JP2597105Y2 - ホール素子 - Google Patents

ホール素子

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JP2597105Y2
JP2597105Y2 JP1993011846U JP1184693U JP2597105Y2 JP 2597105 Y2 JP2597105 Y2 JP 2597105Y2 JP 1993011846 U JP1993011846 U JP 1993011846U JP 1184693 U JP1184693 U JP 1184693U JP 2597105 Y2 JP2597105 Y2 JP 2597105Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】III−V族化合物半導体異種接合
(ヘテロ接合)を具備してなるホール素子に係わり、特
に高精度の回転センサー、電流センサーや磁界測定子な
ど高い感度特性を有するホール素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁界を検知しその強度に応じて電気信号
を発生する、いわゆる磁電変換素子の一つとしてホール
(Hall)素子が知られている。このホール素子は磁
場を印加した際に、ホール素子を構成する半導体内の電
子の運動によって発生するホール(Hall)電圧を被
検知量とする一種の磁気センサーであり、磁気を検出媒
体とする回転、位置検出センサー或は電流センサー等と
しての他、磁界強度測定用の測定子(プローブ;probe)
などとして応用され産業界の広範囲に亘り利用されてい
る。
【0003】ホール素子用の半導体材料としてはシリコ
ン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの元素半導体の
他、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジ
ウム(InAs)やヒ化ガリウム(GaAs)等の元素
周期律表の第 III族に属する元素と、同じく第V族に属
する二つの元素を化合させてなる III−V族2元化合物
半導体も使用される。しかし、従来の化合物半導体から
なるホール素子を見れば、用いる半導体の物性に依って
ホール素子の特性上に一長一短が存在する。例えば、G
aAsから成るホール素子はGaAs半導体のバンドギ
ャップが比較的大きい事により素子特性の温度変化は少
ないものの、逆に移動度が多少低いため積感度はInS
bから成るホール素子に比較し低いという欠点がある。
一方、InSbホール素子はInSb半導体のバンドギ
ャップが低いため特性の温度変化は大きいが、高い積感
度が得られる利点を有している。
【0004】最近では、自動車エンジンの精密な回転制
御等、高温環境下に於ける精密センシング技術の必要性
が高まり、高いホール電圧を出力する能力を有し、且つ
温度による素子特性の変化を低く抑制した新たな高性能
ホール素子が要望されるに至っている。ここで、ホール
電圧は半導体材料のホール(Hall)係数に依存し、
ホール係数が大きい程ホール電圧の出力能力は高い。ま
た、このホール係数は半導体材料の電子移動度に比例し
て増加する。従って、高いホール出力電圧を得るには、
即ち高感度なホール素子を得るには高い電子移動度を発
現する半導体材料を使用する必要がある。
【0005】このため、産業界からの高性能ホール素子
の要望と相まって半導体材料の物性面からの検討も進
み、極く最近では従来と同様の III−V族化合物半導体
でも三種類の元素を混合させてなるヒ化ガリウム・イン
ジウム(GaInAs)三元混晶とリン化インジウム
(InP)から構成されるヘテロ接合を、InP単結晶
基板上に具備した材料を高感度ホール素子の材料として
応用する試みもなされている(奥山 忍他、1992年
秋季第53回応用物理学会学術講演会予稿集No.3
(1992年応用物理学会発行)、16a−SZC−1
6、1078頁)。このホール素子は特性の温度変化も
比較的小さく、且つまた室温における電子移動度が極め
て高いために従来にない優れた積感度をもたらす。
【0006】使用されている材料に拘らず、一般的なホ
ール素子となすには感磁部とする半導体材料に所望の加
工を施し、互いに直交してなる十字形の形状、いわゆる
ホールクロス(Hall cross)を形成する。このホールク
ロスの各端部に駆動用の電力を供給するための入力用電
極、並びにホール(Hall)電圧を出力するための出
力用電極を形成する訳である。従来から、これらの電極
は入力用、出力用の電極に拘らず同一の種類の金属材料
から構成されるのが通例である。例えば、GaAs半導
体を感磁部とするGaAsホール素子にあっては、通例
としてn形の伝導を呈するGaAs材料を利用している
ことに対応して、金(元素記号:Au)とゲルマニウム
(元素記号:Ge)とからなるAu・Ge合金によって
電極が構成される。また、電極の形状を見るに、入力用
と出力用電極とでは若干の差異を設ける場合が有るが、
いずれにしてもいわゆる「べた」電極が通例である。旧
来からのホール素子の電極形状についてより鮮明に理解
を促すため、図5に従来のホール素子の平面を模式的に
示す。
【0007】この様な従来からの「べた」電極が占有す
る接触面積を数値的に探るに、前項で述べた電極が形成
される領域を含むホールクロスを形成する半導体結晶層
の全表面積の概ね40%から70%となっているのが通
例である。
【0008】上記の如く電極用合金は、通常真空蒸着法
などのプロセス手法により被着され、然る後、アロイン
グ(alloying)と称される熱処理を施してオーミック特
性を電極に付与する。Au・Ge合金の場合、このアロ
イングは温度にして400〜500℃の範囲で、時間に
して数分から数十分間の条件下で行われる。極く最近に
なって開発されるに至った上記のホール素子に於いても
事情は変わらず、オーミック性電極はAu・Ge合金か
らなる図5に示す様な「べた」形状であり、従来のGa
Asホール素子の場合とほぼ同様の条件下でアロイング
を施されているのが現状である。
【0009】しかしながら、最近試作されるに至ったホ
ール素子にあっては、このオーミック性電極の形成のた
めのアロイングを施すことにより、感磁部となるGaI
nAs結晶層の電子移動度が極端に低下することが本考
案者によって新たに明確となって来た。この様な電子移
動度の低下はホール素子の積感度に直接影響を与え、結
果的には積感度の大幅な悪化をもたらし、高感度GaI
nAsホール素子の安定的な供給を阻害するに至ってい
る。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】本考案は係る事態を克
服すべくなされたもので、入・出力電極にオーミック性
を付与する際に実施されるアロイングにより生ずる感磁
部結晶層の電子移動度の低下の原因を明確にし、もって
高感度の III−V族化合物半導体ホール素子を安定して
供給する新たな手段を提供することを課題とする。
【0011】本考案者は上記の点に鑑み、アロイング時
に於けるGaInAs感磁部結晶層の電子移動度の低下
の原因を鋭意検討した結果、この電子移動度の低下は当
該感磁部層の上に載置されてなるオーミック電極の平面
接触面積に強く依存することが判明した。即ち、従来の
如くの「べた」電極にあっては感磁部領域との接触面積
も多大となり、電子移動度がきわめて大きく低下すると
いう実験事実を基に、電子移動度の低下を防止できる電
極構造として、従来の「べた」電極の如く大きな接触面
積を有する電極ではなく、感磁部状に載置される入・出
力電極の専有面積を、半導体感磁部層の表面積の5%以
上30%以下の直線状もしくは曲線状の線状電極にする
ことにより減少させた。ここで感磁部状に載置される入
・出力電極の専有面積とは、十字をなすヘテロ接合部上
に重なる電極の専有面積である。また、半導体感磁部層
の表面積とは、十字をなすヘテロ接合部の面積を指す。
これによりアロイングのための熱サイクルによって電極
となる金属材料と感磁部となる半導体材料との熱膨張の
差に起因し、感磁部層内に誘発され発生する歪みの量を
低減し、もってGaInAs感磁部結晶層の電子移動度
の低下を防止するものである。
【0012】通常、GaInAs/InPヘテロ接合ホ
ール素子の形成に当たっては、半絶縁性を有する高抵抗
のInP単結晶基板が使用される。実用上は比抵抗が1
6Ω・cm以上のInP単結晶基板を用いるのが一般
的であり、これらの結晶は液体封止チョクラルスキー
(Liquid Encapsulated Czochralski;LEC)法や、最
近ではVB(Vertical Bridgman )法と称される垂直ブ
リッジマン法等により容易に製作できる。また、Fe添
加InP単結晶中のFe不純物が結晶層の電子移動度等
の電気的特性に与える悪影響が懸念される場合にあって
は、例えばInP単結晶を塩酸等により溶解し、純水な
どで定溶とし原子吸光分光分析法や高周波誘導アルゴン
プラズマ分光分析法などの湿式機器分析法、或は2次イ
オン質量分析法など物理機器分析法等によりFe不純物
の濃度を定量分析し、所望のFe濃度を有する結晶を選
択すれば事足りる。
【0013】このInP単結晶基板上に感磁部層となす
n形GaX In1-X As層を形成するが、通常は感磁部
とするGaInAs層に高い電子移動度を保持させるた
めに、InP単結晶基板からのFe不純物のGaInA
sエピタキシャル成長層への拡散の抑制などを期して、
先ずInP単結晶基板上にInPをバッファ(buffer)
層として堆積するのが一般的である。このバッファ層を
設けることにより結晶欠陥等のエピタキシャル成長層へ
の伝幡を抑制するなどの効果を生じるため、GaInA
s層の電子移動度をいたずらに低下させずに、GaIn
Asホール素子の高感度特性を保持できるなどの利点を
招く。
【0014】上記のInPバッファ層並びにGaInA
s層の成長方法には特に制限はなく、液相エピタキシャ
ル成長法(Liquid Phase Epitaxial;LPE法)、分子
線エピタキシャル成長法(Molecular Beam Epitaxial;
MBE法)や有機金属熱分解気相成長法、いわゆるMO
VPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxial;MOC
VD法とかOMVPE法とも呼ばれる場合もある。)、
或はまたMOVPEとMBE双方を複合させたMO・M
BE法などが適用できると考えられる。しかし、現状で
は蒸気圧が比較的高いリン(P)を含むInP等の半導
体薄膜の成長には、MBE法よりも化学量論的な組成制
御性の観点からもっぱらMOVPE法が多用されてお
り、特にInの出発原料として結合価が1価のシクロペ
ンタジエニルインジウム(C55 In)を使用するM
OVPE法では、従来困難とされていた常圧(大気圧)
下に於いても高品位のInP並びにGaInAsなどを
得ることができる。また、InP層を例えばMOVPE
法で成長させ、Pを含まないGaX In1-X As層はM
BE法で成長させるなど、層毎に成長方法を異にしても
支障は無く、唯一の成長法で当該ヘテロ接合を形成する
各層を設ける必要はなく、層毎に成長方法を異にしても
良いのは勿論である。
【0015】また、前記GaX In1-X Asの混晶比x
については、0.37≦x≦0.57とするのが望まし
い。何故ならば、InPに格子整合するGaX In1-X
Asの混晶比であるx=0.47から混晶比がずれるに
伴い、GaX In1-X AsとInPとの格子定数の差、
即ち格子不整合度も顕著となり多量の結晶欠陥等を誘発
し結晶性の低下を招くばかりか、電子移動度の低下等の
電気的特性をも悪化させ、ホール素子の特性上、積感度
の改善に多大な支障を来すからである。
【0016】また、本考案に係わる上記GaX In1-X
As層の膜厚については特段の制限はない。但し、ホー
ル素子の実際の製作に当たっては素子間を電気的に絶縁
するためメサエッチングと称する特定領域の結晶層を除
去するための工程が一般的に採用されるが、この際、素
子間絶縁のためにメサエッチングにより除去すべき導電
性を呈する層の膜厚、とりもなおさずエピタキシャル成
長層の全体的な厚みが増すと必然的にメサエッチングに
要する時間の増大を伴い、結晶方位に因るエッチング量
並びにエッチング形状に顕著な差異を生じさせる。この
ことがしいてはホール素子の重要な特性の一つである不
平衡率の増大をもたらし、素子特性の高品位化を妨げる
と共に良品素子収率の低下を招く。従って、本考案に記
すヘテロ構造を構成するにあたっては、その構成要素で
あるGaX In1-X As層やInP層の合計の膜厚をお
およそ5μmより薄く設定すると好結果が得られる。
【0017】上述の如く、InP単結晶基板上に成長さ
せたInPバッファ層及びGaInAs感磁部層から構
成されるエピタキシャルウエハを母体材料とし、GaI
nAsホール素子を制作する。この製作に当たっては公
知のフォトリソグラフィ技術、エッチング技術等の加工
技術を駆使し、ホール素子としての機能を発揮するGa
InAs感磁部層並びにInPバッファ層にいわゆるメ
サ(mesa)エッチングを施し、当該素子機能領域を
メサ状に加工する。このメサ加工に際し、十字形に交差
する2つの半導体薄メサ層は、各々互いに直交する<
0,−1,1>並びに<0,−1,−1>方向に平行に
設けた。ここでメサ構造を得る方法につきここで説明を
加えるに、先ず該母体材料の最表面であるGaX In
1-X As感磁部層の表面に一般的なフォトレジスト材を
塗布し、その後、通常のフォトリソグラフィー技術によ
り感磁部及び入力用並びに出力用電極の形成領域のみの
該レジスト材を残存させ、それ以外の領域に有るレジス
ト材は剥離除去する。しかる後、無機酸を用いてGaI
nAs感磁部層に対してエッチングを施す。このエッチ
ングによりフォトレジスト材が除去された領域にあるG
aInAs層はGaInAsに対しエッチング作用を有
する無機酸に曝され、当該領域に有るGaInAs結晶
は選択的に除去され、感磁部及び電極形成領域のみがメ
サ状に残存することとなる。更に、深さ方向のエッチン
グを進行させ、このGaInAs感磁部層の直下に存在
するInPバッファ層の部分をエッチングにより選択的
に除去する。このエッチングにより電極形成部及び感磁
部領域の鉛直方向の断面は、それを<0,−1,1>と
<0,−1,−1>の互いに直交する方向から見れば<
0,−1,1>の方向の断面は台形状、いわゆる順メサ
形状の断面となり、逆に<0,−1,−1>結晶軸方向
にあっては逆台形のいわゆる逆メサの断面を持ち合わせ
ることとなる。電気的に見ればこのメサエッチングによ
り電極形成部並びに感磁部領域からなる素子機能部の絶
縁性を確保できることとなる。しかし、当該メサエッチ
ングについては成長層の全厚5μmを超えると上記の如
く結晶軸(結晶方位)に基づくエッチング形状の差異が
顕著となり、これによりホール素子の特性の一つである
不平衡電圧の増加を招き、もって不平衡率の悪化をもた
らす。よって、前述のように当該ホール素子の製作に供
するエピタキシャル成長層の全体の膜厚は概ね5μm以
下に設定した方が不平衡率を増大させないという点で好
都合である。
【0018】然るメサエッチングを施した後、入力用並
びに出力用電極を形成する。この形成に当たってはメサ
エッチングされたウエハの表面全体に一般のフォトレジ
スト材を塗布する。然る後、電極を形成すべき領域を公
知のフォトリソグラフィー法によりパターニング(patt
erning)し、入・出力電極を形成する領域に在るフォト
レジスト材のみを剥離除去し、直下に存在する感磁部層
のGaInAs層の表層を露出させる。
【0019】次に電極材料となす金(Au)・ゲルマニ
ウム(Ge)合金を当該加工を施したレジスト材上に真
空蒸着する。ここでは電極材料としてAu・Ge合金を
使用したが、電極材料としては別段これに限定されるこ
とはなく、n形のGaInAs結晶につきオーミック性
電極が得られる材料を使用すれば良い。但し、電極は従
来のいわゆる「べた」電極ではなく、接触面積が感磁部
を構成する半導体層、ここではGaInAs感磁部結晶
層の全表面積の5%以上30%以下の接触面積を有する
線状電極とする。この線状電極の形状には制限はなく、
例えば、線状の電極を組み合わせた櫛形電極でも良く、
線状の電極を同心円状に配置させても良い。要は、電気
的に充分な接触を保ちつつ感磁部層上に占める電極の表
面積が減少する程、アロイング等の熱処理サイクルに起
因するGaInAs感磁部層への機械的な歪の導入を減
少させられることから、電極の占有面積を極力減少させ
ることが肝要である。線状電極の形成にあたっては真空
蒸着法とフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術
を駆使することにより、小面積でも確実な接触機能を有
する電極が得られる。
【0020】上記の本考案に係わる接触面積を従来の電
極に比較し減少させた電極の場合、電極の表面積が減少
されているが故に入・出力電極への電気的結線に不具合
が生ずる場合がある。係る事態が予想される際にはパッ
ド(pad )電極と一般に称される結線専用の電極を設け
れば良い。通常は、パッド電極のほぼ中央に結線を施す
ため、パッド電極の形状に関しては本考案に係わる外枠
のみの電極ではなく、従来どおりの「べた」電極の方が
望ましい。また、パッド電極を設ける位置については感
磁部層上ではなく、結線時に於ける機械的な衝撃をGa
InAs感磁部結晶層へ与えないためにも上述のメサ加
工によりその表層を露出されたInP結晶層上に配置さ
せるのが良い。本考案に依る電極とパッド電極との最も
適すると考えられる配置は、GaInAs感磁部層上に
本考案に係わる外枠のみからなる電極を載置し、前述の
順メサの側面に沿って電極材料を延長させ、InPバッ
ファ層上に設けた「べた」状のパッド電極に電気的に連
結させたものである。
【0021】次に公知のプラズマCVD法により絶縁性
を有する二酸化珪素 (SiO2 )を堆積させウエハ表
面を被覆する。本考案では一般的なSiO2 を絶縁被覆
膜として採用したが他の絶縁性を有する膜、例えば窒化
珪素(SiN)などであっても良い。次に、上記の如く
製作されたSiO2 絶縁膜を一般的なレジスト材で被覆
する。然る後、電極部と個々の素子に分離する、いわゆ
るダイシング(dicing)のために必要なダイシングライ
ンを形成するための位置に相当する部分のレジスト材を
公知のフォトリソグラフィー技術により除去し、直下の
SiO2 絶縁膜を露出させた。更に、露出したSiO2
絶縁膜をフッ化水素酸(化学式HF)に浸し、当該部分
のSiO2 絶縁膜を溶解し除去する。これにより入・出
力電極の表面並びにダイシングラインの形成部にあって
はGaInAs層表面を露出せしめる。実際に個々の素
子に分離するにあっては、ダイシングラインに相当する
部分に露出しているGaInAs層を適当な無機酸を利
用しエッチング除去すれば良い。然る後、GaInAs
層の直下にあるInP層をこれまた無機酸により除去す
る。通常は、更にエッチングを進行させInP単結晶基
板の表層部の一部迄除去する。この様に図るのはダイシ
ングに使用するスクライバー(sucriber)やブレード
(brade )などが素子の分離の際にエピタキシャル成長
層やヘテロ界面に機械的な損傷を与えるのを予め低減す
るためである。係る加工を施した後、上記のダイシング
ラインに沿って公知のスクライビング(sucribing )を
施し、製作されたホール素子を個々に分離しホール素子
チップ(chip)となす。
【0022】このようにして得られたチップを移動度の
測定に重点を置いた電気的特性の評価に供した。並行し
て、従来のホール素子、即ち旧来の「べた」電極を有す
るホール素子も比較のため評価した。勿論、アロイング
の条件は本考案に係わる素子と従来素子とは同一であ
る。この特性比較により、本考案に依る新たなホール素
子にあっては、アロイングに処す前後に於いて電子移動
度のさしたる変化は認められなかった。一方、従来のG
aInAsホール素子にあっては、アロイングに処す以
前には10, 300cm2 /Vsの室温移動度が得られ
ていたが、アロイング後では移動度が約8, 100cm
2 /V・sと約20%の低下を示した。この原因につき
入・出力電極の直下にあるGaInAs感磁部層の断片
試料を作成し、高分解能の透過電子顕微鏡による観察か
ら従来の「べた」電極を有するホール素子にあっては、
電極の直下近傍のGaInAs感磁部層に多量の歪がア
ロイング処理後に導入されているのが判明した。逆に本
考案に依る新たなホール素子にあってはこの様な歪の導
入は認められなかった。この歪に関する差異から歪の発
生原因を探るに、GaInAs感磁部層上に位置する電
極の占有する表面積によって明らかに電子移動度の低下
率差があることから、電極材料と半導体感磁部材料との
熱膨張率の差異に基づくと判断された。
【0023】本考案者が本考案の範囲に於いて接触面積
が異なる線状電極を種々形成し、電極の占有する接触面
積と半導体感磁部層の電子移動度のアロイング工程前後
での変化を評価した。その結果では、電極の占有する接
触面積が感磁部を構成する半導体層の全表面積の30%
を越えると上記の如くの電子移動度の低下が発生し、こ
の数値が半導体感磁部の電子移動度を維持させるための
臨界的な上限値であった。一方、接触面積を減ずれば感
磁部層の電子移動度の低下を回避できるが、極端に減少
させると電流密度が増加して電極近傍の温度上昇を招
き、電子移動度を低下させることから、入・出力電極の
接地面積の下限値は半導体感磁部層の全表面積の5%と
した。
【0024】
【作用】本考案の如く入・出力電極の接触面積を半導体
感磁部層の全表面積の5%以上30%以下に限定するこ
とにより、GaInAs感磁部層に与える機械的な歪の
導入量を低減させる作用をもたらし、もって高感度のホ
ール素子を良好な再現性をもって提供できる。
【0025】
【実施例】本考案を実施例を基に詳細に説明する。 (実施例1) 図1は本考案に係わるGaInAs結晶層を感磁部とす
るホール素子の模式的な平面図である。また、図2は図
1に示した平面模式図の破線A−A’の方向に沿った垂
直断面の概略図である。鉄(Fe)を添加してなる比抵
抗が約106 Ω・cmの面方位(100)の半絶縁性高
抵抗InP単結晶基板(101)に、第一の層として不
純物(ドーパント)を故意に添加していないアンドープ
InP層(102)を約100nmの厚さで成長させ
た。当該InP層(102)のキャリア濃度をホール
(Hall)効果法により測定した結果、約2×1015
cm-3であった。
【0026】然る後、上記のInP結晶層(102)上
にキャリア濃度が2×1016cm-3で混晶比を0.47
とした、アンドープのn形Ga0.47In0.53As(10
3)を250nmの厚さに堆積した。尚、本実施例では
GaInAs、InP結晶層の双方共に、結合価が一価
のシクロペンタジエニルインジウム(化学式:C55
In)をIn源とする常圧(大気圧)MOVPE法で成
長させた。
【0027】次に、公知のフォトリソグラフィー技術と
エッチング技術を駆使し、入・出力電極を形成すべき領
域並びに感磁部となす領域(104)をメサ(mes
a)形状に加工した。これにより形成された電極形成領
域を含む感磁部メサの天板部分の平面形状は幅が100
μmで長さが200μmの長方形が四方に張出したホー
ルクロスとなっている。
【0028】その後、表面を再び有機レジスト材で全面
に亘り被覆した。次に各々、一対をなす入力電極(10
5)と出力電極(106)を形成すべき領域に存在する
上記レジスト材のみを公知のフォトリソグラフィ技術を
利用して除去し、GaInAs層(103)とInP層
(101)の表面を露出せしめた。然る後、Geを重量
で約13%程度含むAu・Ge合金を真空蒸着した。そ
の後、Au・Ge合金表面をレジスト材で覆い、GaI
nAs層(103)上の中心部のレジスト材のみをパタ
ーンに従ってフォトリソグラフィー法によって除去し
た。さらに蒸着によってレジスト材上に被着した素子の
製作上は不要となるAu・Ge合金膜をいわゆるリフト
オフ(lift-off)法で除去すると同時に、当該ウエハを
有機溶剤混合液に浸してレジスト材を剥離した。ここで
は電極の構成を従来の「べた」電極ではなく、幅20μ
mの線状の電極で外周を形成した図1に示す如くの外枠
のみの電極とした。ちなみに、感磁部層上に載置されて
なるこの外周線状電極の部位が占有する面積はGaIn
As半導体感磁部層の全面積の24%に相当した。次
に、電極となる合金膜を被着させたウエハを温度420
℃で数分間、オーミック性電極を得るために熱処理(ア
ロイング;alloying)した。
【0029】更に、パッド電極(107)を当該入・出
力用の電極(105及び106)と電気的に連結させて
各電極に設けた。該パッド電極(107)は、上記の如
くメサエッチングにより露出せしめたInP単結晶基板
(101)の表層部に載置した。これはアロイング時に
GaInAs感磁部層に直接歪が導入されるのを防止す
るためである。尚、本実施例ではn形を呈するGaIn
As結晶層を用いている関係から、上記のAu・Ge合
金をオーミック性電極材料として利用しているが、電極
とする材料はこれに限定されることはない。
【0030】更に、上記工程を経たヘテロ接合材料の表
面の入・出力電極部以外の領域をプラズマCVD法によ
り二酸化珪素(SiO2 )膜(108)により被覆し
た。次に、酸化膜(108)上に一般的なフォトレジス
ト材を塗布し、公知のフォトリソグラフィー法に依って
素子を個別に分離させるための直線上の溝(109)
(通常、ダイシングライン(dicinglineと称
す。)に相当する部分のフォトレジスト材を剥離し、G
aInAs結晶層(103)の表面を選択的に露出せし
めた。然る後、ダイシングライン(109)に相当する
露出したGaInAs結晶層(103)の表面を無機酸
によりエッチングし、素子を個別に分離するに適する深
さ迄、当該GaInAs結晶層(103)及びInP結
晶層(102)を除去し、更にInP単結晶基板(10
1)の表層部に至る迄エッチングを進行させた。
【0031】かくの如く製作した新たなホール素子の電
気的特性、特に積感度を従来のGaInAsホール素子
のそれと比較した。その結果、本考案に依る新たな構成
の電極を具備したホール素子では従来のホール素子に比
較し積感度の低下は認められなかった。これは、アロイ
ングの前後でGaInAs感磁部層の電子移動度が本考
案に係る電極を設けた場合に於ては低下しないことに因
るものである。一方、従来の「べた」電極を備えたホー
ル素子にあっては、アロイングによりGaInAs感磁
部結晶層に歪が導入されるため当該層の電子移動度の低
下が生じ、もってホール素子の積感度の悪化を招いた。
【0032】本考案の実施例では、平面が長方形の電極
の内側を長方形に中ぐりした電極を設けたが、電極形状
はこの長方形には限定されず、円形であっても多角形で
あっても良い。また、電極の中ぐり形状も長方形に限ら
ず円形でも良い。尚、本考案は、GaInAs結晶層を
感磁部とするホール素子に拘らず、他の例えばGaA
s、InAsなどの化合物半導体ホール素子にも応用さ
れ得る。
【0033】(実施例2) 前述の実施例に於いては、外枠のみの線状外周電極から
成るGaInAsホール素子の例を挙げたが、ここで
は、線状の電極を櫛形に配置させたGaInAsホール
素子の例を基に説明する。図3にこの櫛形形状の電極を
有するGaInAsホール素子の平面模式図を掲げる。
製作に使用したヘテロ接合材料、電極材料等は全て同一
であり、電極の形状のみが異なる。感磁部上に載置され
てなる幅10μmの線状電極の部位が占有する接触面積
は、半導体感磁部層の全面積の25%に当たる。この様
な電極を設けた場合にあっても実施例1に記載の如く感
磁部層の電子移動度の低下は認められなかった。
【0034】(実施例3) 更に、線状の電極の応用例としてGaInAs感磁部層
上に同心円状に線状の電極を配置した例を図4に示す。
各同心円は電気的に導通されている。また、電気結線を
容易ならしめるため、上記の実施例1、2と同様にボン
デング用のパッド電極(107)を設けてある。用いた
ヘテロ材料は実施例1から3を通じて共通である。感磁
部上に載置されている同心円状の線状電極の接触面積は
感磁部の全表面積に対し23%である。この様な場合も
GaInAs感磁部層の電子移動度の低下を回避するこ
とが出来た。
【0035】
【考案の効果】本考案に係わる電極を設けることによ
り、プロセス工程による感磁部結晶層への歪の導入を回
避でき、もって高感度のホール素子の安定的な供給をも
たらす。尚、本考案の実施例ではGaInAs/InP
ヘテロ接合ホール素子を例にして説明を加えたが、本考
案の効果はこのヘテロ接合ホール素子に限らず、GaA
sとAlGaAsとの、或はまたGaInAsとAlI
nAsとのヘテロ接合から成るホール素子にも適用でき
る。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係わるホール素子の概略を示す平面図
である。
【図2】図1に掲げるホール素子の直線A−A’の方向
に沿った垂直断面の模式図である。
【図3】本考案に係わる第2の実施態様である櫛形の電
極を設けてなるホール素子の平面の概略図である。
【図4】本考案に係わる第3の実施態様である同心円状
の電極を設けてなるホール素子の平面の概略図である。
【図5】「べた」電極を有する従来のホール素子の概略
を示す平面図である。
【符号の説明】
(101) InP単結晶基板 (102) InP結晶層 (103) GaInAs結晶層 (104) メサ領域 (105) 入力電極 (106) 出力電極 (107) パッド電極 (108) 酸化膜 (109) ダイシングライン

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 III −V族化合物半導体異種接合(ヘテ
    ロ接合)からなる感磁部上に駆動用電力を入力するため
    の入力用電極とホール(Hall)電圧を出力するため
    の出力電極とを具備してなるホール素子に於いて、該感
    磁部上に載置されてなる部位の接触面積が当該半導体感
    磁部結晶層の表面積の5%以上30%以下である接触面
    積を有する外周線状電極を設けてなることを特徴とする
    ホール素子。
  2. 【請求項2】 III−V族化合物半導体異種接合(ヘテロ
    接合)からなる感磁部上に駆動用電力を入力するための
    入力用電極とホール(Hall)電圧を出力するための
    出力電極とを具備してなるホール素子に於いて、該感磁
    部上に載置されてなる部位の接触面積が当該半導体感磁
    部結晶層の表面積の5%以上30%以下である接触面積
    を有する櫛形線状電極を設けてなることを特徴とするホ
    ール素子。
  3. 【請求項3】 III −V族化合物半導体異種接合(ヘテ
    ロ接合)からなる感磁部上に駆動用電力を入力するため
    の入力用電極とホール(Hall)電圧を出力するため
    の出力電極とを具備してなるホール素子に於いて、該感
    磁部上に載置されてなる部位の接触面積が当該半導体感
    磁部結晶層の表面積の5%以上30%以下である接触面
    積を有する同心円状線状電極を設けてなることを特徴と
    するホール素子。
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