JP2015133272A - 透明導電膜付き基材と、このパターニング方法及び、これを用いた透明タッチパネル - Google Patents

透明導電膜付き基材と、このパターニング方法及び、これを用いた透明タッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】従来の透明導電膜付き基材として、金属ナノワイヤによる散乱光を減らすために、透明導電膜の上に透明樹脂を含む光吸収層を設けた場合、光吸収層が阻害要因となって、金属ナノワイヤの光吸収層を介してのパターニング性に影響を与える場合があった。
【解決手段】易接着層130付の透明基材140と、易接着層130上に形成された、金属ナノワイヤ160をバインダー部150に含有してなる透明電極層120と、この透明電極層120の上に形成された、透明着色層170とを有する透明導電膜付き基材110であって、透明着色層170は少なくとも外部から金属ナノワイヤ160に繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体が通過可能な孔質構造を有する透明導電膜付き基材とすることで、透明着色層170を介して、金属ナノワイヤ160をパターニングする。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯端末等に使われる、透明導電膜付き基材と、このパターニング方法及び、これを用いた透明タッチパネルに関するものである。詳しくは、金属ナノワイヤを用いた透明電極や、この透明電極膜付き基材と、これを用いた透明タッチパネルにおいて、金属ナノワイヤに起因する散乱光の影響を低減することでその表示品質を、金属ナノワイヤのパターニング精度を高めることでその分解能を、共に高めようとするものである。
透明導電膜付き基材と、このパターニング方法及び、これを用いた透明タッチパネル等には、更なる高特性が求められている。例えば、透明導電膜には、マルチタッチや表示画質の高品位化のための低抵抗化と共に、低ヘイズ化が求められており、こうした用途には、従来から知られるITO(Indium Tin Oxideを用いた透明電極)の代わりに、カーボンナノファイバーが、カーボンナノチューブを使うことが提案されているが、こうしたカーボン系の材料は、シート抵抗を低くすることに限界があった。
こうしたニーズに対して、金属ナノワイヤを用いて透明電極を形成することが提案されている。そして、金属ナノワイヤを用いて透明導電膜付き基材を形成した場合、そのシート抵抗を低くするためには、金属ナノワイヤの添加量(具体的には、単位面積当たりの添加量)を増加させる必要がある。しかしながら、金属ナノワイヤの添加量を増加させるほど、金属ナノワイヤで光が散乱され、ヘイズが増加してしまうという課題があった。
こうした金属ナノワイヤの課題に対して、従来、色々な提案がなされていた。
例えば、特許文献1では、金属材料を無駄なく用いてコストの上昇を抑えつつも、金属ナノワイヤ表面での光の乱反射を防止するため、ナノワイヤに吸着された有色化合物を吸着させることが提案されている。しかしながら、このように金属ナノワイヤの表面に有色化合物を吸着させた場合、有色化合物が吸着した部分では光の乱反射を防止できるが、有色化合汚物が吸着していない部分では光の乱反射が防止できずないという課題を有している。
また特許文献2では、金属ナノワイヤを含む導電膜の上に、マトリクス樹脂と色材を含む光吸収層を設けることが提案されている。しかしながら金属ナノワイヤを含む導電膜の上に、樹脂層を形成した場合、この樹脂層が金属ナノワイヤのパターニング時に、エッチング液等の金属ナノワイヤへの浸透に対する阻害要因となってしまい、金属ナノワイヤのパターニング性に影響を与える可能性が考えられる。
特開2012−190777号公報 特開2011−29036号公報
本発明は上記の鑑みてなされたものであり、金属ナノワイヤを含む導電膜の上に形成する光吸収層を設けた場合であっても、この金属ナノワイヤを含む導電膜のパターニング性を高めことを目的とする。
本発明の透明導電膜付き基材の一つの形態は、易接着層付の透明基材と、前記易接着層上に形成された、金属ナノワイヤを透明バインダー部に含有してなる透明電極層と、この透明電極層の上に形成された、透明着色層とを有する透明電極付基材であって、前記透明着色層は少なくとも外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体が通過可能な孔質構造である透明導電膜付き基材であり、透明着色層を孔質構造とすることで、透明着色層を介して、金属ナノワイヤをエッチングするためのイオン液体もしくはイオンもしくは反応性気体を安定して金属ナノワイヤに供給できるため、金属ナノワイヤのパターニング性を高める。
本発明の透明導電膜付き基材の他の形態の一つは、透明電極付き基材のシート抵抗は、1Ω/□以上、100Ω/□以下であって、孔質を構成する孔の直径の最頻値は、10μm以下である透明導電膜付き基材とすることで、単位面積当たりの金属ナノワイヤの密度を高めた場合であっても、金属ナノワイヤを湿式でエッチングするためのイオン液体もしくはイオンもしくは反応性気体を金属ナノワイヤに安定して、物理的に供給できるため、金属ナノワイヤのパターニング性を高める。また乾式でエッチングするための反応性気体を金属ナノワイヤに安定して供給し、レーザー照射時に発生したガスの外部放出を容易にできる。
本発明の透明導電膜付き基材の他の形態の一つは、易接着層付の透明基材と、前記易接着層上に形成された、金属ナノワイヤを透明バインダー部に含有してなる透明電極層と、この透明電極層の上に形成された、透明着色層とを有する透明電極付基材であって、前記透明着色層は少なくとも外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体を通過させる孔質構造部を有し、前記着色層に含まれる1種類以上の色材の一つ以上は、560nm以上600nm以下に、吸収光のピークを有していることを特徴とする透明導電膜付き基材である。
本発明の透明導電膜付き基材の他の形態の一つにおいて、着色層に含まれる色材は、[化1]で示される色材である。
Figure 2015133272
本発明によれば、上記のように透明導電膜の表面に光吸収層を形成することによって、透明導電膜に入射される光を光吸収層で吸収して、透明導電膜中の金属ナノワイヤに到達する光を少なくすることができ、更に光吸収層を介して金属ナノワイヤを、湿式あるいは乾式で容易にパターニングすることができ、透明タッチパネル等の高分解能化、高性能化に対応する。
図1(A)(B)は、共に、本願発明の透明導電膜付き基材の断面を示す模式図 図2(A)〜(C)は、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材の製造方法の一例について断面で説明する模式図 図3(A)(B)は、透明導電膜付き基材のパターニング前後の状態を示す斜視図 色材の吸収特性を示す図 図5(A)〜(C)は、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材の製造方法の一例について断面で説明する模式図 図6(A)は、従来品からなる透明導電膜付き基材のレーザーパターニングについて説明する断面図、図6(B)は、本願発明の透明導電膜付き基材のレーザーパターニングについて説明する断面図 図7(A)〜(C)は、共に透明導電膜付き基材の導電性評価について、発明者らが行った実験の一例を示す模式図
以下、本発明の実施の形態の一例について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1を用いて、本願発明の透明導電膜付き基材について説明する。
図1(A)(B)は、共に、本願発明の透明導電膜付き基材の断面を示す模式図である。図1(A)(B)において、110、110A、110Bは共に透明導電膜付き基材、120は透明導電膜、130は易接着層、140は透明基材、150はバインダー部、160は金属ナノワイヤ、170は透明着色層、180は導通パターン部、190は絶縁パターン部である。なお透明導電膜付き基材110Aはパターニングされる前の状態、透明導電膜付き基材110Bはパターニングされた後の状態としても良いが、これに限定する必要はない。
また透明着色層170は、少なくとも、透明導電膜付き基材110、110A、110Bの外部から、金属ナノワイヤ160に、孔が繋がる孔質構造を有するものとすることは有用である。透明着色層170を、孔質構造とすることで、この孔質構造部を介し得して、金属ナノワイヤ160へ、エッチング液等の供給や、レーザー等を用いて乾式でパターニングする際に発生する発生ガス等の、透明導電膜付き基材110Aからの外部放出を助ける(詳細は、後述する図6〜図7等で説明する)。
図1(A)は、本願発明の透明導電膜付き基材のパターニング前の状態、図1(B)はパターニング後の状態を示す。
図1(A)(B)に示すように、透明基材140の上には、易接着層130を介して、透明電極層120が形成されている。透明電極層120は、複数の互いに一部が接触してなる金属ナノワイヤ160と、金属ナノワイヤ160を分散、保持している透明樹脂を主体とするバインダー部150とからなる。そして透明電極層120の上側(すなわち、透明基材140とは異なる面側)に、透明着色層170が形成されている。透明着色層170は透明樹脂(透明樹脂に番号は不要していない)と、色材(色材は図示していない)とを含む。色材は、染料あるいは顔料等である。なお透明着色層170に構成する樹脂自体に色付き(即ち、青色や黄色等)のものを用いても良いが、この場合は、透明着色層の色味の自由度が影響を受ける場合がある。
図1(A)における導通パターン部180は、透明導電膜付き基材110に形成された透明電極膜の略全面を示すが、これは図1(A)が、パターニングする前の状態(いわゆる、ベタパターン状態)のためである。
図1(B)に示す透明導電膜付き基材110、110Bは、導電性を有する導通パターン部180と、複数の導通パターン部180間を絶縁する、絶縁パターン部190とを有する。図1(B)における絶縁パターン部190とは、金属ナノワイヤ160による導通が得られない部分である。
実施の形態1に示すように、本願発明の透明導電膜付き基材110、110A、110Bは、透明着色層170に、外部から金属ナノワイヤ160に繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体が通過可能な孔質構造を設けているため、透明着色層170を形成した状態で、図1(B)に示すように、任意の部分も絶縁パターン部190を後付で形成できる。このため絶縁パターン部190や、導通パターン部180の形成の自由度を高められる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材の製造方法の一例について説明する。
図2(A)〜(C)は、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材の製造方法の一例について断面で説明する模式図である。図2(A)〜(C)において、200は矢印、210は点線である。矢印200は、外部から届いた光が、金属ナノワイヤ160の表面で乱反射する様子を示す。点線210は、金属ナノワイヤ160に、レーザー光線等が照射され、消失した部分に相当する。220はレンズ、230はレーザーである。
図2(A)は、透明着色層170を形成する前の状態を示す断面図である。図2(A)の状態は、透明基材140の上に、易接着層130(図示していない)を介して塗布形成した透明電極層120の様子を示す断面図である。図2(A)に示すように、矢印200で示す外部光は、金属ナノワイヤ160の表面で、矢印200に示すように乱反射し、透明導電膜付き基材110の光学的特性に影響を与える。
図2(B)は、図2(A)のサンプルの上に透明着色層170を形成した後の状態を示す断面図であり、前述の図1(A)の状態に相当する。図2(B)に示すように、透明電極層120の表面に、透明着色層170を形成することで、矢印200で示す外部光が、金属ナノワイヤ160の表面で乱反射されても、透明導電膜付き基材110の光学特性に影響を与えにくい。これは矢印200で示す外部光や散乱光が、透明電極層120に入射するや放射される際に、透明着色層170によってその一部が吸収されるためである。
特に外部から透明導電膜付き基材110Aに入射する光は、透明着色層170を介して透明電極層120に入射する際に、その光の波長の一部が選択的に吸収される。その後、外部から入射した光は、金属ナノワイヤ160の表面で乱反射し、外部に散乱するように出射する。この外部への乱反射の際に、透明着色層170を通過し、再度、同一波長の光が吸収される。このように本願発明においては、散乱光における特定の波長域の光を、入射時と出射時の両方において低減、除去でき、散乱光の色味を所定の値に調整する。
なお外部からの散乱光が、透明電極層120に入射する際の、入射角度が大きければ大きいほど、外部光を通過する(あるいは外部光を吸収する)透明着色層170の厚みが相対的に大きくなる。そして透明着色層170は、透明導電膜付き基材110に対して斜めから差し込む外部光に対する、特定の波長域の光を選択的に吸収しやすくなる。
図2(C)は、透明着色層170を介して、透明導電膜付き基材をパターニングする様子を示す断面図である。図2(C)に示すように、レーザー装置(図示していない)から照射されたレーザー230は、レンズ220を介して、透明導電膜付き基材110A中の金属ナノワイヤ160照射され、金属ナノワイヤ160の一部を点線210で示すように切断し、電気的導通を遮断する。この際、レーザー230の収束点を、透明着色層170ではなくて、金属ナノワイヤ160とするとで、金属ナノワイヤ160の切断効率を高められる。また透明着色層170の色味や、透明着色層170に添加する色材の光吸収率性を小さくすることで、透明着色層170に対するレーザー230照射の影響を抑えられる。
図3(A)(B)は、透明導電膜付き基材のパターニング前後の状態を示す斜視図である。図3(A)は、パターニング前の透明導電膜付き基材の斜視図であり、例えば前述の、図1(A)の斜視図に相当する。図3に示すように、透明基材140の上には、易接着層130(図示していない)を介して、透明電極層120や、透明着色層170が形成されている。そして、図1(A)に示す透明導電膜付き導電基材をレーザー装置(図示していない)によって、パターニングすることで、図3(B)に示す透明導電膜付き基材110Bが得られる。
図3(B)に示すように、導通パターン部180の一部にレーザー(図示していない)を照射することで、絶縁パターン部190を形成する。
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態1、2で説明した各種部材について、更に詳しく説明する。まず、透明基材140について説明する。
(透明基材140についての説明)
透明基材140は、ポリエステルフィルム(例えば、PETフィルム)のように透明で柔軟性を有するフィルム基材である。透明基材の厚みは10μm以上200μm以下が望ましい。透明基材140の厚みが10μm未満の場合、取り扱い性や、フィルム強度が低下する場合がある。透明基材140の厚みが200μmを超えると、透明基材140の透明性(光通過性他)が低下する場合がある。
なお透明基材140の一面以上に、易接着層130を設けることは有用である。易接着層130を、透明基材140の表面に形成しておくことで、透明電極層120の塗布形成が容易になる。また易接着層130が予め形成された透明基材140が、市販されている場合があり、こうした易接着層130付きの透明基材140を用いることも有用である
次に金属ナノワイヤ160について説明する。
(金属ナノワイヤ160についての説明)
本発明において金属ナノワイヤ160としては任意のものを用いることができる。また金属ナノワイヤ160の製造手段には特に制限は無く、例えば、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。具体的な製造方法にも特に制限は無く、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法として、Adv.Mater.2002,14,P833〜837や、Chem.Mater.2002,14,P4736〜4745、前述の引用文献2等を、Auナノワイヤの製造方法として、特開2006−233252号公報等を、Cuナノワイヤの製造方法として、特開2002−266007号公報等を、Coナノワイヤの製造方法として、特開2004−149871号公報等を挙げることができる。特に、上記のAdv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明で用いる金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明において金属ナノワイヤ160の平均直径は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。平均直径が200nm以下であれば光透過率の低下を抑えることができるため好ましい。一方で、平均直径が10nm以上であれば導電体としての機能を有意に発現でき、平均直径がより大きい方が導電性が向上するため好ましい。従って平均直径は、より好ましくは20〜150nmであり、40〜150nmであることが更に好ましい。また金属ナノワイヤ160の平均長さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましく、凝集による透明性への影響から100μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜50μmであり、3〜50μmであることが更に好ましい。金属ナノワイヤ160の平均直径及び平均長さは、SEMやTEMを用いて十分な数のナノワイヤについて電子顕微鏡写真を撮影し、個々の金属ナノワイヤ像の計測値の算術平均から求めることができる。金属ナノワイヤ160の長さは、本来直線状に伸ばした状態で求めるべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて金属ナノワイヤ160の投影径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)ものとする。計測対象の金属ナノワイヤ数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の金属ナノワイヤを計測するのが更に好ましい。
上記の金属ナノワイヤ160は樹脂溶液に分散させて使用されるものであり、樹脂溶液の膜形成のための樹脂成分としては、モノマーやオリゴマーの重合反応によりポリマー化してマトリクスを形成し、バインダー部150を形成するものを用いる。
次に、金属ナノワイヤ160を分散、保持するためのバインダー部150について説明する。
(バインダー部150についての説明)
バインダー部150を構成する透明樹脂成分として、光重合反応または熱重合反応する樹脂を使用する場合、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマーあるいはオリゴマーを用いることができ、アクリル基あるいはメタクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが好適である。中でも架橋させて耐擦傷性、硬度を上げるには多官能性バインダー成分であることが好ましい。
そして一分子中に一個の官能基をもつものとして、具体的には例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また二個以上の官能基を持つものとして、具体的には例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、更にベンゼン環を有する化合物としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレートエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジアクリレート、ポリエステルアクリレート等の多官能アクリレート類あるいはメタクリレート類が挙げられる。
また、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルメチルチオベンゼンなどの硫黄含有(メタ)アクリレート類を用いることも高屈折率化に有効である。
さらに、紫外線や熱による硬化を促進させるため、光または熱重合開始剤を配合してもよい。
光重合開始剤としては、一般に市販されているもので構わないが、特に例示すると、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー651」)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアー1173」、ランベルティー社製「エサキュアーKL200」)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(ランベルティー社製「エサキュアーKIP150」)、2−ヒドロキシエチル−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー2959」)、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー369」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュアー819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「CGI403」)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(=TMDPO)(BASF社製「ルシリンTPO」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「ダロキュアーTPO」)、チオキサントンまたはその誘導体などが挙げられ、これらのうち1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、光増感作用の目的により第三アミン、例えばトリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、イソペンチルメチルアミノベンゾエートなどを添加しても良い。
熱による重合開始剤としては、主として過酸化ベンゾイル(=BPO)などの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル(=AIBN)などのアゾ化合物が用いられる。
上記の光重合開始剤や熱重合開始剤の配合量は、通常、組成物(樹脂成分+金属ナノワイヤ)100質量部に対し、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性官能基を有するモノマーあるいはオリゴマーを用いてもよい。さらに必要に応じて光カチオン開始剤等を組み合わせて用いることもできる。これらは同様に多官能であることが好ましい。
また、熱重合する樹脂については一般的にゾル−ゲル系材料が挙げられ、アルコキシシシラン、アルコキシチタン等のゾル−ゲル系材料が好ましい。これらのなかでもアルコキシシランが好ましい。ゾル−ゲル系材料は、ポリシロキサン構造を形成する。アルコキシシランの具体的は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等があげられる。これらアルコキシシランはその部分縮合物等として用いることができる。これらのなかでもテトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物等が好ましい。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物が好ましい。
さらに、樹脂溶液のマトリクスを形成する樹脂成分として導電性高分子を用いることもできる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリトリフェニルアミン等を例示することができる。
また樹脂溶液のマトリクスを形成する樹脂成分としては、上記した光重合性の樹脂、熱重合性の樹脂、導電性高分子から選ばれる2種類以上のものを併用してもよい。
樹脂溶液への金属ナノワイヤ160の配合量は、後述のように透明導電膜を形成した際に、透明導電膜中に金属ナノワイヤ160が0.01〜90質量%含有されるように、マトリクス形成用樹脂成分に対する配合量を調整して設定するのが好ましい。金属ナノワイヤ160の含有量は0.1〜30質量部がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
ここで、樹脂溶液には、樹脂固形分、金属ナノワイヤなど固形成分を溶解乃至分散するための溶剤が含有されることが必須であるが、溶剤の種類は特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましく、ケトン系溶剤を用いて樹脂溶液を調製すると、透明基材の表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積の透明導電膜を容易に得ることができるものある。また、溶剤としては上記の有機溶剤の他に、水を用いる場合もあり、有機溶剤と水を組み合わせて用いる場合もある。溶剤の量は、上記の各固形成分を均一に溶解、分散することができ、樹脂溶液を調製した後の保存時に凝集を来たさず、かつ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適宜調節するものである。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用量を少なくして高濃度の樹脂溶液を調製し、容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出して塗工作業に適した濃度に溶剤で希釈するのが好ましい。固形分と溶剤の合計量を100質量部とした時に、全固形分0.1〜50質量部に対して、溶剤の量を50〜99.9質量部に設定するのが好ましく、さらに好ましくは、全固形分0.5〜30重量部に対して、溶剤を70〜99.5質量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適した樹脂溶液を得ることができる。用いる樹脂と溶剤の組み合わせについては、特に規定されるものではないが、配合する樹脂が溶解しやすい溶剤を用いるほうが好ましい。また塗工する透明基材によっては、用いる溶剤によって溶解が発生する場合もあるので、予め透明基材への溶解性を確認したうえで適切な溶剤組成を設計することが望ましい。
一方、本発明で用いる透明基材において、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透明基材の形状としては、例えば平板状、シート状、フィルム状などが挙げられ、また構造としては、例えば単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、適宜選択することができる。透明基材の材料についても特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれであっても好適に用いることができる。透明基材を形成する無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。また有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また本発明において透明基材としては、上記のような基材単体のものであってもよいが、基材の表面に一層ないし複数層のハードコート層が形成されたものであってもよい。このように透明基材がハードコート層を備える場合、透明導電膜はハードコート層の上に形成されるものである。
このハードコート層はモノマーを重合した樹脂で形成されていてもよく、この樹脂中に粒子等を含んでいてもよい。樹脂としては、特に限定されるものではないが、上記の透明導電膜を形成するマトリクス形成樹脂と同じものを用いることが可能であり、また粒子としては樹脂より低い屈折率あるいは高い屈折率を有するもの、樹脂より高い硬度を有するもの、耐熱性が高いものなど、種々の機能を有するものを用いることができる。
そしてこの透明基材140の表面に、上記の金属ナノワイヤ160を配合した樹脂溶液を塗布して乾燥・硬化させることによって、図2(A)のような透明電極層120を形成することができるものである。このように形成される透明電極層120中には金属ナノワイヤ160が均一に分散した状態で含有されている。樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。また透明電極層120の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜100μm程度の範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
このように透明基材140の表面に透明電極層120を形成した後、この透明電極層120の表面に透明着色層170を積層して形成する。
(透明着色層170についての説明)
透明着色層170は、樹脂溶液に光吸収剤となる色材を溶解乃至分散させ、この光吸収剤を含有する樹脂溶液を透明電極層120の表面に塗布して乾燥・硬化させることによって形成することができる。
樹脂溶液を構成するマトリクス樹脂や溶剤としては、透明電極層120を形成する既述の樹脂溶液と同様なものを用いることができる。
なお透明着色層に添加する色材には、λmaxで表される吸収ピークの一つが、560nm以上600nm以下に存在するものを用いることが望ましい。560nmより短波長、あるいは600nmより長波長にλmaxを有する色材の場合、色味の調整が難しくなる場合がある。
なお、上記色材(あるいは主色材)に加えて、副となる色材(以下、副色材とする)としてカーボン、有機染料(あるいは有機顔料)、有機染料(あるいは有機顔料)、有色の導電性高分子等を、追加することも有用である。
以上のようにして、色材を選ぶことで、透明着色層170の吸収ピーク(λmax)を調整でき、反射光、散乱光の色味を変化、調整することができる。更に透明着色層170の(あるいは透明吸収層に添加する色材の)、レーザー230の波長域(炭酸ガスレーザーは10.6μmの赤外光、YAGレーザーは1064nmの近赤外光等、YVO4は、YAGと同じ1064nmの近赤外光)におけるにおける光吸収率を小さく(10%以下、更に1%以下)とすることが望ましい。
副色材としては、例えば、モノアゾピグメント、キナクリドン、アイアン・オキサイド・イエロー、ジスアゾピグメント、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、シアニンブルー、フラバンスロンエロー、ジアンスラキノリルレッド、インダンスロンブルー、チオインジゴボルドー、ペリノンオレンジ、ペリレンスカーレット、ペリレンレッド178、ペリレンマルーン、ジオキサジンバイオレット、イソインドリノンエロー、キノフタロンエロー、イソインドリンエロー、ニッケルニトロソエロー、マダーレーキ、銅アゾメチンエロー、アニリンブラック、アルカリブルー、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンエロー、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトグリーン、ビリジアン、カドミウムエロー、カドミウムレッド、朱、黄鉛、モリブデートオレンジ、クロム酸亜鉛、群青、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、エメラルドグリーン、カーボンブラック、などの有機および無機顔料や、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などの染料を挙げることができる。
また導電性高分子としては、有機の着色樹脂系として、ベンゼン環や五員環などに由来するπ電子が共役したポリマー鎖、具体的にはポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系などがあるが、これらπ電子共役系はここに挙げたものに限られない。
これらに例示した光吸収剤となる色材は、単独で用いる他、二つ以上を組合せて用いることができるものである。
光吸収剤となる色材の樹脂溶液に対する配合量は、樹脂成分に対して0.01〜20質量%の範囲に設定するのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
光吸収剤となる色材を配合した樹脂溶液を透明電極層120の表面に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。また透明着色層170の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μm程度の範囲が好ましく、0.1〜1μmの範囲がより好ましい。
このようにして図1のように形成される透明電極層120は、透明電極層120中に含有される金属ナノワイヤ160によって高い導電性を発現するものである。また透明電極層120の表面に透明着色層170が形成されているので、透明電極層120に入射される光の多くを透明着色層170で吸収することができ、透明電極層120中の金属ナノワイヤ160に到達する光を少なくすることができるものであり、金属ナノワイヤ160で光が分散されることによるヘイズを低減することができるものである。
また金属ナノワイヤ160の一部が透明電極層120の表面に露出したりすると、透明電極層120の表面平滑性が金属ナノワイヤ160で阻害されるおそれがある。例えば、タッチパネルなどのデバイスでは表面に接触機能が必要とされ、また有機EL等の透明電極では表面での電荷を授受ける面接合機能が必要とされるように、透明電極層120においてはその表面平滑性が重要であることが多い。しかるに本発明において、透明電極層120の表面は透明着色層170で被覆されているので、表面を透明着色層170でならして高い表面平滑性を得ることができるものであり、接触機能や面接合機能を向上することができるものである。
上記のようにして得られる本発明に係る透明導電膜付き基材の用途は、特に制限されるものではないが、有機EL素子、透明配線、光電変換素子、電磁波シールド、透明タッチパネル(特に静電容量式のタッチパネル)、電子ペーパー等に適用することができるものである。
以上のように、本願発明の透明導電膜付き基材を使って、透明タッチパネルを作成し、各種電子機器(例えば、手帳サイズからA4、あるいはA3サイズのタブレット端末や、ノートパソコン等)の液晶パネル等の表示品質の向上や、タッチパネル部分のマルチタッチ化や高分解能化を実現する。
[実施の形態4]
実施の形態4を用いて、金属ナノワイヤによる色味(例えば、黄色の色味。なお色味は英語でshade、tone、 hue、color、あるいは tintと呼ばれる)を、ニュートラルな色味に補正する方法について説明する。
発明者らの実験によって透明着色層170に添加する色材としては、青色の色材が有用であることが判った。これは発明者らが作成した金属ナノワイヤ160の色目(例えば図2(A)に示す状態)が黄色い場合があったためである。このように、例えば図2(A)で示すような黄色の色目の透明電極層120の上に、図2(B)で示すように青色に着色した透明着色層170を設けることで、透明導電膜付き基材110の色目をニュートラルにできる。
発明者らの実験では、560nm以上、600nm以下にλmaxを有する色材を用いることが効果的であった。これは発明者らが作成した、前述の図2(A)に示す透明導電膜付き基材(透明着色層170が表面に形成される前の状態)の色味が、黄色(あるいは黄緑)に見える場合があり、この場合は青(あるいは青紫)の色味を有する透明着色層170を設けることで、色味をニュートラルにできた。またこれは発明者らが作成した、前述の図2(A)に示す透明導電膜付き基材(透明着色層170が表面に形成される前の状態)の他の一例では、色味が、薄黄色に見える場合があり、この場合は薄青の色味を有する透明着色層170を設けることが適当であった(すなわち図2(B)の状態とすることで、金属ナノワイヤによる色味をニュートラルにできた)。
以上のように、発明者らが各種金属ナノワイヤによる様々な色味を消すためには行った実験では、青色、特に青色の透明着色層を形成することで、効果的に金属ナノワイヤによる色味を消す(あるいはニュートラルな色味に補正する)ことができた。
次に図4を用いて、金属ナノワイヤ160による色味を消すために、透明着色層170に添加する色材の光学特性について説明する。図4は、発明者らが最適化した色材の一例の光学特性を示すものである。
図4は、色材の吸収特性(Absorbance curve)を示す図である。図4のX軸は波長(wave length、単位はnm)、Y軸は 吸収光度(Absorbance、−LogT)である。またλmaxは、最大吸収波長である。
図4に示す、サンプルAからなる色材のλmax(最大吸収波長)は、590nmである。このように、λmax(最大吸収波長)が590nmである、サンプルAを用いることで、青色の透明着色層170を形成することができ、金属ナノワイヤによる色味を消す(あるいはニュートラルな色味に補正する)ことができる。
また図4に示すサンプルBからなる色材を用いることで、青色の透明着色層170を形成しても良く、金属ナノワイヤ160による色味を消す(あるいはニュートラルな色味に補正する)ことができる。なお図4のサンプルBに示すような、複数の吸収ピークを有する色材の場合、その吸収ピークの一つをλmaxとし、この吸収ピークの一つが、560nm以上600nm以下の波長域に存在すれば、色味補正の効果が得られる。
なお使用する色材のλmaxは560nm以上、600nm以下にあれば良いが、特にλmaxが570nm以上、595nm以下にあることが有用である。更に好ましくは、λmaxが575nm以上、590nmとすることが有用である。また600nm以上、更には700nm以上における色材の光吸収率を小さく(1%以下、更には0.1%以下)しておくことで、レーザー230照射時の色材へのダメージ発生を抑えられる。
また透明着色層に用いる色材は、融点が150℃以上のものが望ましいが、融点が高いほど、乾式エッチング時(例えば、レーザーを用いたパターニング時に発生した発熱時)の影響を受けにくい。またエタノールやMET等の有機溶剤に対する溶解性が低い方が、取り扱いしやすい場合がある。有機溶剤に対する溶解性は、20℃g/100mL飽和溶液で、3以下、更には2以下とすることが有用である。また透明着色層に用いる色材の耐候抗性、耐熱性、耐ブリード性等も高いことが有用である。こうした色材として、例えば
[化1]を、用いることができる。
Figure 2015133272
こうした色材として、例えばCAS登録番号が、81−48−1である色材を用いることができる。なおCAS登録番号とは、個々の化学物質に固有の識別番号である。
こうした色材として、例えば9,10−アントラセンディオン,1−ヒドロキシ−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]あるいは、9,10−Anthracenedione,1−hydroxy−4−[(4−methylphenyl)amino]で知られる色材を用いることができる。
また9,10−Anthracenedione,1,4−bis(ethylamino) (CAS番号6994−46−3)や、1,4−ビス(ブチルアミノ)−9,10−アントラキノン(CAS番号;17354−14−2)等の青色色材を用いても良い。
また青色を示す色材としては、例えば、アントラキノン系の色材(例えば、ジクロロチラジン系、モノクロオトリアジン系、ビニルスルホン系)や、C.I.Reactive Blue1、C.I.Reactive Blue、C.I.Reactive Blue19等を用いても良い。また金属錯塩型モノアジゾ系、NH=N−CH=N−NH3で示される化合物の金属錯塩、フタロシアニン系(C.I.Reactive Blue7)、ジスアジゾ系等を用いても良い。こうした青色を示す色材は、レーザー230の波長域での光吸収度が低く、レーザー加工性を高める。
[実施の形態5]
実施の形態5では、図5を用いて、透明導電膜付き基材の湿式によるパターニングについて説明する。図5は、透明導電膜付き基材を湿式でパターニングする様子を説明する。
図5(A)〜(C)は、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材の製造方法の一例について断面で説明する模式図である。図5(A)〜(C)において、240はレジスト、250は開口部である。なお図5(A)〜(C)において、易接着層130は図示していない。
まず図5(A)に示すように、透明導電膜付き基材110の表面にフォトレジスト等を用いて一部に開口部250を設けるようにして、レジストパターン240を形成する。図5(A)において、レジストパターン240が形成されていない部分である開口部250には、透明着色層170が露出している。
図5(B)は、透明着色層170にダメージを与えることなく、開口部250から、エッチング液(図示していない)を染み込ませ、金属ナノワイヤ160の一部をエッチング除去する様子を示す断面図である。図5(B)に示すように、レジストパターン240の無い部分である、開口部250に染み込んだエッチング液によって、導通パターン部180を構成していた金属ナノワイヤ160の一部が、点線210で示すようにエッチング除去されて絶縁パターン部190を形成する。
その後、レジストパターン240を除去することで、パターニングされてなる透明導電膜付き基材110Bとなる。
なお発明の透明導電膜付き基材110においては、透明なバインダー部150と、透明着色層170とは、共に孔質(ポーラス)であることが望ましい。ここで孔質とは、後述する図6(b)で示すように、非破壊状態においても、イオン液体(あるいはイオン性液体)やNaCl、NaOH等の水溶性塩を溶解してなる水溶液等を介して、金属ナノワイヤ160と、外部とが、非破壊状態で導電性を有することを言う。なお孔質状態を構成する孔の大きさは、金属ナノワイヤの平均長さより小さいことが望ましいが、これは孔の直径が金属ナノワイヤの平均長さより大きくなった場合、場合によっては金属ナノワイヤ160の密着性に対して影響を与える場合がある。なお孔質を構成する孔の直径の最頻値は、10μm以下、更に1μm以下であれば、透明着色層170を介したエッチング液等の侵入やエッチング残渣の外部排出に有用である。
[実施の形態6]
実施の形態6では、図6を用いて透明導電膜付き基材の乾式によるパターニングについて説明する。
図6(A)は、従来品からなる透明導電膜付き基材のレーザーパターニングについて説明する断面図、図6(B)は、本願発明の透明導電膜付き基材のレーザーパターニングについて説明する断面図である。
図6(A)(B)において、260はダメージ部、300Aは比較品、310は従来のオーバーコート層である。従来のオーバーコート層310は、保護の目的のため、通気性等は有していない。
図6(A)に示すように、比較品300Aにおける従来のオーバーコート層310は、実質的に無孔質であり、外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはNaCl等の水溶性塩からなるイオンもしくは反応性気体が殆ど通過しない。そのため、図6(A)に示すように、レーザー230が照射された際に発生するガス等が、従来のオーバーコート層310を介して外部に放出されにくいため、膨れやデラミネーション、層間剥離等のようなダメージ部260が発生する場合がある。
一方、図6(B)に示すように、本願発明の透明導電膜付き基材110に対して、レーザー照射した場合、レーザー照射部分で発生したガスは、矢印200に示すように、透明着色層170を介して外部に速やかに放出されるため、レーザー照射部分に課題は発生しない。
[実施の形態7]
次に実施の形態7を用いて、発明者らが試作評価した結果について説明する。
実施の形態8として、着色層に添加する色材を最適化した場合の一例について、実施例によって具体的に説明する。
(実施例1:孔質評価用サンプルの試作)
まず、光硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」)18.1質量部と、メチルエチルケトン8.1質量部およびメチルイソブチルケトン21.8質量部を混合し、アクリル樹脂を溶解させた混合物Aを調製した。また金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いた。この銀ナノワイヤは、公知論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333−338 “Preparation ofAg nanorods with high yield by polyol process”」に準じて作製したものであり、平均直径150nm、平均長さ5μmである。この金属ナノワイヤ12.0質量部をメチルエチルケトン40.0質量部に分散させた混合物Bを調製した。そして混合物Aと混合物Bをよく混合した後、これに光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.1質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、金属ナノワイヤを含む樹脂溶液からなるコーティング材組成物を得た。
そして透明基材140としてPETフィルムを用い、上記のコーティング材組成物をワイヤーバーコーター#10で透明基材140の表面に塗布し、120℃で2分間乾燥した後、UV積算量400mJ/cm2でUVを照射することによって、膜厚0.2μmの透明電極層120を形成した。
一方、硬化性アクリル樹脂(新中村化学社製「A−DPH」)20.0質量部と、メチルエチルケトン19.9質量部およびメチルイソブチルケトン39.5重量部を混合し、アクリル樹脂を溶解させた混合物Aを調製した。
次に透明着色層170として、色材にλmaxが590nmの青色の色材(図4の示すサンプルA)を選べ、この色材1.0質量部をメチルエチルケトン20.0質量部に分散させた混合物Bを調製した。そして混合物Aと混合物Bをよく混合した後、これに光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア184」)0.1質量部を加えてよく混合し、さらに25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合することによって、光吸収剤を含む樹脂溶液からなる光吸収層コーティング材組成物を得た。
そして上記のように形成した透明電極層120の表面に、光吸収層コーティング材組成物をロールtoロールの連続コーターを使用し、ワイヤーバーコータ#6で塗布し、コーターに続く連続乾燥装置を使って乾燥した。なお連続乾燥装置の内部では、80〜120℃温風を複数段に渡って、連続的に表面に吹き付け溶剤除去した後、UV積算量600mJ/cm2でUVを照射した。こうして、膜厚0.1μmの、孔質な透明着色層170を均質に形成し、図1のような透明導電膜付き基材を得た。また材料配合に加え、連続乾燥装置内部での温風の風速や温風の当て方、更に温風の温度プロファイルを80℃〜120℃の中で複数段とし、乾燥状態等を最適化することで、透明着色層170に均質な孔質構造とした。
(実施例1:色材評価用サンプルの試作と評価)
次に、実施例1として、実施の形態1で説明した透明導電膜付き基材110の、透明着色層170に加える色材について評価した。発明品1は、実施例1で評価したサンプルであり、孔質構造の透明着色層170に加える色材のλmaxは590nmである。また比較品300Aは、孔質構造の透明着色層170に色材を加えなかった場合である。
上記の実施例1(発明品1)及び比較品300Aで得た透明導電膜付き基材について、ヘイズ測定、全光線透過率測定、表面抵抗値測定、表面平滑性測定を行なった。ヘイズおよび全光線透過率の測定は、ヘイズメータ(日本電色工業社製「NDH2000」)を使用して行ない、表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(三菱化学社製「HirestaIP(MCP−HT260)」)を使用して行なった。結果を表1に示す。
Figure 2015133272
表1に示すようにシート抵抗が、40Ω/□と、低いシート抵抗にも関わらず、発明品1は透明電極層120の表面に形成した透明着色層170に、λmax590nmの色材を添加したことで、約1.54%の全光線透過率の低下がみられるが、ヘイズは約0.4低下した。更に、発明品2は、透過色度が大幅に改善し、金属ナノワイヤに起因する色味が、大幅に低下した。
表1に示す色味は、L*a*b*表色系での測定結果の一例であり、JIS Z 8729で定義されているものである。ここでL*は照度を、a*は色相を、b*は彩度を示す。表2より、比較品300Aはa*=−0.66(僅かに緑色)、b*=1.72(かなり黄色味が強い)であった。一方、発明品2は、a*=−0.57(従来品の−0.66より、更にニュートラルに近づいた)、b*=0.87(従来品のb*=1.72より、大幅に小さくなった)と、黄色味が大幅に改善された(黄色味の色味が改善され、よりニュートラルに近づいた)ことが判る。
なお発明者らの実験では、色材のλmaxは560nm以上、600nm以下で色味改善効果が得られた。またλmaxが570nm以上、595nm以下とすることも有用である。更にλmaxが575nm以上、590nmの色材を選ぶことも有用である。なお色材のλmaxが550nmより小さい場合(より短波長側にある場合)、あるいは610nmより大きな場合(より長波長側に有る場合)は、色味の改善効果が得られにくいと考えられる。
なお透明着色層170に添加する色材の耐熱性や耐薬品性を高めることで、図1(B)や図2(C)で示した、絶縁パターン部190を有する透明導電膜付き基材110Bにおいて、絶縁パターン部190に重なる透明着色層170と、導通パターン部180に重なる透明着色層との色味が同じとすることで、絶縁パターン部190と、導通パターン部180との境界部分が、魚の骨のように見えてしまう課題(いわゆる骨見え課題)の発生を抑えられる。ここで色味を同じとすることは、絶縁パターン部190に重なる透明着色層170のλmax(open)と、導通パターン部180に重なる部分の透明着色層170のλmax(short)との波長差を100nm以下、更には50nm以下とすることで、これら部位での色味の違いを見えなくできる。
(実施例2:孔質構造の評価)
実施例2として、透明着色層170の孔質構造について説明する。透明着色層170は、少なくとも外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはNaCl、NaOH等の水溶性塩を溶解してなる水溶液、反応性気体等が通過可能な孔質構造を有している。発明者らは、透明導電膜付き基材110に設けた透明着色層170における、この孔質構造の有無について、以下のようにしてその存在を確認した。
図7(A)〜(C)共に、透明導電膜付き基材の導電性評価について、発明者らが行った実験の一例を示す模式図である。図7(A)〜(C)において、270は測定端子、280は測定機(測定機は例えばデジタルマルチメータ、通称デジボルが適当であるが、簡易的にはテスターであっても良い)。290はイオン性液体である。
図7(A)は、電流がイオンを介して流れるようにした水溶液での実験の一例を示す模式図である。図7(A)は、測定に用いたイオンによる導電性を有する液体の一例である。発明者らは、イオン性液体290の一例として食塩水(濃度25wt%)を用いた。図7(A)において、抵抗値は184KΩであった(測定端子270間の距離は約10mm、測定端子270の食塩水への浸漬量は約5mm)。測定機280に繋がる測定端子270は2本として抵抗値を測定したが、4端子法で抵抗値を測定してもよい。
図7(B)は、比較品300Bについての測定の様子を説明する模式図である。比較品300Bでは、前述の図6(A)に示すように、透明着色層170に、非接触状態(あるいは非破壊状態では)殆ど孔を有していない従来のオーバーコート層310を用いた。その結果、図7(B)の状態での抵抗値は、ほぼ無限大(100GΩ以上)であった。以上のように、従来のオーバーコート層310を用いた場合、レーザー等を用いたドライでのパターニング時には、前述の図5(A)のような、ダメージ部260が発生することが判る。
図7(C)は、実施の形態1で説明した発明品110(発明品2)についての測定の様子を示す模式図である。図7(C)に示すように、透明着色層170に通気性(あるいは孔質)を有する透明着色層170を用いた。その結果、図7(B)の状態での抵抗値は、7.3MΩ(サンプル形状によっては、0.1MΩ〜100MΩ)であった。
以上のように、本願発明に用いた透明着色層170は、非接触状態でも所定の導通が得られていることは、すなわち本願発明の透明導電膜付き基材110の表面に形成された透明着色層170は、非破壊状態において、孔質性(あるいは多孔質性)を有することが判る。このように4端子等の透明着色層を加圧破壊する可能性のある物理的抵抗測定方法に比べ、イオン電導等を用いた、非破壊状態での透明着色層170の導通性確認を行うことは有用である。なお非破壊状態で、透明着色層170の孔質を調べる場合、サンプルのイオン性液体290への浸漬面積は1cm×2.5cm、端子とサンプルとの距離を1cmとした場合、1KΩ〜100MΩの値であれば、孔質構造を有すると判断でき、透明着色層170を介した金属ナノワイヤ160の湿式あるいは乾式(レーザーも含む)パターニングが容易となる。なお発明者らの実験では、抵抗値が、より低いほど(例えば、10MΩ以下、更には5MΩ以下)、より多孔であることは言うまでもない。 なおイオン性液体290を用いて、透明着色層170の孔質構造の評価を行う場合、図7(C)等で示す状態で、100MΩ以下、更には20MΩ以下、10MΩ以下と、抵抗値は低いほうが良い。また評価に使用するイオン性液体290の体積抵抗率の低いもの(例えば、NaOH水溶液、HCl水溶液、H2SO4、あるいは各薬品メーカーから市販されている有機窒素(アンモニウム)系、有機燐(ホスホニウム)系、有機硫黄(スルホニウム)系、あるいはイミダゾリウムカチオンを用いたイオン性液体290を使って、孔質構造の有無を評価できる。こうしたイオン性液体290を用いた場合でも、100MΩ以下、更には20MΩ以下、10MΩ以下と、更には1MΩ以下と抵抗値は低いほうが良い。
表2は、上記に示した発明者らの実験の一例である。
Figure 2015133272
(サンプル外形は2cm×5cm、その内の約2.5cmを塩水に付けて抵抗率を測定した)
表2に示すように、比較品300Bの抵抗値は1GΩ以上と高抵抗を示した。そしてこの高抵抗を示した試作品300Bを使って、ウエットパターニング性(ウエットエッチング性)を評価したところ、エッチング残りが発生したため、ウエットエッチング性をNGとした。また高抵抗を示した比較品300Aについて、レーザーを用いて透明着色層170を介してパターニング性を評価したが、透明着色層170の一部に、ダメージ部260が発生したため、レーザーパターニング性をNG(Poor)とした。
一方、7.3MΩ、さらにはこれの抵抗値の前後を示した発明品2について、ウエットパターニング性を評価したところ、課題となるエッチング残りは発生しなかったので、ウエットパターニング性をOKとした。またレーザーを用いて透明着色層170を介してパターニング性を評価したが、ダメージ部260も発生しなかったので、レーザーパターニング性をOK(Good)とした。
なお金属ナノワイヤ160に繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体が通過可能な孔質構造の有無の判断は難しい。これは一般的な4端子法等を用いて電気抵抗を測定しようとした場合、4端子の測定部分(測定ヘッド)が被測定対象ものに接する際、その接続荷重によって被測定物の微細構造が破壊されてしまうためである。そのため、発明者らは、通気性の実測の代わりに、イオン性液体(あるいは電流がイオンを介して流れるようにした水溶液)を用いて、評価した。
なお発明者らは、非接触での孔質測定のために用いたイオン性液体290としては、純水に導電性をあげるための電解質(あるいは支持電解)を使った。発明者らは、NaCl(食塩)を25wt%添加したが、NaClに限定する必要は無い。NaClの代わりに、水酸化ナトリウム等を支持塩として添加する方が、塩素イオンの影響を低減できるので、非接触での孔質測定のために用いるイオン性液体290として効果的な場合がある。
なおこの場合、表2で示した抵抗値は変化する場合がある。電解質濃度にも依存するが、100MΩ以下、更には10MΩ以下、100KΩ以下の抵抗値を示すものが望ましい。なお飽和食塩水を用いた場合では抵抗評価に限度がある場合がある。これは1リットルの水には約358.5gしかNaClが溶解しないためである(飽和溶液となるためである)。こうした場合、2イミダゾリウム系イオン液体及びピリジニウム系イオン液体や、非対称な4級アンモニウムイオンに代表される脂肪族系イオン液体、ホスホネート系イオン液体 及び よう素系イオン液体等を選ぶことで、孔質構造の有無に加えて、その構造の解析が可能となると思われる。発明者らの実験では、100MΩより高い抵抗値を示すサンプルの場合、透明着色層における孔質性が低下し、湿式でのエッチング液の液循環性や、エッチング時間が影響を受ける場合があった。また100MΩより高い抵抗値を示すサンプルの場合、レーザー等を用いたドライ状態でのエッチング時に、レーザー等が照射された際に派生する分解ガスが、透明着色層を介して外部に抜けにくくなり、膨れ(デラミネーション)等のダメージ部の発生原因になる可能性があった。
なお透明導電膜付き基材110の透明電極層120のシート抵抗は、100Ω/以下が望ましい。100Ω/□より高抵抗の場合(例えば、136Ω/□や140Ω/□の場合)、金属ナノワイヤ160の単位体積当たりの密度が低いため、孔質を有していない透明着色層を介した場合でも、透明着色層に発生したピンホールを介してエッチングできる場合がある。しかしながら、こうしたゴミや泡等で発生したピンホールはランダムであって均質ではないため、孔の大きさも10μmより大きく、大きさや発生分布がバラつきやすくエッチング等が安定しない場合がある。
そのため100Ω/□、更には60Ω/□以下、50Ω/□以下、40Ω/□以下のシート抵抗を実現する透明導電膜付き基材110において、透明着色層170を介してエッチングする場合、透明着色層170に設ける孔質構造は、均質な孔質構造が得られるように積極的にコントロールしたものが望ましい。ものとなる。孔質を構成する孔の最頻値は、φ10μm以下、更にはφ5μm以下、φ1μm以下、φ0.5μm以下、φ0.1μm以下と、小さいほうが望ましい。孔の大きさが小さいほど、透明着色層170の表面が滑らかになり、光学的なムラの発生を抑えられる。
[実施の形態8]
実施の形態8では、実施の形態1等で説明した透明導電膜付き基材110を用いた、透明タッチパネルについて説明する。
まず図1(A)(B)や図2(A)〜(C)に示すようにして、透明導電膜付き基材110Aの透明着色層170を介してレーザー230を照射し、あるいは透明着色層170を介して、エッチング液を供給し、金属ナノワイヤ160の一部を絶縁化し、絶縁パターン部190を形成する。そして図3(B)に示すような、透明導電膜付き基材110Bを形成する。その後、この透明導電膜付き基材110Bに、静電容量式の位置検出機能を有する半導体素子(市販品)を実装することで、静電容量式の透明タッチパネル(図示していない)を製造することができる。またこの透明タッチパネルを液晶表示装置やEL表示装置に重ねることで、タブレット型のパソコンあるいは電子機器を製造することができた。
なお図1等において、透明電極層120は、透明基材140の片面にしか形成していないが、透明基材140の両面に、それぞれ透明電極層120や透明着色層170を積層しても良い。このように、両面に透明電極層120を有する、導電膜付き基材においても、前述の図2(C)や図5(A)〜(C)、図6(B)に示すように、透明着色層170を介して透明電極層120をパターニングすることができることは言うまでもない。
このように、本願発明の透明導電膜付き基材110を用いることで、透明着色層170を設けた状態で、この透明着色層170にダメージを与えることなく、絶縁パターン部190を形成することができ、透明タッチネルや、この透明タッチパネルを用いた各種電子機器の性能を高められる。
本発明によれば、上記のように透明導電膜の表面に光吸収層を形成することによって、透明導電膜に入射される光を光吸収層で吸収して、透明導電膜中の金属ナノワイヤに到達する光を少なくすることができ、更に光吸収層を介して金属ナノワイヤを、湿式あるいは乾式で容易にパターニングすることができ、透明タッチパネル等の高分解能化、高性能化に貢献する。
110、110A、110B 導電膜付き基材
120 透明電極層
130 易接着層
140 透明基材
150 バインダー部
160 金属ナノワイヤ
170 透明着色層
180 導通パターン部
190 絶縁パターン部
200 矢印
210 点線(消失部)
220 レンズ
230 レーザー
240 レジストパターン
250 開口部
260 ダメージ部
270 測定端子
280 測定機
290 イオン性液体
300A、300B 比較品
310 従来のオーバーコート層

Claims (7)

  1. 易接着層付の透明基材と、前記易接着層上に形成された、金属ナノワイヤを透明バインダー部に含有してなる透明電極層と、この透明電極層の上に形成された、透明着色層とを有する透明電極付き基材であって、
    前記透明着色層は少なくとも外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体が通過可能な孔質構造を有する透明導電膜付き基材。
  2. 易接着層付の透明基材と、前記易接着層上に形成された、金属ナノワイヤを透明バインダー部に含有してなる透明電極層と、この透明電極層の上に形成された、透明着色層とを有する透明電極付基材であって、
    前記透明着色層は少なくとも外部から前記金属ナノワイヤに繋がるイオン性液体もしくはイオンもしくは反応性気体を通過させる孔質構造を有し、
    前記透明着色層に含まれる1種類以上の色材の一つ以上は、560nm以上600nm以下に、吸収光のピーク(λmax)を有していることを特徴とする透明導電膜付き基材。
  3. 透明電極付き基材のシート抵抗は、100Ω/□以下であって、前記孔質を構成する孔の直径の最頻値は、10μm以下である透明導電膜付き基材。
  4. 前記金属ナノワイヤの一部が、前期透明着色層を有した状態で絶縁化されてなる絶縁パターン部を有し、この絶縁パターン部に重なる前記透明着色層は、前記金属ナノワイヤが導通してなる導通パターン部に重なる前記透明着色層とのλmaxの差は100nm以下である請求項1〜3のいずれか一つに記載の透明導電膜付き基材。
  5. 前記色材は、[化1]で記載される色材である請求項1〜3記載のいずれか一つに記載の
    透明導電膜付き基材。
    Figure 2015133272
  6. 請求項1に記載の透明導電膜付き基材の透明着色層を介してレーザーを照射し、あるいは前記透明着色層を介して、エッチング液を供給し、金属ナノワイヤの一部を絶縁化し、絶縁パターン部を形成すること特徴とする、透明導電膜付き基材のパターニング方法。
  7. 導電パターン部と、絶縁パターン部とを有する請求項1記載の透明基材と、前記導電パターン部に接続された位置検出回路を有する半導体回路と、を有する透明タッチパネル。
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