JP2016032628A - 保育器用フード、これを備える保育器、保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜 - Google Patents

保育器用フード、これを備える保育器、保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜 Download PDF

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Abstract

【課題】内表面の曇りを防止、または抑制ことができ、かつ、細菌の繁殖を防止、または抑制できる、防曇性及び抗菌性に優れた保育器用フード、これを備える保育器、このような保育器用フードを形成するための親水加工シート、及び親水加工抗菌膜を提供する。
【解決手段】内表面の少なくとも一部に、親水加工部が設けられ、親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、親水加工部の表面の水接触角を30°以下とした構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、保育器用フード、これを備える保育器、保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜に係り、未熟新生児、幼弱病児、外科手術後の新生児等を収容するために用いられる、内表面の少なくとも一部に親水加工部が設けられた保育器用フード、これを備える保育器、並びにこのような保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜に関する。
従来より、母親の胎外の環境への適応力の小さい未熟新生児、幼弱病児、外科手術後の新生児(以下、新生児で代表する)等に、乳児期のある期間、成長可能な環境を与えるために、保温、保湿、隔離、観察(監視)するために、保育器が用いられている。
保育器では、環境への適応力が小さい新生児に適切な環境を与えるために、外界と遮断し、内部の温度、湿度等は自動調節ができ、内部の酸素濃度も自由に調節できるように構成されている。また、保育器の上部は、新生児を寝かせるベッドとなる基台を覆う透明な合成樹脂製の保育器用フードからなり、観察が容易であり、保育器用フードは、側面及び/又は前面に、2つ又は4つ、若しくは、更には、背面にも2つの手入れ窓を有し、これらの2つの手入れ窓に2本の手をそれぞれ入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を行うことができるように構成されており、感染防止効果も考慮されている。
このような保育器の重要な4つの機能として、保温、加湿、感染防止、及び酸素供給がある。
保温機能は、保育器にとって一番重要な機能である。ここで、新生児は、成人に比べ体重単位当たりの体表面積が大きく、皮下組織が薄いため、体温を自分で維持することがとても難しい。体温を維持するために多くのエネルギーを使うと、成長のために使うべきエネルギーが足りなくなってしまう。このため、新生児が最小のエネルギー消費で体温を一定に保つことができる温度を常に維持することが必要となる。
また、加湿機能は、新生児の体から水分が蒸発することによって体温が奪われていくことを防ぐために、保育器内の湿度を調節する必要があるためである。特に、超未熟新生児や極小未熟新生児の場合には、出生直後から1週間は80%〜90%の高湿度を保つ必要がある。
また、感染防止機能は、抵抗力の弱い赤ちゃんにとって気を付けなければいけないのは「感染」だからである。新生児に快適な環境(温度、湿度)は、細菌やウィルスの繁殖にとっても良い環境であるので、保育器内に入る空気中に細菌やウィルス(以下、細菌で代表する)等が混入していると、細菌等が繁殖しやすく、感染の原因になる。このため、保育器内に入れる空気はフィルタ等によりろ過して、埃や細菌等の進入を防ぐ必要がある。
更に、酸素供給機能は、新生児に必要な酸素を送り込む必要があるためである。まだ、肺が十分に発達しきらない状態で生まれてきた新生児には、通常より高い酸素濃度が必要となる。
以上のように、保育器の内部は、新生児の体温調節のために、通常、室温より温度が高く、かつ、湿度が高い状態に維持される。このため、透明な保育器用フードの内表面が曇ってしまい、又は結露してしまい、保育器内部が視認しづらくなる。その結果、新生児の容態観察や哺乳、養護、診察、及び諸処置等の障害となることがある。更に、保育器内に入る空気中からはフィルタ等により埃や細菌等が除去されているため、通常の保育器内の環境では、保育器用フードの内表面が少し曇っていても細菌等の繁殖が見られない状態であっても、内表面に結露が生じ、生じた結露が長期にわたると、結露部分に雑菌等やカビが繁殖し、新生児に感染する恐れがある。
このように、保育器用フードの内表面が曇ったり、内表面に結露が生じた場合には、内表面の曇りや結露を拭き取る必要があるが、新生児を寝かせたままで拭き取るのは危険であるし、消毒液等を用いて拭き取るために、他の保育器に移すのも、環境が大きく変化することになり、危険を伴うという問題があった。
このため、防曇剤や抗菌剤を保育器用フードの内表面に被覆することが考えられるが、防曇剤や抗菌剤が保育器内の高湿環境に溶出し、防曇剤や抗菌剤の効果に低下するばかりか、溶出した防曇剤や抗菌剤が新生児に及ぼす危険性が否定できないという問題があった。
このため、特許文献1に開示の技術では、プラスチックフード、即ちプラスチック製保育器用フードにおいて、内表面の少なくとも一部を光触媒で被覆することにより、曇り防止と同時に抗菌性を付与し、プラスチックフード内表面の結露、およびカビ・雑菌の繁殖性を防ぐことがで、保育期間中の新生児の保育を安全に行うことができるとしている。
また、抗菌性に関していえば、医療現場で使われる医療装置は、患者や医療関係者といった不特定多数の者と連続的に接触するものが多いため、近年、例えば、特許文献2や3に開示されるように、各装置の表面に抗菌層を設けることにより、細菌の増殖や、病気の感染のリスクを低減する技術が注目を集めている。
特許文献2には、シリカゲル担体に銀錯体を担持させた銀系抗菌剤、シリカゲルおよび有機結合剤からなる徐放性抗菌材料が開示されている。
特許文献3には、銀を含有するリン酸複塩からなる抗菌剤を含む耐擦傷性皮膜と基材とからなる前面板が開示されている。
特開2002−113053号公報 特開平09−131389号公報 特開2002−337277号公報
ところで、従来は、緊急事態に対処するために、保育器は、終日点灯下に置かれていた場合もあったが、現在のNICU(新生児集中治療室:Neonatal Intensive Care Unit)では、保育器用フードの外表面を光制御(遮光)カバーなどで覆い、光や音のストレスをできるだけ減らすことが行われる。
しかしながら、特許文献1に記載された光触媒は、殺菌性能とともに防曇性を発現するとされているが、殺菌性能や結露防止などの防曇性を発現させるためには、光が照射されることが必須であるため、保育器用フードの外表面が光制御(遮光)カバーなどで覆われ、遮光される環境下で使用される保育器用フードとしては好適ではないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、内表面の曇りや結露を防止、又は抑制することができ、かつ、細菌の繁殖を防止、又は抑制することができる防曇性及び抗菌性に優れた保育器用フード、これを備える保育器、このような保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様の保育器用フードは、内表面の少なくとも一部に親水加工部が設けられた保育器用フードであって、親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、親水加工部の表面の水接触角は、30°以下である特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様の保育器用親水加工シートは、新生児を寝かせる基台と、基台上に寝かされた新生児を覆い、内部に新生児の収容室を形成する保育器用フードとを有する保育器の保育器用フードの内表面の少なくとも一部に貼り付けるための保育器用親水加工シートであって、保育器用親水加工シートは、外表面の少なくとも一部に親水加工部が設けられ、親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、親水加工部の表面の水接触角は、30°以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の態様の保育器用親水加工抗菌膜は、新生児を寝かせる基台と、基台上に寝かされた新生児を覆い、内部に新生児の収容室を形成する保育器用フードとを有する保育器の保育器用フードの内表面の少なくとも一部に親水性部を形成するために、保育器用フードの内表面の少なくとも一部に形成される保育器用親水加工抗菌膜であって、保育器用親水加工抗菌膜は、少なくとも一部が親水性であり、親水性を示す親水性部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、親水性部の表面の水接触角は、30°以下であることを特徴とする。
上記第1、第2、及び第3の態様において、更に抗菌剤が、銀を含む少なくとも1種の抗菌剤からなり、親水加工部に含まれる単位面積当たりの銀含有量をP、以下の抽出試験より測定される単位面積当たりの銀イオン量をQとした場合、以下の式(1)および式(2)の関係を満たすものとしてもよい。
式(1) 6.0≦P/Q
式(2) 15.0≦Q
ここで、Pの単位はng/cmであり、Qの単位はng/cmである。また、抽出試験は、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、抽出液の温度を35±1℃に制御して、親水加工部と抽出液とを1時間接触させ、抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、得られた値を親水加工部の抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量であるQを得る試験である。
さらに、式(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(3) 15.0≦Q≦25.0
また、抗菌剤は、銀を含む第1抗菌剤と、第1抗菌剤とは異なる、銀を含む第2抗菌剤と、からなることが好ましい。
また、第1抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、第2抗菌剤が、銀、並びに、ゼオライトからなる担体を含むことが好ましい。
上記第1、第2、及び第3の態様において、更に抗菌剤が銀を含む少なくとも1種の抗菌剤からなり、以下の抽出試験で測定される単位面積当たりの銀イオン量が15〜50ng/cmであるものとしてもよい。
抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、抽出液の温度を35±1℃に制御して、親水加工部と抽出液とを1時間接触させ、抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、得られた値を親水加工部の抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量を得る。銀イオン量の単位はngであり、接触面積の単位はcmであり、単位面積当たりの銀イオン量の単位はng/cmである。
ここで、抗菌剤は、担体と、担体上に担持された銀とを含む銀担持担体であることが好ましい。
上記第1、第2、及び第3の態様において、更に親水加工部が、さらに、銀が担持されてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体を含有し、抗菌剤は、銀を含み、抗菌剤の平均粒径をDa、多孔性担体の平均粒径をDb、および、親水加工部の平均厚みをTとしたとき以下の関係を満たすものであるものとしてもよい。
式(4) T/Da>3.0
式(5) T/Db≦3.0
なお、Da、Db、および、Tの単位は、μmである。
ここで、多孔性担体に銀が担持されていることが好ましい。
また、DaおよびDbが、以下の関係を満たすことが好ましい。
式(6) Db/Da≦3.5
多孔性担体の含有量が、親水加工部全質量に対して、0.5質量%以下であることが好ましい。
抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含むことが好ましい。
上記第1、第2、及び第3の態様において、親水加工部の表面の表面粗さRaは、2〜15μmであることが好ましい。
また、親水加工部の平均厚みは、1〜10μmであることが好ましい。
また、抗菌剤の含有量は、親水加工部全質量に対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。
また、抗菌剤は、銀を担持したセラミックス粒子、及び、銀粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の態様の保育器は、上記第1の態様の保育器用フードと、新生児を寝かせる基台とを有し、保育器用フードは、基台上に寝かされた新生児を覆い、内部に新生児の収容室を形成するものであり、親水加工部は、保育器用フードの内表面の内、少なくとも、外側から収容室内に収容された新生児を観察する観察部分の内表面に設けられていることを特徴とする。
ここで、親水加工部は、保育器用フードの前面部及び/又は上面部の内表面に設けられていることが好ましい。
また、親水加工部は、保育器用フードの側面部及び/又は背面部の内表面に設けられていることが好ましい。
また、親水加工部は、保育器用フードの上面の内表面に設けられていることが好ましい。
また、親水加工部は、保育器用フードの全内表面に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、保育器用フードの内表面に親水加工部を設けることにより、透明な保育器用フードの内表面が曇りにくくなり、かつ、抗菌性も有するので、保育器用フードの手入れ窓から手を挿入して作業した場合にも細菌等が付着しにくくなる。
即ち、本発明によれば、内表面の曇りを防止、又は抑制することができ、かつ、細菌の繁殖を防止、又は抑制することができる、防曇性及び抗菌性に優れた保育器用フード、これを備える保育器、保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る保育器の一例の斜視図である。 保育器内の空気循環を説明するための図である。 (A)及び(B)は、それぞれ図1に示す保育器の保育器用フードの内表面に親水加工部を設けるのに用いられる親水加工シートの一例の模式的断面図である。 (A)、(B)及び(C)は、それぞれ図1に示す保育器の保育器用フードの内表面に親水加工部を設けるために保育器用フードの内表面に直接設けられる親水加工抗菌膜付き基体の一例の模式的断面図である。 本発明の実施の形態2に係る親水加工部付き基材の一例の模式的断面図である。 本発明の実施の形態3に係る親水加工部付き基材の一例の模式的断面図である。 本発明の実施の形態4に係る親水加工部付き基材の一例の模式的断面図である。 本発明の実施の形態4に係る親水加工部付き基材の抗菌性の機構を説明するための図である。
以下に、本発明に係る保育器用フード、これを備える保育器、保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を添付の図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る保育器の一例の斜視図である。
同図に示す保育器10は、母親の胎外の環境への適応力の小さい未熟新生児、幼弱病児、外科手術後の新生児(以下、新生児で代表する)新生児を寝かせるベッドとなる基台12と、基台12の少なくとも一部を覆うことにより、内部に新生児の収容室を形成する保育器用フード14とを有する。
基台12は、直方体形状をなし、長方形状の平坦な上面12aを有し、マットやタオルケットやタオル等を敷いて新生児を寝かせるためベッドを構成することができる。
保育器用フード14は、基台12上に寝かされた新生児を覆うもので、透明なプラスチック製の直方体の1つの稜線が削られて傾斜部となった略五角柱形状の筐体からなり、正面側から、正面部14a、傾斜部14b、上面部14c、及び背面部14dと、これらによって囲まれた両側面を覆う五角形状の1対の側面部14eを有し、正面部14a、背面部14d、及び1対の側面部14eによって囲まれた長方形状の底部は開放されている。なお、正面部14a及び傾斜部14bは、前面部ということもできる。
保育器用フード14は、基台12の上面12aの上部空間を覆うように、上面12aの上部に着脱可能に取り付けられており、基台12と共に、内部に新生児を収容するための外界と遮断された収容室15を形成する。
ここで、新生児の観察時や処置時に、医療従事者等の観察者や処置者が対面する側の面を前面部といい、内部に新生児を収容した状態で鉛直方向上側の面を上面部という。また、前面部に対向する面を背面部といい、前面部と背面部と上面部で囲まれる2つの面を側面部という。
なお、図示例においては、前面部は、正面部14a及び傾斜部14bで構成されているが、本発明はこれに限定されず、傾斜部14bの代わりに、正面部14aの上端部分と上面部14cの前端部分とを接合する曲面部で構成しても良いし、若しくは、正面部14aと傾斜部14bとの間や、傾斜部14bと上面部14cとの間の少なくとも一方を曲面部で構成しても良いし、更に、傾斜部14bや曲面部を無くし、正面部14aの上端部分と上面部14cの前端部分とを延長して直接接合して、保育器用フード14の形状を、直方体形状としても良い。
この他、正面部14aと側面部14eとの間、上面部14cと背面部14dとの間、上面部14cと側面部14eとの間、及び背面部14dと側面部14eとの間の少なくとも1つに、傾斜部及び/又は曲面部を設けても良いし、これらの傾斜部の両側もしくは片側を曲面部で構成しても良い。
保育器用フード14の1対の側面部14eには、それぞれ手入れ窓16を有し、医者や、看護師等の医療従事者が保育器10の内部に両手を入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を行うことができるように構成されている。
また、保育器用フード14の正面部14aは、開閉可能な正面扉18を有し、正面扉18を開放して、新生児を保育器10の収容室15内に搬入して収容したり、収容室15内から搬出したりすることができる。
また、図示例のように、正面扉18にも、開閉可能な一対の手入れ窓20を設け、医療従事者が保育器10の内部に両手を入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を行うことができるように構成しても良い。
なお、図示例では、一対の手入れ窓16をそれぞれ1対の側面部14eに、一対の手入れ窓20を正面部14aの正面扉18に設けているが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方でも良いし、若しくは、これらの代わりに、若しくは、これらに加えて、図示しない一対の手入れ窓を背面部にも設けても良い。
ところで、本発明の保育器10も、上述したように、重要な4つの保温機能、加湿機能、感染防止機能、及び酸素供給機能を備えているのは勿論であり、図示しないが、そのための保温手段、加湿手段、感染防止手段、及び酸素供給手段を備えている。これらの保温手段、加湿手段、感染防止手段、及び酸素供給手段は、従来公知の手段を用いればよいので、説明は省略する。
また、保育器10の基台12の正面側には、これらの保温手段、加湿手段、感染防止手段、及び酸素供給手段を適切に制御するためのタッチパネル方式のコントロールパネル22を有する。
このコントロールパネル22を用いて、保温手段、加湿手段、感染防止手段、及び酸素供給手段を適切に制御して、保育器10内の環境を、適切な温度、適切な湿度、及び適切な酸素濃度に維持するとともに、保育器10内の空気雰囲気を細菌やカビなどの発生がなく、ちりやほこりの無く、感染等の無い雰囲気に維持することができる。
本発明の保育器10は、以上のような構成を有するものであるが、この構成において、保育器用フード14の内表面の少なくとも一部、例えば、外側から保育器10の収容室15内に収容された新生児を観察する観察部分に対応する内表面には親水加工部が設けられている。ここで、内表面とは、新生児が収容される空間側の表面を内表面という。
本発明において、親水加工部を設ける場所は、保育器用フード14の内表面の少なくとも一部、例えば外側からの観察部分に対応する内表面とするのが好ましい。具体的には、親水加工部を、保育器用フード14の前面部、例えば正面部14aの正面扉18、又は正面部14a全体、又は斜面部14b、若しくは、正面部14a及び斜面部14bの内表面に設けるのが好ましい。これらの中では、正面部14a及び斜面部14bの内表面に親水加工部を設けるのがより好ましい。
また、保育器用フードの内表面の上面、すなわち、上面部14c及び斜面部14bに親水加工部を設けるのも下記の点で好ましい。
図2は、保育器内の空気の循環を示す図である。図中に示される保育器は、一部の部材が省略されているが、図1に示す保育器10と同じものである。
一般的な保育器では、外気から埃や細菌を除去し、所定の温度、湿度、酸素濃度に調整した空気を、図中の矢印に示すように、保育器用フードの前面部14a及び背面部14dの内側下部から、上面部14c及び斜面部14bへ向かって、緩やかに流すことにより、保育器内の温度を維持している。
しかし、保育器用フードの内表面に結露が発生している場合、保育器用フードの前面部14a側から流れる空気と、背面部14d側から流れる空気とが、保育器の天井部でぶつかることにより、保育器用フードに付着している水滴が寝かされている新生児に落下する可能性がある。このような新生児への水滴の落下は、新生児の体温低下を招いたり、ウィルスや細菌等への感染の原因となったりする。
そのため、保育器用フード内において循環する空気の流れにより、保育器用フードの内表面に生じた水滴が新生児に落下しやすい位置に親水加工部を設けることが好ましい。すなわち、保育器用フードの上面(上面部14c及び斜面部14b)、好ましくは、保育器10の上面12aに寝かされた新生児に対向する位置30に親水加工部を設ければ、新生児への水滴落下を防止することができる。
なお、本発明において、親水加工部を設ける場所は、保育器用フード14の前面部や上面(上面部14c及び斜面部14b)に限定されず、前面部や上面の代わりに、若しくは、前面部や上面に加えて、保育器用フードの背面部14d及び/又は一対の側面部14eの内表面に親水加工部を設けても良く、保育器用フード14の内表面の全面に親水加工部を設けるようにしても良い。
更に、本発明に用いられる親水加工部は、超親水性に加えて、高い抗菌性を持つので、コントロールパネル22のタッチパネルの表面に設けられていても良い。
本発明の保育器10は、基本的に、以上の構成を有するものであるが、本発明はこれに限定されず、本発明に用いられる親水加工部を保育器用フード14の内表面に設けることができる保育器であれば、従来公知のいかなる保育器であっても良い。
本発明に用いられる親水加工部は、保育器用フード14の内表面の少なくとも一部に設けられて、保育器用フード14内の室温より高く、高湿度である環境下において、親水加工部の膜表面で均一に水泡を分散し、均一な水膜を形成するので、曇りや結露を生じさせることがなく、透明な保育器用フード14の視認性を良好に維持することができる。その結果、保育器用フード14の親水加工部を通して保育器10内の新生児の様子や状態を容易かつ確実に観察することができ、一対の手入れ窓16又は20にそれぞれ手を入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を行うことができるし、雑菌等やカビの繁殖を防止又は抑制することができ、新生児への感染を防止することができる。
また、本発明に用いられる親水加工部は、水接触角が小さいので、保育器用フードの内表面に水滴が生じたとしても、水滴は直ちに親水加工部の表面に広がる。その結果、新生児への水滴落下を防止することができ、新生児の体温低下や感染を回避することができる。
さらに、本発明に用いられる親水加工部は、抗菌剤を含んでおり、高い抗菌性を持つので、雑菌等やカビの繁殖をより効果的に防止又は抑制することができ、新生児への感染をより効果的に防止することができる。
また、本発明に用いられる親水加工部は、高い親水性を有するため、その内部に分散される抗菌剤も、抗菌作用を発揮するために用いることができる。そのため、従来、保育器用フードの一般的な消毒方法であるホルマリン消毒が頻繁に行われた場合、抗菌性や防曇性を長期間維持することができないという問題があったが、保育器用フードを頻繁にホルマリン消毒したとしても、常に、その表面の抗菌性や防曇性を維持することができ、保育器用フードを長寿命化することができる。
親水加工部には、親水性ポリマ及び抗菌剤が少なくとも含有される。
以下では、親水加工部に含まれる材料について詳述する。
[親水性ポリマ]
親水性ポリマとは、親水性基を有するポリマである。
親水性基の種類は特に制限されず、例えば、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック又はランダム結合したポリオキシアルキレン基)、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩などが挙げられる。
親水性ポリマの主鎖の構造は特に制限されず、例えば、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレアなどが挙げられる。
なお、ポリ(メタ)アクリル酸エステルとは、ポリアクリル酸エステル及びポリメタアクリル酸エステルの両方を含む概念である。
親水性ポリマの好適態様の一つとしては、上記親水性基を有するモノマーを重合させて得られるポリマが挙げられる。
親水性基を有するモノマーとは、上記親水性基と重合性基とを有する化合物を意図する。親水性基の定義は上述の通りである。
親水性基を有するモノマー中における親水性基の数は特に制限されないが、親水加工部がより親水性を示す点より、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個がさらに好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基などが挙げられる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが挙げられる。カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、オキシラニル基、オキセタニル基などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタアクリロイル基の両方を含む概念である。
親水性基を有するモノマー中における重合性基の数は特に制限されないが、得られる親水加工部の機械的強度がより優れる点で、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個がさらに好ましい。
親水性基を有するモノマーの好適態様の一つとしては、以下の式(A)で表される化合物が挙げられる。
式(A)中、Rは、置換基を表す。置換基の種類は特に制限されず、公知の置換基が挙げられ、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基)、上記親水性基などが挙げられる。
は、重合性基を表す。重合性基の定義は上述の通りである。
は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の種類は特に制限されず、例えば、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリール基、及び、それらの組み合わせが挙げられる。
は、ポリオキシアルキレン基を表す。ポリオキシアルキレン基とは、以下の式(B)で表される基を意図する。
式(B) *−(OR−*
式(B)中、Rは、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基)を表す。mは、2以上の整数を表し、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。なお、*は、結合位置を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
親水性ポリマを得る際には、上記親水性基を有するモノマーと他のモノマーとを併用してもよい。つまり、親水性基を有するモノマーと、他のモノマー(親水性基を有するモノマー以外のモノマー)とを共重合させて得られる親水性ポリマを使用してもよい。
他のモノマーの種類は特に制限されず、重合性基を有する公知のモノマーであれば適宜使用できる。重合性基の定義は、上述の通りである。
なかでも、親水加工部の機械的強度がより優れる点で、重合性基を2以上有する多官能モノマーが好ましい。多官能モノマーは、いわゆる架橋剤として作用する。
多官能モノマー中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、親水加工部の機械的強度がより優れる点、及び、取扱い性の点から、2〜10個が好ましく、2〜6個がより好ましい。
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
親水性モノマーと他のモノマー(特に、多官能モノマー)との混合比(親水性モノマーの質量/他のモノマーの質量)は特に制限されないが、親水加工部の親水性の制御がしやすい点から、0.01〜10が好ましく、0.1〜10がより好ましい。
なお、親水加工部には、上記親水性ポリマが主成分として含まれていることが好ましい。ここで、主成分とは、親水加工部全質量に対して、親水性ポリマの含有量が50質量%以上であることを意図し、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
[抗菌剤]
親水加工部に含まれる抗菌剤の種類は特に制限されず、公知の抗菌剤が使用できる。例えば、無機系抗菌剤、又は、有機系抗菌剤(好ましくは、水溶性の有機系抗菌剤)が挙げられる。なお、抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される病原性細菌類に対して殺菌効果を発揮するものが好適に用いられる。
有機系抗菌剤としては、例えば、フェノールエーテル誘導体、イミダゾール誘導体、スルホン誘導体、N−ハロアルキルチオ化合物、アニリド誘導体、ピロール誘導体、第4アンモニウム塩、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、又はイソチアゾリン系化合物等が挙げられる。
より具体的には、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以後、BCMと表示〉、10,10'−オキシビスフェノキシアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、ZPTと表示〉、N,N−ジメチル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド〈ジクロルフルアニド〉、ポリ−(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ−2−2'−ビス(ベンズメチルアミド)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、p−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これら有機系抗菌剤は、親水性、耐水性、昇華性、安全性等を考慮し、適宜選択して使用することができる。これら有機系抗菌剤の中では、親水性、抗菌効果、コストの点から、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TBZ、BCM、OBPA、又はZPTが好ましい。
なお、有機系抗菌剤としては、天然系抗菌剤も含まれる。天然系抗菌剤としては、カニやエビの甲殻等に含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖類のキトサンがある。
無機系抗菌剤としては、殺菌作用の高い順に、水銀、銀、銅、亜鉛、鉄、鉛、ビスマス等が挙げられる。例えば、銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属や金属イオンを担体に担持させたものが挙げられる。なお、担体としては、ケイ酸塩系担体、リン酸塩系担体、酸化物(例えば、ガラス)、チタン酸カリウム、又は、アミノ酸が挙げられる。
より具体的には、ゼオライト系抗菌剤、ケイ酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、リン酸カルシウム抗菌剤、酸化亜鉛系抗菌剤、溶解性ガラス系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、活性炭系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、チタニア系抗菌剤、有機金属系抗菌剤、イオン交換体セラミックス系抗菌剤、層状リン酸塩−四級アンモニウム塩系抗菌剤、又は抗菌ステンレス等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
上記抗菌剤の中では、抗菌効果が大きいことから、金属粒子(特に、銅粒子、銀粒子が好ましい)や、銀系無機系抗菌剤や、有機系抗菌剤が好ましい。銀系無機系抗菌剤としては、特に、銀を担持したセラミックス粒子(銀セラミックス粒子)が好ましく、より具体的には、ケイ酸塩系担体であるゼオライトに銀を担持させた銀ゼオライトや、シリカゲルに銀を担持させた抗菌剤が挙げられる。なお、有機系抗菌剤としては、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TPN、TBZ、BCM、OBPA、又はZPTが好ましい。
特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤としては、品川燃料の「ゼオミック」や富士シリシア化学の「シルウェル」や日本電子材料の「バクテノン」等がある。その他、銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させた東亜合成の「ノバロン」や触媒化成工業の「アトミーボール」やトリアジン系抗菌剤の「サンアイバックP」も好ましい。銀粒子としては、日本イオンの「ナノシルバー」を選定することができる。また、セラミックスに対して銀を化学的に結合させた銀セラミックス粒子からなる富士ケミカルの「バクテキラー」、「バクテライト」を選定することもできる。
抗菌剤の最も好ましい形態としては、金属イオンを徐放する銅粒子、銀粒子、銅セラミックス粒子、銀セラミックス粒子が好ましく、とりわけ、銀粒子、銀セラミックス粒子が特に好ましい。
親水加工部内における抗菌剤の含有量は特に制限されないが、汚染物質の除去性及び抗菌性のバランスの点から、親水加工部全質量に対して、0.001〜15質量%(以下、「wt%」と表記する)が好ましく、0.001〜10wt%がより好ましく、0.001〜5wt%がさらに好ましい。
抗菌剤として金属粒子を用いる場合、親水加工部内の抗菌剤の含有量は、親水加工部全質量に対して、0.001〜10wt%が好ましく、0.001〜5wt%がより好ましく、0.001〜1wt%がさらに好ましく、0.001〜0.1wt%が特に好ましい。含有量が0.001wt%以上であればより抗菌効果を向上させることができる。また、含有量が10wt%以下であれば親水性も低下せず、且つ経時性も悪化せず、防汚性に悪影響を及ぼさない。
また、金属粒子(特に、銀粒子)の平均粒径は1nm〜100nmが好ましく、1nm〜20nmがより好ましい。金属粒子は、粒径が小さいほど、表面積/体積比が大きくなり、より微量で抗菌性を発現させることができる。
銀セラミックス粒子を用いる場合、親水加工部全質量に対して、含有量が0.1wt%以上であればより抗菌効果を向上させることができる。また、含有量が10wt%以下であれば親水性も低下せず、且つ経時性も悪化せず、防汚性に悪影響を及ぼさない。
銀セラミックス粒子の平均粒径は、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。
なお、抗菌剤として、有機系抗菌剤を使用する場合、親水加工部全質量に対する有機系抗菌剤の含有量としては、汚染物質の除去性及び抗菌性のバランスの点から、1〜4wt%が好ましい。
本発明においては、抗菌剤が、親水加工部の表面に露出していなくてもよい。
親水加工部中には、抗菌性及び防曇性を阻害するものでなければ、必要に応じて上記親水性ポリマ及び抗菌剤以外の他の成分が含まれていてもよい。
(親水加工部の特性)
親水加工部の表面の水接触角は30°以下を示し、洗浄などによる親水加工部上の汚染物質の除去性がより優れる点で、21°以下が好ましく、15°以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、使用される材料特性の点から、5°以上の場合が多い。
水接触角が30°超の場合、十分な抗菌性や防曇性が得られず、汚染物質の除去性に劣る。
なお、本明細書において、水接触角は、JIS R 3257:1999の静滴法に基づいて測定を行う。測定には、株式会社ニック製LSE-ME1(ソフトウェア2win mini)を用いる。より具体的には、純水を用いて室温20℃で、水平を保った親水性加工部表面上に液滴2μlを滴下し、滴下後20秒時点での接触角を測定する。
親水加工部の表面は、微小な凹凸形状を有することが好適である。微小な凹凸形状を有することで、被写体との接触面積を低減することができ、結果として、皮脂等に由来する汚染物質の付着量を低減することができる。また、汚染物質との接触面積を減らすとともに、汚染物質と親水加工部表面との間に隙間ができやすくなることで、この間隙に水等が入り易くなり、結果として、汚染物質の除去性を向上させることにつながる。
また、特に親水加工部における被写体との接触部に凹凸形状を有する場合は、患者である被写体の皮膚との接触面積が減ることで、べたつき感が低減され、撮影時の患者の不快感を低減することにもつながる。
親水加工部の表面の表面粗さRaは特に制限されないが、1μm〜20μmが好ましく、2μm〜15μmがより好ましく、3μm〜6μmがさらに好ましい。
なお、表面粗さRaは、JIS−B0601:2001規定に基づいて測定する。具体的には、触針走査式粗さ測定器を使用し、親水加工部の表面の任意の5ヵ所を測定し、その平均値を表面粗さRaとする。また「粗さ計モード」を搭載したレーザーマイクロスコープ(例えば、キーエンス社VK-X200)を用いて、触診走査式と同等の測定を行うことも出来る。
親水加工部の平均厚みは特に制限されないが、汚染物質の除去性及び抗菌性の点からは、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましい。
なお、親水加工部の平均厚みの測定方法としては、サンプル片を樹脂に包埋して、ミクロトームで断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し測定する。親水加工部の任意の10点の位置における厚みを測定し、それらを算術平均する。
(親水加工部の作成方法)
上記親水加工部の作製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上述した親水性ポリマ及び抗菌剤を含む組成物を塗布して親水加工部を形成する方法や、別途作製した親水性ポリマ及び抗菌剤を含むポリマフィルムを所定の位置に貼り付ける方法などが挙げられる。
なかでも、親水加工部の厚みや表面凹凸の調整がより容易である点から、上述した、親水性基を有するモノマー及び抗菌剤を含む親水加工部形成用組成物(以後、単に「組成物」とも称する)を所定の位置に塗布して塗膜を形成し、塗膜に硬化処理を施すことにより親水加工部を形成する方法(塗布法)が好ましい。
組成物には、上述した親水性基を有するモノマー及び抗菌剤が含まれるが、他の成分(上記他のモノマー、溶媒(水又は有機溶媒))が含まれていてもよい。
なお、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、塗膜中での重合がより効率よく進行し、機械的強度に優れる親水加工部が形成される。重合開始剤の種類は特に制限されず、硬化処理の方法により最適な種類が選択されるが、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が選択される。より具体的には、ベンゾフェノン、フェニルフォスフィンオキシドなどの芳香族ケトン類、α‐ヒドロキシアルキルフェノン系化合物(BASF IRGACURE184、127、2959、DAROCUR1173など)、フェニルフォスフィンオキシド系化合物(MAPO:BASF LUCIRIN TPO、BAPO:BASF IRGACURE 819)などが挙げられる。
組成物中に含まれる重合開始剤の含有量は特に制限されないが、親水性基を有するモノマー及び他のモノマーの合計質量100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜6質量部がより好ましい。
組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の塗布方法が採用される。
また、硬化処理の方法は特に制限されず、加熱処理又は光照射処理が挙げられる。
本実施の形態に係る保育器10は、基本的には以上のように構成されるものであるが、保育器用フード14の内表面の少なくとも一部、即ち所定の箇所、例えば、少なくとも、外側からの観察部分に対応する内表面、具体的には、正面部14a及び/又は斜面部14bを含む前面部、及び/又は斜面部14b等や、更には、背面部14d及び/又は一対の側面部14eの内表面に設けられる親水加工部の形成方法について説明する。
本実施の形態に係る保育器10は、保育器用フード14の内表面の所定の箇所に親水加工部が設けられたものであるが、保育器用フード14の内表面の所定の箇所に親水加工部を設ける方法は、特に制限的ではなく、いかなる方法で設けても良いが、例えば、保育器用フード14の内表面の所定の箇所に、少なくとも一部、即ち全部又は一部に親水加工部を持つ親水加工シートを貼付することにより親水加工部を設けても良いし、保育器用フード14の内表面の所定の箇所に、少なくとも一部、即ち全部又は一部に親水性部を持つ親水加工抗菌膜を形成することにより親水加工部を設けても良い。
(親水加工シート)
次に、本発明の保育器の保育器用フードの内表面の所定の箇所に親水加工部を設けるために用いられる親水加工シートについて以下に説明する。
本発明の親水加工シート40は、図3(A)に示すように、シート本体42と、シート本体42の一方の外側面に形成される親水加工部44と、シート本体42の、一方の外側面と反対側の他方の表面に形成される粘着層46と、シート本体42と反対側の、粘着層46の表面に積層される剥離シート48とを有する。
なお、本発明の親水加工シートは、図3(A)に示す親水加工シート40ように、親水加工部44が、シート本体42の一方の外表面の全面に形成されるものに限定されず、図3(B)に示す親水加工シート41のように、シート本体42の一方の外表面の一部に形成されるものであってもよい。
本発明の親水加工シート40及び41は、親水加工部44とシート本体42との積層体を貼り付けて、上述した本発明の保育器10の保育器用フード14の内表面に親水加工部44を形成するためのものである。
図3(A)及び(B)に示す例では、親水加工シート40及び41は、粘着層46を有しているので、剥離シート48を粘着層46から剥離して、粘着層46を親水加工部形成面となる保育器用フード14の内表面の所定の箇所等に接着させることにより、親水加工部44とシート本体42との積層体を粘着層46によって親水加工部形成面に貼り付けて親水加工部44を保育器用フード14の内表面の所定の箇所に取り付けて設けることができる。
なお、図3(A)及び(B)に示す例では、親水加工シート40及び41は、親水加工部44とシート本体42との積層体に加え、粘着層46を有しているが、本発明はこれに限定されず、親水加工部44とシート本体42との積層体のみで構成されるものであっても良い。親水加工シート40及び41が、親水加工部44とシート本体42との積層体のみで構成されている場合には、別途、親水加工部形成面、又はシート本体42の表面に、接着剤等を塗布して接着剤層等を形成し、親水加工部形成面に親水加工部44とシート本体42との積層体を貼り付けて、親水加工部44を形成することができる。
なお、親水加工部44は、上述した親水加工部と同一であるのでその説明は省略する。
シート本体42は、その一方の外表面の全面又はその一部の領域に形成された親水加工部44を支持するものである。なお、親水加工部44は、シート本体42の一方の外表面の全面に形成されていても良いし、その一部に形成されていても良いが、全面に形成されることが好ましい。
シート本体42としては、親水加工部44を支持できれば、特に制限的ではないが、どのようなものでも良く、公知のシートを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフイルム(PET)、ポリブチレンテレフタレートフイルム(PBT)、ポリイミドフイルム、トリアセチルセルロースフイルム等を使用することができる。PETとしては例えば、東レ製ルミラーU34、東洋紡製コスモシャインA4300、帝人製O3916W等を用いることができる。また表面に易接着層が設けられていてもよい。
また、シート本体42の厚みも、特に制限的ではないが、10μm〜200μmが好ましく用いることができる。貼り付け対象が、抵抗膜方式のタッチパネルの場合、柔軟な表面に追随する必要があり、10μm〜100μm、さらには、10μm〜50μmが好ましい。また静電容量方式のタッチパネルの場合、貼りやすさの点から、50μm〜100μmを好ましく用いることができる。
粘着層46は、親水加工部44とシート本体42との積層体を、上述した保育器用フード14の内表面の所定の箇所の親水加工部形成面に接着するためのものである。粘着層46は、親水加工部44とシート本体42との積層体を親水加工部形成面に接着できればどのようなものでも良く、公知の粘着剤を用いて形成されたものであっても良い。なお、粘着層46に使用可能な粘着剤としては、特に限定的ではなく、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等が挙げられる。タッチパネルの表面に用いる場合は、貼り付け・剥離を繰り返すこと、気泡を入れずに貼り付けることを考慮して、自己粘着性の粘着剤も好ましく用いることができる。ここで、(メタ)アクリル系粘着剤とは、アクリル系粘着剤および/またはメタアクリル系粘着剤(メタクリル系粘着剤)を言う。この(メタ)アクリル系粘着剤としては、後述する粘着シートに用いられる(メタ)アクリル系粘着剤を用いることができる。
粘着層の形成方法としては、特に制限はなく、例えば、塗布方式や印刷方式、貼り合わせ方式などを挙げることができ、その中でも塗布により設置する方法と粘着シートを貼り付けて形成する方法を好ましく用いることができ、粘着シートを貼り付けて形成する方法がより好ましい。
また、粘着層46の厚みも、特に制限的ではないが、1μm〜30μmであることが好ましい。粘着層の厚さが1μm以上であると、共押出による安定成膜が安定的となり、30μm以下であると、材料コストが安価となる。このとき、粘着力を大きくする場合は、その粘性を考慮し、粘着層の厚みを大きくするのが好ましい。粘着層の厚みを大きくすることにより、被覆体との接触面積が大きくなりやすくなるためである。粘着層の厚さは、2μm〜20μmであることが好ましく、さらに3μm〜15μmがより好ましい。
また、粘着層46の粘着力も、特に制限的ではないが、2cN/25mm〜20cN/25mmの範囲であることが、使用上好ましい。粘着力が2cN/25mm以上であるとタッチパネル等の表面に貼り付けて使用する際にめくれ等が生じにくい。一方、粘着力が20cN/25mm以下であれば、フイルムを剥離する際にスムーズに剥離することができる。
剥離シート48は、親水加工シート40の使用時まで、粘着層46を保護するために粘着層46に接着されているものである。剥離シート48は、粘着層46を保護できればどのようなものでも良く、公知の剥離シート48を用いることができる。例えば、シリコーン系化合物や長鎖アルキル系化合物、ポリビニルアルコール・カルバメート等の離型剤を用いることができる。
また、剥離シート48の厚みも、特に制限的ではないが、1μm〜30μmであることが好ましい。離型層の厚さが1μm以上であれば、共押出による安定製膜が安定的となり、30μm以下であることが、材料コストが安価となる。離型層の厚さは、2μm〜20μmであることが好ましく、さらに3μm〜15μmが好ましい。
(親水加工抗菌膜)
次に、本発明の保育器の保育器用フードの内表面の所定の箇所に親水加工部を設けるために保育器用フードの内表面の所定の箇所に直接形成される親水加工抗菌膜について以下に説明する。
図4(A)、(B)及び(C)に、それぞれ保育器用フードの筐体の所定の箇所を構成する基体に親水加工抗菌膜が直接形成された親水加工抗菌膜付き基体(以下、単に抗菌膜付き基体という)を示す。
まず、図4(A)に示す抗菌膜付き基体50は、基材52と、基材52の一方の外側面(図示例では上側面)に形成される親水性部54とを有し、親水性部54は、本発明の親水加工抗菌膜56を構成する。
なお、本発明の親水加工抗菌膜56は、図4(A)に示すように、基材52の一方の外表面の全面に形成された親水性部54から構成されるものに限定されず、図4(B)に示す抗菌膜付き基材50Aのように、基材52の一方の外表面の一部に形成された親水性部54を含むように、基材52の一方の外表面の全面に形成されるものであってもよいし、図4(C)に示す抗菌膜付き基材50Bのように、基材52の一方の外表面の一部に形成された親水性部54から構成されるものであってもよい。
図4(A)、(B)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50、50A及び50Bの基材52は、保育器用フード14の筐体の所定の箇所の親水加工部形成面を構成する部材であって、例えば図1に示す保育器用フード14の正面部14a及び/又は斜面部14bを含む前面部、及び/又は斜面部14b等や、更には、背面部14d及び/又は一対の側面部14eの構成部材、例えば壁面部材である。
図4(A)、(B)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50、50A及び50Bの親水性部54は、基材52の表面の少なくとも一部に配置される。具体的には、親水性部54は、図4(A)に示す抗菌膜付き基材50のように、基材52の一方の側の表面の全面に配置されていても良いし、図4(B)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50A及び50Bのように、基材52の表面の一部のみに配置されていても良い。また、基材52は、図4(A)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50及び50Bのように、親水加工抗菌膜56の全体を構成するものであっても良いし、図4(B)に示す抗菌膜付き基材50Aのように、親水加工抗菌膜56の一部のみを構成するものであっても良い。
親水性部54としては、本発明の親水加工部、具体的には、上述した保育器用フード14の内表面の少なくとも一部を構成する所定の箇所に形成される親水加工部、例えば図3(A)及び(B)に示す親水加工シート40及び141の親水加工部44と全く同様の構成を有するものであるということができる。
すなわち、本発明の親水性部は、上述した本発明の親水加工部と全く同様の構成を有するものであるので、ここでは、説明を省略する。
図4(A)、(B)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50、50A及び50Bの親水加工抗菌膜56は、基材52の表面の少なくとも一部に配置され、抗菌作用を有する膜であり、少なくとも一部が親水性である。即ち、親水加工抗菌膜56は、その少なくとも一部が親水性部54によって構成される。
具体的には、親水加工抗菌膜56は、図4(A)及び(B)に示す抗菌膜付き基材50及び50Aのように、基材52の一方の側の表面の全面に配置されていても良いし、図4(C)に示す抗菌膜付き基材50Bのように、基材52の表面の一部のみに配置されていても良い。また、親水加工抗菌膜56は、図4(A)及び(C)に示す抗菌膜付き基材50及び50Bのように、親水加工抗菌膜56の全部が、親水性部54から構成されるものであっても良いし、図4(B)に示す抗菌膜付き基材50Aのように、親水加工抗菌膜56の一部のみが親水性部54から構成されるものであっても良い。
親水加工抗菌膜は、上述した親水加工部に含まれる抗菌剤、好ましくは、銀を含む抗菌剤を少なくとも1種含む。ここで、ここで用いられる抗菌剤、及び銀を含む抗菌剤(銀系抗菌剤)は、上述した抗菌剤、及び銀系抗菌剤と同様であるので、その説明は省略する。
なお、本発明においては、親水加工部中の場合と同様に、親水加工抗菌膜中における上記抗菌剤、又は上記銀系抗菌剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、親水加工抗菌膜全質量に対する抗菌剤(又は銀)の含有量が0.001〜20wt%(好ましくは、0.001〜5wt%)となるように抗菌剤、又は銀系抗菌剤を親水加工抗菌膜に含有させることが好ましい。
また、抗菌剤、特に銀系抗菌剤として有機系の抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤の含有量は特に制限されないが、抗菌膜の機械的強度がより優れ、本発明の効果がより優れる点で、抗菌膜全質量に対して、1〜4質量%が好ましい。
さらに、抗菌剤、特に銀系抗菌剤として無機系の抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤の含有量は特に制限されないが、抗菌膜の機械的強度がより優れ、本発明の効果がより優れる点で、抗菌膜全質量に対して、0.001〜10wt%が好ましく、0.01〜5wt%がより好ましい。
上記で述べた基材と親水加工抗菌膜とを備える抗菌膜付き基材は、親水性部付き基材ということができる。
本実施の形態に係る保育器10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
本発明の保育器10に新生児を搬入する場合には、まず、保育器用フード14の正面部14aの正面扉18を手前に倒して収容室15を開放して、医療従事者が両手で新生児を抱えて開放された正面扉18を通して収容室15内に搬入し、基台12の平坦な上面12a上に構成されたベッド上に寝かせた後、両手を正面扉18から抜き出して正面扉18を閉めて、収容室15を外界と遮断する。
この後、必要に応じて、医療従事者は、保育器用フード14の1対の側面部14eのそれぞれの手入れ窓16、又は正面部14aの一対の手入れ窓20から保育器10の収容室15内に両手を入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を行うことができる。
また、必要に応じて、正面扉18を開放して、新生児を保育器10の収容室15内から搬出したりすることもできる。
この新生児が収容された収容室15内は、例えば保育器用フード14の壁面構造を2重構造にしてその間に清浄化手段により清浄化され、加温手段により加温された温風を流すことにより所定の温度(外界の室温より少し高い温度)に、加湿手段により清浄化された加熱蒸気を供給することにより所定の湿度(かなりの高湿度)に、酸素供給手段により酸素を供給することにより所定の酸素濃度(空気より高酸素濃度)に維持される。
このため、保育器用フード14の収容室15内は、室温四より高い温度で、かなりの高湿度に維持されるが、保育器用フード14の所定の箇所の内表面、例えば、外側から収容室15内に収容された新生児を観察する観察部分の内表面には、親水加工部が設けられているので、透明な保育器用フード14の内表面は、曇りや結露が防止、又は抑制され、外部からの保育器10の収容室15内部の視認性が低下することがなく、新生児の観察を容易、かつ確実に、また、注意深く行うことができる。
その結果、医療従事者は、保育器用フード14の手入れ窓16又は20から保育器10の収容室15内に両手を入れて、新生児に対して、哺乳、養護、診察、及び諸処置を各自治かつ適切に行うことができる。
また、親水加工部は、抗菌性も有するので、新生児を保育器10の収容室15内に搬入した場合や、収容室内から搬出した場合や、保育器用フードの手入れ窓から手を挿入して上述した種々の作業した場合にも、細菌等が付着しにくくなり、また、細菌の繁殖を防止、又は抑制することができる。
なお、この親水加工部では、保育器用フード14に遮光性のカバーが被せられ、光が照射されない場合であっても、水接触角が30°以下であり、十分な親水性が発現するとともに、十分な防曇性、十分な抗菌性を発揮することができる。
なお、保育器10の使用開始するに当たり、又は、使用終了後に、先ず、保育器10の保育器用フード14の内表面の少なくとも一部の親水加工部、好適には育器用フード14の全内表面を清浄化しても良い。即ち、消毒液を含ませたワイパー等で保育器用フード14の内表面を拭き取っても良い。消毒液としては、エタノール水溶液や次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。保育器用フード14にエタノール水溶液等を使用すると材質劣化が生じるため、ホルマリンが用いられることもある。
この親水加工部の親水性により、保育器用フード14の内表面が消毒液で十分に濡らされる。換言すれば、消毒液が保育器用フード14の内表面に十分に濡れ広がる。従って、この時点で保育器用フード14の内表面に細菌が万一残留していたとしても、この細菌に対して消毒液が長時間接触する。また、保育器用フード14の内表面の親水加工部内には、抗菌剤が含まれているので、細菌に対して抗菌剤が作用する。従って、従来よりも殺菌能力を向上させることができ、細菌の繁殖を抑制できる。
このように、実施の形態1にかかる保育器用フードは、優れた防曇性及び抗菌性を有する。
実施の形態2
実施の形態1では、親水加工部に含まれる抗菌剤の種類は、特に制限されないとしたが、実施の形態2に係る親水加工部は、抗菌剤として、銀を含む第1抗菌剤(以後、単に「第1抗菌剤」とも称する)と、第1抗菌剤とは異なる、銀を含む第2抗菌剤(以後、単に「第2抗菌剤」とも称する)を少なくとも含む。つまり、親水加工部に、2種の銀を含む抗菌剤(以後、単に「銀系抗菌剤」とも称する)が少なくとも含まれる。また、実施の形態1と2は、抗菌剤が異なること以外は、同じ構成、作用を有する。
第1抗菌剤および第2抗菌剤としては、銀(銀原子)が含まれていればよく、その種類は特に制限されない。また、銀の形態も特に制限されず、例えば、金属銀、銀イオン、銀塩(銀錯体を含む)など形態で含まれる。なお、本明細書では、銀錯体は銀塩の範囲に含まれる。
なお、銀塩としては、例えば、酢酸銀、アセチルアセトン酸銀、アジ化銀、銀アセチリド、ヒ酸銀、安息香酸銀、フッ化水素銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、塩素酸銀、クロム酸銀、クエン酸銀、シアン酸銀、シアン化銀、(cis,cis−1,5−シクロオクタジエン)−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、フッ化銀(I)、フッ化銀(II)、7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−オクタンジオン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロヒ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、イソチオシアン酸銀、シアン化銀カリウム、乳酸銀、モリブデン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、酸化銀(I)、酸化銀(II)、シュウ酸銀、過塩素酸銀、ペルフルオロ酪酸銀、ペルフルオロプロピオン酸銀、過マンガン酸銀、過レニウム酸銀、リン酸銀、ピクリン酸銀一水和物、プロピオン酸銀、セレン酸銀、セレン化銀、亜セレン酸銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、硫化銀、亜硫酸銀、テルル化銀、テトラフルオロ硼酸銀、テトラヨードキュリウム酸銀、テトラタングステン酸銀、チオシアン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロ酢酸銀およびバナジン酸銀等が挙げられる。
また、銀錯体の一例としては、ヒスチジン銀錯体、メチオニン銀錯体、システイン銀錯体、アスパラギン酸銀錯体、ピロリドンカルボン酸銀錯体、オキソテトラヒドロフランカルボン酸銀錯体またはイミダゾール銀錯体などが挙げられる。
第1抗菌剤および第2抗菌剤としては、例えば、上記銀塩などの有機系の抗菌剤と、後述する担体を含む無機系の抗菌剤が挙げられるが、その種類は特に制限されない。
なかでも、短時間で抗菌作用を示す、および/または、抗菌性を長時間維持できる点(以後、単に「実施の形態2の効果がより優れる点」とも称する)で、第1抗菌剤および第2抗菌剤が、担体と、担体上に担持された銀とを含む銀担持担体であることが好ましい。
担体の種類は特に制限されず、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。なお、ゼオライトとしては、例えば、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、クリノプチロライト等の天然ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等の合成ゼオライトが挙げられる。
上記銀担持担体の平均粒径は特に制限されないが、実施の形態2の効果がより優れる点で、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜2.0μmがより好ましい。なお、上記平均粒径は、顕微鏡により少なくとも10個の任意の銀担持担体の直径を測定し、それらを算術平均した値である。
なお、上述したように、銀は、銀イオン、金属銀、および、銀塩のいずれの形態で含まれていてもよい。
第2抗菌剤の好適態様としては、担体として多孔質体(例えば、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム)を用いた銀担持担体であることが好ましい。
また、第1抗菌剤および第2抗菌剤の最好適態様としては、実施の形態2の効果がより優れる点で、第1抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、第2抗菌剤が、銀、並びに、ゼオライトからなる担体を含むことが好ましい。言い換えれば、第1抗菌剤が、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒であり、第2抗菌剤がゼオライトからなる担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒である。
第1抗菌剤および第2抗菌剤中における銀の含有量は特に制限されないが、例えば、上記銀担持担体の場合、銀の含有量は、銀担持担体全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
親水加工部中における上記第1抗菌剤および上記第2抗菌剤の総含有量は特に制限されないが、実施の形態2の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対する銀の含有量が0.0001〜1質量%(好ましくは、0.001〜0.1質量%)となるように第1抗菌剤および第2抗菌剤を親水加工部に含有させることが好ましい。
なお、親水加工部中における銀量は、第1抗菌剤中の銀および第2抗菌剤中の銀の合計量を意図する。
また、親水加工部中における第1抗菌剤(または第2抗菌剤)の含有量は特に制限されないが、親水加工部の機械的強度がより優れ、実施の形態2の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。
(親水加工部の特性及び親水加工部の作成方法)
上述した抗菌剤を備える親水加工部の特性及び親水加工部の作成方法は、実施の形態1と同様である。
(親水加工部付き基材)
図5は、実施の形態2に係る親水加工部付き基材を示すものである。親水加工部付き基材60は、基材62と、基材62上に配置された親水加工部64とを有し、本実施形態の保育器用フードは、この親水加工部付き基体60を、その内表面に有する。なお、親水加工部64は、基材62の表面の少なくとも一部に配置されていればよい。
上述した抗菌剤を備える親水加工部付き基材は、親水加工部に含まれる単位面積当たりの銀含有量をP(ng/cm)、以下の抽出試験より測定される単位面積当たりの銀イオン量をQ(ng/cm)とした場合、以下の式(1)および式(2)の関係を満たす。
式(1) 6.0≦P/Q
式(2) 15.0≦Q
このような親水加工部付き基材は、短時間での抗菌性、および、長時間にわたる抗菌性が得られる。
以下では、まず、上記PおよびQの測定方法について詳述する。
親水加工部に含まれる単位面積当たりの銀含有量P(ng/cm)とは、親水加工部中に含まれる銀量(ng)を親水加工部の主面の面積(cm)で除した値である。なお、親水加工部の主面の面積とは、図5においては、親水加工部64の基材62側とは反対側の主面64aの面積を意図する。
銀含有量Pの値が大きいほど親水加工部中に含まれる銀量が多いことを意図し、銀含有量Pの大きさは、上記式(1)の関係を満たしていれば特に制限されないが、実施の形態2の効果がより優れる点で、90ng/cm以上が好ましく、120ng/cm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、膜の変色や脆化を防止する観点から、10000ng/cm以下が好ましく、1000ng/cm以下がより好ましい。
銀含有量Pの測定方法は、所定の大きさ(面積)に調整した親水加工部を用いて、原子吸光分析(イエナ製 contrAA700)により親水加工部中の銀量を測定し、得られた銀量を上記面積で除して、銀含有量Pを求める。より具体的には、親水加工部に含まれる銀を全て溶出させ、得られた溶液を用いて上記原子吸光分析して、あらかじめ作成しておいた検量線から銀量を求めて、親水加工部の面積で除して、銀含有量Pを求める。親水加工部に含まれる銀を全て溶出させる方法としては、無機分析における前処理として一般的に知られる湿式灰化処理を用いる。
抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用いる。この抽出液の温度を35±1℃に制御して、親水加工部付き基材中の親水加工部(親水加工部の面積:4cm(2cm×2cm))と抽出液(液量:9mL)とを1時間接触させる。なお、親水加工部と抽出液とを接触させる方法としては、抽出液中に親水加工部付き基材を浸漬する方法が実施される。
次に、1時間終了後、抽出液から親水加工部付き基材を回収して、抽出液に抽出された銀イオン量(ng)を測定する。抽出液中の銀イオン量の測定は、原子吸光分析(装置名イエナ製 cotrAA700)を用いて実施し、あらかじめ作成した検量線より銀イオン量を求める。
なお、銀イオン量を測定する際には、必要に応じて、測定の安定性を高めるため、抽出液に硝酸(約1mL)を加えることが好ましい。
次に、得られた銀イオン量を、親水加工部の抽出液との接触面積(4cm)で除して、単位面積当たりの銀イオン量Q(ng/cm)を算出する。親水加工部の抽出液との接触面積とは、親水加工部と抽出液とを接触させた際に親水加工部表面の抽出液と接触していた面積を意図し、例えば、図5においては親水加工部64の基材62側とは反対側の主面64aの面積を意図する。
この得られた銀イオン量Qは、親水加工部からの銀イオンの溶出(抽出)の程度を表しており、以下の式(2)の関係を満たす。式(2)は、Qが15.0ng/cm以上であることを意図する。
式(2) 15.0≦Q
なかでも、実施の形態2の効果がより優れる点で、式(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(3) 15.0≦Q≦25.0
さらに、実施の形態2の効果がより優れる点で、Qは17.0〜24.0ng/cmが好ましく、19.0〜21.0ng/cmがより好ましい。
銀イオン量Qが15.0ng/cm未満の場合、短時間での抗菌性に劣る。
上述した銀含有量Pと銀イオン量Qとは、以下の式(1)の関係を満たす。式(1)は、P/Qが6.0以上であることを意図する。なお、P/Qは、PをQで除した値である。
式(1) 6.0≦P/Q
なかでも、実施の形態2の効果がより優れる点で、P/Qは7.0以上が好ましく、10.0以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、抗菌性の持続効果が飽和する点から、20.0以下が好ましく、15.0以下がより好ましい。
P/Qが6未満の場合、長時間にわたって所定の抗菌性を示すことができない。
ところで、近年、医療装置は、その使用頻度をより高めるために、より短時間で抗菌作用を示すことが求められている。
また、さらに、抗菌作用をより長時間維持できることも求められている。
つまり、短時間で抗菌作用を示すと共に、抗菌性を長時間維持できる保育器用フードが求められている。
発明者らが、上述した特許文献2及び3に記載の抗菌層付き基材について検討を行ったところ、上記要件を十分に満たすものではなく、さらなる改良が必要であったが、実施の形態2にかかる親水加工部付き基材は、十分な防曇性、短時間での抗菌性が得られ、且つ、長時間にわたる抗菌性を有することを見出した。
すなわち、本実施の形態により、短時間で抗菌作用を示すと共に、抗菌性を長時間維持でき、防曇性に優れる保育器用フード、これを備える保育器、このような保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を提供することができる。
なお、親水加工部付き基材60の基材62と親水加工部64は、それぞれ、実施の形態1に係る親水加工シート40のシート本体42及び親水加工部44を構成し、親水加工抗菌膜付き基体(抗菌膜付き基体)50の基材52及び親水性部54を構成する。
実施の形態3
実施の形態1では、親水加工部に含まれる抗菌剤の種類は、特に制限されないとしたが、実施の形態3に係る親水加工部は、抗菌剤として、銀を少なくとも1種含む。つまり、実施の形態1と3は、抗菌剤が異なること以外は、同じ構成、作用を有する。
実施の形態3において、銀を含む抗菌剤(以後、銀系抗菌剤とも称する)は、銀(銀原子)が含まれていればよく、その種類は特に制限されない。なお、実施の形態3で用いられる銀の形態及びその具体例は、実施の形態2と同様である。
銀系抗菌剤としては、例えば、銀塩(銀錯体)などの有機系の抗菌剤と、担体を含む無機系の抗菌剤が挙げられるが、その種類は特に制限されない。
銀系抗菌剤のなかでも、親水加工部の耐光性がより優れる、および/または、抗菌性がより優れる点(以後、単に「実施の形態3の効果がより優れる点」とも称する)で、担体と、担体上に担持された銀とを含む銀担持担体が好ましい。
この実施の形態3で用いられる担体の種類は、実施の形態2と同様であるが、実施の形態3の効果が優れる点で、担体としては、セラミックスが好ましい。
また、実施の形態3で用いられる銀担持担体の平均粒径も、実施の形態2と同様である。
銀系抗菌剤中における銀の含有量は特に制限されないが、例えば、上記銀担持担体の場合、銀の含有量は、銀担持担体全質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
親水加工部中における上記銀系抗菌剤の含有量は特に制限されないが、実施の形態3の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対する銀の含有量が0.001〜20質量%(好ましくは、0.001〜5質量%)となるように銀系抗菌剤を親水加工部に含有させることが好ましい。
また、銀系抗菌剤として有機系の抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤の含有量は特に制限されないが、親水加工部の機械的強度がより優れ、実施の形態3の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対して、1〜4質量%が好ましい。
さらに、銀系抗菌剤として無機系の抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤の含有量は特に制限されないが、親水加工部の機械的強度がより優れ、実施の形態3の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
(親水加工部の特性)
上述した抗菌剤を備える親水加工部は、実施の形態1に記載の特性と同様であるが、特に、視認性に優れる。上述した抗菌剤の効果、すなわち、外光に長時間暴露されても親水加工部が変色することない耐光性効果と、親水加工部の表面の水接触角が30°以下であることによる優れた防曇性効果とから、透明な保育器用フードの視認性に特に優れる。
(親水加工部の作成方法)
上述した抗菌剤を備える親水加工部の作成方法は、実施の形態1と同様である。
(親水加工部付き基材)
図6は、実施の形態3に係る親水加工部付き基材を示すものである。親水加工部付き基材70は、基材72と、基材72上に配置された親水加工部74とを有し、本実施形態の保育器用フードは、この親水加工部付き基体70を、その内表面に有する。なお、親水加工部74は、基材72の表面の少なくとも一部に配置されていればよい。
上述した抗菌剤を備える親水加工部付き基材70は、後述する抽出試験で測定される単位面積当たりの銀イオン量が15〜50ng/cmを示し、実施の形態3の効果がより優れる点で、15〜40ng/cmが好ましく、15〜30ng/cmがより好ましい。
上記銀イオン量が15ng/cm未満の場合、抗菌性に劣る。銀イオン量が50ng/cm超の場合、耐光性に劣る。すなわち、このような親水加工部付き基材(保育器用フード)は、優れた耐光性、および、短時間での抗菌性が得られる。
なお、この実施の形態3で用いられる抽出試験の方法は、実施の形態2と同様である。
ところで、近年、医療装置は、その使用頻度をより高めるために、より短時間で抗菌作用を示すことが求められている。
また、抗菌層を有する基材は照明光や外光に長時間曝されるが、その際に抗菌層が変色しないことが求められる。例えば、保育器用フード表面の抗菌層が変色してしまうと、保育器内部が視認しづらくなる。
つまり、耐光性に優れると共に、短時間で抗菌作用を示す保育器用フードが求められている。
本発明者らは、上述した特許文献2および3に記載の抗菌層付き基材について検討を行ったところ、上記要件を十分に満たすものではなく、さらなる改良が必要であったが、実施の形態3にかかる親水加工部付き基材は、十分な防曇性、十分な視認性、十分な耐光性、及び、短時間で抗菌性が獲得することができるという効果を有することを知見した。
すなわち、本発明の実施の形態により、防曇性と、耐光性と、短時間で抗菌作用を示すという抗菌性に優れた保育器フード、これを備える保育器、保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を提供することができる。
なお、親水加工部付き基材70の基材72と親水加工部74は、それぞれ、実施の形態1に係る親水加工シート40のシート本体42及び親水加工部44を構成し、親水加工抗菌膜付き基体(抗菌膜付き基体)50の基材52及び親水性部54を構成する。
実施の形態4
図7は、実施の形態4に係る親水加工部付き基材を示すものである。親水加工部付き基材80は、基材82と、基材82上に配置された親水加工部84とを有し、本実施形態の保育器用フードは、この親水加工部付き基体80を、その内表面の少なくとも一部に有する。親水加工部84中には、銀88を含む抗菌剤86と、銀イオンを吸着可能な多孔性担体90とが含まれる。
実施の形態1では、親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有するものとしたが、実施の形態4に係る親水加工部は、親水性ポリマ、銀を含む抗菌剤、及び、銀イオンを吸着可能な多孔性担体を含有する。
また、実施の形態4に係る親水加工部を備える基材は、抗菌剤の平均粒径Da(μm)および上記多孔性担体の平均粒径Db(μm)は、親水加工部の平均厚みT(μm)との間で、以下の式(4)および式(5)の関係を満たす。
式(4) T/Da>3.0
式(5) T/Db≦3.0
図7に示すように、上記式(4)の要件を満たす抗菌剤86は、親水加工部84内部に埋没している場合が多く、上記式(5)の要件を満たす多孔性担体90は、親水加工部74の表面に露出しやすい。
なお、実施の形態1と4は、親水加工部が異なる以外は、同じ構成、作用を有する。
以下に、本実施の形態の詳細を示す。
(親水性ポリマ)
親水性ポリマは、実施の形態1と同様である。
(銀を含む抗菌剤)
銀を含む抗菌剤(以後、銀系抗菌剤とも称する)としては、銀(銀原子)が含まれていればよく、その種類は特に制限されない。また、この実施の形態4で用いられる銀の形態及びその具体例は、実施の形態2と同様である。
銀系抗菌剤としては、例えば、銀塩などの有機系の抗菌剤と、担体を含む無機系の抗菌剤が挙げられるが、その種類は特に制限されない。
なかでも、より短時間で抗菌性を示す、および/または、抗菌性をより長期間維持できる点(以後、単に「実施の形態4の効果がより優れる点」とも称する)で、抗菌剤は、担体と、担体上に担持された銀とを含む銀担持担体であることが好ましい。この実施の形態4で用いられる担体の種類は、実施の形態2と同様である。
抗菌剤(好ましくは、上記銀担持担体)の平均粒径は上述した式(4)の要件を満たせば特に制限されないが、実施の形態4の効果がより優れる点で、0.1〜10μmが好ましく、0.1μm以上2.0μm未満がより好ましく、0.3〜1.0μmがさらに好ましい。
なお、上記平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いる。
実施の形態4において、銀系抗菌剤の好適態様の一つとしては、本発明の効果がより優れる点で、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含む抗菌剤が挙げられる。言い換えれば、抗菌剤が、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒であることが好ましい。
(銀イオンを吸着可能な多孔性担体)
銀イオンを吸着可能な多孔性担体とは、銀イオンを吸着し得る多数の細孔を有する担体をいい、細孔の径や形状、細孔容積、細孔密度、または、比表面積等に関して、特段の限定はない。具体的には、活性炭、ゼオライト、活性炭素繊維、シリカゲル、活性白土、アルミナ、珪藻土等の無機多孔性担体や、パルプ、繊維、紙、布、不織布、木材、木粉等の有機質高分子多孔性担体を任意に使用できる。なお、ゼオライトとしては、例えば、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、クリノプチロライト等の天然ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等の合成ゼオライトが挙げられる。
なお、上記多孔性担体には、銀が担持されていてもよい。つまり、多孔性担体と、多孔性担体上に担持された銀とを含む銀担持多孔性物質(いわゆる、抗菌剤に該当)が使用されてもよい。なお、多孔性担体に銀が担持される場合(つまり、銀担持多孔性物質の場合)、銀が担持された多孔性担体と、上述した抗菌剤とは種類は異なる。
上記のように、親水加工部には、銀イオンを吸着可能な多孔性担体、および、銀が担持された、銀イオンを吸着可能な多孔性担体からなる群から選択される1種(多孔性物質)が含まれる。
なお、多孔性担体に担持される銀は、銀イオン、金属銀、および、銀塩のいずれの形態で含まれていてもよい。
なかでも、実施の形態4の効果がより優れる点で、親水加工部には、銀が担持された多孔性担体が含まれることが好ましい。言い換えれば、銀と、多孔性担体とを含む銀担持多孔性物質が親水加工部に含まれることが好ましい。なお、多孔性担体としては、ゼオライトが好ましく挙げられる。つまり、ゼオライトからなる担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒であることが好ましい。
銀イオンを吸着可能な多孔性担体の平均粒径は先述した式(5)の要件を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜20μmが好ましく、1.0〜10μmがより好ましく、2.0〜5.0μmがさらに好ましい。
なお、上記平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いる。
(親水加工部の特性及び親水加工部の作成方法)
上述した抗菌剤及び多孔性担体を備える親水加工部の特性及び親水加工部の作成方法は、実施の形態1と同様である。
(親水加工部付き基材)
先述したように、上述した抗菌剤を備える親水加工部を備える基材(保育器用フード)80は、抗菌剤の平均粒径Da(μm)および上記多孔性担体の平均粒径Db(μm)は、親水加工部の平均厚みT(μm)との間で、以下の式(4)および式(5)の関係を満たす。
式(4) T/Da>3.0
式(5) T/Db≦3.0
このような親水加工部付き基材は、短時間での抗菌性、及び、長期間(長時間)にわたる抗菌性が得られる。
上記式(4)は、親水加工部の平均厚みTと抗菌剤の平均粒径Daとの比(T/Da)が3.0超であることを意図する。なかでも、実施の形態4の効果がより優れる点で、比(T/Da)は3.1以上が好ましく、3.2以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、10以下の場合が多く、実施の形態4の効果がより優れる点で、6.0以下が好ましい。上記式(4)の関係を満たすことにより、抗菌剤が親水加工部内部に埋没しやすくなり、親水加工部からの過剰の銀イオンの溶出を抑制することができる。
また、上記式(5)は、親水加工部の平均厚みTと多孔性担体の平均粒径Dbとの比(T/Db)が3.0以下であることを意図する。なかでも、実施の形態4の効果がより優れる点で、比(T/Db)は2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、親水加工部の平坦性がより優れる点で、1.0以上が好ましい。上記式(5)の関係を満たすことにより、多孔性担体が親水加工部表面より突出しやすくなり、銀イオンの吸着がしやすくなる。
上記抗菌剤の平均粒径Daと上記多孔性担体の平均粒径Dbとの関係は特に制限されないが、実施の形態4の効果がより優れる点で、平均粒径Daと平均粒径Dbとの比(Db/Da)は4.5以下であることが好ましく、以下の式(6)の関係を満たすことが好ましい。
式(6) Db/Da≦3.5
なかでも、Db/Daの下限は特に制限されないが、実施の形態4の効果がより優れる点で、1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
抗菌剤中における銀の含有量は特に制限されないが、例えば、抗菌剤が銀担持担体の場合、銀の含有量は、銀担持担体全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
また、上記多孔性担体に銀が担持される場合、銀の担持量は特に制限されないが、銀および多孔性担体の総質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
親水加工部中における上記抗菌剤および上記多孔性担体の総含有量は特に制限されないが、実施の形態4の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対する銀の含有量が0.0001〜1質量%、好ましくは、0.001〜0.1質量%となるように上記抗菌剤および上記多孔性担体を親水加工部に含有させることが好ましい。
なお、親水加工部中における銀量は、抗菌剤中の銀および多孔性担体に担持された銀の合計量を意図する。
また、親水加工部中における抗菌剤の含有量は特に制限されないが、親水加工部の機械的強度がより優れ、実施の形態4の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.01〜2.5質量%がさらに好ましく、1.0質量%超2.5質量%以下が特に好ましい。
また、親水加工部中における多孔性担体の含有量は特に制限されないが、実施の形態4の効果がより優れる点で、親水加工部全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。
次に、図8(A)及び図8(B)を参照して、実施の形態4に係る親水加工部付き基材80が抗菌性を示す機構について説明する。
まず、図8(A)に示すように、抗菌剤86中の銀88がイオン化して、銀イオン92が親水加工部84から溶出して、親水加工部84上の細菌などに作用する。その際、溶出した銀イオン92の一部は、細菌と作用せずに、多孔性担体90の表面上に吸着される。抗菌剤86から銀イオン92が溶出し続けて、抗菌剤86中の銀量が低下し、その溶出量が小さくなると、次に、銀イオンの平衡関係を保とうとして、図8(B)に示すように、多孔性担体90に吸着していた銀イオン92が外部に溶出し始めて、抗菌性が保持される。つまり、多孔性担体90が親水加工部84に含まれることにより、抗菌剤86から溶出される銀イオン22を一時的に保持して、所定時間経過後(抗菌剤86からの銀イオンの溶出量が低下した後)に、銀イオン92を再度溶出することができ、多孔性担体90がない場合と比較して、長期間に渡って抗菌性を維持することができる。
ところで、近年、医療装置は、その使用頻度をより高めるために、より短時間で抗菌作用を示すことが求められている。
また、さらに、抗菌作用をより長時間維持できることも求められている。
つまり、短時間で抗菌作用を示すと共に、抗菌性を長時間維持できる保育器用フードが求められている。
発明者らが、上述した特許文献2及び3に記載の抗菌層付き基材について検討を行ったところ、上記要件を十分に満たすものではなく、さらなる改良が必要であったが、実施の形態4にかかる親水加工部付き基材(保育器用フード)は、優れた防曇性を有するとともに、短時間で抗菌性が得られ、且つ、長期間(長時間)にわたる抗菌性を有することを知見した。
すなわち、本実施の形態により、短時間で抗菌作用を示すと共に、抗菌性を長時間維持でき、防曇性に優れる保育器用フード、これを備える保育器、このような保育器用フードを形成するための保育器用親水加工シート、及び保育器用親水加工抗菌膜を提供することができる。
なお、親水加工部付き基材80の基材82と親水加工部84は、それぞれ、実施の形態1に係る親水加工シート40のシート本体42及び親水加工部44を構成し、親水加工抗菌膜付き基体(抗菌膜付き基体)50の基材52及び親水性部54を構成する。
[実施例1]
保育器10において、保育器用フード14のうち、前面部、即ち、正面部14a及び傾斜部14bの内表面に、後述する抗菌剤を含有する親水加工部形成用組成物を塗布及び硬化(紫外線照射処理)して、抗菌剤を含有し、抗菌加工された親水加工部を設けた。親水加工部の平均厚みは約2μmであった。
(親水加工部形成用組成物)
組成物には、以下の成分が含まれていた。なお、以下の銀セラミックス粒子分散液は、形成される親水加工部中の銀セラミックス粒子の含有量(親水加工部全質量に対する含有量(wt%(質量%)))が0.5wt%となる量を使用した。
親水性基を有するモノマー:Miramer M4004(東洋ケミカルズ社製)74質量部
抗菌剤:銀セラミックス粒子分散液(富士ケミカル社製、平均粒径0.8μm)
架橋剤:A-DPH(新中村化学工業株式会社製)20質量部
重合開始剤:IRGACURE (BASF社製)3質量部
[実施例2]
親水加工部形成用組成物中の抗菌剤として、銀セラミックス粒子の代わりに、銀微粒子分散液(日本イオン社製、平均粒径10nm)を使用し、形成される親水加工部中の銀微粒子の含有量(親水加工部全質量に対する含有量(wt%)が0.002wt%となる量を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
[比較例1]
親水性基を有するモノマーの代わりに、Miramer M420を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。なお、上記モノマーには親水性基は含まれていない。
[比較例2]
抗菌剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
[実施例3]
親水加工部形成用組成物に、さらに平均粒径8μmの滑材を3質量部添加し、抗菌剤として銀セラミックス粒子の代わりにビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ZPT)分散液(大和化学工業製)を抗菌剤(ZPT)の親水加工部に対する含有量が0.5wt%となるように使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
[実施例4]
抗菌剤の含有量を0.5wt%から2.5wt%となるようにビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ZPT)分散液の使用量を変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
[実施例5]
抗菌剤の含有量を0.5wt%から5wt%となるようにビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ZPT)分散液の使用量を変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
[比較例3]
抗菌剤の含有量を0.5wt%から9wt%となるようにビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ZPT)分散液の使用量を変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、親水加工部を設けた。
上記実施例1〜5、及び、比較例1〜3で得られた保育器用フードを持つ保育器を用いて、以下の各種評価を実施した。
なお、実施例1〜5、及び、比較例1〜3で得られた保育器の保育器用フード中の親水加工部の水接触角は、上述した方法によって、測定した。結果を表1にまとめて示す。
<各種評価>
(抗菌性)
抗菌性は、JIS Z 2801に記載の評価方法に従って抗菌活性値を測定し、以下の基準に従って評価を行った。抗菌活性値は高いほど抗菌性が高く、抗菌活性値が2.0未満のものを「抗菌性なし」としてC、抗菌活性値が2.0以上5.73未満のものを「抗菌性あり」としてB、抗菌活性値が5.73以上のものは「抗菌性が優れる」としてAとした。
菌液接触3時間後の抗菌性についても同様に評価した。結果を表1にまとめて示す。なお、上記「菌液接触3時間後の抗菌性」とは、菌液に親水加工部を3時間接触させた後に、上記評価方法に従って評価される抗菌性である。
なお、菌種は大腸菌を用いた。
以下、表1中、「抗菌剤含有量」は、親水加工部全質量に対する、抗菌剤の含有量(wt%)を表す。
(防曇性)
防曇性は、実施例1〜5、及び比較例1〜3で得られた保育器の収容室内の環境を、それぞれ温度35°及び湿度95%に、1時間維持して保育器の高温高湿度テストを行い、各保育器の保育器用フード中の親水加工部の視認性を5名の研究員が目視により官能評価した。
その視認性官能評価では、保育器用フード中の親水加工部に、全く曇りが見られない場合をA、僅かに曇りが見られるが収容室内の視認性には全く影響がない場合をB、曇りが少し見られるが収容室内の視認性には影響がなく、収容室内を十分に観察できる場合をC、曇りがあり収容室内の視認性が悪く、収容室内の観察に障害が出る場合をD、曇りに加え、結露が見られ、視認性が非常に悪く収容室内の観察ができない場合をEと評価した。
その結果を表1にまとめて示す。
表1から、比較例1〜3では、抗菌性及び防曇性の内のいずれか一方が抗菌性が無いか、又は視認性が悪く防曇性が低いと評価されたが、実施例1〜5では、抗菌剤が親水加工部に含まれることにより、抗菌性が優れると共に、親水加工部の超親水膜により膜表面で均一に水泡を分散し均一な水膜を形成するため、視認性に影響がなく、又は少なく、収容室内の新生児の観察に影響がないことが確認された。このように親水加工部が優れた抗菌性を示すことにより、微量に表面に残留した病原性の細菌に対して抗菌剤が作用し、細菌の繁殖を抑え、又は殺菌することができ、保育器の表面を媒介した感染の可能性を低減できる。
また、実施例1〜5に示すように、抗菌剤の含有量が所定の範囲(0.001〜5wt%)であれば、より優れた抗菌性を示すことが確認された。
以上から、本発明の実施の形態1の効果は明らかである。
[実施例6〜10及び比較例4〜6]
(硬化性組成物の調製)
以下に示す各成分を混合して、硬化性組成物を調製した。
親水性モノマー:Miramer M4004(東洋ケミカルズ社製) 76質量部
架橋剤:A-DPH(新中村化学工業株式会社製) 21質量部
重合開始剤:IRGACURE(BASF社製) 3質量部
溶剤成分(その1):メチルアルコール 15質量部
溶剤成分(その2):プロピレングリコールモノメチルエーテル 35質量部
(抗菌剤の調製)
(第1抗菌剤:リン酸亜鉛カルシウムに担持された銀を含む抗菌剤)
水酸化カルシウム、酸化亜鉛およびリン酸を反応させ、リン酸塩を得た。これに硝酸銀を添加し、洗浄、ろ過、乾燥、破砕することで、第1抗菌剤(銀担持担体)を得た。得られた第1抗菌剤の平均粒径は1μmであり、銀イオン含有量は3質量%相当であった。
(第2抗菌剤:ゼオライトに担持された銀を含む抗菌剤)
硝酸銀水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと銀イオンとを置換させることで、第2抗菌剤を得た。得られた第2抗菌剤の平均粒径は1.51μmであり、銀イオン含有量は0.5質量%相当であった。
<実施例および比較例>
上記で調製された硬化性組成物の全固形分100質量部に対して、表2に示す割合(質量部)に従って、第1抗菌剤および第2抗菌剤を添加して混合し、親水加工部形成用の硬化性組成物を調製した。
<各種評価>
(1)抗菌性
得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を、ポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)に塗布し、60℃で30分乾燥させたあと、UV照射によりモノマーを硬化させることで、親水加工部を形成し、評価サンプル(親水加工部付き基材)を作製した。
得られた実施例および比較例の評価サンプルを用いて、以下の評価を行った。結果は表2にまとめて示す。
(銀含有量Pの測定)
上記実施例および比較例で作製した評価サンプルを、親水加工部の大きさ(面積)が25cmとなるように切り出した。その後、得られたサンプルに湿式灰化処理を行い、あらかじめ作成した検量線を用いながら原子吸光分析(イエナ製 cotrAA700)で銀含有量(ng)を求め、得られた値を親水加工部の面積で除して、銀含有量P(ng/cm)を求めた。
(銀イオン量Qの測定)
上記実施例および比較例で作製した評価サンプルを、親水加工部の大きさ(面積)が4cmとなるように切り出した。切り出した評価サンプルを菌液(JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地)9mlに35℃下で1時間浸漬した。この菌液に硝酸を1ml添加し、あらかじめ作成した検量線を用いながら原子吸光分析(イエナ製 cotrAA700)で銀イオン量を求め、得られた値を親水加工部の面積で除して、銀イオン量Q(ng/cm)を求めた。
(初期抗菌性評価)
抗菌性評価は、JIS Z 2801:2010に記載の評価方法に準拠し、菌液への接触時間24時間を1時間に変更して試験を実施した。それぞれの試験後の菌数(個/cm2)を測定し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。試験が成立していることを確認するため、親水加工部を設けていないポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)を同時に評価し、1時間接触後の菌数(個/cm2)が、6.2×102(個/cm2)以上であることを確認した。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
(耐久性試験後の抗菌性評価)
上記手順で作製した評価サンプルが長時間にわたって抗菌性が得られることを評価するために、以下の耐久性試験を実施した。通常、部材表面に配置された親水加工部は、汚れが付着すると、水拭きされる場合が多く、このときの銀が水に溶出してしまい、抗菌性が低下する主要因となる。従って、以下の摩耗試験後においても優れた抗菌性を示せば、親水加工部が使用された際にも長期間にわたって抗菌性を維持できることがわかる。
耐久性試験は、上記手順で作製した評価サンプル(親水加工部付き基材)の親水加工部表面に荷重500gをかけながら湿布で36000回摩擦したあと、上記で述べた方法にて抗菌性の評価実験を実施し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。湿布は、純水を浸したポリエステル布(製品名 アンティコン)を用いた。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
表1中の「銀含有率(wt%)」は、親水加工部中に含まれる銀の親水加工部全質量に対する割合(質量%)を意図する。
(2)防曇性
保育器10において、保育器用フード14のうち、前面部、即ち、正面部14a及び傾斜部14bの内表面に、得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を塗布及び硬化(紫外線照射処理)して、抗菌剤を含有し、抗菌加工された親水加工部を設けた。親水加工部の平均厚みは約2μmであった。
なお、実施例及び比較例で得られた保育器の保育器用フード中の親水加工部の水接触角は、上述した方法によって、測定した。結果を表2にまとめて示す。
防曇性の評価方法は、先述した実施例1〜5、及び比較例1〜3で使用した評価方法と同様である。
その結果を表2にまとめて示す。
表2に示すように、本発明の親水加工部付き基材は、防曇性に優れ、短時間での抗菌性に優れると共に、長時間にわたった抗菌性にも優れることが確認された。特に、実施例7〜9に示すようにP/Qが10以上の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
一方、所定の要件を満たさない比較例4〜6では、防曇性は優れる効果を有するものの、長時間にわたった抗菌性については、所望の効果が得られなかった。
以上から、本発明の実施の形態2の効果は明らかである。
[実施例11〜15及び比較例7〜9]
(抗菌剤の調整)
上記実施例6〜10及び比較例4〜6と同様の方法で調製された硬化性組成物中に表3の「抗菌剤の質量」に示す割合に従って、銀セラミックス粒子分散液(富士ケミカル社製、平均粒径0.8μm)を添加して混合し、親水加工部形成用の硬化性組成物を調製した。
<評価>
(1)抗菌性評価及び耐光性評価
得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を、ポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)に表3に示す厚みの親水加工部が得られるように塗布し、60℃で30分乾燥させたあと、UV照射によりモノマーを硬化させることで、親水加工部を形成し、評価サンプル(親水加工部付き基材)を作製した。
なお、比較例9では、親水性モノマーと架橋剤との質量比を制御して、所定の水接触角となるようにした。
(抗菌性評価方法)
抗菌性評価は、JIS Z 2801:2010に記載の評価方法に準拠し、菌液への接触時間24時間を1時間に変更して試験を実施した。それぞれの試験後の菌数(個/cm2)を測定し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。実用上、「A」、「B」が好ましい。結果を表3に示す。
「A」:菌数が5個/cm2未満
「B」:菌数が5個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
(耐光性試験)
キセノンウェザオメーター(スガ試験機製)にて出力60W/m2で10時間光(紫外線)照射後の評価サンプル中の親水加工部の変色を、目視にて以下の観点で評価した。実用上、「A」が好ましい。結果を表3に示す。
「A」:変色なし
「B」:変色あり
また、各実施例および比較例にて得られた評価サンプルを用いて、上述した抽出試験を実施した。
また、各実施例および比較例にて得られた評価サンプル中の親水加工部の水接触角を上述した方法にて測定した。結果を表3に示す。
表3中、「抗菌剤の質量(質量%)」は、親水加工部中の硬化物成分の質量(硬化性組成物中の全固形分質量)に対する抗菌剤の含有量(質量%)を意図する。
表3中、「Agイオン量」欄は、抽出試験で測定される単位面積当たりの銀イオン量を意図する。
(2)防曇性評価
保育器10において、保育器用フード14のうち、前面部、即ち、正面部14a及び傾斜部14bの内表面に、得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を塗布及び硬化(紫外線照射処理)して、抗菌剤を含有し、抗菌加工された親水加工部を設けた。親水加工部の平均厚みは約2μmであった。
なお、実施例及び比較例で得られた保育器の保育器用フード中の親水加工部の水接触角は、上述した方法によって、測定した。
防曇性の評価方法は、先述した実施例11〜15、及び比較例1〜3で使用した評価方法と同様である。
その結果を表3にまとめて示す。
表3に示すように、本発明の親水加工部付き基材は、防曇性に優れ、短時間での抗菌性に優れると共に、耐光性にも優れていた。
一方、銀イオン量が所定の範囲より少ない比較例7では、所望の抗菌性が得られず、銀イオン量が所定の範囲より多い比較例8では、耐光性が悪化した。また、水接触角が所定の範囲より大きい比較例9では、所望の防曇性が得られず、また、抗菌性も悪化した。
以上から、本発明の実施の形態3の効果は明らかである。
[実施例16〜33及び比較例10〜11]
(抗菌剤の調整)
(合成例1:リン酸亜鉛カルシウムに担持された銀を含む抗菌剤)
水酸化カルシウム、酸化亜鉛およびリン酸を反応させ、リン酸塩を得た。これに硝酸銀を添加し、洗浄、ろ過、乾燥、破砕することで、抗菌剤Aを得た。得られた抗菌剤Aの平均粒径は0.9μmであり、抗菌剤Aの銀イオン含有量は抗菌剤全質量に対して3質量%相当であった。
(合成例2:リン酸亜鉛カルシウムに担持された銀を含む抗菌剤)
破砕後の平均粒径が0.5μmとなるように破砕を実施した以外は、合成例1と同様の手順に従って、抗菌剤Bを得た。なお、抗菌剤Bの銀イオン含有量は、抗菌剤全質量に対して1質量%相当であった。
(合成例3:銀が担持された多孔性担体)
硝酸銀水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと銀イオンとを置換させることで、銀が担持された多孔性担体Aを得た。多孔性担体Aの平均粒径は2.0μmであり、銀イオン含有量は多孔性担体全質量に対して0.5質量%相当であった。
<実施例および比較例>
上記実施例6〜10及び比較例4〜6と同様の方法で調製された硬化性組成物に対して、表4に示す割合(質量%(wt%))に従って、合成例1〜3にて合成した成分またはゼオライトを添加して混合し、親水加工部形成用の硬化性組成物を調製した。なお、上記割合(質量%)は、形成される親水加工部全質量に対する各成分の含有量を意図する。
<評価>
(1)抗菌性評価
得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を、ポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)に塗布し、60℃で30分乾燥させたあと、UV照射によりモノマーを硬化させることで、親水加工部を形成し、評価サンプル(親水加工部付き基材)を作製した。なお、親水加工部の厚みが表4に示す厚み(親水加工部 平均厚み)になるように、硬化性組成物の塗布量を調整した。
(初期抗菌性評価:短時間での抗菌性の評価)
抗菌性(初期抗菌性)評価は、JIS Z 2801:2010に記載の評価方法に準拠し、菌液への接触時間24時間を1時間に変更して試験を実施した。それぞれの試験後の菌数(個/cm2)を測定し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。試験が成立していることを確認するため、親水加工部を設けていないポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)を同時に評価し、1時間接触後の菌数(個/cm2)が、6.2×102(個/cm2)以上であることを確認した。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
(耐久性試験後の抗菌性評価)
上記手順で作製した評価サンプルが長期間にわたって抗菌性が得られることを評価するために、以下の耐久性試験を実施した。通常、部材表面に配置された親水加工部は、汚れが付着すると、水拭きされる場合が多く、このときの銀が水に溶出してしまい、抗菌性が低下する主要因となる。従って、以下の摩耗試験後においても優れた抗菌性を示せば、親水加工部が使用された際にも長期間にわたって抗菌性を維持できることがわかる。
耐久性試験は、上記手順で作製した評価サンプル(親水加工部付き基材)の親水加工部表面に荷重500gをかけながら湿布で36000回摩擦したあと、上記(抗菌性)で述べた方法にて抗菌性の評価実験を実施し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。湿布は、純水を浸したポリエステル布(製品名 アンティコン)を用いた。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
表4中の「多孔性担体」欄に記載の「ゼオライト」は、合成例3で使用したゼオライトを意図し、銀は担持されていない。
なお、各実施例で得られた親水加工部の表面の水接触角は、40°以下であった。
また、各実施例で得られた親水加工部中においては、その一部が親水加工部の表面(平坦面)より突出するように位置する多孔性担体が含まれていた。
また、表4中、平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いた。
(2)防曇性評価
保育器10において、保育器用フード14のうち、前面部、即ち、正面部14a及び傾斜部14bの内表面に、得られた親水加工部形成用の硬化性組成物を塗布及び硬化(紫外線照射処理)して、抗菌剤を含有し、抗菌加工された親水加工部を設けた。親水加工部の平均厚みは約2μmであった。
なお、実施例及び比較例で得られた保育器の保育器用フード中の親水加工部の水接触角は、上述した方法によって、測定した。
防曇性の評価方法は、先述した実施例1〜5、及び比較例1〜3で使用した評価方法と同様である。
その結果を表4にまとめて示す。
表4に示すように、本発明の親水加工部付き基材中の親水加工部は、十分な防曇性を有し、且つ、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できることが確認された。
特に、実施例16と実施例17との比較より、抗菌剤の含有量が1.0質量%超の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例20と実施例21との比較より、比(T/Da)が6.0以下の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例24と実施例25との比較より、多孔性担体の含有量が0.5質量%以下の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例17と実施例28との比較より、比(Db/Da)が3.5以下の場合、初期抗菌性評価および耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例17と実施例32との比較より、多孔性担体に銀が担持されている場合、初期抗菌性評価および耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
一方、防曇性が所定の範囲に含まれる比較例10および11は防曇性を備えることが確認されたものの、抗菌性評価については、比較例10に示すように多孔性担体を使用しない場合、または、比較例11に示すように式(5)の関係を満たさない場合、所望の効果が得られなかった。
以上から、本発明の実施の形態4の効果は明らかである。
10…保育器 12…基台
12a…上面 14…保育器
14a…正面部 14b…傾斜部
14c、30…上面部 14d…背面部
14e…側面部
15…収容室 16、20…手入れ窓
18…正面扉 22…コントロールパネル
40…親水加工シート 42…シート本体
44…親水加工部 46…粘着層
48…剥離シート
50、50A、50B…抗菌膜付き基体 52…基体
54…親水性部 56…親水加工抗菌膜
60…親水加工部付き基材 62…基材
64…親水加工部
70…親水加工部付き基材 72…基材
74…親水加工部
80…親水加工部付き基材 82…基材
84…親水加工部 86…抗菌剤
88…銀 90…多孔性担体
92…銀イオン

Claims (23)

  1. 内表面の少なくとも一部に親水加工部が設けられた保育器用フードであって、
    前記親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、
    前記親水加工部の表面の水接触角は、30°以下であることを特徴とする保育器用フード。
  2. 前記親水加工部に含まれる単位面積当たりの銀含有量をP、以下の抽出試験より測定される単位面積当たりの銀イオン量をQとした場合、以下の式(1)および式(2)の関係を満たす、請求項1に記載の保育器用フード。
    式(1) 6.0≦P/Q
    式(2) 15.0≦Q
    ここで、Pの単位はng/cmであり、Qの単位はng/cmである。
    また、前記抽出試験は、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、前記抽出液の温度を35±1℃に制御して、前記親水加工部と前記抽出液とを1時間接触させ、前記抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、得られた値を前記親水加工部の前記抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量であるQを得る試験である。
  3. 式(3)の関係を満たす、請求項2に記載の保育器用フード。
    式(3) 15.0≦Q≦25.0
  4. 前記抗菌剤は、銀を含む第1抗菌剤と、前記第1抗菌剤とは異なる、銀を含む第2抗菌剤と、からなる請求項2または3に記載の保育器用フード。
  5. 前記第1抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
    前記第2抗菌剤が、銀、並びに、ゼオライトからなる担体を含む、請求項4に記載の保育器用フード。
  6. 前記抗菌剤は銀を含む少なくとも1種の抗菌剤からなり、
    以下の抽出試験で測定される単位面積当たりの銀イオン量が15〜50ng/cmである、請求項1に記載の保育器用フード。
    抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、前記抽出液の温度を35±1℃に制御して、前記親水加工部と前記抽出液とを1時間接触させ、前記抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、得られた値を前記親水加工部の前記抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量を得る。前記銀イオン量の単位はngであり、前記接触面積の単位はcmであり、前記単位面積当たりの銀イオン量の単位はng/cmである。
  7. 前記抗菌剤は、担体と、前記担体上に担持された銀とを含む銀担持担体である請求項6に記載の保育器用フード。
  8. 前記親水加工部は、さらに、銀が担持されてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体を含有し、
    前記抗菌剤は、銀を含み、
    前記抗菌剤の平均粒径をDa、前記多孔性担体の平均粒径をDb、および、前記親水加工部の平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす請求項1に記載の保育器用フード。
    式(4) T/Da>3.0
    式(5) T/Db≦3.0
    なお、前記Da、前記Db、および、前記Tの単位は、μmである。
  9. 前記多孔性担体に銀が担持されている、請求項8に記載の保育器用フード。
  10. 前記Daおよび前記Dbが、以下の関係を満たす、請求項8または9に記載の保育器用フード。
    式(6) Db/Da≦3.5
  11. 前記多孔性担体の含有量が、親水加工部全質量に対して、0.5質量%以下である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の保育器用フード。
  12. 前記抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
    前記多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の保育器フード。
  13. 前記親水加工部の表面の表面粗さRaは、2〜15μmである請求項1〜12のいずれか1項に記載の保育器用フード。
  14. 前記親水加工部の平均厚みは、1〜10μmである請求項1〜13のいずれか1項に記載の保育器用フード。
  15. 前記抗菌剤の含有量は、前記親水加工部全質量に対して、0.001〜5質量%である請求項1〜14のいずれか1項に記載の保育器用フード。
  16. 前記抗菌剤は、銀を担持したセラミックス粒子、及び、銀粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の保育器用フード。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の保育器用フードと、
    新生児を寝かせる基台とを有し、
    当該保育器用フードは、前記基台の少なくとも一部を覆うことにより、内部に前記新生児の収容室を形成するものであり、
    前記親水加工部は、前記保育器用フードの内表面の内、少なくとも、前記収容室内に収容された前記新生児を該収容室の外側から観察する観察部分の前記内表面に設けられていることを特徴とする保育器。
  18. 前記親水加工部は、前記保育器用フードの前面部及び/又は上面部の前記内表面に設けられている請求項17に記載の保育器。
  19. 前記親水加工部は、前記保育器用フードの側面部及び/又は背面部の前記内表面に設けられている請求項17又は18に記載の保育器。
  20. 前記親水加工部は、前記保育器用フードの上面部の前記内表面に設けられている請求項17〜19のいずれかに記載の保育器。
  21. 前記親水加工部は、前記保育器用フードの全内表面に設けられている請求項17〜20のいずれか1項に記載の保育器。
  22. 新生児を寝かせる基台と、該基台の少なくとも一部を覆うことにより、内部に前記新生児の収容室を形成する保育器用フードとを有する保育器の前記保育器用フードの内表面の少なくとも一部に貼り付けるための親水加工シートであって、
    該親水加工シートは、外表面の少なくとも一部に親水加工部が設けられ、
    該親水加工部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、
    前記親水加工部の表面の水接触角は、30°以下であることを特徴とする親水加工シート。
  23. 新生児を寝かせる基台と、該基台の少なくとも一部を覆うことにより、内部に前記新生児の収容室を形成する保育器用フードとを有する保育器の前記保育器用フードの内表面の少なくとも一部に親水加工部を形成するために、前記保育器用フードの内表面の少なくとも一部に形成される親水加工抗菌膜であって、
    該親水加工抗菌膜は、少なくとも一部が親水性であり、
    前記親水性を示す親水性部は、親水性ポリマ及び抗菌剤を含有し、前記親水性部の表面の水接触角は、30°以下であることを特徴とする親水加工抗菌膜。
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