184」)0.72質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合した。これにさらにメチルエチルケトン35.00質量部とメチルイソブチルケトン35.00質量部を加えて希釈することによって、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そしてこのコーティング材組成物を実施例1と同様にして、透明PETフィルムからなる透明基材の表面に塗布・乾燥・硬化することによって、膜厚0.3μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例3)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)10.00質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径3μm、屈折率1.49)4.55質量部を、メチルエチルケトン9.87質量部とメチルイソブチルケトン9.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。この混合物Aを用いる他は、実施例1と同様にして、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm、屈折率1.665)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#20で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚5.0μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例4)
シリコーン樹脂(三菱化学(株)製「MS51」:酸化物換算51質量%、屈折率1.51)19.60質量部と、透光性粒子としてシリカ粒子(シーアイ化成社製:イソプロピルアルコール分散固形分20質量%、粒径120nm、屈折率1.50)22.75質量部を、イソプロピルアルコール34.87質量部に混合し、シリコーン樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。また金属ナノワイヤとして実施例1と同じ銀ナノワイヤを用い、この金属ナノワイヤをイソプロピルアルコールに3.0質量%の量で分散させて混合物Bを調製した。そして混合物Aに混合物Bを15.0質量部加えてよく混合した後、さらに0.1Nの硝酸を2.65質量部加えてよく混合し、25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm、屈折率1.665)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#2で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚0.2μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例5)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)4.55質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径300nm、屈折率1.49)10.00質量部を、メチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。この混合物Aを用いる他は、実施例1と同様にして、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そしてこのコーティング材組成物を実施例1と同様にして、透明PETフィルムからなる透明基材の表面に塗布・乾燥・硬化することによって、膜厚0.5μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約0.45であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(比較例1)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)14.55
質量部をメチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。また金属ナノワイヤとして実施例1と同じ銀ナノワイヤを用い、この金属ナノワイヤをメチルエチルケトンに3.0質量%の量で分散させて混合物Bを調製した。そして混合物Aに混合物Bを15.0質量部加えてよく混合した後、これに光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.72質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、金属ナノワイヤを含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そしてこのコーティング材組成物を実施例1と同上にして、透明PETフィルムからなる透明基材の表面に塗布・乾燥・硬化することによって、膜厚0.5μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図2参照)。尚、透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(比較例2)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)10.00質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径300nm、屈折率1.49)4.55質量部を、メチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。この混合物Aを用いる他は、実施例1と同様にして、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#10で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚1.2μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
(比較例3)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」:屈折率1.49)10.00質量部と、透光性粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製:粒径2μm、屈折率1.49)4.55質量部を、メチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に混合し、光硬化性アクリル樹脂を溶解させて、混合物Aを調製した。この混合物Aを用いる他は、実施例1と同様にして、金属ナノワイヤと透光性粒子を含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm、屈折率1.665)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#10で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚1.2μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
そして透明基材として透明PETフィルム(厚み125μm)を用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#4で透明基材の表面に塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥し、さらに紫外線を強度500mJ/cmで照射して硬化させることによって、膜厚0.5μmの透明導電膜を形成した透明導電膜付き基材を得た(図1参照)。尚、透明導電膜においてマトリクス樹脂/透光性粒子の体積比は約2であり、また透明導電膜中の金属ナノワイヤの含有量は約3.0質量%であった。
上記の実施例1〜5及び比較例1〜3の透明導電膜付き基材について、透明導電膜の表面抵抗、透明導電膜の透過率を測定した。
ここで、透明導電膜の表面抵抗の測定は、表面抵抗値計(三菱化学社製「Hiresta IP (MCP−HT260)」)を使用して行なった。透明導電膜の透過率の測定は、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて行なった。結果を表1に示す。
Figure 0005432624
表1にみられるように、各実施例の透明導電膜は表面抵抗が小さく、導電性が向上しているものであり、また透過率も高いことが確認された。
1 透明基材
2 透明導電膜
3 金属ナノワイヤ
4 透光性粒子
5 マトリクス樹脂

Claims (3)

  1. マトリクス樹脂中に金属ナノワイヤを含有して形成される透明導電膜を透明基材の表面に備えた透明導電膜付き基材であって、透明導電膜のマトリクス樹脂中には、マトリクス樹脂との屈折率の差が±0.03以内であり、かつ透明導電膜の膜厚の0.5〜1.2倍の粒子径を有する透光性粒子を含有して成ることを特徴とする透明導電膜付き基材。
  2. 透光性粒子の粒子径(D)と金属ナノワイヤの長さ(L)の比が、0.005≦D/L<1であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基材。
  3. 透明導電膜中のマトリクス樹脂と透光性粒子の体積比率が、マトリクス樹脂/透光性粒子≦5であることを特徴とする請求項1叉は2に記載の透明導電膜付き基材。
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