JP2013237829A - コーティング剤、並びにこのコーティング剤を塗工してなる塗工物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤である。
(式(1)中、R1は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。R2は、アルコキシル基、アシロキシル基又はOMで表される基である。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム基である。R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。mは、0〜2の整数である。nは、3以上の整数である。)
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
【選択図】なし
Description
下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすPVAを含有するコーティング剤である。
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
本発明のコーティング剤は、以下に詳説するPVAを含有する。
上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位を含む。すなわち、上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位とビニルアルコール単位(−CH2−CHOH−)とを含む共重合体であり、さらに他の単量体単位を有していてもよい。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
400≦P×S≦3,000 ・・・(I’)
500≦P×S≦2,000 ・・・(I’’)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
500≦P≦3,000 ・・・(II’)
1,000≦P≦2,400 ・・・(II’’)
0.25≦S≦6 ・・・(III’)
0.5≦S≦5 ・・・(III’’)
上記PVAの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体と、上記式(1)で表される基を有する単量体とを共重合させ、得られる共重合体(ビニルエステル系重合体)をけん化することにより得ることができる。
当該コーティング剤は、通常、上記PVAの水溶液である。但し、他の溶媒を用いた溶液であってもよい。当該コーティング剤は、その他、
エタノール等のアルコール、ジエチルエーテル等のエーテルなどの他の溶媒;
水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ;
塩酸、酢酸等の酸;
アルブミン、ゼラチン、カゼイン、澱粉、カチオン化澱粉、アラビアゴム、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン変性PVA、アルギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステル、並びにメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体等の水溶性樹脂;
SBR、NBR、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の水分散性樹脂;
カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成クレー、酸化チタン、ケイソウ土、沈降シリカ、ゲル状シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機粒子;
グリオキザール、グルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物、炭酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム化合物、乳酸チタン等のチタン系化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン等のエポキシ化合物、ポリオキサゾリン等の架橋剤;
等を含んでいてもよい。
本発明の塗工物は、当該コーティング剤を基材表面に塗工してなる塗工物である。当該塗工物は、優れた耐水性、無機物に対するバインダー力、表面強度及び目止め性を示す皮膜を有する。また、本発明の塗工物の製造方法は、当該コーティング剤を基材表面に塗工する工程を有する。当該製造方法によって上記塗工物を容易に得ることができる。コーティング剤を基材に塗工した後には、通常、乾燥が施される。
MAmPTMS :3−メタクリルアミドプロピルトリメトキシシラン
MAmPTES :3−メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン
MAmBTMS :4−メタクリルアミドブチルトリメトキシシラン
MAmOTMS :8−メタクリルアミドオクチルトリメトキシシラン
MAmDDTMS:12−メタクリルアミドドデシルトリメトキシシラン
MAmODTMS:18−メタクリルアミドオクタデシルトリメトキシシラン
AMBTMS :3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメトキシシラン
4−PTMS :4−ペンテニルトリメトキシシラン
VMS :ビニルトリメトキシシラン
MAmMTMS :メタクリルアミドメチルトリメトキシシラン
AMPTMS :2−アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン
下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、上記式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率(S)(一部の例では、シリル基を有する単量体単位の含有率)、粘度平均重合度(P)を求めた。また、以下の評価方法にしたがって、皮膜の性能及び塗工物の性能を評価した。
PVAの分析は、特に断らない限りJIS−K6726に記載の方法に従って行った。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた6Lセパラブルフラスコに、酢酸ビニル1,500g、メタノール500g、上記式(1)で表される基を有する単量体(モノマーA)としてのMAmPTMS1.87gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてMAmPTMSをメタノールに溶解して濃度8%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとモノマーA(MAmPTMS)の比率)が一定となるようにしながら、60℃で2.7時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液(逐次添加液)の総量は99gであった。また、重合停止時の固形分濃度は29.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、上記式(1)で表される基を有するポリ酢酸ビニル(PVAc)を40%含有するメタノール溶液を得た。さらに、これにPVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.04、PVAcの固形分濃度が30質量%となるように、メタノール及び水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。アルカリ溶液を添加後、約5分でゲル状物が生成した。このゲル状物を粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチルを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノールを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置し、上記式(1)で表される基を有するPVA1を得た。PVA1の粘度平均重合度(P)は1,700、けん化度は98.6モル%であった。
式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率S(モル%)
={(βのピーク面積/9)/(αのピーク面積+(βのピーク面積/9))}×100
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、モノマーAの種類や添加量等の重合条件、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1及び表2に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にしてPVA2〜PVA53を得た。得られた各PVAについて分析した結果を表1及び表2に示す。
PVA1〜PVA53について、所定の濃度及びpHとなるように、PVA水溶液(コーティング剤)を調製した。下記の評価方法によりPVA水溶液の粘度安定性、皮膜の耐水性、無機物を含有する皮膜の耐水性、及びPVAと無機物とのバインダー力を評価した。使用したPVAの種類と水溶液のpH及び評価結果を表3に示す。
8%のPVA水溶液を調製して20℃恒温槽中に放置し、このPVA水溶液の温度が20℃になった直後の粘度と7日後の粘度を測定した。PVA水溶液の温度が20℃になった直後の粘度で7日後の粘度を除した値(7日後の粘度/直後の粘度)を求め、以下の基準にしたがって判定した。
A:2.5倍未満
B:2.5倍以上3.0倍未満
C:3.0倍以上5.0倍未満
D:5.0倍以上であるが、PVA水溶液はゲル化していない。
E:PVA水溶液は流動性を失いゲル化している。
4%PVA水溶液を調製してこれを20℃で流延し、厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し(回収し)、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の質量を測定した。水膨潤時の質量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の質量を測定した。ここで水膨潤時の質量を乾燥時の質量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
S:3.0倍未満
A:3.0倍以上5.0倍未満
B:5.0倍以上8.0倍未満
C:8.0倍以上10.0倍未満
D:10.0倍以上
E:浸漬した試験片を回収することができない。
4%のPVA水溶液を調製し、PVA/コロイダルシリカの固形分基準の質量比が100/10となるように、コロイダルシリカ(日産化学工業製:スノーテックスST−O)の20%水分散液を加えた後、20℃で流延して厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し(回収し)、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の質量を測定した。水膨潤時の質量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の質量を測定した。ここで水膨潤時の質量を乾燥時の質量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:3.0倍未満
B:3.0倍以上5.0倍未満
C:5.0倍以上8.0倍未満
D:8.0倍以上10.0倍未満
E:10.0倍以上であるか、または浸漬した試験片を回収することができない。
シリカ(水沢化学工業製:ミズカシルP78D)及びシリカの質量に対し0.2%の分散剤(東亞合成化学工業製:アロンT40)をホモミキサーにて水に分散し、シリカの20%水分散液を調製した。このシリカ水分散液に、シリカ/PVAの固形分基準の質量比が100/20となるように、8%に調整したPVA水溶液を添加し、必要量の水を添加することで上記シリカ及びPVAの合計濃度が15%のシリカ分散PVA水溶液を得た。
得られたシリカ分散PVA水溶液を、ワイヤーバーを用いて、上質紙の表面に60g/m2の坪量で塗布した。その後、上質紙を熱風乾燥機を用い100℃で3分間乾燥して、評価用試料を得た。乾燥後の上質紙(評価用試料)における塗布量は11g/m2であった。
評価用試料について、IGT印刷適性試験機(熊谷理機工業製)を用い、印圧50kg/cm2にて測定を行い、評価用試料の表面の紙むけが起こった時点の印刷速度(cm/sec)を以ってPVAと無機物とのバインダー力とし、以下の基準にしたがってバインダー力を評価した。なお、IGT印刷適性試験機を用いて測定を行うにあたり、IGTピックオイルM(大日本インキ化学工業製)を用い、スプリング駆動Bの機構を採用した。
A:260cm/sec以上
B:220cm/sec以上260cm/sec未満
C:180cm/sec以上220cm/sec未満
D:140cm/sec以上180cm/sec未満
E:140cm/sec未満
下記の方法により、塗工紙(塗工物)を製造し、作製した塗工紙の表面強度、透気抵抗度(目止め性の指標として測定。以下、「透気度」と略記することがある。)及び耐水性を評価した。
得られた塗工紙について、IGT印刷適性試験機(熊谷理機工業製)を用い、JIS−P8129に準拠して表面強度の測定を行った。すなわち、印圧25kg/cm2にて測定を行い、塗工紙の表面の紙むけが起こった時点の印刷速度(cm/sec)を以って表面強度とし、以下の基準にしたがって塗工紙表面の表面強度を評価した。なお、IGT印刷適性試験機を用いて測定を行うにあたり、IGTピックオイルM(大日本インキ化学工業製)を用い、スプリング駆動Bの機構を採用した。
A:260cm/sec以上
B:220cm/sec以上260cm/sec未満
C:180cm/sec以上220cm/sec未満
D:120cm/sec以上180cm/sec未満
E:120cm/sec未満
JIS−P8117に準じ王研式滑度透気度試験器を用いて測定し、以下の基準に従って評価した。
A:100,000秒以上
B:50,000秒以上、100,000秒未満
C:30,000秒以上、50,000秒未満
D:10,000秒以上、30,000秒未満
E:10,000秒未満
塗工紙の塗工面上に20℃のイオン交換水を1ml滴下した後に、その部分を指先でこすり、指先にヌメリが感じられた回数を測定し、下記基準により判定した。
S:120回以上
A:100回以上、120回未満
B:50回以上、100回未満
C:30回以上、50回未満
D:10回以上、30回未満
E:10回未満
実施例34において用いたPVA1に代えて、表4に示したPVAを用いたこと以外は、実施例34と同様にして塗工紙を製造した。得られた塗工紙の表面強度、透気度及び耐水性を評価した。その結果を表4に併せて示す。
Claims (9)
- 下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記ビニルアルコール系重合体が、下記式(II)及び(III)をさらに満たす請求項1に記載のコーティング剤。
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記式(1)中のnが6以上20以下の整数である請求項1又は請求項2に記載のコーティング剤。
- 上記式(2)中のXが−CO−NR6−*(R6は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表される請求項4に記載のコーティング剤。
- 上記式(2)中のXが−CO−NH−*(*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表され、nが12以下の整数である請求項4に記載のコーティング剤。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコーティング剤を基材表面に塗工してなる塗工物。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコーティング剤を基材表面に塗工する工程を有する塗工物の製造方法。
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JPH0532931A (ja) * | 1991-07-31 | 1993-02-09 | Kuraray Co Ltd | コーテイング組成物 |
JP2005220348A (ja) * | 2004-01-07 | 2005-08-18 | Kuraray Co Ltd | スケール付着防止剤、その製造方法及びそれを用いたポリマーの製造方法 |
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- 2012-09-21 JP JP2012208958A patent/JP5931670B2/ja active Active
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