JP2005133073A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
光学デバイス・部品用材料、電子デバイス・部品用絶縁材料などとして有用で、短波長領域での光透過性に優れた硬化物を与える硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
(A)(a)式(1):
【化1】

[式中、Aは、式(2):
【化2】

(式中、R'は1価炭化水素基またはアルコキシ基、nは0〜100の整数)
で表される基、または式(3):
【化3】

で表される2価の基、
Rは1価炭化水素基またはアルコキシ基]
で表され有機ケイ素化合物と、
(b)付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する付加反応生成物、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有する化合物、および
(C)ヒドロシリル化反応触媒
を含む硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学デバイスもしくは光学部品用材料、電子デバイスもしくは電子部品用絶縁材料またはコーティング材料として有用な、多環式炭化水素骨格含有成分を含む硬化性組成物に関する。

従来、光学デバイスまたは光学部品用材料、特に発光ダイオード(LED)素子の封止材料としては、一般的にエポキシ樹脂が用いられている。また、シリコーン樹脂に関しても、LED素子のモールド部材等として用いること(特許文献1、特許文献2参照)、またカラーフィルター材料として用いること(特許文献3参照)が試みられているが、実際上の使用例は少ない。

近年、白色LEDが注目される中で、これまで問題とされなかったエポキシ封止材の紫外線等による黄変や、小型化に伴う発熱量の増加によるクラック等の問題が発生しており対応が急務となっている。これらの対応策としては、分子中に多量のフェニル基を持つシリコーンレジン硬化物を用いることが検討されている。しかし、今後のLEDの光源としては、より短い波長の光線を生じるものが使用されるようになる傾向にあり、エポキシ封止材およびフェニル基含有シリコーンレジン封止材は短波長領域での光透過性が悪いため、短波長領域の光線を生じるLEDへの適用は問題があった。

また、炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する有機化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するケイ素化合物とを必須成分として含む光学材料用組成物も提案されている(特許文献4〜特許文献8参照)。しかし、これらの組成物を加熱硬化させて硬化物を得る際に発泡または硬化収縮を生じたり、硬化物が着色する等の問題点があった。

特開平10−228249号公報 特開平10−242513号公報 特開2000−123981号公報 特開2002−324920号公報 特開2002−327114号公報 特開2002−327126号公報 特開2002−338833号公報 特開2002−341101号公報

上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、光学デバイスもしくは光学部品用材料、電子デバイスもしくは電子部品用絶縁材料またはコーティング材料として有用な、硬度および強度が高く、さらに短波長領域での光透過性に優れた硬化物を与える硬化性組成物を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(A)(a)下記一般式(1):


[式中、Aは、下記一般式(2):


(式中、R'は独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、nは0〜100の整数である)
で表される基、および下記構造式(3):


で表される基から成る群から選ばれる2価の基であり、
Rは独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6アルコキシ基である]
で表されるケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個有する化合物と、
(b)付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する付加反応生成物、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有する化合物、および
(C)ヒドロシリル化反応触媒
を含む硬化性組成物を提供するものである。

本発明の硬化性組成物は、硬度および強度が高く、硬化収縮が無く、短波長領域の光線についても光透過率が高く、透明性に優れた硬化物を与えることができる。従って、発光ダイオード素子の保護、封止もしくは接着、波長変更もしくは調整またはレンズ等の用途に好適に使用できる。また、レンズ材料、光学デバイスもしくは光学部品用封止材、ディスプレイ材料等の各種の光学用材料、電子デバイスもしくは電子部品用絶縁材料、更にはコーティング材料としても有用である。

以下、本発明について詳しく説明する。
[(A)成分]
本発明組成物の(A)成分は、
(a)下記一般式(1):


[式中、Aは、下記一般式(2):


(式中、R'は独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、nは0〜100の整数である)
で表される基、および下記構造式(3):


で表される基から成る群から選ばれる2価の基であり、
Rは独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6アルコキシ基である]
で表されるケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個有する化合物と、
(b)付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する付加反応生成物である。

<(a)成分>
この(A)成分の反応原料である、(a)上記一般式(1)で表されるケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH」ということがある)を1分子中に2個有する化合物において、上記一般式(1)中のAが上記一般式(2)で表される2価の基である場合、該化合物としては、下記一般式(4):


(式中、RおよびR'はそれぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6、好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、nは0〜100、好ましくは0〜10の整数である)
で表される化合物が挙げられる。

上記式中、R,R'が上記1価炭化水素基である場合としては、例えば、メチル基、エチル、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、sec-ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o-,m-,p-トリル等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1-ヘキセニル基等のアルケニル基;p-ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基;およびこれらの基中の炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、エポキシ環含有基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2-シアノエチル基;3-グリシドキシプロピル基等が挙げられる。

また、R,R'が上記アルコキシ基である場合としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。

上記の中でも、上記RおよびR'としては、アルケニル基およびアルケニルアリール基以外のものが好ましく、特に、その全てがメチル基であるものが、工業的に製造することが容易であり、入手しやすいことから好ましい。

この上記一般式(4)で表される化合物の好適な具体例の構造式を下記に示すが、前記化合物が下記構造式のものに限定されるものではない。なお、以下、「Me」はメチル基を意味する。

HMe2SiOSiMe2
HMe2SiO(Me2SiO)SiMe2
HMe2SiO(Me2SiO)4SiMe2
HMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2
HMe2SiO(Me2SiO)12SiMe2
なお、この上記一般式(4)で表される化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

該(A)成分の反応原料である、(a)上記一般式(1)で表されるSiHを1分子中に2個有する化合物において、上記一般式(1)中のAが上記構造式(3)で表される2価の基である場合、該化合物としては、下記一般式(5):


(式中、Rは上記一般式(4)に関して定義のとおりである)
で表される化合物が挙げられる。

上記一般式(5)中のRとしては、上記一般式(4)中のRについて記載したものと同じ基が挙げられ、アルケニル基およびアルケニルアリール基以外のものであるものが好ましく、特に、その全てがメチル基であるものが好ましい。

この上記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、
構造式:HMe2Si-p-C64-SiMe2
で表される 1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、
構造式:HMe2Si-m-C64-SiMe2
で表される 1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン等のシルフェニレン化合物が挙げられる。
なお、この上記一般式(5)で表される化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
更に、この(A)成分の反応原料である上記(a)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

<(b)成分>
この(A)成分の反応原料である(b)付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素において、前記「付加反応性」とは、ケイ素原子に結合した水素原子の付加(ヒドロシリル化反応として周知)を受け得る性質を意味する。

また、該(b)成分は、(i)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素−炭素二重結合が形成されているもの、(ii)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が、付加反応性炭素−炭素二重結合含有基によって置換されているもの、または、(iii)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素−炭素二重結合が形成されており、かつ、多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が付加反応性炭素−炭素二重結合含有基によって置換されているもの、の何れであっても差し支えない。
この(b)成分としては、例えば、下記構造式(x):


(x)
で表される 5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
下記構造式(y):


(y)
で表される 6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、これら両者の組み合わせ(以下、これら3者を区別する必要がない場合は、「ビニルノルボルネン」と総称することがある);下記構造式(z):


(z)
で表されるジシクロペンタジエン等が挙げられる。

なお、前記ビニルノルボルネンのビニル基の置換位置は、シス配置(エキソ形)またはトランス配置(エンド形)のいずれであってもよく、また、前記配置の相違によって、該成分の反応性等に特段の差異がないことから、これら両配置の異性体の組み合わせであっても差し支えない。

<(A)成分の調製>
本発明組成物の(A)成分は、SiHを1分子中に2個有する上記(a)成分の1モルに対して、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する上記(b)成分の1モルを越え 10モル以下、好ましくは1モルを越え5モル以下の過剰量を、ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより、SiHを有しない付加反応生成物として得ることができる。
こうして得られる(A)成分は、(b)成分由来の付加反応性炭素−炭素二重結合のほかに、(a)成分に由来する(具体的には、一般式(1)中のRおよび/または一般式(2)中のR’に由来する)付加反応性炭素−炭素二重結合を含み得るので、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含むが、この数は好ましくは2〜6個、より好ましくは2個である。この付加反応性炭素−炭素二重結合が多すぎると、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物に割れが生じやすくなる。

前記ヒドロシリル化反応触媒としては、従来から公知のものが全て使用することができる。例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒が挙げられる。また、付加反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されず通常のとおりとすればよい。

前記のとおり、(A)成分の調製に際し、上記(a)成分に対して過剰モル量の上記(b)成分を用いることから、該(A)成分は、上記(b)成分の構造に由来する付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有するものである。更に、(A)成分は、上記(a)成分に由来する残基を有し、その残基が、上記(b)成分の構造に由来するが付加反応性炭素−炭素二重結合を有しない多環式炭化水素の二価の残基によって結合されている構造を含むものであってもよい。

即ち、(A)成分としては、例えば、下記一般式(6):
Y-X-(Y'-X)p-Y (6)
(式中、Xは上記(a)成分の化合物の二価の残基であり、Yは上記(b)成分の多環式炭化水素の一価の残基であり、Y'は上記(b)成分の二価の残基であり、pは0〜10、好ましくは0〜5の整数である)
で表される化合物が挙げられる。

なお、上記 (Y'-X) で表される繰り返し単位の数であるpの値については、上記(a)成分1モルに対して反応させる上記(b)成分の過剰モル量を調整することにより設定することが可能である。
上記一般式(6)中のYとしては、具体的には、例えば、下記構造式:


で表される一価の残基(以下、これら6者を区別する必要がない場合は、これらを「NB基」と総称し、また、前記6者の構造を区別せずに「NB」と略記することがある。);


で表される一価の残基(以下、これら7者を区別する必要がない場合は、これらの構造を「DCP」と略記することがある。)が挙げられる。
上記一般式(6)中のY'としては、具体的には、例えば、下記構造式:


で表される二価の残基が挙げられる。

但し、上記構造式で表される非対称な二価の残基は、その左右方向が上記記載のとおりに限定されるものではなく、上記構造式は、実質上、個々の上記構造を紙面上で 180度回転させた構造をも含めて示している。

上記一般式(6)で表される(A)成分の好適な具体例を、以下に示すが、これに限定されるものではない。(なお、「NB」および「DCP」の意味するところは、上記のとおりである。)
NB-Me2SiOSiMe2-NB
NB-Me2SiO(Me2SiO)SiMe2-NB
NB-Me2SiO(Me2SiO)4SiMe2-NB
NB-Me2SiO(Me2SiO)8SiMe2-NB
NB-Me2SiO(Me2SiO)12SiMe2-NB
NB-Me2Si-p-C64-SiMe2-NB
NB-Me2Si-m-C64-SiMe2-NB


(式中、pは1〜10の整数である。)


(式中、pは1〜10の整数である。)

DCP-Me2SiOSiMe2-DCP
DCP-Me2SiO(Me2SiO)SiMe2-DCP
DCP-Me2SiO(Me2SiO)4SiMe2-DCP
DCP-Me2SiO(Me2SiO)8SiMe2-DCP
DCP-Me2SiO(Me2SiO)12SiMe2-DCP
DCP-Me2Si-p-C64-SiMe2-DCP
DCP-Me2Si-m-C64-SiMe2-DCP


(式中、pは1〜10の整数である。)


(式中、pは1〜10の整数である。)
更に、本発明の(A)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

[(B)成分]
本発明の(B)成分は、SiHを1分子中に3個以上有する化合物である。該(B)成分中のSiHが、上記(A)成分が1分子中に少なくとも2個有する付加反応性炭素−炭素二重結合とヒドロシリル化反応により付加して、3次元網状構造の硬化物を与える。
該(B)成分としては、例えば、下記一般式(7):


(式中、R1は独立に水素原子またはアルケニル基以外の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、qは3〜10、好ましくは3〜8の整数、rは0〜7、好ましくは0〜2の整数であり、かつq+rの和は3〜10、好ましくは3〜6の整数である)
で表される環状シロキサン系化合物が挙げられる。

上記一般式(7)中のR1がアルケニル基以外の非置換もしくは置換の一価炭化水素基である場合としては、例えば、メチル基、エチル、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、sec-ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o-,m-,p-トリル等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基;p-ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基;およびこれらの基中の炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、エポキシ環含有基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2-シアノエチル基;3-グリシドキシプロピル基等が挙げられる。

上記の中でも、前記R1としては、特に、その全てがメチル基であるものが、工業的に製造することが容易であり、入手しやすいことから好ましい。

また、該(B)成分としては、例えば、上記ビニルノルボルネンの一種または二種と 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンとをヒドロシリル化反応させて得られるSiHを1分子中に3個以上有する付加反応生成物、例えば、下記一般式(8):


(式中、sは1〜100、好ましくは1〜10の整数である)
で表される化合物が挙げられる。

上記(B)成分の好適な具体例を、以下に示すが、これに限定されるものではない。
(HMeSiO)3
(HMeSiO)4
(HMeSiO)3(Me2SiO)
(HMeSiO)4(Me2SiO)


本発明の(B)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

(B)成分の配合量は、次のように設定されることが好ましい。後述するように、本発明の組成物は、(B)成分以外のケイ素原子に結合した水素原子を有する成分、および/または(A)成分以外のケイ素原子に結合した付加反応性炭素−炭素二重結合を有する成分を含有することができる。そこで、本組成物中のケイ素原子に結合した付加反応性炭素−炭素二重結合1モルに対して本組成物中のケイ素原子に結合した水素原子の量は、通常0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.5モルである。そして、本組成物中のケイ素原子に結合した水素原子に占める前記(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の割合は、通常、20〜100モル%、好ましくは40〜100モル%である。また、本組成物中のケイ素原子に結合した付加反応性炭素−炭素二重結合に占める前記(A)成分中の付加反応性炭素−炭素二重結合の割合は、通常、20〜100モル%、好ましくは40〜100モル%である。(B)成分の配合量がこのような条件を満たすようになされると、コーティング材料等の用途に適用する場合に十分な硬度を有する硬化物を得ることができる。
上述の任意的成分を含まない場合には、本発明組成物への(B)成分の配合量は、上記(A)成分中の付加反応性炭素−炭素二重結合1モルに対して、該(B)成分中のSiHが、通常、0.5〜2.0モル、好ましくは 0.8〜1.5モルとなる量とするのがよい。

[(C)成分]
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化反応触媒は、上記「(A)成分の調製」で記載したものと同じである。
本発明組成物への(C)成分の配合量は、触媒としての有効量であればよく、特に制限されないが、上記(A)成分と(B)成分との合計質量に対して、白金族金属原子として、通常、1〜500 ppm、特に2〜100 ppm程度となる量を配合することが好ましい。前記範囲内の配合量とすることで、硬化反応に要する時間が適度のものとなり、硬化物が着色する等の問題を生じることがない。

[他の配合成分]
本発明組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、本発明の目的・効果を損なわない範囲で他の成分を配合することは任意である。

<酸化防止剤>
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物中には、上記(A)成分中の付加反応性炭素−炭素二重結合が未反応のまま残存している場合があり、或いは、
下記構造式(i):

で表される 2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)エチル基および/または
下記構造式(ii):


(ii)
で表される 2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-6-イル)エチル基の開環メタセシス反応により生じる炭素−炭素二重結合が含まれている場合がある。そして、前記炭素−炭素二重結合が含まれていると、大気中の酸素により酸化され前記硬化物が着色する原因となる。
そこで、本発明組成物に、必要に応じ、酸化防止剤を配合することにより前記着色を未然に防止することができる。

この酸化防止剤としては、従来から公知のものが全て使用することができ、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

なお、この酸化防止剤を使用する場合、その配合量は、酸化防止剤としての有効量であればよく、特に制限されないが、上記(A)成分と(B)成分との合計質量に対して、通常、10〜10,000 ppm、特に 100〜1,000 ppm 程度配合することが好ましい。前記範囲内の配合量とすることによって、酸化防止能力が十分発揮され、着色、白濁、酸化劣化等の発生がなく光学的特性に優れた硬化物が得られる。

<粘度・硬度調整剤>
本発明組成物の粘度もしくは本発明組成物から得られる硬化物の硬度等を調整するために、ケイ素原子に結合したアルケニル基またはSiHを有する直鎖状ジオルガノポリシロキサンもしくは網状オルガノポリシロキサン;非反応性の(即ち、ケイ素原子に結合したアルケニル基およびSiHを有しない)直鎖状もしくは環状ジオルガノポリシロキサン、シルフェニレン系化合物等を配合してもよい。

本発明組成物に、(D1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する種々の構造のオルガノポリシロキサンを配合する場合、その配合量は、前記アルケニル基と上記(A)成分が有する付加反応性炭素−炭素二重結合との合計量1モルに対する、上記(B)成分中のSiHが、通常、0.5〜2.0モル、好ましくは 0.8〜1.5モルとなる量とするのがよい。また、(D2)SiHを有する種々の構造のオルガノポリシロキサンを配合する場合、その配合量は、前記SiHと上記(B)成分が有するSiHとの合計量が、上記(A)成分が有する付加反応性炭素−炭素二重結合1モルに対して、通常、0.5〜2.0モル、好ましくは 0.8〜1.5モルとなる量とするのがよい。

<その他>
また、ポットライフを確保するために、1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等の付加反応制御剤を配合することができる。更に、透明性に影響を与えない範囲で、強度を向上させるためにヒュームドシリカ等の無機質充填剤を配合してもよいし、必要に応じて、染料、顔料、難燃剤等を配合してもよい。

更に、太陽光線、蛍光灯等の光エネルギーによる光劣化に抵抗性を付与するため光安定剤を用いることも可能である。この光安定剤としては、光酸化劣化で生成するラジカルを補足するヒンダードアミン系安定剤が適しており、酸化防止剤と併用することで、酸化防止効果はより向上する。光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
また、本発明組成物を封止材料として用いる場合には、基材との接着性を向上させるためにシランカップリング剤を配合してもよいし、クラック防止のため可塑剤を添加してもよい。
なお、本発明組成物の硬化条件については、その量により異なり、特に制限されないが、通常、60〜180℃、5〜180分の条件とすることが好ましい。

以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。

[合成例1](A)成分の調製
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた 500mLの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと 6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)156g(1.3モル)を加え、オイルバスを用いて 85℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末 0.05g添加し、攪拌しながら 1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン 67g(0.5モル)を 60分間かけて滴下した。滴下終了後、更に 90℃で加熱攪拌を 24時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(25℃における粘度:110 mm2/s)170gを得た。

反応生成物を、FT-IR、NMR、GPC等により分析した結果、このものは、
(1) -Si-O-Si-結合を1個有する化合物:NBMe2SiOSiMe2NB 約 70モル%、
(2) -Si-O-Si-結合を2個有する化合物:約 25モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)、


および、(3) -Si-O-Si-結合を3個有する化合物:約5モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)


の混合物であることが判明した。また、前記混合物全体としての付加反応性炭素−炭素二重結合の含有割合は、0.46モル/100gであった。

[合成例2](A)成分の調製
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた 500mLの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと 6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)60g(0.5モル)を加え、オイルバスを用いて 85℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末 0.02g添加し、攪拌しながら 1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン 38.8g(0.2モル)を 25分間かけて滴下した。滴下終了後、更に 90℃で加熱攪拌を 24時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(25℃における粘度:1220 mm2/s)79gを得た。

反応生成物を、FT-IR、NMR、GPC等により分析した結果、このものは、
(1) p-フェニレン基を1個有する化合物:NBMe2Si-p-C64-SiMe2NB 約 72モル%、
(2) p-フェニレン基を2個有する化合物:約 24モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)、


および、(3) p-フェニレン基を3個有する化合物:約4モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)


の混合物であることが判明した。また、前記混合物全体としての付加反応性炭素−炭素二重結合の含有割合は、0.40モル/100gであった。

[合成例3](B)成分の調製
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた 500mLの4つ口フラスコに、トルエン 80gおよび 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン 115.2g(0.48モル)を加え、オイルバスを用いて 117℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末 0.05g添加し、攪拌しながらビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと 6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)48g(0.4モル)を 16分間かけて滴下した。滴下終了後、更に 125℃で加熱攪拌を 16時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(25℃における粘度:2,500 mm2/s))152gを得た。

反応生成物を、FT-IR、NMR、GPC等により分析した結果、このものは、
(1) テトラメチルシクロテトラシロキサン環を1個有する化合物:約6モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)、


(2) テトラメチルシクロテトラシロキサン環を2個有する化合物:約 25モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)、


(3) テトラメチルシクロテトラシロキサン環を3個有する化合物:約 16モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)


(4) テトラメチルシクロテトラシロキサン環を4個有する:約 11モル%(下記に代表的な構造式の一例を示す)、


および、(5) テトラメチルシクロテトラシロキサン環を5〜12個有する化合物:残余(下記に代表的な構造式の一例を示す)


(式中、nは4〜11の整数である。)
の混合物であることが判明した。なお、前記混合物全体としてのSiHの含有割合は、0.63モル/100gであった。

[実施例1]
(A1) 合成例1で得られた反応生成物:5質量部、(A2) 合成例2で得られた反応生成物:60質量部、
(B1) (MeHSiO)4:5質量部、(B2) 合成例3で得られた反応生成物:30質量部(なお、前記(B1)と(B2)成分中の合計のSiH/前記(A1)と(A2)成分中の合計の炭素−炭素二重結合(モル比)=1.03。以下、前記と同様にして、SiH/炭素−炭素二重結合のモル比を「SiH/C=C(モル比)」と記載する。)
(C) 白金-ビニルシロキサン錯体:白金金属原子として(A1)、(A2)、(B1)および(B2)の合計質量に対して 20 ppmとなる量、並びに
1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部
を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、ガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で2時間加熱して硬化物を得た。

[実施例2]
(A2) 合成例2で得られた反応生成物:81質量部、
(B1) (MeHSiO)4:19質量部(SiH/C=C(モル比)=0.98)、
(C) 白金-ビニルシロキサン錯体:白金金属原子として(A2)および(B1)の合計質量に対して20 ppmとなる量、並びに
1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部
を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、ガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で2時間加熱して硬化物を得た。

[実施例3]
(A1) 合成例1で得られた反応生成物:58質量部、
(B2) 合成例3で得られた反応生成物:42質量部(SiH/C=C(モル比)=0.99)
(C) 白金-ビニルシロキサン錯体:白金金属原子として(A1)および(B2)の合計質量に対して20 ppmとなる量、並びに
1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部
を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、ガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で2時間加熱して硬化物を得た。

[実施例4]
(A2) 合成例2で得られた反応生成物:61質量部、
(B2) 合成例3で得られた反応生成物:39質量部(SiH/C=C(モル比)=1.00)
(C) 白金-ビニルシロキサン錯体:白金金属原子として(A2)および(B2)の合計質量に対して20 ppmとなる量、並びに
1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部
を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、ガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で2時間加熱して硬化物を得た。

[実施例5]
(A1) 合成例1で得られた反応生成物:10質量部、(A2) 合成例2で得られた反応生成物:55質量部、
(B1) (MeHSiO)4:5質量部、(B2) 合成例3で得られた反応生成物:30質量部(SiH/C=C(モル比)=1.02)
(C) 白金-ビニルシロキサン錯体:白金金属原子として(A1)、(A2)、(B1)および(B2)の合計質量に対して20 ppmとなる量、並びに
1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部
を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、ガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で2時間加熱して硬化物を得た。

[比較例1]
上記実施例1に記載の(A1)成分および(A2)成分に代えて、(A')(ViMeSiO)4(前記Viはビニル基である)を 59質量部用いること、並びに、(B1)成分の(MeHSiO)4の使用量5質量部を 41質量部に変更すること、および(B2)成分を使用しないこと(なお、SiH/Vi(モル比)=1.0)以外は、実施例1と同じにして組成物および硬化物を得た。

[比較例2]
フェニルシリコーンレジン系硬化性組成物(商品名:X-34-1195、信越化学工業社製、フェニル基含有量:約50モル%)を、実施例1と同様にガラス板で組んだ型の中に4mm厚になるように流し込み、150℃で8時間加熱して硬化物を得た。

<性能評価手法>
(1)上記各実施例および比較例で得られた硬化物について、下記手法に従い、性能を評価した。
−外観−
各硬化物の外観を目視により観察した。観察結果を表1に示す。
−硬度−
ASTM D 2240 に準じて、各硬化物の硬度(Shore D)を測定した。測定結果を表1に示す。
−弾性率−
4mm厚の各硬化物から、10mm(幅)×100mm(長さ)の試験片を作製し、JIS K-6911 に準じて、3点曲げ試験により、弾性率(MPa)を測定した。測定結果を表1に示す。

(2)収縮率の測定
上記各実施例および比較例1で得られた樹脂組成物(比較例2については、上記フェニルシリコーンレジン系硬化性組成物)を、4mm×10mm×100mmの金型に流し込み、150℃で2時間加熱して硬化させ、冷却した後に硬化物を取り出した。
硬化に際する収縮率を下式によって求めた。測定結果を表1に示す。
収縮率(%)=(硬化物の長さ/金型部の長さ)×100

(3)光透過率
各硬化物の光透過率を分光光度計を用いて、測定波長:800、600、400nm、および 300nm(紫外線領域)の4点について測定した。測定結果を表2に示す。

[評価]
比較例のものと対比するに、実施例の硬化物は、いずれも、硬度および弾性率に優れ、かつ、硬化収縮が非常に小さい。また、特に 300nm(紫外線領域)の短波長における光透過率においても優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. (A)(a)下記一般式(1):

    [式中、Aは、下記一般式(2):

    (式中、R'は独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、nは0〜100の整数である)
    で表される基、および下記構造式(3):

    で表される基から成る群から選ばれる2価の基であり、
    Rは独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基または炭素原子数1〜6アルコキシ基である]
    で表されるケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個有する化合物と、
    (b)付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する付加反応生成物、
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有する化合物、および
    (C)ヒドロシリル化反応触媒
    を含む硬化性組成物。
  2. 請求項1に係る硬化性組成物であって、前記(b)の多環式炭化水素が、5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンまたは前記両者の組み合わせである、硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に係る硬化性シリコーン樹脂組成物であって、前記(B)成分が、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンである、硬化性組成物。
  4. 請求項1または2に係る硬化性シリコーン樹脂組成物であって、前記(B)成分が、5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンまたは前記両者の組み合わせと、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンとの付加反応生成物である、硬化性組成物。
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