JPH09116213A - 磁電変換素子とその製造方法 - Google Patents
磁電変換素子とその製造方法Info
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- JPH09116213A JPH09116213A JP7270265A JP27026595A JPH09116213A JP H09116213 A JPH09116213 A JP H09116213A JP 7270265 A JP7270265 A JP 7270265A JP 27026595 A JP27026595 A JP 27026595A JP H09116213 A JPH09116213 A JP H09116213A
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Abstract
体薄膜との格子定数が異なる非格子整合系のエピタキシ
ャル薄膜を感磁層として用いた磁電変換素子を作製する
際に発生する、界面の変成層に起因したワイヤボンディ
ング性不良という実製造上の致命的な問題を解決し、ワ
イヤボンディング性が良好で量産製造可能な新たな磁電
変換素子を提供する。 【解決手段】 本発明は、絶縁性の基板上にヘテロエピ
タキシャル成長された厚さ0.2〜1.4μmの感磁層
となる半導体薄膜とワイヤボンディング用の電極より成
る磁電変換素子において、ワイヤボンディングされる電
極下部のヘテロエピタキシャル成長界面の相互拡散を起
こした非常に高密度の結晶欠陥を有する変成層が除去さ
れていることを特徴とする磁電変換素子。
Description
ヘテロエピタキシャル成長された半導体薄膜を感磁層と
して用いた磁電変換素子に関するものであり、特に、基
板とヘテロエピタキシャル成長された半導体薄膜との格
子定数が異なった、いわゆる非格子整合系のエピタキシ
ャル薄膜を感磁層として用いた磁電変換素子に関するも
のである。
移動度を有する材料が好ましいことから、InSb、I
nAs、GaAs等のIII-V 族化合物半導体薄膜は広く
用いられており、最近ではInGaAs、InAsSb
等の三元系もしくは四元系の薄膜を感磁層として用いる
ことも試みられている。磁電変換素子の感磁層として用
いられるこれらのIII-V 族化合物半導体薄膜は絶縁性の
基板上にエピタキシャル成長されるが、一般的なエピタ
キシャル成長用の基板の中で十分高い比抵抗を有した絶
縁性の基板として使用できるものはGaAs、InP、
Si等であり、GaAs基板上へのGaAs薄膜のホモ
エピタキシャル成長を除いて、ほとんどがヘテロエピタ
キシャル成長となっている。これらのIII-V 族化合物半
導体薄膜には高い電子移動度を実現するために良好な結
晶性が必要とされることから、前述のヘテロエピタキシ
ャル成長の試みは、基板とヘテロエピタキシャル成長さ
れた半導体薄膜との格子定数を一致させた、いわゆる格
子整合系のエピタキシャル成長の検討を中心になされて
いる。すなわち、基板と半導体薄膜の材料を選び、用い
た三元系、四元系混晶材料の組成比を基板と格子整合す
るように合わせこみ、必要に応じて膜厚方向の組成比を
変化させるグレーデッドバッファー層や歪み超格子構造
のバッファー層等のバッファー層を用いることが行われ
ており、In0.47Ga0.53As/InP、InAs/A
l0.65Ga0.35As0.14Sb0.86/GaAs等の系にお
いて高い電子移動度が得られることが知られている。し
かしながら、これらの三元系、四元系混晶材料の組成比
を制御し、基板と格子整合するようにする手法は複雑で
あり、量産性に富んだ簡便な方法ではない。そこで、本
発明者等はかねてより磁電変換素子の感磁層として適し
た材料であるInAs薄膜に着目し、簡単なInAs/
GaAsの非格子整合系のヘテロエピタキシャル成長に
おいて、高い電子移動度を得ることを目的として鋭意研
究を重ねた結果、結晶欠陥の多いInAs/GaAs界
面から離れた表面部分にドナー不純物であるSiをドー
ピングすることで、高い電子移動度を持つ表面部分の電
気伝導に対する寄与を高めることにより高い電子移動度
を実現できることを明らかにしてきた(伊藤 隆他、1
991年春季第38回応用物理学関係連合講演会予稿集
No.1、P.267、29a−SZK−16)。本発
明者等はさらに検討を重ね、前記InAs薄膜を感磁層
として用いた図2に示すようなホール素子を試作した。
図2において、1はワイヤボンディング用のAu電極
層、2はワイヤボンディング時の衝撃を緩和するために
挿入した剛性を有するNi電極層、3はInAs薄膜に
コンタクトするCu電極層、4は感磁層であるInAs
薄膜、5は半絶縁性GaAs基板、6は保護膜であるS
iN層、7はワイヤボンディング用のAuワイヤ、8は
モールド樹脂、9はリード線を表しており、電極1、
2、3はInAs薄膜4の上に直接形成されている。し
かしながら、図2のような従来の構造のホール素子の試
作において素子の量産組立性、特にワイヤボンディング
性が著しく悪く、具体的にはボンディング不良により装
置停止が続発して装置稼働率が50%にも満たないとい
う製造上の問題が新たに判明した。このような実製造上
の致命的な問題についてさらに検討を重ねた結果、本発
明者等はワイヤボンディング性不良の原因がInAs/
GaAs界面に存在する相互拡散を起こした非常に高密
度の結晶欠陥を有する変成層にあることを見い出し、量
産製造可能な本発明の素子構造を発明するに至ったもの
である。
ロエピタキシャル成長された半導体薄膜との格子定数が
異なった、いわゆる非格子整合系のエピタキシャル薄膜
を感磁層として用いた磁電変換素子を作製する際に発生
する、前述の界面の変成層に起因したワイヤボンディン
グ性不良という実製造上の致命的な問題を解決し、量産
製造可能な磁電変換素子を提供することを目的としたも
のである。すなわち、基板とヘテロエピタキシャル成長
された半導体薄膜との格子定数が極めて近い、いわゆる
格子整合系のエピタキシャル薄膜を感磁層として用いる
場合には、図2のような従来の半導体薄膜上に電極が直
接形成された構造においてもワイヤボンディング性に何
ら問題がないのに対して、格子定数の違いが約7.2%
のInAs/GaAs、約14.6%のInSb/Ga
As、約4.1%のGaAs/Si、約11.6%のI
nAs/Si等の格子定数の違いが少なくとも4%以上
ある非格子整合系のヘテロエピタキシャル薄膜を感磁層
として用いた場合に図2のような従来の素子構造で起こ
るワイヤボンディング性不良という問題を変成層の影響
を排除することにより解決した量産製造可能な新たな磁
電変換素子の構造とその製造方法を提供するものであ
る。
上にヘテロエピタキシャル成長された厚さ0.2〜1.
4μmの感磁層となる半導体薄膜とワイヤボンディング
用の電極より成る磁電変換素子において、ワイヤボンデ
ィングされる電極下部の半導体薄膜が完全に除去されて
いることを特徴とする磁電変換素子である。
施例1において一例として作製した図1に示すInAs
ホール素子を用いて説明する。図1において、1はワイ
ヤボンディング用のAu電極層、2はNi電極層、3は
Cu電極層、4は感磁層であるInAs薄膜、5は半絶
縁性GaAs基板、6は保護膜であるSiN層、7はA
uワイヤ、8はモールド樹脂、9はリード線を表してい
る。ここでワイヤボンディングされる電極下部の半導体
薄膜が完全に除去されているというのは、図3に示すよ
うなワイヤボンディング性不良の原因となるワイヤボン
ディングされる電極下部のInAs/GaAsヘテロエ
ピタキシャル成長界面の相互拡散を起こした非常に高密
度の結晶欠陥を有する変成層を除去することを意味す
る。図3において、4はInAs薄膜、5はGaAs基
板、10はInAs/GaAsヘテロエピタキシャル成
長界面、11はInAs/GaAs界面変成層を表して
いる。
ロエピタキシャル成長界面の相互拡散を起こした非常に
高密度の結晶欠陥を有する変成層はInAs薄膜内のみ
でなく、GaAs基板内の界面近傍にも存在する。よっ
てここでいうInAs/GaAs界面変成層を除去する
ということは、InAs薄膜内の変成層のみを除去する
ことでなく、このGaAs基板内の界面近傍に存在する
変成層も取り除き、相互拡散を起こした非常に高密度の
結晶欠陥を有する変成層を完全に除去することで界面の
結晶欠陥の影響のないGaAs基板面を新らたに完全に
露出させることを意味している。図2のような従来の構
造のホール素子におけるワイヤボンディングされる電極
下部のInAs/GaAs界面変成層の存在は、超音波
を用いたワイヤボンディングにおいて、相互拡散を起こ
した変成層の高密度の結晶欠陥がマイクロクラックの発
生を助長することからワイヤボンディングの接合エネル
ギーに不安定なロスを生じさせ、ワイヤボンディング性
を悪化させる原因となっていた。界面変成層の厚さは、
基板と半導体薄膜の材料の組み合わせ・ヘテロエピタキ
シャル成長条件等により異なるが、極めて薄く、InA
s/GaAsヘテロエピタキシャル成長界面の場合、通
常は0.01〜0.2μm程度である。
ングされる電極下部のInAs/GaAs界面変成層を
除去した半導体基板上に形成される。本発明に用いられ
る電極形成方法は一般的に用いられるメッキ法、蒸着法
等何でも良いが、特に本発明では電極下部のInAs/
GaAs界面変成層を除去することから、表面から界面
変成層までの膜厚分の段差が生じる。この段差の側面は
順メサ、あるいは逆メサの形状となることから、段差部
でのステップカバレッジに優れているメッキ法が特に好
ましい方法であると言える。
極下部のInAs/GaAs界面変成層を除去していな
い従来の構造のホール素子を電極形成方法としてメッキ
法を用いて作製した場合、電極金属内部の歪みが大きい
ことから界面変成層の影響と相まってワイヤボンディン
グ性不良の問題が特に顕著となっていたが、図1のよう
な電極下部のInAs/GaAs界面変成層を除去した
本発明の構造の素子においては電極形成方法としてメッ
キ法を用いても良好なワイヤボンディング性が得られ
た。
単層構造、もしくは多層構造のいずれでも良いが、段差
部でのステップカバレッジを十分に得ることができると
いう点で多層構造がより好ましく用いられる。さらに、
電極の厚さについてもステップカバレッジを考慮して
0.2μm〜5.0μmの範囲のものが好ましい。具体
的な電極構成としてはメッキ法では、Au/Ni/C
u、Au/Pd/Cu、Au/Ni等が好ましく用いら
れるが、特にAu/Ni/Cuは好ましいものである。
また、蒸着法ではAu/Ni/AuGe、Au/Ni/
Ti、Au/Pd/Ti、Au/Pt/Ti等が好まし
く用いられるが、特にAu/Pd/Tiは好ましいもの
である。
の構造の具体例を示す。図4において、1はワイヤボン
ディング用のAu電極層、2はNi電極層、3はCu電
極層、4は感磁層であるInAs薄膜、5は半絶縁性G
aAs基板、7はAuワイヤを表している。実施例1に
おいて一例として作製した図1に示すInAsホール素
子の電極を表した図4(a)を用いて電極の構造を説明
する。電極は電極と感磁層とのコンタクト部であるA部
と、ワイヤボンディングされるワイヤボンディング電極
部であるC部と、A部とC部をつなぐ配線引き回し部で
あるB部からなっている。本発明においては、ワイヤボ
ンディングされる電極下部のInAs/GaAs界面変
成層が除去されていることが重要である。すなわち、図
4(a)に示すワイヤボンディング電極部であるC部の
電極下部のInAs/GaAs界面変成層が除去されて
いれば良く、必ずしもそれ以外の電極下部においてIn
As/GaAs界面変成層が除去される必要はない。ま
た、本発明においては、図4(b)のように感磁層との
コンタクト部であるA部が長く、配線引き回し部である
B部が短い電極パターンであっても良く、また、図4
(c)のように配線引き回し部であるB部がなく、感磁
層とのコンタクト部であるA部と、ワイヤボンディング
される電極部であるC部の2つより構成されるものであ
っても良い。さらに、図4(d)のように、ワイヤボン
ディング電極部であるC部以外の部分まで、C部の多層
構造が延びていても良い。本発明のInAsホール素子
において用いられる電極の構造はワイヤボンディングさ
れる電極下部のInAs/GaAs界面変成層が除去さ
れていれば良いのであって、電極パターンの形状や電極
の構造については特に制限を受けるものではない。
施例1において一例として作製したInAsホール素子
を用いて説明したが、以上の例に限定されるものではな
いことは言うまでもない。
は、ホール素子、磁気抵抗効果素子等何でも良いが、一
般に素子の小型化が要求され、また、量産製造において
組立性が求められるホール素子は特に好ましいものであ
る。
s、InP等化合物半導体の半絶縁性基板、Si基板等
何でも良いが、エピタキシャル成長用の基板として一般
に多く用いられている半絶縁性GaAs基板は特に好ま
しい。
感磁層となる半導体薄膜の材料としてはInAs、In
Sb、GaAs等何でも良いが、高感度で温度特性の良
好な磁電変換素子が得られる材料であるInAsは特に
好ましい。
の基板上に厚さ0.2〜1.4μmの半導体薄膜をヘテ
ロエピタキシャル成長させる工程とワイヤボンディング
される電極が形成される半導体薄膜の所定の部分を予め
完全にエッチング除去する工程とメッキ法により電極を
形成する工程とホール素子形状にエッチングする工程と
を少なくとも含むことを特徴とする。
の半導体薄膜をヘテロエピタキシャル成長させる方法と
しては、一般に広く半導体薄膜の成長法として用いられ
る分子線エピタキシー(MBE)法、MOCVD法、真
空蒸着法等何でも良いが、薄膜成長の制御性に優れ、良
好な結晶性が得られるMBE法は特に好ましいものであ
る。
る半導体薄膜の所定の部分を予め完全にエッチング除去
する方法としては、変成層が除去できればウエットエッ
チング法、ドライエッチング法の何れでも良いが、ドラ
イエッチング法による基板内の結晶欠陥等のダメージを
除去することを目的としてウエットエッチング法を併用
することも好ましく行われる。
は、無電解メッキ法、電解メッキ法の何れでも良いが、
無電解メッキにより基板面内電位を均一にした上で、電
解メッキ法により電極を厚付けする方法は、基板面内の
電極の膜厚分布が均一になることから特に好ましい方法
である。
ては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法の何
れでも良いが、ドライエッチング法による基板内の結晶
欠陥等のダメージを除去することを目的としてウエット
エッチング法を併用する方法は、特に好ましい方法であ
る。
例を併記した実施例を用いてさらに詳しく説明するが、
本発明は、基板とヘテロエピタキシャル成長された半導
体薄膜との格子定数の異なる非格子整合系のエピタキシ
ャル薄膜を感磁層として用いた磁電変換素子において、
ワイヤボンディングされる電極下部のヘテロエピタキシ
ャル成長界面の相互拡散を起こした非常に高密度の結晶
欠陥を有する変成層が除去されていることを特徴とする
磁電変換素子とその製造方法であり、以下の実施例に限
定されるものではない。
成したSiドープInAs薄膜を感磁層として用いたホ
ール素子を作製した例について、以下に説明する。
に、分子線エピタキシー法を用いて、ドナー不純物であ
るSiをドープした厚さ0.5μmのInAs薄膜をエ
ピタキシャル成長させた。
いて、ワイヤボンディングされる電極下部のInAs/
GaAs界面変成層を除去するために、所要のレジスト
パターンを形成した。これをマスクとして、塩化第2
銅、塩酸系のエッチャントを用いて表面から0.7μm
のエッチングを行い、InAs/GaAs界面変成層を
除去した。
成し、このレジストをマスクとしてメッキ法によりCu
層1.0μm、Ni層0.25μm、Au層1.0μm
からなる電極を形成した。
を形成し、このレジストをマスクとして塩化第2銅、塩
酸系のエッチャントを用いて電極の一部とInAs薄膜
のエッチングを行い、続いて、基板全面に保護膜である
Si3 N4 をプラズマCVD法により基板温度300℃
で形成した。さらに、フォトリソグラフィー法を用いて
レジストパターンを形成し、ワイヤボンディングされる
電極部上のSi3 N4を反応性イオンエッチング法によ
り除去することでホール素子パターンを完成させた。
れたウェハーをダイシングソーにより個々のホール素子
チップに切断し、自動ダイボンダーによりリード上にこ
のチップをダイボンドした。続いて、自動ワイヤボンダ
ーでリードとホール素子の電極部をAuワイヤで接続し
た上で樹脂モールドすることで、図1に示したようなホ
ール素子を作製した。
テストにおけるワイヤボンディング装置エラー停止発生
率と装置稼働率を表1に示す。ここで、ワイヤボンディ
ング装置エラー停止発生率は、エラー停止のあったホー
ル素子の数の全処理数に占める割合を、装置稼働率は全
数処理時間に占める装置稼働時間の割合を表している。
ングされる電極下部のInAs/GaAs界面変成層を
除去するために実施したエッチングにおいて、本比較例
1においてはInAs/GaAs界面変成層がエッチン
グ除去できない熱塩酸をエッチャントとして用いて、他
の製造工程および条件は実施例1と同様に行うことで、
比較例となるホール素子を作製した。従って、本比較例
1においてはワイヤボンディングされる電極下部のIn
As/GaAs界面変成層は除去されていない。
テストにおけるワイヤボンディング装置エラー停止発生
率と装置稼働率を表1に併記する。
ングされる電極下部のInAs/GaAs界面変成層を
除去するために実施したエッチング工程を省略し、他の
製造工程および条件は実施例1と同様に行うことで、I
nAs薄膜上に電極が直接形成された比較例となる図2
のような従来の構造のホール素子を作製した。従って、
本比較例2においてもワイヤボンディングされる電極下
部のInAs/GaAs界面変成層は除去されていな
い。
テストにおけるワイヤボンディング装置エラー停止発生
率と装置稼働率を表1に併記する。
される電極下部のInAs/GaAs界面変成層を除去
して作製した本発明のホール素子においては、ワイヤボ
ンディング装置エラー停止発生率は0.01%であり、
自動ワイヤボンダーの稼働率も99%という良好な結果
が得られた。
ングされる電極下部のInAs/GaAs界面変成層が
除去されていないホール素子においてはワイヤボンディ
ング装置エラー停止発生率は8%、自動ワイヤボンダー
の稼働率は53%であった。この結果は比較例2の従来
の構造のホール素子のワイヤボンディング装置エラー停
止発生率である10%、自動ワイヤボンダーの稼働率で
ある49%という結果と比較して、ワイヤボンディング
装置エラー停止発生率、装置稼働率ともに若干改善され
てはいるものの、本発明の実施例1の結果と比較する
と、ほとんど効果がないことが判る。すなわち、ホール
素子の組立性、特にワイヤボンディング性においてはワ
イヤボンディング電極下部のInAs/GaAs界面の
相互拡散を起こした非常に高密度の結晶欠陥を有する変
成層が除去されなければ改善の効果がないと言える。
例2で作製したホール素子において、ワイヤボンディン
グ後の電極下部の表面状態と表1に示されたワイヤボン
ディング性の結果との間の相関について調べた。用意し
ておいたワイヤボンディング後の各ホール素子100
個、電極数にして400個についてリン酸、過酸化水素
系のエッチャントを用い、電極金属およびボンディング
Auワイヤを同時に除去し、その後、微分干渉顕微鏡で
ワイヤボンディングされる電極下部のマイクロクラック
に対応したエッチピットの観察を行った。表2には観測
されたエッチピット密度を示した。
下部のInAs/GaAs界面変成層を除去した実施例
1の本発明のホール素子においては、相互拡散を起こし
た非常に高密度の結晶欠陥を有する変成層の影響がない
ことから、観測されたエッチピットは最も少ない。これ
に対して、比較例1のInAs/GaAs界面変成層が
除去されていない素子においては実施例1と比較して約
20倍のエッチピットが観察され、これはほぼ比較例2
の従来の構造のホール素子の場合と同程度であった。
ング性の結果と照らし合わせるとエッチピットが少ない
本発明の実施例1ではワイヤボンディング装置エラー停
止発生率は小さく、また、電極下部の界面変成層が除去
されていない比較例1、InAs薄膜上に電極を形成し
た従来の構造の比較例2ではエッチピット密度に伴って
ワイヤボンディング装置エラー停止発生率は増大してい
る。すなわちヘテロエピタキシャル成長した時のInA
s/GaAs界面変成層は極めて薄いが、この界面変成
層の格子不整合による高密度の格子欠陥がホール素子の
ワイヤボンディング性不良に深く関与しており、また、
逆にこの界面変成層を除去することが良好なワイヤボン
ディング性を実現するためには必須であることが確認さ
れた。
成したInSb薄膜を感磁層として用いたホール素子を
作製した例について、以下に説明する。
に、真空蒸着法を用いて、厚さ0.5μmのInSb薄
膜をエピタキシャル成長させた。
ワイヤボンディングされる電極下部のInSb/GaA
s界面変成層を除去するためのレジストパターンを形成
し、塩化第2銅、塩酸系のエッチャントを用いてエッチ
ングを行い、InSb/GaAs界面変成層を除去し
た。さらに、同様の方法でメッキ法によりCu層1.0
μm、Ni層0.25μm、Au層1.0μmからなる
電極を形成した上で、塩化第2銅、塩酸系のエッチャン
トを用いて電極の一部とInSb薄膜のエッチングを行
い、続いて、保護膜であるSi3 N4 を形成した上で、
ワイヤボンディングされる電極部上のSi3 N4 を除去
することで、ホール素子パターンを完成させた。
プに切断し、リード上にダイボンドした上で、自動ワイ
ヤボンダーでリードとホール素子の電極部をAuワイヤ
で接続し、樹脂モールドすることで、実施例1と同様の
構造のホール素子を作製した。
ングされる電極下部のInSb/GaAs界面変成層を
除去するために実施したエッチングにおいて、比較例3
においてはInSb/GaAs界面変成層がエッチング
除去できない熱塩酸をエッチャントとして用いて、他の
製造工程および条件は実施例2と同様に行うことで、比
較例となるホール素子を作製した。従って、比較例3に
おいてはワイヤボンディングされる電極下部のInSb
/GaAs界面変成層は除去されていない。
ングされる電極下部のInSb/GaAs界面変成層を
除去するために実施したエッチング工程を省略し、他の
製造工程および条件は実施例2と同様に行うことで、I
nSb薄膜上に電極が直接形成された比較例となる従来
の構造のホール素子を作製した。従って、比較例4にお
いてもワイヤボンディングされる電極下部のInSb/
GaAs界面変成層は除去されていない。
成したホール素子の組立試作テストにおいても、実施例
1と同様にワイヤボンディング装置エラー停止発生率と
装置稼働率を調べたが、実施例1と同様の傾向を示す結
果が得られた。
よれば、基板とヘテロエピタキシャル成長された半導体
薄膜との格子定数の異なる非格子整合系のエピタキシャ
ル薄膜を感磁層として用いた磁電変換素子において、ワ
イヤボンディングされる電極下部のヘテロエピタキシャ
ル成長界面の相互拡散を起こした非常に高密度の結晶欠
陥を有する変成層を除去することにより、界面の変成層
に起因したワイヤボンディング性不良という実製造上の
致命的な問題を解決し、量産製造可能な磁電変換素子を
提供することができる。
InAs/GaAs界面変成層を除去して作製したIn
Asホール素子の構造図であり、(a)は透過平面図、
(b)はa−a′部の透過断面図である。
製したInAsホール素子の構造図であり、(a)は透
過平面図、(b)はa−a′部の透過断面図である。
界面の相互拡散を起こした非常に高密度の結晶欠陥を有
する変成層の説明図である。
を示す説明図であり、(a)は具体例の平面図、および
a−a′部の断面図、(b)は具体例の平面図、および
b−b′部の断面図、(c)は具体例の平面図、および
c−c′部の断面図、(d)は具体例の平面図、および
d−d′部の断面図である。
面 11 InAs/GaAs界面変成層
Claims (3)
- 【請求項1】 絶縁性の基板上にヘテロエピタキシャル
成長された厚さ0.2〜1.4μmの感磁層となる半導
体薄膜とワイヤボンディング用の電極より成る磁電変換
素子において、ワイヤボンディングされる電極下部の半
導体薄膜が完全に除去されていることを特徴とする磁電
変換素子。 - 【請求項2】 電極がメッキ法により形成されているこ
とを特徴とする請求項1記載の磁電変換素子。 - 【請求項3】 絶縁性の基板上に厚さ0.2〜1.4μ
mの半導体薄膜をヘテロエピタキシャル成長させる工程
とワイヤボンディングされる電極が形成される半導体薄
膜の所定の部分を予め完全にエッチング除去する工程と
メッキ法により電極を形成する工程とホール素子形状に
エッチングする工程とを少なくとも含むことを特徴とす
る磁電変換素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27026595A JP3554621B2 (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 磁電変換素子とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27026595A JP3554621B2 (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 磁電変換素子とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09116213A true JPH09116213A (ja) | 1997-05-02 |
JP3554621B2 JP3554621B2 (ja) | 2004-08-18 |
Family
ID=17483850
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27026595A Expired - Lifetime JP3554621B2 (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 磁電変換素子とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3554621B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JP2005116828A (ja) * | 2003-10-08 | 2005-04-28 | Denso Corp | 磁気センサおよびその製造方法 |
-
1995
- 1995-10-18 JP JP27026595A patent/JP3554621B2/ja not_active Expired - Lifetime
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