JP2005168939A - 上メス切替え機構を備えたミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】 オーバーロックミシンにおいて、駆動メスを必要としない作業の場合に、駆動メスを停止させるとともに、駆動メスを針板下部に格納状態にしておくことができる上メス切替え機構を備えたミシンを提供すること。
【解決手段】 布縁切断機構は駆動源により駆動されて前記上メス部13の上下運動を発生するための手段と、該上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部13の上下動に伝達するための手段と、該伝達するための手段に設けられてその伝達を遮断するための手段と、該伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とからなること。前記伝達を遮断するための手段による遮断時には前記上メス部13が上下運動を発生するための手段による運動範囲から離れた退避位置に設定されるようにしたこと。
【選択図】 図1

Description

本発明は、オーバーロックミシンにおいて、駆動メスを必要としない作業の場合に、駆動メスを停止させるとともに、駆動メスを針板下部に格納状態にしておくことができる上メス切替え機構を備えたミシンに関する。
従来、オーバーロックミシンにおいては、駆動メスを使用しない場合について、切替えレバーでメス駆動の一部を切り離す方式が存在している。この種のものでは、下記特許文献1に示すタイプのものが存在している。すなわち、特許文献1に記載されている符号とともに内容を記載すると、略上下方向に往復動するリンク28と上刃16とが存在しており、このリンク28と上刃16は、第1アーム29,第2アーム30及び上刃ホルダ22,ホルダガイド23等の部材を介して連結され、偏心輪27の回転運動により上下往復動するリンク28が前記上刃16に上下往復の運動を伝達するものである。そして、メス機構14を使用しない状態のときには、第1アーム29,第2アーム30とを連結している連結ピン34を切替レバー38を介して引き抜いて、前記第1アーム29,第2アーム30とを切り離して、リンク18から上刃への動作伝達を切断することができる構造となっている。
特開平11−235489号
上記特許文献1において、駆動源からの運動を伝達する手段では、停止位置を運動範囲で可動メスの作動を停止することが記載されている。従って、仮に停止位置が運動範囲の可動メスの下死点位置であったとしても、可動メスを作動させない縫目形成時に、可動メスが針板上面より上にとどまることにより、可動メスが布操作位置にあるから、布扱い時に布操作に支障を及ぼすことになる。この発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的)は、可動メスの作動を停止すると共に、停止位置を運動範囲外の位置に移動させるようにして、可動メスを作動させない縫目形成時に、可動メスが布操作位置に存在しないようにして、布扱いを容易にすること、また復帰操作により、運動範囲内に導くことで、運動を伝達するようにしたことである。
そこで発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、その発明を、ミシンベッドの針板に近接して固着された下メス部と、該下メス部と協働して布の縁を切断する上メス部を備えた布縁切断機構を有するミシンにおいて、前記布縁切断機構は駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段と、該上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段と、該伝達するための手段に設けられてその伝達を遮断するための手段と、該伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とからなり、前記伝達を遮断するための手段による遮断時には前記上メス部が上下運動を発生するための手段による運動範囲から離れた退避位置に設定されるようにした上メス切替え機構を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
次に、ミシンベッドの針板に近接して固着された下メス部と、該下メス部と協働して布の縁を切断する上メス部を備えた布縁切断機構とを備え、前記布縁切断機構は駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段と、該上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段と、該伝達するための手段に設けられて伝達を遮断するための手段と、該伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とを有する上メスの切替え機構を備えたミシンにおいて、前記伝達を遮断するための手段の遮断時には前記上メスが上下運動を発生するための手段による運動範囲から離れた退避位置に設定されるようにした上メス切替え機構を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
次に、前述の構成において、前記駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段は、ミシン機枠に回転可能に支承されたミシン主軸と、該ミシン主軸に固着されて、所定の偏心量を備えた円形の偏心カムであるメスカムと、前記ミシン主軸と並行に前記ミシン機枠に支承されたメス軸と、一端が前記メスカムに嵌合して他端は前記メス軸に支承された第1クランクの一端に固着されたピンに連結するロッドとによりなる上メス切替え機構を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
次に、前記上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段は、前記メス軸に揺動自在に支承された第1クランクと、前記メス軸に並列となるようにミシン機枠に支持されたメス揺動軸と、前記メス軸に支承された第2クランクと、前記メス揺動軸に回転可能に支持され、一端に角ゴマがスライド可能に嵌合する長溝が設けられ、前記角ゴマに設けられた嵌合穴に前記メス軸に支持された第2クランクの先端に設けたピンで連結され他端側にて前記上メス部に上下運動を伝達するメス揺動腕とからなり、前記第1クランクと第2クランクには結合することにより一体化させる結合部が設けられ、一体化された第1クランクと第2クランクとが前記メス軸に揺動してなる上メス切替え機構を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
さらに、上述した構造において前記結合部は、前記第1クランクと前記第2クランクのいずれか一方に結合突起が形成され、他方に結合穴が形成され、前記第1クランクと第2クランクとは当接することにより前記結合突起が結合穴に挿入して結合されるようにしたり、または前記上メス部が退避する手段は、伝達を遮断するための手段により上下運動の伝達が遮断されている状態で、常時上メス部を下方に弾性付勢されてミシン本体の針板より下方に収納されるようにしたり、または前記伝達を遮断するための手段は、第1クランクと第2クランクとを相互に引き離して前記結合部における結合突起を結合穴から外す手動操作部を設けてなる上メス切替え機構を備えたミシンとしたことにより上記課題を解決したものである。
本発明によれば、極めて簡単な構造及び操作にてメス機構を使用しない場合における上メス部の動作を停止し、且つ伝達を遮断するための手段による上メス部への上下運動の遮断時には前記上メス部を運動範囲から離れた退避位置に設定させるようにすることができ、上メス部を作動させないときには、可動メスが布操作位置に存在しないようにして、布扱いを容易にすること、また復帰操作により、運動範囲内に導くことで、運動を伝達するようにすることができるものである。
発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、主に上メス部13の上下運動を発生するための駆動する手段と、この駆動する手段による運動を前記上メス部13に上下動を伝達するための手段と、該上下運動の伝達遮断するための手段と、この伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とからなる。
まず、前記駆動源により駆動されて前記上メス部13の上下運動を発生するための手段は、ミシン主軸2,メスカム3及びロッド4から構成される。次に、上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部13の上下動に伝達するための手段は、主に第1クランク5,第2クランク6及びメス揺動腕7とから構成される。また、伝達するための手段に設けられてその伝達を遮断するための手段は、前記第1クランク5と第2クランク6とに設けられた結合部52にて構成され、手動操作手段は主に手動操作部Aからなる。
まず、下メス部1は、下メス部刃1aがメス固定台1bに固着されている。該下メス部1は、その下メス部刃1aが上方を向くようにして、メス固定台1bがミシン本体の針板30よりも下方箇所に固定されたものである。その下メス部1の下メス部刃1aに対して、略上下に往復動するようにして上メス部13が装着される。
該上メス部13は、図7(c)等に示すように、上メス刃13aと上メスホルダ13bと上メス連結腕13cとから構成される。その上メス刃13aは、上メスホルダ13bと上メス連結腕13cにより支持されるものであって、該上メスホルダ13bは、メス保持部13b1 と支持軸部13b2 から構成される。そのメス保持部13b1 には、前記上メス刃13aがビス,ボルト等の固着具にて固着されている。
前記上メスホルダ13bは、上メス連結腕13cに装着される。該上メス連結腕13cには、メス支持部13c1 と腕部13c2 から構成されている。そのメス支持部13c1 は、円筒状に形成され、前記上メス部13の支持軸部13b2 が挿入される部位である。そして、上メス連結腕13cには、上メスホルダ13bを介して上メス部13が固着される。前記メス支持部13c1 の支持軸部13b2 の突出する側には、上メス押圧バネ13dが押え具13eを介して装着されている。該上メス押圧バネ13dは、上メス刃13aに下メス部刃1a側へ押圧する弾性的な押圧力を与え、布切断時における必要なメス圧を発生させるものである。
前記上メス部13の上メス連結腕13cは、上メス連結軸15によって、上メスリンク8と連結される。また、前記下メス部1は、針板30と略同一高さで送り歯、押さえ等の針落ちの位置より手前となるようにして下メス台1cに配置される。なお図1,図2において符号31は、ミシン針である。一方、ミシン本体に配置されたミシン主軸2にはメスカム3と、該メスカム3によって上下方向に揺動するよりロッド4が装着されている〔図1,図2及び図7(a)等参照〕。該ロッド4の下端に第1クランク5がピン5cを介して相互に回転自在に連結され、また、該第1クランク5の他端側が第2クランク6と回転自在に連結されている。
次に、上下動を伝達するための手段の構成については、その第1クランク5は、図7(b)に示すように、主に長手方向略中央箇所に形成された貫通孔とした揺動中心部5aと、前記ロッド4と連結するロッド連結部5bとから構成される。また、第2クランク6は、長手方向の一端側に貫通孔とした揺動中心部6aが形成されている。また、長手方向の他端側には、連結軸6bが形成されている。この第1クランク5と第2クランク6とは、図1,図2等に示すように、同一のメス軸51に装着されるものであり、該メス軸51を介して第1クランク5と第2クランク6とが揺動するものである。すなわち、第1クランク5と第2クランク6とは、揺動中心位置が同一となるものである。この第2クランク6は、前記メス軸51を軸方向に沿って摺動自在としている。
そして、後述する手動操作部Aの操作にて、図1(b),図2(b)等に示すように、その第2クランク6を前記第1クランク5に対して当接させたり、或いは離間させることができる構造となっている。なお、上記当接の意味は、略当接及び近接することの意味も含まれる。その第1クランク5と第2クランク6とは、図1(b),図2(b)及び図7等に示すように、相互に結合する結合部52を有している。この結合部52は、前記第1クランク5と第2クランク6とを結合したり、或いは適宜結合解除自在とすることで結合を切り離すものであり、遮断する手段を介して第1クランク5と第2クランク6とが引き離される。その結合部52は、図2(b),図7(b)に示すように、結合突起52aと結合穴52bとから構成される。図示された実施形態では、前記結合突起52aは、前記第1クランク5側に形成され、前記結合穴52bは、第2クランク6に形成されている。その第2クランク6が第1クランク5に向かって移動し、両者が略当接した状態で前記結合突起52aが結合穴52bに挿入して連結するものである〔図3(a),(b)参照〕。
この結合突起52aと結合穴52bとが結合することにより、第1クランク5と第2クランク6とは長手方向に沿って前記メス軸51と結合部52との2点支持構造により一体的になって動作するものである。そして、前記第1クランク5による揺動動作が直接第2クランク6に伝達されるものである。前記第2クランク6には、前記第1クランク5側に、常時近づくように弾性的に付勢する戻しバネ18が装着されている。該戻しバネ18は、捩じり式コイルバネが使用され、ミシン本体と前記第2クランク6との間に装着され、その捩じり式コイルバネの一端側のピン状部分が第2クランク6を常時,第1クランク5側に弾性的に付勢している。
その結合突起52aと結合穴52bは、具体的には図2(b)に示すように、挿入穴(結合突起52a)と、該挿入穴(結合突起52a)に挿入自在な突起軸(結合穴52b)とから構成される。そして、挿入穴形状の結合突起52aに突起軸形状の結合穴52bが挿入することにより結合が行われる。また、結合部52には、前述した構造に限定されるものではなく、結合突起52aと結合穴52bとは相互に結合し、また第1クランク5と第2クランク6とを離間するのみで結合部52を構成する結合突起52aと結合穴52bとが切り離されて、その結合状態が解除される構造のものであればよい。
そして、上下運動を発生するための手段として、ミシン主軸2の回転によって前記メスカム3が回転することにより、図1(a)に示すように、前記ロッド4が上下方向に往復動するものであり、この上下運動を発生するための手段による上下往復動が前記第1クランク5及び該第1クランク5と一体化された第2クランク6に揺動動作を伝達するものである。この第1クランク5,第2クランク6の揺動動作がメス揺動腕7に揺動運動を行わさせ、該メス揺動腕7が上メスリンク8を揺動動作させるものである。
前記メス揺動腕7と第2クランク6との連結は、摺動自在な連結機構部となっている。具体的には、図1,図2及び図7(b)等に示すように、前記メス揺動腕7は、長手方向の略中央が揺動中心部7aとなっており、ミシン機枠に支承されたメス揺動軸53により前記揺動中心部7aが揺動自在に支持されている。そして、メス揺動腕7のその一端側には前記第2クランク6と連結する摺動連結部7bが形成され、他端側には、前記上メスリンク8と連結する連結部7cが形成されている。
該摺動連結部7bは、略長方形状の摺動長孔として形成されており、その内部に角駒7dが遊挿され、該角駒7dが摺動連結部7b内を摺動自在となっている。その角駒7dは、略直方体状に形成され、軸孔7d1 が形成されており、前記第2クランク6の連結軸6bが挿入されて、第2クランク6とメス揺動腕7とが相互に回動自在に連結されている。さらに、第2クランク6とメス揺動腕7との連結箇所は摺動自在であり、スライダークランク機構を構成して、第2クランク6からの揺動動作をメス揺動腕7に滑らかに伝達することができる(図1,図2等参照)。
さらに、そのメス揺動腕7は、連結部7cを介して上メスリンク8と回転自在に連結され、メス揺動腕7の揺動運動を前記連結部7cを介して上メスリンク8に上下運動として伝達するものである。該上メスリンク8は、前記上メス連結腕13cを介して上メス部13が装着されている。前記上メス部13は、常時,下方に弾性的に付勢されて、前記第1クランク5と第2クランク6との結合が解除された状態では、その上メス部13が退避手段として上メス引張りばね19によって、前記針板30より下方に収納されるようになっている。
さらに、前記上メスリンク8は、図1(a),図2(a)及び図7(a)等に示すように、2本の第1平行リンク9及び第2平行リンク10を介して前記下メス部1のメス固定台1bと連結され、上メスリンク8が略上下方向に往復動することができる構造となっている。また、前記第1平行リンク9と第2平行リンク10は、その長手方向の長さが僅かに異なるように設定されることで、僅かに左右方向に揺動しながら上下往復動することができるようになっている。そして、前記第2平行リンク10に引張りばね19の一端側が引掛けられ、他端側がミシン本体側に引掛けられ、前記第2平行リンク10が下方に引っ張られるようにすることで、上メスリンク8に装着された前記上メス部13が下方に弾性的に付勢される構造となっている。
次に、手動操作手段として、手動操作部Aは、図3,図4(a),(b)に示すように、主にメス切替えレバー16,切替え連結板23及び復帰レバー部24とから構成されるものであって、前記メス切替えレバー16は、操作主板16aと操作レバー16bとからなり、この操作主板16aと操作レバー16bとが略T字形状のメス切替えレバー16を構成している。さらに、具体的には、前記操作主板16aに対して操作レバー16bが略直角となるように一体的に形成されている。
操作主板16aの略中央箇所には、図4(a)に示すように、揺動中心部16eが形成され、メス切替えレバー16がミシン機枠に対して水平方向に揺動自在に設けられている。その操作主板16aには、操作撮み部17が装着されている。該操作撮み部17は、ミシン本体の外部に突出しており、その操作撮み部17の操作により前記操作主板16aを揺動操作させ、前記第2クランク6をメス軸51の軸方向に沿って移動させ、前記第1クランク5と第2クランク6の結合部52による結合状態及び結合解除状態のいずれかを選択して操作するものである。
さらに、前記操作撮み部17がミシン本体から突出する部位には、図3(a),(b)に示すように、操作位置保持部材20が装着されている。該操作位置保持部材20は、操作位置固定部20aと、固定用バネ部20bとから構成されている。そして、操作位置固定部20aは、前記操作主板16aに設けられ、固定用バネ部20bはミシン本体側に固着されている。前記操作位置固定部20aは、プレート状に形成され、前記第1クランク5と第2クランク6の結合部52による結合状態及び結合解除状態の2つの状態を保持するための固定用穴20a1 ,20a1 が形成されている。
さらに固定用バネ部20bは、弾性を有する板バネ状の弾性腕片20b1 とその先端に屈曲形成された固定用端片20b2 が形成され、前記弾性腕片20b1 の一端側の固定基板がミシン機枠に固着される。前記固定用端片20b2 は、前記弾性腕片20b1 の端部に略V字形状に屈曲形成されたもので、前記第1クランク5と第2クランク6との結合部52による結合又は解除状態を維持する2つの固定用穴20a1 ,20a1 のいずれかに嵌合状態に固定するものである。上記の構成にて、操作位置保持部材20の操作位置固定部20aは操作主板16aとともに移動し、またその操作位置固定部20aの移動によって、前記固定用バネ部20bの固定用端片20b2 がいずれかの固定用穴20a1 ,20a1 に嵌まるようにして固定し、手動操作部Aの操作位置を保持するものでる。また、前記操作主板16aのミシン本体内部側における端部(操作主板16aの操作撮み部17が装着されている側の反対側)には、操作復帰バネ25が装着されている。該操作復帰バネ25は、前記第2クランク6が第1クランク5から離間する方向に弾性的に付勢するものである。
その操作レバー16bには、第1クランク5と第2クランク6とをメス軸51に沿って離間させる離間手段が設けられている。該離間手段としては、突起16cが形成され、該突起16c箇所には前記第2クランク6が配置される。該第2クランク6の底面箇所には、この突起16cが遊挿する旋回孔6dが形成されており、前記第2クランク6が操作レバー16bにより旋回自在となる構成となっている。また、前記操作レバー16bの端部箇所には、押圧手段が設けられている。該押圧手段は、前記第2クランク6とメス揺動腕7との摺動連結箇所を押し下げる役目をなすものであり、切替え連結板23と復帰レバー部24とから構成されている。
前記操作レバー16bの先端には、旋回孔6dが形成され、該旋回孔6dを介して切替え連結板23が連結される。該切替え連結板23は、その一端側の連結片23aが操作レバー16bに連結され、他端側には、後述する復帰レバー部24を操作するための、操作伝達部23bが形成されている。該操作伝達部23bは、屈曲片23b1 と操作突起片23b2 とから構成され、該操作突起片23b2 により復帰レバー部24を上下方向に揺動操作することができる。該復帰レバー部24は、図4(b)に示すように、前記操作突起片23b2 が摺動自在に係合する摺動溝24aと、押圧突起24bと、該復帰レバー部24が上下方向に揺動するための揺動中心部24cとから構成される。
その復帰レバー部24は、ミシン本体側に揺動自在となるように揺動中心部24cを介してミシン機枠に設けられている。前記押圧突起24bは、図5(a),(b)及び図6に示すように、前記第2クランク6とメス揺動腕7との摺動連結箇所を下方に押し下げる役目をなす。この動作が行われることによって、前記結合部52による結合突起52aと結合穴52bによる結合やその切り離しを行い易くするものである。
すなわち、第1クランク5と第2クランク6との結合が解除された状態では、前記第2クランク6の結合穴52bは、第1クランク5の結合突起52aの揺動角度θにおける揺動軌跡領域の外部に存在する。これは、図2に示すように、前述したように引張りばね19により上メス部13,上メスリンク8及びメス揺動腕7が下方に弾性的に付勢されているので、第2クランク6とメス揺動腕7と連結箇所が上方に位置することとなる。このとき、第2クランク6の結合穴52bの位置は、第1クランク5の揺動角度θによる揺動軌跡の領域外となるように設定されている。これは、第1クランク5と第2クランク6との結合部52による結合が解除されている状態で、第1クランク5が揺動角度θで揺動動作を行っても、その結合部52における結合突起52aと結合穴52bとが干渉することがないようにしている。
このように第1クランク5と第2クランク6との結合部52による結合が解除された状態から再度結合部52による結合を行わさせるには、前記手動操作部Aを操作して切替えレバー16の操作レバー16b先端に連結された切替え連結板23を介して復帰レバー部24を回動させる。そして、前記第2クランク6と揺動腕7との連結箇所を復帰レバー部24の押圧突起24bにて押し下げ、第2クランク6の結合穴52bを第1クランク5の揺動軌跡領域内に押し入れる。また同時に、第2クランク6は、戻しバネ18によって第1クランク5側に当接又は近接するように弾性的に付勢されている。これによって、第1クランク5が揺動動作を行うことで、該第1クランク5の結合突起52aは、静止している第2クランク6の結合穴52bと位置が一致するときに、前記結合突起52aと結合穴52bとの結合が行われることになる。
上記のようにして、第1クランク5と第2クランク6とが結合部52により結合して、第1クランク5と第2クランク6とが一体的なクランクを構成し、ミシン主軸2,メスカム3及びロッド4からの上下往復動が第1クランク5と第2クランク6に伝達され、メス揺動腕7及び上メスリンク8等を介して上メス部13に伝達され、メス駆動状態に復帰させることができる。
次に、ミシン作業においてメス機構を使用しない場合、すなわち、メス解除動作を図3(b)に基づいて述べる。メス駆動状態から手動操作部Aのつまみをメス解除側へ切り替えると、手動操作部Aの突起16cが第2クランク6を戻しばね18の弾性押圧力に抗して該第2クランク6を第1クランク5から離間させる。これによって、結合突起52aと結合穴52bとの結合状態が解除される。
結合部52による結合が解除されると、第2クランク6とメス揺動腕7との摺動連結箇所は、前記引張りばね19により、上方に位置し、第2クランク6の結合穴52bが第1クランク5の揺動軌跡領域の外部に位置し、第1クランク5と第2クランク6との結合突起52aと結合穴52bとの結合が行われないようにする。これによって、第2クランク6と第1クランク5との結合が解除され、メス切断機構の駆動が行われないようにすることにより、前記上メスリンク8には上メス引張りばね19の下方への弾性的付勢力により、前記上メスリンク8を介して前記上メス部13は針板30よりも下方に退避した位置となる。
この時点のメス駆動解除状態では、前記第2クランク6の結合穴52bは、第1クランク5の結合突起52aの揺動軌跡領域の外側に位置していることになる。これによって、第1クランク5と第2クランク6とは、結合部52によって結合されない状態となっている。そして、前記操作位置保持部材20の固定用穴20a1 において、結合部52が切り離された状態を設定する固定用穴20a1 に、前記手動操作部Aの固定用端片20b2 が嵌まり込み、その状態で手動操作部Aを固定する。これによって、手動操作部Aにおけるメス駆動解除状態の位置が安定した状態で維持されるものである。
本発明では、極めて簡単な操作により、メス駆動を解除するとともに、その解除時には前記上メス部13は、上下運動させる機構と切り離された状態となる退避位置に設定され、上メス部13が針板30の下方側に収納された状態とすることができ、ミシン縫い作業の妨げにならず、メス駆動の解除時における作業を行うことができる。
(a)は本発明において上メスの駆動状態とした構成図、(b)は(a)の第1クランクと第2クランクとの結合状態を示す断面図である。 (a)は本発明において上メスの駆動解除状態とした構成図、(b)は(a)の第1クランクと第2クランクとの結合を解除した状態を示す断面図である。 (a)はメス駆動状態における操作部箇所の平面図、(b)はメス駆動解除状態における操作部箇所の平面図である。 (a)は操作部の構成を示す斜視図、(b)は操作部の要部の構成を示す分解斜視図である。 (a)は操作部の復帰レバーの非作動状態の状態図、(b)は操作部の作動状態の状態図である。 第2クランクとメス揺動腕との連結箇所が復帰レバー部により押圧された状態図 (a)は本発明の要部斜視図、(b)は第1クランク,第2クランク及びメス揺動腕箇所の分解斜視図、(c)は上メス部箇所の分解斜視図、(d)は下メス部箇所の分解斜視図である。
符号の説明
A…手動操作部
1…下メス部
4…ロッド
5…第1クランク
6…第2クランク
7…メス揺動腕
13…上メス部
51…メス軸
52…結合部
52a…結合突起
52b…結合穴

Claims (7)

  1. ミシンベッドの針板に近接して固着された下メス部と、該下メス部と協働して布の縁を切断する上メス部を備えた布縁切断機構を有するミシンにおいて、前記布縁切断機構は駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段と、該上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段と、該伝達するための手段に設けられてその伝達を遮断するための手段と、該伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とからなり、前記伝達を遮断するための手段による遮断時には前記上メス部が上下運動を発生するための手段による運動範囲から離れた退避位置に設定されるようにしたことを特徴とする上メス切替え機構を備えたミシン。
  2. ミシンベッドの針板に近接して固着された下メス部と、該下メス部と協働して布の縁を切断する上メス部を備えた布縁切断機構とを備え、前記布縁切断機構は駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段と、該上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段と、該伝達するための手段に設けられて伝達を遮断するための手段と、該伝達を遮断するための手段を手動操作する手動操作手段とを有する上メスの切替え機構を備えたミシンにおいて、前記伝達を遮断するための手段の遮断時には前記上メスが上下運動を発生するための手段による運動範囲から離れた退避位置に設定されるようにしたことを特徴とする上メス切替え機構を備えたミシン。
  3. 前記駆動源により駆動されて前記上メス部の上下運動を発生するための手段は、ミシン機枠に回転可能に支承されたミシン主軸と、該ミシン主軸に固着されて、所定の偏心量を備えた円形の偏心カムであるメスカムと、前記ミシン主軸と並行に前記ミシン機枠に支承されたメス軸と、一端が前記メスカムに嵌合して他端は前記メス軸に支承された第1クランクの一端に固着されたピンに連結するロッドとによりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の上メス切替え機構を備えたミシン。
  4. 前記上下運動を発生するための手段による運動を前記上メス部の上下動に伝達するための手段は、前記メス軸に揺動自在に支承された第1クランクと、前記メス軸に並列となるようにミシン機枠に支持されたメス揺動軸と、前記メス軸に支承された第2クランクと、前記メス揺動軸に回転可能に支持され、一端に角ゴマがスライド可能に嵌合する長溝が設けられ、前記角ゴマに設けられた嵌合穴に前記メス軸に支持された第2クランクの先端に設けたピンで連結され他端側にて前記上メス部に上下運動を伝達するメス揺動腕とからなり、前記第1クランクと第2クランクには結合することにより一体化させる結合部が設けられ、一体化された第1クランクと第2クランクとが前記メス軸に揺動してなることを特徴とする請求項3に記載の上メス切替え機構を備えたミシン。
  5. 前記結合部は、前記第1クランクと前記第2クランクのいずれか一方に結合突起が形成され、他方に結合穴が形成され、前記第1クランクと第2クランクとは当接することにより前記結合突起が結合穴に挿入して結合されてなることを特徴とする請求項4に記載の上メス切替え機構を備えたミシン。
  6. 前記上メス部が退避する手段は、伝達を遮断するための手段により上下運動の伝達が遮断されている状態で、常時上メス部を下方に弾性付勢されてミシン本体の針板より下方に収納されるようにしてなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の上メス切替え機構を備えたミシン。
  7. 前記伝達を遮断するための手段は、第1クランクと第2クランクとを相互に引き離して前記結合部における結合突起を結合穴から外す手動操作部を設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載の上メス切替え機構を備えたミシン。
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