JP2005093946A - セラミック配線基板及びそれを用いた部品実装済み配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】実装される半導体部品の小型化ないし高集積化に伴い、組み込まれる配線構造が複雑化ないし微細化しても、これらを簡便かつ高精度に形成でき、また、導体要素の周囲にてセラミック誘電体層の変形がほとんど生じず、部品接続用のパッドが形成される基板主表面の平坦性を大幅に向上できるセラミック配線基板を提供する。
【解決手段】セラミック配線基板2は、金属導体層51を介して互いに隣接する2つのセラミック誘電体層50が、該金属導体層の層状導体要素30が非形成となる領域にて、平坦な貼り合わせ面にて結合される。それらセラミック誘電体層50の貼り合わせ位置において層状導体要素30は、該層状導体要素30の一方の主表面が貼り合わせ面と層厚方向に一致した位置関係にて形成されてなる。
【選択図】図1
【解決手段】セラミック配線基板2は、金属導体層51を介して互いに隣接する2つのセラミック誘電体層50が、該金属導体層の層状導体要素30が非形成となる領域にて、平坦な貼り合わせ面にて結合される。それらセラミック誘電体層50の貼り合わせ位置において層状導体要素30は、該層状導体要素30の一方の主表面が貼り合わせ面と層厚方向に一致した位置関係にて形成されてなる。
【選択図】図1
Description
この発明は、セラミック配線基板と、それを用いた部品実装済み配線基板に関する。
従来、パッケージ基板や回路モジュールに使用される配線基板として、比較的高密度の配線が可能なセラミック配線基板が多用されている(例えば特許文献1等を参照)。該セラミック配線基板はセラミック誘電体層と金属導体層とを交互に積層したものであり、必要に応じてその表面に半導体部品が実装される。このようなセラミック配線基板は、従来、セラミック特有の高誘電特性を利用して、携帯電話や無線LANなどの移動体通信機器や光通信インターフェース等への利用が積極的に進められてきたが、近年、CPUやマイクロプロセッサのクロック周波数が数百MHz域から数GHzもの高周波域に移行しており、これらの半導体部品用のパッケージ基板としての用途も拡大している。
また、半導体部品をパッケージ基板を介してマザーボード等に接続する場合、マザーボード側の構成材料が線膨張係数の比較的大きい高分子材料(例えば15〜50ppm/℃)が主体となるのに対し、接続される半導体部品は、例えばSi系部品の場合、線膨張係数が3ppm/℃前後と小さい。従って、半導体部品/パッケージ基板/マザーボード相互間、特にフリップチップ接続される半導体部品とパッケージ基板との接続の信頼性を確保するためには、パッケージ基板の構成材料と、半導体部品との線膨張差を縮小し、半田リフロー工程や部品動作時の発熱に由来する熱的応力を軽減できるようにすることが必要である。高分子材料よりも線膨張係数の小さいセラミックにてパッケージ基板を構成することは、この観点においても有効である。
近年、上記のようなセラミック配線基板は、実装されるLSIやICの小型化ないし高集積化の流れを受けて、組み込まれる配線構造がますます複雑化し、また、配線やビアなどの導体要素の寸法や配置間隔は縮小の一途をたどっている。従来、セラミック配線基板は、セラミック粉末を樹脂バインダとともに成形したグリーンシートにビアホールを穿設し、金属ペーストを用いてこのビアホールを充填しつつ配線部等の導体要素パターンを印刷形成し、これを積層して焼成することにより製造されていた。しかし、この方法は、焼成時にグリーンシートの積層体に相当の収縮が生ずるとともに、収縮量のばらつきも大きいため、配線高密度化ないし小型化に伴う配線幅ないし配線間ピッチの狭小化やビア形成の位置精度確保には、もはや対応できなくなりつつある。
さらに、上記従来の方法では、図29に示すように、導体パターン130がグリーンシート150の主表面に一定の突き出高さをもって印刷形成され、その上に別のグリーンシート150が積層・圧着されるため、導体パターン130は2つのグリーンシート150,150間でつぶれやすい傾向にあり、グリーンシート150にも導体パターン130の形状に対応した変形や波打ちが生ずる。この積層体を焼成して得られる導体要素30は、2つのグリーンシート150,150に基づくセラミック導体層50,50の接合境界BPの延長を基準面BP’としたとき、その基準面BP’の両側のセラミック導体層50,50にまたがった形で(あるいは食い込んだ形で)形成されることになる。図30左に示すように、導体要素30の周囲に生ずるグリーンシート150ひいてはセラミック導体層50の変形は、積層体の厚さ方向に累積するため、端子接続用パッド155が形成される基板主表面に生ずる起伏も大きくなり、パッド155のコプラナリティの悪化、ひいては部品端子接続の信頼性低下につながりやすい欠点がある。
また、従来のセラミック配線基板においては、セラミックと、配線やビアを形成するための金属ペーストパターンとを同時焼成することが前提だったため、アルミナや窒化珪素、あるいは窒化アルミニウムといった焼成温度の高いセラミックの場合、その焼成温度でも溶融・流出しない高融点金属(例えば、MoやWなど)を導体材料として用いなければならなかったり、逆に、導電性の高い金属(例えばCu等)を採用したい場合は、これと同時焼成が可能なように焼成温度が調整されたセラミック(例えば、高融点セラミックとガラスとの複合セラミック材料)を誘電体層の材質として用いる必要が生ずるなど、材質選定に非常に大きな制約があった。前者の場合は導体の電気伝導率に難を生じやすく、後者の場合は、金属との同時焼成性の制約のためセラミックの材質が限定され、例えば半導体部品との線膨張係数差を一定以上に縮小できないなどが、大きな問題となっている。
本発明の課題は、実装される半導体部品の小型化ないし高集積化に伴い、組み込まれる配線構造が複雑化ないし微細化しても、これらを簡便かつ高精度に形成でき、また、導体要素の周囲にてセラミック誘電体層の変形がほとんど生じず、端子接続用のパッドが形成される基板主表面の平坦性を大幅に向上できるセラミック配線基板、及びセラミック誘電体と実装される電子部品(特に半導体部品)との線膨張係数差を可及的に縮小でき、ひいてはフリップチップ等による端子接続の信頼性を大幅に向上できるセラミック配線基板と、それを用いた部品実装済み配線基板とを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のセラミック配線基板の製造方法は、
緻密化したセラミック材料からなる単位板材の板厚方向にビアホールを形成し、また、該単位板材の少なくとも一方の主表面側に、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素を収容する導体収容凹部を形成し、前記ビアホールに前記ビア導体となる金属材料を充填し、さらに、前記導体収容凹部に前記層状導体要素をなす金属材料を充填することにより金属充填済み単位板材を作製し、
該金属充填済み単位板材を板厚方向に積層して貼り合わせることにより、前記単位板材によりセラミック誘電体層が形成され、前記層状導体要素により金属導体層が形成されたセラミック配線基板を得るとともに、
前記貼り合わせ前又は前記貼り合わせ後において、緻密化したセラミック材料からなる前記単位板材の少なくとも一つのものの主表面に、回路素子を構成する導体パターンを後付け成膜することを特徴とする。
緻密化したセラミック材料からなる単位板材の板厚方向にビアホールを形成し、また、該単位板材の少なくとも一方の主表面側に、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素を収容する導体収容凹部を形成し、前記ビアホールに前記ビア導体となる金属材料を充填し、さらに、前記導体収容凹部に前記層状導体要素をなす金属材料を充填することにより金属充填済み単位板材を作製し、
該金属充填済み単位板材を板厚方向に積層して貼り合わせることにより、前記単位板材によりセラミック誘電体層が形成され、前記層状導体要素により金属導体層が形成されたセラミック配線基板を得るとともに、
前記貼り合わせ前又は前記貼り合わせ後において、緻密化したセラミック材料からなる前記単位板材の少なくとも一つのものの主表面に、回路素子を構成する導体パターンを後付け成膜することを特徴とする。
本発明において「緻密化したセラミック材料」とは、相対密度(材料の(空隙等を含んだ)見かけ密度を理論密度によって規格化したものである)にて85%以上の密度を有するセラミック材料のことであり、粉末原料の焼成によって製造される焼成セラミックの場合は、該焼成によって上記相対密度以上に高密度化したセラミックをいう。他方、ガラス材料(ガラス相と、それよりも高融点のセラミック相との複合材料(いわゆるガラスセラミック材料)を概念として含む)の場合は、ガラス相の溶融により気泡等が離脱して、上記相対密度以上に高密度化したセラミックをいう。
図30右に示すように、本発明の配線基板は、配線部、面導体あるいはパッドをなす金属製の層状導体要素(30)を挟んで隣接する2つのセラミック誘電体層(50)が、層状導体要素(30)の形成されない領域おいて貼り合わせ面(10)にて結合される。そして、それらセラミック誘電体層(50)の貼り合わせ位置において層状導体要素(30)は、該層状導体要素(30)の一方の主表面(MPL)が貼り合わせ面(10)と層厚方向に一致した位置関係にて形成される。該構造の採用により、図30左に示す従来型のセラミック配線基板と比較して、導体要素(30)の周囲にてセラミック誘電体層の変形がほとんど生じず、端子接続用のパッドが形成される基板主表面の平坦性を大幅に向上できる。
また、本発明の部品実装済み配線基板は、上記本発明のセラミック配線基板と、
該セラミック配線基板の第一主表面に形成された前記端子接続パッドアレイに接続された電子部品と、を有することを特徴とする。この構成によると、本発明のセラミック配線基板を使用するため、端子接続用のパッドアレイが形成される基板主表面の平坦性、ひいてはパッドアレイのコプラナリティーが大幅に向上し、多数の端子が密集した集積回路部品が実装される場合でも接続不良等の不具合発生を低減することができる。
該セラミック配線基板の第一主表面に形成された前記端子接続パッドアレイに接続された電子部品と、を有することを特徴とする。この構成によると、本発明のセラミック配線基板を使用するため、端子接続用のパッドアレイが形成される基板主表面の平坦性、ひいてはパッドアレイのコプラナリティーが大幅に向上し、多数の端子が密集した集積回路部品が実装される場合でも接続不良等の不具合発生を低減することができる。
図30に戻り、層状導体要素(30)の一方の主表面(MPL)を、セラミック誘電体層(50)の貼り合わせ面(10)と層厚方向に一致させる構造を得るには、セラミック誘電体層(50)を緻密なセラミック材料からなる要素板材として用意し、その要素板材の一方の主表面側に、導体要素(30)を収容するスペースとしての導体収容凹部(30h)を予め確保しておくことが必須である。つまり、薄いグリーンシートは可撓性が高すぎて、ペースト状態の導体パターンを挟み込んだだけでも簡単に変形を生じてしまい、それらの貼り合わせ面と層状導体要素の主表面とが面一的に合わせ込まれた構造を得るようなことは全く不可能である(セラミック配線基板の製造工程を記載した多くの従来技術文献では、配線部主表面とセラミック誘電体層の結合面とを面一化して図示しているものも多く見出されるが、これらは視覚的な構造把握を容易にするための方便に過ぎず、グリーンシートの積層・焼成により製造した実際の基板が、そのような形態を呈するものとならないことは、当業者には自明であろう)。
具体的には、上記本発明のセラミック配線基板は、下記の方法を採用して製造することができる。すなわち、緻密化したセラミック材料からなる単位板材の板厚方向にビアホールを形成し、また、該単位板材の少なくとも一方の主表面側に、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素を収容する導体収容凹部を形成し、ビアホールにビア導体となる金属材料を充填し、導体収容凹部に層状導体要素をなす金属材料を充填することにより金属充填済み単位板材を作製し、該金属充填済み単位板材を板厚方向に積層して貼り合わせることにより、上記単位板材によりセラミック誘電体層が形成され、上記層状導体要素により金属導体層が形成されたセラミック配線基板を得る。
上記の方法を採用すれば、層状導体要素の一方の主表面を、セラミック誘電体層の貼り合わせ面と層厚方向に一致させる基板構造が簡単に得られるのはもちろんであるが、さらに、次のような有益かつ重要な技術的効果が得られる。すなわち、上記方法では、既に緻密化したセラミック材料の状態で、ビア導体を形成するためのビアホールと、層状導体要素を充填するための凹部とを形成し、また、それらビアホールと凹部とに金属材料を充填して、金属充填済み単位板材を作製する。該金属充填済み単位板材は、当然、従来のグリーンシートのごとき緻密化のための焼成は不要だから、以降の工程(例えば充填した金属材料の緻密化や、単位板材の貼り合わせのための熱処理など)で寸法的に大きく収縮するようなことは全くない。従って、単位板材に導体収容凹部やビアホールを一旦高精度に形成してしまいさえすれば、従来工程のごとき焼成収縮の影響を受けることなく、その精度を最終的な配線基板に引き継ぐことができる。また、既に緻密化したセラミック材料の状態で配線部を含む層状導体要素を後形成するため、配線部の幅や厚さを自由に制御でき、例えば大電流用の断面積の大きい配線を密集形成するようなことも比較的容易である。 例えば金属導体層に形成される配線部の配線幅が0.1μm以上150μm以下の数値範囲であれば、従来は基板内での配線幅のバラツキが、配線幅の平均値に対して20〜25%もの範囲に及んでいた。その原因は、例えば上記の焼成収縮の問題の他、配線パターンを金属ペーストの印刷により形成する際の、ペーストのにじみなどによってももたらされる。しかし、本発明の採用により、上記基板内での配線幅のバラツキは、配線幅の平均値に対して±10%以内に収めることが十分に可能となる(例えば配線幅の平均値が50μm以上100μmであれば、バラツキの範囲は±5μmないし10μmとすることができる)。
導体収容凹部やビアホールの形成は、フォトリソグラフィー技術やレーザー加工などのミクロ加工技術を採用することで、ミクロンないしサブミクロンオーダーの寸法精度にて行なうことが比較的容易である。例えば、セラミックグリーンシートを用いた従来の工程においても、配線印刷用マスクの形成にフォトリソグラフィー技術が採用され、ビア穿設にはレーザー加工も採用されている。この場合、セラミックグリーンシートの段階であれば、ビアや配線部の位置や寸法の精度をある程度は確保することができた。しかし、如何に高精度の加工技術を採用しようとも、収縮率の異なる金属との同時焼成を行うため、収縮のバラツキが大きく、最終的に得られる配線基板でのビアや配線部の位置ないし寸法にその精度を反映するようなことは、全く望むべくもなかった。
また、上記ミクロ加工技術のパターニングスケールは実質的にサブミクロンオーダーに及ぶから、加工のスケールだけで考えれば配線部の幅や配線間距離も相当な微細化が可能である。しかし、上記のセラミックの焼成収縮に加え、金属ペースト(インク)を用いた印刷の精度、具体的にはペーストのにじみの問題や、グリーンシートを積層したときのパターンつぶれの影響により、配線を過度に微細化すると、断線や隣接配線間の短絡などの発生頻度が非常に高くなってしまう。その結果、従来法によるセラミック配線基板の製造工程では、配線部幅及び配線間距離は100μm程度まで縮小するのが精一杯の状況であった。
しかし、緻密化したセラミック材料の状態であれば、上記のミクロ加工技術のいわば限界にまで配線部の微細化を推し進めることが可能となる。つまり、配線部を形成するには、上記の単位板材に導体収容凹部を配線収容溝として形成し、ここに層状導体要素としての配線部を配置すればよいのであるが、剛性の高い緻密化したセラミック板(単位板材)に形成された凹部内に配線部が収容されるため、これを積層して貼り合わせても配線部のつぶれが生ずる心配はほとんどない。その結果、配線幅と配線間隔は、配線収容溝の加工精度が許す範囲内でいくらでも縮小することができる。その結果、金属導体層に形成される配線部の配線幅及び配線間領域の幅(複数平行に隣接する配線収容溝間に位置する線間領域の幅)はいずれも、グリーンシート上へのパターン印刷・焼成による従来の製法では不可能だったレベル、すなわち、0.1μm以上70μm以下を実現することができ、ひいてはセラミック配線基板のさらなる小型化あるいは高集積化に大きく貢献する。
また、本発明においては、配線部の形成方法の一つとして、配線収容溝内へ金属ペーストを充填し、これを二次焼成する工程を採用することが可能である。しかし、金属ペーストを配線パターンの形成工程を用いたとしても、配線収容溝による規制効果により、金属ペーストのにじみの問題は大幅に抑制できる。さらに、グリーンシートでは剛性不足のため到底不可能だった、無電解メッキ等のメッキ法を用いた層状導体要素(配線部、面導体、パッド)あるいはビア導体の形成も容易に実現可能である。この工程を採用すれば、金属ペーストを用いないために、上記にじみ等の問題は本質的に生じなくなるし、二次焼成による金属ペーストパターンの緻密化も不要になるので、層状導体要素の形成工程を大幅に簡略化することも可能となる。
次に、本発明のセラミック配線基板の第二は、緻密化したセラミック材料からなる複数のセラミック誘電体層と、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素をそれぞれ有する複数の金属導体層とが交互に積層された積層体を有し、その積層体の第一主表面側に半導体部品を接続するための端子接続パッドアレイが形成され、セラミック誘電体層にて隔てられた2つの金属導体層にそれぞれ含まれる層状導体要素同士が、セラミック誘電体層を厚さ方向に貫通して形成されたビアホール内を充填するビア導体により互いに導通接続された構造を有するたセラミック配線基板であって、上記のセラミック材料が、Si成分の含有率がSiO2換算にて68質量%以上99質量%以下であり、Si以外のカチオン成分が、室温から200℃までの温度範囲においてSiO2よりも線膨張係数の大きい酸化物を形成する酸化物形成カチオンにて構成されることにより、1ppm/℃室温から200℃までの平均の線膨張係数が1ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されてなる酸化物系ガラス材料からなることを特徴とする。
室温から200℃までの温度範囲におけるSiO2の線膨張係数は1ppm/℃前後と非常に小さく、それよりも線膨張係数の大きい酸化物を形成する酸化物形成カチオンを含有したガラス材料を用いることにより、その酸化物形成カチオンの種類と含有量に応じてガラス材料の線膨張係数を1ppm/℃以上の任意の値に自由に調整できる。その結果、該ガラス材料を用いたセラミック配線基板は、実装される半導体部品との線膨張係数の差を可及的に縮小することができる。また、それを用いた部品実装済み配線基板は、フリップチップ接続等による半導体部品との端子接続状態の信頼性を大幅に向上させることができる。
接続対象となる半導体部品がSi半導体部品である場合は、Siの線膨張係数が3ppm/℃前後であることから、酸化物系ガラス材料の線膨張係数は1ppm以上6ppm以下、特に、2ppm/℃以上5ppm/℃以下に調整することが望ましい。他方、接続対象となる半導体部品がGaAsと格子整合するIII−V族化合物からなる化合物半導体部品である場合、該半導体の線膨張係数が5〜6ppm/℃程度なので、酸化物系ガラス材料の線膨張係数が4ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されていることが望ましい。いずれの場合も、基板に実装された部品との端子接続構造に、部品/基板間の線膨張係数差に基づく熱的な剪断応力が作用しにくくなり、接続破断などの不具合発生確率を大幅に減ずることができる。
この場合、酸化物系ガラス材料のSiO2の含有率が68質量%未満では、ガラス材料の線膨張係数を7ppm/℃以下に留めることが困難となり、半導体部品との間の線膨張係数差を十分に縮小できなくなる。99質量%を超えると、ガラス融点が上昇し、気泡残留等の小さい良質のガラスをガラスの製造コストが増大する。また、ガラス材料の線膨張係数1ppm/℃以上に確保することが難しくなる場合もある。
本発明のセラミック配線基板の第二にて使用される酸化物系ガラス材料は、上記のようにSiO2を多く含有し、融点も比較的高くなりやすい傾向にある。従って、導電率の高いCu系金属等で層状導体要素やビア導体を構成しようとした場合、ガラス材料の融点が高いために、Cu系金属等と同時焼成しようとすると、ガラス材料の緻密化を優先しようとすれば、配線部やビア導体の溶融や変形が起こりやすく、特に微細な配線部を形成する場合は短絡等も問題になりやすい。また、焼成温度をそれより下げればガラス材料の緻密化が十分に進まず、誘電特性の悪化や基板強度の低下につながりやすい。
従って、本発明のセラミック配線基板の第二を実現するには、緻密化したセラミック材料からなる単位板材を予め作製し、その単位板材にビア導体と層状導体要素とを作りこんだ金属充填済み単位板材を作製し、該金属充填済み単位板材を板厚方向に積層して貼り合わせ前述の方法を採用することが極めて有効である。つまり、この方法であると、すでに緻密化している単位板材を用いるので、単位板材に使用するガラス材料の融点に制約されずに、ビア導体と層状導体要素を形成する金属の選定を行なうことができる。また、該方法の採用により、本発明のセラミック配線基板の第二は、既に説明した本発明のセラミック配線基板の第一を合わせ備えたものとして構成することが可能となり、該セラミック配線基板の第一の効果も同時に達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるセラミック配線基板2を断面構造にて模式的に示すものである。セラミック配線基板2は、緻密化したセラミック材料からなる複数のセラミック誘電体層50と、配線部30、面導体56又はパッド154からなる層状導体要素(以下、配線部の符号で代表させて層状導体要素30と記載することがある)をそれぞれ有する複数の金属導体層51とが交互に積層された積層体を有する。その積層体の第一主表面MP1には、集積回路部品として構成された電子部品としての半導体部品1を接続するための端子接続パッドアレイ154が形成されている。なお、半導体部品1に代え、インターポーザなどの別の基板を電子部品として接続してもよい。
図1は、本発明の一実施例であるセラミック配線基板2を断面構造にて模式的に示すものである。セラミック配線基板2は、緻密化したセラミック材料からなる複数のセラミック誘電体層50と、配線部30、面導体56又はパッド154からなる層状導体要素(以下、配線部の符号で代表させて層状導体要素30と記載することがある)をそれぞれ有する複数の金属導体層51とが交互に積層された積層体を有する。その積層体の第一主表面MP1には、集積回路部品として構成された電子部品としての半導体部品1を接続するための端子接続パッドアレイ154が形成されている。なお、半導体部品1に代え、インターポーザなどの別の基板を電子部品として接続してもよい。
他方、半導体部品1は部品側端子パッド101を有し、基板側のパッドアレイ155にこれら部品側端子パッド101が半田接続部102を介してフリップチップ接続されることにより面実装され、基板2とともに部品実装済み配線基板40を構成する。一方、セラミック配線基板2は、セラミック誘電体層50にて隔てられた2つの金属導体層51にそれぞれ含まれる層状導体要素30同士が、セラミック誘電体層50を厚さ方向に貫通して形成されたビアホール35h内部を充填するビア導体35により互いに導通接続された構造を有する。ビア導体35は、金属導体層51に形成されたビア受け用のパッド154、ないしグランド層ないし電源層として機能する面導体56に結合される。また、セラミック配線基板2の第二主表面には、該基板2自身をマザーボード等の接続先基板に実装するためのパッドアレイ156(例えばBGAパッドあるいはPGAパッドからなる)が形成されている。
図2に示すように、金属導体層51を介して互いに隣接する2つのセラミック誘電体層50は、該金属導体層の層状導体要素30が非形成となる領域にて、平坦な貼り合わせ面10にて結合されている。そして、それらセラミック誘電体層50の貼り合わせ位置において層状導体要素30が、該層状導体要素30の一方の主表面MPLが貼り合わせ面10と層厚方向に一致した位置関係にて形成されてなる。既に説明したごとく、この構造により、図1において、端子接続用パッドアレイ155が形成される基板主表面の平坦性、ひいてはパッドアレイ155のコプラナリティーが大幅に向上し、半導体部品1との間で接続不良等の不具合発生を低減することができる。
図2に戻り、層状導体要素30の一方の主表面MPLを、セラミック誘電体層50の貼り合わせ面10と層厚方向に一致させる構造を得るには、図6に示すごとく、セラミック誘電体層50となる要素板材50’を用意し、その要素板材50’の一方の主表面側に、導体要素30を収容する導体収容凹部30hを予め確保しておく必要がある。導体収容凹部は、図7に示すように、配線部を収容するための配線収容溝30h以外に、パッドを収容するためのパッド収容凹部154h、さらには、図示はしていないが、面導体を収容するための面導体収容凹部として形成される。以下の説明では、配線収容溝30hの符号にて代表させ、導体収容凹部30hと記載することもある。また、要素板材50’には、ビア導体を収容するためのビアホール35hが、導体収容凹部30h(154h)に連通するように、板材厚さ方向に貫通形成される。
上記セラミック配線基板2の製造工程の概略は、下記の通りである。まず、図16に示すように、緻密化したセラミック材料からなる単位板材50’の板厚方向にビアホール35hを形成し、また、該単位板材50’の少なくとも一方の主表面側に、配線部30、面導体56又はパッド154からなる層状導体要素30を収容する導体収容凹部30hを形成する。さらに、ビアホール35hにビア導体35となる金属材料を充填し、導体収容凹部30hに層状導体要素30をなす金属材料を充填することにより金属充填済み単位板材55を作製する(後述の通り、導体収容凹部30hと、この内側に充填される金属材料部分との形成順序は逆転することもある)。そして、図21又は図24に示すように、該金属充填済み単位板材55を板厚方向に積層して貼り合わせることにより、単位板材50’によりセラミック誘電体層50が形成され、層状導体要素30により金属導体層が形成されたセラミック配線基板2を得る。図21と図24の工程の違いは、金属充填済み単位板材55を熱圧着により直接貼り合わせるか、接着層51を介して貼りあわせるか、という点にあるが、詳細は後述する。
上記の方法の採用により、図2に示すごとく、層状導体要素30の一方の主表面を、セラミック誘電体層50の貼り合わせ面と層厚方向に一致させた構造が得られることは容易に理解できる。また、既に緻密化したセラミック材料の状態で、ビア導体35を配置するためのビアホール35hと、層状導体要素30を充填するための凹部30hとを形成し、そこに金属材料を充填する工程が採用されるため、従来のようにグリーンシート積層後における緻密化のための焼成が実施されない。つまり、積層の対象となる金属充填済み単位板材55は、積層段階では既に収縮が終わっており、以降の工程(例えば充填した金属材料の緻密化や、単位板材の貼り合わせのための熱処理など)での大幅な寸法縮小が生じない。従って、後述の種々の方法により、単位板材50’に導体収容凹部30hやビアホール35hを一旦高精度に形成してしまいさえすれば、焼成収縮の影響を受けることなく、その精度を最終的な配線基板2に引き継ぐことができる。
例えば、上記の単位板材50’に形成された配線収容溝30hに配線部30が配置されるが、剛性の高い緻密化したセラミック板(単位板材)50’の状態で凹部30h内に配線部30が収容され、これを積層して貼り合わせるので、ペースト印刷パターンのように、積層時につぶれが生ずる心配はほとんどない。その結果、図3に示すように、配線幅Lと配線間隔S(複数平行に隣接する配線収容溝39h間に位置する線間領域32の幅)とは、配線収容溝30の加工精度が許す範囲内でいくらでも縮小することができる。その結果、上記配線幅L及び配線間領域の幅Sはいずれも、0.1μm以上70μm以下を実現することができる。この数値は、グリーンシート上へのパターン印刷・焼成による従来の製法では到底実現不可能であり、セラミック配線基板2のさらなる小型化あるいは高集積化に大きく貢献する。
以下、さらに詳細に説明する。セラミック配線基板は近年低背化が求められる傾向にあり、セラミック誘電体層50(単位板材50’)も5μm以上200μm以下(好ましくは50μm以上100μm以下)程度の薄いものが必要となる。本発明では、基板製造に際して単位板材50’は、上記厚さのものを単独でハンドリングする必要があり、しかも、製造時には、10〜20もの配線基板を一括製造するために、縦横に複数個の基板が格子状に配列・一体化された大判状態でのハンドリングが求められる。従って、大判の大面積状態でもたわみ変位に十分耐えることができるように、なるべく剛性の高い材質、すなわちヤング率のなるべく高い材質(具体的には10GPa以上)を選定することが望ましい。
セラミック誘電体層50(単位板材50’)は、具体的にはガラス材料板にて構成できる。ガラス材料は、組成による融点(あるいは軟化点)調整が容易で、緻密で気泡の少ない薄板を効率よく製造できる利点を生ずる。具体的には、図4に示すように、溶融ガラス60を板状に成形したガラス材料板62は、例えばロール61を用いたロール成形法を採用することにより、厚さの調整を高精度に行なうことができ、製造能率も高く安価である。
ガラス材料は、具体的には、骨格成分が二酸化珪(シリカ)であるシリカ系ガラスを使用することができる。セラミック誘電体層としての用途に適した物性調整を行なうため、SiO2以外の種々のガラス添加成分を配合することができる。溶融ガラスの流動性を高め、気泡残留等を抑制する観点においては、煤溶材成分として、Na2O、K2OあるいはLI2Oなどのアルカリ金属酸化物や、B2O3(硼酸)の配合が有効である。ただし、前者の配合量が過剰になるとガラスの誘電率特性が悪化する惧れがあり、B2O3の配合量が過剰になると、ガラスの水への溶解度が大きくなり、水や水溶液との接触を伴う後工程(例えばメッキ工程など)でのガラスの溶出が問題となる場合がある。
他方、BaOやSrOなどのアルカリ土類金属酸化物を添加すると、ガラス材料の誘電率特性を向上させることができる。しかし、過剰の添加は、ガラスの線膨張係数の増大、ひいては部品側との線膨張係数差の拡大を招きやすくなり、熱応力による接続不良などにつながる場合がある。また、ガラス軟化点の上昇により流動性低下が著しくなり、気泡残留等の不具合を招く場合がある。
なお、ガラスの線膨張係数の増大抑制には、SiO2成分の含有率を高めること(例えば70質量%以上(100質量%含む)、あるいはZnOをガラス添加成分として配合することがそれぞれ有効である。一方、Ti、ZrないしHfの酸化物は、ガラスの誘電率特性向上の他、ガラスの耐水性改善にも効果がある。しかし、過剰の添加は、ガラス軟化点の上昇により流動性低下が著しくなり、気泡残留等の不具合を招く場合がある。
シリカ系ガラス材料(酸化物系ガラス材料)は、Si成分の含有率がSiO2換算にて68質量%以上99質量%以下であり、Si以外のカチオン成分が、室温から200℃までの温度範囲においてSiO2よりも線膨張係数の大きい酸化物(以下、線膨張係数調整用酸化物という)を形成する酸化物形成カチオンにて構成されることにより、1ppm/℃室温から200℃までの平均の線膨張係数が1ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されたものを採用することにより、(線膨張係数がSiO2より大きい)酸化物成分の種類と含有量とに応じて、ガラス材料の線膨張係数を1ppm/℃以上の任意の値に自由に調整できる。その結果、図1において、セラミック配線基板2は、実装される半導体部品1との線膨張係数の差を可及的に縮小することができ、半田接続部102を介した基板側のパッドアレイ155と部品側端子パッド101との接続が、該線膨張係数差に基づく熱的な剪断応力により破断したりする不具合を大幅に現することができ、接続の信頼性を高めることができる。半導体部品1がSi半導体部品(室温から200℃までの平均の線膨張係数:3ppm/℃)の場合、シリカ系ガラス材料の線膨張係数は1ppm以上6ppm以下、特に、2ppm/℃以上5ppm/℃以下に調整することが望ましい。他方、半導体部品1がGaAsと格子整合するIII−V族化合物からなる化合物半導体部品(例えばGaAs系の次世代型高速CPUやMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit))である場合、該半導体の線膨張係数が5〜6ppm/℃程度なので、シリカ系ガラス材料の線膨張係数が4ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されていることが望ましい。
SiO2よりも線膨張係数の大きい酸化物は、アルカリ金属酸化物(Na2O、K2O、Li2O:20〜50ppm/℃)、アルカリ土類金属酸化物(BeO、MgO、CaO、SrO、BaO:8〜15ppm/℃)、ZnO(6ppm/℃)、Al2O3(7ppm/℃)など、種々例示でき、誘電特性や融点、さらにはガラス流動性などを考慮して適宜選定すればよい。なお、SiO2の含有率は、線膨張係数を上記範囲内のものとするために、68質量%以上99質量%以下(好ましくは80質量%以上85質量%以下)に調整し、残部を上記の線膨張係数調整用酸化物にて構成することができる。
以下は、本発明に採用可能なガラス組成の具体例である:
SiO2:80.9質量%、B2O3:12.7質量%、Al2O3:2.3質量%、Na2O:4.0質量%、K2O:0.04質量%、Fe2O3:0.03質量%
軟化点:821℃、線膨張係数(20℃から200℃までの平均値):3.25ppm/℃
SiO2:80.9質量%、B2O3:12.7質量%、Al2O3:2.3質量%、Na2O:4.0質量%、K2O:0.04質量%、Fe2O3:0.03質量%
軟化点:821℃、線膨張係数(20℃から200℃までの平均値):3.25ppm/℃
他方、セラミック誘電体層50(単位板材50’)は、粉末セラミック原料を焼成して得られる焼成セラミック板にて構成することもできる。図5に示すように、周知のセラミックグリーンシート130(セラミック原料粉末を、高分子材料からなる結合材、さらには分散剤、解膠剤及び溶媒などとともに混練し、シート状に成形したものである)を焼成することにより、焼成セラミック板64を簡単に得ることができる。
この場合、従来の工程との違いは、セラミックグリーンシート130を、配線パターン非形成の状態で積層せずに単体で焼成する点にある。なお、ビアホールに関しては、焼成後の板材に穿設することが、寸法や形成位置の精度を向上させる観点でより望ましいが、セラミックグリーンシート130の状態でビアホールを形成することも可能である。従来工程のごとく、配線部、面導体、パッドあるいはビアなど、金属粉末(ペースト)からなる導体パターンと何層も重ね合わせた状態で同時焼成を行なうと、セラミックと金属粉末との焼成収縮率の大幅に異なるために、その収縮率差に伴う不均一応力の影響を受けて、パターンの変形や位置ずれが著しくなる。しかし、あくまでセラミックグリーンシート130を単独で焼成するのであれば、金属粉末との焼成収縮率差による影響はなくなり、ビアホールを形成して焼成を行なっても、寸法ないし形成位置の精度は比較にならないほど改善される(セラミックグリーンシート130にビアホールを形成する方法としては、打抜加工やレーザー加工を採用できる)。
焼成セラミック板を採用する場合、使用するセラミックの具体的な材質としては、誘電率特性に優れて、しかも薄板状態でも後述のハンドリングに耐える剛性(ヤング率)を有し、かつ、線膨張係数が比較的小さい材質として、窒化珪素系焼成セラミック(約3ppm/℃)又は窒化アルミニウム系焼成セラミック(約4ppm/℃)を好適に採用することができる。この場合、窒化珪素ないし窒化アルミニウムからなる主相の含有比率が80質量%以上99質量%以下であり、残部が焼結助剤成分に由来したガラス相となっている組成のものを使用することが望ましい。主相の含有比率が99質量%を超えるとセラミックの緻密化が困難となり、80質量%未満になると、焼結助剤に由来した粒界相(ガラス相比率が増加し、所期の線膨張係数が得られなくなる場合がある。窒化珪素ないし窒化アルミニウムは、いずれも線膨張係数がSiに近く、Si半導体部品との線膨張係数差の縮小に有効である。
緻密化したセラミックからなる単位板材には、ビアホール及び導体収容凹部を種々の方法により個別形成できる。最初に、ビアホールの形成方法から説明する。図8はショットブラスト処理を用いる方法を示している。すなわち、工程1のごとく、ビアホールウィンドウ202を有したマスク材201で単位板材50’の主表面をまず覆う。次いで、工程2のように、その覆われた主表面に研削砥粒162を投射するショットブラスト処理を行なって、ビアホールウィンドウ202に対応したパターンにてビアホール35hを穿設する。ショットブラストによるセラミックの研削速度は、後述の化学的なエッチングの速度よりも相当大きく、ビアホールの加工を迅速に行なうことができる利点がある。マスク材201は高分子材料にて構成でき、感光性高分子材料ないしフォトレジストを使用することにより、微細なビアホールパターンを周知のフォトリソグラフィー技術により簡便に形成できる。
ショットブラストノズル160は、複数個のビアホールウィンドウ202を包含できる投射面積を有したものを使用することにより、多数のビアホール35hを効率的に形成することが可能となる。また、マスク材201は、ショットブラスト処理時において極端に早く摩耗が進行すると、十分な深さのビアホール35hが形成される前にマスクの消耗が著しくなり、ビアホールウィンドウ202が拡大して所期の開口寸法のビアホール35hが得られなくなる。従って、マスク材201は、セラミック材料よりも摩耗しにくい高分子弾性材料(つまり、自身の弾性変形により、研削砥粒の衝突を吸収しやすい材料)にて構成しておくのがよい。このようなマスク材用の高分子材料の市販品としては、ALPHO202J40(ニチゴーモートン(株):アルカリ現像型ドライフィルム(アクリル系):層厚約40μm)を例示できる。
一方、図9は、ビアホールをエッチングにより形成する例を示すものである。すなわち、ビアホールウィンドウ204を有したマスク材203で単位板材50’の主表面を覆い、その覆われた主表面にエッチング処理を行なって、ビアホールウィンドウ202に対応したパターンにてビアホール35hを穿設する。エッチングは化学エッチングにより行なうことができ、そのエッチャントは単位板材50’の材質に応じて選定する。例えば、シリカ系ガラス材料の場合は、フッ酸系のエッチャントを使用できる。マスク材203は周知のフォトレジストにて構成でき、通常のフォトリソグラフィー技術を用いてアホールウィンドウ202をパターニングできる。ビアホールの穿孔速度はショットブラスト処理よりも小さいが、エッチャント浴中に単位板材50’を浸漬しておくだけでビアホール形成できる簡便性があり、また、大面積の単位板材50’を一括処理できる利点もある。
単位板材50’には、ビアホール35hをレーザーLBにより穿設することも可能である。この場合、使用可能なレーザーLBとしては、例えば炭酸ガスレーザーが、設備が比較的簡略で加工能率も高いことから、本発明に好適に採用できる。他方、より微細な加工を行ないたい場合は、レーザービーム径をより小さく絞ることができるよう、発振波長のより短いレーザー(例えばYAGレーザー、エキシマレーザー、あるいは半導体レーザー)を用いることが有効である。なお、レーザー光からの熱吸収を促進して加工効率を高めるために、単位板材50’を構成するセラミックにCr2O3等の着色用の顔料を配合しておくと好ましい場合がある(特に、透光性の高いガラス材料を使用する場合)。
次に、導体収容凹部の形成方法について述べる。基本的にはビアホールの形成と類似の方法を採用できる。図11は、ショットブラスト処理を用いる方法を示しており、凹部パターンウィンドウ202’を有したマスク材201’で単位板材50’の主表面を覆い、その覆われた主表面に研削砥粒162を投射するショットブラスト処理を行なって、パターンウィンドウ202’に対応した導体収容凹部30hを形成する。これにより、導体収容凹部30hの加工を迅速に行なうことができる。ここでも、マスク材201’を、ショットブラスト処理時においてセラミック材料よりも摩耗しにくい高分子弾性材料にて構成することが望ましい。
また、図12は、導体収容凹部30hをエッチングにより形成する例を示すものである。すなわち、凹部パターンウィンドウ204’を有したマスク材203’で単位板材50’の主表面を覆い、その覆われた主表面にエッチング処理を行なって、凹部パターンウィンドウ204’に対応したパターンにて導体収容凹部30hを形成する。エッチャント浴中に単位板材50’を浸漬しておくだけで、複雑な配線パターンを含む導体収容凹部30hを形成できる簡便性がある。また、導体収容凹部30hはビアホール35hよりは浅いためエッチング代が小さく、大面積の単位板材50’を一括処理できることとも合わせて、ビアホールをエッチング形成する場合よりは効率的に処理が行なえる利点がある。
なお、同じ単位板材50’にビアホールと、これに連通する導体収容凹部とを形成する場合、それらの形成順序は、図6に示すように、ビアホールの形成を先に行なうほうが好ましい。すなわち、形成後の単位板材に、凹部パターンウィンドウを有したマスク材を形成し、該マスク材を用いて導体収容凹部を形成するのがよい。図7に示すように、ビアホール35hの開口面積は導体収容凹部(ここではパッド収容凹部154h)の開口面積よりも小さく、導体収容凹部を先に形成してしまうと、その底に開口するビアホール35hを形成する場合、マスク材が導体収容凹部の位置で凹み、フォトリソグラフィーによりビアホールウィンドウを形成する際の焦点合わせが行ないにくくなる。また、マスク材を除去した際に、導体収容凹部の底内縁近傍にマスク材の一部が残留しやすく、コンタミの原因になる場合がある。
図13は、単位板材50’に導体収容凹部30hをレーザーLBにより形成する例を示している。レーザーLBの走査により配線パターンをマスクなしで刻設できる利点があるが、複雑な配線パターンの場合に加工に時間を要するため、基板サンプル等を一品的に製作する場合等に向いている。
また、図15は、刻印部材を用いた導体収容凹部の形成方法を示すものである。この場合、単位板材50’はガラス材料にて構成する必要がある。具体的には、該単位板材50’をガラス材料の軟化点以上に加熱し、その状態で導体収容凹部30hに対応した凸部パターン206を有する刻印部材205を、当該軟化した単位板材50’の主表面に押し付けることにより、凸部パターン206を刻印転写して導体収容凹部30hを形成する。刻印部材205は金属にて構成でき、フォトリソグラフィー技術とエッチングとを組み合わせることにより、微細な配線に対応した凸部パターン206であっても容易に形成できる。
以上説明した方法は、いずれも用意されたセラミック板の一部を除去ないし変形させて導体収容凹部を形成するものであったが、セラミック板の主表面上に新たなセラミック層を付加する形で導体収容凹部を形成することも可能である。図14は、その一例を示すものである。セラミック板50aの主表面上に一定厚さの凹部形成用誘電体層50bを、導体収容凹部30hをパターニングした状態で付加することにより、導体収容凹部30hを有した単位板材50’を得ることができる。この方法によると、上記のようなショットブラストやエッチングなどの後工程による導体収容凹部形成が不要となる利点がある。具体的には、凹部形成用誘電体層50bは、セラミック板50a上にセラミック粉末ペーストの塗付層50b’を、導体収容凹部30hをパターニングした形で印刷形成し、さらに塗付層50b’を二次焼成することにより形成できる。この場合、凹部形成用誘電体層50b(セラミック粉末ペースト)は、セラミック板50aよりも低温で焼成可能な材質を使用することが、セラミック板50aの変形等を防止する観点において望ましい。例えば、セラミック板50aをガラス材料板とする場合、凹部形成用誘電体層50bはこれよりも軟化点の低いガラス材料にて形成することができる。また、セラミック板50aを前述の窒化珪素系セラミックあるいは窒化アルミニウム系セラミックなどの焼成セラミックとする場合、凹部形成用誘電体層50bは、該焼成セラミックの融点よりも低温で軟化するガラス材料で構成するとよい。なお、この凹部形成用誘電体層50bを上記のようなガラス材料層として構成する場合は、該ガラス材料層を、単位板材50同士を貼り合わせるための接着層に流用することができる。
一方、凹部形成用誘電体層は、図28の工程1に示すように、導体収容凹部となるべき貫通部30hをパターニング形成した、緻密化したセラミック板50bにて形成することもできる。該、セラミック板50bは、誘電体層50の本体となるべきセラミック板50a(ビアホール35hが形成されている)に、工程2aに示すように熱圧着により貼り合わせるか、又は工程2Bに示すように接着相1を介して貼り合わせることにより、単位板材50’とする。この方法によると、緻密化したセラミック板50bに導体収容凹部を貫通部30hとして形成するので、導体収容凹部の形成精度をさらに向上することができる。
次に、層状導体要素およびビア導体の形成態様について説明する。
まず、図17に示すように、層状導体要素30は、その構成材料となる金属粉末130を、セラミック誘電体層50(単位板材50’)に形成された導体収容凹部30h内に充填した後、セラミック誘電体層50を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものとすることができる。また、ビア導体35は、その構成材料となる金属粉末130をビアホール35h内に充填した後、セラミック誘電体層50(単位板材50’)を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものとして形成することができる。図17において、二次焼成は焼成炉Fを用いて行なっている。
まず、図17に示すように、層状導体要素30は、その構成材料となる金属粉末130を、セラミック誘電体層50(単位板材50’)に形成された導体収容凹部30h内に充填した後、セラミック誘電体層50を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものとすることができる。また、ビア導体35は、その構成材料となる金属粉末130をビアホール35h内に充填した後、セラミック誘電体層50(単位板材50’)を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものとして形成することができる。図17において、二次焼成は焼成炉Fを用いて行なっている。
層状導体要素30やビア導体35の形成に際して、金属ペースト(金属粉末)130でそれらのパターンを形成後、焼成する工程は、グリーンシートに金属ペーストを用いてパターン形成し、焼成する従来の工程と一見類似しているようにも見える。しかし、従来の工程ではセラミックと金属ペーストとの同時焼成が前提であったから、アルミナや窒化珪素、あるいは窒化アルミニウムといった焼成温度の高いセラミックの場合、その焼成温度でも溶融・流出しない高融点金属(例えば、MoやWなど)を導体材料として用いなければならなかったり、逆に、導電性の高い金属(例えばCu等)を採用したい場合は、これと同時焼成が可能なように焼成温度が調整されたセラミックを誘電体層の材質として用いる必要が生ずるなど、材質選定に非常に大きな制約があった。前者の場合は導体の電気伝導率に難を生じやすく、後者の場合は、金属との同時焼成性と線膨張係数調整(具体的には、半導体部品との線膨張係数差をできるだけ縮小すること)とを両立させることが一般には相当困難となる問題がある。しかし、すでに緻密化したセラミック板を単位板材として使用することで、金属粉末130の二次焼成の温度は、セラミックの融点以下の範囲で自由に設定することができる。その結果、セラミックないし金属の材料選定の幅が大幅に拡大できるようになり、上記のようなセラミックの線膨張係数の適正化と、導体の電気伝導率改善とを容易に両立することができるようになる。
また、金属メッキを採用することにより、次のような効果も達成することができる:
(1)形成する導体が始めから緻密であり、金属ペーストの二次焼成を用いる場合のように導体収縮が問題とならないので、導体収容凹部やビアホールの内面に対する導体の結合力を高めることができる。
(2)メッキ工程は、有機結合材のような炭素汚染源となる物質の介在が少ないため、炭素含有量の低い導体をより得やすい利点がある。
(1)形成する導体が始めから緻密であり、金属ペーストの二次焼成を用いる場合のように導体収縮が問題とならないので、導体収容凹部やビアホールの内面に対する導体の結合力を高めることができる。
(2)メッキ工程は、有機結合材のような炭素汚染源となる物質の介在が少ないため、炭素含有量の低い導体をより得やすい利点がある。
従来のグリーンシートは、単体では剛性が低すぎ、また、焼成による収縮を考慮すれば、メッキにより配線パターン等をグリーンシート上に直接形成するようなことは到底不可能であった。つまり、セラミック配線基板であるにもかかわらず、オーガニック配線基板と同様に金属メッキにより層状導体要素30(ビア導体35についても同様))の形成が可能となることは、緻密化した単位板材50’を積層単位として使用する本発明の大きな特徴の一つである。
他方、図18に示すように、層状導体要素30は、セラミック誘電体層50(単位板材50’)に形成された導体収容凹部30h内に充填形成された金属メッキ層30(P)にて構成することもできる。また、ビア導体35を、ビアホール内に充填形成された金属メッキ層35(P)とすることもできる。この場合、導体は、メッキ可能な金属には限定されるものの、セラミックの焼成温度や融点による制約を受けないことには変わりがない。この場合、このメッキは無電解メッキにて行なうことが、単位板材50’へのメッキ導通路形成が不要になるので好ましい。無電解メッキの容易性を考慮すれば、無電解Cuメッキ又は無電解Niメッキを採用するのがよく、導体の導電性向上も考慮すれば無電解Cuメッキを採用することが最も望ましい。
具体的には、工程1のように、導体収容凹部30hあるいはビアホール35hを形成した単位板材50’を用意し、その表面に前処理としての活性化処理を行なう。次に、工程2に示すように、その単位板材50’の、導体収容凹部30hあるいはビアホール35hなどの被メッキ部分を除く表面に、フォトレジストからなるメッキレジスト層207を形成する。そして、工程3に示すように、導体収容凹部30hあるいはビアホール35hに無電解メッキ層30(P)あるいは35(P)を充填形成し、工程4に示すようにメッキレジスト層207を除去すれば、金属メッキ層からなる層状導体要素30ないしビア導体35を得ることができる。なお、メッキレジスト層207を形成せず、単位板材50’の全面に金属メッキ層を形成し、その後、被メッキ部分以外の領域に形成されたメッキ層を、エッチングにより除去するようにしてもよい。
なお、図17では、層状導体要素30及びビア導体35の双方を、金属ペースト充填及び二次焼成により形成している。この方法は、導体収容凹部30hに金属ペースト130を充填する際にビアホール35hにもペーストを同時充填し、さらに二次焼成することで、層状導体要素30とビア導体35とを一括して得ることができる利点がある。また、図18では、層状導体要素30及びビア導体35の双方を金属メッキ(具体的には無電解メッキ)にて形成しており、メッキにより層状導体要素30とビア導体35とを一括して得ることができる利点がある。しかし、両方法を組み合わせること、すなわち、層状導体要素30及びビア導体35との一方を金属ペースト充填及び二次焼成により形成し、他方を金属メッキにより形成することも可能である。例えば、ビアホールのアスペクト比(孔径に対する孔深さ比)が大きく、メッキによる充填が困難な場合は、ビアホールを先にビア導体で埋め(例えば、金属ペーストで充填して二次焼成する)、その後、導体収容凹部を金属メッキ層で充填する方法を採用するとよい。
一方、図19に示すような工程を採用することも可能である。すなわち、工程1に示すように、緻密化したセラミック板材50aを、導体収容凹部30hが形成前であってビアホール35hを形成済みの状態にて用意する。次に、工程2及び工程3に示すように、該セラミック板材50aのビアホール35hにビア導体35を充填し、さらにセラミック板材50aの主表面上に層状導体要素30を突出形成する。本実施形態では、工程2において、マスクMKをセラミック板材50a上に重ね、層状導体要素30に対応したパターンにて形成されたマスクウィンドウを用いて、層状導体要素30とビアホール35hとに金属ペースト130を充填し、工程3に示すように、二次焼成することでビア導体35と層状導体要素30とを一括形成している。
次に、工程4及び工程5に示すように、主表面の層状導体要素30の背景領域を覆う形で凹部形成用誘電体層50bを形成する。本実施形態においては、工程4に示すように、図示しないマスクを用いて層状導体要素30の背景領域にセラミック粉末(例えばガラスフリット)を塗付してセラミック塗付層50b’を形成し、工程5に示すように、これを焼成して凹部形成用誘電体層50bを得るようにしている(一体化した凹部形成用誘電体層50bとセラミック板材50aとが単位板材50’ひいてはセラミック誘電体層50を形成することとなる)。その結果、層状導体要素30との境界面を内側面とし、セラミック板材50aの主表面を底面とする形で導体収容凹部30hを形成することができる。この方法によると、ショットとブラストやエッチングが介在せず、例えばパターン印刷・二次焼成の組合せにより、この場合、セラミック粉末は、層状導体要素30を構成する金属よりも低温で軟化・流動化するガラス材料粉末を使用するとよい。このようなガラス材料粉末を層状導体要素30の表面も含めて塗付し、粉末が溶融する温度にて焼成すると、流動化したガラスはぬれの小さい層状導体要素30の表面にてはじかれ、層状導体要素30の表面を自己調整的に露出させることができる。この場合、凹部形成用誘電体層50の形成にマスクが不要となる。
本発明においては上記説明した通り、金属ペーストの二次焼成及び金属メッキのいずれを用いて形成するにしろ、層状導体要素30は、単位板材50’上にペースト状ではなく緻密化した状態で形成され、金属充填済み単位板材55(図21)の状態で積層され貼り合わされるから、グリーンシート上に形成したペースト印刷パターンのように、積層に際してつぶれる心配がない。従って、仮に金属ペーストを用いて層状導体要素30を形成する場合でも、使用する金属ペーストは強い粘性を有している必要がなくなり、最終的に得られる層状導体要素3に対して炭素汚染源となる有機結合材の配合量を大幅に削減できる。特に、図17のごとく、導体収容凹部30h内に金属ペースト130を充填する工程が採用される場合は、金属ペースト130の流動は凹部壁によって規制できるため、有機結合材を全く配合しない金属ペーストを用いることも不可能でなくなる。他方、金属メッキを採用する場合は、金属ペースト自体が使用されないため、有機結合材等による炭素汚染は本質的に生じない。その結果、得られる層状導体要素30の炭素含有率を大幅に削減すること、具体的には100ppm以下に低減することが可能である。これにより、層状導体要素30の導電率を大きく向上させることができる。
また、層状導体要素30は、単位板材50’の構成セラミックと同時焼成する必要がないため、金属ペーストを用いる場合でも、セラミックとの収縮係数差の調整等のために従来添加していた無機フィラーの量を大幅に削減することができる。また、金属メッキを採用する場合は、工程上、無機フィラーは本質的に関与しない。従って、最終的な層状導体要素として、含有される無機フィラー成分の体積率が5%未満のものを容易に得ることができる。このことは、層状導体要素の導電率向上に極めて顕著な効果をもたらす。ただし、層状導体要素30と単位板材50をなすセラミックとの線膨張係数差の縮小等を目的として、従来どおり無機フィラー成分を体積率にて20%程度まで添加することももちろん可能である。
ビア導体ないし層状導体要素の具体的な材質としては、電気伝導率、価格、比較的低温での二次焼成(例えば200℃以上1200℃以下)が可能なこと、あるいは無電解メッキが容易であることなどを勘案すれば、Cu系金属(Cuを主成分とする金属:「主成分」は50質量%以上のこと)あるいはAg系金属(Agを主成分とする金属)を採用することが好ましい。特に、配線幅及び配線間領域の幅が150μm以下(特に70μm以下)の配線部を、金属ペースト(粉末)の二次焼成にて形成する場合、その金属粉末の平均粒径は2μm以上3μmのものを採用するとよい。そして、上記のごとく、本発明においては、炭素含有率や無機フィラーの削減も容易であるから、事実上純Cuに近い組成(つまり、Cu含有率が95質量%以上)の層状導体要素あるいはビア導体も簡単に得ることができる。これにより、層状導体要素、特に微細な配線部の電気伝導率を大幅に向上することができ、表皮効果により通電領域の実効断面積が小さくなる高周波領域(特に1GHz以上)での信号伝送効率を大幅に高めることができる。
次に、本発明のセラミック配線基板においては、緻密化したセラミックからなる単位板材50’(誘電体層50)に層状導体要素30をいわば後付的に形成した後、これを積層して基板とするため、層状導体要素30と単位板材50’との結合力が不足していると、導体充填済み単位板材55を貼り合わせのためにハンドリングする際に、僅かな衝撃でも層状導体要素30の脱落が生じやすくなり、不良の原因を生む。特に、導体収容凹部30h内に金属ペーストを充填して二次焼成する工程が採用される場合は、ペーストの焼成収縮により、得られる層状導体要素30と導体収容凹部30hの内側面との間に隙間が生ずることがあり、層状導体要素30と単位板材50’との結合力不足はより生じやすいといえる。
上記の結合力を向上させるには、図2に示すように、層状導体要素30と単位板材50’(セラミック誘電体層50)との接触面を面粗し処理しておくことが望ましい。この面粗し処理は、単位板材50’に導体収容凹部30hを形成した後、導体の充填前に、エッチングやショットブラストなどにより実施することができる。エッチングは化学エッチングと気相エッチング(例えばイオンエッチングやプラズマエッチング)とのいずれを用いてもよいが、化学エッチングの場合は単位板材50’(セラミック誘電体層50)の材質によってエッチャントを適宜選択する(例えばSiO2を主成分とするガラス材料を用いる場合は、フッ酸系のエッチャントが面粗し処理に有効である)。
図2においては、導体収容凹部30hの底面と内面との双方に面粗し処理を行なっているが、気相エッチングなど、エッチングの指向性が高く内面面粗し処理が困難な場合は、底面にのみエッチングを施すようにしてもよい。また、ショットブラストにより導体収容凹部30hを形成する場合は、凹部内面が既に所期の面粗し状態になっていることもあり、この場合は面粗し処理を省略できる。面粗しの程度は層状導体要素30の寸法(配線部の場合は幅や高さ)に応じて必要なアンカー効果が得られるよう、適宜粗さ調整する必要があるが、例えば配線部の線幅が30μm以上100μm以下の場合、面粗し後の凹部内面の粗さは、JIS:B0601に規定の算術平均粗さRaにて0.1μm以上1μm以下程度に調整するのがよい。
一方、ビア導体35についても、単位板材50’(誘電体層50)との結合力不足は、層状導体要素30と全く同様の理由にて生じうる。従って、図2に示すように、ビアホール35hの内面にも面粗し処理を施すことは有効である。しかし、小径(例えば50μm以上100μm以下)で大きなアスペクト比(例えば1.5以上3以下)を有するビアホール35hの場合、内面の面粗しが困難な場合がある。そこで、これに代わる方法として、図26に示すように、ビアホール35hを、孔深さ方向の途中位置においてセラミック誘電体層50(単位板材50’)の主表面への開口径よりも径大となる径大部FPを有するものとして形成することができる。これにより、ビアホール35hに充填されたビア導体35が単位板材50’の開口部から抜け落ちる等の不具合を効果的に防止できる。
具体的には、ビアホール35hの内周面を、孔深さ方向の途中位置にて半径方向外向きに膨出する凸湾曲面が、前記孔深さ方向に1つ(図26)又は2以上(図27)形成された形状を有するものとすることができる。このような湾曲面は、比較的簡単な方法により形成でき、ビア導体35の脱落防止効果も顕著である。以下、その具体的な方法について説明する。
図26に示すように、単位板材50’は、セラミック原料粉末を高分子材料結合材にて結合した単体のグリーンシート150を焼成して形成することができる。そして、該グリーンシート150のビアホール形成位置に、焼成時に蒸発ないし分解する材料(例えば、アクリル樹脂ボールなど)からなる球状体151を埋設して焼成を行なう。すると、焼成時に球状体151が消失した後には、球状の内面を有する孔が残留するので、これをビアホール35hとして使用することができる。可撓性の高いグリーンシート150に球状体151を埋設してしまえば、焼成により始めからビアホール35hを有したセラミック板が得られるので工程が簡便である。
一方、レーザー加工によりビアホールを形成する場合は、セラミック板に対するレーザービームの照射条件調整によっても、内面に径大部を生じたビアホール35hを形成できる。例えば、形成途中の孔の底に常時焦点が合うように焦点追尾を行ないつつレーザー照射を行なう場合は、孔の深さ方向途中位置でレーザービームのパワーを一旦上昇させ、その後再びパワーダウンさせれば、焼き飛ばされるセラミックの量が深さ方向途中位置で極大となるため、該位置に径大部を形成することができる。
一方、レーザービームの強度そのものを調整する代わりに、図27に示すように、レーザービームLBを、セラミック板50’の表面よりも深くなるように(つまり、オーバーフォーカス)となるように、焦点位置を作為的にずらすことで内面に径大部を生じたビアホール35hを得る方法もある。具体的には、レーザービームLBの焦点を、セラミック板50’の主表面から一定深さの位置に合焦するように固定して加工を行なうと、凹部251を掘り進むにつれて、レーザービームLBは最初オーバーフォーカスとなり、ジャストフォーカスの状態を経てアンダーフォーカスの状態へと移り変わる。レーザーパワーの材料への集中はジャストフォーカス位置で最も大きくなるため、該位置に径大部FPを形成することができる。この効果を顕著に得るには、レーザービームLBの照射光学系の焦点距離をある程度短く設定すること(つまり、焦点深度を小さくすること)が有効である。図27においては、上記オーバーフォーカスを利用した径大部FPの形成を、レーザービームLBの焦点位置を段階的に移動させながら行い、径大部FPを孔深さ方向に複数箇所有するビアホール35hを形成している。
次に、図2において、層状導体要素30とセラミック誘電体層50との結合力を高めるためには、セラミック誘電体層50に形成された導体収容凹部30h内に層状導体要素30を圧縮状態にて充填することも有効である。具体的には、図3の工程3のように、導体収容凹部30h内に層状導体要素30を凹部開口から突出する形態で配置し、その状態で工程4のように、該層状導体要素30の突出部30bを導体収容凹部30h内に圧入することにより、該層状導体要素30を導体収容凹部30h内に圧縮状態にて充填することができる。特に、金属ペースト130を導体収容凹部30h内に充填して二次焼成することにより層状導体要素30を得る方法では、金属ペースト130の焼成収縮により層状導体要素30と導体収容凹部30hの内側面との間に隙間を生じやすいが、上記方法の採用により、焼成上がりにて得られる導体を圧縮により押しつぶせば、層状導体要素30が凹部内で広がるので隙間を解消することができる。
層状導体要素30を、導体収容凹部30h内に凹部開口から突出する形態で形成するためには、図20の工程1に示すように、金属ペースト130を導体収容凹部30hの開口からはみ出すように盛り上げて充填することが有効である。例えば、単位板材50’の主表面に、導体収容凹部30hに対応したウィンドウを有するマスクMSKを重ね、該ウィンドウを介して凹部30hに金属ペースト130を充填すれば、金属ペースト130を、マスクMSKの厚さに相当する高さだけ盛り上げることができる。盛り上げ高さは、二次焼成時の金属ペースト130の収縮を考慮して、焼成後も突出部30bが残留するように調整する。そして、工程2のようにマスクMSKを除去し、さらに工程3のごとく、これを二次焼成すれば、凹部開口からの突出部30bを有した層状導体要素30を得ることができる。
一方、図25はマスクMSKを用いない、別の方法を示している。すなわち、導体収容凹部30hを全て充填してなお余剰となる金属ペースト130を、導体収容凹部30hの周囲領域も含めて単位板材50’の主表面全面に塗布する。この状態で、金属ペーストの溶融温度よりも高温で二次焼成を行なうと、ぬれ性の小さいセラミック製の単位板材50’の表面に溶融した金属が撥かれて、表面張力でまとまりながら自己調整的に導体収容凹部30h内に集まる。その後冷却すれば、余剰に塗付された金属ペーストに相当する高さの突出部30bを有した層状導体要素30を得ることができる。
層状導体要素30の圧縮により、導体収容凹部30hの内側面との隙間を解消する以上の横方向のつぶれ変位を生じさせることができれば、導体収容凹部30hの内側面からの圧縮力が高められ、層状導体要素30の層状導体要素30内への固定力はさらに高められる。導体収容凹部30h内の層状導体要素30は上面側が開放しているので、上記層状導体要素30の圧縮は塑性変形を伴うものとして行なうことが望ましい。
最後に、以上のようにして得られた金属充填済み単位板材55を、積層して貼り合わせる方法について説明する。
図2では、隣接するセラミック誘電体層50同士が熱圧着により直接貼り合わされている。この構造は、図21に示すように、金属充填済み単位板材55を熱圧着により直接貼り合わせることにより得られる。具体的には、工程1に示すように、上記金属充填済み単位板材55を複数積層して積層体を作り、次いで工程2に示すようにその積層体を加圧しながら加熱する。本実施形態では、積層体を加熱炉内で加熱しつつパンチ210,210間にて挟圧するホットプレスを採用している。
図2では、隣接するセラミック誘電体層50同士が熱圧着により直接貼り合わされている。この構造は、図21に示すように、金属充填済み単位板材55を熱圧着により直接貼り合わせることにより得られる。具体的には、工程1に示すように、上記金属充填済み単位板材55を複数積層して積層体を作り、次いで工程2に示すようにその積層体を加圧しながら加熱する。本実施形態では、積層体を加熱炉内で加熱しつつパンチ210,210間にて挟圧するホットプレスを採用している。
この場合、加熱温度と加圧力は、単位板材50を構成するセラミックの材質に応じて適宜設定する。具体的には、金属充填済み単位板材55の層状導体要素30あるいはビア導体35を構成する金属が溶融せず、かつ、単位板材50’を構成するセラミックには接着に好都合な熱拡散活性が生ずる温度域を選定する。例えば、金属がCuを主成分とするもの(例えば純銅)であり、SiO2を主体とするガラスにより単位板材50’を構成する場合は、圧着温度は500℃以上ガラスの溶融温度未満に設定するのがよい。温度500℃未満では、単位板材50’間に良好な接着状態が得られなくなり、また、隣接する金属充填済み単位板材55間の導体同士(例えばビア導体35と層状導体要素30)の電気的な接続状態も確保できない場合がある。さらに、SiO2以外のガラス添加成分の含有率が必然的に増加するので、必要な物性(特に、半導体部品に近い線膨張率特性率や、高周波用の配線基板に要求される誘電率特性)が得られなくなることがある。
図21に示すように、金属充填済み単位板材55において層状導体要素30には、既に説明済みの方法により、導体収容凹部30hから突出する突出部30bを設けておくことができる。この場合、突出部30bを導体収容凹部30h内に押し込む形で層状導体要素30を圧縮しつつ熱圧着を行なうことができる。これにより、層状導体要素30とビア導体35との電気的な接続をより確実に行なうことができる。なお、単位板50’を構成するセラミックに過度の軟化が生じていると、層状導体要素30への圧縮変形が妨げられ、十分な効果が生じなくなる場合がある。
上記のように熱圧着を用いる方法は、積層状態(あるいはその後の加熱・加圧状態)において、層状導体要素30とビア導体35とが直接接触でき、接着層などの介在の心配がないので、両者の間に良好な導通状態を確実に形成できる利点がある。また、当然、接着層の塗付も不要だから工数削減にも寄与する。
次に、図22に示すように、本発明のセラミック配線基板は、隣接するセラミック誘電体層50同士が接着層11を介して貼り合わせることも可能である。該構造は、金属充填済み単位板材55を接着層11を介して貼り合わせることにより得られる。この態様は、接着層の塗付工程が必要となる代わりに、熱圧着のような高温での加熱が不要となるから、例えば単位板材50’が高融点のセラミックで構成されている場合でも、接着上の制約が少ない利点がある(ガラスやホットメルト型接着剤を使用する場合は、多少の加熱は必要であるが、単位板材50’を構成するセラミックの溶融温度ないし軟化点よりは、はるかに低い温度で接着が可能である)。
接着層11はエポキシ樹脂系接着剤などの有機系の接着剤を用いることも可能であるが、無機系の接着剤を使用することも可能であり、特に、セラミック誘電体層50の構成セラミックよりも低融点のガラス材料にて構成すると、強固で耐熱性のある接着状態を容易に得ることができる。
接着層11を形成する際に留意すべきことは、接着層11自体が絶縁性であるため、単位板材50’の主表面に露出している層状導体要素30やビア導体35の表面に接着剤が付着すると、貼り合わせ後の両者の導通が阻害される可能性がある点である。この問題を解決するために、いくつかの方法がある。まず、層状導体要素30やビア導体35の表面への接着層11の形成を極力回避するために、層状導体要素30やビア導体35の背景領域にのみ選択的に接着剤(ガラス材料の場合は、ガラス材料粉末ペーストやスラリーである)を塗付する方法である。接着後の導通確保を確実にするために、層状導体要素30を単位板材50’の主表面から突出させて配置し、その突出代の厚さの範囲内で接着層11を塗付することが望ましい。
層状導体要素30やビア導体35の背景領域にのみ接着層11を形成するには、層状導体要素30やビア導体35だけを被覆するマスクを用いる方法も考えられるが、微細な配線部やビアのみを正確に覆い隠すことはかなり難しい。そこで、より簡便な方法として、層状導体要素30やビア導体35の領域も含めて単位板材50’の主表面全面に接着剤をベタ塗りし、その後、層状導体要素30やビア導体35上に残留している余分な接着剤をスキージSKGを用いて掻き取る方法がある。ガラス材料を接着層として用いる場合、配線部間の狭いスペースにもガラス材料粉末のペーストないしスラリーが精度よく充填できるよう、使用するガラス粉末の平均粒度を、線間領域幅よりも十分小さく(例えば1/10以下)調整しておくことが望ましい。
上記方法で、特にガラス材料を用いる場合、層状導体要素30やビア導体35よりも低い融点を有するガラスを用い、接着時に(あるいは接着に先立って予め)、そのガラス材料からなる接着層11を一旦溶融させることが有効である。金属表面とのぬれが小さいガラス融液が層状導体要素30やビア導体35の表面にて撥かれるので、ガラス残留による導通不良を効果的に防止することができる。なお、必要に応じて、層状導体要素30やビア導体35の表面に残っている微量のガラスを、金属充填済み単位板材55の積層前にフッ酸等のエッチング液により軽くエッチングする、等の方法により除去してもよい。
SiO2を主体とするガラス材料を接着層として使用する場合、アルカリ金属酸化物、ホウ酸あるいは酸化鉛等の煤溶材の配合量を高めること(例えば合計で20質量%以上50質量%以下:特に酸化リチウムは流動性改善に効果がある)が、溶融時のガラスの流動性を高め、層状導体要素30やビア導体35の表面への残留を防止する上で有効である。また、Mo、W、Ni、Co、Fe及びMnの1種又は2種以上の金属の酸化物を例えば10質量%以内(望ましくは1質量%以上)の範囲で添加すると、溶融時のガラスの流動性を改善する効果をさらに高めることができる。
一方、層状導体要素30やビア導体35の表面に接着層11が残留した状態で貼り合わせを行ない、その貼り合わせ時に、接着層11による絶縁状態を解消する方法もありうる。すなわち、図24に示すように、貼り合わせるべき2つの単位板材50’の一方の貼り合わせ面側に層状導体要素154を配置し、他方、接着層11を層状導体要素154の配置領域と非配置領域との双方にまたがるように配置して2つの単位板材50’を重ね合わせる。そして、その状態で加熱することにより、接着層11を隔てて隣接する層状導体要素154と単位板材50’側のビア導体35とを、それら層状導体要素154ないしビア導体35の構成金属材料の加熱膨張に基づいて接着層11を貫通させることにより導通接続する。この方法は、層状導体要素30やビア導体35上にも接着層11を一括塗付できるので工程が簡略な利点がある。ただし、金属材料の加熱膨張で容易に突き破ることができるよう、両者の間に介在する接着層11の厚さは一定以下の厚さに留める必要がある。また、該導通接続のための熱履歴に耐えるよう、耐熱性の接着剤(例えばガラス層)を用いる必要がある。なお、層状導体要素30ないしビア導体35の少なくとも一部が溶融する温度で熱処理すると、金属の体積膨張は溶融時に大きいので、接着層11の貫通が生じやすくなり、その貫通孔に対する溶融金属の浸透により導通接続状態を得やすい利点がある。
1 半導体部品
2 セラミック配線基板
10 貼り合わせ面
11 接着層
30 配線部(層状導体要素)
30(P) 金属メッキ層
30h 導体収容凹部
35 ビア導体
35(P) 金属メッキ層
35h ビアホール
40 部品実装済み配線基板
50 セラミック誘電体層
50’ 単位板材
50a セラミック板材
50b’ 凹部形成用誘電体層
51 金属導体層
56 面導体(層状導体要素)
130 金属ペースト(金属粉末)
150 グリーンシート
151 球状体
154 パッド(層状導体要素)
155 端子接続パッドアレイ
201 マスク材
202 ビアホールウィンドウ
203’ マスク材
204’ 凹部パターンウィンドウ
205 刻印部材
206 凸部パターン
FP 径大部
2 セラミック配線基板
10 貼り合わせ面
11 接着層
30 配線部(層状導体要素)
30(P) 金属メッキ層
30h 導体収容凹部
35 ビア導体
35(P) 金属メッキ層
35h ビアホール
40 部品実装済み配線基板
50 セラミック誘電体層
50’ 単位板材
50a セラミック板材
50b’ 凹部形成用誘電体層
51 金属導体層
56 面導体(層状導体要素)
130 金属ペースト(金属粉末)
150 グリーンシート
151 球状体
154 パッド(層状導体要素)
155 端子接続パッドアレイ
201 マスク材
202 ビアホールウィンドウ
203’ マスク材
204’ 凹部パターンウィンドウ
205 刻印部材
206 凸部パターン
FP 径大部
Claims (16)
- 緻密化したセラミック材料からなる複数のセラミック誘電体層と、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素をそれぞれ有する複数の金属導体層とが交互に積層された積層体を有し、その積層体の第一主表面側に電子部品を接続するための端子接続パッドアレイが形成され、前記セラミック誘電体層にて隔てられた2つの前記金属導体層にそれぞれ含まれる層状導体要素同士が、前記セラミック誘電体層を厚さ方向に貫通して形成されたビアホール内を充填するビア導体により互いに導通接続された構造を有するセラミック配線基板であって、
前記金属導体層を介して互いに隣接する2つのセラミック誘電体層は、該金属導体層の前記層状導体要素が非形成となる領域にて、貼り合わせ面にて結合され、それらセラミック誘電体層の貼り合わせ位置において前記層状導体要素が、該層状導体要素の一方の主表面が前記貼り合わせ面と層厚方向に一致した位置関係にて形成されてなることを特徴とするセラミック配線基板。 - 前記金属導体層に形成される配線部の配線幅が0.1μm以上150μm以下であり、かつ、基板内での配線幅のバラツキが、配線幅の平均値に対して±10%以内に収まっている請求項1記載のセラミック配線基板。
- 前記金属導体層に形成される配線部の配線幅及び配線間領域の幅がいずれも0.1μm以上70μm以下である請求項2記載のセラミック配線基板。
- 前記セラミック誘電体層はガラス材料板にて構成される請求項1又は請求項3に記載のセラミック配線基板。
- 前記セラミック誘電体層は粉末セラミック原料を焼成して得られる焼成セラミック板にて構成される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 前記焼成セラミック板は窒化珪素系焼成セラミック又は窒化アルミニウム系焼成セラミックからなる請求項5記載のセラミック配線基板。
- 前記層状導体要素は、その構成材料となる金属粉末を、前記セラミック誘電体層に形成された導体収容凹部内に充填した後、前記セラミック誘電体層を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 前記層状導体要素は、前記セラミック誘電体層に形成された導体収容凹部内に充填形成された金属メッキ層にて構成される請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 前記ビア導体は、その構成材料となる金属粉末を前記ビアホール内に充填した後、前記セラミック誘電体層を構成するセラミックの融点よりも低温で二次焼成して形成されたものである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 前記ビア導体は、前記ビアホール内に充填形成された金属メッキ層とされる請求項1ないしは請求項9のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 隣接する前記セラミック誘電体層同士が熱圧着により直接貼り合わされてなる請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 隣接する前記セラミック誘電体層同士が接着層を介して貼り合わされてなる請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 前記電子部品は半導体部品であり、前記セラミック材料は、Si成分の含有率がSiO2換算にて68質量%以上99質量%以下であり、Si以外のカチオン成分が、室温から200℃までの温度範囲においてSiO2よりも線膨張係数の大きい酸化物を形成する酸化物形成カチオンにて構成されることにより、室温から200℃までの平均の線膨張係数が1ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されてなる酸化物系ガラス材料からなる請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のセラミック配線基板。
- 緻密化したセラミック材料からなる複数のセラミック誘電体層と、配線部、面導体又はパッドからなる層状導体要素をそれぞれ有する複数の金属導体層とが交互に積層された積層体を有し、その積層体の第一主表面側に半導体部品を接続するための端子接続パッドアレイが形成され、前記セラミック誘電体層にて隔てられた2つの前記金属導体層にそれぞれ含まれる層状導体要素同士が、前記セラミック誘電体層を厚さ方向に貫通して形成されたビアホール内を充填するビア導体により互いに導通接続された構造を有するたセラミック配線基板であって、
前記セラミック材料は、Si成分の含有率がSiO2換算にて68質量%以上99質量%以下であり、Si以外のカチオン成分が、室温から200℃までの温度範囲においてSiO2よりも線膨張係数の小さい酸化物を形成する酸化物形成カチオンにて構成されることにより、室温から200℃までの平均の線膨張係数が1ppm/℃以上7ppm/℃以下に調整されてなる酸化物系ガラス材料からなることを特徴とするセラミック配線基板。 - 接続対象となる前記半導体部品がSi半導体部品であり、前記酸化物系ガラス材料の前記線膨張係数が2ppm/℃以上5ppm/℃以下に調整されてなる請求項14記載のセラミック配線基板。
- 請求項1ないし15のいずれか1項に記載のセラミック配線基板と、
該セラミック配線基板の第一主表面に形成された前記端子接続パッドアレイに接続された電子部品と、
を有することを特徴とする部品実装済み配線基板。
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