JP3287053B2 - GaInAs磁電変換素子 - Google Patents

GaInAs磁電変換素子

Info

Publication number
JP3287053B2
JP3287053B2 JP05251293A JP5251293A JP3287053B2 JP 3287053 B2 JP3287053 B2 JP 3287053B2 JP 05251293 A JP05251293 A JP 05251293A JP 5251293 A JP5251293 A JP 5251293A JP 3287053 B2 JP3287053 B2 JP 3287053B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
hall element
concentration
inp
gainas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05251293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06268277A (ja
Inventor
隆 宇田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP05251293A priority Critical patent/JP3287053B2/ja
Publication of JPH06268277A publication Critical patent/JPH06268277A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3287053B2 publication Critical patent/JP3287053B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】GaInAs結晶層を磁界を検知
する感磁部として利用するGaInAs磁電変換素子に
係わり、特にGaInAsホール素子の高感度化に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁界を検知し、その強度に応じて電気信
号を発生する、いわゆる磁電変換素子の一つとしてホー
ル(Hall)素子が知られている。このホール素子は
磁場を印加した際に、ホール素子を構成する半導体内の
電子の運動によって発生するホール(Hall)電圧を
被検知量とする一種の磁気センサーであり、回転、位置
検出センサー等として産業界で広範囲に利用されてい
る。
【0003】ホール素子用の半導体材料としてはシリコ
ン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの元素半導体の
他、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジ
ウム(InAs)やヒ化ガリウム(GaAs)等の元素
周期律表の第 III族に属する元素と同じく第V族に属す
る二つの元素を化合させてなる III−V族2元化合物半
導体も使用される。
【0004】しかし、従来の化合物半導体からなるホー
ル素子を見れば、用いる半導体の物性に依ってホール素
子の特性上に一長一短が存在する。例えば、GaAsか
ら成るホール素子はGaAs半導体のバンドギャップが
比較的大きい事により素子特性の温度変化は少ないもの
の、逆に電子移動度が多少低いため積感度はInSbか
ら成るホール素子に比較して低いという欠点がある。一
方、InSbホール素子はInSb半導体のバンドギャ
ップが低いため、特性の温度変化は大きいが、高い積感
度が得られる利点を有している。
【0005】最近では、自動車エンジンの精密な回転制
御等、高温環境下に於ける精密センシング技術の必要性
が高まり、高いホール電圧を出力する能力を有し、且つ
温度による素子特性の変化を低く抑制した新たな高性能
ホール素子が要望されるに至っている。ここで、ホール
電圧は半導体材料のホール(Hall)係数に依存し、
ホール係数が大きい程ホール電圧の出力能力は高い。ま
た、このホール係数は半導体材料の移動度に比例して増
加する。従って高いホール出力電圧を得るには、即ち高
感度なホール素子を得るには、高い電子移動度を発現す
る半導体材料を使用する必要がある。
【0006】このため産業界からの高性能ホール素子の
要望と相まって半導体材料の物性面からの検討も進み、
極く最近では従来と同様の III−V族化合物半導体でも
三種類の元素を混合させてなるヒ化ガリウム・インジウ
ム(GaInAs)三元混晶とリン化インジウム(In
P)から構成されるヘテロ接合を具備した材料を新たな
高感度ホール素子の材料として応用する試みもなされて
いる(奥山 忍他、1992年秋季第53回応用物理学
会学術講演会予稿集No.3(応用物理学会発行)、1
6a−SZC−16、1078頁)。このGaInAs
ホール素子は特性の温度変化も比較的小さく、且つまた
室温移動度が極めて高いために優れた積感度を有する。
【0007】このようなGaInAsホール素子は、通
常Feを適量添加してなる高抵抗の半絶縁性InP単結
晶基板上に成長させたGaX In1-X As(x は混晶比
(組成比)を表す。)膜を感磁部として構成される。し
かしながら、単にGaX In1-X As膜をFe添加In
P単結晶基板上に堆積させただけではこのGaX In
1-X As膜に高移動度が安定的に付与されるとは限らな
い。それは主に基板として利用する高抵抗InP単結晶
中に含有されるFe不純物が、当該InP単結晶上に所
望のGaX In1-X As膜をエピタキシャル成長させる
べく或る高温の成長環境下に曝した際に、InP単結晶
基板側より成長しつつあるGaX In1-XAs膜の内部
へ熱拡散することに起因している。即ち、Fe不純物が
いわゆる電子トラップ(trap)として働き、電子の移動
を妨げるために移動度の向上を阻害するからである。G
X In1-X As膜の電子移動度はInPと格子整合す
る混晶比からの”ずれ”に顕著に影響されるため、従来
から電子移動度の向上については混晶比を精密に格子整
合組成に合致させることに主眼が置かれており、GaX
In1-X As膜内に存在するFe不純物の濃度について
は、それが低濃度であればあるほど電子移動度の向上に
とっては良いとの定性的な判断がなされているのみで、
GaInAsホール素子の高感度化に支障をもたらさな
いGaX In1- X As膜中のFe不純物の濃度について
は定量的な見解が無かった。
【0008】このFe不純物がGaX In1-X As結晶
膜に熱的に拡散する濃度を多少なりとも低減すべく、一
般的にはバッファ層(buffer層)と称される緩衝層をI
nP単結晶基板とGaX In1-X As結晶膜との間に挿
入することが行われる。本発明に係わるGaInAsホ
ール素子の場合、バッファ層はInPもしくはGaX
1-X Asのいずれかを用いるか、或はこれらの双方を
多層に堆積させたものでも良いが、いずれのバッファ層
を用いるにしてもInP単結晶基板中に含まれるFe不
純物の濃度に依って、バッファ層の膜厚を変化させねけ
ればならないという煩雑な操作を伴っていた。これは、
ひとえにGaInAs高感度ホール素子の安定的な実現
にとっての最適な基板結晶の仕様、特に基板結晶中のF
e不純物の濃度が明瞭となっていないことに因る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高い積感度を有するG
aInAsホール素子の安定的な供給を目的とし、In
P単結晶基板並びに感磁部となるGaX In1-X As結
晶膜中のFe不純物の濃度を規定し、Fe不純物が電子
トラップとなるのを防止し、もってGaX In1- X As
結晶中での電子移動度を高めようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明ではGaInAs
ホール素子の製造にあたって、基板として利用されるF
eを添加してなる高抵抗InP単結晶内のFe不純物の
濃度を、0.01重量ppm以上3重量ppm以下とす
る。また、GaX In1-X As結晶膜のFe不純物の濃
度を3重量ppm未満とする。
【0011】通常、GaInAs/InPヘテロ接合ホ
ール素子の形成に当たっては、半絶縁性を有する高抵抗
のInP単結晶基板が使用される。実用上は比抵抗が1
6Ω・cm以上のInP単結晶を基板を用いるのが一
般的であり、これらの結晶は液体封止チョクラルスキー
(Liquid Encapsulated Czochralski;LEC)法や、最
近ではVB(Vertical Bridgman )法と称される垂直ブ
リッジマン法等により容易に製作できる。また、本発明
の範囲にあるFe不純物の濃度の定量方法は、例えばI
nP単結晶を塩酸等により溶解し、純水などで定溶とし
たのち、原子吸光分光分析法や高周波誘導アルゴンプラ
ズマ分光分析法などの湿式機器分析法、或は2次イオン
質量分析法など固体機器分析法等の手段が利用できる。
従って、本発明に係わるGaInAsホール素子の実現
に必要な、本発明のFe濃度が規定された範囲にあるI
nP基板結晶の入手に支障を来す恐れはない。
【0012】これらInP単結晶基板上に、バッファ層
をなすInPエピタキシャル層と感磁部をなすGaX
1-x Asエピタキシャル層とから成るヘテロ接合を形
成するこのInPバッファ層を設けることにより、例え
ば結晶基板に含まれるFe不純物のエピタキシャル成長
層への拡散を抑制できるなどの効果が得られる。かつま
た、結晶基板に存在する結晶欠陥等のエピタキシャル成
長層への伝幡を抑制するなどの効果を生じるため電子移
動度の向上をもたらし、もってホール素子の感度を上昇
を招くなどの利点がある。
【0013】本発明の如く基板として使用するInP単
結晶基板中のFe不純物の濃度を本発明の特許請求の範
囲に記載の濃度範囲に規定することにより上記のGaI
nAs感磁部層の高電子移動度特性を維持させることが
出来る。室温におけるFe濃度と電子移動度との関係を
図3に示す。図3に示す如くInP単結晶基板中のFe
濃度が3重量ppmを越えるとGa0.47In0.53As感
磁部層の電子移動度は急激に低下し、このFe濃度がG
0.47In0.53As感磁部層の高い電子移動度を保持さ
せる上での上限に相当する臨界値であることが判る。一
方、Fe濃度が0.01重量ppm未満となるとGa
0.47In0.53As感磁部層の高い電子移動度は維持され
るものの、逆にホール素子とした場合に基板側への漏れ
電流が増大し、素子特性の悪化を招く結果となる。ま
た、図3に示した実験結果は、前項記載のInPバッフ
ァの膜厚を約100nmとした場合であるが、本発明者
がバッファ層をなすInP結晶層の膜厚を適宣変更し
て、InP単結晶基板中のFe濃度とGa0.47In0.53
As感磁部層の電子移動度との相関関係を鋭意調査した
結果、当該バッファ層の層厚を増加させると、多少基板
中のFe濃度とGaInAs感磁部層の電子移動度との
関連性は緩和される傾向を示すものの、InP単結晶基
板中のFe濃度が3重量ppmを越えると極端な移動度
の低下を生じた。また、Fe濃度が0.01重量ppm
未満であると、ホール素子の実用化に耐え得るに必要と
される半絶縁性が得難くなるのも同様であった。
【0014】また、感磁部とするGaX In1-X As層
中のFe濃度については2重量ppm以下とする。これは
当該層中のFe濃度がこの値を超えると、前述の如くF
e不純物が電子トラップとして働くため層内のトラップ
密度の増加を招き、もって、電子移動度の低下を生ずる
からである。GaX In1-X As層中のFe濃度を2重
量ppm 以下に抑制するには、先ず上記の範囲にあるIn
P単結晶基板を選択するのが第一である。この様な基板
を用いれば単にInPのバッファ層を設けることによ
り、GaInAs層のFe濃度を再現性良く本発明の特
許請求の範囲に掲げるFe濃度とすることが可能であ
る。GaInAs層内のFe濃度を2重量ppm以下に
抑制するのに必要なInPバッファ層の膜厚は、本発明
に係わるFe濃度のInP単結晶基板を採用した場合、
極く常識的なInP層の成長温度の範囲内では約100
0Åである。尚、このバッファ層の膜厚の精密な設定に
ついては実際にGaInAs層中のFe濃度の定量分析
の結果を基に実施すれば良い。この場合の分析手法とし
ては、分析用試料を比較的多量に要する前記の原子吸光
分析法並びにプラズマ分光分析法よりも、微小領域の分
析が可能な2次イオン質量分析法を用い、既知のFe濃
度を有する試料からのイオン強度との対比によりFe濃
度を求める方法が得策である。
【0015】上記のInPバッファ層並びにGaInA
s感磁部層の成長方法には特に制限はなく、液相エピタ
キシャル成長法(Liquid Phase Epitaxial;LPE
法)、分子線エピタキシャル成長法(Molecular Beam E
pitaxial;MBE法)や有機金属熱分解気相成長法、い
わゆるMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitax
ial;MOCVD法とかOMVPE法とも呼ばれる場合も
ある。)、或はまたMOVPEとMBE双方の複合させ
たMO・MBE法などが適用できると考えられる。しか
し、現状では蒸気圧が比較的高いリン(P)を含むIn
P等の半導体薄膜の成長には、化学量論的な組成制御性
の観点からMBE法よりももっぱらMOVPE法が多用
されており、特にInの出発原料として、結合価が1価
のシクロペンタジエニルインジウム(C55 In)を
使用するMOVPE法では、従来困難とされていた常圧
(大気圧)下に於いても高品位のInP並びにGaIn
Asなどを得ることができる。また、InP層を例えば
MOVPE法で成長させ、Pを含まないGaX In1-X
As層はMBE法で成長させるなど層毎に成長方法を異
にしても支障は無く、一つの成長方法で当該ヘテロ接合
を形成する各層を設ける必要はなく、層毎に成長方法を
異にしても良いのは勿論である。
【0016】また、前記GaX In1-X Asの混晶比x
については0.37≦x≦0.57とするのが望まし
い。何故ならばInPに格子整合するGaX In1-X
sの混晶比x=0.47から混晶比がずれるに伴い、G
X In1-X AsとInPとの格子定数の差、即ち格子
不整合度も顕著となり、多量の結晶欠陥等を誘発し結晶
性の低下を招くばかりか、電子移動度の低下等の電気的
特性をも悪化させ、ホール素子の特性上、積感度の改善
に多大な支障を来すからである。
【0017】また本発明に係わる上記GaX In1-X
s層の膜厚については特段の制限はない。但しホール素
子の実際の製作に当たっては、素子間を電気的に絶縁す
るためメサエッチングと称する特定領域の結晶層を除去
するための工程が一般的に採用されるが、この際素子間
絶縁のためにメサエッチングにより除去すべき導電性を
呈する層の膜厚、とりもなおさずエピタキシャル成長層
の全体的な厚みが増すと必然的にメサエッチングに要す
る時間の増大を伴い、もって結晶方位に因るエッチング
量並びにエッチング形状に顕著な差異を生じさせる。こ
のことがしいてはホール素子の重要な特性の一つである
不平衡率の増大をもたらし、素子特性の高品位化を妨げ
ると共に良品素子収率の低下を招く。従って、本発明に
記すヘテロ構造を構成するにあたっては、その構成要素
であるGaX In1-X As層の膜厚をおおよそ5μmよ
り薄く設定すると好結果が得られる。
【0018】上述の如くのエピタキシャルウエハを母体
材料とし、GaX In1-X AsとInPとのヘテロ接合
を具備成してなるホール素子を製作する。この製作に当
たっては公知のフォトリソグラフィ技術エッチング技術
等の加工技術を駆使し、感磁部並びに入出力電極部とな
す領域をメサ(mesa)エッチング法により形成す
る。このメサ構造を得る方法につきここで説明を加え
る。先ず当該母体材料の最表面であるGaX In1-X
s層の表面に一般的なフォトレジスト材を塗布しその
後、通常のフォトリソグラフィー技術により入力用並び
に出力用電極の形成領域及び感磁部とする領域のみに該
レジスト材を残存させ、それ以外の領域にあるレジスト
材は剥離し除去する。然る後、無機酸を用いてGaIn
As及びInP層にエッチング加工を施す。このエッチ
ングにより電極形成部及び感磁部領域はそれらの領域を
垂直方向の断面から見れば台形状、いわゆるメサ形状か
結晶の軸方向に依っては逆台形状いわゆる逆メサ状の台
地(メサ)として残存させ得る当該メサエッチングにつ
いては成長層の全厚が5μmを超えると上記の如く結晶
軸(結晶方位)に基づくエッチング形状の差異が顕著と
なり、これによりホール素子の特性の一つである不平衡
電圧の増加を招き、もって不平衡率の悪化をもたらす。
よって、前述の様に当該ホール素子の製作に供するエピ
タキシャル成長層の全体の膜厚は、概ね5μm以下に設
定した方が不平衡率を増大させないという点で好都合で
ある。
【0019】メサエッチングを施した後、入力用並びに
出力用電極を形成する。この形成に当たってはメサエッ
チイングされたウエハの表面全体にフォトレジスト材を
塗布する。その後、公知のフォトリソグラフィー法によ
り入・出力電極を形成する領域に在るフォトレジスト材
のみを剥離、除去し、直下に存在するGaInAs層の
表面を露出させる。次に電極材料となる金(Au)・ゲ
ルマニウム(Ge)合金を当該加工を施したレジスト材
上に真空蒸着させる。ここではGeを重量にして約13
%含む金(Au)・Ge合金を使用したが、電極材料と
しては別段これに限定されることはなく、また同様のA
uGe合金でGeの含有量が異なっても勿論差し支えは
ない。電極材料を真空蒸着した後、レジスト材を剥離す
るのと併行していわゆるリフトオフ(lift off)法を利
用して当該レジスト材上に被着されたAu・Ge合金膜
を除去する。
【0020】上述では、メサエッチングにより素子形成
領域をメサ形状に加工して他の領域との電気的に絶縁化
を果たしたが、素子領域と他の領域との絶縁化は別段、
これに限ることはなく、例えば水素や酸素などの非金属
性のイオンや鉄などの遷移金属のイオンを素子形成領域
外にイオン注入することにより絶縁化させても良い。こ
の場合はメサエッチング時の様に深さ方向に段差を生ず
ることなく絶縁化を達成でき、よってホール素子の不平
衡電圧の増加を抑制できる利点がある。
【0021】この様な工程を経てウエハの表面の電極形
成領域のみに残存したAu・Ge合金を熱処理してオー
ミック(Ohmic )性を付与した。次に公知のプラズマC
VD法により絶縁性を有する二酸化珪素(SiO2 )を
堆積させる。本発明では一般的なSiO2 を絶縁被覆膜
として採用したが、例えば窒化珪素(SiN)などの他
の絶縁性を有する膜であっても良い。次に、上記の如く
製作されたSiO2 絶縁膜を一般的なレジスト材で被覆
する。然る後、電極部と個々の素子に分離する、いわゆ
るダイシング(dicing)のために必要なダイシングライ
ンを形成するため、相当する部分のレジスト材を公知の
フォトリソグラフィー技術により除去し、直下のSiO
2 絶縁膜を露出させる。更に露出したSiO2 絶縁膜を
フッ化水素酸(化学式HF)に浸し、当該部分のSiO
2 絶縁膜を溶解し除去する。これにより入・出力電極の
表面並びにダイシングラインの形成部のGaInAs層
表面を露出せしめる。実際に個々の素子に分離するにあ
っては、ダイシングラインに相当する部分に露出してい
るGaInAs層を、適当な無機酸を利用しエッチング
除去すれば良い。然る後、GaInAs層の直下にある
InP層を無機酸により除去する。通常は更にエッチン
グを進行させ、InP単結晶基板の表層部の一部迄除去
する。この様にするのはダイシングに使用するスクライ
バー(sucriber)やブレード(brade )などが、素子の
分離の際にエピタキシャル成長層やヘテロ界面に機械的
な損傷を与えるのを予め低減するためである。上記した
絶縁膜の形成、加工過程、並びにダイシングラインの形
成、加工方法はメサエッチングかイオン注入かといった
絶縁化の方法に依らず変わりはない。
【0022】本発明に係る新たなGaInAsホール素
子の電気的主要特性、特に積感度につき、従来のGaI
nAsホール素子のそれらと比較すると、ホール素子の
優劣を決定付ける重要な特性である積感度に関して、顕
著な差異が認められ、本発明のGaInAsホール素子
に於いては格段の積感度の向上が果たされる。この原因
を探るに、InP単結晶基板並びにGaInAs層内の
Fe不純物の濃度を規定して層内の電子トラップを削減
したことによるものと判断される。
【0023】
【作用】InP単結晶基板並びにGaInAs層内のF
e不純物の濃度を規定することにより、電子トラップと
して働くFe不純物の濃度を低減することにより電子移
動度を向上させ、もってGaInAsホール素子の感度
を上昇させる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例を基に具体的に説明す
る。図1は本発明に係わるGaInAs/InPヘテロ
構造ホール素子の模式的な平面図の一例を示す。また、
図2は図1に掲げるホール素子の破線A−A’に沿う模
式的な断面図である。図1の(101)は、当該ヘテロ
接合を形成するにあたり、基板として使用した鉄(F
e)を添加してなる面方位(100)の半絶縁性のIn
P単結晶である。このInP単結晶(101)中のFe
不純物の濃度はフレームレス(flameless )原子吸光分
光分析による湿式定量分析の結果0.70重量ppmで
あった。また、InP単結晶の(101)厚さは約35
0μmであった。本実施例では、比抵抗が約107 Ω・
cmの結晶を用いたが、上記の結晶の面方位や比抵抗は
ホール素子の製作プロセス、結晶層の成長方法等を勘案
し、適宣選択すれば良い。同図中(102)は結晶基板
(101)上にC55 InをIn源とする常圧のMO
CVD法で成長させ、膜厚が約100 nmである無添加
(アンドープ)InPエピタキシャル結晶層である。バ
ッファ層となるこのInP層(102)は温度610℃
にて成長させた。更に、InPバッファ層(102)上
に混晶比が0.47で、約400nmの膜厚を有するG
0.47In0.53Asエピタキシャル層(103)を上記
の常圧MOCVD成長法で設けた。このGa0.47In
0.53Asエピタキシャル層(103)の成長温度もIn
P層(102)と同じく610℃である。また、Ga
0.47In0.53Asエピタキシャル層(103)中のFe
濃度は約0.30重量ppmであった。この分析には2
次イオン質量分析法を利用し、その濃度の校正はFeイ
オンを注入してなるGaInAsから得られるFeイオ
ン強度を基に行い、その誤差は±10%であった。In
P単結晶基板(101)中のFe濃度が比較的低い場合
は、InPバッファ層を設けなくともGaInAs層内
のFe不純物の濃度を2重量ppm以下とすることもで
きる場合もままあるが、InP単結晶基板中のFe濃度
が2〜3重量ppmと高い場合を勘案すると、本実施例
に記載の様に或る程度の膜厚を有するInPバッファ層
を設けると、InP単結晶基板のFe濃度が001〜
3重量ppmと広い範囲に渡っていても、安定的にGa
InAs層のFe濃度を2重量ppm以下とすることが
可能である。また、InP層(102)及びGaInA
s層(103)のキャリア濃度は各々、2×1015cm-3
及び2×1016cm-3であった。
【0025】上記エピタキシャル層(102、103)
は全てMOCVD法で成長させたが、前述の如くMOC
VD法であっても減圧方式でも良くIn源もC55
nに限らないばかりか他の有機In化合物原料、例え
ば、従来のトリメチルIn((CH33 In)などを
使用しても構わない。またこれらの薄膜の成長方法とし
てMBE、MO・MBE法等他の成長方法を採用しても
支障はない。
【0026】この様な構造のウエハを前述の如く公知の
フォトリソグラフィー法並びにエッチング法を駆使して
ホール素子を得るべく適宣、プロセス上の加工を施し
た。然る後、入力用並びに出力用電極となすべくゲルマ
ニウムを約13重量%で含有する金・ゲルマニウム(A
u・Ge)合金を真空蒸着せしめ、その後、電極材料を
被着させた上記ウエハを温度420℃で、時間にして3
分間熱処理せしめ、オーミック性電極(104)を形成
した。尚、本実施例では上述の様にオーミック電極材料
としてGeを13重量%含んでなるAu・Ge合金を使
用したが当然のことながらAu・Ge合金のGe含有量
は当該含有量に限定されることはなくまたAu・Ge以
外の金属材料等を使用しても差し支えはない。
【0027】次に、素子化されたウエハの表面を通常の
プラズマCVD法によるSiO2 絶縁膜(105)で被
覆した。SiO2 膜(105)の厚さは約300nmと
した次に、当該絶縁膜上に一般のフォトレジスト材を塗
布し、前述の如くのフォトリソグラフィー工程を経て電
極金属(104)の表面を後の電気結線のために露出さ
せた。これに工程的に継続させて個々のホール素子に分
離するためのダイシングライン(106)を形成した。
然る後、ダイシングライン(106)に沿ってスクライ
ブを施し、個々の素子(チップ)に分離せしめた。この
チップ化に際しては、InP単結晶基板(101)の裏
面の一部をエッチング除去することにより当該基板の厚
さを初期厚さ350μmから約130μmの厚さとし、
スクライブを容易ならしめた。
【0028】上述の如く作成したホール素子を電気的な
特性評価に供した。第1表に、評価した項目と特性値に
つき、本発明に係わる場合と従来例とを対比させて示
す。従来例とはInP単結晶中のFe濃度が3重量pp
mを越え比抵抗が3×107 Ω・cmと高いもののGa
InAs感磁部層のFe濃度も2重量ppmを越えてい
るウエハから形成されてなるGaInAsホール素子を
指す。但し、InPバッファ層の膜厚は双方で1000
Åと同一である。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す如く本発明に係わるGaInA
sホール素子と従来のホール素子では、積感度について
は顕著な差が認められ、本発明に基づく新たなホール素
子にあっては従来のホール素子に比較し約1.5〜2倍
の感度が得られた。一方、入力抵抗、出力抵抗共に本発
明による新たなホール素子の方が、従来のホール素子に
比較し低くなっていた。また、入力抵抗が1±0.1K
Ωの範囲にあり且つ積感度が75mV/mA・kG以上
であるホール素子を良品と見なしてその収率を本発明と
従来例とで比較するに、本発明に係わる場合にあっては
比較の対象とした全数15ロット中の90%以上に相当
する14ロットで88%以上の良品収率が得られた。一
方、従来のホール素子に於いては、全数15ロットの
内、60%に相当する9ロットで良品収率が70%以上
となったが、本発明に係るホール素子の収率に比較すれ
ば格段に低いことが明確に示された。
【0031】
【発明の効果】InP単結晶基板並びにGaInAs感
磁部層のFe不純物の濃度を規定することにより、Ga
InAsホール素子の高感度化を果たせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるGaInAsホール素子の平面
の概略図である。
【図2】図1に示すホール素子の破線A−A’に沿う垂
直方向の模式的な断面図である。
【図3】 半絶縁性InP単結晶基板中のFe不純物濃
度とGa0.47In0. 53As結晶層の電子移動度との関係
を示す図である。
【符号の説明】
(101) InP半絶縁性単結晶基板 (102) アンドープInPバッファ層 (103) 混晶比0.47のGa0.47In0.53As感
磁部層 (104) オーミック性入力・出力電極 (105) SiO2 絶縁膜 (106) ダイシングライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/06 G01R 33/07 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄(Fe)を添加してなる半絶縁性のリ
    ン化インジウム(InP)結晶基板上にヒ化ガリウム・
    インジウム(GaInAs)結晶層からなる感磁部を設
    けてなるホール素子に於て、基板として用いる該InP
    結晶中のFe濃度が0.01重量ppm以上3重量pp
    m以下の範囲にあり、且つ該GaInAs結晶層のFe
    濃度が2重量ppm未満であることを特徴とするGaI
    nAsホール素子
JP05251293A 1993-03-12 1993-03-12 GaInAs磁電変換素子 Expired - Fee Related JP3287053B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05251293A JP3287053B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 GaInAs磁電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05251293A JP3287053B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 GaInAs磁電変換素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06268277A JPH06268277A (ja) 1994-09-22
JP3287053B2 true JP3287053B2 (ja) 2002-05-27

Family

ID=12916794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05251293A Expired - Fee Related JP3287053B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 GaInAs磁電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3287053B2 (ja)

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
1992年(平成4年)秋季第53回応用物理学会学術講演会講演予稿集,日本,応用物理学会,1992年 9月12日,No.3,p.1078,16a−SZC−16

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06268277A (ja) 1994-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3287053B2 (ja) GaInAs磁電変換素子
JP2597105Y2 (ja) ホール素子
JP2793837B2 (ja) 半導体装置の製造方法およびヘテロ接合バイポーラトランジスタ
JP2597774Y2 (ja) ホール素子
JP3289371B2 (ja) ヘテロ接合ホール素子
Wight et al. Minority carrier diffusion length in CdTe
JP3456254B2 (ja) ホール素子用エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
JPH0779032A (ja) GaInAs2次元電子ホール素子
JPH06232475A (ja) 磁電変換素子
JP3287054B2 (ja) 磁電変換素子
JP3404843B2 (ja) ホール素子の製造方法
JP3044835B2 (ja) 磁電変換素子
JP3399044B2 (ja) ホール素子及びその製造方法
JPH077194A (ja) ホール素子
JP3399053B2 (ja) ヘテロ接合ホール素子
JP3404838B2 (ja) GaInAs/InPヘテロ接合ホール素子
JP3399046B2 (ja) ホール素子
JP3395277B2 (ja) 磁電変換素子
JP3399057B2 (ja) 磁電変換素子
JP3220879B2 (ja) 磁電変換素子
KR20070048207A (ko) pn 접합을 갖는 화합물 반도체 에피택셜 기판의 제조방법
JP3436961B2 (ja) 半導体素子
JP3417009B2 (ja) ホール素子
JP3246067B2 (ja) 電界効果型トランジスタ用ウエハ及びトランジスタ
JP3438294B2 (ja) ホール素子

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080315

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110315

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees