JP2014036002A - 導電性部材の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高性能で、しかも、低コストで生産性が高い導電性部材を製造可能な導電性部材の製造方法を提供する。
【解決手段】基板の表面を窒素および水素を含み、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いて大気圧プラズマで処理した後、アルコキシシラン化合物および銀を含む塗布液を用いるゾルゲル法によって、導電性層を形成することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイやタッチパネルなどに用いられる、導電性部材の製造方法に関する。詳しくは、低コストかつ高い生産性で、高性能な製品を製造できる導電性部材の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルなどに用いる電極用の導電性部材として、ITO(Indium Tin Oxide)を利用する透明な導電性部材が広く利用されている。しかし、インジウム金属の埋蔵量が少ないこと、長波長領域の透過率が低いことに起因する色味、低抵抗化には高温の熱処理が必要であること、屈曲耐性がないことなどの問題がある。
これに対し、従来のITOを用いる導電性部材に代えて、銀ナノワイヤなどの金属繊維や金属微粒子(以下、まとめて金属微粒子とも言う)を用いる導電性部材が提案されている。このような金属微粒子を用いる導電性部材は、これらはITOを用いる導電性部材に比べ、製造の際に必要となる真空装置が不要になりコストを下げられる、曲げや伸張に対しひび割れが生じにくく、可撓性に優れる等の利点がある。
例えば、特許文献1には、透明支持体の表面に金属ナノフィラーを含む樹脂塗布液を塗布して、樹脂を硬化することによって金属ナノフィラーを含む透明導電性層を形成し、さらに、裏面からマスク越しにプラズマ処理あるいはコロナ処理を行って、金属ナノフィラーを酸化することにより、透明導電性層に導電パターンを形成してなる透明な導電性部材(透明導電パターン付き支持体)が記載されている。
また、特許文献2には、基板の上に、金属微粒子からなる導電性層を形成してなる導電性部材(導電性基板)において、導電性層の最表面は金属微粒子が融着しており、基板側は、金属微粒子が粒子形状を維持している導電性部材が記載されている。
特許文献2では、このような導電性層を、金属(金属化合物)の微粒子の分散液を調製して、塗布、乾燥し、その後、還元性気体を含む雰囲気でのプラズマ処理などで焼成することで、形成している。また、特許文献2には、分散液の塗布に先立ち、基板の表面にコロナ処理やプラズマ処理を施すことにより、基板と導電性層との密着性を向上することも記載されている。
さらに、特許文献3には、基板の上に、銀ナノワイヤのようなファイバー状の導電性物質を分散した導電性層を有する導電性部材(透明導電膜付き支持体)において、導電性層を、アルコキシシランやアルコキシチタン等の化合物をゾルゲル法により熱重合させた透明樹脂を用いることが記載されている。
特開2010−287540号公報 特開2009−88122号公報 特開2011−29098号公報
このような導電性部材には、表面の抵抗が低いことが要求される。
ところが、特許文献1に記載される、樹脂をマトリクスとして金属微粒子を分散してなる導電性層では、金属微粒子が導電性層の全域に分散しているため、十分に低い表面抵抗が得られない場合が多い。そのため、使用する際に、表面のエッチング等の処理が必要になってしまう。
また、周知のように、金属微粒子、中でも特に銀は、凝集性が高い。そのため、金属粒子を含む塗料を調製して、塗布した時点では、全域に金属微粒子が分散していても、導電性層の乾燥や硬化の際に、金属微粒子が凝集してしまう。
そのため、導電性層に、部分的に、金属微粒子の密度が高い領域と、低い領域とが生成されて、表面抵抗が高い場所が、点在してしまい、やはり、十分に低い表面抵抗を得ることができない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、低コストかつ高い生産性で、全面に渡って表面抵抗が低い高性能な導電性部材を製造できる導電性部材の製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の導電性部材の製造方法は、基板と、基板の少なくとも一方の面の上に形成された導電性層とを有する導電性部材を製造するに際し、
基板の表面を、窒素ガスと水素ガスとを含み、かつ、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いた大気圧プラズマで処理した後に、アルコキシシラン化合物および銀を含む塗布液を用いたゾルゲル法によって、導電性層を形成することを特徴とする導電性部材の製造方法を提供する。
このような本発明の導電性部材の製造方法において、NOによる250nmの発光強度が、N2による340nmの発光強度の1/10以下となるように、混合ガスにおける窒素ガスおよび水素ガスの少なくとも一方の供給量を制御しつつ、大気圧プラズマ処理を行うのが好ましい。
また、混合ガスにおける水素ガス濃度が2vol%以上であるのが好ましい。
また、大気圧プラズマ処理の処理量が、7〜17kJ/m2であるのが好ましい。
また、混合ガスが、窒素ガスおよび水素ガスのみを含むのが好ましい。
また、基板が、プラスチックフィルム、もしくは、支持体としてのプラスチックフィルムの少なくとも一方の面に中間層を形成してなるものであるのが好ましい。
また、中間層が、アルコキシシラン化合物を含む塗布液を用いたゾルゲル法で形成されたものであるのが好ましい。
また、基板がガラスであるのが好ましい。
さらに、基板が長尺なものであり、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、大気圧プラズマ処理、塗布液の塗布および乾燥を行うのが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、全面に渡って十分に低い表面抵抗を有する導電性層を有する高性能な導電性部材を、低いコストで、かつ、高い生産性で製造できる。
(A)および(B)は、本発明の導電性部材の製造方法で製造した導電部材の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の導電性部材の製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
図1(A)に、本発明の導電性部材の製造方法によって製造した導電性部材の一例を概念的に示す。
図1(A)に示す導電性部材は、例えば、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルなどの電極等に利用されるものであって、支持体12と、支持体12の上に形成された導電性層14とを有して構成される。すなわち、図示例においては、この支持体12が、本発明における基板となる。
なお、本発明の製造方法(本発明の製造方法で製造される導電性部材)は、図1に示す導電性部材10のように、支持体12の一方の面のみに導電性層14を形成するのに限定はされない。
すなわち、本発明の製造方法においては、支持体12の両面に導電性層14(あるいはさらに後述する中間層24)を形成して、導電性部材を製造してもよい。
<<支持体12>>
本発明において、支持体12は、導電性層14を担うことができるものである限り、目的に応じて種々のもの使用することができる。一般的には、板状またはシート状(フィルム状)のものが使用される。
本発明において支持体12は、透明であるのが好ましい。具体的には、支持体12は、全可視光透過率が70%以上のものが好ましく、より好ましくは85%以上のもの、更に好ましくは、90%以上のものが利用される。
また、画像表示装置の視認者側表面に用いる場合、無色であることが望ましい。
支持体12としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の各種の透明ガラス、各種の透明プラスチック、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属、各種のセラミック材料、半導体基板に使用されるシリコンウエハ等が、好ましく使用できる。中でも、透明ガラスおよび透明プラスチックは、好適に例示される。
また、支持体12は可撓性を有するのが好ましい。
プラスチックとしては、具体的には、セルロースアシレート(例えば、富士フイルム社製、TAC−TD80U、TD80UFなどのセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR株式会社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン株式会社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン株式会社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。
これらの中でも、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートが好ましく、セルローストリアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが特に好ましい。
支持体12において、導電性層14が形成される表面は、必要に応じて、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
これらの表面処理を施すことにより、支持体12表面を親水化処理した場合、支持体12表面の水に対する接触角は、好ましくは、0°〜40°、より好ましくは0°〜20°、最も好ましくは0°〜10°の範囲内である。
支持体12は、用途に応じた厚さのものが使用される。
一般的には、1〜500μmの範囲から選択され、3〜400μmがより好ましく、5〜300μmが更に好ましい。
<<導電性層14>>
前述のように、導電性部材10において、支持体12の上には、導電性層14が形成される。
ここで、本発明の製造方法においては、この導電性層14の形成に先立ち、支持体12(基板)の表面、すなわち、導電性層14の形成面に、窒素ガスおよび水素ガスを含み、かつ、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いる大気圧プラズマ(常圧プラズマ)による処理を行う。
この大気圧プラズマ処理に関しては、後に詳述する。
本発明において、導電性層14は、アルコキシシラン化合物および銀を含む塗布液を用いて、ゾルゲル法によって形成されるものである。
すなわち、導電性層14は、銀と、アルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合してなるゾルゲル硬化物とを含むものである。
<銀>
導電性層14には、銀が分散される。銀は、中実構造、多孔質構造および中空構造のいずれの態様をとるものであってもよく、例えば、銀微粒子、銀ナノワイヤ、銀ナノチューブ等が例示される。好ましくは、導電性層14には、銀ナノワイヤおよび/または銀ナノチューブが分散される。
なお、後に詳述するが、本発明の製造方法で製造された導電性部材10においては、導電性層14は、厚さ方向には、表面近傍に銀が高密度で分散し、面方向には、全面的に均一に銀が分散される。
(銀ナノワイヤ)
銀同士が接触し易く良好な導電性を確保でき、かつ、透明な導電性層14を形成し易いという点からは、銀ナノワイヤを用いるのが好ましい。本発明における銀ナノワイヤとは、例えば、アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が30以上である金属微粒子であって、平均短軸長さが1〜150nmであって、平均長軸長さが1〜100μmのものが好ましい。
銀ナノワイヤの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、1〜40μmであるのが好ましく、3〜35μmがより好ましく、5〜30μmが更に好ましい。
銀ナノワイヤの平均長軸長さが長すぎると銀ナノワイヤ製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長軸長さ短すぎると、十分な導電性を得ることができないことがある。
ここで、銀ナノワイヤの平均短軸長さ(平均直径)および平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。
例えば、銀ナノワイヤの平均短軸長さ(平均直径)および平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の銀ナノワイヤを観察し、その平均値から銀ナノワイヤの平均軸長さを求めればよい。なお、銀ナノワイヤの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長さは、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長さとする。また、銀ナノワイヤが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、および曲率から算出される値を長軸長さとする。
本発明においては、銀ナノワイヤの短軸長さ(平均直径)が150nm以下であるのが好ましい。150nm以下であると、導電性に優れ、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくい。短軸長さ(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長さが5〜500μm以下である銀ナノワイヤが、全導電性繊維中に金属量で50質量%以上含まれていることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
短軸長さ(直径)が150nm以下であり、長さが5〜500μm以下である銀ナノワイヤの割合が、50質量%以上含まれることで、十分な導電性が得られるとともに、電圧集中が生じがたく、これに起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。繊維状以外の導電性粒子が感光性層に含まれると、プラズモン吸収が強い場合には透明度が低下するおそれがあり好ましくない。
耐酸化性に優れ、耐久性に優れるという点から、銀ナノワイヤの短軸長さは5nm以上であるのが好ましい。
銀ナノワイヤの短軸長さ(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
変動係数が40%を超えると、短軸長さ(直径)の細いワイヤに電圧が集中してしまうためか、耐久性が悪化することがある。
銀ナノワイヤの短軸長さ(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像から300個のナノワイヤの短軸長さ(直径)を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより、求めることができる。
銀ナノワイヤの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができる。高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
銀ナノワイヤの断面形状は、支持体12上に銀ナノワイヤ水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
銀ナノワイヤにおいて、銀の含有量はモル比率で90〜100%であることが好ましく、95〜100%であることがより好ましい。
本発明においては、銀ナノワイヤの構成金属成分の中で、モル比率が最も多い成分が銀である銀ナノワイヤを銀ナノワイヤと定義する。銀ナノワイヤが銀以外の金属を含む場合には、銀以外の金属は、金、パラジウム、亜鉛、ニッケルが特に好ましく、これらの銀以外の金属は銀ナノワイヤの表面に存在させることで、銀ナノワイヤの酸化、腐食、マイグレーション等を軽減でき好ましい。また、これらの銀以外の金属を銀の表面に存在させるためには、銀ナノワイヤ形成後、これら銀以外の金属からなる金属イオンを還元剤によって銀表面に析出させるのが好ましい。これら銀以外の金属は、銀に対して0.01〜10mol%含有させるのが好ましく、0.01〜2mol%含有させるのがより好ましい。
(銀ナノワイヤの製造方法)
銀ナノワイヤは、いかなる方法で作製してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造するのが好ましい。また、銀ナノワイヤを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、感光性層の経時安定性の点から好ましい。
また、銀ナノワイヤの製造方法としては、特開2009−215594号、同2009−242880号、同2009−299162号、同2010−84173号、同2010−86714号の各公報や、米国公開特許2008/0210052号明細書などに記載の方法を用いることができる。
銀ナノワイヤの製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
銀ナノワイヤの製造において、加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20〜200℃がより好ましく、30〜180℃が更に好ましく、40〜170℃が特に好ましい。
加熱温度を20℃以上とすることで、形成される銀ナノワイヤの長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、かつ、250℃以下とすることで、銀ナノワイヤの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、透明性の点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよい。粒子形成過程途中での温度変更は、核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果が得られる場合がある。
この加熱の際には、還元剤を添加して行うのが好ましい。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用される物の中から適宜選択できる。具体的には、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオン等が例示される。
これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
また、還元剤となる化合物によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
銀ナノワイヤを製造する際には、分散剤と、ハロゲン化合物またはハロゲン化金属微粒子を添加して行うのが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよいナノワイヤを得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けるのが好ましい。
分散剤を添加する段階は、粒子調製する前に添加し、分散ポリマー存在下で添加してもよいし、粒子調整後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は必要とする金属ワイヤの長さにより変更する必要がある。これは核となる金属粒子量の制御による金属ワイヤの長さに起因しているためと考えられる。
分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸またはその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、またはこれらに由来するゲル等の高分子類、などが挙げられる。
分散剤として好適に用いられる高分子としては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール(P−3)、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000〜300000であることが好ましく、5000〜100000であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
また、使用する分散剤の種類によって得られる銀ナノワイヤの形状を変化させることができる。
金属ナノワイヤを製造する際に用いるハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤とハロゲン化合物とは双方の機能を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオンまたは塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
なお、銀ナノワイヤ形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
本発明で製造する導電性部材10の導電性層14に銀ナノワイヤを用いる場合、銀ナノワイヤは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないのが好ましい。
また、銀ナノワイヤを水性分散物させたときの電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
銀ナノワイヤを水性分散物させたときの20℃における粘度は、0.5〜100mPa・sが好ましく、1〜50mPa・sがより好ましい。
(銀ナノチューブ)
本発明において、導電性部材10の導電性層14に用いる銀としては、同じく、銀同士が接触し易く良好な導電性を確保できる点で、銀ナノチューブも好ましく例示される。
銀ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性および熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
銀ナノチューブの厚さ(外径と内径との差)としては、3〜80nmが好ましく、3〜30nmがより好ましい。
銀あのチューブの厚さが、3nm以上であることで、十分な耐酸化性が得られ、80nm以下であることで、銀ナノチューブに起因する光散乱の発生が抑制される。
銀ナノチューブの平均短軸長さは、銀ナノワイヤと同様に150nm以下であるのが好ましい。好ましい短軸径は銀ナノワイヤにおけるのと同様である。また、長軸長さは、1〜40μmが好ましく、3〜35μmがより好ましく、5〜30μmが更に好ましい。
銀ナノチューブの製造方法としては、公知の方法が利用可能であり、例えば、米国出願公開2005/0056118号明細書等に記載の方法などを用いることができる。
なお、本発明において、銀ナノワイヤと銀ナノチューブとは、併用してもよい。
(銀ナノワイヤおよび銀ナノチューブのアスペクト比)
導電性部材10の導電性層14に用いる銀ナノワイヤおよび銀ナノチューブ(以下、両者をまとめて銀繊維とも言う)は、アスペクト比が10以上であるのが好ましい。アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。なお、銀ナノチューブの場合には、アスペクト比を算出するための直径としては、チューブの外径を用いる。
銀繊維のアスペクト比は、電子顕微鏡等を用いて測定すればよい。アスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、アスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、長軸長さと短軸長さとを、各々、別に測定することによって、銀繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
銀繊維のアスペクト比は、50〜1,000,000がより好ましく、100〜1,000,000が特に好ましい。
銀繊維のアスペクト比が、10未満であると、銀繊維によるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、銀繊維の形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に銀繊維が絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
<ゾルゲル硬化物>
前述のように、導電性層14は、銀と、アルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合してなるゾルゲル硬化物とを含むものである。
すなわち、導電性層14は、このゾルゲル硬化物をマトリクス(銀を含んで層を形成する成分)として、前述の銀ナノワイヤや銀ナノチューブを分散してなる構成を有する。
このゾルゲル硬化物は、アルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合し、さらに、必要に応じて、乾燥および加熱して得られるものである。
アルコキシシラン化合物は、下記一般式(I)で示される化合物であることが入手が容易である点で好ましい。
Si(OR1a2 4-a (I)
(一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
一般式(I)におけるR1およびR2の各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、一般式(I)で示される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であるのが好ましい。
以下に、一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
aが2の場合、即ち2官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルジメチルジメトキシシラン、クロロジメチルジエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルメチルジメトキシシラン、γ−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、アセトキシプロピルメチルジメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ヒドロキシメチルメチルジエトキシシラン、N−(メチルジエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、ビニルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルメチルジメトキシシラン、ビニルデシルメチルジメトキシシラン、ビニルオクチルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルメチルジス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルメチルジエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルメチルジメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルメチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]メチルジエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]メチルジメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(メチルジエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、11−アミノウンデシルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)メチルジエトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルメチルジメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−3−メチルジメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−メチルジメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、アセトアミドプロピルメチルジメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトエチルメチルジエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジエトキシシラン、カルボキシエチルメチルシランジオールナトリウム塩、N−(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(メチルジヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルメチルジエトキシシラン、3−メチルジヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、ビス(メチルジエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(メチルジエトキシシリル)オクタン、p−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(メチルジメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]メチルジエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(メチルジエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(メチルジエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
aが3の場合、即ち3官能のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、γ−ブロモプロピルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、N−(3−トリエチキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルデシルトリメトキシシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキプロピル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシプロピル]トリエトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキメチル]トリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシメチル]トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、O−「(メタ)アクリロキシエチル」−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ))]アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノメチルトリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトエチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホネートナトリウム塩、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、p−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、p−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N'−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、ビス−[3−(トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキシド、ビス[N,N'−(トリエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]ポリエチレンオキシド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリエチレンオキシドを挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
aが4である場合、即ち4官能のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
このようなアルコキシシラン化合物は、市販品として容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
また、アルコキシシラン化合物は、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、導電性層14における、銀に対するアルコキシシラン化合物(ゾルゲル硬化物)との量比は、アルコキシシラン化合物/銀の質量比で、0.25/1〜30/1であるのが好ましい。
この質量比が0.25/1よりも小さい場合には、透明性が劣ると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性および耐屈曲性のうちの少なくとも一つが劣った導電性層となってしま可能性が有る。他方、この質量比が30/1よりも大きい場合には、導電性および耐屈曲性の劣る導電性層となってしまう可能性が有る。
アルコキシシラン化合物/銀の質量比は、より好ましくは0.5/1〜20/1の範囲、更に好ましくは1/1〜15/1、最も好ましくは2/1〜8/1の範囲である。アルコキシシラン化合物/銀の質量比を、この範囲とすることにより、高い導電性と高い透明性(全光透過率およびヘイズ)を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる導電性部材を安定的に得ることができるので、好ましい。
このようなアルコキシシラン化合物と銀とを含む塗布液を用い、ゾルゲル法によって形成した導電性層14は、アルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合する過程において、銀の下にゾルゲル硬化物(重縮合されたアルコキシシラン化合物)が潜り込んだような状態となる。
その結果、形成される導電性層14は、表面を極薄くゾルゲル硬化物に覆われた状態で、表面近傍に銀が高密度で存在し、その下に、銀の密度が非常に低いゾルゲル硬化物の層が形成された状態となる。すなわち、この導電性層14は、あたかも、銀層の下にゾルゲル硬化物層が形成されたような状態となる。
そのため、この導電性層14は、最低限の銀の量で、十分に低い表面抵抗を得ることができ、高い導電性を達成できる。特に、銀繊維(銀ナノワイヤおよび/または銀ナノチューブ)を用いた場合には、銀同士が接触点を多くできるため、より表面抵抗を低くすることができる。
また、このゾルゲル硬化物は、透明性に優れ、しかも、空隙が少なく、かつ、架橋密度が高い緻密な層を形成する。
そのため、この導電性層14は、高い透明性を有すると共に、耐磨耗性、耐屈曲性、耐熱性および耐湿性にも優れる。すなわち、本発明によれば、表面抵抗が十分に低く、かつ、透明性が高く、機械的強度や環境に対する強度も高い、高性能な導電性部材10を製造することができる。
このような導電性層14の形成の際には、ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。以下、この触媒について、説明する。
〔触媒〕
触媒としては、アルコキシシラン化合物の加水分解および重縮合の反応を促進させるものであれば使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、または、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)で使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、あるいは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸あるいは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、導電性層中に殆ど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4Aおよび5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソまたはヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素およびV,NbおよびTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、AlおよびTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
金属錯体の配位子を構成するオキソまたはヒドロキシ酸素含有化合物としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体である。アセチルアセトン誘導体とは、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。
これらは水系塗布液での安定性および、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載は、省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol-Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。
反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質および高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明に係る触媒は、アルコキシシラン化合物および銀を含有する塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔溶剤〕
アルコキシシラン化合物および銀を含有する塗布液には、基板上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、有機溶剤を含有させてもよい。
このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、ゾルゲル塗布液の総質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
<その他のマトリクス>
導電性層14には、アルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合してなるゾルゲル硬化物以外にも、マトリクスとして作用する成分(以下、『その他のマトリクス』とも言う)を含んでもよい。
その他のマトリクスは、有機高分子ポリマーのような非感光性のものであっても、フォトレジスト組成物のような感光性のものであっても良い。
導電性層14がその他マトリクスを含む場合、その含有量は、前述のアルコキシシラン化合物(ゾルゲル硬化物)に対して、0.10〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.15〜10質量%、更に好ましくは0.20〜5質量%の範囲とするのが好ましい。
その他のマトリクスの含有量を、この範囲とすることにより、導電性、透明性、膜強度、耐摩耗性および耐屈曲性の優れる導電性部材が得られるので有利である。
その他マトリクスは、前述のとおり、非感光性のものであっても、感光性のものであっても良い。
(非感光性マトリクス)
好適な非感光性マトリクスには、有機高分子ポリマーが含まれる。
有機高分子ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
(感光性マトリクス)
感光性のマトリクスには、リソグラフィック・プロセスに好適なフォトレジスト組成物が含まれる。マトリクスとして、フォトレジスト組成物が含まれ場合には、導電性層を導電性領域と非導電性領域とをパターン上に有するものを、リソグラフィック・プロセスにより形成することが可能となる点で好ましい。
このようなフォトレジスト組成物のうち、特に好ましいものとして、透明性および柔軟性に優れ、かつ支持体12との接着性に優れた導電性層が得られるという点から、光重合性組成物が挙げられる。以下、この光重合性組成物について、説明する。
((光重合性組成物))
光重合性組成物は、(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含み、更に必要に応じて、(c)バインダー、(d)その他の上記成分(a)〜(c)以外の添加剤を含むものである。
以下、これらの成分について、説明する。
[(a)付加重合性不飽和化合物]
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
[(b)光重合開始剤]
成分(b)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物およびその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」、後者を「光ラジカル発生剤」とも言う。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線または放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、例えば、ジ−またはトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジンまたは1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線または放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖または側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、同55−164824号、同62−69263号、同63−146038号、同63−163452号、同62−153853号、同63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
トリアジン系化合物としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)一s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、などが挙げられる。
本発明においては、光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である点から特に好ましい。
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、または光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであるのが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなカルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、およびアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の点から特に好ましい。
ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物が例示される。
具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、J.C.S.Perkin II(1979)1653-1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報等に記載の化合物、特開2000−80068号、特表2004−534797号の各公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアOXE−01、OXE−02等が好適である。
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]が、特に好ましい。
このような光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、その含有量は、銀を含む導電性層14の総質量を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。このような数値範囲において、後述の導電性領域と非導電性領域とを含むパターンを導電性層に形成する場合に、良好な感度とパターン形成性が得られる。
[(c)バインダー]
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。このポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
これら以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、この(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基およびアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートまたはアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH2=CR34、CH=C(R3)(COOR5)〔ただし、R3は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R4は炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、R5は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
[(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤]
上記成分(a)〜(c)以外の、その他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(d−1)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、前述の導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。
(d−2)架橋剤
架橋剤は、フリーラジカルまたは酸および熱により化学結合を形成し、導電性層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、またはアジド系化合物、メタクリロイル基またはアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。
これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。また、オキセタン樹脂は、1種単独でまたはエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、この架橋剤も、また、前述の(c)重合性化合物に包含され、その含有量は、(c)重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、銀を含む導電性層14の総質量を基準(100質量部)として、1〜250質量部が好ましく、3〜200質量部がより好ましい。
(d−3)分散剤
分散剤は、光重合性組成物中における前述の銀ナノワイヤ等の銀が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。
分散剤としては、例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に導電性繊維に吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、前述の銀繊維の製造に用いたもの以外をさらに別に添加する場合、この高分子分散剤も、また、成分(c)のバインダーに包含され、その含有量は、前述の成分(c)の含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量は、成分(c)のバインダー100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での導電性繊維の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
(d−4)溶媒
溶媒は、銀およびアルコキシシラン化合物ならびに光重合性組成物を支持体12表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分である。
溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1〜20質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
(d−5)金属腐食防止剤
塗布液には、銀の腐食を防止するための金属腐食防止剤を含有させるのが好ましい。金属腐食防止剤としては、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、または粉末で添加するか、後述する導電性層用塗布液による導電性部材を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、銀に対して0.5〜10質量%含有させるのが好ましい。金属腐食防止剤としては、特開2010−06714号公報記載の、金属と相互作用可能な複素環化合物を用いるのが好ましい。
その他、マトリクスとしては、前述の導電性繊維の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリクスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
<その他の導電性材料>
本発明に係る導電性層14には、銀ナノワイヤや銀ナノチューブ等の銀に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうるが、効果の点からは、銀の比率は、感光性層形成用組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。以下、これらの銀の割合を、以下、「銀の比率」と呼ぶことがある。
銀の比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、銀以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
ここで、銀の比率は、例えば、銀ナノワイヤである場合には、銀ナノワイヤ水分散液をろ過して、銀ナノワイヤと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている導電性繊維をTEMで観察し、300個の導電性繊維の短軸長さを観察し、その分布を調べることにより検知される。
導電性繊維の平均短軸長さおよび平均長軸長さの測定方法は既述の通りである。
<その他の成分>
導電性層に含まれてもよいその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適
宜選択すればよく、例えば、導電性層の塗布均一性を向上させる目的で添加される界面活性剤、増粘剤などが挙げられる。
<<<導電性層14の形成方法>>>
前述のように、導電性層14は、アルコキシシラン化合物と、銀ナノチューブ等の銀を含有する塗布液を用い、ゾルゲル法によって形成する。
この導電性層14は、基本的に、アルコキシシラン化合物を用いる公知のゾルゲル法で形成できる。
まず、銀ナノワイヤや銀ナノチューブなどの銀と、アルコキシシラン化合物とを、後者/前者の質量比が0.25/1〜30/1の範囲で含む水溶液を塗布液(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)として、調製する。なお、高い導電性を確保するために、銀には、分散性を向上するための表面処理等は行わないで、塗布液に添加するのが好ましい。
ゾルゲル塗布液の調製に際しては、銀の水分散液を別に調製しておき、これとアルコキシシラン化合物とを混合してもよい。あるいは、アルコキシシラン化合物を含む水溶液を調製したのち、この水溶液を加熱してアルコキシシラン化合物の少なくとも一部を加水分解および重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と銀の水分散液とを混合したものをゾルゲル塗布液としてもよい。
また、この塗布液には、必要に応じて、前述の触媒や溶剤等を添加する。
この塗布液を、支持体12の表面に塗布する。塗布方法は、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の公知の方法が利用可能である。
支持体12に塗布液を塗布すると、塗布液膜中でアルコキシシラン化合物の加水分解と重縮合の反応が起きるが、必要に応じて、反応を促進するために、溶媒としての水等を加熱して蒸発させて乾燥することにより導電性層14を形成する。
なお、このゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
ここで、本発明の製造方法においては、このような導電性層14の形成に先立ち、支持体12すなわち導電性層14の形成面に、窒素ガスおよび水素ガスを含む混合ガスを用いる大気圧プラズマ処理を行う。
この大気圧プラズマ処理に関しては、後に詳述する。
このようにして形成する導電性層14の厚さは、0.01〜2μmが好ましく、0.02〜1μmがより好ましく、0.03〜0.8μmがさらに好ましく、0.05〜0.5μmが特に好ましい。
膜厚を0.01〜2μm以下とすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、0.05〜0.5μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保されるので好ましい。
本発明において、導電性層14は、平坦である必要は無く、凹凸を有していても良い。
なお、導電性層14の表面粗さRaは、Ra値で1〜20nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。ここでRa値は日本工業規格(JIS B0601 2001)の算術平均粗さである。
<<中間層24>>
本発明の製造方法で製造する導電性部材は、支持体12の上に導電性層14を形成してなるものに限定はされず、支持体12と導電性層14との間に、1層以上の中間層を有してもよい。
図1(B)に、その一例を示す。
図1(B)に示す導電性部材20は、支持体12の上に、第1中間層24aおよび第2中間層24bの2層からなる中間層24を形成し、その上に、前述の導電性層14を形成してなるものである。
すなわち、図1(B)に示す導電性部材20においては、支持体12と中間層24との積層体を基板として、その上に、導電性層14を形成する。従って、この導電性部材20を製造する際には、後述する窒素と水素とを含み、かつ、酸素の含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いた大気圧プラズマ処理は、中間層24(第2中間層24b)の表面に行う。
本発明の導電性部材20においては、支持体12と導電性層14との間に中間層24を設けることにより、支持体12と導電性層との密着性、導電性層の全光透過率、導電性層のヘイズ、導電性層の膜強度のうちの少なくとも1つの向上等を図ることができる。
また、中間層24を設けることにより、本発明の導電性部材20の製造工程や、本発明の導電性部材20を用いた太陽電池等の製造において、加熱を伴う工程が有る場合等に、支持体12から不要な物質が導電性層14に侵入(例えば、支持体12としてPETフィルムを用いた場合のオリゴマの侵入等)する可能性が有る場合には、中間層24として、これらの物質が導電性層14に侵入することを防止する機能を持たせてもよい。
中間層24に使用される素材は特に限定されず、上記の目的の少なくとも1つを達成できるものが、各種、利用可能である。
特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。
例えば、中間層24として接着層を備える場合、接着剤に使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ケイ素のアルコキシド化合物を加水分解および重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
また、導電性層14と接する中間層24(即ち、中間層24が単層の場合には、中間層24が、そして中間層24が複数の層を有する場合には、そのうちの導電性層14と接する中間層24)が、導電性層14に含まれる銀と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む機能性層であることが、全光透過率、ヘイズ、および膜強度に優れた導電性層が得られることから好ましい。このような中間層24を有する場合においては、膜強度に優れた導電性層が得られる。
この作用は明確ではないが、導電性層14に含まれる銀ナノワイヤ等の銀と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層24を設けることで、導電性層14に含まれる銀と中間層24に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、導電性層14における銀の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、導電性層中における銀の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層24を、以下、機能性層と称することがある。
上記の銀と相互作用可能な官能基としては、例えば銀が銀ナノワイヤの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基またはそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。さらに好ましくは、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基またはそれらの塩であることが好ましく、最も好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸またはその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH、およびそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、導電性層14を形成するための塗布液を塗布後、銀と中間層24に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に銀が凝集するのを抑制し、銀が均一に分散された導電性層14を形成することができる。
また、中間層24としては、導電性層14と同様、アルコキシシラン化合物を含む塗布液(銀を含まないゾルゲル塗布液)を用いたゾルゲル法で形成する中間層24も好適に例示される。
このような中間層24を有することにより、支持体12から、不要な物質が導電性層14に侵入する可能性が有る場合に、導電性層14への不要な物質の侵入を好適に防止することができる。
<<<中間層の形成方法>>>
中間層24は、中間層24を構成する化合物が溶解した、もしくは分散、乳化した液を基板上に塗布し、乾燥することで形成することができる。
塗布方法は、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等、公知の方法を用いればよい。
また、アルコキシシラン化合物を含む塗布液を用いたゾルゲル法で中間層24を形成する場合には、前述の導電性層14に準じて中間層24を形成すればよい。
<<<大気圧プラズマ処理>>>
本発明の導電性部材の製造方法では、導電性層14の形成に先立ち、窒素ガス(N2)と水素ガス(H2)とを含み、かつ、酸素ガス(O2)の含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いる大気圧プラズマによって、基板の表面をプラズマ処理する。
すなわち、図1(A)に示す導電性部材10を製造する際には、支持体12の表面に大気圧プラズマ処理を施した後に、前述のようにして導電性層14を形成する。
他方、図1(B)に示す導電性部材20を製造する際には、支持体12の表面に前述のようにして中間層24(第1中間層24aおよび第2中間層24b)を形成した後に、中間層24(第2中間層24b)の表面に大気圧プラズマ処理を施し、その後、前述のようにして導電性層14を形成する。
本発明の導電性部材の製造方法は、このような構成を有することにより、全面に渡って十分に低い表面抵抗を有する導電性層を有する高性能な導電性部材を、低いコストで、かつ、高い生産性で製造することができる。
前述のように、アルコキシシラン化合物および銀を含有する塗布液を用い、ゾルゲル法で形成した導電性層14は、乾燥やゾルゲル硬化物の形成過程で、表面に銀が集中する。そのため、この導電性層14は、厚さ方向には、表面の銀の密度が高い領域と、その下のゾルゲル硬化物を主とする銀の密度が低い領域が形成される。
ところが、銀は高い凝集力を有する。そのため、アルコキシシラン化合物および銀を含有するゾルゲル塗布液を用い、ゾルゲル法で導電性を形成すると、最初は、面方向にも厚さ方向にも銀は均一に分散しているが、深さ方向の表面への銀の移動と共に、導電性層14の面方向に銀が凝集してしまう。特に、本発明の製造方法では、高い導電性を得るために、前述のように、銀ナノチューブ等に分散性を付与する表面処理を行わずに、銀をそのまま添加して、ゾルゲル塗布液を調製するのが好ましいので、銀の凝集が起き易い。
そのため、厚さ方向に表面の銀密度が高い導電性層14を形成できるものの、面方向には銀の密度に分布が生じてしまい、面方向に銀の密度が高い領域と、低い領域とが混在してしまう。
その結果、面方向に部分的に非常に表面抵抗が高い領域が点在する結果となり、十分に低い表面抵抗を有する導電性層を形成することができない。
これに対し、本発明の製造方法においては、このアルコキシシラン化合物および銀を含有するゾルゲル塗布液を用いるゾルゲル法による導電性層14の形成に先立ち、窒素ガスと水素ガスとを含み、かつ、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いて、大気圧中(常圧中)でプラズマ放電を行い、導電性層14の形成面となる基板(支持体12/中間層24)の表面に大気圧プラズマによる処理を行う。
本発明の製造方法においては、この混合ガスを用いる大気圧プラズマ処理によって、基板の表面に、全面的にアミノ基(−NH)を導入して、このアミノ基が有する銀の保持力(アンカー硬化)によって、面方向への銀の凝集を防止する。これにより、深さ方向では、表面の銀の密度が多く、かつ、面方向には、銀の密度が全面的に均一な導電性層14を形成できる。
その結果、本発明の製造方法によれば、最小限の銀の使用量すなわち低コストで、全面的に均一な表面抵抗を有し、かつ、表面抵抗が非常に低い、高性能な導電性層14を、安定して形成することができる。
しかも、大気圧プラズマを利用するので、減圧下でのプラズマ処理とは異なり、真空チャンバ等を用いることなく、基板表面のプラズマ処理を行うことができる。そのため、低コストで簡易な設備で、高い生産性でプラズマ処理を行うことができ、さらに、後述するロール・トゥ・ロールでの製造方法への適用も、容易である。
なお、各種の積層型フィルムの製造において、各種の層(膜)の形成面をプラズマで処理して、表面にアミノ基を導入することにより、形成する層の密着性を向上できるのは、周知のことである。
しかしながら、後に実施例でも示すが、銀を含む導電性層の形成においては、単にプラズマ処理を行ってアミノ基を導入しても、導電性層14の密着性は向上できるが、本発明のように、面方向の銀の凝集を防止することは出来ない。
すなわち、本発明者の検討によれば、大気圧プラズマで基板の表面を処理すると、基板中に含まれる水分等に起因して、酸素が基板から放出される。また、周辺の空気からも、酸素が供給される。そのため、この酸素が、水素よりも優先的に窒素と結びついて、酸化窒素ラジカルになってしまい、これが基板表面に導入されて、十分なアンカー効果を発現するだけのアミノ基を、基板の表面全面に導入することができない。
これに対し、本発明においては、窒素ガスのみならず、さらに水素ガスを含み、かつ、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いて、基板表面の大気圧プラズマ処理を行う。
この水素ガスの導入によって、基板から放出される酸素等と窒素との反応すなわちNOラジカルの生成を阻害することができる。その結果、銀の凝集を防止するのに十分なアミノ基を、基板全面に導入することができ、面方向の銀の凝集を防止するのに十分なアンカー効果を得ることができる。
また、本発明の製造方法においては、大気圧プラズマ処理を行う混合ガスの酸素ガスの含有量(酸素ガス濃度)が0.01vol%以下である。
すなわち、本発明においては、窒素ガスと水素ガスとを含み、かつ、実質的に酸素ガスを含有しない混合ガス(不可避的に混入する酸素(コンタミネーションレベルで混入する酸素)を除いて、酸素を含有しない混合ガス)を用いる大気圧プラズマによって、基板の表面をプラズマ処理する。
このように、実質的に酸素ガスを含有しない混合ガスを用いて、大気圧プラズマ処理を行うことにより、先と同様に、NOラジカルの生成を十分に抑制しつつ、基板の表面全面に、より好適にアミノ基を導入して、面方向の銀の濃度を均一化して、より低い表面抵抗を有する導電性部材を製造することができる。
本発明において、大気圧プラズマの生成に用いる混合ガスは、基本的に、窒素ガスと水素ガスのみを含有するものであるのが好ましい。
しかしながら、必要に応じて、酸素原子を含有しない各種のガスを、混合ガスに添加してもよい。
本発明の製造方法において、大気圧プラズマ処理の条件、すなわち、電極間の距離、混合ガス(プロセスガス)の供給量、プラズマ励起の電力や電圧、プラズマ処理時間等は、大気圧プラズマ処理の処理量、要求される大気圧プラズマの処理速度、基板の種類等に応じて、公知の大気圧プラズマ処理と同様に設定すればよい。
ここで、本発明においては、大気圧プラズマ処理中は、分光光度計等を用いて、NOの250nmの発光強度、および、N2の340nmの発光強度を測定し、NOの発光強度が、N2の発光強度の1/10以下、好ましくは1/20以下、特に好ましくは1/30以下となるように、混合ガスにおける水素ガスと酸素ガスとの量比を制御するのが好ましい。好ましくは、大気圧プラズマ処理中は、NOの発光強度が、N2の発光強度の1/10以下となるように、水素ガスの供給量を制御するのが好ましい。
このような構成を有することにより、NOラジカルの生成を十分に抑制しつつ、基板の表面全面に、より好適にアミノ基を導入して、面方向の銀の濃度を均一化して、より低い表面抵抗を有する導電性部材を製造することができる。
また、上記と同様の理由により、混合ガス中の水素ガス濃度を2vol%以上とするのが好ましい。
他方、混合ガス中の水素ガス濃度の上限には、限定は無く、アミノ基を導入するのに十分な窒素ガス量が確保できる濃度を、適宜、設定すればよい。しかしながら、大気圧プラズマ処理では、あまり水素ガスの供給量を多くすると、危険性が高くなる。
さらに、本発明の製造方法においては、上記と同様の理由により、大気圧プラズマ処理の処理量を、7〜17kJ/m2、特に、8〜13kJ/m2とするのが好ましい。
なお、大気圧プラズマ処理量は、プラズマ励起電力や処理時間で調整する方法や、後述するロール・トゥ・ロールを利用する場合には、基板の搬送速度で調整する方法等、公知の方法を利用して調整すればよい。
<<<ロール・トゥ・ロール>>>
本発明の製造方法によって導電性部材を製造する場合には、長尺な支持体12(基板)を用い、ロール状に巻回してなる支持体ロール(基板ロール)から基板を送り出し、長手方向に搬送しつつ、前述の大気圧プラズマ処理および導電性層14の形成を行い、導電性層14を形成した支持体すなわち導電性部材10を、再度、ロール状に巻回する、いわゆるロール・トゥ・ロール(以下、RtoRとも言う)を利用するのが好ましい。
周知のように、RtoRを利用することにより、生産効率を向上できるので、前述のような優れた特性を有する導電性部材10(20)を、高い生産効率で製造できる。
また、本発明は、減圧ではなく、大気圧プラズマによって支持体12(中間層24)の表面のプラズマ処理を行う。そのため、真空チャンバ等が不要で、基板を搬送方向と直交する方向に挟む電極や、混合ガスの供給手段等を設けるだけで、大気圧プラズマ処理および導電性層14の形成を連続的に行うことができる。
なお、図1(B)に示す導電性部材20のように、中間層24を有する導電性部材を製造する際には、大気圧プラズマ処理を行う部位の上流に、中間層24(中間層24が複数層からなる場合には、その少なくとも、その内の一層)を形成する部位を設け、支持体12を長手方向に搬送しつつ、中間層24の形成、大気圧プラズマ処理および導電性層14の形成を、連続的に行ってもよい。
<<<導電性領域と非導電性領域とを含む導電性層(パターン化導電性層)の形成>>>
本発明の導電性部材の製造方法においては、必要に応じて、導電性層14をパターン化してもよい。パターン化導電性層は、例えば下記パターニング方法により製造される。
(1)予め銀およびゾルゲル硬化物を含む非パターン化導電性層を形成しておき、この非パターン化導電性層の所望の領域に含まれる導電性繊維に炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の高エネルギーのレーザー光線を照射して、導電性繊維の一部または全部を消失させて当該所望の領域を非導電性領域とするパターニング方法。この方法は、例えば、特開2010−4496号公報に記載されている。
(2)予め形成した銀およびゾルゲル硬化物を含む非パターン化導電性層上に所望のパターンのマスクレジスト層を設け、このマスクレジスト層に保護されていない領域の銀を、エッチング液で溶解処理するウェットプロセスか、または反応性イオンエッチングのようなドライプロセスで除去する方法。ここで所望のパターンのマスクレジストを形成する方法としては、フォトリソグラフィの手法を用いて、露光および現像によってパターンを形成する方法や、あるいはスクリーン印刷やインクジェット法により必要な部分のみにマスクを形成する方法等を好ましく用いることができる。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
(3)予め形成した銀およびゾルゲル硬化物を含む非パターン化導電性層上の、非導電性領域を形成したい部分にのみ、導電性繊維を溶解可能な成分を含むエッチング液を、スクリーン印刷やインクジェット法により、接触させる方法。
上記(1)〜(3)の方法のように、非導電性領域の形成が、支持体12上に銀およびゾルゲル硬化物を含む導電性層を形成後、銀を除去することで行われるのが好ましい。
パターン露光に用いる光源は、フォトレジスト組成物の感光波長域との関連で選定されるが、一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
パターン露光の方法にも特に制限はなく、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービーム等による走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
銀を溶解する溶解液としては、公知の方法が利用可能である。
例えば、いわゆる写真科学業界において、主にハロゲン化銀カラー感光材料の印画紙の漂白、定着工程に使用される漂白定着液、強酸、酸化剤(硫酸セリウム(IV)など、4価のセリウムを含む化合物は好ましい)、過酸化水素などが挙げられる。これらの中でも、漂白定着液、希硝酸、過酸化水素が特に好ましい。
希硝酸の濃度は、1〜20質量%であるのが好ましい。過酸化水素の濃度は、3〜30質量%であるのが好ましい。
漂白定着液としては、例えば特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、および特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、1〜120秒間がより好ましく、5〜90秒間が更に好ましい。また、水洗または安定化時間は、180秒間以下が好ましく、1〜120秒間がより好ましい。
漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば、適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
銀を溶解する溶解液の粘度は、25℃で、5〜300,000mPa・sであることが好ましく、10〜150,000mPa・sであることがより好ましい。
粘度を、5mPa・sとすることで、溶解液の拡散を所望の範囲に制御することが容易となって、導電性領域と非導電性領域との境界が明瞭なパターニングが確保できる。他方、粘度を300,000mPa・s以下とすることで、溶解液の印刷を負荷なく行うことが確保されると共に、導電性繊維の溶解に要する処理時間を所望の時間内で完了させることができる。
銀を溶解する溶解液のパターン状の付与としては、溶解液をパターン状に付与できれば、公知の方法が利用可能である。
例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、予めレジスト剤などによりエッチングマスクを形成しておきその上に溶解液をコーター塗布、ローラー塗布、ディッピング塗布、スプレー塗布する方法、などが挙げられる。これらの中でも、スクリーン印刷、インクジェット印刷、コーター塗布、ディップ(浸漬)塗布が特に好ましい。
インクジェット印刷としては、例えばピエゾ方式、サーマル方式および静電方式のいずれも使用可能である。
パターンの種類としては、導電性部材10(および導電性部材20 以下の説明では、導電性部材20は省略)の使用目的等に応じて決定すればよく、例えば、文字、記号、模様、図形、配線パターン、などが挙げられる。
パターンの大きさも、同じく、導電性部材10の使用目的等に応じて、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
本発明の製造方法による導電性部材10は、導電性層14は、表面(近傍)の銀濃度が高く、かつ、面方向の全面に銀が均一に存在する。そのため、各々の導電性領域間の最短距離が300μm以下であるパターンを形成する際に有効である。
本発明の製造方法による導電性部材10において、非導電性領域は銀を含まない、または含む場合においても微量であるため、マイグレーションが発生しにくく、微細なパターンを形成する必要がある場合においても非導電性領域の絶縁性が良好となるためである。導電性領域間の最短距離としては、200μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
本発明の製造方法による導電性部材10は、導電性領域の表面抵抗値(表面抵抗率)が150Ω/sq(ohm per square)以下となるように調整されることが好ましく、120Ω/sq以下であることがより好ましく、90Ω/sq以下であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、良好な導電性が確保される。
本発明の製造方法において、表面抵抗値が150Ω/sq以下、特に表面抵抗値が120Ω/sq以下の導電性部材10を得るためには、基板表面の大気圧プラズマ処理において、前述の3つの条件、すなわち、NOの発光強度がN2の発光強度の1/10以下(好ましくは1/20以下)、混合ガス中の水素ガス濃度が2vol%以上、および、大気圧プラズマ処理の処理量が7〜17kJ/m2の、3条件の内の、少なくとも1つの条件を満たすのが好ましい。特に、この条件の2つを満たすことにより、安定して、表面抵抗値が120Ω/sq以下の導電性部材10を製造することができ、中でも特に、3つの条件の全てを満たすことにより、より安定して、表面抵抗値が120Ω/sq以下の導電性部材10を製造することができる。
なお、表面抵抗は、導電性層14の支持体12側とは反対側の表面を四探針法)により測定された値である。四探針法による表面抵抗の測定方法は、例えばJIS K 7194 1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計を用いて、簡便に測定することができる。
また、本発明においては、このような大気圧プラズマ処理の条件制御以外にも、導電性層14中におけるゾルゲル硬化物と銀との含有率比の調整等によって、目的とする表面抵抗を得ることができる。
本発明の製造方法による導電性部材10において、導電性部材の透明性を確保するためには、導電性領域のヘイズ値が2.0%以下、透過率が85%以上であるのが好ましく、導電性領域のヘイズ値が2.0%以下、透過率が92%以上であるのがより好ましい。
<<導電性部材10の利用例>>
本発明の製造方法による導電性部材10は、面方向に均一に銀が存在し、かつ非常に低い表面抵抗を有するので、例えば、タッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパ、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、液晶表示装置、タッチパネル機能付表示装置、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。
<タッチパネル>
本発明の製造方法による導電性部材10は、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどに適用される。ここで、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサおよびタッチパッドを含むものとする。
タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の支持体12の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであるのが好ましい。
表面型静電容量方式タッチパネルについては、例えば特表2007−533044号公報に記載されている。
<太陽電池>
本発明の製造方法による導電性部材10は、集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)における透明電極として有用である。
集積型太陽電池としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。
これらの中でも、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、および銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスには、好適に利用される。
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにGeを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
本発明の製造方法による導電性部材10、前述の全ての太陽電池デバイスに関して適用できる。導電性部材10は、太陽電池デバイスのどの部分に含まれてもよいが、光電変換層に隣接して導電性層14が配置されていることがいるのが好ましい。光電変換層との位置関係に関しては下記の構成が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記に記した構成は太陽電池デバイスを構成する全ての部分を記載しておらず、導電性層14の位置関係が分かる範囲の記載としている。ここで、括弧([…])で括られた構成が、本発明による透明導電性部材に相当する(支持体12と導電性層14との間には、中間層24を有してもよいのは、前述のとおりである)。
(A)[支持体12−導電性層14]−光電変換層
(B)[支持体12−導電性層14]−光電変換層−[導電性層14−支持体12]
(C)基板−電極−光電変換層−[導電性層14−支持体12]
(D)裏面電極−光電変換層−[導電性層14−支持体12]
このような太陽電池の詳細については、例えば特開2010−87105号公報に記載されている。
以上、本発明の導電性部材の製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明について、より詳細に説明する。
[実施例1]
<基板の作製>
支持体12として、厚さ125μmのPETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300)を準備した。
また、第1中間層24aを形成する塗布液として、下記の第1塗布液を、第2中間層24bを形成するための塗布液として、下記の第2塗布液を、それぞれ調製した。
なお、以下の各溶液の調製において、重量は、全て質量である。
〔第1塗布液〕
・タケラックWS−5100(固形分濃度30%、三井化学(株)製)
2.28質量部
・酸化スズ−酸化アンチモンの水分散体(屈折率調整用)(FS−10D、固形分濃度20%、石原産業社製) 4.47質量部
・カルボジイミド構造を複数個有する化合物(日清紡(株)製、固形分濃度10%、カルボジライトV−02−L2) 3.42質量部
・界面活性剤(ナローアクティCL−95、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.14質量部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.14質量部
・蒸留水 89.7質量部
〔第2塗布液〕
・テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業(株)製) 8.98質量部
・3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業(株)製) 7.74質量部
・酢酸水溶液(酢酸濃度=1%) 19.8質量部
・硬化剤(アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル(株)製) 0.26質量部
・コロイダルシリカ(スノーテックスO−33、平均粒子径10nm〜15nm、固形分濃度33%、pH=2.4、日産化学工業(株)製) 12.0質量部
・界面活性剤(ナローアクティCL−95、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.10質量部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
2.36質量部
・蒸留水 48.1質量部
支持体12の一方の表面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理を施した表面に、バーコート法によって第1塗布液を塗布し、120℃で2分間乾燥させて、厚さが0.10μmの第1中間層24aを形成した。
さらに、第1中間層24aの表面をコロナ放電処理したのち、その表面に、バーコート法によって第2塗布液を塗布し、180℃で2分間加熱して乾燥し、厚さ0.6μmの第2中間層24bを形成した。
さらに支持体12の反対面にも、同様の手順によって、厚さ0.10μmの第1中間層24a、および、厚さ0.6μmの第2中間層24bを形成した。
これにより、PETを支持体12とし、両面に第1中間層24aおよび第2中間層24bを有する基板を作製した(図1(B)参照)。
なお、第1中間層24aおよび第2中間層24bは、共に、導電性層14の接着層として作用する。さらに、第2中間層24bは、支持体から導電性層14に不要な物質が侵入するのを防止する層としても作用する。
<銀ナノワイヤ分散液の調製>
下記の添加液A〜Dを調製した。
〔添加液A〕
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド60mg、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド600mg、グルコース2.0gを蒸留水120.0gに溶解させ、反応溶液A−1とした。さらに、硝酸銀粉末70mgを蒸留水2.0gに溶解させ、硝酸銀水溶液A−1とした。反応溶液A−1を25℃に保ち、激しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液A−1を添加した。硝酸銀水溶液A−1の添加後から180分間、激しい攪拌をし、添加液Aとした。
〔添加液B〕
硝酸銀粉末42.0gを蒸留水958gに溶解した。
〔添加液C〕
25%アンモニア水75gを蒸留水925gと混合した。
〔添加液D〕
ポリビニルピロリドン(K−30、東京化成工業株式会社製)400gを蒸留水1.6kgに溶解した。
次に、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド粉末1.30gと臭化ナトリウム粉末33.1gとグルコース粉末1,000g、硝酸(1N)115.0gを80℃の蒸留水12.7kgに溶解させた。この液を80℃に保ち、500rpmで攪拌しながら、添加液Aを添加速度250cc/分、添加液Bを500cc/分、添加液Cを500cc/分で順次添加した。攪拌速度を250rpmとし、80℃で100分間、加熱攪拌した。次いで、25℃に冷却した。攪拌速度を500rpmに変更し、添加液Dを500cc/分で添加した。便宜的に、この液を銀ナノワイヤ水分散液Aと称する。
次に、1−プロパノールを激しく攪拌しながら、銀ナノワイヤ水分散液Aを混合比率が体積比で1対1となるように一気に添加した。攪拌を3分間行った。次いで、分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、4倍に濃縮した後、蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。
その後、濃縮を行い、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤ分散液を得た。分散剤として用いられたポリマーの含有量は0.01%であった。
調製した銀ナノワイヤ分散液の銀ナノワイヤについて、前述のようにして平均短軸長さ、平均長軸長さ、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤの比率、及び銀ナノワイヤ平均短軸長さの変動係数を測定した。
その結果、平均短軸長さ17.8nm、平均長軸長さ8.2μm、平均長さの変動係数が15.2%の銀ナノワイヤを得た。得られた銀ナノワイヤのうち、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤの占める比率は82.5%であった。
<アルコキシシラン化合物溶液の調製>
以下の組成のアルコキシシラン化合物を含有する溶液を調製して、45℃で5時間攪拌し、均一になったことを確認して、アルコキシシラン化合物溶液を調製した。
・テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業(株)製) 5.0質量部
・1%酢酸水溶液 10.0質量部
・蒸留水 4.2質量部
<ゾルゲル塗布液の調製>
調製したアルコキシシラン化合物溶液を、前述の銀ナノワイヤ分散液に攪拌しながら加え、さらに1−プロパノールおよびイオン交換水を攪拌しながら順次加えることにより、銀ナノワイヤおよびアルコキシシラン化合物を含むゾルゲル塗布液(導電性層14を形成するための塗布液)を調製した。
ここで、ゾルゲル塗布液の調製は、銀とゾルゲル硬化物となるテトラエトキシシランとの質量比が1:7で、ゾルゲル塗布液中の銀濃度が0.25質量%、溶媒におけるイオン交換水と1−プロパノールの質量比が66:34となるように行った。
<大気圧プラズマ処理>
前述のPETフィルムを支持体として、第1中間層24aおよび第2中間層24bを形成してなる基板の表面(第2中間層24bの表面)を、水素ガスと窒素ガスとからなる混合ガスを用いて大気圧プラズマ処理した。
なお、大気圧プラズマ処理は、積水化学(株)社製のダイレクト型の常圧プラズマ表面処理装置を用いて行った。
混合ガスは、水素濃度が2vol%である窒素ガス−水素ガスの混合ガスとし、供給量は、20L/minとした。また、放電は、一次電源が30kHz、180Vの条件で行い、プラズマ処理量は10kJ/m2とした。
なお、大気圧プラズマでの処理中は、NOの250nmの発光強度とN2の340nmの発光強度とを、浜松ホトニクス社製のプラズマプロセスモニタC7460によって測定し、両者の発光強度比を算出した。本例においては、NOとN2との発光強度比として、NOの発光強度が、N2の発光強度の何%であるか([NOの発光強度/N2の発光強度]×100)を算出した。
発光強度比の算出結果は、下記表1に示す。
<導電性層14の形成>
表面を大気圧プラズマで処理した基板の一面に、銀量が0.015g/m2となるようにゾルゲル塗布液を塗布した後、140℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、導電性層14を形成した。これにより、導電性層14の形成面と逆面に中間層24を有する以外には、図1(B)の導電性部材20と同じ構成を有する導電性部材を作製した。
なお、ゾルゲル塗布液の塗布は、特開2006−95454号公報に例示される、バックアップローラを備えたエクストルージョン型の塗布ヘッドを有するスロットダイコーターにより行った。ここで、ダイ先端部と支持体塗布面間のクリアランスは50μm、塗布液ビート部上流の下流に対する減圧度は30Paとした。
導電性層14の膜厚(平均膜厚)は、0.1μmであった。
[実施例2]
基板を、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム製 TAC−TD80U)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
すなわち、この導電性部材は、図1(A)に示す導電性部材10と同じ構成を有する。
[実施例3]
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を1vol%にした以外は、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
[実施例4〜実施例9]
大気圧プラズマ処理の処理量を、6kJ/m2とした以外(実施例4)、
大気圧プラズマ処理の処理量を、8kJ/m2とした以外(実施例5)、
大気圧プラズマ処理の処理量を、12kJ/m2とした以外(実施例6)、
大気圧プラズマ処理の処理量を、14kJ/m2とした以外(実施例7)、
大気圧プラズマ処理の処理量を、16kJ/m2とした以外(実施例8)、
大気圧プラズマ処理の処理量を、18kJ/m2とした以外(実施例9)は、
それぞれ、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。なお、プラズマ処理量は、プラズマ処理を行う際の基板の搬送速度で調節した。
[実施例10〜実施例14]
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を、2.5vol%にした以外(実施例10)、
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を、1.5vol%にした以外(実施例11)、
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を、0.5vol%にした以外(実施例12)、
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を、0.7vol%にした以外(実施例13)、
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスの水素ガス濃度を、1.8vol%にした以外(実施例14)は、
それぞれ、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
[比較例1]
導電性層14を形成するためのゾルゲル塗布液の塗布に先立って、大気圧プラズマ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
なお、本例では、ゾルゲル塗布液と基板表面との間で、十分な密着性能が取れずに、乾燥時にゾルゲル塗布液のハジキが生じた。
[比較例2]
大気圧プラズマ処理を行うためのガスとして、混合ガスではなく窒素ガス(水素ガス濃度0vol%)を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
[比較例3]
大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスに酸素ガスを加え、水素ガス濃度が2vol%、窒素ガス濃度が97.65vol%,酸素ガス濃度が0.35vol%の混合ガスで大気圧プラズマ処理を行った以外は、実施例1と同様にして導電性部材を作製した。
[導電性層14の表面状態の確認]
作製した各導電性部材の導電性層14の表面を、オリンパス社製の共焦点レーザ顕微鏡OLS3100によって観察した。
その結果、実施例1〜14は、いずれも、銀ナノワイヤの凝集は殆ど認められず、また、基板(第1中間層24a)と導電性層との密着も十分に取れていた。
これに対し、比較例2および3は、基板と導電性層との密着は十分に取れていたが、銀ナノワイヤの凝集が認められ、面方向に、銀ナノワイヤの密度が高い領域と、銀ナノワイヤの密度が非常に低い領域とが形成されていることが確認できた。なお、比較例1では、ゾルゲル塗布液と基板表面との間で、十分な密着性能が取れずに、乾燥時にゾルゲル塗布液のハジキが生じていたのは、前述のとおりである。
[表面抵抗]
作製した各導電性部材の導電性層14の表面抵抗[Ω/sq]を、三菱化学(株)製のLoresta−GP MCP−T600を用いて、四端子法にて測定した。
なお、導電性層14の形成に先立ち、大気圧プラズマ処理を行わなかった比較例1では、測定限界以上であった。
表面抵抗の測定結果、および、大気圧プラズマ処理中におけるNOの250nmの発光強度とN2の340nmの発光強度との発光強度比の算出結果を、下記の表にまとめて示す。なお、発光強度比は、いずれも、下記表に示した数値の±1%以内で安定していた。
上記表に示されるように、導電性層14の形成に先立ち、水素ガスおよび窒素ガスを含有し、かつ、酸素ガスの濃度が0.01vol%以下である混合ガスを用いて、大気圧プラズマ処理を行った本発明の導電性部材は、いずれも、導電性層14の表面抵抗が180Ω/sq以下と、優れた特性を有する。
中でも、大気圧プラズマ処理において、『NO/N2』の発光強度比が10%以下(NO発光強度が、N2の発光強度の1/10以下)、水素ガス濃度が2vol%以上、および、処理量が7〜17kj/m2の2つ以上を満たすものは、いずれも、導電性層14の表面抵抗が160Ω/sq以下と、より優れた特性を有する。その中でも、3つの条件の全てを満たし、かつ、『NO/N2』の発光強度比が5%以下であるものは、いずれも、導電性層14の表面抵抗が120Ω/sq以下と、特に優れた特性を有する。
これに対して、大気圧プラズマ処理を行わなかった比較例1は、ゾルゲル塗布液と基板表面との間で、十分な密着性能が取れずに、乾燥時にゾルゲル塗布液のハジキが生じていたため、表面抵抗が測定限界を超えてしまった。また、大気圧プラズマ処理を行うためのガスが水素ガスを含まない比較例2、および、大気圧プラズマ処理を行うための混合ガスが酸素ガスを含む比較例3は、共に、表面抵抗が大きい。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10,20 導電性部材
12 支持体
14 導電性層
24 中間層

Claims (9)

  1. 基板と、前記基板の少なくとも一方の面の上に形成された導電性層とを有する導電性部材を製造するに際し、
    前記基板の表面を、窒素ガスと水素ガスとを含み、かつ、酸素ガスの含有量が0.01vol%以下である混合ガスを用いた大気圧プラズマで処理した後に、アルコキシシラン化合物および銀を含む塗布液を用いたゾルゲル法によって、前記導電性層を形成することを特徴とする導電性部材の製造方法。
  2. NOによる250nmの発光強度が、N2による340nmの発光強度の1/10以下となるように、前記混合ガスにおける窒素ガスおよび水素ガスの少なくとも一方の供給量を制御しつつ、前記大気圧プラズマ処理を行う請求項1に記載の導電性部材の製造方法。
  3. 前記混合ガスにおける水素ガス濃度が2vol%以上である請求項1または2に記載の導電性部材の製造方法。
  4. 前記大気圧プラズマ処理の処理量が、7〜17kJ/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
  5. 前記混合ガスが、窒素ガスおよび水素ガスのみを含む請求項1〜4のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
  6. 前記基板が、プラスチックフィルム、もしくは、支持体としてのプラスチックフィルムの少なくとも一方の面に中間層を形成してなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
  7. 前記中間層が、アルコキシシラン化合物を含む塗布液を用いたゾルゲル法で形成されたものである請求項6に記載の導電性部材の製造方法。
  8. 前記基板がガラスである請求項1〜5のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
  9. 前記基板が長尺なものであり、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、前記大気圧プラズマ処理、前記塗布液の塗布および乾燥を行う請求項1〜8のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015151489A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 出光興産株式会社 透明導電層形成用組成物
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WO2022107730A1 (ja) * 2020-11-18 2022-05-27 ナミックス株式会社 電磁波シールド用組成物及び電子部品
CN114613546A (zh) * 2022-02-28 2022-06-10 浙江大华技术股份有限公司 异形基透明导电薄膜及其制备方法和应用

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