JP3399057B2 - 磁電変換素子 - Google Patents

磁電変換素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化合物半導体材料を用い
た磁電変換素子、特にGaInAs混晶とInPとのヘ
テロ接合からなる新たな高性能ホール素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁界を検知しその強度を電気信号に変換
する、いわゆる磁電変換素子の一つとしてホール(Ha
ll)素子が知られている。ホール素子は磁場を印加し
た際の半導体内の電子の運動によって発生するホール電
圧を利用した一種の磁気センサーであり、回転検出など
産業界で既に多用されている。
【0003】ホール素子にはSi、Geなどの単体半導
体の他、InSb、InAsやGaAs等の III−V族
化合物半導体も使用されている。ホール素子に適する半
導体としては、微弱な磁界を高感度に検知可ならしめる
ため、大きなホール電圧を出力する物性が要求される。
ホール電圧はホール係数に依存し、また、ホール係数は
電子移動度に比例して増大する。従って、高いホール電
圧を発生するいわゆる高感度なホール素子を得るには、
高い電子移動度を顕現する半導体材料等がもっぱら使用
されている。
【0004】従来より高感度のホール素子としては、例
えばInSbやInAs半導体材料を用いたものが提案
されている(例えば、特開昭59ー13385参照)。
また、素子特性の温度による変化が小さく信頼性の高い
ホール素子としては、禁止帯幅が大きいGaAsを使用
したものが知られている(例えば、特開昭53ー207
82参照)。更に、電子移動度が高くまた禁止帯幅の比
較的大きなInAsSb、InGaAs等の3元系混晶
III−V族化合物半導体を、特性の温度依存性が小さく
且つ高感度なホール素子の材料に応用することも提案さ
れている(例えば、特開昭61−20378参照)。
【0005】近年、自動車エンジンの精密な回転制御、
検出等、高温環境下に於けるセンシング技術の必要性が
高まり、高いホール出力電圧を有し、且つ温度による素
子特性の変化が少ない高性能のホール素子が要望されて
いる。しかしながら従来からのホール素子に応用されて
いるInSbやInAsは禁止帯幅が小さく、温度依存
性が大きく自動車のエンジンルーム内の様に高温になる
環境下では、使用上信頼性に乏しい欠点があった。一
方、禁止帯幅が比較的大きく素子特性の温度依存性が少
ない従来からのGaAsホール素子は、電子移動度が小
さく発生するホール電圧が低いため高感度化するには困
難が伴っていた。
【0006】最近では従来と同様の III−V族化合物半
導体でも三種類の元素から構成されるヒ化ガリウム・イ
ンジウム(Gax In1-x As :xは混晶比を表す。)
三元混晶とリン化インジウム(InP)から構成される
ヘテロ接合を具備した、いわゆるGaInAs/InP
ヘテロ接合ホール素子が報告されるに至っている(例え
ば、奥山 忍 他、第53回秋季応用物理学会学術講演
会講演予稿集No.3,1992年、講演番号16a−
SZC−16、1078頁)。このGaInAs/In
Pヘテロ接合ホール素子は、特性の温度変化も比較的小
さく、且つまた室温電子移動度が極めて高いために優れ
た感度を有する新たなホール素子であるとされる。
【0007】確かにこのGax In1-x As とInPと
のヘテロ接合系は、最近に至り室温で高い電子移動度を
発現する報告がされており(例えば、小沼 賢二郎他、
第53回秋季応用物理学会学術講演会講演予稿集No.
1,1992年、講演番号18a−ZE−3、283
頁、或いはHilde Hardtdegen他、J.
Crystal Growth、Vol.116,19
92、p.p.521〜523.)、高感度のホール素
子を得るにあたっての新たな材料として注目されてい
る。
【0008】GaInAsホール素子に於いても、従来
のGaAsやInSb等のホール素子と同じく、素子製
作工程、例えば入力並びに出力用オーミック電極の形成
工程当の工程を経由して、結線のための端子を備えたフ
レーム(frame)上にマウントされ、フレームの端
子とホール素子の入・出力電極とを電気的に結線した
後、エポキシ樹脂等の半導体素子封止用の樹脂によりフ
レームの一部と同フレーム上にマウントされたホール素
子を囲繞し、外囲することによってモールド(mol
d)品となる訳である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヘテロ
接合の界面の物性がその素子特性を左右するGaInA
sホール素子にあっては、例えば上記のオーミック電極
の形成工程や封止用の樹脂による外囲、モールド工程等
の加熱工程を経た後に於いて、同ホール素子の特性に変
化を来すことが知られている。この特性変化は、主に重
要なホール素子の特性の一つである不平衡率の増大、積
感度の悪化となって現れ、本来の優れたGaInAsホ
ール素子の特性が損なわれる従来からの欠点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来の技術の
欠点に鑑み、InPとGaInAsとのヘテロ(異種)
接合をホール素子の感磁部として使用する場合に、高い
ホール電圧を出力でき、よって高感度で且つ特性の温度
変化が少ない高い信頼性を併せもつ新たなホール素子を
提供することを目的として検討を加た。その結果、In
Pエピタキシャル成長層とGax In1-x As エピタキ
シャル成長層とでヘテロ接合を形成するに際し、ヘテロ
界面にある特定の範囲の混晶比(x)を有するGax
1-x As 層を介在させることにより、かつまた当該G
aInAs層の混晶比xにも着目した結果、上記の目的
が達成されることを見出し本発明に至ったものである。
【0011】即ち、本発明の一つは、InP基板上に設
けた混晶比が0.37≦x≦0.57であるGax In
1-x As 層を具備してなるGaInAsヘテロ接合ホー
ル素子に於いて、該Gax In1-x As 層を混晶比xが
互いに異なる多層積層構造とすることによって、磁気感
応部の素子機能領域に素子化プロセス、特にその中の加
熱を伴う工程により掛かる熱歪等を緩和吸収せしめ、も
って高品位のGaInAsホール素子の安定供給に寄与
する新たな方法を提供するものである。さらに、リン化
インジウム(InP)と混晶比xが0.37以上で0.
57以下の範囲にあるヒ化ガリウム・インジウム(Ga
x In1-x As )からなるヘテロ接合を具備して成る磁
電変換素子であって、該Gax In1-x As 層は混晶比
xを互いに異にするGax In1-x As 多層積層体で構
成し、かつまた、当該InP層と直接接するGax In
1-x As 層のGa混晶比xを、それ以外の多積層を構成
するGax In1-x As 層のGa混晶比より小さくした
ヘテロ接合を具備してなることを特徴とすることによ
り、従来に無い高性能を有する磁電変換素子の提供を図
ったものである。もう一つの発明は、ヘテロ接合を構成
するGax In1-x As 層を、Ga混晶比xがInP側
から連続的に漸次増加した組成変化層によって構成した
ものである。
【0012】通常、ホール素子への応用を考慮した上記
Gax In1-x As /InPヘテロ接合の形成に当たっ
ては、半絶縁性を有する高抵抗のInP単結晶基板が使
用される。実用上は比抵抗が104 Ω・cm以上のIn
P単結晶を基板を用いるのが一般的である。これらの結
晶は液体封止チョクラルスキー(LEC)法や、最近で
は、VB法と称される垂直ブリッジマン法等により容易
に製作でき、本発明の様なGaInAs/InPヘテロ
接合を設けたホール素子にとって、その母体材料となる
InP単結晶基板の成長法が製造上の制約条件となる恐
れはない。
【0013】これらInP単結晶基板上にInPエピタ
キシャル層とGax In1-x As エピタキシャル層とに
よりヘテロ接合を形成する際には、InP層とGax
1- x As 層との積層順序に特に制限はないが、高品質
のGax In1-x As 層を得るには、先ずInP基板上
に緩衝層としてInPエピタキシャル層を堆積せしめ、
然る後にGax In1-x As 層をエピタキシャル成長さ
せるのが一般的である。この緩衝層を設けることによ
り、例えば基板からのFe等の不純物のエピタキシャル
成長層への拡散を抑制できるなどの効果が得られる。か
つまた基板に存在する結晶欠陥等のエピタキシャル成長
層への伝幡を抑制するなどの効果を生じるため、電子移
動度の向上をもたらし、もってホール素子の感度上昇を
招くなどの利点がある。もちろん、緩衝層を省略しても
良いことは言うまでもない。
【0014】上記のヘテロ接合を構成するInP層並び
にGax In1-x As 層のエピタキシャル成長方法には
特に制限はなく、液相エピタキシャル成長法(LPE
法)、分子線エピタキシャル成長法(MBE法)や有機
金属熱分解気相成長法(いわゆるMOCVD法もしくは
MOVPE法)に加え、MBE法とMOCVD法双方を
複合させたMO・MBE法などがある。しかし、現状で
はInPの成長にはもっぱらMOCVD法が多用されて
おり、特にInの出発原料として結合価が1価のシクロ
ペンタジエニルインジウム(C55 In)を使用する
常圧(大気圧)MOCVD法では、高品位のInP並び
にGaInAsなどのエピタキシャル成長層を得ること
ができる。また、InP層を例えばMOCVDで成長さ
せ、Gax In1-x As 層はMBE法で成長させるな
ど、双方で成長方法を異にしても支障は無い。勿論、前
記Gax In1-x As 多積層の堆積にあっても、唯一の
成長法で当該多積層を設ける必要はなく、層毎に成長方
法を異にしても本発明の効果は得られる。
【0015】また、前記Gax In1-x As 層の混晶比
xについては、0.37≦x≦0.57、好ましくは
0.45≦x≦0.50とする。何故ならば、組成がI
nPに格子整合する混晶比x=0.47からずれるに伴
い、GaInAsとInPとの格子定数の差、即ち格子
不整合も顕著となり、多量の結晶欠陥等を誘発し電子移
動度の低下をもたらし、ホール素子の特性上積感度の改
善に多大な支障を来す。格子不整合の許容限界から混晶
比の範囲を限定した。
【0016】更に、本発明者は上記の規定された範囲に
ある混晶比を持つGax In1-x As とInPとのヘテ
ロ接合の構成について鋭意検討した。その結果、InP
層上に特定の混晶比xを有するGax In1-x As の単
一層を堆積させてヘテロ接合を構成した場合に比べ、混
晶比xを変化させたGax In1-x As エピタキシャル
層を堆積させてヘテロ接合を構成することにより、更な
る電子移動度の向上が果たされることを見出した。その
場合、Gax In1-x As 層は混晶比xの異なる多層構
造であっても良いし、混晶比xが連続的に変化する構造
のものであっても良い。
【0017】混晶比の異なる多層構造とする場合、混晶
比の異なる二つの層であるGay In1-y As 層とGa
z In1-z As 層(ただし、y≠z)とを交互に繰返し
ても良いし、混晶比xの異なる各層をランダムに配置し
たものであっても良い。
【0018】二層を交互に積層する場合にあっては、二
層の混晶比y,zは0.90≦y+z≦1.0とする必
要がある。なぜならば、GaInAs層の混晶比は平均
して0.47に近づき、基板であるInPと格子整合し
易くなるからである。多層構造とする場合にあっても同
様で、各層の混晶比は平均してInPの格子定数に近づ
くように、すなわち 0.45≦(x1 +x2 +・・・+xn )×1/n≦0.50・・・(1) を満たすようにすべきである。
【0019】多層積層構造にする場合は(n)番目に堆
積させた堆積層の混晶比を仮に、xn とすると、当該
(n)番目の層を被堆積層とする(n+1)番目の層の
混晶比xn+1 が(n)を正の正数とする次の関係式
(2) xn ≦xn+1 ・・・・・ (2) を満たす様に混晶比が順次増加する複数のGaxnIn
1-xnAsを設けることにより、格段の高移動度化がもた
らされる。多層とは通常2〜5層とする。また、上記の
ような多層構造に代えてGax In1-x As 層の混晶比
xをInP側から漸次増加させる組成変化層で構成して
も、同様の効果が得られた。また、この様な混晶比が異
なるGax In1-x As 層を設ける場合、InP層と直
接接する部分のGax In1-x As 層の混晶比を、0.
47に最も近づけることに重要な意義がある。
【0020】また、本発明に係わる、上記Gax In
1-x As 層の膜厚については特段の制限はない。但し、
ホール素子の実際の製作に当たっては、素子間を電気的
に絶縁するためメサエッチングと称する特定領域の結晶
層の除去のための工程を採用するが、この際、素子間絶
縁のためにエッチングにより除去すべき導電層の膜厚、
とりもなおさずエピタキシャル成長層の全体的な厚みが
増すと、必然的にエッチングに要する時間の増大を伴
い、結晶方位に因るエッチング量並びにエッチング形状
に顕著な差異を生じさせる。このことがしいてはホール
素子の重要な特性の一つである不平衡率の増大をもたら
し、素子特性の高品位化を妨げると共に良品素子収率の
低下を招く。更に、上記Gax In1-x As 層の膜厚を
単純に増大させたると、当該層上に、例えば、InP層
やGax In1-x As 層を設ける場合にあっては結晶性
を悪化させかねない。従って本発明に記す構造を構成す
るにあたっては、その構成要素である各々のGax In
1-x As 層の膜厚を、約0.5nmから約20nmとす
るのが好ましく、また本発明に係わるGax In1-x
s 層の積層の合計の厚さは約100nmから約500n
mとすると好結果が得られる。
【0021】以上記載の如く、本発明に依れば容易に入
手可能な結晶基板を用い、InP層に直接接する混晶比
xを最小にし、漸次混晶比xを増大させたGax In
1-x As 層を設けてなる様なヘテロ接合を構成すること
により、従来にない高感度特性を有する磁電変換素子が
得られ、産業界に於ける高精度センシング技術の更なる
進歩をもたらす幅広い効果をもたらす。
【0022】
【作用】本発明はInPとヘテロ接合を構成するGax
In1-x As 層のGa混晶比xを変化させ、電子の閉じ
込め効果を利用して電子の高移動度化をはかったもので
ある。
【0023】
【実施例】以下、本発明を4つの実施例を基に具体的に
説明する。 (実施例1)図1は本発明に係わるヘテロ構造の一例を
示す断面図である。図1の(101)は、当該ヘテロ接
合を形成するにあたり基板として使用した鉄(Fe)を
添加してなる面方位(100)の半絶縁性のInP単結
晶である。本実施例では、比抵抗が約107 Ω・cmの
結晶を用いたが、上記の結晶の面方位や比抵抗もホール
素子の製作プロセス、結晶層の成長方法等を勘案し、適
宣選択すれば良い。同図中(102)は結晶基板(10
1)上にC55 InをIn源とする常圧のMOCVD
法で成長させた膜厚が約100nmの無添加(アンドー
プ)InPエピタキシャル結晶層である。更に、InP
層(102)上に混晶比が0.42で約20nmの膜厚
を有するGa0.42In0.58Asエピタキシャル層(10
3−1)を上記の常圧MOCVD成長法で設けた。次
に、混晶比0.47のGa0.47In0.53Asエピタキシ
ャル層(103−2)を厚さ400nmで成長させ、混
晶比の異なる計2層のGaInAs層とInP層とでヘ
テロ接合を構成した。上記エピタキシャル層(102〜
103)は全てMOCVD法で成長させたが、前述の如
く常圧法であっても減圧方式でも良く、In源もC5
5 Inに限らないばかりか、MBE、MO・MBE法等
他の成長方法を採用しても支障はない。この様な構造の
ウエ−ハを公知のフォトリソグラフィー法並びにエッチ
ング法を駆使して、ホール素子を得るべく適宣プロセス
上の加工を施した。然る後、入力用並びに出力用電極と
なすべくゲルマニウムを約13重量%で含有する金−ゲ
ルマニウム(Au−Ge)合金を真空蒸着せしめ、その
後、電極材料を被着させた上記ウエハを温度420℃
で、時間3分間熱処理せしめ、当該電極をオーミック電
極(104)とした。尚、本実施例では上述の様にオー
ミック電極材料としてGeを13重量%含んでなるAu
−Ge合金を使用したが、当然のことながらAu−Ge
合金のGe含有量は当該含有量に限定されることはな
く、またAu−Ge以外の金属材料等を使用しても差し
つかえない。
【0024】(比較例)また、電気特性を比較をするた
め上述と同様の手法にて、従来からの単純なGaInA
s/InPヘテロ接合を有する構造のウエハも製作し
た。図2にその構造の断面図を概略的に示す。図2中
(201)は基板として用いたInP単結晶基板であ
る。同基板の仕様は上記実施例1と同一である。先ずこ
の基板(201)上に上記と同じくアンドープのInP
エピタキシャル層(202)を成長させた。然る後、混
晶比が0.47と一定のGa0.47In0.53Asエピタキ
シャル層(203)を堆積させ、InP層(202)と
単一の混晶比を有するGaInAs層とでヘテロ接合を
形成した。(204)は最表面のGaInAs層(20
3−2)上に形成した入・出力用オーミック電極を示
す。尚、膜厚、キャリア濃度共に前記実施例1の本発明
に係わる構造を有する場合と、±5%程度の測定上の誤
差範囲内で同一とした。
【0025】上述の如く作成したホール素子を電気的な
特性評価に供した。第1表に評価した項目と特性値につ
き、本発明に係わる場合と従来例とを対比させて示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示す如く、本発明に係わる場合にあ
っては、入力抵抗、出力抵抗共に従来例の構造に因るホ
ール素子に比較し低下している。更に、素子状態で測定
される電子移動度は、本発明により更に約20%も向上
した。これにより表1に示す様に素子の積感度に於いて
は移動度の上昇に正しく比例して、約1.2〜1.4倍
の向上が果たされ、本発明による効果が歴然と顕現され
ている。
【0028】(実施例2)上記実施例1と同じくInP
単結晶基板を用いてはいるものの、GaInAs層の堆
積数が異なる場合のホール素子の特性例を実施例2とし
て掲げる。図3は実施例2に係わるヘテロ接合構造の断
面を概略的に示す図である。同図中(301)は基板と
して使用したFeを添加してなる比抵抗が約107 Ω・
cmの高抵抗InP単結晶基板である。面方位は前記実
施例1と同様(100)であるが、前述の如く面方位、
比抵抗共にこれに限定されるものではない。この基板
(301)に膜厚が約100nmでキャリア濃度が2×
1015cm-3のアンドープのInP層(302)を成長
させた。ここまでは前記実施例1と同一にした。然る
後、混晶比が0.42であるGa0.42In0.58As層
(303−1)を厚さ約20nmにわたって成長させ
た。次に混晶比が0.44である厚さ約10nmのGa
0.44In0.56As層(303−2)を、引続き混晶比が
0.46である厚さ約10nmのGa0.46In0.54As
層(303−3)を順次堆積した。更に最上層として実
施例1に記した混晶比0.47を有すGa0.47Ino.53
As層(303−4)を実施例1と同一の膜厚とキャリ
ア濃度をもって設け、上記InP層(302)からGa
0.47In0.53As層(303−4)に至る迄混晶比が段
階的にあたかも連続的に緩やかに変化する様にした。
【0029】上記ヘテロ構造のウエハの最表面を、公知
のフォトリソグラフィー法並びにエッチング法により所
望の加工を施した後、前述のAu−Ge合金を真空蒸着
法により被着せしめ、実施例1と同様の熱処理をし、オ
ーミック性を有する入・出力電極(304)を構成し
た。尚、Au−Ge合金のオーミック化のための熱処理
条件は、本実施例に記載の温度、時間の条件に限定され
るものではない。
【0030】このウエ−ハを母体材料とし、チップサイ
ズが350μmのホ−ル素子を作成した。直径50mm
の円形のウエーハに約12、000個の素子が形成でき
たが、それらの中から良品チップを選択し電気的な特性
評価に供した。第2表に実施例2に係わるヘテロ構造を
有する良品ホール素子の特性値を掲げる。併せて同表に
は前述の従来からの単純なヘテロ接合からなるホール素
子の特性値を示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2に掲げる特性値から明瞭に判断される
様に、本発明に係わるヘテロ接合を設けることによりホ
ール素子の特性を大きく左右する積感度は明らかに改善
されている。
【0033】(実施例3)本実施例では、InP層とG
aInAs層とでヘテロ接合を形成するにあたり混晶比
を連続的に変化させたGax In1-x As 層を挿入した
例を述べる。図4に当該構造の断面を模式的に示す。
(401)は基板として用いたFeを添加してなる比抵
抗が約107 Ω・cmの半絶縁性InP単結晶である。
該基板(401)に膜厚約100nmのアンドープのI
nP層P(402)を成長させた。次に該InP層(4
02)上に混晶比を0.42から0.47に至る迄成長
方向に連続的に変化させたGax In1-x As 層(40
3−1)を膜厚約400nmで堆積した。然る後、混晶
比xが0.47のGa0.47In0.53As (403−2)
を実施例1と全く同一の条件下で成長させた。
【0034】前述の如くの手順によりGa0.47In0.53
As 層(403−2)上にオーミック入・出力電極(4
04)を形成し,ホール素子を試作して従来例によるホ
ール素子とで特性を比較した。前例と同じくやはり約2
0%の電子移動度の向上が認められ、結果として従来の
ホール素子に比較し1.2倍程度の積感度の向上が果た
せた。尚、入・出力抵抗は従来のホール素子に比較し若
干の低下が見られる程度の主要諸特性には顕著な差は生
じなかった。
【0035】(実施例4)図5は本発明に係わるGaI
nAsホール素子の模式的な平面図の一例を示す。また
図6は図5に掲げるホール素子の破線A−A’に沿う断
面の模式図である。図6の(101)は、当該ホール素
子用の母体材料を形成するにあたり、基板として使用し
た鉄(Fe)を添加してなる面方位が(100)の半絶
縁性のInP単結晶である。当該基板結晶の厚みは約3
50μmであった。本実施例では、比抵抗が約107 Ω
・cmの結晶を用いた。
【0036】同図中(602)は結晶基板(101)上
にC55 InをIn源とする常圧のMOCVD法で成
長させた混晶比が0.04のGa0.04In0.96As層で
ある。この層(602)の膜厚は約8nmとした。キャ
リア濃度は≦1016cm-3であった。同層(102)の
上には、混晶比を0.90としたGa0.90In0.10As
(603)を堆積させた。同層のキャリア濃度をホール
効果測定法により求めたところ、≦1015cm-3であっ
た。また、膜厚は9nmとした。これらの組み合わせか
らなる積層を2周期分堆積させ、積層構造となした。
【0037】次に、上記の場合の積層構造の最表面であ
るGa0.90In0.10As層(603)の上に混晶比が
0.47で、約400nmの膜厚を有するn形の伝導を
呈するGa0.47In0.53Asエピタキシャル層(60
4)を、上記の常圧MOCVD成長法で設けた。この層
(604)のキャリア濃度をホール効果法により測定し
たところ、2.0×1016cm-3であった。
【0038】この様な構造のウエ−ハを公知のフォトリ
ソグラフィー法並びにエッチング法を駆使して、ホール
素子を得るべくメサ加工等のプロセス上の加工を施し
た。然る後、入力用並びに出力用電極となすべくゲルマ
ニウムを約13重量%で含有する金−ゲルマニウム(A
u・Ge)合金を真空蒸着せしめ、その後、電極材料を
被着させた上記ウエハを温度420℃で、時間3分間熱
処理せしめ、オーミック性電極(605)を形成した。
【0039】次に、素子化されたウエハの表面は通常の
プラズマCVD法によるSiO2 絶縁膜(606)で被
覆した。SiO2 膜(606)の厚さは約300nmと
した。次に、電極部(605)及びホール素子を個別に
分離するために、ダイシングライン(607)に相当す
る部分を被覆しているSiO2 膜(606)を無機酸に
より除去した。また、ダイシングを容易ならしめるた
め、単結晶基板(101)の裏面を塩酸水溶液でエッチ
ングし、初期厚さが350μmの素子を形成してなるウ
エハを約130μmの厚さとなる迄、同水溶液中に静置
しておいた。この裏面エッチング後、ダイシングライン
(607)に沿ってダイシングを施し、個別チップとな
した。チップサイズは、ホール素子にとっては極く一般
的な350μm×350μmとした。次に、当該チップ
を一般的な外囲用エポキシ樹脂で囲繞し、外囲した。外
囲プロセスに要した最高の温度は190℃である他、本
実施例に限り、特異な温度条件、プロセス条件をもって
外囲しているのではない。
【0040】上記の如く作成したホール素子を電気的な
特性評価に供した。表3に評価した項目と特性値につ
き、本発明と従来例に係わる場合とを対比させて示す。
従来例とは前記した積層構造を挿入してないが、それ以
外は上述と全く同一の工程を経て製作されたGaInA
sホール素子を指す。表3に示す如く本発明に係わる新
たなホール素子と従来のホール素子では、室温での電子
移動度、従って積感度に顕著な差異が認められ、本発明
の優位性が示された。本発明者が鋭意、この差異の原因
につき検討、解析を加えた結果からは、特性の変動の大
小はホール素子の素子化に伴い、ある熱的環境下に素子
が曝されることによって被る熱衝撃、熱応力を吸収する
程度、能力の差に大きく依存することが判明し、本発明
に依る積層構造を備えた場合にあっては、従来例に見ら
れる構造に比較し、熱応力を緩和する能力に優れる故
に、素子特性の変動を抑制出来たものと解釈された。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上述べた如く、InPとヘテロ接合さ
せるGaInAsを堆積させるに際し、その混晶比を特
定することでホール素子の感度を著しく向上させる効果
をもたらし、従来に無い極めて高感度なホール素子を提
供出来る。また、本発明に依りこの様な高感度を顕現で
きたことによって、従来精度の不足が言われていた例え
ば微小領域に於ける高精度の磁界測定、或はまた、回転
体の精密回転制御等を可能ならしめるなど、産業界に於
けるセンシング技術の発展に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるヘテロ接合構造の断面を概略的
に示す図である。
【図2】従来のホール素子用ウエ−ハの断面を概略的に
示す図である。
【図3】本発明の実施例に係わる構造の断面を模式的に
示す図である。
【図4】本発明の他の実施例に係わる構造の断面を模式
的に示す図である。
【図5】本発明の他の実施例に係わるホール素子の平面
模式図である。
【図6】図5のホール素子の構造の断面模式図である。
【符号の説明】
(101)・・・・InP半絶縁性単結晶基板 (102)・・・・InPエピタキシャル成長層 (103−1)・・混晶比0.42のGa0。42In0.58
As層 (103−2)・・混晶比0.47のGa0.47In0.53
As層 (104)・・・・オーミック電極 (201)・・・・半絶縁性InP単結晶基板 (202)・・・・InPエピタキシャル成長層 (203)・・・・Ga0.47In0.53As層 (204)・・・・オーミック電極 (301)・・・・半絶縁性InP単結晶基板 (302)・・・・InPエピタキシャル成長層 (303−1)・・混晶比0.42のGa0.42In0.58
As層 (303−2)・・混晶比0.47のGa0.47In0.53
As層 (303−3)・・混晶比0.46のGa0.46In0.54
As層 (303−4)・・混晶比0.47のGa0.47In0.53
As層 (304)・・・・Au−Geオーミック電極 (401)・・・・InP半絶縁性単結晶基板 (402)・・・・InPエピタキシャル成長層 (403−1)・・混晶比を連続的に変化させたGaI
nAs層 (403−2)・・混晶比0.47のGa0.47In0.53
As層 (404)・・・・オーミック性電極 (602)・・・・混晶比0.04のGa0.04In0.96
As層 (603)・・・・混晶比0.90のGa0.90In0.10
As層 (604)・・・・混晶比0.47のGa0.47In0.53
As層 (605)・・・・オーミック性電極 (606)・・・・SiO2 絶縁膜 (607)・・・・ダイシングライン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 良一 埼玉県秩父市大字下影森1505番地 昭和 電工株式会社 秩父工場内 (72)発明者 臼田 雅彦 埼玉県秩父市大字下影森1505番地 昭和 電工株式会社 秩父工場内 (72)発明者 松沢 圭一 埼玉県秩父市大字下影森1505番地 昭和 電工株式会社 秩父工場内 (56)参考文献 特開 昭60−198877(JP,A) 特開 平2−192737(JP,A) 特開 平5−275767(JP,A) 1992年秋季第53回応用物理学会学術講 演会講演予稿集,No.3,p.1078 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/06 H01L 21/338 H01L 29/778 H01L 29/812 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン化インジウム(InP)基板上にリン
    化インジウムとヒ化ガリウム・インジウム(GaxIn
    1-xAs)から成るヘテロ接合を具備したホール素子に
    おいて、ヒ化ガリウム・インジウム層が混晶比x,yの
    異なるGaxIn1-xAsとGayIn1-yAsとの積層構
    造から成ることを特徴とするホール素子。
  2. 【請求項2】リン化インジウム(InP)と混晶比xが
    0.37以上で0.57以下の範囲にあるヒ化ガリウム
    ・インジウム(GaxIn1-xAs)からなるヘテロ接合
    を具備して成るホール素子であって、GaxIn1-xAs
    層は混晶比xを互い異にする多層積層体で構成され、か
    つまた当該InP層と直接接するGaxIn1-xAs層の
    混晶比がGaxIn1-xAs積層体を構成する他のGax
    In1-xAs層の混晶比以下であることを特徴とするホ
    ール素子。
  3. 【請求項3】リン化インジウム(InP)及び混晶比x
    が0.37以上で0.57以下の範囲にあるヒ化ガリウ
    ム・インジウム(GaxIn1-xAs)からなるヘテロ接
    合を具備して成るホール素子に於て、ヘテロ接合を混晶
    比xをInP側から漸次増加させてなるGaxIn1-x
    s層とInP層とで構成したことを特徴とするホール素
    子。
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