JP2013201004A - 導電性パターン部材、その製造方法、タッチパネル及び太陽電池 - Google Patents

導電性パターン部材、その製造方法、タッチパネル及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性に優れる導電性パターン部材の製造方法、当該製造方法により製造された導電性パターン部材、並びに当該導電性パターン部材を用いたタッチパネルおよび太陽電池を提供する。
【解決手段】基材10と、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび特定結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層20を有する導電性部材の前記導電性層上に、フォトレジストプロセスによりパターン状のレジスト層を形成すること、前記導電性層における前記レジスト層で被覆されていない領域にある前記銀ナノワイヤーを溶解、除去して非導電性領域を形成すること、および、前記レジスト層を有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液で除去すること、を含む導電性パターン部材1の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性パターン部材、その製造方法、タッチパネル及び太陽電池に関する。
近年、金属ナノワイヤーのような導電性繊維を含む導電性層を有する導電性部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この導電性部材は、基材上に、複数の金属ナノワイヤーを含む導電性層を備えるものである。この導電性部材は、例えば導電性層中にマトリックスとしての光硬化性組成物を含有させておくことにより、パターン露光およびそれに引き続く現像によって、所望の導電性領域と非導電性領域とからなるパターンを含む導電性層を有する導電性パターン部材に容易に加工することができる。この導電性パターン部材は、例えばタッチパネルとして、または太陽電池の電極としての用途に供することができる。
上記の導電性部材の導電性層は、物理的および機械的な性質を向上させるため、マトリックス材中に分散または埋め込まれたものとすることも記載されている。そして、このようなマトリックス材として、ゾルゲル硬化物のような無機材料が例示されている(例えば、特許文献1の段落0045〜0046及び0051参照)。
他方、金属ナノワイヤーを含む導電性層に導電性領域と非導電性領域とからなるパターンを形成する方法として、フォトレジストプロセスによる方法も知られている。具体的には、基材上の全面に形成された導電性層上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層をパターン露光および現像して前記パターン状にレジストを形成し、これをエッチングレジストとして、導電性層中の金属ナノワイヤーをエッチングして非導電性領域を形成し、その後エッチングレジストを水酸化カリウム水溶液で脱膜する方法である(例えば、特許文献2の段落0126参照)。
しかしながら、上記のフォトレジストプロセスはレジストを剥離する際に強いアルカリ性の溶液でレジストを剥離する工程が含まれているために、透明導電層のマトリクス材料をアルカリに微量でも溶解する材料に換えると同様に適用することはできず、レジスト剥離時にマトリクスが溶解されて導電性が低下したり、膜強度が低下したりすることがわかってきた。
特表2009−505358号公報 特開2011−233514号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、導電性層のマトリックスが特定構造を含み、高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材が得られる導電性パターン部材の製造方法、当該製造方法により製造された導電性パターン部材、並びに当該導電性パターン部材を用いたタッチパネルおよび太陽電池を提供することである。
前記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
<1> 基材と、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層を有する導電性部材の前記導電性層上に、
(a)感光性樹脂組成物を含むフォトレジスト層を形成すること、
(b)前記フォトレジスト層をパターン露光すること、
(c)前記パターン露光されたフォトレジスト層を現像して前記パターン露光時の露光領域または非露光領域のフォトレジスト層を除去し、前記導電性層の表面にパターン状のレジスト層を形成すること、
(d)前記導電性層における前記レジスト層で被覆されていない領域にある前記銀ナノワイヤーを溶解、除去して、非導電性領域を形成すること、および
(e)前記レジスト層を有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液で除去すること、
を含む導電性パターン部材の製造方法。
−M−O−M− (I)
(一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
上記<1>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、上記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層がダメージを受けにくいため、高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材を作製できる。
<2> 前記(e)有機アルカリが水酸化第4級アンモニウム化合物であり、前記アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナリトウムまたは炭酸カリウムである<1>に記載の導電性パターン部材の製造方法。
上記<2>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、導電性層が受けるダメージがより軽減されるため、さらに高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材を作製できる。
<3> 前記(e)有機アルカリがテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである<1>または<2>に記載のパターン化導電性部材の製造方法。
上記<3>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、導電性層が受けるダメージがより軽減されるため、さらに高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材を作製できる。
<4> 前記(a)の感光性樹脂組成物がポジ型フォトレジストであり、前記(d)と前記(e)の間に、前記パターン状のレジスト層を露光することを含む<1>から<3>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
上記<4>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、パターン状のレジスト層が再露光によって前記(e)の水溶液への溶解性を高くすることができるため、その分、導電性層が受けるダメージがより軽減され、さらに高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材を作製できる。
<5> 前記(a)の感光性樹脂組成物がネガ型フォトレジストである<1>から<3>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
上記<5>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、ネガ型フォトレジストの使用により、より安価で簡便に導電性パターン部材を作製できる。
<6> 前記(a)が、転写用基材上にフォトレジスト層を有するフォトレジスト層形成用積層体の当該フォトレジスト層を転写して形成することを含む<1>から<5>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
上記<6>に係る導電性パターン部材の製造方法によれば、膜厚が均一なレジスト層を形成できるため、現像、剥離ムラなどがなく、より取り扱いが容易なレジストパターンの形成、及び剥離ができる。よって、導電層のマトリクスにも悪影響を与えにくく、結果として高い導電性と膜強度を保ちながら、所望の導電性パターン部材を作製することが可能となる。
<7> 基材と、少なくとも該基材の片面に、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層を有し、前記導電性層上に、
(a2)硬化性組成物を含むレジストをパターン状に形成すること、
(b2)前記パターン状のレジストを硬化すること
(d2)前記導電性層における前記硬化されたレジストで被覆されていない領域にある前記銀ナノワイヤーを溶解、除去して、非導電性領域を形成すること、および
(e2)前記硬化されたレジスト層を有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液で除去すること、
を含む導電性パターン部材の製造方法。
−M−O−M− (I)
(一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
上記<7>に係る、導電性パターン部材の製造方法によれば、パターン状にレジストを形成するので、パターン露光および現像が不要となり、そのぶん、導電性層にダメージを与える要因が削減できるため、高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材を作製できる。
<8> 前記(e2)の有機アルカリが水酸化第4級アンモニウム化合物であり、前記アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナリトウムまたは炭酸カリウムである<7>に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<9> 前記(e2)の有機アルカリがテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである<7>または<8>に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<10> 前記銀ナノワイヤーの平均長軸長が1μm〜40μmの範囲にある<1>から<9>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<11> 前記導電性部材の導電性層中に、前記銀ナノワイヤーが0.005g/m〜0.5g/mの範囲で含まれる<1>から<10>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<12> 前記(d)が、銀ナノワイヤーを溶解する銀溶解剤を含む溶解液を作用させることを含む<1>から<11>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<13> 前記(d)が、銀ナノワイヤーを溶解する銀溶解剤を含む溶解液に浸漬することを含む<1>から<12>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<14> 前記(d)が、銀ナノワイヤーを溶解する銀溶解剤を含む溶解液をシャワリングすることを含む<1>から<9>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
上記<14>により、エッチングの進行を調節し易くなり、エッチング進行のバラツキやムラを低減でき、結果として導電箇所の耐久性を高めることができる。
<15> 前記溶解液が銀ナノワイヤーを酸化する酸化剤を含む<12>から<14>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<16> 更に、銀イオン捕捉剤を含む溶液を作用させることを含む<1>から<15>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
<17> <1>から<16>のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法により製造された導電性パターン部材。
<18> <17>に記載の導電性パターン部材を含むタッチパネル。
<19> <17>に記載の導電性パターン部材を含む太陽電池。
本発明によれば、導電性層のマトリックスが特定構造を含み、高い導電性と膜強度を有する導電性パターン部材が得られる導電性パターン部材の製造方法、当該製造方法により製造された導電性パターン部材、並びに当該導電性パターン部材を用いたタッチパネルおよび太陽電池が提供される。
本発明の第一の実施形態に係る導電性パターン部材の製造に使用される導電性部材の概略断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る導電性パターン部材の製造に使用される導電性部材の概略断面図である。
以下、本発明に係る導電性パターン部材の製造に使用される導電性部材について詳細に説明する。
以下、本発明の代表的な実施形態に基づいて記載されるが、本発明の主旨を超えない限りにおいて、本発明は記載された実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「光」という語は、可視光線のみならず、紫外線、エックス線、ガンマ線などの高エネルギー線、電子線のような粒子線等を含む概念として用いる。
本明細書中、アクリル酸、メタクリル酸のいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリル酸」と、アクリレート、メタクリレートのいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリレート」と、それぞれ表記することがある。
また、含有量は特に断りのない限り、質量換算で示し、特に断りのない限り、質量%は、組成物の総量に対する割合を表し、「固形分」とは、組成物中の溶剤を除く成分を表す。
<<<導電性部材>>>
導電性部材は、基材と、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層とを備える。
−M−O−M− (I)
(一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素を示す。)
<<基材>>
上記基材としては、導電性層を担うことができるものである限り、目的に応じて種々のものを使用することができる。一般的には、板状またはシート状のものが使用される。
基材は、透明であっても、不透明であってもよい。基材を構成する素材としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;その他セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。これらの基材の導電性層が形成される表面は、所望により、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
基材の厚さは、用途に応じて所望の範囲のものが使用される。一般的には、1μm〜500μmの範囲から選択され、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
導電性部材に透明性が要求される場合には、基材の全可視光透過率が70%以上のもの、より好ましくは85%以上のもの、更に好ましくは、90%以上のものから選ばれる。
<<導電性層>>
導電性層は、平均短軸長が150nm以下の銀ナノワイヤーを含み、かつ下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される。
−M−O−M− (I)
(一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
<平均短軸長が150nm以下の銀ナノワイヤー>
本発明に係る導電性層には、平均短軸長150nm以下の銀ナノワイヤーを含有する。平均短軸長が150nmを超えると、導電性の低下や光散乱等による光学特性の悪化が生じるおそれがあるため、好ましくない。銀ナノワイヤーは、中実構造であることが好ましい。
透明な導電性層を形成しやすいという観点からは、例えば、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmのものが好ましい。
製造時の扱い易さから、前記銀ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。前記平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、対候性に優れる導電性部材が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることが好ましい。
前記銀ナノワイヤーの平均長軸長としては、1μm〜40μmであることが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。銀ナノワイヤーの平均長軸長を40μm以下とすることにより、銀ナノワイヤーを凝集物が生じることなく合成することが容易となり、平均長軸長を1μm以上とすることで、十分な導電性を得ることが容易となる。
ここで、前記銀ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、銀ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の銀ナノワイヤーについて、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から銀ナノワイヤーの平均短軸長と平均長軸長を求めた。なお、前記銀ナノワイヤーの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とした。また。銀ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とした。
本発明においては、短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長が5μm以上500μm以下である銀ナノワイヤーが、全銀ナノワイヤー中に銀量で50質量%以上含まれていることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
前記短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である銀ナノワイヤーの割合が、50質量%以上含まれることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。繊維状以外の導電性粒子が感光性層に含まれると、プラズモン吸収が強い場合には透明度が低下するおそれがある。
本発明に係る導電性層に用いられる銀ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
前記変動係数が40%を超えると、短軸長(直径)の小さいワイヤーに電圧が集中してしまうためか、耐久性が悪化することがある。
前記銀ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤーの短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより、求めることができる。
(銀ナノワイヤーのアスペクト比)
本発明に用いうる銀ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均長軸長/平均短軸長の比を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
前記銀ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜100,000が好ましく、100〜100,000がより好ましい。
前記アスペクト比を10以上とすることにより、銀ナノワイヤー同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い導電性を有する導電性層が容易に得られる。また、前記アスペクト比を100,000以下とすることにより、例えば基材上に導電性層を塗布により設ける際の塗布液において、銀ナノワイヤー同士が絡まって凝集してしまう恐れのない、安定な塗布液が得られるので、製造が容易となる。
前記銀ナノワイヤーの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
前記銀ナノワイヤーの断面形状は、基材上に銀ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
前記銀ナノワイヤーにおける銀は、他の金属元素によって一部、または全部が被覆されていてもよく、銀合金となっていてもよい。他の金属元素としては特に制限がなく、合金であれ、銀と合金を形成し得るいかなる金属であってもよく、1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよい。このような金属の好ましいものには、耐酸化性および導電性に優れるものが得られ、かつ製造が容易であるという点から、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウムおよびイリジウムが挙げられ、中でもパラジウム、銅、金、白金および錫がより好ましい。これらの金属は二種以上組み合わせてもよい。
上記銀を被覆、合金化させる場合には、全金属に対する銀の割合が90モル%以上であることが、耐酸化性および導電性に優れるものが得られるので好ましく、より好ましい銀ナノワイヤーは、銀の割合が95モル%以上のものであり、さらに好ましくは98モル%以上である。
(銀ナノワイヤーの製造方法)
前記銀ナノワイヤーは、特に制限はなく、いかなる方法で作製してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で銀イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、銀ナノワイヤーを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、感光性層の経時安定性の観点から好ましい。
また、銀ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
銀ナノワイヤーの製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される銀ナノワイヤーの長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、銀ナノワイヤーの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
前記銀ナノワイヤー製造の際には分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化銀微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、銀イオンあるいはハロゲン化銀微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよいナノワイヤーを得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
前記分散剤を添加する段階は、粒子調製する前に添加し、分散ポリマー存在下で添加してもよいし、粒子調整後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は必要とする銀ワイヤーの長さにより変更する必要がある。これは核となる銀粒子量の制御による銀ワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述する(b)ポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
前記分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる銀ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤とハロゲン化合物とは双方の機能を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
なお、銀ナノワイヤー形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
前記銀ナノワイヤーは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。前記銀ナノワイヤーを水性分散物させたときの電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
前記銀ナノワイヤーを水性分散物としたときの20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
上記の導電性層は、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーと共に、前記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される。このような三次元架橋構造を含むものとしては、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物で構成されたものであることが、キズおよび磨耗に対して高い耐性を有し、厚さの薄い導電性層とするものが得られるという点から好ましい。
ここで、前記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造に含まれるMの価数は、一般式(I)中のMがSi、TiおよびZrのいずれかの場合には、4となり、MがAlの場合には、3となる。
〔特定アルコキシド化合物〕
特定アルコキシド化合物は、入手が容易であるという点で、下記一般式(II)で示される化合物であることが好ましい。
(OR 4−a (II)
(一般式(II)中、MはSi、TiおよびZrから選択される元素を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
一般式(II)におけるRおよびRの各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、一般式(II)で示される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(II)で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
がSiでaが2の場合、即ち2官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルジメチルジメトキシシラン、クロロジメチルジエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルメチルジメトキシシラン、γ−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、アセトキシプロピルメチルジメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ヒドロキシメチルメチルジエトキシシラン、N−(メチルジエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド
、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、ビニルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルメチルジメトキシシラン、ビニルデシルメチルジメトキシシラン、ビニルオクチルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3−(メタ)−アクリロキシプロピルメチルジス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルメチルジエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]メチルジエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(メチルジエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、11−アミノウンデシルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)メチルジエトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルメチルジメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−3−メチルジメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−メチルジメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、アセトアミドプロピルメチルジメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトエチルメチルジエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジエトキシシラン、カルボキシエチルメチルシランジオールナトリウム塩、N−(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(メチルジヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルメチルジエトキシシラン、3−メチルジヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、
ビス(メチルジエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(メチルジエトキシシリル)オクタン、p−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(メチルジメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(メチルジエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(メチルジエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが3の場合、即ち3官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、γ−ブロモプロピルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−トリエチキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、
ビニルデシルトリメトキシシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]トリエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルトリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトエチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、
ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、p−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(トリエトキシシリルプロピル)アミ
ノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが4である場合、即ち4官能のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
がTiでaが2の場合、即ち2官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが3の場合、即ち3官能のオルガノアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが4の場合、即ち4官能のアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
がZrでaが2又は3である場合、即ち、2官能および3官能のオルガノアルコキシジルコネートとしては、例えば、前記2官能および3官能のオルガノアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するオルガノアルコキシジルコネートを挙げることができる。
がZrでaが4である場合、即ち、即ち4官能のテトラアルコキシジルコニウムとしては、例えば、前記テトラアルコキシチタネートとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、一般式(II)には含まれない化合物である、Alのアルコキシド化合物としては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
これらの特定アルコキシドは市販品として容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
テトラアルコキシ化合物およびオルガノアルコキシ化合物は、それぞれ一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
前述の銀ナノワイヤーに対する特定アルコキシド化合物の比率、即ち、特定アルコキシド化合物/銀ナノワイヤーの質量比は、0.25/1〜30/1の範囲で使用されることが好ましい。これにより、導電性層の透明性が優れると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性および耐屈曲性のうちの少なくとも一つが優れる導電性層が得られる。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜20/1の範囲、更に好ましくは1/1〜15/1、最も好ましくは2/1〜8/1の範囲が高い導電性と高い透明性(全光透過率及びヘイズ)を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる導電性部材を安定的に得ることができるので、好ましい。
導電性層は、前述の平均短軸長が150nm以下の銀ナノワイヤーと特定アルコキシド化合物を含む水溶液を塗布液(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)として、基材上に塗布して塗布液膜を形成し、この塗布液膜中で特定アルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせ、更に必要に応じて溶媒としての水を加熱して蒸発させて乾燥することにより、形成される。ゾルゲル塗布液の調製に際しては、銀ナノワイヤーの水分散液を別に調製しておき、これと特定アルコキシド化合物とを混合してもよい。更に、特定アルコキシド化合物を含む水溶液を調製したのち、この水溶液を加熱して特定アルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解および重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と銀ナノワイヤーの水分散液とを混合したものをゾルゲル塗布液としてもよい。
ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。以下、この触媒について、説明する。
〔触媒〕
触媒としては、アルコキシド化合物の加水分解および重縮合の反応を促進させるものであれば使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、又は、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)で使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、導電性層中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以
下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質および高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明に係る触媒は、前記ゾルゲル塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔溶剤〕
上記のゾルゲル塗布液には、基材上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、有機溶剤を含有させてもよい。
このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、ゾルゲル塗布液の総質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
基材上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布液膜中においては、特定アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布液膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
導電性層の厚さは、10nm以上200nm以下の範囲とすることで十分な耐久性および膜強度が得られる。そして、高い導電性および全光透過率、かつ優れた屈曲性を有する導電性部材が容易に得られる。この場合、より好ましい厚さは、10nm以上100nm以下とされる。
<その他マトリックス>
導電性層は、前述の特定アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物の他に、さらに前記ゾルゲル硬化物以外の成分(以下、「その他マトリックス」ともいう。)をマトリックスとして含んでいてもよい。その他マトリックスを含む導電性層は、前述のゾルゲル塗布液中に、その他マトリックスを含有させておき、これを基材上に塗布して形成すればよい。
ここで、「マトリックス」とは、銀ナノワイヤーを含んで層を形成する物質の総称である。マトリックスを含むことにより、導電性層における銀ナノワイヤーの分散が安定に維持される上、基材表面に導電性層を接着層を介することなく形成した場合においても基材と導電性層との強固な接着が確保される。前述のゾルゲル硬化物はマトリックスとしての機能も有する。
導電性層がその他マトリックスを含む場合、特定アルコキシ化合物の含有量に対して、0.10質量%〜20質量%、好ましくは0.15質量%〜10質量%、更に好ましくは0.20質量%〜5質量%の範囲から選ばれることが導電性、透明性、膜強度、耐摩耗性および耐屈曲性の優れる導電性部材が得られるので有利である。
好適なその他マトリックスには、有機高分子ポリマーが含まれる。有機高分子ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
(d−5)金属腐食防止剤
導電性層には銀ナノワイヤーの金属腐食防止剤を含有させておくことが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電性部材の経時による導電性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、銀ナノワイヤーに対して0.5質量%〜10質量%含有させることが好ましい。
導電性層には、銀ナノワイヤーに加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうるが、効果の観点からは、前記したアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率は、感光性層形成用組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。これらの銀ナノワイヤーの割合を、以下、「銀ナノワイヤーの比率」と呼ぶことがある。
前記銀ナノワイヤーの比率を50%とすることにより、銀ナノワイヤー同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する導電性層を容易に得ることができる。
また、銀ナノワイヤー以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
ここで、前記銀ナノワイヤーの比率は、例えば、銀ナノワイヤーが銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、銀ナノワイヤーの比率を求めることができる。ろ紙に残っている銀ナノワイヤーをTEMで観察し、300個の銀ナノワイヤーの短軸長を観察し、その分布を調べることにより検知される。
銀ナノワイヤーの平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
前述の導電性層を基材上に形成する方法としては一般的な塗布方法で行うことができ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
<<中間層>>
基材と導電性層との間に少なくとも一層の中間層を有することが好ましい。基材と導電性層との間に中間層を設けることにより、基材と導電性層との密着性、導電性層の全光透過率、導電性層のヘイズ、及び導電性層の膜強度のうちの少なくとも一つの向上を図ることが可能となる。
中間層としては、基材と導電性層との接着力を向上させるための接着剤層、導電性層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る導電性パターン部材1の製造に使用される導電性部材の概略断面図である。図1において、基材10と導電性層20との間に、基材10との親和性に優れた第1の接着層31と、導電性層20との親和性に優れた第2の接着層32とを含む中間層30を備える。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る導電性パターン部材2の製造に使用される導電性部材の概略断面図である。図2において、基材10と導電性層20との間に、前記第1の実施形態と同様の第1の接着層31及び第2の接着層32に加え、導電性層20に隣接して機能性層33を備えて構成される中間層30を有する。本明細書における中間層30は、前記第1の接着層31、第2の接着層32、及び、機能性層33から選択される少なくとも1層を含んで構成される層をさす。
中間層30に使用される素材は特に限定されず、上記の特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。
例えば、中間層として接着層を備える場合、接着剤に使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、Siのアルコキシド化合物を加水分解および重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
また、導電性層と接する中間層(即ち、中間層30が単層の場合には、当該中間層が、そして中間層30が複数の層を含む場合には、そのうちの導電性層と接する中間層)が、当該導電性層20に含まれる銀ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む機能性層33であることが、全光透過率、ヘイズ、及び膜強度に優れた導電性層が得られることから好ましい。このような中間層を有する場合においては、導電性層20が銀ナノワイヤーと有機高分子とを含むものであっても、膜強度に優れた導電性層が得られる。
この作用は明確ではないが、導電性層20に含まれる銀ナノワイヤーと相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を設けることで、導電性層に含まれる銀ナノワイヤーと中間層に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、導電性層における導電性材料の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、導電性層中における導電性材料の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層を、以下、機能性層と称することがある。機能性層は、導電性材料との相互作用によりその効果を発揮することから、本発明における前述の三次元架橋構造を有する導電性層のみならず、銀ナノワイヤーと有機高分子とを含む導電性層と隣接して設けられても、その効果を発現する。
上記の銀ナノワイヤーと相互作用可能な官能基としては、例えば銀ナノワイヤーが銀ナノワイヤーの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。さらに好ましくは、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩であることが好ましく、最も好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸またはその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH、およびそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、導電性層形成用の塗布液を塗布後、銀ナノワイヤーと中間層に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に銀ナノワイヤーが凝集するのを抑制し、銀ナノワイヤーが均一に分散された導電性層を形成することができる。
中間層は、中間層を構成する化合物が溶解した、もしくは分散、乳化した液を基板上に塗布し、乾燥することで形成することができ、塗布方法は一般的な方法を用いることができる。その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
<<<本発明に係る導電性パターン部材の製造方法>>>
上記の導電性部材の導電性層は、導電性領域と非導電性領域とからなる所望のパターンを有するようにパターニングされる。このようなパターニングのため、本発明においては、導電性部材の導電性層上に感光性樹脂組成物を含むフォトレジスト層が形成される(本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(a)の工程)。その後、このフォトレジスト層を所望のパターン状にパターン露光し(本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(b)の工程)、次いで現像して、フォトレジスト層の露光領域(感光性樹脂組成物がポジ型のものの場合)、または、フォトレジスト層の非露光領域(感光性樹脂組成物がネガ型のものの場合)を除去して、前記パターンに相当するパターン状のレジスト層を形成する(本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(c)の工程)。その後、前記レジスト層で被覆されていない領域にある導電性層の銀ナノワイヤーを溶解、除去して、導電性層に非導電性領域を形成すること(本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(d)の工程)により、導電性領域と非導電性領域とからなる所望のパターンが導電性層に形成される。
また、本発明においては、所望のレジストパターンを得るために、直接レジストをパターン印刷し形成することもできる。この場合、インクジェット法や、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などが好ましく用いられ、インクジェット法や、スクリーン印刷法がより好ましく、スクリーン印刷法が最も好ましく用いられる。パターン状のレジスト層が形成された後は、後述する銀ナノワイヤーの除去工程、レジスト層の剥離工程を経て、導電性パターン部材を得ることができる。スクリーン印刷用のレジストとしては、適宜市販品を使用可能であり、特に太陽インキ製造株式会社製品PSR、UVR、IMAGEFINERシリーズ、十条ケミカル株式会社製品JELCONシリーズ、関西ペイント株式会社製アレスSPRシリーズなどを使用するのが好ましい。
更に、この方法によりレジストのパターンを作製する場合には、硬化性組成物を使用することが好ましい。このような硬化性組成物としては、例えばネガ型感光性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。例えばネガ型感光性樹脂組成物を用いて、パターン状のレジストを形成した場合には、その後に露光して、パターン状のレジストを硬化させることが好ましい。同様に、熱硬化性樹脂組成物を使用してパターン状のレジストを形成した場合には、その後に加熱してパターン状のレジストを硬化させることが好ましい。この場合、加熱工程での加熱温度は、30℃以上200℃以下が好ましく、35℃以上、180℃以下がより好ましく、40℃以上、150℃以下が最も好ましく、加熱時間は5秒以上、60分以下が好ましく、10秒以上、50分以下が好ましく、15秒以上、40分以下が最も好ましく、オーブンなどによる加熱だけではなく、ホットプレートなどによる接触式、あるいは赤外線加熱なども好ましく用いることができる。
以下、これらの各工程について説明する。
<<本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(a)の工程>>
上記(a)の工程で使用される感光性樹脂組成物には、リソグラフィック・プロセスに使用されるものが含まれる。このような感光性樹脂組成物としては、種々のものが市販されており、これらは好適に使用することができる。例えば、カラーフィルター製造用、回路形成用エッチングマスク用フォトレジストなどが含まれる。特に好ましい感光性樹脂組成物には、o−ナフトキノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子とを含むポジ型感光性組成物および光重合性組成物が挙げられる。以下、これらの組成物について詳しく説明する。
<ポジ型感光性組成物>
ポジ型感光性組成物は、o−ナフトキノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子とを含む感光性組成物であり、ポジ型フォトレジストとして従来より知られているものが含まれる。
上記o−ナフトキノンジアジド化合物としては、芳香族ポリヒドロキシ化合物のナフトキノン−1,2−ジアジド(2)−5−スルホン酸エステルが好ましく、例えば、特開2010−250109号公報に記載されているものが挙げられる。
上記アルカリ可溶性高分子としては、クレゾールノボラック樹脂のようなフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、分子(好ましくは、アクリル系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有する有機高分子重合体が挙げられる。なかでも、側鎖にカルボン酸を有する有機高分子重合体が好ましい。
側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロ
ペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィにより測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
ポジ型感光性組成物に含まれるo−ナフトキノンジアジド化合物の量は、5質量%以上50質量%以下の範囲が好ましい。
<光重合性組成物>
光重合性組成物は、(A)付加重合性不飽和化合物と、(B)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含み、更に所望により(C)バインダー、(d)その他、上記成分(A)〜(C)以外の添加剤を含むものである。
以下、これらの成分について、説明する。
[(A)付加重合性不飽和化合物]
成分(A)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(A)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(A)の含有量は、光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、2.6質量%以上37.5質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下であることがより好ましい。
[(B)光重合開始剤]
成分(B)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物及びその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ−又はトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジン又は1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩のようなオニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
前記トリアジン系化合物としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)一s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記(1)光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である観点から特に好ましい。
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなカルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、及びアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、BASF社製のイルガキュア(IRGACURE)369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、米国特許第4,311,783号、米国特許第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オキシムエステル化合物としては、例えばJ.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、BASF社製のイルガキュア(登録商標)OXE−01、OXE−02等が好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えばBASF社製のイルガキュア819、ダロキュア(登録商標)4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(o−ベンゾイルオキシム)が特に好ましい。
成分(B)の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その含有量は、光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。このような数値範囲において、後述の導電性領域と非導電性領域とを含むパターンを導電性層に形成する場合に、良好な感度とパターン形成性が得られる。
[(C)バインダー]
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、CH=CR〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
成分(C)のバインダーの含有量は、光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜85質量%がより好ましく、20質量%〜80質量%が更に好ましい。前記好ましい含有量範囲であると、現像性と銀ナノワイヤーの導電性の両立が図れる。
[(D)その他、上記成分(A)〜(C)以外の添加剤]
上記成分(A)〜(C)以外のその他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(D−1)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
(D−2)架橋剤
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も、また、前記(C)重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における(C)重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、光重合性組成物の固形分の総質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
(D−4)溶媒
溶媒は、光重合性組成物を含む組成物を基材表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の銀ナノワイヤーの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
導電性層上にフォトレジスト層を形成する別の方法としては、別途、前述のフォトレジスト層を転写用基材表面に形成したフォトレジスト層形成用積層体(以下、「積層体」と呼ぶ。)を準備しておき、この積層体のフォトレジスト層を、前述の導電性部材の導電性層上に転写する方法が含まれる。このような積層体としては、市販のドライフィルムレジストを使用することができる。
積層体は、上記のとおり転写用基材上にフォトレジスト層を形成した構成を基本構成とするが、必要に応じて、転写用基材とフォトレジスト層との間に、クッション層、中間層又はこれら両者の層をこの順で形成した構成、更には、フォトレジスト層上にカバーフィルムを形成した構成であってもよい。
<<本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(b)の工程>>
導電性部材の導電性層上のフォトレジスト層は、パターン露光される。
パターン露光は、所望のパターンを有するマスクを通して行う面露光がパターン露光に要する時間が短いので好ましい。この場合、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。更に、例えばレーザー光を走査して、所望の領域のみレーザー光を照射する方法であってもよい。
パターン露光に使用される光源としては、フォトレジスト層に含まれる感光性樹脂組成物が有する分光感度特性に合わせて適切な波長を有するものが選択される。一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線を含むものが好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
前記パターンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、文字、記号、模様、図形、配線パターン、などが挙げられる。
前記パターンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
<<本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(c)の工程>>
パターン露光されたフォトレジスト層は現像されて、パターン露光時の露光領域(感光性樹脂組成物がポジ型のものの場合)または非露光領域(感光性樹脂組成物がネガ型のものの場合)に相当するフォトレジスト層が除去され、パターン露光時のパターンに応じたパターン状のレジスト層が導電性層上に形成される。
現像は、一般的には現像液に浸漬するか、または、現像液をシャワーして行われる。現像液は、フォトレジスト層に含まれる感光性樹脂組成物の種類に応じて、適切なものが使用される。
o−ナフトキノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子とを含むポジ型感光性組成物を含有するフォトレジスト層の現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような水酸化第4級アンモニウムを含む水溶液、またはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液が好ましい。このような現像液を使用することにより、現像時に導電性層の劣化がないか、少なくとも劣化が抑えられる。
光重合性組成物を含むフォトレジスト層の現像液としては、同様に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような水酸化第4級アンモニウムを含む水溶液、炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液が好ましい。この場合、バインダーとしてアルカリ可溶性樹脂を含有する光重合性組成物を使用することが好ましい。
更に、水酸化第4級アンモニウムとアルカリ金属炭酸塩とを含む水溶液を現像液として使用することも、場合によっては有利である。
現像されて形成された導電性層上のパターン状のフォトレジスト層は、その後、必要に応じて水洗されて、残存する現像液が洗浄、除去される。
<<本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(d)の工程>>
上記のようにして導電性層上にパターン状のレジスト層が形成された導電性部材は、次に、前記レジスト層で被覆されていない領域にある導電性層の銀ナノワイヤーを溶解、除去して、非導電性領域が形成される。
銀ナノワイヤーを溶解する溶解液(以下、「エッチング液」ともいう。)としては、銀溶解剤を含む水溶液が使用され、必要に応じて、銀ナノワイヤーを酸化する酸化剤を含むものが好ましい。このようなエッチング液として好ましいものとして、写真科学業界において、主にハロゲン化銀カラー感光材料の印画紙の漂白、定着工程に使用される漂白定着液、強酸、酸化剤、過酸化水素などが挙げられる。これらの中でも、は漂白定着液、希硝酸、過酸化水素が特に好ましい。なお、前記導電性繊維を溶解する溶解液による銀ナノワイヤーの溶解は、溶解液を付与した部分の銀ナノワイヤーを完全に溶解しなくてもよく、導電性が消失していれば一部が残存していてもよい。
前記希硝酸の濃度は、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記過酸化水素の濃度は、1質量%〜30質量%であることが好ましい。
前記漂白定着液としては、例えば特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましく、90秒間以下5秒間以上が更に好ましい。また、水洗又は安定化時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましい。
前記漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
前記銀ナノワイヤーを溶解する溶解液の粘度は、25℃で、5mPa・s〜300,000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜150,000mPa・sであることがより好ましい。前記粘度を、5mPa・sとすることで、溶解液の拡散を所望の範囲に制御することが容易となって、導電性領域と非導電性領域との境界が明瞭なパターニングが確保され、他方、300,000mPa・s以下とすることで、溶解液の印刷を負荷なく行うことが確保されると共に、銀ナノワイヤーの溶解に要する処理時間を所望の時間内で完了させることができる。
<<本発明の導電性パターン部材の製造方法に係る(e)の工程>>
導電性層に導電性領域と非導電性領域とからなるパターンが形成された後、導電性層上のパターン状のレジスト層が有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液(以下、「レジスト剥離液」という。)で除去される。
レジスト剥離液として、有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液を使用することにより、導電性層の劣化、特に導電性層が脆くなることが抑えられる。その理由はすか必ずしも明らかではないが、有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液の場合には、パターン状のレジスト層の除去が効果的に行われると同時に、導電性層を形成する前述の一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造が切断されることが殆どないために、導電性層が本来保有している強い膜強度が維持され、その結果として耐久性に優れる導電性パターン部材が得られるものと思われる。
導電性層が脆くなることが少ないという点から、上記の有機アルカリとしては、水酸化第4級アンモニウム化合物が好ましく、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサン−1,6−ビストリブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。常温で揮発性が少なく、安価で、入手が容易であることから、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)である。これらの化合物は、二種以上組み合わせて使用してもよい。
レジスト剥離液における有機アルカリの濃度は、好ましくは0.01N以上10N以下、特に好ましくは0.05N以上5N以下である。
上記のアルカリ金属炭酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが挙げられ、緩衝剤として炭酸水素ナトリウム、または炭酸水素カリウムを併用することも好ましい。レジスト剥離液におけるアルカリ金属炭酸塩の濃度は、好ましくは0.01N以上10N以下、特に好ましくは0.05N以上5N以下である。
レジスト剥離液には、パターン状のレジスト層への浸透性、濡れ性を向上させるため、湿潤剤または界面活性剤を含有させておくことが好ましい。このような湿潤剤または界面活性剤には、ポリエチレングリコール、グリセリンのような多価アルコール、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が含まれる。
湿潤剤または界面活性剤は、レジスト剥離液中に0.01質量%以上30質量%以下の範囲で含有させておくことが上記のような効果が明確に現れるので好ましい。
レジスト剥離液によるパターン状のレジスト層の除去は、導電性層上にパターン状のレジスト層を有する導電性部材をレジスト剥離液に浸漬するか、または導電性層上のパターン状のレジスト層にレジスト剥離液をシャワーすることにより行われることが好ましく、シャワーにより行われることがより好ましい。その際、パターン状のレジスト層を、例えばブラシ、綿または布で擦って、レジスト層の除去を促進させることも場合によっては有効である。
レジスト剥離液の温度は、15℃以上50℃以下の範囲が好ましく、20℃以上、40℃以内がより好ましい。更に、レジスト剥離液をパターン状のレジスト層に作用させる時間は、10秒間以上5分間以下の範囲が好ましく、20秒以上、2分間以内がより好ましい。これにより導電性層が脆くなることなく、パターン状のレジスト層の除去が効果的に行われる。
このようにしてパターン状のレジスト層が除去された後、必要に応じて水洗されて、残存するレジスト剥離液が洗浄、除去される。
前述の(a)の工程で使用された感光性樹脂組成物がポジ型感光性組成物の場合には、上記(e)の工程に先立って、導電性層上のパターン状のレジスト層を露光することが好ましい。これにより、上記レジスト剥離液への溶解性が高くなり剥離が容易となるので、導電性層に対するレジスト剥離液によるダメージが軽減される。
<<銀イオン捕捉剤の付与工程>>
本発明に係る導電性パターン部材の製造方法においては、パターン状のレジストが除去される工程(前述の(e)の工程)の前に、導電性層における非導電性領域に、銀イオン捕捉剤を含有させる工程を施すことが好ましい。これにより、導電性領域に含まれる銀ナノワイヤーに由来するか、または導電性層に意図せずに含有されてしまった銀イオンが銀イオン捕捉剤と結合して、安定な化合物となると思われる。そのため、例えば本発明に係る導電性パターン部材が高温下または高温多湿下のような過酷な環境下に晒されても、上記の銀イオンによる悪影響を抑制することができるものと思われる。このような悪影響を抑える具体的な例として、例えば実施例に記載されているような耐湿熱性の評価指標である表面抵抗率の変動を抑えるという効果が挙げられる。
銀イオン捕捉剤とは、銀イオンと吸着、イオン結合、共有結合、ファンデルワールス結合または水素結合を生ずる化合物を意味する。このような化合物としては、有機化合物から選ばれることが、工程に負荷がかかりにくい、安価であるという利点があるので好ましい。という利点がありので好ましい。
銀イオン捕捉剤は、銀イオンと反応するか、結合して生成した生成物が無色であるものが透明性に優れる導電性パターン部材が得られるので好ましい。
好適な銀イオン捕捉剤としては、チオン基またはメルカプト基を有する有機化合物が挙げられる。なかでもチオン基またはメルカプト基を有する含窒素へテロ環化合物が短時間の処理で効果が得られ、湿熱経時や、耐マイグレーション試験などによる、種々耐久性試験における耐性向上効果が高いという利点が得られるので好ましい。このようなチオン基またはメルカプト基を有する含窒素へテロ環化合物としては、ヘテロ環を構成する原子と少なくとも1個のチオン基またはメルカプト基とが、直接に、またはアルキレン基、アリーレン基あるいはアルケニレン基のような適当な連結基を介して結合した化合物が好ましい。これらの中でも、特に含窒素ヘテロ環にチオン基またはメルカプト基が2個以上結合した化合物が好ましい。
上記の含窒素ヘテロ環にチオン基もしくはメルカプト基が2個以上結合した化合物としては、1個の含窒素ヘテロ環に2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した化合物、または1個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環の2個以上が、直接にもしくはアルキレン基、アリーレン基、アルキニレン基、あるいはエチレンジアミンのような適当な連結基を介して結合した化合物がある。
上記の含窒素ヘテロ環としては、ピロール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、ピラゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等があり、これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、またベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
以下、具体的な化合物を例示する。
1個のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環化合物としては、例えば、
1)2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール
2)2−メルカプト−ベンツイミダゾール
3)2−メルカプト−1−ブチル−ベンツイミダゾール
4)1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン
5)2−メルカプト−4−フェニルチアゾール
6)3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン
7)3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン
8)2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール
9)3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン
10)1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン
11)3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール
12)3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール
13)3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール
14)3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール
15)2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール
16)2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール
17)2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール
18)2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール
19)5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール
20)3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン
21)2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン
22)2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン
23)2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン
等がある。
2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物、及び下記化2、化3で示される化合物が挙げられる。
式中、Rは水素原子、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素環基であり、これらの基は更にアルキル基等で置換されていても良い。
上記の一般式(1)の具体化合物を表1に示す。尚、表1には一般式(1)におけるRのみを示した。
メルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環化合物群としては、上記の他に、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾールおよび、その置換体、5−メルカプト−1−フェニル−トリアゾールおよび、その置換体、2−メルカプトピリミジンおよび、その置換体、3−メルカプト-1,2,4−トリアゾールおよび、その置換体、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその置換体などが好ましいものとして挙げられ、その一部は上記、および下記として挙げられる。
銀イオン捕捉剤としては、上記のようなチオン基またはメルカプト基を有する有機化合物以外のものであってもよい。このような銀イオン捕捉剤としては、銀イオンとキレート化合物を作るものが好ましく、有機酸第2鉄塩が好ましく用いられる。有機酸第2鉄塩の好ましい例としてはアミノポリカルボン酸第2鉄塩、ホスホン酸第2鉄塩等が挙げられる。有機酸第2鉄塩は、錯塩の形で使用するのが普通であるが、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硝酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などと有機酸を用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させても良い。
アミノポリカルボン酸第2鉄塩は、第2鉄イオンとアミノポリカルボン酸又は、その塩との錯体である。アミノポリカルボン酸、及びその塩としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EDTAジナトリウム塩、EDTAジアンモニウム塩、EDTAテトラ(トリメチルアンモニウム)塩、EDTAテトラカリウム塩、EDTAテトラナトリウム塩、EDTAトリナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ペンタナトリウム塩、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−トリ酢酸、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−トリ酢酸トリアンモニウム塩、プロピレンジアミンテトラ酢酸、プロピレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩、ニトロトリ酢酸トリナトリウム塩、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩、イミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸などが挙げられる。
ホスホン酸第2鉄塩は、第2鉄イオンとホスホン酸又は、その塩との錯体である。ホスホン酸又はその塩の代表例としてはジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、シクロヘキサンジアミンテトラメチレンホスホン酸、トリエチレンテトラミンヘキサメチレンホスホン酸、グリコールエーテルジアミンテトラメチレンホスホン酸、1,2−ジアミノプロパンテトラメチレンホスホン酸、メチルイミノジメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オールテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などが挙げられる。
中でも、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩類が好ましく用いられ、特にFe(III)EDTAキレートと、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩との組み合わせがもっとも好ましく用いられる。ここでチオ硫酸塩は主に微量のハロゲン化合物によるキレート生成の抑制を防止するために用いられ、キレート化合物単独で用いるよりも、より銀イオン捕捉剤としての効果が高くなり好ましい様態となる。
上記で例示した化合物の中でも、特に一般式(1)で表されるトリアジン化合物が好ましい。本発明の更に好ましい態様としては、一般式(1)のRがメルカプト基であるトリメルカプトトリアジン(トリアジントリチオール)と、表1のその他のいずれか1つ以上の化合物との組み合わせ、あるいは、一般式(1)のいずれかの化合物と2−メルカプトベンツイミダゾールもしくはその置換誘導体の組み合わせが挙げられる。特に前者の組み合わせが好ましい。これらの組み合わせによって、導電層の強度と耐腐食性が一段と向上する。
次に、含窒素ヘテロ環化合物について説明する。該化合物としては、イミダゾール、ベンツイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾールが挙げられ、これらの化合物は任意の置換基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子等を有していてもよい。上記含窒素ヘテロ環化合物と前記したチオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物を併用しても良い。
上記した有機化合物の中でも、チオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物が好ましい。
導電性層に含まれる銀イオン捕捉剤の量は、導電性層に含まれる銀ナノワイヤーに対するモル比で、1×10−6以上1×10−1以下の範囲にあることが本発明による効果が効果的に奏されるので好ましい。より好ましい範囲は、1×10−5以上1×10−1以下の範囲であり、最も好ましくは1×10−4以上1×10−1.5以下の範囲である。
銀イオン捕捉剤は、前述のような過酷な条件下での保存性を向上させる効果が一段と得られるという点から、より好ましくは非導電性領域に優先的に含有させられる。銀イオン捕捉剤を非導電性領域に優先的に含有させるには、前述の(d)の工程、即ち、パターン状のレジスト層で被覆されていない領域にある導電性層の銀ナノワイヤーを溶解、除去して、導電性層に非導電性領域を形成する工程、の後、かつ前述の(e)の工程、即ち、導電性層上のパターン状のレジスト層をレジスト剥離液で除去する工程の前に、銀イオン捕捉剤を含有する溶液(以下、「捕捉剤溶液」ともいう。)を非導電性領域に選択的に付与する方法、または、(e)工程の後に捕捉剤溶液を作用させ、導電層全面に付与する方法、または、レジストで保護されていない領域にある導電性層中の銀ナノワイヤーを断線または消失させる処理時に、その処理液に銀イオン捕捉剤を含有させておくことによって、銀イオン捕捉剤を非導電性領域に含有させて付与する方法があり、いずれを用いてもよい。
銀イオン捕捉剤は、適当な有機溶剤あるいはアルカリ水溶液に溶解して、水系の処理液として調製することができる。導電層の処理に際して、銀イオン捕捉剤を含有する処理液中に導電層が形成された基材を浸漬する方法、基材に形成された導電層に上記処理液をスプレー噴霧あるいは塗布して処理する方法が採用される。上記処理液中における銀イオン捕捉剤の濃度は、処理液1リットル当たり1〜200ミリモルが適当であり、10〜100ミリモルの範囲が好ましい。
本発明に係る導電性パターン部材は、導電性領域における表面抵抗率が1,000Ω/□以下となるように調整されることが好ましい。
上記表面抵抗率は、本発明に係る導電性パターン部材における導電性層の基材側とは反対側の表面における導電性領域を四探針法により測定された値である。四探針法による表面抵抗率の測定方法は、例えばJIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計を用いて、簡便に測定することができる。表面抵抗率を1,000Ω/□以下とするには、導電性層に含まれる銀ナノワイヤーの含有比率を調整すればよい。
本発明に係る導電性パターン部材の導電性領域における表面抵抗率は、0.1Ω/□〜900Ω/□の範囲とすることが更に好ましい。
本発明に係る導電性パターン部材は、導電性層のキズ及び磨耗に対する耐久性に優れ、併せて表面抵抗率が低いので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、液晶表示装置、タッチパネル機能付表示装置、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネルおよび太陽電池への適用が特に好ましい。
<<タッチパネル>>
本発明に係る導電性パターン部材は、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどに適用される。ここで、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
前記表面型静電容量方式タッチパネルについては、例えば特表2007−533044号公報に記載されている。
<<太陽電池>>
本発明に係る導電性部材は、集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)における透明電極として有用である。
集積型太陽電池としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、又はタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記太陽電池デバイスが、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、及び銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスであることが好ましい。
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにGeを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
本発明に係る導電性パターン部材は、前記全ての太陽電池デバイスに関して適用できる。導電性部材は、太陽電池デバイスのどの部分に含まれてもよいが、光電変換層に隣接して導電性層が配置されていることがいることが好ましい。光電変換層との位置関係に関しては下記の構成が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記に記した構成は太陽電池デバイスを構成する全ての部分を記載しておらず、前記透明導電層の位置関係が分かる範囲の記載としている。ここで、[ ]で括られた構成が、本発明に係る導電性パターン部材に相当する。
(A)[基材−導電性層]−光電変換層
(B)[基材−導電性層]−光電変換層−[導電性層−基材]
(C)基材−電極−光電変換層−[導電性層−基材]
(D)裏面電極−光電変換層−[導電性層−基材]
このような太陽電池の詳細については、例えば特開2010−87105号公報に記載されている。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の含有率としての「%」、及び、「部」は、いずれも質量基準に基づくものである。
以下の例において、銀ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長)及び平均長軸長、短軸長さの変動係数、並びに、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率は、以下のようにして測定した。
<銀ナノワイヤーの平均短軸長および平均長軸長>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用いて拡大観察される銀ナノワイヤーから、ランダムに選択した300個の銀ナノワイヤーの直径(短軸長さ)と長軸長を測定し、その平均値から銀ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長さ)及び平均長軸長さ求めた。
<銀ナノワイヤーの短軸長さ(直径)の変動係数>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤーの短軸長を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。
<アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸長さを300個観察し、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長さが50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
[合成例の略記号]
以下の合成例で用いている成分の略記号の意味は、次のとおりである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
BzMA:ベンジルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(合成例1)
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分として、AA(9.64g)、BzMA(35.36g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(0.5g)を使用し、これらを溶剤PGMEA(55.00g)中において重合反応させることにより、ベンジルメタクリレートとアクリル酸との60:40モル比共重合体であるバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は11000、分子量分布(Mw/Mn)は1.72、酸価は155mgKOH/gであった。
(合成例2)
<バインダー(A−2)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分として、MAA(7.79g)、BzMA(37.21g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(0.5g)を使用し、これらを溶剤PGMEA(55.00g)中において重合反応させることにより、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸との70:30モル比の共重合体であるバインダー(A−2)のPGMEA溶液(固形分濃度:45量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
(調製例1)
−銀ナノワイヤー分散液(1)の調製−
予め、下記の添加液A、B、C、及び、Dを調製した。
〔添加液A〕
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド58mg、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液6.1g、グルコース2.2gを蒸留水120.0gに溶解させ、反応溶液A−1とした。さらに、硝酸銀粉末70mgを蒸留水2.0gに溶解させ、硝酸銀水溶液A−1とした。反応溶液A−1を25℃に保ち、激しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液A−1を添加した。硝酸銀水溶液A−1の添加後から180分間、激しい攪拌をし、添加液Aとし
た。
〔添加液B〕
硝酸銀粉末42.2gを蒸留水958gに溶解した。
〔添加液C〕
25%アンモニア水75gを蒸留水925gと混合した。
〔添加液D〕
ポリビニルピロリドン(K30)400gを蒸留水1.6kgに溶解した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー分散液(1)を調製した。ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド粉末1.30gと臭化ナトリウム粉末33.1gとグルコース粉末1,000g、硝酸(1N)115.0gを80℃の蒸留水12.7kgに溶解させた。この液を80℃に保ち、500rpmで攪拌しながら、添加液Aを添加速度250cc/分、添加液Bを500cc/分、添加液Cを500cc/分で順次添加した。攪拌速度を200rpmとし、81℃で加熱をした。攪拌速度を200rpmにしてから100分間、加熱攪拌を続けた後に、25℃に冷却した。攪拌速度を500rpmに変更し、添加液Dを500cc/分で添加した。この液を仕込液101とした。 次に、1−プロパノールを激しく攪拌しながら、そこへ仕込液101を混合比率が体積比1対1となるように一気に添加した。攪拌を3分間行い、仕込液102とした。
分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、限外濾過を次の通り実施した。仕込液102を4倍に濃縮した後、蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。濃縮を行い、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(1)を得た。
得られた銀ナノワイヤー分散液(1)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。 その結果、平均短軸長18.7nm、平均長軸長7.9μm、変動係数が1
5.6%であった。平均アスペクト比は320であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(1)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
(調製例2)
−PET基板の前処理−
下記の配合で接着用溶液1を調製した。
[接着用溶液1]
・タケラックWS−4000 5.0部
(固形分濃度30%、三井化学(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
・水 94.4部
厚さ125μmのPET基板の一方の面にコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した面に、上記の接着用溶液を塗布し120℃で2分乾燥させて、厚さが0.11μmの接着層1を形成した。
以下の配合で、接着用溶液2を調製した。
[接着用溶液2]
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3.2部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 1.8部
(KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05%、pH=5.2) 10.0部
・硬化剤 0.8部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ 60.0部
(スノーテックスO、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20%、
pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
接着用溶液2は、以下の方法で調製した。酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、この酢酸水溶液中に3分間かけて滴下した。次に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを酢酸水溶液中に強く攪拌しながら3分間かけて添加した。次に、テトラメトキシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分かけて添加し、その後2時間攪拌を続けた。次に、コロイダルシリカと、硬化剤と、界面活性剤とを順次添加し、接着用溶液2を調製した。
この接着用溶液2をコロナ放電処理を施した接着層1の上にバーコート法により塗布し、170℃で5分間加熱して乾燥し、厚さ4.1μmの接着層2を形成した。その後、接着層2の上にコロナ放電処理を施し、前処理PET基板を得た。以後、「PET基板」と表記する場合は、上記前処理で得られたPET基板を示す。
(実施例1)
<<導電性部材1の調製>>
前記調製例1で得られた銀ナノワイヤー水分散液と、下記ゾルゲル溶液を、Ag:テトラエトキシシラン(TEOS)の質量比=1:8.2となるよう混合し、調製例2で得られたPET基板上に銀量が0.016g/mとなるようにバーコートし、110℃で4分間乾燥し、導電性部材1を作製した。
<ゾルゲル溶液>
下記組成のTEOS水性液を50℃で2時間撹拌して均一になったことを確認し、ゾルゲル溶液とした。
<TEOS水性液の組成>
・テトラエトキシシラン 5.1部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 10.5部
・蒸留水 4.1部
<ポジ型フォトレジストの調製>
合成例2で合成したバインダー(A−2)のPGMEAで希釈した溶液(固形分濃度40.0%)4.19部、感光性化合物としての下記構造式で表されるTAS−200(エステル化率66%、東洋合成株式会社製)0.95部、架橋剤としてのEHPE−3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、ダイセル化学株式会社製)0.80質量部、及びPGMEA 19.06部を加え、攪拌し、ポジ型フォトレジストを調製した。
<<フォトレジスト層の形成、パターン露光および現像工程>>
先に調整した導電性部材1の導電性層上に、上記のポジ型フォトレジストを乾燥膜厚5μmとなるようバー塗布し、100℃のオーブンで1分間乾燥して、フォトレジスト層を形成した。このフォトレジスト層に露光マスク(ベタ露光/未露光箇所、かつライン/スペースが300/300μm、細線長さが1.5cmのパターンが形成可能なマスク)上から、高圧水銀灯i線(365nm)で60mJ/cm(照度20mW/cm)の露光を行った。次いで、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でシャワー現像60秒間を行った。シャワー圧は0.04MPaとした。シャワー現像を開始してから、30秒経過後にストライプパターンが出現した。純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、前記導電性層上にパターン状のレジストを形成した。
<<非導電性領域の形成工程>>
パターン状のレジストが形成された導電性部材1を、CP−48S−A液と、CP−48S−B液(いずれも、富士フイルム株式会社製)と、純水とを質量比で1:1:6となるように混合した液(エッチング液A)に34℃で90秒間浸漬させることによって、レジストで保護されていない領域にある導電性層中の銀ナノワイヤーのエッチングを行い、この領域の導電性層を非導電性領域とした。その後、純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、レジストパターン付導電性パターン部材1Aを作製した。
<<レジスト剥離工程>>
レジストパターン付導電性パターン部材1Aにマスクをせず、高圧水銀灯i線(365nm)を100mJ/cm(照度20mW/cm)露光を行った。その後、基板を2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(25℃)を0.1MPaのシャワー圧で75秒間シャワーして、導電性層上のレジストを除去し、純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、導電性パターン部材1を作製した。
(実施例2)−富士フイルム製トランサーを使用したパターニング−
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、導電性層上に形成するフォトレジスト層を下記のように形成したものに変え、かつ、レジスト剥離工程を下記のように変更して、導電性パターン部材2を作製した。
富士フイルム株式会社製トランサーフイルム黒(ブラックマトリックス用)を110℃、1.0Mpaの条件でラミネートした。そして、剥離工程において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(液温度35℃)のシャワー圧を3.0MPaとした。
(実施例3)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、ポジ型フォトレジストに代えて、下記感光性樹脂組成物(2)に変更し、レジスト剥離工程において露光をせず、また、剥離液温度を35℃、シャワー圧を3.0MPaとして、導電性パターン部材3を作製した。
<感光性組成物(2)の調製>
合成例1で合成したバインダー(A−1)3.80質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、重合性化合物としてのKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)1.59質量部、光重合開始剤としてのIRGACURE379(BASF社製)0.159質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.150質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.002質量部、及びPGMEA 19.3質量部を加え、攪拌し、感光性組成物(2)を調製した。
(実施例4)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%炭酸ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材4を作製した。
(実施例5)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%炭酸カリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材5を作製した。
(実施例6)
実施例2における導電性パターン部材2の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%炭酸ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材6を作製した。
(実施例7)
実施例3における導電性パターン部材3の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%炭酸ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材6を作製した。
(比較例1)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%水酸化ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材C1を作製した。
(比較例2)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%水酸化カリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材C2を作製した。
(比較例3)
実施例2における導電性パターン部材2の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%水酸化ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材C3を作製した。
(比較例4)
実施例3における導電性パターン部材3の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程で使用したレジスト剥離液を、4%水酸化ナトリウム水溶液に変更して、導電性パターン部材C4を作製した。
(実施例8)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、フォトレジスト層の現像液を4%水酸化ナトリウム水溶液に変更し、かつ現像時間を27秒間にして、導電性パターン部材8を作製した。
(実施例9)
実施例2における導電性パターン部材2の作製と同様にして、但し、フォトレジスト層の現像液を4%水酸化ナトリウム水溶液に変更し、かつ現像時間を27秒間にして、導電性パターン部材9を作製した。
(実施例10)
実施例3における導電性パターン部材3の作製と同様にして、但し、フォトレジスト層の現像液を4%水酸化ナトリウム水溶液に変更し、かつ現像時間を27秒間にして、導電性パターン部材10を作製した。
(比較例5)
<銀ナノワイヤー溶剤分散物の作製>
調整例1で調整した銀ナノワイヤー水分散物に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、遠心分離を行い、そして上澄み液を除去することからなる工程を3回行い、最終的にプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、0.8%の銀ナノワイヤー溶剤分散物を調製した。
<感光性組成物(3)の調製>
合成例1で合成したバインダー(A−1)3.80質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、重合性化合物としてのKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)1.59質量部、光重合開始剤としてのIRGACURE379(BASF社製)0.159質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.150質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.002質量部、及びPGMEA 19.3質量部を加え、攪拌し、感光性組成物(2)を調製した。
このようにして調製された銀ナノワイヤー溶剤分散物と上記感光性組成物(3)とを、銀ナノワイヤー溶剤分散物中の銀と感光性組成物(3)の固形分重量比が1:1.2となるように混合した塗布液を調整した。この塗布液を先に調整したPET基板上に塗布し、高圧水銀灯i線(365nm)を70mJ/cm(照度20mW/cm)にて露光、100℃5分のベークを行い、導電性層を形成して導電性部材C5を作製した。
導電性部材C5の導電性層上に、実施例1における導電性パターン部材1の作製の場合と同様にして、ポジ型フォトレジスト層の形成、パターン露光および現像工程、そして非導電性領域の形成工程およびレジスト剥離工程を行い、導電性パターン部材C5を作製した。
(実施例11)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、非導電性領域の形成工程に使用する処理液として、1%硝酸水溶液(エッチング液B)を使用して、導電性パターン部材11を作製した。
(実施例12)
実施例1における導電性パターン部材1の作製と同様にして、但し、レジスト剥離工程の前に、下記の銀イオン捕捉剤を含有する処理浴1に25℃で15秒間浸漬し、純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥する工程を追加して、導電性パターン部材12を作製した。この導電性パターン部材12について、下記の方法で銀イオン捕捉剤の含有量を測定したところ、非導電性領域には1.2×10−4mol/molAg、導電性領域には1.0×10−6mol/molAg以下の銀イオン捕捉剤が含有されていた。
<処理浴1>
・水 500g
・5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール 3g
・メタノール 500g
<銀イオン捕捉剤の含有量の測定方法>
銀イオン補足剤の含有量は、X線光電子分光分析装置(XPS/ESCA アルバックファイ社製QuanteraSXM)にて測定した。このとき、ベタ露光部、および未露光部のAg原子、Fe原子、S原子、N原子のN=5の強度測定結果、理論塗布Ag量、および各素材の分子量から、mol/molAgとして算出した。
(実施例13〜実施例22)
実施例12で作成した導電性パターン部材12の作成と同様にして、但し、銀イオン捕捉剤を含有する処理浴1におけるメルカプトベンゾテトラゾールを同量の下記の記載の化合物に変更した処理浴2〜11に変更して、導電性パターン部材13〜22を作製した。
・処理浴2・・・2−(N−ブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン
・処理浴3・・・2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン
・処理浴4・・・5−メルカプト−1−フェニル−トリアゾール
・処理浴5・・・2−メルカプトピリミジン
・処理浴6・・・3−メルカプト-1,2,4−トリアゾール
・処理浴7・・・化合物(61)
・処理浴8・・・化合物(62)
・処理浴9・・・化合物(63)
・処理浴10・・・化合物(64)
・処理浴11・・・化合物(65)
(実施例23)
実施例1において、ポジ型フォトレジストを塗布、現像により、レジストパターンを形成する代わりに、富士フイルム製ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831を使用し、インクジェット法により同様のパターン状にポジ型フォトレジストを付与し、非導電性領域の形成工程、レジストの剥離工程は同様にして、導電性パターン部材23を作製した。
(実施例24)
実施例3において、ネガ型フォトレジストを塗布、現像により、レジストパターンを形成する代わりに、富士フイルム製ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP-2831を使用し、インクジェット法により同様のパターン状にネガ型フォトレジストを付与し、非導電性領域の形成工程、レジストの剥離工程は同様にして導電性パターン部材24を作製した。
(実施例25)
実施例1において、ポジ型フォトレジスト中の希釈溶剤を添加せず、塗布、現像によりレジストパターンを形成する代わりに、ミノグループ社製WHT−3型とスキージNo.4イエローを使用し、スクリーン印刷法により同様のパターン状にポジ型フォトレジストを付与し、非導電性領域の形成工程、レジストの剥離工程は同様にして、導電性パターン部材25を作製した。
(実施例26)
実施例3において、ネガ型フォトレジスト中の希釈溶剤を添加せず、塗布、現像によりレジストパターンを形成する代わりに、ミノグループ社製WHT−3型とスキージNo.4イエローを使用し、スクリーン印刷法により同様のパターン状にネガ型フォトレジストを付与し、非導電性領域の形成工程、レジストの剥離工程は同様にして、導電性パターン部材26を作製した。
<<評価>>
得られた導電性パターン部材1〜17および導電性パターン部材C1〜C5について、下記の方法で光学特性(全光透過率およびヘイズ)、表面抵抗率、細線部抵抗値、擦り耐性、耐屈曲性および湿熱耐久性を評価した。評価結果を表3に示す。なお、各導電性パターン部材に関する主なスペックを表2に示した。
<光学特性(全光透過率)>
導電性層の導電性領域における全光透過率(%)をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定した。
<光学特性(ヘイズ)>
導電性層の導電性領域におけるヘイズ(%)をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定した。
<表面抵抗率>
パターン形成プロセス後のベタ導電部として残っている箇所の表面抵抗率を、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。
<細線部抵抗値>
導電性領域である細線長さが1.5cmのパターンの両端間の抵抗値を、テスター(カスタム製 CDM−5000E)を用いて測定した。
<擦り耐性>
こすり試験機(HEIDON製 連続加重式引っかき強度試験機TYPE18L)の1.8cm□ヘッドへ、ザビーナミニマックス(KBセーレン製)をセットし、1kg加重、50往復擦り試験を行い、擦り前の細線抵抗値をR0、擦り後の細線抵抗値をRとし、下記基準にてランク付けを行った。
〔評価基準〕
5: R/R0が0.9以上1.1未満
4: R/R0が1.1以上1.2未満、または0.8以上0.9未満
3: R/R0が1.2以上1.3未満、または0.7以上0.8未満
2: R/R0が1.3以上1.5未満、または0.6以上0.7未満
1: R/R0が1.5以上、または0.6未満
<耐屈曲性>
パターン透明導電膜の存在する面を外側とし、直径3mmの金属棒へ巻きつけ、15秒整置させることを3回行い、その後に、湿熱耐久性の評価を行い、暴露前の抵抗値をR0、暴露後の抵抗値をRとし、下記のランク付けを行った。なお、ランク3以上では実用上問題の無いレベルである。
〔評価基準〕
5: R/R0が0.9以上1.1未満
4: R/R0が1.1以上1.2未満、または0.8以上0.9未満
3: R/R0が1.2以上1.3未満、または0.7以上0.8未満
2: R/R0が1.3以上1.5未満、または0.6以上0.7未満
1: R/R0が1.5以上、または0.6未満
<湿熱耐久性>
導電性パターン部材1を、85℃の温度かつ85%RH(相対湿度)の環境下に100時間暴露した。導電性領域における、暴露前の細線部抵抗値をR0、暴露後の細線部抵抗値をRとしたときの、R/R0比の値によって、下記のランク付けを行った。なお、ランク3以上では実用上問題の無いレベルである。
〔評価基準〕
5: R/R0が0.9以上1.1未満
4: R/R0が1.1以上1.2未満、または0.8以上0.9未満
3: R/R0が1.2以上1.3未満、または0.7以上0.8未満
2: R/R0が1.3以上1.5未満、または0.6以上0.7未満
1: R/R0が1.5以上、または0.6未満
表3に示された結果から、本発明に係る導電性部材は全光透過率、ヘイズ、表面抵抗率、擦り耐性、耐屈曲性および湿熱耐久性において優れていることが理解できる。特に、導電性領域に含まれる銀ナノワイヤーに作用すると思われる銀イオン捕捉剤が、導電性領域においては悪影響を及ぼすことなく、全光透過率が高く、ヘイズが少なく、導電性に優れ、高温多湿下という過酷な条件に晒されても導電性の変化が少ないという効果を奏していることが分かる。
なお、導電性パターン部材1の作製において、Ag:TEOSの質量比を1:5〜1:12まで変更しても、同様の結果が得られることが確認できた。
また、実施例1において、調整例1の添加液Aの添加量を4.7gに変更した以外は同様にして銀ナノワイヤー分散物を作成し(ここで得られたワイヤーは、ワイヤー径が46nm、長さが14.4μmであった。)、導電性パターン部材1-bを得た。さらに、調整例1の添加液Aの添加量を376gに変更した以外は同様にして銀ナノワイヤー分散物を作成し(ここで得られたワイヤーは、ワイヤー径が14.2nm、長さが3.1μmであった)、導電性パターン部材1-cを得た。導電性パターン部材27は若干本発明の効果が劣っていたものの、そのいずれも、同様の結果が得られることが確認できた。
さらに、実施例1、12から22において、エッチング時間を90秒間から45秒間または180秒間と変更しても、同様の結果が得られ、また、実施例12から22において、捕捉剤液への浸漬を、レジスト剥離工程の前に実施しても同様の結果が得られることが確認できた。
さらに、実施例23〜26の各々において、実施例12〜22に記載の方法で銀イオン捕捉剤を付与したところ、さらに高い湿熱耐久性が得られることが確認できた。
(実施例27)
<集積型太陽電池の作製>
−アモルファス太陽電池(スーパーストレート型)の作製−
実施例1で作製した導電性パターン部材1と同様にして、但し、基板としてPET基板の代わりに厚さ1.1mmのガラス基板を用い、かつ1セルを構成可能なようパターンを変更して露光を行い、導電性部材27を得た。その上部にプラズマCVD法により膜厚約15nmのp型、膜厚約350nmのi型、膜厚約30nmのn型アモルファスシリコンを形成し、裏面反射電極としてガリウム添加酸化亜鉛層20nm、銀層200nmを形成し、光電変換素子101を作製した。
(実施例28)
−CIGS太陽電池(サブストレート型)の作製−
ソーダライムガラス基板上に、直流マグネトロンスパッタ法により膜厚500nm程度のモリブデン電極、真空蒸着法により膜厚約2.5μmのカルコパイライト系半導体材料であるCu(In0.6Ga0.4)Se2薄膜、溶液析出法により膜厚約50nmの硫化カドミニウム薄膜、を形成した。
その上に導電性部材27と同様に、1セルを構成可能なようパターンを変更して露光を行い導電性層を形成し、光電変換素子201を作製した。
次に、作製した各太陽電池において、以下のようにして変換効率を評価した。
<太陽電池特性(変換効率)の評価>
各太陽電池について、AM1.5、100mW/cmの疑似太陽光を照射することで効率)を測定した。その結果、いずれも9%の変換効率を示し、高い変換効率を得られることが分かった。
(実施例29)
−タッチパネルの作製−
パターン透明導電膜1を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。
作製したタッチパネルを使用した場合、光透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。
1 導電性部材
10 基材
20 導電性層
30 中間層

Claims (12)

  1. 基材と、少なくとも該基材の片面に、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層を有する導電性部材の前記導電性層上に、
    (a)感光性樹脂組成物を含むフォトレジスト層を形成すること、
    (b)前記フォトレジスト層をパターン露光すること、
    (c)前記パターン露光されたフォトレジスト層を現像して前記パターン露光時の露光領域または非露光領域のフォトレジスト層を除去し、前記導電性層の表面にパターン状のレジスト層を形成すること、
    (d)前記導電性層における前記レジスト層で被覆されていない領域にある前記銀ナノワイヤーを溶解、除去して、非導電性領域を形成すること、および
    (e)前記レジスト層を有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液で除去すること、
    を含む導電性パターン部材の製造方法。
    −M−O−M− (I)
    (一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
  2. 前記(e)有機アルカリが水酸化第4級アンモニウム化合物であり、前記アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナリトウムまたは炭酸カリウムである請求項1に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  3. 前記(e)有機アルカリがテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである請求項1または請求項2に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  4. 基材と、少なくとも該基材の片面に、平均短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーおよび下記一般式(I)で示される結合を含む三次元架橋構造を含んで構成される導電性層を有し、前記導電性層上に、
    (a2)硬化性組成物を含むレジストをパターン状に形成すること、
    (b2)前記パターン状のレジストを硬化すること
    (d2)前記導電性層における前記硬化されたレジストで被覆されていない領域にある前記銀ナノワイヤーを溶解、除去して、非導電性領域を形成すること、および
    (e2)前記硬化されたレジスト層を有機アルカリまたはアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液で除去すること、
    を含む導電性パターン部材の製造方法。
    −M−O−M− (I)
    (一般式(I)中、MはSi、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素を示す。)
  5. 前記(e2)有機アルカリが水酸化第4級アンモニウム化合物であり、前記アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナリトウムまたは炭酸カリウムである請求項4に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  6. 前記(e2)有機アルカリがテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである請求項4または請求項5に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項3のいずれか一項における前記(d)、または請求項4〜請求項6のいずれか一項における(d2)が、銀ナノワイヤーを溶解する銀溶解剤を含む溶解液を作用させることを含む請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  8. 前記溶解液が銀ナノワイヤーを酸化する酸化剤を含む請求項7に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  9. 更に、銀イオン捕捉剤を含む溶液を作用させることを含む請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法により製造された導電性パターン部材。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法により製造された導電性パターン部材および請求項10に記載の導電性パターン部材から選ばれた導電性パターン部材を含むタッチパネル。
  12. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の導電性パターン部材の製造方法により製造された導電性パターン部材および請求項10に記載の導電性パターン部材から選ばれた導電性パターン部材を含む太陽電池。
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