JP2005132225A - アクセルペダル踏力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者に車両の運転特性の切り換わりのインフォメーションを確実に伝えることができるアクセルペダル踏力制御装置を提供することにある。
【解決手段】車両1に設けられたアクセルペダル2の踏力を制御するアクセルペダル踏力制御装置が、車両1の運転特性に関する状態(車速等)を検出する運転状態検出手段と、アクセルペダル2の踏力を変更する踏力変更手段7,8,9と、運転状態検出手段が検出した状態に基づき運転特性の切り換わる動作点(例えば、ロックアップクラッチの締結・解放など)を判断しその動作点に応じて踏力変更手段7,8,9によるアクセルペダル2の踏力の変更を制御する踏力変更制御手段(コントロールユニット)とを具える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に設けられたアクセルペダルの踏力(ペダル操作に必要な踏力)を制御するアクセルペダル踏力制御装置に関し、特には、運転者にアクセルペダルの踏力感を付与するタイミングを制御するアクセルペダル踏力制御装置に関する。
従来、アクセルペダル踏力制御装置として、例えば、オートマチック車のキックダウン時に、アクセルペダルストロークに連動する、エンジンのスロットル開度が全開となる手前で運転者のアクセルペダル踏力を特に増大させて、キックダウンであるという車両の運転特性の切り換わりのインフォメーションを運転者に伝えるように構成したものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−29278号公報
ところで、車両の運転特性の切り換わる動作として、例えば、ロックアップクラッチの締結・解放が挙げられるが、この締結・解放の動作点は、スロットル開度が一定の場合、車速に応じて変化する。しかしながら、上記従来技術では、アクセルペダルの踏力を増大させるスロットル開度が一定であるため、かかる場合に車速に応じて動作点が変化するロックアップクラッチの締結・解放のインフォメーションには適さない。つまり、上記従来技術は、スロットル開度以外のパラメータ(例えば、車速)で動作点が変化するような車両の運転特性の切り換わりのインフォメーションには適さないという問題点があった。
そこで、本発明は、上記問題点を有利に解決して、車両の運転特性の切り換わりのインフォメーションを運転者に確実に伝えることができるアクセルペダル踏力制御装置を提供することを目的とする。
本発明のアクセルペダル踏力制御装置は、車両に設けられたアクセルペダルの踏力を制御するアクセルペダル踏力制御装置において、前記車両の運転特性に関する状態を検出する運転状態検出手段と、前記アクセルペダルの踏力を変更する踏力変更手段と、前記運転状態検出手段が検出した状態に基づき前記運転特性の切り換わる動作点を判断しその動作点に応じて前記踏力変更手段による前記アクセルペダルの踏力の変更を制御する踏力変更制御手段と、を具えることを特徴とするものである。
上記構成になる本発明のアクセルペダル踏力制御装置にあっては、運転状態検出手段が車両の運転特性に関する状態を検出し、踏力変更制御手段が、運転状態検出手段が検出した状態に基づき車両の運転特性の切り換わる動作点を判断しその動作点に応じて踏力変更手段によるアクセルペダルの踏力(踏み応え)の変更を制御する。従って、アクセルペダルストローク以外のパラメータ(例えば、車速)で動作点が変化するような車両の運転特性の切り換わりであっても、その切り換わり時のアクセルペダルの踏み応えの変化で、運転者に車両の運転特性の切り換わりのインフォメーションをより正確に伝えることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の第一実施の形態になるアクセルペダル踏力制御装置のシステム構成及びそのアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略平面図である。図2は、本実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略側面図である。
図1及び図2に示す本実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置は、図示しない車両の車体1に設けられたアクセルペダル2の踏力を制御するものである。このアクセルペダル踏力制御装置は、後述するように、車両1の運転特性に関する状態を検出する運転状態検出手段と、アクセルペダル2の踏力を変更する踏力変更手段と、運転状態検出手段が検出した状態に基づき車両の運転特性の切り換わる動作点を判断しその動作点に応じて踏力変更手段によるアクセルペダル2の踏力の変更を制御する踏力変更制御手段とを具えるものである。
以下に、アクセルペダル踏力制御装置の構成を説明する。図1及び図2に示すように、アクセルペダル2は、回転軸3に設けられてその回転軸3を支点として揺動するとともに、一端が車体1に固定され、他端が回転軸3に固定されるリターンスプリング4により反力を与えられる。また、回転軸3の一端を車体1に軸受5を介して回転自在に支持する一方、回転軸3の他端付近に、アクセルペダルストロークAPSを検出する上記運転特性検出手段としてのアクセルストロークセンサ6を設ける。ここではさらに運転特性検出手段として、エンジン回転数Neを検出する図示しないエンジン回転数センサと、車速VSPを検出する図示しない車速センサとを設ける。
なお、本明細書中、アクセルペダルストロークAPSとは、アクセルペダル2のストローク状態をいうが、アクセルペダルストロークAPSをアクセルペダル2のストローク量であるアクセル開度APOで表しても良い。また、本実施の形態では、アクセルペダルストロークとエンジンのスロットルバルブとが連動する構成とし、アクセルペダルストロークAPSの増大に応じてエンジンのスロットル開度が増大する。
上記踏力変更手段は、回転軸3の回転に摩擦力を与える摩擦部材7a,7bと、その摩擦力を制御する摩擦力制御手段としての可変フリクションプレート7とを有している。ここでは、摩擦部材7aを回転軸3の上記他端に機械的に結合して設ける。また摩擦部材7bを、摩擦部材7aと対向して配置し、スプライン等により、固定軸8にその軸方向移動自在かつ回転を規制して設けるとともに固定軸8を車体1に支持して車体1側と機械的に結合する。さらに、アクチュエータ(例えば電磁ソレノイド)9を車体1に設ける。
かかる構成の可変フリクションプレート7は、アクチュエータ9の作動で摩擦部材7bの軸方向移動量(作動量)を変化させることができ、これにより、摩擦部材7aと摩擦部材7bとの間の摩擦力を制御することができる。そして、アクチュエータ9の作動を、コントロールユニット10で制御する。このコントロールユニット10は、後述するようにして、上記踏力変更制御手段として機能する。
即ち、コントロールユニット10には、上記運転特性検出手段からの信号、つまり、アクセルストロークAPSを検出する上記アクセルストロークセンサ6からの信号、エンジン回転数Neを検出する図示しないエンジン回転数センサからの信号、車速VSPを検出する図示しない車速センサからの信号等の車両の運転特性が切り換わる動作点を判断する情報が入力される。
そして、コントロールユニット10は、後述するようにして、図示しないロックアップクラッチの締結及び解放を車両の運転特性の切り換わりと判断し、そのロックアップクラッチの解放時のアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させてロックアップクラッチの締結時の踏力より大きくする(踏みごたえを重くする)。
図3(a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図である。図3(b)は、図3(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークAPSの閾値APS1を決定するために用いるものであり、車速VSPとアクセルペダルストロークAPSとの関係における、ロックアップクラッチ解放状態(非L/U)の領域(図3(b)中の関係線図L1の左側部分の斜線で示す領域A)とロックアップクラッチ締結状態(L/U)の領域とを示す関係線図である。
上記コントロールユニット10は、図3(b)の関係線図に基づき、入力された車速VSPとアクセルペダルストロークAPSとの信号から、ロックアップクラッチ解放状態(非L/U)又は締結状態(L/U)にあるかを判断する。そして、ロックアップクラッチが締結状態(L/U)にある場合には、図3(b)の関係線図L1上で、車速センサから入力された車速VSPに対応するアクセルペダルストロークAPSの値として求めることができる。例えば車速VSP1であれば、図示のようにアクセルペダルストロークASPの値ASP1がアクセルペダル2の踏力増大のための閾値となる。
図3(a)の関係線図に従い、後述する図4のフローチャートの処理を行うことにより、アクセルストロークセンサ6で検出した踏み込み側のアクセルペダルストロークAPSが図3(b)の関係線図から求めた閾値APS1に達すると、図1に示すように、コントロールユニットは、踏力変更手段を構成するアクチュエータ9に信号Yを出力する。この信号に基づき、アクチュエータ9の作動で可変フリクションプレート7の摩擦部材7bの軸方向移動量(作動量)が変化し、摩擦部材7aと摩擦部材7bとの間の摩擦力が大きくなる。これにより、ロックアップクラッチ締結状態(L/U)の領域から、アクセルペダルストロークAPSの値が閾値APS1に達すると、アクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大し、ロックアップクラッチ解放状態(非L/U)の領域でのアクセルペダル2の踏み込み側の踏力が大きくなる。それゆえ、図3(a)に示すように、アクセルペダルストロークAPSが閾値APS1を超えた部分では、斜線で表す踏力増領域Bの分だけ踏力を増大させることができる。
即ち、コントロールユニット10は、アクセルストロークセンサ6で検出された回転軸3の角度変化の方向の信号から踏み込み側の踏力であると判断すると、上記図3の関係線図に示した車両の運転特性の情報が含められた入力信号Xに基づき、図4のフローチャートの処理を行う。
このフローチャートでは、まず、ステップS1で、アクセルペダルストロークAPSが先の図3(a)に示したアクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル踏力との関係において、コントロールユニット10はペダル踏力を増大させる条件が成立したか否か(本実施の形態ではアクセルペダルストロークAPSが閾値APS1以上になったか否か)を判断する。その結果、ペダル踏力を増大させる条件が成立する(YES)と判断した場合、ステップS2に進み、アクセルペダル踏力増大処理を行う。
上記アクセルペダル踏力増大処理で、コントロールユニット10は、アクチュエータ9への入力信号Yによりアクチュエータ9を作動させて、摩擦部材7bを矢印A1方向に移動するように制御する。これにより、摩擦部材7aへの摩擦部材7bの軸線方向押付力(摩擦部材の間の摩擦力)が大きくなるように変更されて、本フローチャートの処理を終了する。
一方、上記ステップS1で、ペダル踏力を増大させる上記条件が成立しない(NO)と判断した場合には、ステップS3に進み、アクセルペダル踏力増大処理の解除を行い、アクセルペダルストロークに応じてなだらかにアクセルペダル踏力が変化するように維持し、本フローチャートの処理を終了する。
上記フローチャートの処理によれば、踏力変更制御手段としてのコントロールユニットが、運転状態検出手段が検出した状態(車速)に基づき車両の運転特性の切り換わる動作点を判断しその動作点に応じて踏力変更手段によるアクセルペダルの踏力(踏み応え)の変更を制御する。図3(a)に示すように上記閾値APS1でアクセルペダル踏力を増大させることで運転者のアクセルペダル2の踏みごたえを重くすることができる。従って、アクセルペダル開度以外のパラメータで動作点が変化するロックアップクラッチの締結・解放等の車両の運転特性(本実施の形態では車速で動作点が変化するロックアップクラッチの締結・解放)の切り換わりであっても、アクセルペダル2の踏力の変更する(本実施の形態ではアクセルペダル2の踏み応えが重くなる)ことで、車両特性の切り換わりのインフォメーションを運転者に正確に伝えることができる。
なお、コントローラユニット10は、アクセルストロークセンサ6で検出された回転軸3の角度変化の方向の信号から戻り側の踏力であると判断したときに、図3(a)に示すように従来と同様のアクセルペダルストロークの制御が行われるようにアクチュエータ9に信号Yを入力し、摩擦部材7bを制御するようにする。
また、上記図3(a)及び図3(b)の関係線図に基づきアクセルペダルの踏力を増大させる閾値を求めるのに変えて、以下で説明する図5(a),(b)、図6(a),(b)、図7(a),(b)または図8(a),(b)の関係線図に基づき、アクセルペダル2の踏力を増大させても良い。
図5(a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図である。図5(b)は、図5(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS2を決定するために用いるものであり、エンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係における、エンジンの動作点の燃料増量域(図5(b)中の関係線図L2の上側部分の斜線で示す領域C)を示す関係線図である。図5(b)に示すように、例えば、燃料増領域の境界線L2を車両の運転特性の動作点と判断する場合には、検出したエンジン回転数Ne(例えば図5(b)に示すNe2)に対するアクセルペダルストロークが閾値APS2となる。
上記図5(a)及び図5(b)に基づき、上記した図4に示すフローチャートの処理と同様の処理を行ってアクセルペダル踏力を制御することにより、エンジンの動作点が燃料増量域に入った時にアクセルペダル2の踏み応えを重くすることができる。それゆえ、図5(a)に示すように、アクセルペダルストロークAPSが閾値APS2を超えた部分では、斜線で表す燃料増量域Dの分だけ踏力が増大する。このことから、運転者にエンジンの動作点が燃料増量域に入ったという車両特性の切り換わりのインフォメーションを正確に伝えることができ、エンジンの動作点が燃費悪化域に入っても運転者が無意識にアクセルペダルを踏み込んでしまうことが無くなり、燃費の向上を図ることができる。
また、図6(a)は、先の図3(a)に示した、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図において、アクセルペダル踏力を増大させるアクセルペダルストロークAPSに、後述する図6(b)に示す関係線図L3の上側部分の良燃費域Eの外側に予め設定した予見域α1に対応するペダルストロークの予見域α2を閾値APS1に設定して閾値APS3としたものである。図6(b)は、図6(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS3を決定するために用いるものであり、上記図3(b)に示したエンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係線図のエンジンの動作点の燃料増量域(予定のアクセルペダルストロークAPS1を求めるための領域)Eの外側に、予見域α1を設定している。そして、予見域α1の外側の境界線上で、検出したエンジン回転数Ne(例えば、図6(b)ではエンジン回転数Ne3)に対応するアクセルペダルストロークAPS3を求め、このAPS3を図6(a)のアクセルペダル踏力を増大させる閾値とする。
図6(a)及び図6(b)の関係線図に基づき、上記した図4に示すフローチャートの処理と同様の処理を行ってアクセルペダル踏力を制御することにより、エンジンの動作点が燃料増量域に入るアクセルペダルストローク、つまり燃費が悪化するアクセルペダルストロークになる前からアクセルペダルの踏み応えが重くなることから、エンジンの燃費悪化領域に入る前から運転者は意識してエンジンの動作点が燃費悪化領域に入るのを防ぐことができ、更に燃費の向上を図ることができる。
また、図7(a)及び図7(b)は、上記図3(a),(b)の関係線図と上記図5(a),(b)の関係線図とを組み合わせたものであり、車両の運転特性が切り換わる動作点を、ロックアップクラッチの締結・解放及びエンジンの動作点の燃料増量域として、車両の運転特性が切り換わる複数の動作点に応じて、アクセルペダル2の踏力を多段階(ここでは二段階)で変更させるものである。なお、閾値APS1には上記図6(a)に示す関係線図と同様にして、閾値APS1に予見域α2を設定して閾値APS3とする。また、ロックアップクラッチの締結及び解放の閾値APS2には、図7(b)に示す車速VSPとアクセルペダルストロークAPSとの関係線図L4で区切られた締結状態(L/U)の領域の外側、つまり、締結状態(L/U)の領域から非締結状態(非L/U)の領域に入る手前に図示のように予見域β1を設定する。そして、この予見域β1の境界線L4上で、検出した車速VSP(例えば、図7(b)では車速VSP4)に対応するアクセルペダルストロークAPS4を求める。このAPS4をアクセルペダル踏力を増大させる閾値とすることで、図7(a)に示すように、図7(b)の予見域β1に対応するペダルストロークの予見域β2がAPS2に設定される。
図7(a)及び図7(b)の関係線図に基づき、上記した図4に示すフローチャートの処理と同様の処理を行ってアクセルペダル踏力を制御することにより、アクセルペダルストロークAPSが閾値APS3及び閾値APS4になったときにアクセルペダル2の踏み応えが、図7(a)に踏力増加領域G及びHで示すように二段階で重くなる。従って、運転者は、アクセルペダルの踏み応えがそれら運転特性の切り換わりの都度重くなることで、エンジンの燃料増領域とロックアップクラッチの締結・解放との二つの動作点を知ることができる。しかも、それぞれの動作点に予見域α1,β2を設定するから、運転者は、それら動作点に入る前に確実に動作点に入るアクセルペダルストロークを予見できる。なお、ここでは二つの動作点を用いたが、車両の三つ以上の複数の動作点に基づく関係線図を用いてアクセルペダル踏力を制御することもできる。
図8(a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図である。図8(a)の関係線図は、アクセルペダルストロークの値APS5を閾値として、アクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるものであり、図中斜線部分の領域Iが踏力増加域を示している。図8(b)は、図8(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS5を決定するために用いるものであり、エンジンの動作点の良燃費域を例示する関係線図である。なお、図8(b)では、関係線図L5、関係線図L6、関係線図L7および関係線図L8が等燃費線を示し、太線で示す等燃費線L5が囲む内側の斜線部分の領域Jがエンジンの動作点の良燃費域を示している。等燃費線L5上で、検出したエンジン回転数Ne(例えば、図8(b)ではエンジン回転数Ne5)に対応するアクセルペダルストロークAPS5を求め、このAPS5を図8(a)のアクセルペダル踏力を増大させる閾値とする。
図8(a)及び図8(b)の関係線図に基づき、上記した図4に示すフローチャートの処理と同様の処理を行ってアクセルペダル踏力を制御することにより、エンジンの動作点が燃費増領域に入る時に、アクセルペダル踏力を増大させてアクセルペダル2の踏み応えを重くすることができるから、予め燃費が悪化するアクセルペダルストロークを予見できる。従って、燃費増領域に入るのを運転者が意識して避けることができ、さらに燃費を向上させることができる。
ところで、直噴ガソリンエンジン等では、成層燃焼と均質燃焼との燃焼方式を使い分ける場合があり、このような場合、エンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係は、例えば図9に示すように成層燃焼領域と均質燃焼領域との二つの領域に分けることができる。この成層燃焼領域では、燃焼室内の点火プラグ付近に混合気層が形成されその周りに空気層が形成されて燃焼室内全体ではとても薄い混合気での燃焼により燃費が向上するため、燃費を重視する場合には有利である。一方、均質燃焼領域では、燃焼室内の混合気が均質な状態での燃焼により高出力が可能となるため、動力性能を重視する場合には有利である。
従って、上記図9の関係線図に基づき、上記実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置が成層燃焼領域から均質燃焼領域へ切り換わるときにアクセルペダルの踏力を増大させるように制御することにより、運転者は成層燃焼領域と均質燃焼領域との切り換わりを意識することができる。これにより、運転者は、高出力への切り換えが行われるタイミングを認識することができるので、かかる高出力への急激な変化においても安全な運転操作ができる。しかも、運転者が燃費重視か動力性能重視かに応じて適切なアクセルペダルの操作を行うことができるから、動力性能を確保しつつより燃費を向上させることができる。
また、図10は、本発明の第二実施の形態になるアクセルペダル踏力制御装置のシステム構成及びそのアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略平面図である。図11は、本実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略側面図である。なお、ここでは、上記第一実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置と同様の構成を有するものには同一の符号を付して説明を省略し、第一実施の形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の踏力変更手段は、回転軸3と機械的に結合する第1摩擦プレート11aと、その第1摩擦プレート11aと対向して配置されて車体1側と機械的に結合する第2摩擦プレート11bとを持つ摩擦部材を有する第一摩擦制御手段としての固定フリクションプレート11とを具えている。即ち、ここでは、上記第一実施の形態において回転軸3に設けた軸受5に代えて、第1摩擦プレート11aを、回転軸3の一端に機械的に結合して設ける。また第2摩擦プレート11bを、第1摩擦プレート11aと対向して配置し、車体1側と機械的に結合する。
そして、上記第一実施の形態と同様に第二摩擦制御手段としての可変フリクションプレート7を設けるが、ここではさらに、後述するように、ワンウェイクラッチ12を設ける。即ち、可変フリクションプレート7は、先の第一実施の形態と同様に、回転軸3と機械的に結合する第3摩擦プレート(摩擦部材)7aと、その第3摩擦プレート7aと対向して配置されて車体1側と機械的に結合する第4摩擦プレート(摩擦部材)7bとを有している。さらに回転軸3と第3摩擦プレート7aとの間には、アクセルペダル2が踏み込まれたときにのみ回転軸3と第3摩擦プレート7aとを直結状態にするように構成したワンウェイクラッチ12が設けられている。
なお、固定フリクションプレート11は、上記第一実施の形態において示した図3(a),(b)のヒステリシス特性になるように設定している。また、戻し側の踏力については、ワンウェイクラッチ12の働きにより回転軸3に摩擦力が伝達されないため、固定フリクションプレート11の踏み込み側の踏力分しか回転軸3の回転に摩擦力が与えられない。
ところで、先の第一実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置では、可変フリクションプレート7やアクチュエータ9等が万が一故障した場合にはアクセルペダル2が戻り難くなる可能性がないとは言えない。
しかし、第二実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置によれば、第一実施の形態において示した図3(a),(b)と同様なヒステリシス特性を得ることができ、第一実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、可変フリクションプレート7やアクチュエータ9等が万が一故障した場合であっても、固定フリクションプレート11及び可変フリクションプレート7に設けたワンウェイクラッチ12により、アクセルペダル2の戻り性能を確保することができる。
なお、先の第一の実施の形態と同様に、上記図3(a)及び図3(b)の関係線図に基づきアクセルペダルの踏力を増大させる閾値を求めるのに変えて、以下で説明する図5(a),(b)、図6(a),(b)、図7(a),(b)、図8(a),(b)または図9の関係線図に基づき、アクセルペダルの踏力を増大させても良い。また、本発明のアクセルペダル踏力制御装置は、車両の、アクセルペダルに連動しそのアクセルペダルの操作により行われる制御全般に適用しても良い。このようにすれば、運転者は様々な運転特性の切り換わりの動作点のタイミングが分かるので、車両の急激な変化においても安全な運転操作ができる。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであることはもちろんである。例えば、本発明のアクセルペダル踏力制御装置は、車両の、アクセルペダルに連動する運転特性制御全般に適用しても良い。また、本発明のアクセルペダル踏力制御装置では、車両の運転状態や路面状況として検出されるものは上記実施の形態で検出するパラメータに限られるものではなく、必要に応じて適宜変更することができる。さらに、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル踏力とのヒステリシス特性についても、上記実施の形態で示した特性に限られるものではなく、必要に応じて変更することができる。
本発明の第一実施の形態になるアクセルペダル踏力制御装置のシステム構成及びそのアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略平面図である。 上記第一実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略側面図である。 (a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図であり、(b)は、(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS1を決定するために用いるものであり、車速VSPとアクセルペダルストロークAPSとの関係における、ロックアップクラッチ解放状態(非L/U)とロックアップクラッチ締結状態(L/U)との領域を示す関係線図である。 上記第一実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の踏力変更制御手段としてのコントロールユニットが行うフローチャートである。 上記第一実施の形態の上記図3(a)及び上記図3(b)に示す関係線図に代えて適用し得る関係線図を示すものであり、 (a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図であり、 (b)は、図5(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS2を決定するために用いるものであり、エンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係における、エンジンの燃料増量域を示す関係線図である。 上記第一実施の形態の上記図3(a)及び上記図3(b)に示す関係線図に代えて適用し得る関係線図を示すものであり、 (a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図であり、 (b)は、図6(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS3を決定するために用いるものであり、上記図3(b)に示したエンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係線図のエンジンの燃料増量域(予定のペダルストロークAPS1を求めるための領域)に、予見域αを設定したものである。 上記第一実施の形態の上記図3(a)及び上記図3(b)に示す関係線図に代えて、燃料増量域とロックアップクラッチの締結及び解放との車両の運転特性が切り換わる複数の動作点に応じて、アクセルペダル2の踏力を多段階で変更させるために適用し得る関係線図を示すものであり、 (a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図であり、 (b)は、上記図3(b)と上記図5(b)とを組み合わせて構成される、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル踏力との関係を示す関係線図である。 上記第一実施の形態の上記図3(a)及び上記図3(b)に示す関係線図に代えて適用し得る関係線図を示すものであり、 (a)は、アクセルペダルストロークAPSとアクセルペダル2の踏力とのヒステリシス特性を示す関係線図であり、 (b)は、図8(a)に示すアクセルペダル2の踏み込み側の踏力を増大させるアクセルペダルストロークの閾値APS5を決定するために用いるものであり、エンジンの動作点の良燃費域Kを例示する関係線図である。 直噴ガソリンエンジンの場合について、エンジン回転数NeとアクセルペダルストロークAPSとの関係上に、成層燃焼領域と均質燃焼領域とを例示する関係線図である。 本発明の第二実施の形態になるアクセルペダル踏力制御装置のシステム構成及びそのアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略平面図である。 上記第ニ実施の形態のアクセルペダル踏力制御装置の構成を示す概略側面図である。
符号の説明
1 車体
2 アクセルペダル
3 回転軸
4 リターンスプリング
5 軸受
6 アクセルストロークセンサ
7 可変フリクションプレート
7a 第3摩擦プレート(摩擦部材)
7b 第4摩擦プレート(摩擦部材)
8 固定軸
9 アクチュエータ
10 コントロールユニット
11 固定フリクションプレート
12 ワンウェイクラッチ

Claims (11)

  1. 車両に設けられたアクセルペダルの踏力を制御するアクセルペダル踏力制御装置において、
    前記車両の運転特性に関する状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記アクセルペダルの踏力を変更する踏力変更手段と、
    前記運転状態検出手段が検出した状態に基づき前記運転特性の切り換わる動作点を判断しその動作点に応じて前記踏力変更手段による前記アクセルペダルの踏力の変更を制御する踏力変更制御手段と、
    を具えることを特徴とするアクセルペダル踏力制御装置。
  2. 前記踏力変更手段は、前記運転特性検出手段で検出したロックアップクラッチの締結及び解放を前記車両の運転特性の切り換わりと判断し、前記解放時の前記アクセルペダルの踏力を増大させて前記締結時の前記アクセルペダルの踏力より大きくすることを特徴とする、請求項1に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  3. 前記踏力変更手段は、前記アクセルペダルの踏力を増大させるアクセルペダルストロークを、前記運転特性検出手段で検出した車速に応じて変更することを特徴とする、請求項2に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  4. 前記踏力変更手段は、前記運転特性検出手段で検出した、エンジンの動作点が予め設定した燃料増量域に入ったか否かを前記車両の運転特性の切り換わりと判断し、前記燃料増量域に入っているときの前記アクセルペダルの踏力を前記燃料増量域に入っていないときの前記アクセルペダルの踏力より増大させることを特徴とする、請求項1に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  5. 前記踏力変更手段は、前記運転特性検出手段で検出した、エンジンの動作点が予め設定した良燃費域に入ったか否かを前記車両の運転特性の切り換わりと判断し、前記良燃費域に入っていないときの前記アクセルペダルの踏力を増大させて前記良燃費域に入っているときの前記アクセルペダルの踏力より大きくすることを特徴とする、請求項1に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  6. 前記踏力変更手段は、前記アクセルペダルの踏力を増大させるアクセルペダルストロークを、前記運転特性検出手段で検出した、前記エンジンの回転数に応じて変更することを特徴とする、請求項4又は5に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  7. 前記車両の運転特性の切り換わる動作点に応じた予定のアクセルペダルストロークに予見域を設定しておき、前記運転特性検出手段で検出したアクセルペダルストロークが前記予見域に入ったときから前記アクセルペダルの踏力を増大させることを特徴とする、請求項1から請求項6までの何れか一項に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  8. 前記運転特性検出手段で検出した、前記車両の運転特性が切り換わる複数の動作点に応じて、前記アクセルペダルの踏力を多段階で変更させることを特徴とする、請求項1に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  9. 当該アクセルペダル踏力制御装置が、前記車両の、前記アクセルペダルに連動する運転特性制御に適用されることを特徴とする、請求項1に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  10. 前記アクセルペダルは、回転軸を支点として揺動するとともにスプリングにより反力を与えられるものであり、
    前記アクセルペダル踏力変更手段は、前記回転軸の回転に摩擦力を与える摩擦部材と、前記摩擦力を制御する摩擦力制御手段とを有し、
    前記摩擦力制御手段で前記摩擦力を制御することにて、前記アクセルペダルの踏力を変更することを特徴とする請求項1から請求項9までの何れか一項に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
  11. 前記回転軸と機械的に結合する第1摩擦プレートと、前記第1摩擦プレートと対向して配置されて車体側と機械的に結合する第2摩擦プレートと、を持つ前記摩擦部材を有する、第一摩擦制御手段と、
    前記回転軸と機械的に結合する第3摩擦プレートと、前記回転軸と前記第3摩擦プレートとの間に配置され、前記アクセルペダルが踏み込みこまれたときにのみ前記回転軸と前記第3摩擦プレートとを直結状態にするワンウェイクラッチと、前記第3摩擦プレートと対向して配置されて車体側と機械的に結合する第4摩擦プレートとを有する第二摩擦制御手段と、を有し、
    前記摩擦力制御手段は、前記第4摩擦プレートへの軸線方向押付力を制御して、前記第3摩擦プレートと、前記第4摩擦プレートとの間の摩擦力を制御するアクチュエータを有することを特徴とする、請求項10に記載のアクセルペダル踏力制御装置。
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