JP2005116828A - 磁気センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体基板に溝が形成され、溝の表面にホール素子が形成されてなる磁気センサであって、低抵抗の電極配線を有する高精度の磁気センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1に溝1tが形成され、溝1tの表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域21,22と、電極配線パターンを有し低濃度不純物拡散領域21,22に接続する高濃度不純物拡散領域4とが形成され、高濃度不純物拡散領域4上に、高濃度不純物拡散領域4より抵抗値の低い低抵抗層50が、積層形成されてなる磁気センサ100とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体基板に溝が形成され、溝の表面にホール素子が形成されてなる磁気センサおよびその製造方法に関する。
半導体基板に溝が形成され、溝の表面にホール素子が形成されてなる磁気センサおよびその製造方法が、Transducers 93’, 1993 The 7th International Conference on Solid-State Sensors and Actuators, p.892-895(非特許文献1)に開示されている。
図8(a),(b)は、非特許文献1に開示された磁気センサ90の模式図で、図8(a)は、磁気センサ90の上視図であり、図8(b)は、図8(a)におけるA−A断面図である。
図8(a),(b)に示す磁気センサ90は、2個のホール素子を有する磁気センサで、p型のシリコン基板1に溝1tが形成され、溝1tの対向する斜面に、それぞれホール素子であるn型の低濃度不純物拡散領域21,22が形成されている。また、ホール素子21,22に接続するn型の高濃度不純物拡散領域4が、電極配線として、ポリシリコン膜3pの開口部からイオン注入により形成されている。
対向する斜面にホール素子21,22が形成された磁気センサ90では、図8(b)に示すように、A−A断面に平行な磁界Bが印加されると、斜面に直角な方向の磁界成分B,Bが各ホール素子21,22に印加される。バイアス電流I,Iが流れる各ホール素子21,22では、磁界成分B,Bに比例する電圧が発生し、出力電圧V,Vとして検出される。これによって、例えば、A−A断面において回転する磁界Bの回転角を検出することができ、磁気センサ90を回転角センサとして用いることもできる。
Transducers 93’, 1993 The 7th International Conference on Solid-State Sensors and Actuators, p.892-895
図8(a),(b)の磁気センサ90においては、ホール素子21,22に接続する電極配線として、高濃度不純物拡散領域4が用いられている。
ホール素子21,22の電極配線としては、温度依存性を低減し磁気センサ90の測定精度を向上するためにも、できるだけ抵抗の低いアルミニウム(Al)等の金属材料が望ましい。しかしながら、図8(a),(b)の磁気センサ90においては、電極配線パターンを溝1tの上面、斜面および底面に渡って形成する必要があり、金属膜のエッチングによるパターニングが困難である。上面および底面と斜面とでは必要なレジスト膜厚が異なるため、このようなエッチングにおいては、エッチング不良が発生し易い。また、微細なコンタクトホールを形成して配線接続する方法も、溝1tの斜面や大きな段差のある上面と底面では困難で、用いることはできない。このため、図8(a),(b)の磁気センサ90においては、比較的抵抗が高いにも係わらずエッチングによらないでイオン注入により形成できる高濃度不純物拡散領域4を、電極配線として用いている。このため、電極配線の抵抗の影響によって、磁気センサの測定精度が上がらない。
そこで本発明は、半導体基板に溝が形成され、溝の表面にホール素子が形成されてなる磁気センサであって、低抵抗の電極配線を有する高精度の磁気センサおよびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の磁気センサは、請求項1に記載のように、半導体基板に溝が形成され、前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い低抵抗層が積層形成されてなることを特徴としている。
これによれば、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域を低抵抗層形成のための土台とし、低抵抗層が、高濃度不純物拡散領域上に積層形成される。この高濃度不純物拡散領域と低抵抗層の積層体からなる電極配線は、全体として低抵抗化され、実質的に高濃度不純物拡散領域上の低抵抗層をバイアス電流が流れる。このようにして、ホール素子の出力に対する電極配線の抵抗の影響が低減され、磁気センサの測定精度が向上する。従って、本発明の磁気センサは、半導体基板に形成された溝の表面にホール素子が形成されてなる磁気センサであって、低抵抗の電極配線を有する高精度の磁気センサとすることができる。
前記低抵抗層は、請求項2に記載のように、前記溝の斜面に形成されて効果的である。
ホール素子を溝の斜面に配置して回転角センサを構成することができるが、高濃度不純物拡散領域上に積層された低抵抗層は、この斜面に配置されるホール素子の電極配線として好適である。
また、請求項3に記載のように、前記低抵抗層は、前記半導体基板の表面から前記溝の低面に渡って形成されて効果的である。
一つの溝に2個のホール素子を配置する場合があるが、半導体基板の表面から溝の低面に渡って形成される低抵抗層は、2個のホール素子を接続する電極配線として好適である。
請求項4に記載のように、前記低抵抗層には、金属シリサイド層を用いることができる。金属シリサイド層は、サリサイド技術によって、選択的に高濃度不純物拡散領域上に積層形成することができ、全体として低抵抗の電極配線とすることができる。この金属シリサイド層には、例えば請求項5に記載のように、チタンシリサイド(TiSi)層もしくはコバルトシリサイド(CoSi)層を用いることができる。
請求項6に記載のように、前記低抵抗層には、金属層を用いることができる。この金属層には、例えば請求項7に記載のように、アルミニウム(Al)層、タングステン(W)層もしく銅(Cu)層を用いることができる。Al層もしくはW層は、CVDによる選択成長によって、選択的に高濃度不純物拡散領域上に積層形成することができる。また、Cu層は、電解メッキによって、選択的に高濃度不純物拡散領域上に積層形成することができる。これら金属層と高濃度不純物拡散領域の積層体は、全体として低抵抗の電極配線とすることができる。
請求項8に記載のように、高濃度不純物拡散領域上に低抵抗層が積層形成されてなる上記磁気センサは、前記ホール素子が、前記溝の斜面に配置される磁気センサに好適である。
溝の斜面にホール素子が配置される磁気センサでは、印加磁界の斜面に垂直な方向成分に比例した出力電圧が検出されるため、異なる斜面に配置されたホール素子を組み合せて、回転磁界を検出する回転角センサを構成することができる。このような溝の斜面にホール素子を有する磁気センサについても、高濃度不純物拡散領域上に低抵抗層を積層形成し、低抵抗の電極配線を有する磁気センサとすることができ、磁気センサの測定精度が向上する。
特に、請求項9に記載のように、2個のホール素子を前記溝の対向する斜面にそれぞれ配置すれば、半導体基板に形成された一つの溝に2個のホール素子が集積された、小型の磁気センサ(回転角センサ)が得られる。
また、請求項10に記載のように、{100}面方位の半導体基板を用い、等方性ウェットエッチングして、{111}面方位の溝の斜面を形成するのが好ましい。このように形成された{111}面方位の対向する斜面は、54.7度の角度をもって交わる。従って、2個のホール素子に印加される回転磁界成分の振幅がほぼ等しくなり、2個のホール素子の出力電圧も、振幅がほぼ等しく54.7度位相の異なる2つの正弦波となる。理想的には90度が望ましいが、前記角度は物性値から決まる値で安定しているため、演算で補正することが可能である。このように2個のホール素子の出力電圧をバランスさせることで、測定精度高い磁気センサ(回転角センサ)が得られる。
請求項11〜16に記載の発明は、上記磁気センサの製造方法に関する発明である。
請求項11に記載の発明は、半導体基板に溝が形成され、前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、前記低抵抗層を、自己整合(セルフアライン)により形成することを特徴としている。
これによれば、前記低抵抗層が、溝の斜面や大きな段差部分で不良が発生し易い金属膜のエッチングを用いずに、セルフアラインにより、高濃度不純物拡散領域上に形成できる。従って、磁気センサの製造不良が低減される。尚、得られる磁気センサの効果は上記したとおりであり、その説明は省略する。
前記セルフアラインによる低抵抗層の形成方法として、請求項12に記載のように、前記半導体基板がシリコン基板であり、前記低抵抗層が金属シリサイド層であって、当該金属シリサイド層を、サリサイド技術により形成する方法を用いることができる。請求項13に記載のように、前記低抵抗層が、アルミニウム(Al)層もしくはタングステン(W)層であり、当該Al層もしくはW層を、CVDによる選択成長で形成する方法であってもよい。また、請求項14に記載のように、前記低抵抗層が、銅(Cu)層であり、当該Cu層を、電界メッキにより形成する方法も用いることができる。
上記いずれの方法であっても、前記低抵抗層をセルフアラインにより形成でき、溝の斜面や大きな段差部分であっても、問題なく形成することができる。
請求項15に記載の発明は、半導体基板に溝が形成され、前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、前記低抵抗層を、金属粒子を含むインクパターンをインクジェット装置により前記高濃度不純物拡散領域上に形成し、前記インクパターンを焼結して形成することを特徴としている。
これによれば、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域を低抵抗層形成のための土台とし、低抵抗層を、不良が発生し易い金属膜のエッチング等を用いずに、インクジェット装置により積層形成する。インクジェット装置を用いる場合には、上記のセルフアラインによる低抵抗層の形成と異なり、任意の金属材料を用いて、任意の場所へ形成することができる。従って、溝の斜面や大きな段差部分であっても、前記低抵抗層を問題なく形成することができる。
請求項16に記載の発明は、半導体基板に溝が形成され、前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、前記低抵抗層を、前記半導体基板の全面に金属膜を形成し、熱処理によって金属とSiを反応させることにより密着性を向上させ、熱処理後に前記金属膜をピーリングし、高濃度不純物拡散領域上以外の金属膜を剥がして形成することを特徴としている。
これによれば、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域を低抵抗層形成のための土台とし、低抵抗層を、全面に形成された金属膜をピーリングして、高濃度不純物拡散領域上以外の金属膜を剥がして形成する。この方法においても、任意の金属材料を用いることができる。また、溝の斜面や大きな段差部分であっても、前記低抵抗層を問題なく形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1(a),(b)に、本実施形態における磁気センサ100の模式図を示す。図1(a)は、磁気センサ100の上視図であり、図1(b)は図1(a)におけるB−Bの断面図である。尚、図1(a),(b)に示す磁気センサ100おいて、図8(a),(b)に示す磁気センサ90と同様の部分については、同一の符号を付けた。
磁気センサ100は、2個のホール素子を有している。図8(a),(b)の磁気センサ90と同様に、磁気センサ100においても、p型のシリコン(Si)基板1に溝1tが形成され、溝1tの対向する斜面に、それぞれホール素子であるn型の低濃度不純物拡散領域21,22が形成されている。
図8(a),(b)の磁気センサ90では、ホール素子21,22に接続するn型の高濃度不純物拡散領域4が、電極配線として用いられていた。一方、図1(a),(b)の磁気センサ100では、電極配線パターンを有するn型の高濃度不純物拡散領域4が形成され、さらにその上に金属シリサイド層50が積層形成されている。金属シリサイド層50は、高濃度不純物拡散領域4より抵抗値の低い低抵抗層で、サリサイド技術を用いた自己整合(セルフアライン)により、高濃度不純物拡散領域4上に選択的に積層形成される。サリサイド技術を用いて形成される金属シリサイド層50には、例えば、チタン(Ti)を使ったチタンシリサイド(TiSi)や、コバルト(Co)を使ったコバルトシリサイド(CoSi)がある。
高濃度不純物拡散領域4は、一般的に、同じSi基板1に集積されるトランジスタ等の他の素子形成におけるイオン注入工程を用いて形成される。これによって磁気センサ100の製造コストが低減されるが、一般的なLSIプロセスにおいて形成される高濃度不純物拡散領域4のシート抵抗は、数十〜数百Ω/□である。
表1に、高濃度不純物拡散領域4のシート抵抗値と、その上にTiSiを形成したときのシート抵抗値を、比較して示す。
表1の結果に見られるように、高濃度不純物拡散領域4上にTiSiを形成することによって、シート抵抗値は、1/10〜1/100に低減される。尚、高濃度不純物拡散領域4上にCoSiを形成する場合も、類似の傾向を示す。
このようにして、図1(a),(b)の磁気センサ100では、高濃度不純物拡散領域4と金属シリサイド層50の積層体からなる電極配線は、図8(a),(b)の磁気センサ90における高濃度不純物拡散領域4のみからなる電極配線に較べて、1/10〜1/100に低抵抗化される。このようにして、実質的に低抵抗層である金属シリサイド層50をバイアス電流が流れ、ホール素子21,22の出力に対する電極配線の抵抗の影響も、1/10〜1/100に低減される。これによって、磁気センサ100の測定精度が向上する。
以上のように、図1(a),(b)の磁気センサ100は、半導体基板1に形成された溝1tの表面にホール素子21,22が形成されてなる磁気センサであって、低抵抗の電極配線を有する磁気センサとすることができる。
図1(a),(b)の磁気センサ100は、Si基板1に形成された一つの溝1tに2個のホール素子21,22が集積された、小型の磁気センサである。また、磁気センサ100は、一つの溝1tの対向する斜面に、2個のホール素子21,22が配置されており、回転磁界を検出する回転角センサに好適である。
溝1tの斜面にホール素子21,22が配置された磁気センサ100では、図1(b)に示すように、B−B断面に平行な磁界Bが印加されると、斜面に直角な方向の磁界成分B,Bが各ホール素子21,22に印加される。バイアス電流I,Iが流れる各ホール素子21,22では、磁界成分B,Bに比例する電圧が発生し、出力電圧V,Vとして検出される。これによって、B−B断面において回転する磁界Bの回転角を検出することができ、磁気センサ100を回転角センサとして用いることができる。
特に、磁気センサ100では、図1(b)に示すように{100}面方位のSi基板1が用いられており、これに{111}面方位の斜面を持つ溝1tが形成されている。この溝1tにおける{111}面方位の対向する斜面は、54.7度の角度をもって交わる。従って、2個のホール素子21,22に印加される回転磁界成分B,Bの振幅がほぼ等しくなり、2個のホール素子21,22の出力電圧V,Vも、振幅がほぼ等しく54.7度位相の異なる2つの正弦波となる。理想的には90度が望ましいが、前記角度は物性値から決まる値で安定しているため、演算で補正することが可能である。このようにして2個のホール素子21,22の出力電圧V,Vをバランスさせることで、測定精度高い磁気センサ(回転角センサ)が得られる。尚、2個のホール素子21,22の出力電圧V,Vをバランスさせるうえでも、高濃度不純物拡散領域4上に金属シリサイド層50を積層して、ホール素子21,22の出力に対するの影響を低減することが効果的である。
図1(a),(b)の磁気センサ100では、一つの溝1tの対向する斜面に2個のホール素子21,22が集積配置されているが、同じ基板の異なる溝にそれぞれホール素子を配置して、回転角センサを構成してもよい。また、溝の斜面にホール素子が配置されたそれぞれ別の基板(チップ)からなる磁気センサを組み合せて、回転角センサを構成することもできる。このように、溝の斜面にホール素子が配置される磁気センサでは、印加磁界の斜面に垂直な方向成分に比例した出力電圧が検出されるため、異なる斜面に配置されたホール素子を組み合せて、回転磁界を検出する回転角センサを構成することができる。いずれの場合も、溝の斜面にホール素子が配置される磁気センサにおいては、高濃度不純物拡散領域上に低抵抗層を形成して電極配線を低抵抗化することが、測定精度の向上に効果的である。
次に、図1(a),(b)の磁気センサ100の製造方法を説明する。
図2(a)〜(d)および図3(a)〜(d)は、磁気センサ100の製造方法を示す工程別断面図である。
図2(a)に示す{100}面方位のp型Si基板1を用いて、最初に、図2(b)に示す{111}面方位の斜面を持つ、深さ100μm程度の溝1tを形成する。溝1tの形成は、次のようにしておこなう。
Si基板1に、表面保護用の薄い酸化膜を形成した後、エッチングのマスクとなる窒化シリコン(SiN)膜を形成する。次に、ホトリソグラフィとドライエッチングを用いて、溝1t形成部位のSiN膜を開口する。次に、ホトレジストを剥離させた後、水酸化カリウム(KOH)溶液等を用いた等方性ウェットエッチングにより、上記SiN膜の開口部から、Si基板1を等方的にエッチングする。この時、{100}面からSi基板1を等方的にエッチングすると、{111}面方位の斜面が優先的に現れる溝1tが形成される。最後に、燐酸(HPO)等を用いて、表面のSiN膜を除去する。こうして、図2(b)に示す{111}面方位の斜面を持つ溝1tが、Si基板1に形成される。
次に、最終的にホール素子となる、図2(c)に示すn型の低濃度不純物拡散領域2を形成する。
n型の低濃度不純物拡散領域2は、Si基板1の所定領域に、(P)等のn型不純物をイオン注入して形成する。n型の低濃度不純物拡散領域2は、ホール素子と電極配線を合わせた形状のパターンに形成する。イオン注入時のマスクにはホトレジストを用いるが、Si基板1の上面と溝1tの底面とでは100μm程度の段差がある。このため、ホトレジストのパターニングには、焦点範囲が大きい電子ビーム(EB)リソグラフィを用い、焦点位置を数段階に変えてEB露光する。
イオン注入後、活性化のための熱処理を行い、n型の低濃度不純物拡散領域2の形成が終了する。
次に、図2(d)に示すように、高濃度不純物拡散領域4形成時のマスクとなるLOCOS酸化膜3を形成する。
LOCOS酸化膜3の形成は、Si基板1の表面を酸化して薄い酸化膜(40nm程度)を形成した後、SiN膜を前面に150nm程度堆積する。次に、前述したEBリソグラフィとドライエッチングを用いて、LOCOS酸化膜3形成部位のSiN膜を開口する。その後、Si基板1を酸化することにより、SiN膜の開口部に、1000nm程度の厚さのLOCOS酸化膜3を成長させる。
次に、図3(a)に示すように、LOCOS酸化膜3をマスクにして、P等のn型不純物をイオン注入して、高濃度不純物拡散領域4を形成する。n型の高濃度不純物拡散領域4は、電極配線形状のパターンに形成する。従って、このイオン注入により、斜面のLOCOS酸化膜3の下にあるn型の低濃度不純物拡散領域2が区画されて、高濃度不純物拡散領域4が接続する2個のホール素子21,22となる。
イオン注入後、活性化のための熱処理を行い、n型の高濃度不純物拡散領域4の形成が終了する。
次に、サリサイド技術を用いて、高濃度不純物拡散領域4の上に、金属シリサイド層50を形成する。
最初に、図3(b)に示すように、Si基板1の全面に、サリサイドとなる金属のTi層5を堆積する。この後、熱処理を行うと、LOCOS酸化膜3の開口部に露出した高濃度不純物拡散領域4のSiと接触するチタン層5のTiとが反応し、TiSiからなる金属シリサイド層50が、接触面に形成される。
次に、ウエットエッチングによって未反応のチタン層5を選択的に除去すると、図3(c)に示すように、高濃度不純物拡散領域4上に、金属シリサイド層50が残る。このようにして、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域4を土台とし、金属シリサイド層50が、セルフアラインにより選択的に高濃度不純物拡散領域4上に積層形成される。
上記の製造工程により、高濃度不純物拡散領域4上に金属シリサイド層50からなる低抵抗の電極配線が形成される。上記製造方法によれば、不良が発生し易い金属膜のエッチングを用いることなく、大きな段差部分のある電極配線を形成することができる。
最後に、図3(d)に示すように、層間絶縁膜6を堆積し、ホトリソグラフィとドライエッチングによりコンタクトホールを形成後、アルミニウム(Al)配線7を形成して、磁気センサ100が完成する。
(第2の実施形態)
第1実施形態の磁気センサは、電極配線として、高濃度不純物拡散領域上にサリサイド技術による金属シリサイド層が形成された磁気センサであった。本実施形態の磁気センサは、高濃度不純物拡散領域上に選択成長によるアルミニウム(Al)層もしくはタングステン(W)層が形成された磁気センサに関する。以下、本実施形態について図に基づいて説明する。
図4は、本実施形態における磁気センサ101の模式的な断面図である。尚、図4の磁気センサ101おいて、図1(b)に示す磁気センサ100と同様の部分については、同一の符号を付けた。
図4の磁気センサ101は、金属シリサイド層50に替わって、高濃度不純物拡散領域4上に、選択成長によるAl層51もしくはW層52が形成される点で、図1(b)に示す磁気センサ100と異なっている。
AlもしくはWは、Siからなる高濃度不純物拡散領域4上へ、CVDにより選択成長可能である。高濃度不純物拡散領域4に較べて、Al層51もしくはW層52は低抵抗であり、高濃度不純物拡散領域4にAl層51もしくはW層52が積層された電極配線は、高濃度不純物拡散領域4のみで形成される電極配線に較べて低抵抗化される。従って、図4の磁気センサ101についても、ホール素子21,22の出力に対する電極配線の抵抗の影響が低減され、磁気センサの測定精度が向上する。
また、Al層51もしくはW層52は、図3(a)に示すイオン注入による高濃度不純物拡散領域4の形成後に、LOCOS酸化膜3の開口部に露出した高濃度不純物拡散領域4上に、AlもしくはWをCVDにより選択成長させて形成する。従ってこの場合も、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域4を土台とし、Al層51もしくはW層52がセルフアラインにより高濃度不純物拡散領域4上に積層形成される。このため、不良が発生し易い金属膜のエッチングを用いることなく、大きな段差部分のある電極配線を形成することができる。
尚、Al層51は、W層52に較べて低抵抗であり、容易に厚く形成することができる。
(第3の実施形態)
第2実施形態の磁気センサは、電極配線として、高濃度不純物拡散領域上に選択成長によるAl層もしくはW層が形成された磁気センサであった。本実施形態の磁気センサは、高濃度不純物拡散領域上に、電界メッキによる銅(Cu)層が形成された磁気センサに関する。以下、本実施形態について図に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における磁気センサ102の模式的な断面図である。尚、図5の磁気センサ102おいて、図1(b)に示す磁気センサ100と同様の部分については、同一の符号を付けた。
図5の磁気センサ102は、金属シリサイド層50に替わって、高濃度不純物拡散領域4上に、電界メッキによるCu層53が形成される点で、図1(b)に示す磁気センサ100と異なっている。
電界メッキを用いれば、Siからなる高濃度不純物拡散領域4上へ、Cuの選択成長が可能である。高濃度不純物拡散領域4に較べて、Cu層53は低抵抗であり、高濃度不純物拡散領域4にCu層53が積層された電極配線は、高濃度不純物拡散領域4のみで形成される電極配線に較べて低抵抗化される。従って、図5の磁気センサ102についても、ホール素子21,22の出力に対する電極配線の抵抗の影響が低減され、磁気センサの測定精度が向上する。
Cu層53は、図3(a)に示すイオン注入による高濃度不純物拡散領域4の形成後に、全体をCuのメッキ液に浸漬し、電解メッキして形成する。電解メッキは、メッキ液中の高濃度不純物拡散領域4に通電して、LOCOS酸化膜3の開口部に露出した高濃度不純物拡散領域4上に、Cuを選択的に析出させる。従ってこの場合も、電極配線パターンに形成された高濃度不純物拡散領域4を土台とし、Cu層53がセルフアラインにより高濃度不純物拡散領域4上に積層形成される。このため、不良が発生し易い金属膜のエッチングを用いることなく、大きな段差部分のある電極配線を形成することができる。
尚、Cu層53は、第2実施形態のAl層51もしくはW層52に較べて低抵抗であり、容易に厚く形成することができる。
(第4の実施形態)
第1〜第3実施形態の磁気センサは、いずれも電極配線として、高濃度不純物拡散領域上に選択成長による金属シリサイド層もしくは金属層が形成された磁気センサであった。本実施形態の磁気センサは、高濃度不純物拡散領域上に、選択成長ではなく、インクジェット装置によって金属層が形成された磁気センサに関する。以下、本実施形態について図に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における磁気センサ103の模式的な断面図である。尚、図6の磁気センサ103おいて、図1(b)に示す磁気センサ100と同様の部分については、同一の符号を付けた。
図6の磁気センサ103は、高濃度不純物拡散領域4上に、選択成長ではなく、インクジェット装置による金属層54が形成される点で、前記の磁気センサ100〜102と異なっている。
インクジェット装置を用いれば、任意の金属材料からなる金属層54を、任意の場所へ形成することが可能である。従って、高濃度不純物拡散領域4上へより低抵抗の金属層54を形成すれば、高濃度不純物拡散領域4に金属層54が積層された電極配線は、高濃度不純物拡散領域4のみで形成される電極配線に較べて低抵抗化される。従って、図6の磁気センサ103についても、ホール素子21,22の出力に対する電極配線の抵抗の影響が低減され、磁気センサの測定精度が向上する。
金属層54は、図3(a)に示すイオン注入による高濃度不純物拡散領域4の形成後に、金属粒子を含むインクパターンをインクジェット装置により高濃度不純物拡散領域4上に形成し、インクパターンを焼結して形成される。このように、インクジェット装置を用いた形成方法によっても、大きな段差部分のある電極配線を形成することができる。
(第5の実施形態)
第4実施形態の磁気センサは、電極配線として、高濃度不純物拡散領域上に、インクジェット装置によって金属層が形成された磁気センサであった。本実施形態の磁気センサは、金属膜を全面に形成した後、ピーリングで余分な金属膜を剥がすことによって、高濃度不純物拡散領域上のみに金属層が形成された磁気センサに関する。以下、本実施形態について図に基づいて説明する。
図7は、本実施形態における磁気センサ104の模式的な断面図である。尚、図7の磁気センサ104おいて、図1(b)に示す磁気センサ100と同様の部分については、同一の符号を付けた。
図7の磁気センサ104も、高濃度不純物拡散領域4上に、選択成長ではなく、ピーリングによって金属層55が形成される。
ピーリングによる方法も、任意の金属材料を用いることが可能である。従って、高濃度不純物拡散領域4上へより低抵抗の金属層55を形成すれば、高濃度不純物拡散領域4に金属層55が積層された電極配線は、高濃度不純物拡散領域4のみで形成される電極配線に較べて低抵抗化される。従って、図7の磁気センサ104についても、ホール素子21,22の出力に対する電極配線の抵抗の影響が低減され、磁気センサの測定精度が向上する。
ピーリングによる金属層55は、図3(a)に示すイオン注入による高濃度不純物拡散領域4の形成後に、図3(b)と同様、半導体基板の全面に金属膜を形成する。この全面に堆積した金属膜を熱処理し、高濃度不純物拡散領域4のSiと反応させて、高濃度不純物拡散領域4との密着性を上げる。次に、全面に粘着テープを貼って引き剥がす(ピーリング)ことで、密着性の弱いLOCOS酸化膜3上の余分な金属膜を粘着テープに貼り付けて除去する。これにより、高濃度不純物拡散領域4上のみに、金属層55を残すことができる。このピーリングによる金属層55の形成方法によっても、大きな段差部分のある電極配線を形成することができる。
(他の実施形態)
上記の各実施形態においては、{100}面方位のSi基板1が用いられ、Si基板1に形成された溝1tの斜面に、ホール素子21,22が形成されていた。本発明の高濃度不純物拡散領域上に低抵抗層が磁気センサは、上記に限らず、{110}面方位や{111}面方位のSi基板を用いた磁気センサであってもよい。また、溝1tの底面にホール素子が形成された磁気センサにも効果的である。
本発明の第1実施形態における磁気センサの模式図で、(a)は上視図であり、(b)は(a)におけるB−Bの断面図である。 (a)〜(d)は、第1実施形態の磁気センサの製造方法を示す工程別断面図である。 (a)〜(d)は、第1実施形態の磁気センサの製造方法を示す工程別断面図である。 本発明の第2実施形態における磁気センサの模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態における磁気センサの模式的な断面図である。 本発明の第4実施形態における磁気センサの模式的な断面図である。 本発明の第5実施形態における磁気センサの模式的な断面図である。 従来の磁気センサの模式図で、(a)は上視図であり、(b)は(a)におけるA−Aの断面図である。
符号の説明
90,100〜104 磁気センサ
1 半導体(シリコン)基板
21,22 低濃度不純物拡散領域(ホール素子)
3 LOCOS酸化膜
4 高濃度不純物拡散領域
50 金属シリサイド層(低抵抗層)
51 選択成長によるAl層(低抵抗層)
52 選択成長によるW層(低抵抗層)
53 電界メッキによるCu層(低抵抗層)
54 インクジェット装置による金属層(低抵抗層)
55 ピーリングによる金属層(低抵抗層)

Claims (16)

  1. 半導体基板に溝が形成され、
    前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、
    前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い低抵抗層が積層形成されてなることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記低抵抗層が、前記溝の斜面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記低抵抗層が、前記半導体基板の表面から前記溝の低面に渡って形成されることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記低抵抗層が、金属シリサイド層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記金属シリサイド層が、チタンシリサイド(TiSi)層もしくはコバルトシリサイド(CoSi)層であることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。
  6. 前記低抵抗層が、金属層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  7. 前記金属層が、アルミニウム(Al)層、タングステン(W)層もしく銅(Cu)層であることを特徴とする請求項6に記載の磁気センサ。
  8. 前記ホール素子が、前記溝の斜面に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  9. 前記磁気センサが2個のホール素子を有し、当該ホール素子が、前記溝の対向する斜面にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項8に記載の磁気センサ。
  10. 前記半導体基板が{100}面方位の半導体基板であり、前記溝の斜面が{111}面方位であることを特徴とする請求項8または9に記載の磁気センサ。
  11. 半導体基板に溝が形成され、
    前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、
    前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、
    前記低抵抗層を、自己整合(セルフアライン)により形成することを特徴とする磁気センサの製造方法。
  12. 前記半導体基板が、シリコン基板であり、
    前記低抵抗層が、金属シリサイド層であって、
    当該金属シリサイド層を、サリサイド技術により形成することを特徴とする請求項11に記載の磁気センサの製造方法。
  13. 前記低抵抗層が、アルミニウム(Al)層もしくはタングステン(W)層であり、
    当該Al層もしくはW層を、CVDによる選択成長で形成することを特徴とする請求項11に記載の磁気センサ。
  14. 前記低抵抗層が、銅(Cu)層であり、
    当該Cu層を、電界メッキにより形成することを特徴とする請求項11に記載の磁気センサ。
  15. 半導体基板に溝が形成され、
    前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、
    前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、
    前記低抵抗層を、金属粒子を含むインクパターンをインクジェット装置により前記高濃度不純物拡散領域上に形成し、前記インクパターンを焼結して形成することを特徴とする磁気センサの製造方法。
  16. 半導体基板に溝が形成され、
    前記溝の表面に、ホール素子である低濃度不純物拡散領域と、電極配線パターンを有し前記低濃度不純物拡散領域に接続する高濃度不純物拡散領域とが形成され、
    前記高濃度不純物拡散領域上に、当該高濃度不純物拡散領域より抵抗値の低い、低抵抗層が積層されてなる磁気センサの製造方法であって、
    前記低抵抗層を、前記半導体基板の全面に金属膜を形成し、熱処理後に前記金属膜をピーリングし、高濃度不純物拡散領域上以外の金属膜を剥がして形成することを特徴とする磁気センサの製造方法。
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