JP2011138711A - 透明導電性接着剤及び透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備える光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な透明導電性接着剤、及び透明導電性接着剤を接着層に用いた光電変換素子を提供する。
【解決手段】 透明導電性接着剤は、透明樹脂及び金属ナノワイヤ3を含んでなる。これにより、透明性の高い導電成分として金属ナノワイヤ3を用いることにより、透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な接着剤を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】 透明導電性接着剤は、透明樹脂及び金属ナノワイヤ3を含んでなる。これにより、透明性の高い導電成分として金属ナノワイヤ3を用いることにより、透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な接着剤を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、透明導電性を有した接着剤、及びこの透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備える光電変換素子に関するものである。
従来、導電性を発現する接着剤組成物が多く提案されていて、例えば、引用文献1や引用文献2に開示されるようなものがある。また、導電性に異方性を持たせた接着剤組成物も存在し、例えば引用文献3や引用文献4に開示されるようなものがある。
これらの接着剤組成物においては、接着作用を有する硬化性の樹脂として例えばエポキシ硬化樹脂などが用いられ、樹脂中に金属系などの導電性粒子が分散されることにより、導電性が発現するものである。
また、近年開発されているマルチレイヤータイプの光電変換素子、特に太陽電池においては、太陽光スペクトルを効率よく変換させるために、各波長に応じた素子を直列に組むことで効率を上げている。この際に利用されるのが、各素子電極間を連結する透明導電層であり、この透明導電層としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や導電性高分子などが利用されている。
しかしながら、上記のような従来技術においては、接着作用を有する樹脂中に金属系などの導電性粒子を分散させる場合には透明性に乏しくなり、また、ITOを使用する場合には蒸着などドライ製膜工程になり、コストや時間がかかってしまうといった問題が存在した。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な透明導電性接着剤、及び透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備える光電変換素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明導電性接着剤は、透明樹脂及び金属ナノワイヤを含んでなることを特徴とするものである。これにより、透明性の高い導電成分として金属ナノワイヤを用いることにより、透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な接着剤を得ることができる。
また、本発明に係る光電変換素子は、上記の透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備えることを特徴とするものである。これにより、透明導電性を有した接着剤から形成される透明導電性接着層に用いるため、光電変換素子の所望の部位に透明性と導電性を有した接着層を設けることができる。
本発明に係る透明導電性接着剤によれば、透明性及び導電性に優れ、且つ簡易に成膜、接着が可能な接着剤を得ることができる。
また、本発明に係る光電変換素子によれば、光電変換素子の所望の部位に透明性と導電性を有した透明導電性接着層を設けることができる。
以下、本発明を実施の形態を説明する。
本発明で用いる金属ナノワイヤ3の製造手段には特に制限は無く、例えば、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限は無く、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法として、Adv.Mater.2002,14,P833〜837や、Chem.Mater.2002,14,P4736〜4745、前述した特許文献2等を、Auナノワイヤの製造方法として、特開2006−233252号公報等を、Cuナノワイヤの製造方法として、特開2002−266007号公報等を、Coナノワイヤの製造方法として、特開2004−149871号公報等を挙げることができる。特に、上記のAdv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明で用いる金属ナノワイヤ3の製造方法として好ましく適用することができる。
本発明において金属ナノワイヤ3の平均直径は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。平均直径が200nm以下であれば光透過率の低下を抑えることができるため好ましい。一方で、平均直径が10nm以上であれば導電体としての機能を有意に発現でき、平均直径がより大きい方が導電性が向上するため好ましい。従って平均直径は、より好ましくは20〜150nmであり、40〜150nmであることが更に好ましい。また金属ナノワイヤ3の平均長さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましく、凝集による透明性への影響から100μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜50μmであり、3〜50μmであることが更に好ましい。金属ナノワイヤ3の平均直径及び平均長さは、SEMやTEMを用いて十分な数の金属ナノワイヤ3について電子顕微鏡写真を撮影し、個々の金属ナノワイヤ3像の計測値の算術平均から求めることができる。金属ナノワイヤ3の長さは、本来直線状に伸ばした状態で求めるべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて金属ナノワイヤ3の投影径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)ものとする。計測対象の金属ナノワイヤ3の数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の金属ナノワイヤ3を計測するのが更に好ましい。
上記の金属ナノワイヤ3は接着性樹脂溶液に分散させて使用されるものであり、接着性樹脂溶液中のマトリクス樹脂2を形成するための樹脂成分としては、モノマーやオリゴマーの重合反応によりポリマー化してマトリクスを形成するものが用いられる。マトリクス樹脂2は硬化したときに透明性を有する透明樹脂である。
マトリクス樹脂成分は、絶縁性を示すものであれば、熱可塑性、熱硬化性、光硬化性など特に制限はない。例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂、エポキシメタクリレート系をはじめとするアクリレート系樹脂などが挙げられ、必要に応じて2種以上の樹脂を組み合わせてもよい。また、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、老化防止剤、カップリング剤等を併用してもよい。
上記のマトリクス樹脂成分として、光重合反応または熱重合反応する樹脂を使用する場合、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマーあるいはオリゴマーを用いることができ、アクリル基あるいはメタクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが好適である。中でも架橋させて耐擦傷性、硬度を上げるには多官能性バインダー成分であることが好ましい。
そして一分子中に一個の官能基をもつものとして、具体的には例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また二個以上の官能基を持つものとして、具体的には例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、更にベンゼン環を有する化合物としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレートエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジアクリレート、ポリエステルアクリレート等の多官能アクリレート類あるいはメタクリレート類が挙げられる。
また、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼンなどの硫黄含有(メタ)アクリレート類を用いることも、高屈折率化に有効である。
また、熱重合する樹脂としては、エポキシ樹脂として一般に使用されている任意のものが使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、2,6−キシレノールダイマーのグリシジルエーテル化樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジアミノフェニルエーテルのグリシジル化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらの臭素化された難燃性エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、単独で使用することもでき、また複数の種類を併用することもできる。
さらに、熱重合する樹脂については一般的なゾル−ゲル系材料を使用することもできる。このようなゾル−ゲル系材料としては、例えばアルコキシシシラン、アルコキシチタン等を挙げることができる。これらのなかでもアルコキシシランが好ましい。ゾル−ゲル系材料は、ポリシロキサン構造を形成する。アルコキシシランの具体的は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらアルコキシシランはその部分縮合物等として用いることができる。これらのなかでもテトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物等が好ましい。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物が好ましい。
また、接着性樹脂溶液のマトリクス樹脂成分として導電性高分子を用いることもできる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリトリフェニルアミン等を例示することができる。
接着性樹脂溶液のマトリクス樹脂成分としては、上記した光重合性の樹脂、熱重合性の樹脂、導電性高分子から選ばれる2種類以上のものを併用してもよい。
さらに接着性樹脂溶液中には、紫外線や熱による硬化を促進させるため、光または熱重合開始剤を配合してもよい。
光重合開始剤としては、一般に市販されているもので構わないが、特に例示すると、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー651」)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアー1173」、ランベルティー社製「エサキュアーKL200」)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(ランベルティー社製「エサキュアーKIP150」)、2−ヒドロキシエチル−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー2959」)、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー369」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「CGI403」)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(=TMDPO)(BASF社製「ルシリンTPO」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアーTPO」)、チオキサントンまたはその誘導体などが挙げられ、これらのうち1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、光増感作用の目的により第三アミン、例えばトリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、イソペンチルメチルアミノベンゾエートなどを添加しても良い。
熱による重合開始剤としては、主として過酸化ベンゾイル(=BPO)などの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル(=AIBN)などのアゾ化合物が用いられる。
上記の光重合開始剤や熱重合開始剤の配合量は、通常、組成物(樹脂成分+金属ナノワイヤ3)100質量部に対し、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性官能基を有するモノマーあるいはオリゴマーを用いてもよい。さらに必要に応じて光カチオン開始剤等を組み合わせて用いることもできる。これらは同様に多官能であることが好ましい。
接着性樹脂溶液への金属ナノワイヤ3の配合量は、後述のように透明導電性接着層4を形成した際に、透明導電性接着層4中に金属ナノワイヤ3が0.01〜90質量%含有されるように、マトリクス樹脂成分に対する配合量を調整して設定するのが好ましい。金属ナノワイヤ3の含有量は0.1〜30質量%がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
接着性樹脂溶液には、樹脂固形分、金属ナノワイヤ3など固形成分を溶解、分散するための溶剤が含有されることが好ましい。溶剤の種類は特に限定されるものではない。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましく、ケトン系溶剤を用いて接着性樹脂溶液を調製すると、透明基材1の表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積の透明導電性接着層4を容易に得ることができるものある。また、溶剤としては上記の有機溶剤の他に、水を用いる場合もあり、有機溶剤と水を組み合わせて用いる場合もある。溶剤の量は、上記の各固形成分を均一に溶解、分散することができ、接着性樹脂溶液を調製した後の保存時に凝集を来たさず、かつ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適宜調節するものである。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用量を少なくして高濃度の接着性樹脂溶液を調製し、容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出して塗工作業に適した濃度に溶剤で希釈するのが好ましい。固形分と溶剤の合計量を100質量部とした時に、全固形分0.1〜50質量部に対して、溶剤の量を50〜99.9質量部に設定するのが好ましく、さらに好ましくは、全固形分0.5〜30重量部に対して、溶剤を70〜99.5質量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適した接着性樹脂溶液を得ることができる。用いる樹脂と溶剤の組み合わせについては、特に規定されるものではないが、配合する樹脂が溶解しやすい溶剤を用いるほうが好ましい。また塗工する透明基材1によっては、用いる溶剤によって溶解が発生する場合もあるので、予め透明基材1への溶解性を確認したうえで適切な溶剤組成を設計することが望ましい。
一方、本発明で用いる透明基材1において、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透明基材1の形状としては、例えば平板状、シート状、フィルム状などが挙げられ、また構造としては、例えば単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、適宜選択することができる。透明基材1の材料についても特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれであっても好適に用いることができる。透明基材1を形成する無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。また有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、透明基材1は、前記のような絶縁性の透明な部材のほか、ITOなどで形成される導電性を有する層(透明導電層)であってもよい。また、透明基材1は絶縁性の透明な部材に透明導電層を積層して構成されてもよい。
そして透明基材1の表面に、上記の金属ナノワイヤ3を配合した接着性樹脂溶液を塗布して乾燥させることによって、透明導電性接着層4を形成することができるものである。このように形成される透明導電性接着層4中にはマトリクス樹脂2に金属ナノワイヤ3がほぼ均一に分散した状態で含有されており、金属ナノワイヤ3同士が接触することによって高い導電性が確保されている。
透明基材1上に形成する透明導電性接着層4は、図1(a)に示すように一様に形成してもよいし、図2(a)に示すように任意の部分のみ形成してもよい。一様に形成する場合の接着性樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。また、任意の部分のみ形成する方法としては、一様な面から不要な部分を取り除くエッチング系手法や直接得たい部分のみを形成する直接描画系手法がある。エッチング系手法ではウェットエッチング法、ドライエッチング法が挙げられる。また直接描画系手法ではグラビア印刷、スクリーン印刷、転写印刷などの方法が挙げられる。
そして、図1(b)に示すように、透明基材1上に一様に形成した透明導電性接着層4上に基材5を重ねることにより、基材5と透明基材1とを透明性及び導電性を保ったまま接着することができる。前記基材5としては、例えばPET、アクリルなど透明な基材、ITOなどで形成される透明導電層などが挙げられる。特に透明基材1と基材5が共に透明導電層、或いは透明導電層を備える部材である場合には、透明基材1と基材5とを透明導電性接着層4を介して接着すると共に、透明導電性接着層4で透明基材1と基材5とを電気的に接続することができる。
また、図2(b)に示すように、透明基材1上の任意の部分に形成した複数の透明導電性接着層4上に亘って基材5を設けることもでき、これにより、基材5の任意の部分と透明基材1とを透明性及び導電性を保ったまま接着することができる。この場合、透明基材1と基材5とを透明導電性接着層4を介して接着すると共に、透明導電性接着層4で透明基材1と基材5とを任意の位置で電気的に接続することができる。例えば透明基材1や基材5にパターン状の導体配線からなる透明導電層が形成されている場合にはこの導体配線の任意の位置で、透明基材1と基材5との間の導通をとることができる。
透明導電性接着層4の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜100μm程度の範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
上記のようにして得られる本発明に係る透明導電性接着剤の用途は、特に制限されるものではないが、有機EL素子、透明配線、光電変換素子、電磁波シールド、タッチパネル、電子ペーパー等の層間接着剤に適用することができるものである。
上記のようにして得られる本発明に係る透明導電性接着剤は、例えば光電変換素子A等に適用することができる。例えば、上記基材5として発光層、電子輸送層、正孔輸送層、電極等を備える光電変換層5aを用い、図3(a)に示すようにこの光電変換層5aを透明導電性接着層4を介して透明基材1に接着することにより、光電変換素子Aが得られる。また、更に図3(b)に示すように複数の光電変換層5a,5b,5c(例えば短波長光を変換する光電変換層5a、中波長光を変換する光電変換層5b、及び長波長光を変換する光電変換層5c)を透明導電性接着層4を介して接着することにより、タンデム構造の光電変換素子Aが得られる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ株式会社製)及びポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学株式会社製)を質量比1:1でトルエン/酢酸エチルの1:1混合溶媒に溶解した25%溶液200質量部と、イミダゾール系潜在性硬化剤(ノバキュアHX−3721、旭化成株式会社製)100質量部とを混合した接着剤に、銀ナノワイヤを0.5wt%分散させて樹脂組成物を得た。尚、前記銀ナノワイヤは、公知論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333-338 “Preparation ofAg nanorods with high yield by polyol process”」に準じて作製したものであり、平均直径150nm、平均長さ5μmである。
エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ株式会社製)及びポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学株式会社製)を質量比1:1でトルエン/酢酸エチルの1:1混合溶媒に溶解した25%溶液200質量部と、イミダゾール系潜在性硬化剤(ノバキュアHX−3721、旭化成株式会社製)100質量部とを混合した接着剤に、銀ナノワイヤを0.5wt%分散させて樹脂組成物を得た。尚、前記銀ナノワイヤは、公知論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333-338 “Preparation ofAg nanorods with high yield by polyol process”」に準じて作製したものであり、平均直径150nm、平均長さ5μmである。
この樹脂組成物を透明基材(PETフィルム)の上に乾燥後約50μmの厚さになるように塗布・乾燥し、硬化膜を形成した。
(比較例1)
銀ナノワイヤを用いなかった他は、実施例1と同様にして、硬化膜を形成した。
銀ナノワイヤを用いなかった他は、実施例1と同様にして、硬化膜を形成した。
(評価方法)
上記の実施例1及び比較例1の硬化膜について、ヘイズ測定、全光線透過率測定、表面抵抗値測定(4端子)、Z方向抵抗値測定(2端子)を行なった。ヘイズ値及び全光線透過率の測定は、ヘイズメータ(日本電色工業製「NDH2000」)を使用して行ない、表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(三菱化学社製「Hiresta IP (MCP−HT260)」)を使用して行なった。また、Z方向抵抗値は2端子のテスターにて行なった。結果を表1に示す。
上記の実施例1及び比較例1の硬化膜について、ヘイズ測定、全光線透過率測定、表面抵抗値測定(4端子)、Z方向抵抗値測定(2端子)を行なった。ヘイズ値及び全光線透過率の測定は、ヘイズメータ(日本電色工業製「NDH2000」)を使用して行ない、表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(三菱化学社製「Hiresta IP (MCP−HT260)」)を使用して行なった。また、Z方向抵抗値は2端子のテスターにて行なった。結果を表1に示す。
表1にみられるように、銀ナノワイヤを用いなかった比較例1のものでは、全光線透過率は高い値を示したが、ヘイズ値が低く、表面抵抗値および厚み方向での導通効果は確認されなかった。
これに対し、銀ナノワイヤを用いた実施例1では、銀ナノワイヤを用いなかった比較例1に比べて全光線透過率の低下は見られず、ヘイズ値が0.5%高く、また、表面抵抗値および厚み方向での導通効果が確認された。これにより、実施例1の接着剤塗布基材の接着剤は、透明導電性を有するものであることが明らかになった。また、銀ナノワイヤによる接着性の低下も見られなかった。
1 透明基材
2 マトリクス樹脂
3 金属ナノワイヤ
4 透明導電性接着層
A 光電変換素子
2 マトリクス樹脂
3 金属ナノワイヤ
4 透明導電性接着層
A 光電変換素子
Claims (2)
- 透明樹脂及び金属ナノワイヤを含んでなることを特徴とする透明導電性接着剤。
- 請求項1に記載の透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備えることを特徴とする光電変換素子。
Priority Applications (1)
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JP2009298655A JP2011138711A (ja) | 2009-12-28 | 2009-12-28 | 透明導電性接着剤及び透明導電性接着剤から形成される透明導電性接着層を備える光電変換素子 |
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