JP5308264B2 - 透明導電膜付き基材 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に透明導電膜を設けた透明導電膜付き基材に関するものである。
透明導電膜は、液晶ディスプレイやPDP、タッチパネル、また有機ELや太陽電池などの分野で、透明電極として広く用いられている。そしてこのような透明で導電性を発現する透明導電膜を形成するにあたっては、透明で導電性を有する材料を用いて膜を形成する方法の他に、透明樹脂に導電性物質を含有させて膜を形成することによって、着色するけれども導電性物質の形状や配向によって透明性を確保しつつ導電性が発現した透明導電膜を形成する方法がある。
ここで、一般的に導電性物質は導電特性を発現する自由電子が多いため、特に可視光波長域から生じるプラズマ共鳴振動吸収により着色していることが多い。このため、例えば粒子状の導電性物質を含有させる場合には、粒径をナノオーダーまで小さくすることによって、可視域で透明性を確保するようにしている。しかしながら、粒径を小さくすると表面積が増大するために、導電性物質の粒子間の凝集が起こり易くなる。これを防ぐために分散剤で粒子の表面を修飾するなどの必要があるが、この分散剤が透明導電膜の導電性の妨げとなる。この場合、導電性物質の添加量を増やすことで導電性を上げることは可能であるが、逆に透明性は低下することになり、従って透明性と導電性を両立させることが困難になる。
このような透明性と導電性のトレードオフを解決する手法の一つに、導電性物質の形状を粒子状からファイバー状に変更し、導電性物質の接触確率を高めて、導電性物質の配合量を低減する方法がある。
特に近年では、カーボンナノファイバー・カーボンナノチューブといった材料を用いて透明導電膜を形成する手法が報告されており、例えば特許文献1にみられるように、気相法炭素繊維を用いて透明導電膜を形成する例がある。しかし、カーボン系の材料は比抵抗が50S/cm程度であるため、1000Ω/□以下というような低い表面抵抗値が必要な透明電極への適用は、現在では困難である。
一方、特許文献2では、金属ナノワイヤを用いて透明導電膜を形成することが提案されている。金属ナノワイヤは比抵抗が小さいので、このものでは透明導電膜によって低い表面抵抗値の透明電極を形成することが可能である。
しかし金属ナノワイヤを含有する透明導電膜にあっては、透明導電膜に入射して通過する光が金属ナノワイヤで散乱され、この光の散乱によってヘイズが高くなり、透明性が低下するという問題を有するものであった。
特開2002−266170号公報 特表2009−505358号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、金属ナノワイヤを含有する透明導電膜を低いヘイズで形成することができる透明導電膜付き基材を提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明導電膜付き基材は、透明基材の表面に金属ナノワイヤを含有する透明導電膜を備えると共に、透明導電膜の透明基材と反対側の表面に光吸収層を備えて成ることを特徴とするものである。
このように透明導電膜の表面に光吸収層を形成することによって、透明導電膜に入射される光を光吸収層で吸収して、透明導電膜中の金属ナノワイヤに到達する光を少なくすることができ、金属ナノワイヤで光が分散されることによるヘイズを低減することができるものである。また透明導電膜の表面を光吸収層で被覆することができるので、透明導電膜の表面に金属ナノワイヤ由来の凹凸ができていたとしても光吸収層で埋めて、透明導電膜の表面を平滑に形成することができるものである。
また本発明において、上記の光吸収層は、カーボン、色素、導電性高分子のうち少なくとも一つを含む層であることを特徴とするものである。
カーボン、色素、導電性高分子は光吸収効率が高く、少ない使用量で光吸収層を薄く形成することができるものであり、透明導電膜の表面抵抗や光透過率が低下することを抑制することができるものである。
本発明によれば、上記のように透明導電膜の表面に光吸収層を形成することによって、透明導電膜に入射される光を光吸収層で吸収して、透明導電膜中の金属ナノワイヤに到達する光を少なくすることができ、金属ナノワイヤで光が分散されることによるヘイズを低減することができるものである。また透明導電膜の表面を光吸収層で被覆して、透明導電膜の表面平滑性を向上することができるものである。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において金属ナノワイヤとしては任意のものを用いることができるものであり、また金属ナノワイヤの製造手段には特に制限は無く、例えば、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。具体的な製造方法にも特に制限は無く、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法として、Adv.Mater.2002,14,P833〜837や、Chem.Mater.2002,14,P4736〜4745、前述の引用文献2等を、Auナノワイヤの製造方法として、特開2006−233252号公報等を、Cuナノワイヤの製造方法として、特開2002−266007号公報等を、Coナノワイヤの製造方法として、特開2004−149871号公報等を挙げることができる。特に、上記のAdv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明で用いる金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明において金属ナノワイヤの平均直径は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。平均直径が200nm以下であれば光透過率の低下を抑えることができるため好ましい。一方で、平均直径が10nm以上であれば導電体としての機能を有意に発現でき、平均直径がより大きい方が導電性が向上するため好ましい。従って平均直径は、より好ましくは20〜150nmであり、40〜150nmであることが更に好ましい。また金属ナノワイヤの平均長さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましく、凝集による透明性への影響から100μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜50μmであり、3〜50μmであることが更に好ましい。金属ナノワイヤの平均直径及び平均長さは、SEMやTEMを用いて十分な数のナノワイヤについて電子顕微鏡写真を撮影し、個々の金属ナノワイヤ像の計測値の算術平均から求めることができる。金属ナノワイヤの長さは、本来直線状に伸ばした状態で求めるべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて金属ナノワイヤの投影径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)ものとする。計測対象の金属ナノワイヤ数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の金属ナノワイヤを計測するのが更に好ましい。
上記の金属ナノワイヤは樹脂溶液に分散させて使用されるものであり、樹脂溶液の膜形成のための樹脂成分としては、モノマーやオリゴマーの重合反応によりポリマー化してマトリクスを形成するものが用いられる。
上記の樹脂成分として、光重合反応または熱重合反応する樹脂を使用する場合、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマーあるいはオリゴマーを用いることができ、アクリル基あるいはメタクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが好適である。中でも架橋させて耐擦傷性、硬度を上げるには多官能性バインダー成分であることが好ましい。
そして一分子中に一個の官能基をもつものとして、具体的には例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また二個以上の官能基を持つものとして、具体的には例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、更にベンゼン環を有する化合物としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレートエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジアクリレート、ポリエステルアクリレート等の多官能アクリレート類あるいはメタクリレート類が挙げられる。
また、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼンなどの硫黄含有(メタ)アクリレート類を用いることも高屈折率化に有効である。
さらに、紫外線や熱による硬化を促進させるため、光または熱重合開始剤を配合してもよい。
光重合開始剤としては、一般に市販されているもので構わないが、特に例示すると、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー651」)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアー1173」、ランベルティー社製「エサキュアーKL200」)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(ランベルティー社製「エサキュアーKIP150」)、2−ヒドロキシエチル−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー2959」)、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー369」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「CGI403」)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(=TMDPO)(BASF社製「ルシリンTPO」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアーTPO」)、チオキサントンまたはその誘導体などが挙げられ、これらのうち1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、光増感作用の目的により第三アミン、例えばトリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、イソペンチルメチルアミノベンゾエートなどを添加しても良い。
熱による重合開始剤としては、主として過酸化ベンゾイル(=BPO)などの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル(=AIBN)などのアゾ化合物が用いられる。
上記の光重合開始剤や熱重合開始剤の配合量は、通常、組成物(樹脂成分+金属ナノワイヤ)100質量部に対し、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性官能基を有するモノマーあるいはオリゴマーを用いてもよい。さらに必要に応じて光カチオン開始剤等を組み合わせて用いることもできる。これらは同様に多官能であることが好ましい。
また、熱重合する樹脂については一般的にゾル−ゲル系材料が挙げられ、アルコキシシシラン、アルコキシチタン等のゾル−ゲル系材料が好ましい。これらのなかでもアルコキシシランが好ましい。ゾル−ゲル系材料は、ポリシロキサン構造を形成する。アルコキシシランの具体的は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等があげられる。これらアルコキシシランはその部分縮合物等として用いることができる。これらのなかでもテトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物等が好ましい。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物が好ましい。
さらに、樹脂溶液のマトリクスを形成する樹脂成分として導電性高分子を用いることもできる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリトリフェニルアミン等を例示することができる。
また樹脂溶液のマトリクスを形成する樹脂成分としては、上記した光重合性の樹脂、熱重合性の樹脂、導電性高分子から選ばれる2種類以上のものを併用してもよい。
樹脂溶液への金属ナノワイヤの配合量は、後述のように透明導電膜を形成した際に、透明導電膜中に金属ナノワイヤが0.01〜90質量%含有されるように、マトリクス形成用樹脂成分に対する配合量を調整して設定するのが好ましい。金属ナノワイヤの含有量は0.1〜30質量部がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
ここで、樹脂溶液には、樹脂固形分、金属ナノワイヤなど固形成分を溶解乃至分散するための溶剤が含有されることが必須であるが、溶剤の種類は特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましく、ケトン系溶剤を用いて樹脂溶液を調製すると、透明基材の表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積の透明導電膜を容易に得ることができるものある。また、溶剤としては上記の有機溶剤の他に、水を用いる場合もあり、有機溶剤と水を組み合わせて用いる場合もある。溶剤の量は、上記の各固形成分を均一に溶解、分散することができ、樹脂溶液を調製した後の保存時に凝集を来たさず、かつ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適宜調節するものである。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用量を少なくして高濃度の樹脂溶液を調製し、容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出して塗工作業に適した濃度に溶剤で希釈するのが好ましい。固形分と溶剤の合計量を100質量部とした時に、全固形分0.1〜50質量部に対して、溶剤の量を50〜99.9質量部に設定するのが好ましく、さらに好ましくは、全固形分0.5〜30重量部に対して、溶剤を70〜99.5質量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適した樹脂溶液を得ることができる。用いる樹脂と溶剤の組み合わせについては、特に規定されるものではないが、配合する樹脂が溶解しやすい溶剤を用いるほうが好ましい。また塗工する透明基材によっては、用いる溶剤によって溶解が発生する場合もあるので、予め透明基材への溶解性を確認したうえで適切な溶剤組成を設計することが望ましい。
一方、本発明で用いる透明基材において、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透明基材の形状としては、例えば平板状、シート状、フィルム状などが挙げられ、また構造としては、例えば単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、適宜選択することができる。透明基材の材料についても特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれであっても好適に用いることができる。透明基材を形成する無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。また有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また本発明において透明基材としては、上記のような基材単体のものであってもよいが、基材の表面に一層ないし複数層のハードコート層が形成されたものであってもよい。このように透明基材がハードコート層を備える場合、透明導電膜はハードコート層の上に形成されるものである。
このハードコート層はモノマーを重合した樹脂で形成されていてもよく、この樹脂中に粒子等を含んでいてもよい。樹脂としては、特に限定されるものではないが、上記の透明導電膜を形成するマトリクス形成樹脂と同じものを用いることが可能であり、また粒子としては樹脂より低い屈折率あるいは高い屈折率を有するもの、樹脂より高い硬度を有するもの、耐熱性が高いものなど、種々の機能を有するものを用いることができる。
そしてこの透明基材1の表面に、上記の金属ナノワイヤを配合した樹脂溶液を塗布して乾燥・硬化させることによって、図1のような透明導電膜2を形成することができるものである。このように形成される透明導電膜2中には金属ナノワイヤ3が均一に分散した状態で含有されている。樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。また透明導電膜2の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜100μm程度の範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
このように透明基材1の表面に透明導電膜2を形成した後、この透明導電膜2の表面に光吸収層4を積層して形成する。
光吸収層4は、樹脂溶液に光吸収剤を溶解乃至分散させ、この光吸収剤を含有する樹脂溶液を透明導電膜2の表面に塗布して乾燥・硬化させることによって形成することができる。
樹脂溶液を構成するマトリクス樹脂や溶剤としては、透明導電膜2を形成する既述の樹脂溶液と同様なものを用いることができる。
また光吸収剤としては、カーボン、色素、導電性高分子などを用いることができる。これらの光吸収剤は光吸収効率が高いので、少ない使用量で光吸収層4を薄く形成することができるものである。従って、光吸収層4で透明導電膜の表面抵抗や光透過率が低下することを抑制することができるものである。
色素としては、例えば、モノアゾピグメント、キナクリドン、アイアン・オキサイド・イエロー、ジスアゾピグメント、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、シアニンブルー、フラバンスロンエロー、ジアンスラキノリルレッド、インダンスロンブルー、チオインジゴボルドー、ペリノンオレンジ、ペリレンスカーレット、ペリレンレッド178、ペリレンマルーン、ジオキサジンバイオレット、イソインドリノンエロー、キノフタロンエロー、イソインドリンエロー、ニッケルニトロソエロー、マダーレーキ、銅アゾメチンエロー、アニリンブラック、アルカリブルー、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンエロー、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトグリーン、ビリジアン、カドミウムエロー、カドミウムレッド、朱、黄鉛、モリブデートオレンジ、クロム酸亜鉛、群青、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、エメラルドグリーン、カーボンブラック、などの有機および無機顔料や、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などの染料を挙げることができる。
また導電性高分子としては、有機の着色樹脂系として、ベンゼン環や五員環などに由来するπ電子が共役したポリマー鎖、具体的にはポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系などがあるが、これらπ電子共役系はここに挙げたものに限られない。
これらに例示した光吸収剤は単独で用いる他、二つ以上を組合せて用いることができるものである。
光吸収剤の樹脂溶液に対する配合量は、樹脂成分に対して0.01〜20質量%の範囲に設定するのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
光吸収剤を配合した樹脂溶液を透明導電膜2の表面に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。また光吸収層4の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μm程度の範囲が好ましく、0.1〜1μmの範囲がより好ましい。
このようにして図1のように形成される透明導電膜2は、透明導電膜2中に含有される金属ナノワイヤ3によって高い導電性を発現するものである。また透明導電膜2の表面に光吸収層4が形成されているので、透明導電膜2に入射される光の多くを光吸収層4で吸収することができ、透明導電膜2中の金属ナノワイヤ3に到達する光を少なくすることができるものであり、金属ナノワイヤ3で光が分散されることによるヘイズを低減することができるものである。
また金属ナノワイヤ3の一部が透明導電膜2の表面に露出したりすると、透明導電膜2の表面平滑性が金属ナノワイヤ3で阻害されるおそれがある。例えば、タッチパネルなどのデバイスでは表面に接触機能が必要とされ、また有機EL等の透明電極では表面での電荷を授受ける面接合機能が必要とされるように、透明導電膜2においてはその表面平滑性が重要であることが多い。しかるに本発明において、透明導電膜2の表面は光吸収層4で被覆されているので、表面を光吸収層4でならして高い表面平滑性を得ることができるものであり、接触機能や面接合機能を向上することができるものである。
上記のようにして得られる本発明に係る透明導電膜付き基板の用途は、特に制限されるものではないが、有機EL素子、透明配線、光電変換素子、電磁波シールド、タッチパネル、電子ペーパー等に適用することができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」)18.1質量部と、メチルエチルケトン8.1質量部およびメチルイソブチルケトン21.8質量部を混合し、アクリル樹脂を溶解させた混合物Aを調製した。また金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いた。この銀ナノワイヤは、公知論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333-338 “Preparation ofAg nanorods with high yield by polyol process”」に準じて作製したものであり、平均直径150nm、平均長さ5μmである。この金属ナノワイヤ12.0質量部をメチルエチルケトン40.0質量部に分散させた混合物Bを調製した。そして混合物Aと混合物Bをよく混合した後、これに光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.1質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、金属ナノワイヤを含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材1としてPETフィルムを用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#10で透明基材1の表面に塗布し、120℃で2分間乾燥した後、UV積算量400mJ/cmでUVを照射することによって、膜厚0.2μmの透明導電膜2を形成した。
一方、硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」)20.0質量部と、メチルエチルケトン19.9質量部およびメチルイソブチルケトン39.5重量部を混合し、アクリル樹脂を溶解させた混合物Aを調製した。また光吸収剤として黒色カーボンナノ粒子(三菱化学社製「カーボンブラック#2650」:平均粒径13nm)を用い、この光吸収剤1.0質量部をメチルエチルケトン20.0質量部に分散させた混合物Bを調製した。そして混合物Aと混合物Bをよく混合した後、これに光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.1質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、光吸収剤を含む樹脂溶液からなる光吸収層コーティング材組成物を得た。
そして上記のように形成した透明導電膜2の表面に、光吸収層コーティング材組成物をワイヤーバーコータ#6で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、UV積算量400mJ/cmでUVを照射することによって、膜厚0.1μmの光吸収層4を形成し、図1のような透明導電膜付き基材を得た。
(比較例1)
実施例1において、透明導電膜2を形成し、光吸収層4を形成しないようにした他は実施例1と同様にして、透明導電膜付き基材を得た。
上記の実施例1及び比較例1で得た透明導電膜付き基材について、ヘイズ測定、全光線透過率測定、表面抵抗値測定、表面平滑性測定を行なった。ヘイズおよび全光線透過率の測定は、ヘイズメータ(日本電色工業社製「NDH2000」)を使用して行ない、表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(三菱化学社製「HirestaIP (MCP−HT260)」)を使用して行なった。また表面平滑性の測定は、針式表面粗さ計(東京精密株式会社製「SURFCOM 130 A」)を使用して行なった。結果を表1に示す。
Figure 0005308264
表1にみられるように、実施例1のものは透明導電膜の表面に光吸収層を形成したことにより、約0.6%の全光線透過率の低下がみられるが、ヘイズは約0.6低下しており、また表面平滑性が向上しており、本発明の効果を確認することができた。また、光吸収層を形成することによる表面抵抗値の変化は見られなかった。さらに実施例1のものは表面平滑性も向上した。
1 透明基材
2 透明導電膜
3 金属ナノワイヤ
4 光吸収層

Claims (2)

  1. 透明基材の表面に金属ナノワイヤを含有する透明導電膜を備えると共に、透明導電膜の透明基材と反対側の表面に光吸収層を備え、前記光吸収層は、マトリクス樹脂と光吸収剤としての色素とからなることを特徴とする透明導電膜付き基材。
  2. 前記色素は、有機顔料、無機顔料、染料からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基材。
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