JP2010121040A - 透明導電被膜形成用コーティング剤組成物及び被塗装物品 - Google Patents

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Ryozo Fukuzaki
僚三 福崎
Hikari Tsujimoto
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Abstract

【課題】高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電被膜を形成することができるコーティング剤組成物を提供する。
【解決手段】透明樹脂と、導電率が1000S/cm以上であるファイバー状の導電性物質とを含有する。導電性物質としてファイバー状のものを用いることによって、導電性物質同士の接触確率を高めて導電性物質の配合量を低減することができ、透明性の高い透明導電被膜を形成することができる。またファイバー状の導電性物質は導電率が1000S/cm以上であることによって、導電性物質の配合量を低減しても導電性の高い透明導電被膜を形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電被膜を形成するためのコーティング剤組成物、及びこの透明導電被膜を形成した被塗装物品に関するものである。
透明導電被膜は透明電極として広く用いられている。そしてこのような透明で導電性を発現する透明導電被膜を形成するにあたっては、透明で導電性を有する材料を使用する方法の他に、透明樹脂に導電性物質を含有させることによって、着色するけれども導電性物質の形状や配向によって透明性を確保して導電性を発現させる方法がある。
一般的に導電性物質は導電特性を発現する自由電子が多いため、特に可視光波長域から生じるプラズマ共鳴振動吸収により着色していることが多い。このため、例えば粒子状の導電性物質を含有させる場合には、粒径をナノオーダーまで小さくすることによって、可視域で透明性を確保するようにしている。しかしながら、粒径を小さくすると、表面積が増大するために粒子間の凝集が起こり易くなる。これを防ぐために分散剤で表面修飾するなどの必要があるが、この分散剤が導電性の妨げとなる。この場合、導電性物質の添加量を増やすことで導電性を上げることは可能であるが、逆に透明性は低下することになり、透明性と導電性を両立することが困難になる。
このような透明性と導電性のトレードオフを解決する手法の一つに、導電性物質の形状を粒子状からファイバー状にし、導電性物質の接触確率を高めて、導電性物質の配合量を低減する方法がある。特に近年では、カーボンナノファイバー・カーボンナノチューブといった材料を用いて透明導電膜を形成する手法が報告されており、例えば特許文献1に気相法炭素繊維を用いる例がある。しかし、カーボン系の材料は比抵抗が50S/cm程度であるため、1000Ω/□以下というような低い表面抵抗値が必要な透明電極膜への適用は、現在では困難である。
特開2002−266170号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電被膜を形成することができるコーティング剤組成物を提供することを目的とするものであり、またこのような透明導電被膜を有する被塗装物品を提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明導電被膜形成用コーティング剤組成物は、透明樹脂と、導電率が1000S/cm以上であるファイバー状の導電性物質とを含有して成ることを特徴とするものである。
このように導電性物質としてファイバー状のものを用いることによって、導電性物質同士の接触確率を高めて導電性物質による導電性を確保することができ、導電性物質の配合量を低減して、透明性の高い透明導電被膜を形成することができるものであり、そしてファイバー状の導電性物質の導電率が1000S/cm以上であることによって、導電性物質の配合量を低減しても高い導電性を得ることができるものであり、高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電被膜を形成することができるものである。
また本発明において、上記のファイバー状導電性物質の長手方向に対して垂直な断面の大きさは、断面の重心からの最大距離が500nm以下であることを特徴とするものである。
このようにファイバー状導電性物質の断面の太さはナノオーダーであって細いものであり、導電性を確保しつつ透明性を向上することができるものである。
また本発明において、上記のファイバー状導電性物質は、アスペクト比が5以上であることを特徴とするものである。
このようにファイバー状導電性物質はアスペクト比が大きく、導電性を確保しつつ透明性を向上することができるものである。
また本発明に係る被塗装物品は、透明導電被膜形成用コーティング剤組成物が塗装され、透明導電被膜で被覆されたことを特徴とするものである。
この発明によれば高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電被膜を有する被塗装物品を得ることができるものである。
また本発明において、上記の透明導電被膜は、表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が70%以上であることを特徴とするものである。
この発明によれば、高い透明性と高い導電性を必要とされる用途に用いることができるものである。
本発明によれば、上記のように導電性物質としてファイバー状のものを用いることによって、導電性物質同士の接触確率を高めて導電性物質による導電性を確保することができ、導電性物質の配合量を低減して、透明性の高い透明導電被膜を形成することができるものであり、そしてファイバー状の導電性物質の導電率が1000S/cm以上であることによって、導電性物質の配合量を低減しても高い導電性を得ることができるものである。この結果、高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電被膜を形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係るコーティング剤組成物は、透明樹脂とファイバー状導電性物質とを主成分として含有するものである。
本発明において透明樹脂としては、特に限定されるものではなく任意のものを用いることができるが、例えば、モノマーおよびオリゴマーの重合反応によりポリマー化してマトリクスを形成するものが好ましい。
光重合反応または熱重合反応する樹脂については、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマーあるいはオリゴマーを用いることができ、アクリル基あるいはメタクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが好適である。中でも架橋させて耐擦傷性、硬度を上げることができるために多官能性バインダー成分であることが好ましい。
一分子中に一個の官能基をもつものとしては、具体的には例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
二個以上の官能基を持つものとしては、具体的には例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタエリスリトール等が挙げられ、更にベンゼン環を有する化合物としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレートエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジアクリレート、ポリエステルアクリレート等の多官能アクリレート類あるいはメタクリレート類が挙げられる。
また、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼンなどの硫黄含有(メタ)アクリレート類を用いることも高屈折率化に有効である。
さらに、紫外線や熱による硬化を促進させるため、光または熱重合開始剤を配合してもよい。
光重合開始剤としては、一般に市販されているもので構わないが、特に例示すると、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー651」)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアー1173」、ランベルティー社製「エサキュアーKL200」)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(ランベルティー社製「エサキュアーKIP150」)、(2−ヒドロキシエチル)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー2959」)、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー369」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「CGI403」)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(=TMDPO BASF社製「ルシリンTPO」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアーTPO」)、チオキサントンまたはその誘導体などが挙げられ、これらのうち1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、光増感作用の目的により第三アミン、例えばトリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、イソペンチルメチルアミノベンゾエートなどを添加しても良い。
熱による重合開始剤としては、主として過酸化ベンゾイル(=BPO)などの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル(=AIBN)などのアゾ化合物が用いられる。
光・熱重合開始剤の配合量は通常、組成物((メタ)アクリレート+ファイバー状導電性物質)100質量部に対し、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性官能基を有するモノマーあるいはオリゴマーを用いてもよい。さらに必要に応じて光カチオン開始剤等を組み合わせて用いることもでき、同様に多官能であることが好ましい。
一方、熱重合する樹脂については一般的にゾル−ゲル系材料が挙げられ、アルコキシシシラン、アルコキシチタン等のゾル−ゲル系材料が好ましい。これらのなかでもアルコキシシランが好ましい。ゾル−ゲル系材料は、ポリシロキサン構造を形成する。アルコキシシランの具体的は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等があげられる。これらアルコキシシランはその部分縮合物等として用いることができる。これらのなかでもテトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物等が好ましい。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物が好ましい。
また本発明においてファイバー状導電性物質としては、ファイバー状で且つ導電率が1000S/cm以上であればよく、特定の無機系物質や有機系物質に限定されるものではない。例えば金属が代表的なものであるが、特に限定されるものではない。良好な導電性を有する好ましい金属の例としては、銀、金、銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、またはこれらの任意の2種以上を組み合わせた混合物(合金)を挙げることができる。同様に、特に限定されるものではないが、無機酸化物を用いることもできるものであり、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン又は酸化セリウムなどが好ましく用いられる。また、導電率が1000S/cm以上の特性を有するものであれば無機酸化物以外にも高分子ポリマーを用いることが可能であり、このような高分子ポリマーとしては例えばポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系などの導電性高分子がよく知られている。勿論、本発明においてファイバー状導電性物質としては上記のものに限定されるものではない。また導電率は高いほど好ましいものであり、上限は特に設定されない。
ファイバー状導電性物質の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば真円形、楕円形、正方形、長方形、三角形の他、5角形以上の多角形や、多円重なり状など任意である。そしてファイバー状導電性物質の太さは、ファイバー状導電性物質の断面の大きさにおいて、断面の重心からの最大距離が500nm以下であることが好ましい。すなわち、ファイバー状導電性物質の長手方向に対して垂直な断面において、この断面の重心(断面図における図形の重心として求めることができる)から断面の端縁までの距離のうち最大距離が500nm以下であるものであり、つまり半径が500nmの円内に入る断面を有する太さのファイバー状導電性物質であればよい。この最大距離は100nmであことがより好ましい。つまり半径100nmの円内に入る断面を有する太さのファイバー状導電性物質であることがより好ましい。この最大距離の下限は特に設定されないが、実用的には10nm程度が下限である。
またファイバー状導電性物質のアスペクト比は、5以上であることが好ましい。このアスペクト比は10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。アスペクト比の上限は特に設定されないが、実用的には5000万程度が上限であり、通常は100万以下である。
そして、上記の透明樹脂とファイバー状導電性物質を混合することによって、本発明のコーティング剤組成物を調製することができるものである。ここで、透明樹脂に対するファイバー状導電性物質の配合量は、特に限定されるものではないが、透明導電被膜の全質量に対するファイバー状導電性物質の含有率が0.01〜50質量%の範囲になるように、より好ましくは0.1〜25質量%の範囲、特に好ましくは0.1〜10質量%の範囲になるように設定されるものである。
このようにして調製されるコーティング剤組成物を基材の表面に塗装することによって、透明導電被膜を形成することができるものあり、透明導電被膜で被覆された被塗装物品を得ることができるものである。透明導電膜の厚みは、その用途などに応じて異なるが、一般に0.01〜0.5μm程度が好ましい。
被塗装物品の基材としては特に限定されるものではなく、ガラスやプラスチック部材といった板状基材や可とう性のフィルム状基材などが挙げられる。特にフィルム状基材は透明であるものについて需要が高く、種々の機能層の積層対象となるか、もしくはディスプレイ用フィルタの支持体となるものである。従って、透明基材については、可視光に対して透明性を有し、種々の機能層として透明導電被膜を積層することが可能であれば、その種類は特に限定されるものではなく、複屈折の小さいものであることがなお好ましい。透明基材の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、これらは単独で、または同種もしくは異種のものを積層して用いることができる。
透明基材の透明性は、透明基材が単層の場合、可視領域(波長380〜800nm)の光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明性は無色透明であることが好ましいが、必ずしも無色透明であることに限ることはなく、本発明の目的を妨げない程度であれば着色された着色透明であってもよい。可視領域の光線透過率は出来る限り高いことが好ましいが、最終製品として例えば50%以上の光線透過率が必要であれば、最低2枚を積層する場合でも、それぞれの透明基材としては光線透過率が80%であれば、目的に適う。もちろん、光線透過率が高ければ高いほど、透明基材の積層枚数を多くすることができるので、透明基材の単層の光線透過率は、より好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。光線透過率を向上させるには透明基材の厚みを薄くするのも有効な手段である。
透明基材の厚みは、透明性さえ満足することができれば特に制限されないが、加工性の面からは、12μm程度〜300μm程度の範囲であることが好ましい。厚みが12μm未満の場合は、透明基材が柔軟過ぎて加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすい。また厚みが300μmを超えると、透明基材の可撓性が減少し、連続巻き取りが困難になる上、透明基材同士を複数枚積層する際の加工性が大幅に劣るといった問題もある。
また、基材には、本発明のコーティング剤組成物を塗装する面と反対側の面に予め、機能層が形成されていてもよく、この機能としては例えば、反射防止層、電磁波シールド層、近赤外カット層、色目調整層、ハードコート層、指紋付着防止層などが挙げられる。
基材の表面にコーティング組成物を塗布する方法は、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の任意の方法を採用することができる。
上記のように本発明のコーティング剤を基材に塗布して透明導電被膜を形成するにあたって、透明導電被膜に含有されているファイバー状導電性物質は確率高く接触し合うので、導電性物質の配合量を低減しても導電性を確保することができ、透明性の高い透明導電被膜を形成することができるものである。そしてこのファイバー状導電性物質は1000S/cm以上と導電率が高いので、導電性物質の配合量を低減しても高い導電率を得ることができ、導電性の高い透明導電被膜を形成することができるものである。
また上記のようにファイバー状導電性物質として、断面の大きさが断面重心からの最大距離が500nm以下であるものを用いる場合、ファイバー状導電性物質の断面の太さはナノオーダーであって細いので、透明導電被膜中でのファイバー状導電性物質の容積が小さくなり、透明導電被膜の透明性を向上することができるものである。
さらに上記のようにファイバー状導電性物質として、アスペクト比が5以上であるものを用いる場合、ファイバー状導電性物質は接触し合う確率が高くなり、透明導電被膜の導電性を向上することができるものである。
そして本発明において、被塗装物品に形成される透明導電被膜は、表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が70%以上であることが望ましい。このように表面抵抗率が1000Ω/□以下と導電率が高く、かつ全光線透過率が70%以上と透明性が高いことによって、高い透明性と高い導電性を必要とされる用途に透明導電被膜を用いることができるものである。表面抵抗率は500Ω/□以下が、全光線透過率は86%以上がさらに望ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
アクリル樹脂(新中村化学工業(株)製「A−DPH」)14.55質量部をメチルエチルケトン34.87質量部とメチルイソブチルケトン34.86質量部の混合溶媒に溶解した。次にこの溶液にファイバー状導電性物質として銅ナノワイヤー(導電率10S/cm、平均断面直径60nm、平均アスペクト比100)を配合した。銅ナノワイヤーはMEKを分散媒として固形分3.0質量%で分散した分散液として用い、上記の溶液にこの分散液を15.0質量部加えてよく混合した。そしてさらに光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー製「イルガキュア184」)0.72質量部を加えてよく混合し、25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、ハードコートコーティング剤組成物を調製した。
次に、このコーティング剤組成物をフィルム状基材(PET、厚み125μm)の表面にワイヤバーコーター#4によって塗布し、常温(23℃)で2分間乾燥した後、120℃で3分間加熱して乾燥した。その後、紫外線を強度500mJ/cmにて照射して硬化させることによって、膜厚0.5μmの透明導電被膜を形成した。尚、透明導電被膜中の銅ナノワイヤーの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例2)
メチルシリケート(三菱化学(株)製「A−DPH」)28.53質量部をメチルエチルケトン27.88質量部とメチルイソブチルケトン27.87質量部の混合溶媒に混合した。次にこの混合溶液にファイバー状導電性物質として銅ナノワイヤー(導電率10S/cm、平均断面直径60nm、平均アスペクト比100)を配合した。銅ナノワイヤーはMEKを分散媒として固形分3.0質量%で分散した分散液として用い、上記の混合溶液にこの分散液を15.0質量部加えてよく混合した。そしてさらに光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバガイギー製「イルガキュア184」)0.72質量部を加えてよく混合し、25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、ハードコートコーティング剤組成物を調製した。
そしてこのコーティング剤組成物をフィルム状基材の表面に実施例1と同様に塗装して、膜厚0.5μmの透明導電被膜を形成した。尚、透明導電被膜中の銅ナノワイヤーの含有量は約3.0質量%であった。
(実施例3)
ファイバー状導電性物質として銀ナノワイヤー(導電率10S/cm、平均断面直径60nm、平均アスペクト比100)を用い、銀ナノワイヤーをMEKを分散媒として固形分3.0質量%で分散した分散液として使用するようにした。その他は、実施例1と同様にしてコーティング剤組成物を調製し、さらに実施例1と同様にして膜厚0.5μmの透明導電被膜を形成した。尚、透明導電被膜中の銀ナノワイヤーの含有量は約3.0質量%であった。
(比較例1)
ファイバー状導電性物質としてカーボンナノチューブ(導電率50S/cm、平均断面直径50nm、平均アスペクト比100)を用い、カーボンナノチューブをMEKを分散媒として固形分3.0質量%で分散した分散液として使用するようにした。その他は、実施例1と同様にしてコーティング剤組成物を調製し、さらに実施例1と同様にして膜厚0.5μmの透明導電被膜を形成した。尚、透明導電被膜中のカーボンナノチューブの含有量は約3.0質量%であった。
上記のように実施例1〜3及び比較例1で形成した透明導電被膜について、全光線透過率と表面抵抗値を測定した。全光線透過率の測定は、ヘイズメータ(日本電色工業製「NDH2000」)を使用して行なった。また表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(三菱化学(株)製「ロレスタGP(MCP−T160)」)を使用して行なった。結果を表1に示す。
Figure 2010121040
実施例1〜3のものはいずれも全光線透過率が90%を超えており、光学用途として使用可能である。一方、比較例1のカーボンナノチューブを利用した系では、全光線透過率が低いうえに、表面抵抗値も1000Ω/□以上となっている。これはカーボンナノチューブの導電率が比較的低いことによる結果と考えられる。

Claims (5)

  1. 透明樹脂と、導電率が1000S/cm以上であるファイバー状の導電性物質とを含有して成ることを特徴とする透明導電被膜形成用コーティング剤組成物。
  2. 上記のファイバー状導電性物質の長手方向に対して垂直な断面の大きさは、断面の重心からの最大距離が500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電被膜形成用コーティング剤組成物。
  3. 上記のファイバー状導電性物質は、アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電被膜形成用コーティング剤組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の透明導電被膜形成用コーティング剤組成物が塗装され、透明導電被膜で被覆されたことを特徴とする被塗装物品。
  5. 透明導電被膜は、表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項4に記載の被塗装物品。
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