JP2005179103A - 高飽和磁束密度Mn−Zn−Ni系フェライト - Google Patents

高飽和磁束密度Mn−Zn−Ni系フェライト Download PDF

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Abstract

【課題】 低い磁気損失と高い飽和磁束密度とを兼ね備えたMn-Zn-Ni系フェライトを提供する。
【解決手段】 Fe23,ZnO,NiOおよびMnOを基本成分とするMn-Zn-Ni系フェライトであって、その組成がFe23:60超〜68mol%、ZnO:8超〜16mol%、NiO:3〜12mol%、残部MnOからなり、このフェライト中にはさらに、SiO2:0.005〜0.05mass%、CaO:0.020〜0.20mass%を含有すると共に、Ta25:0.0050〜0.10mass%、ZrO2:0.010〜0.15mass%、Nb25:0.0050〜0.05mass%、V25:0.001〜0.05mass%、HfO2:0.0050〜0.050mass%、TiO2:0.010〜0.30mass%およびSnO2:0.010〜2.0mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を下記の範囲で含有するMn-Zn-Ni系フェライトとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スイッチング電源等の電源トランス、特にフライバック方式の電源トランス等に用いて好適な、磁気損失が低く、高い飽和磁束密度を有するMn-Zn-Ni系フェライトに関するものである。
フェライトと称される酸化物磁性材料は、Ba系フェライトやSr系フェライトなどの硬質磁性材料と、Mn-Zn系フェライトやNi-Zn系フェライトなどの軟質磁性材料とに分類される。このうち軟質磁性材料は、非常にわずかな磁場に対しても十分に磁化するため、電源や通信機器、計測制御機器、コンピュータなど多方面にわたって用いられている。そのため、斯かる軟質磁性材料には、保磁力が小さく透磁率が高いこと、飽和磁束密度が大きいこと、磁気損失が低いことなど多くの特性が要求される。
軟質磁性材料には、上記酸化物系のフェライト以外にも、金属系の磁性材料がある。金属系軟磁性材料は、飽和磁束密度が高いという特長を有している反面、電気抵抗が低いため、高周波帯域で使用する場合には、渦電流に起因する損失が大きくなり、低損失を維持することができない。そのため、電子機器の小型化・高密度化に伴って使用周波数帯域の高周波化が進む今日では、金属系磁性材料は、例えばスイッチング電源等に用いられているような100kHz以上の周波数帯域では用いることはできない。このような背景から、現在、高周波帯域で使用される電源用トランスの磁心材料には、酸化物系のフェライト、中でもMn-Zn系フェライトが主に用いられている。
さて、上記電源用としてのMn-Zn系フェライトは、特に、飽和磁束密度Bsが高いこと、キュリー温度Tcが高いことおよび磁気損失Pcvが低いことが要求される。これらの特性のうち、飽和磁束密度Bsを高めるには、フェライトコアの焼結体の密度を高めることが有効であり、この焼結体の密度は主に製造条件により決定される。また、焼結体の密度が同じであれば、飽和磁束密度は、基本成分の組成により決まる。さらに、この酸化物系フェライトは、フェリ磁性を示し、磁気モーメントを有する金属原子の種類ならびにそれが占める位置によっても飽和磁束密度が変化することが知られている。
ところで、電子機器の電源部分は、小型化の要請に応えるために各種部分が高密度に積載される傾向にあり、各種部品の発熱により、フェライトコアが使用される温度、即ち、動作温度は80〜100℃にも達する。これに対して、酸化物系フェライトの飽和磁束密度は、温度の上昇とともに減少し、磁気が消失する温度であるキュリー温度でゼロとなる。したがって、酸化物系フェライトが有するキュリー温度は高ければ高いほど、室温からトランス動作温度(80〜100℃)までの飽和磁束密度を高く維持することができる。一般に、基本成分であるFe23の量が多いほど、キュリー温度が高く、飽和磁束密度も高くなることが知られており、例えば、特許文献1の発明では、Fe23量を増やすことにより飽和磁束密度を高めている。
また、フェライトの磁気損失Pcvについては、それを支配する因子として、磁気異方性定数K1ならびに飽和磁歪定数λsが知られており、従来から、Mn-Zn系フェライトにおいては、これらのパラメータを小さくするようなMnO−ZnO−Fe23三元系の組成領域が選択されている。すなわち、磁気損失が小さくなる組成領域とは、電源用トランスの動作温度(80〜100℃)において、磁気異方性定数K1ならびに飽和磁歪定数λsがともに小さい三元系組成領域であると言える。具体的には、Mn-Zn系フェライトの場合、Fe23:52〜54mol%、ZnO:10〜16mol%付近の組成領域である。したがって、磁気損失は、この領域から外れるほど増加の一途をたどる。
また、上記Mn-Zn系フェライトの磁気損失Pcvは、温度による変化が大きいため、動作温度付近で磁気異方性定数K1がゼロとなるよう、基本成分の組成範囲を選択しているが、従来のMn-Zn系フェライト(MnO−ZnO−Fe23三元系フェライト)においては、飽和磁束密度を高めるためにFe23量を増していくと、磁気損失が最小となる温度は低温側に移行する。そのため、Fe23量を増加し、磁気損失が最小となる温度が室温付近まで低下した場合には、動作温度(80℃〜100℃)での磁気損失は非常に大きな値となる。しかしながら、Fe23の量を従来のFe23の組成領域を超えて60mol%以上にすると、磁気損失が最小となる温度が逆に上昇に転じることが知られている(非特許文献1参照)。したがって、Fe23量の多い組成領域でも、基本成分を調整することにより、動作温度付近での磁気損失を最小とすることができる可能性がある。
一方、従来のMn-Zn系フェライトにNiOを加えると、磁性イオンであるNi2+イオンがフェライトのスピネル化合物の格子点に入り込むことにより、他の格子点にある磁性イオンとの相互作用を介して磁気異方性定数K1ならびに飽和磁歪定数λsが変化し、磁気損失に対する最適組成範囲が変化する結果、磁気損失が最小となる温度が上昇する。従って、NiOを加える場合には、磁気損失が最小となる温度を動作温度に保持するために、Fe23を増やす必要があり、その分、飽和磁束密度、キュリー温度を高めることができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11-329822号公報 特開平10−64715号公報 K.Ohta,「Magnetocrystalline Anisotropy and Magnetic Permeability of Mn-Zn-Fe ferrites」,J.Phys.Soc.Japan,18(1963)685
ところが、従来のMnO−ZnO−Fe23三元系フェライトにおいては、飽和磁束密度を高めるためにFe23量の多い組成(>60mol%)を選択すると、磁気損失が最小となる温度を動作温度付近とすることができる反面、飽和磁歪定数λsに対する最適組成からは外れるため、磁気損失の絶対値は増大する。したがって、高い飽和磁束密度を確保するために磁気損失を犠牲にするか、あるいは磁気損失を優先して飽和磁束密度を従来材並みの値で満足するかのいずれかを選択するしかないという問題があった。
本発明の目的は、電源用トランス、特にフライバック方式のスイッチング電源用トランスに用いて好適な、低い磁気損失と高い飽和磁束密度とを兼ね備えたMn-Zn-Ni系フェライトを提供することにある。
発明者らは、従来のMnO−ZnO−Fe23三元系フェライトが抱える上記問題点を解決するために、Fe23量が60mol%を超える組成において、三元系以外の成分を加えた場合の飽和磁束密度と磁気損失との関係を調査した結果、NiOを基本成分に加えることにより、飽和磁束密度を高い値に維持したまま磁気損失を低減することができること、および、基本成分に加える添加成分と添加量を適正にすることにより、磁気損失をさらに低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、Fe23、ZnO、NiOおよびMnOを基本成分とするMn-Zn-Ni系フェライトであって、その組成がFe23:60超〜68mol%、ZnO:8超〜16mol%、NiO:3〜12mol%、残部MnOからなり、このフェライト中にはさらに、SiO2:0.005〜0.05mass%、CaO:0.020〜0.20mass%を含有すると共に、Ta25、ZrO2、Nb25、V25、HfO2、TiO2およびSnO2のうちから選ばれる1種または2種以上を下記の範囲で含有することを特徴とする高飽和磁束密度Mn-Zn-Ni系フェライトである。

Ta25:0.0050〜0.10mass%
ZrO2:0.010〜0.15mass%
Nb25:0.0050〜0.05mass%
25:0.001〜0.05mass%
HfO2:0.0050〜0.050mass%
TiO2:0.010〜0.30mass%
SnO2:0.010〜2.0mass%
また、本発明の上記フェライトは、100℃における飽和磁束密度が460mT以上であることが好ましい。
本発明によれば、磁気損失が低くて飽和磁束密度が高く、しかも直流重畳特性が良好なMn-Zn-Ni系フェライトを提供することができるので、スイッチング電源トランスの磁心、特に、フライバック方式の電源トランス等の磁心に用いて好適であり、特に、発熱量を増やすことなくトランスを小型化することができる。
軟質磁性材料であるMn-Zn系フェライトに求められる磁気特性としては、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー温度が高いこと、磁気損失が小さいことが挙げられる。これらの特性は、基本成分であるMnO:ZnO:Fe23の比でほぼ決まる。従来の電源用Mn-Zn系フェライトで採用されていた組成領域(Fe23:52〜54mol%、ZnO:4〜16mol%)では、Fe23量の増加に伴い飽和磁束密度が増加し、キュリー温度も上昇するが、磁気異方性定数K1がゼロとなる温度、すなわち磁気損失が最小となる温度が低下するため、動作温度での磁気損失が増大する。一方、ZnOの量を増加すると、磁気損失が最小となる温度が低温側に移行するため、この温度を動作温度付近に維持するためには相対的にFe23の量を少なくする必要があり、飽和磁束密度の低下を招く。また、ZnO量の増加に伴い、キュリー温度も低下する。
一方、Mn-Zn系フェライトにおいて、Fe23の量を60mol%超え含有させた場合には、磁気異方性定数K1がゼロとなる温度がトランス動作温度(80〜100℃)付近となる組成領域においても、Fe23量の増加にともない飽和磁束密度が増加し、キュリー温度も上昇するようになる。すなわち、従来のFe23量が60mol%以下のMn-Zn系フェライトとは逆に、Fe23量を増やすと、磁気損失が最小となる温度は高温側へシフトする。しかし、この組成領域では飽和磁歪定数λsが大きくなるため、磁気損失値は従来の組成と比べると格段に大きな値となる。
そこで、発明者らは、Fe23を60mol%を超えて含有させたMn-Zn系フェライトに、さらにNiOを加えた時の影響について検討した。その結果、Fe23が60mol%超えのMn-Zn系フェライトにNiOを加えた場合には、磁気損失が最小となる温度が上昇し、この温度を動作温度付近に維持するためには、Fe23量を減らす必要があり、その分、飽和磁束密度は若干低下する。しかし、このNiOの添加量を適正範囲とすれば、飽和磁束密度が低下することなく、磁気損失を低減することができることを新たに見出し、本発明を開発するに至った。
次に、本発明において、基本成分の組成を上記範囲に限定する理由について説明する。
Fe23:60超〜68mol%
Fe23は、60mol%を超える領域では、その量が多いほど飽和磁束密度が高くなり、磁気損失も下がる傾向にある。しかし、Fe23が多すぎると磁気損失が最小となる温度が高温側に移行し過ぎて、トランス動作温度での磁気損失が増大する。そのため、Fe23含有量の上限は68mol%とする。一方、Fe23が少なくなると、損失が最小となる温度が逆に低温側に移行し、同じく動作温度での損失が増大するため、下限は60mol%超えとする。なお、NiOを多く含む場合には、磁気損失が最小となる温度は高温側に変化するため、この温度を変えないためにはFe23を少なくする必要がある。好ましくは、60〜65mol%である。
ZnO:8超〜16mol%
ZnOは、Fe23が60mol%を超えるフェライトでは、含有量が10mol%付近で飽和磁束密度が最大となるので、8mol%超え16mol%以下の範囲とする。好ましくは、10〜14mol%である
NiO:3〜12mol%
NiOは、添加量が3mol%未満では、上述した磁気損失の改善効果を得ることができない。一方、NiOは、磁気損失が最小となる温度を高温側にシフトするため、添加量が多すぎた場合には、Fe23やZnOの量を調整してもこの温度を作動温度近辺に維持できなくなるため、12mol%以下に制限する。好ましくは、5〜8mol%である
上記Fe23,ZnOおよびNiO以外の残部基本成分は、MnOである。
本発明のMn-Zn-Ni系フェライトは、上記基本成分に加えて、SiO2,CaOを下記の範囲で添加することにより、焼結性を高めかつ粒界を高抵抗化し、低い磁気損失を得ることができる。
SiO2:0.005〜0.05mass%
SiO2は、焼結を促進する効果があり、この効果を発現するためには0.005mass%以上の添加が必要である。一方、多すぎると異常粒成長を引き起こすため、上限を0.05mass%とする。ただし、この上限付近の添加量では粒成長を抑止して最適な結晶組織とするため、焼結温度を下げる等の考慮が必要である。好ましい添加量は0.005〜0.02mass%である。
CaO:0.020〜0.20mass%
CaOは、SiO2とともに添加することにより、粒界を高抵抗化して磁気損失を小さくする。0.020mass%未満の添加量ではその効果が見られず、一方、0.20mass%を超えると焼結性に問題が生ずるので、0.020〜0.20mass%の範囲に制限する。好ましい添加量は、0.0500〜0.1500mass%である。
本発明のフェライトは、上記基本成分、添加成分の他にさらに、スピネルに固溶しないTa25,ZrO2,Nb25,V25およびHfO2、さらに、スピネル構成元素として部分的に粒内に固溶するTiO2およびSnO2の中から選ばれる1種または2種以上を、下記の範囲で添加することにより、磁気損失の小さい高性能の電源用Mn-Zn-Ni系フェライトを得ることができる。
Ta25は、SiO2,CaOの共存下で、比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が0.0050mass%に満たない場合にはその添加効果に乏しく、一方、0.10mass%を超えると逆に磁気損失の増大を招く。よって、Ta25は、0.0050〜0.10mass%の範囲で添加するのが好ましい。
ZrO2は、SiO2,CaO,Ta25の共存下で、Ta25と同様に粒界の抵抗を高めて高周波帯域での磁気損失の低減に有効に寄与する。Ta25と比べると抵抗増加の効果は少ないが、磁気損失低減の寄与は大きく、特に、磁気損失が極小となる温度付近から高温側における磁気損失の低減に寄与する。ZrO2含有量が0.010mass%未満では、その効果に乏しく、一方、0.15mass%を超えると比抵抗を高める効果が飽和し、磁気損失が増大する。よって、ZrO2は0.010〜0.15mass%の範囲で添加するのが好ましい。
Nb25は、SiO2,CaOと粒界相を形成し、粒界抵抗を高めて磁気損失の低減に寄与する。0.0050mass%未満ではその効果に乏しく、一方、0.05mass%を超えると、過剰に粒界相に析出し、逆に磁気損失を増大してしまうので、0.0050〜0.05mass%の範囲で添加するのが好ましい。
25,HfO2は、ともに異常粒成長を抑制し、粒界抵抗を高める働きがある。少ないとその改善効果がなく、また多すぎると磁気損失が増大するため、V25:0.001〜0.05mass%、HfO2:0.0050〜0.050mass%の範囲で添加することが好ましい。
TiO2,SnO2は、スピネル構成元素として部分的に粒内に固溶する。TiO2は、一部粒界にも存在し、焼成後の冷却過程で粒界の再酸化を助長して磁気損失を低下させる。この効果を得るためには0.010mass%以上の添加が好ましく、逆に多すぎると異常粒成長を引き起こすため0.30mass%以下添加するのが好ましい。SnO2は、磁気損失の低減に寄与するためには0.010mass%以上添加することが好ましく、また、TiO2ほど異常粒成長を引き起こさないため、上限は、2.0mass%まで添加することができる。
なお、本発明に係る低磁気損失高飽和磁束密度Mn-Zn-Ni系フェライトの製造方法は、基本成分および添加成分を上記の組成範囲とすること以外は、従来公知の方法を用いることができ、特に制限されるものではない。
Mn-Zn-Ni系フェライトの基本成分の最終組成が表1に示した組成となるように、原料酸化物を配合し、ボールミルを用いて湿式混合し、乾燥し、その後、この混合粉を大気雰囲気中で950℃×3時間の仮焼を行い仮焼粉とした。この仮焼粉に対して、SiO2を0.0080mass%、CaCO3を0.1300mass%、Nb25を0.0250mass%およびZrO2を0.0100mass%となるように添加し、再度ボールミルを用いて湿式混合して粉砕し、乾燥し、この粉末にポリビニルアルコール5mass%水溶液を10mass%加えて造粒した粉末を、外径36mm、内径24mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス中で1330℃×3時間の焼成を行なった。このようにして得た焼結体試料(リング状コア)に1次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、周波数:100kHz、最大磁束密度200mT、100℃の条件下で、磁気損失(電力損失:Pcv)を交流BHトレーサーで測定した。また同じ焼結体試料を用いて、1次側20巻、2次側40巻の巻線を施し、1200A/mの磁場をかけたときの100℃における磁束密度Bを直流BHループトレーサーで測定した。なお、この大きさの磁場では、磁束密度はほぼ飽和しており、この値は飽和磁束密度Bsと見なせる。
上記の測定結果について、表1中に併記して示した。この表1の結果から、本発明の基本成分組成に適合した実施例(No.1〜6)では、高い飽和磁束密度を維持したままで、磁気損失の比較的低いフェライトが得られていることがわかる。一方、基本成分の組成が本発明範囲外である、No.7〜11では、磁気損失が非常に大きいか、あるいは磁気損失が小さくても飽和磁束密度が小さいフェライトしか得られていない。
Figure 2005179103
Mn-Zn-Ni系フェライトの最終成分組成として、Fe23:MnO:ZnO:NiOが61.6:20.4:11.5:6.5のモル比を有する仮焼粉を、実施例1と同様にして作製し、表2に示した各種添加物を添加し、実施例1と同様にして、混合し、粉砕し、乾燥し、ポリビニルアルコールを添加し、造粒し、リング状に成形したものを、酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス中で1230〜1350℃×2〜6時間の焼成を行なった。このようにして得た焼結体試料について、実施例1と同様の条件で磁気損失および磁束密度を測定した。
上記測定の結果を表2に併記して示した。この表2から明らかなように、添加成分の量が、本発明の範囲の場合には、飽和磁束密度が高く、かつ、比較的磁気損失が低いMn-Zn-Ni系フェライトが得られているのに対し、添加物の量が本発明範囲から外れたものは、いずれも磁気損失Pcvが1500kW/m3以上となっており、本発明例より大きく劣ることがわかる。
Figure 2005179103

Claims (2)

  1. Fe23,ZnO,NiOおよびMnOを基本成分とするMn-Zn-Ni系フェライトであって、
    その組成がFe23:60超〜68mol%、ZnO:8超〜16mol%、NiO:3〜12mol%、残部MnOからなり、
    このフェライト中にはさらに、SiO2:0.005〜0.05mass%、CaO:0.020〜0.20mass%を含有すると共に、Ta25,ZrO2,Nb25,V25,HfO2,TiO2およびSnO2のうちから選ばれる1種または2種以上を下記の範囲で含有することを特徴とする高飽和磁束密度Mn-Zn-Ni系フェライト。

    Ta25:0.0050〜0.10mass%
    ZrO2:0.010〜0.15mass%
    Nb25:0.0050〜0.05mass%
    25:0.001〜0.05mass%
    HfO2:0.0050〜0.050mass%
    TiO2:0.010〜0.30mass%
    SnO2:0.010〜2.0mass%
  2. 100℃における飽和磁束密度が460mT以上であることを特徴とする請求項1に記載の高飽和磁束密度Mn-Zn-Ni系フェライト。



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