JP2013237254A - 感熱記録材、その製造方法及びこの感熱記録材を用いた印刷物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体を含有する感熱記録材である。
(式(1)中、R1は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。R2は、アルコキシル基、アシロキシル基又はOMで表される基である。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム基である。R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。mは、0〜2の整数である。nは、3以上の整数である。)
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
【選択図】なし
Description
下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすPVAを含有する感熱記録材である。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
当該感熱記録材の基材としては、従来公知の透明性及び不透明性の支持基体がいずれも使用できる。上記透明性支持基体としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロハン、セルロイドなどのフィルム、シート、透明性の高い紙等が挙げられる。上記不透明性支持基体としては、通常の紙、顔料コート紙、布、木材、金属板、合成紙、不透明化処理した合成樹脂系フィルム、シートなどが挙げられる。これらの中でも、コーティング剤を基紙内部にまで浸透させ、耐水性等を好適に高めることができる観点などから、紙が好ましい。
上記コーティング剤は、通常、上記PVAの水溶液であり、他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、オーバーコート層を形成する場合は、架橋剤、水溶性高分子、高分子の分散体、滑剤及び充填材等、感熱発色層を形成する場合は、感熱染料、顕色剤、架橋剤、水溶性高分子、高分子の分散体、滑剤及び充填材等を挙げることができる。
上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位を含む。すなわち、上記PVAは、上記式(1)で表される基を有する単量体単位とビニルアルコール単位(−CH2−CHOH−)とを含む共重合体であり、さらに他の単量体単位を有していてもよい。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
400≦P×S≦3,000 ・・・(I’)
500≦P×S≦2,000 ・・・(I’’)
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%)
500≦P≦3,000 ・・・(II’)
1,000≦P≦2,400 ・・・(II’’)
0.25≦S≦6 ・・・(III’)
0.5≦S≦5 ・・・(III’’)
上記PVAの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体と、上記式(1)で表される基を有する単量体とを共重合させ、得られる共重合体(ビニルエステル系重合体)をけん化することにより得ることができる。
上記架橋剤としては、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物、炭酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム化合物、乳酸チタン等のチタン化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン等のエポキシ化合物、ポリオキサゾリンなどを挙げることができる。感熱発色層やオーバーコート層等を形成するためのコーティング剤がPVAとともに架橋剤を含むことで、得られる感熱記録材の耐水性や耐可塑剤性等をより高めることができる。
上記の感熱記録材に印字することにより、耐水性、耐可塑剤性に優れた印刷物が得られる。印字に使用される印刷装置に特に制限はなく、サーマルヘッドを備えた従来公知の感熱記録装置を用いることができる。
MAmPTMS :3−メタクリルアミドプロピルトリメトキシシラン
MAmPTES :3−メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン
MAmBTMS :4−メタクリルアミドブチルトリメトキシシラン
MAmOTMS :8−メタクリルアミドオクチルトリメトキシシラン
MAmDDTMS:12−メタクリルアミドドデシルトリメトキシシラン
MAmODTMS:18−メタクリルアミドオクタデシルトリメトキシシラン
AMBTMS :3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメトキシシラン
4−PTMS :4−ペンテニルトリメトキシシラン
VMS :ビニルトリメトキシシラン
MAmMTMS :メタクリルアミドメチルトリメトキシシラン
AMPTMS :2−アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン
下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、上記式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率(S)(一部の例では、シリル基を有する単量体単位の含有率)、粘度平均重合度(P)を求めた。また、以下の評価方法にしたがって、感熱記録材の性能を評価した。
PVAの分析は、特に断らない限りJIS−K6726に記載の方法に従って行った。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた6Lセパラブルフラスコに、酢酸ビニル1,500g、メタノール500g、上記式(1)で表される基を有する単量体(モノマーA)としてのMAmPTMS1.87gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてMAmPTMSをメタノールに溶解して濃度8%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとモノマーA(MAmPTMS)の比率)が一定となるようにしながら、60℃で2.7時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液(逐次添加液)の総量は99gであった。また、重合停止時の固形分濃度は29.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、上記式(1)で表される基を有するポリ酢酸ビニル(PVAc)を40%含有するメタノール溶液を得た。さらに、これにPVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.04、PVAcの固形分濃度が30質量%となるように、メタノール及び水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。アルカリ溶液を添加後、約5分でゲル状物が生成した。このゲル状物を粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチルを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノールを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置し、上記式(1)で表される基を有するPVA1を得た。PVA1の重合度(P)は1,700、けん化度は98.6モル%であった。
式(1)で表される基を有する単量体単位の含有率S(モル%)
={(βのピーク面積/9)/(αのピーク面積+(βのピーク面積/9))}×100
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、モノマーAの種類や添加量等の重合条件、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1及び表2に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にしてPVA2〜PVA36を得た。得られた各PVAについて分析した結果を表1及び表2に示す。
下記の方法により感熱記録紙(感熱記録材)を製造し、その耐水性及び耐可塑剤性を評価した。
[感熱染料の水性分散液Aの組成]
ロイコ染料(山本化成株式会社製、商品名:OBD−2) 20%
濃度10%のPVA(株式会社クラレ製:PVA203)水溶液 20%
水 60%
[顕色剤の水性分散液Bの組成]
顕色剤(日本曹達株式会社製:D−8) 20%
濃度10%のPVA(株式会社クラレ製:PVA203)水溶液 20%
水 60%
[顔料の水性分散液Cの組成]
ステアリン酸アミド 10%
焼成カオリン 20%
濃度5%のPVA(クラレ社製:PVA205)水溶液 30%
水 40%
上記の水性分散液Aを2部、水性分散液Bを4部、水性分散液Cを2部及びPVA117(株式会社クラレ製)の10%水溶液を2部混合して撹拌した後、必要量の水を加えて固形分濃度21%の感熱発色層用コーティング剤を調製した。
エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体(日本油脂株式会社製:プロノン104)0.2部、及びシリカ(塩野義製薬株式会社製:カープレックスCS−5)50部に水72.5部を加えて十分に分散させながら、PVA1の10%水溶液828部をゆっくり室温で加えた後、さらにステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂株式会社製、ハイドリンZ730;固形分濃度30%)を7.5部加えて、PVA1のシリカ分散水溶液を作製成した。得られたPVA1のシリカ分散水溶液に必要量の水を加えて固形分濃度12%のオーバーコート層用コーティング剤を調製した。
原紙(坪量:52g/m2の上質紙)の表面に、上記(2)で調製した感熱発色層用コーティング剤を、ワイヤバーコーターを用いて固形分換算で6g/m2塗工し、50℃で5分間乾燥した。得られた塗工紙をスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理し、その塗工紙表面に上記(3)で調製したオーバーコート層用コーティング剤を、ワイヤバーコーターを用いて固形分換算で3g/m2塗工した後、50℃で10分間乾燥した。さらに上記塗工紙をスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理して感熱記録紙を製造した。
印字された感熱記録紙(印刷物)を30℃蒸留水中に24時間浸漬し、以下の方法によりその記録濃度及びウェットラブの評価を行った。
蒸留水浸漬前及び蒸留水浸漬後において、それぞれ印字部分の発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型式:RD−514)を用いて測定した。蒸留水浸漬前における印字部分の発色濃度に対し、蒸留水浸漬後における印字部分の発色濃度の低下が少ないほど感熱記録紙の耐水性が優秀であるとして、最も耐水性が優秀な場合をA、最も耐水性が劣る場合をEとする5段階評価を行った。
蒸留水浸漬後において、印字された部分の表面を指先で摩擦し、感熱記録紙のオーバーコート層の溶出状態を観察した。感熱記録紙のオーバーコート層の溶出が少ないほど感熱記録紙の耐水性が優秀であるとして、最も耐水性が優秀な場合をS、最も耐水性が劣る場合をEとする5段階評価を行った。
印字された感熱記録紙(印刷物)に軟質ポリ塩化ビニルフィルム(可塑剤を含む)を重ね合わせ、30℃、300g/m2の荷重下で24時間両者を接触させた。その接触前後において、それぞれ印字部分の発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型式:RD−514)を用いて測定した。両者を接触させる前における印字部分の発色濃度に対し、接触後における印字部分の発色濃度の低下が少ないほど感熱記録紙の耐可塑剤性が優秀であるとして、最も耐可塑剤性が優秀な場合をA、最も耐可塑剤性が劣る場合をEとする5段階評価を行った。
実施例1において、オーバーコート層に用いたPVA1に代えて、表3に示したPVAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を製造し、その耐水性及び耐可塑剤性を評価した。その結果を表3に併せて示す。
Claims (10)
- 下記式(1)で表される基を有する単量体単位を含み、下記式(I)を満たすビニルアルコール系重合体を含有する感熱記録材。
370≦P×S≦6,000 ・・・(I)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記ビニルアルコール系重合体が、下記式(II)及び(III)をさらに満たす請求項1に記載の感熱記録材。
200≦P≦4,000 ・・・(II)
0.1≦S≦10 ・・・(III)
P:粘度平均重合度
S:上記単量体単位の含有率(モル%) - 上記式(1)中のnが6以上20以下の整数である請求項1又は請求項2に記載の感熱記録材。
- 上記式(2)中のXが−CO−NR6−*(R6は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表される請求項4に記載の感熱記録材。
- 上記式(2)中のXが−CO−NH−*(*は、上記式(1)で表される基との結合箇所を示す。)で表され、nが12以下の整数である請求項4に記載の感熱記録材。
- 基材、この基材の表面に形成される感熱発色層、及びこの感熱発色層の表面に形成されるオーバーコート層を備え、
上記感熱発色層及びオーバーコート層の少なくともいずれかが、上記ビニルアルコール系重合体を含むコーティング剤の塗工により形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感熱記録材。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の感熱記録材の製造方法であって、上記ビニルアルコール系重合体を含むコーティング剤を基材に塗工する工程を有する製造方法。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の感熱記録材に印字する工程を有する印刷物の製造方法。
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