JP2005074576A - 研磨布 - Google Patents

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昭大 田辺
Takeshi Kimura
剛 木村
Yasuhiro Ishikura
康弘 石倉
Makoto Higuchi
真 樋口
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Abstract

【課題】基板表面粗さが極めて小さい超高精度の仕上げでテクスチャー加工を行うことができ、且つ微細な研磨屑及び砥粒の基板表面への食い込みに起因する欠陥を抑制し、クリーニング効果が高いとともに、局所的な砥粒の凝集などに起因するスクラッチ欠点を極小化することができる研磨布を提供する。
【解決手段】平均繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなり、少なくとも片面に該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物において、該不織布を構成する極細短繊維のほとんどが丸みを帯びた断面形状を有する繊維であって、かつ、該断面形状のうち、3〜6角形様のものが全体の過半数を占めていることを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上にテクスチャー加工を施し、その上に磁気記録層を形成して磁気記録媒体を製造するための、前記テクスチャー加工に使用する研磨布に関するものである。
磁気ディスク等の磁気記録媒体は、近年めざましい技術革新により高容量化、高記憶密度化の要求が高まり、このため各種基板表面加工の高精度化が要求されている。
近年、高容量化、高記憶密度化に伴い、記録ディスクと磁気ヘッドとの間隔、つまり、磁気ヘッドの浮上高さは小さくなってきており、最近では5nm以下が要求されている。磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなることにより、磁気ディスクの表面に突起があるとその突起と磁気ヘッドとが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起でも、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。記録ディスクについては、高容量化、高密度化と平行して小型化も進んできており、これに併せてスピンドル回転用のモーター等も小型化されてきている。このため、モーターのトルクが不足し、磁気ヘッドが記録ディスク表面とが密着し、浮上しなくなるというトラブルを引き起こす。
この記録ディスクと磁気ヘッドとの密着を防止する手段として、記録ディスクの基板表面に微細な条痕を形成するテクスチャー加工という表面処理が行われている。またテクスチャー加工を行うことにより、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際の結晶成長の方向性を制御することで記録方向の抗磁力を向上させることが可能となる。
従来、テクスチャー加工の方法としては、遊離砥粒のスラリーを研磨布表面に付着させて研削を行うスラリー研削等が用いられている。しかし、テクスチャー加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、研磨後のうねりを低くし、基板表面粗さを極めて小さくすることが要求され、その要求に対応しうる研磨布が求められている。テクスチャー加工において基板表面粗さを小さくするためには、クッション性や基材表面の平滑性に優れることから不織布を用いる方法が多く提案されてきた。
中でも基材表面の平滑性向上やディスク基板表面への当たりの調節などを目的として、不織布を構成する繊維を極細化し、不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされており、例えば、0.3dtex以下の極細繊維不織布に高分子エラストマーを含浸させた研磨布(特許文献1〜3参照)が提案されており、この研磨布を用いた加工では1.4〜0.5nm程度の表面粗さを実現している。
また、極細繊維絡合不織布中に高分子弾性体が含有しており、0.03dtex以下の繊度を有する極細繊維からなる立毛が存在するテクスチャー加工用研磨シート(特許文献4参照)が提案されており、このシートを用いた加工では0.4nmの表面粗さを実現している。
また、繊維束内に繊維径の内外周差を有する極細繊維束から不織布とその空隙に高分子弾性体を充填してなる基材(特許文献5参照)を用いて、0.31nmの表面粗さを実現している。
更に、平均繊度0.001〜0.1dtexのポリアミド極細短繊維不織布からなる研磨布(特許文献6参照)が提案されており、0.28nmの表面粗さを実現している。
今後、更に表面粗さの極小化を実現できる技術が期待され、この技術の核となる超高精度な研磨布が要求されてきている。
一方、表面粗さの極小化が進むにつれて、基板表面に深い谷を有する局所的な傷、すなわちスクラッチ欠点に対する許容範囲は狭くなってきている。すなわち、ハードディスクに要求される面記録密度を向上させるために、単位記録面積を小さくする必要性が益々高まってきており、従来のテクスチャー加工においてスクラッチ欠点と判定されなかった微細な傷、突起がエラーの発生につながり、この微細な傷、突起がスクラッチ欠点とみなされるため、更なる基板表面の平滑性、均一性の向上が必要となってきている。従来の研磨布を使用した場合、研磨砥粒を均一且つ微分散することが不十分であるため、研磨砥粒が局所的に凝集したり、局所的に砥粒が存在しない状態が発生し、研磨精度を低下させ、微細な傷、突起からなるスクラッチ欠点が生じやすく、低表面粗さを実現するものの、該スクラッチ欠点により電磁変換特性が著しく低下し、生産歩留まりの上から問題が内在していた。
前記の基板表面粗さの極小化に対し、研磨布の高性能化とともに、遊離砥粒の微細化がますます必要となってきている。しかし、微細砥粒、特にダイヤモンド砥粒を含有するスラリーを用いたテクスチャー加工では、微細砥粒やその砥粒片が基板表面に食い込んで、クレーター状の欠点が曲線状に点在する欠陥が、電磁変換特性を低下させる要因となることがわかった。更に、基板表面を研削した際に発生する微細な研磨屑が基板表面上に残留し、該研磨屑を研磨布を構成する繊維により押し込みスクラッチ欠点を引き起こすことが大きな問題となっていた。
砥粒や研磨屑の食い込みにより発生する前記欠点を解消すべく、異形断面糸を用いた布帛が種々提案されている。例えば、基板と接触する面の70%以上が、0.5デニール以下の異形断面極細繊維から成る織布(特許文献7参照)が、ほぼ二等辺三角形状の断面を有する単糸フィラメントからなるマルチフィラメント糸条で経糸を構成した織布(特許文献8、9参照)がそれぞれ提案され、研磨屑や砥粒の食い込みを抑制する効果に優れるものであるが、織布の織組織の凹凸を反映した基板表面のうねりを抑制することができず、基板表面粗さも1nmレベルであり、高記録密度ハードディスクに対応しきれないものであった。一方、異形断面糸より構成される不織布を用いる例としては、単繊維繊度0.08〜0.5デニールであり、断面形状が20度以上120度以下の角度を少なくとも2つ有する断面である極細繊維を主体とした不織布(特許文献10参照)が提案されており、織布と同様に研磨屑のクリーニング効果に優れるものであるが、表面繊維の緻密性及び均一性が不十分であり、且つ繊維のみからなる不織布で構成されていることによりクッション性・平滑性に劣るため、基板表面粗さを十分に低減できないばかりでなく、局所的な砥粒の凝集によるスクラッチ欠点の発生を抑えきれないものであった。
特開2000−237951号公報 特開2000−242921号公報 特開2001−1252号公報 特開2002−79472号公報 特開2002−172555号公報 特開2002−273650号公報 特開平11−203667号公報 特開平11−277452号公報 特開平11−182237号公報 特開平11−90810号公報
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑み、基板表面粗さが極めて小さい超高精度の仕上げでテクスチャー加工を行うことができ、且つ微細な研磨屑及び砥粒の基板表面への食い込みに起因する欠陥を抑制し、クリーニング効果が高いとともに、局所的な砥粒の凝集などに起因するスクラッチ欠点を極小化することができる研磨布を提供することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明の研磨布は、平均繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなり、少なくとも片面に該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物において、該不織布を構成する極細短繊維のほとんどが丸みを帯びた断面形状を有する繊維であって、かつ、該断面形状のうち、3〜6角形様のものが全体の過半数を占めていることを特徴とするものである。
本発明の研磨布によれば、表面繊維の緻密性と均一性に優れ、繊維断面形状が角を有する異形断面にすることにより、基板表面粗さが極めて小さい超高精度の仕上げでテクスチャー加工を行うことができ、且つ微細な研磨屑及び砥粒の基板表面への食い込みに起因する欠陥を抑制し、クリーニング効果が高いとともに、局所的な砥粒の凝集などに起因するスクラッチ欠点を極小化することができるものである。
本発明は、前記した課題、つまり基板表面粗さの極小化と、微細な研磨屑及び砥粒の基板表面への食い込みに起因する欠陥と局所的な砥粒の凝集に起因するスクラッチ欠点の抑制を両立するという課題について鋭意検討し、基材表面に存在する極細繊維の繊度、緻密性、繊維断面形状のバランスをとることに着目して、特定な断面形状を有する極細短繊維からなる不織布を用いて研磨布を作製したところ、かかる課題を一挙に解決できることを究明し優れた研磨布の達成を可能にしたものである。
本発明の研磨布について、具体的には、溶解特性の異なる異種ポリマーを組合せ、難溶出成分を分断するように易溶出成分が繊維の中心から放射状に配置された、難溶出成分の形状が3角形様である平均繊度0.001〜0.05dtexの極細繊維発生型の溶出分割型複合繊維および/または、少なくとも2成分からなり島成分の平均繊度0.001〜0.05dtexの海島型多成分系繊維であって易溶出の海成分の重合割合が10%未満であり、かつ島成分の形状が4〜6角形様のものが全体の過半数を占める多成分系繊維を複合紡糸、延伸、捲縮、カットを経て得る原綿を用いて、ニードルパンチングにより絡合させて不織布を構成する。次いで、該複合繊維からなる不織布に熱水収縮を施し、水溶性樹脂を付与する。次いで、易溶出成分を溶解除去し、極細繊維化した後に、高分子弾性体を付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固、固化させる。次いで、該水溶性樹脂を溶解除去した後にバッフィング処理を施すことにより、本発明の研磨布を達成しうるものである。
本発明では、上記の複合繊維中の易溶出成分を溶解除去した後の極細短繊維の平均繊度は0.001〜0.05dtexであることが特に重要であり、0.003〜0.02dtexであることがより好ましい。口金構造によって0.001dtex未満も可能ではあるが、口金構造が複雑となり、紡糸性が著しく低くなるため、工業的には0.001dtexまでである。また、0.001dtex未満である場合には、繊維強度及び剛性が低く、研削不足になるばかりでなく、スラリー中の遊離砥粒の保持性、分散性に劣り、砥粒の凝集を招くと共に、研磨屑、砥粒片のクリーニング効果に劣るため、スクラッチ欠点が発生しやすく、好ましくない。0.05dtexを越える場合には、研磨布表面での立毛繊維の緻密性に劣り、基板表面粗さ及びうねりを低減できないため好ましくない。
本発明では、研磨布を構成する極細短繊維の繊度CV値が10%以下であることが好ましい。ここで、繊度CV値とは極細繊維の繊度バラツキを表すもので、該繊度分布の標準偏差を、極細繊維の繊度の平均値で除した値のことである。
研磨布を構成する極細繊維の繊度バラツキが大きいものは、研磨布表面における低繊度繊維と高繊度繊維との剛性差に起因する立毛繊維の分布の偏りが生じるとともに、砥粒分散の不均一性につながり、基板表面粗さの低減、研磨後のうねりの抑制及びスクラッチの抑制という高精度のテクスチャー加工を達成できない。
本発明において、研磨布を構成する極細短繊維のほとんどが丸みを帯びた断面形状を有する繊維であって、かつ、該断面形状のうち、3〜6角形様のものが全体の過半数を占めていることが特に重要である。
特に3角断面を代表とする角張った断面の繊維は、その角の部分で砥粒を引っかけて基板からはじき出す方向に作用することが考えられ、丸形断面に比してより精密な研磨加工に適している。
3〜6角形様の断面を有することにより、角張った角の部分が、テクスチャー加工時に基板表面の法線方向に対し、若干の角度をもった状態で接触し、基板表面上に発生する研磨屑を掻き出すため、クリーニング効果が高く、研削効率を向上させるとともに、残留した研磨屑を繊維が押し付けることがないため、スクラッチ欠点を抑制する効果が高いものである。真円様の丸形断面では、角張った部分が存在せず曲率が大きいため、未研削面を覆った研磨屑をなでてしまい、掻き出すことが不十分となるとともに、繊維が基板表面に接触する際に基板表面の法線方向にのみしか力が作用しないため、研磨屑を押し付けることとなり、スクラッチ欠点が発生しやすいのである。3〜6角形様の断面形状が有する効果は、テクスチャー加工時の遊離砥粒の押し付け力にも及ぶものであり、テクスチャー痕を形成するための砥粒が基板に食い込み始め際に、真円様の丸形断面では、基板表面の法線方向にのみしか力が作用しないため、砥粒を更に基板に押し付ける方向に作用してしまい、クレーター状の欠点が曲線状に点在する欠陥を発生しやすい。しかし、3〜6角形様の断面形状では、それぞれの角張った部分が基板表面の法線方向に対し若干の角度をもった状態で力が作用するため、角張った部分で砥粒を引っかけて基板表面からはじき出すため、前述のクレーター状の欠点を抑制することができる。中でも3角形様の断面は、90度未満の鋭角部のみにより構成されるため、砥粒及び研削屑の掻き出し効果が高く、本発明の効果をより高めるものである。一方、4〜6角形様の断面を有する極細繊維では、3角形様断面の繊維に比べて、砥粒及び研削屑の掻き出し効果はやや劣るものの、繊維自体の剛性が高く、シートとしての強力が十分に得られ、不織布製造工程におけるカードディングやニードルパンチの工程通過性に優れるとともに、研磨加工時のシート伸びの安定性が高く、テンションコントロールが容易である点で有利である。
また、本発明の研磨布を構成する極細繊維としては、丸形断面繊維を、総繊維重量に対し、30%以下の割合で混合して用いてもよく、本発明の効果を十分発揮できるものである。但し、前述の極細繊維の繊度CV値を満足することがより好ましい。
ここでいう3角形様の断面とは、略二等辺三角形状を有する断面のことを指し、繊維製造時のポリマーの流動力学特性、繊維加工工程の中での加熱、加圧、薬剤等の影響で多少の変形を伴うので、幾何学的に正確な二等辺三角形とは若干異なるものである。略二等辺三角形の角は、それぞれ若干の曲率をもつ円弧を示している。また、頂角を挟む二辺は若干湾曲したり二辺の長さが若干異なったりしており、底辺も若干の曲率をもつ円弧を示している。
所望の繊度及び繊度CV値を有する3角形様断面の極細繊維を得るには、図1に示す難溶出成分ポリマーAと易溶出成分ポリマーBとが放射状に交互に配列され、易溶出成分Bにより分断される難溶出成分Bの数を10〜30の範囲とした放射型の分割型複合繊維を用いるのが好ましい。難溶出成分数が10未満の場合には、溶出分割後の繊度を小さくしようとすると、分割前の複合繊維を細くする必要があり、紡糸操業性の悪化を招くととともに、絡合不織布を形成する際の工程通過性を著しく低下させるため好ましくない。また、難溶出成分が30を越える場合には、分割後の繊度が小さくなるという利点はあるが、逆に個々のセグメント形態が不均一になりやすく、繊度CV値が大きくなるため好ましくない。また、該溶出分割型繊維の複合紡糸法として、溶融ポリマーが均一分散されるよう分散板を調整し、かつ複合単繊維中の極細繊維の繊度を均一にすべく適正な口金背面圧となるように口金寸法を調整した放射型の分割型複合口金を用いて、複合紡糸した後に、該海成分を除去することにより、極細短繊維の繊度CV値を10%以下、好ましくは3〜10%の範囲にすることが可能となるものである。すなわち、極細短繊維の繊度CV値は好ましくは3〜10%である。
また、ここでいう4〜6角形様の断面とは、辺が直線ではなくゆがみがあり、その長さ、角がすべて等しいとは限らないが略何角形であるかは容易に判断できるようなものをいう。
所望の4〜6角形様断面の極細繊維を得るには、海島型パイプ口金を用いて、海成分の重合割合を10%未満に調整し、海島型複合紡糸を行う必要がある。特に好ましくは、海成分の重合割合5%未満である。海成分の量が全体の10%以上になる場合には、島成分の形状は丸みが強くなりすぎて、本発明の目的を達成しがたくなる。また、この角形形状を得る方法として、該極細繊維を発現する複合単繊維中の島成分本数が50〜500本とすることが好ましい。より好ましくは80〜400本である。島成分本数を50本以上と高くすることで、口金より吐出された島成分ポリマーは互いに圧力を生じる。この傾向は、繊維の外周ほど顕著であり、この島成分同士の圧力で繊維断面が変形し角形形状を形成しやすい。
しかし、この際海成分ポリマーの粘性が低いと島繊維は互いに合流し結果的に極細繊維が形成できない。海成分のポリマー粘度は、ポリマー溶剤の比粘度として1.0ηr以上であることが好ましく、1.5〜2.5ηrであることがより好ましい。
本発明では、研磨布の立毛面における表面繊維本数の線密度が30本/100μm幅以上でかつシート連続長手方向における該線密度のCV値が10%以下であることが好ましい。
ここでいう表面繊維本数の線密度は以下により定義されるものである。該研磨布立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。またこれを母集団とした標準偏差値及び平均値から該線密度のCV値を算出する。表面繊維本数の線密度が30本/100μm幅未満である場合には、緻密性に劣り、砥粒を微細に分散させるに至らず、高精度の仕上げを達成できないとともに、研磨布表面上の繊維が存在しない部分に砥粒が凝集し、スクラッチの発生につながりやすく好ましくない。また、シート連続長手方向における表面繊維本数の線密度のCV値が10%を越える場合には、砥粒分散の不均一性につながり、研磨後のうねりが大きくなり、高精度の仕上げを達成できないため好ましくない。シート連続長手方向における表面繊維本数の線密度のCV値の好ましい範囲は、本発明者らの各種知見によれば、1%〜10%である。
該特性を満足させるためには、前述した特徴を有する溶出分割型複合繊維を用いて、研磨布の具体的製造方法として以下の構成とすることが好ましい。
まず、本発明における溶出分割型複合繊維の不織布を得るには、該複合繊維を短繊維化し、カード・クロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、パンチングをするに際しては、針のバーブの向きが不織布ウエブ幅方向に対し垂直方向になるようにしてニードルパンチ処理を行うことが好ましい。ウエブを形成するという点においては、ランダムウエブなどを用いることも考えられるが、繊維配向の均一性に劣り好ましくない。またメルトブロー、スパンボンドなど紡糸から直接形成する長繊維不織布でもよいように考えられるが、とりわけ研磨布においては、極細繊維相互の絡合及び表面繊維の緻密性が、短繊維不織布よりも著しく劣り、かつ、表面繊維密度の粗密ムラが大きくなりすぎるので、極細長繊維不織布は研磨布としては使用することはできない。ニードルパンチの際の針のバーブ方向については、ランダム、45゜斜め向き等も考えられるが、シート幅方向に配列される複合繊維を高効率にて絡合させ、研磨布表面繊維の緻密性を得るためには、シート幅方向に対し垂直つまり90゜に向けることが最適なのである。ただし、もし、垂直にするのが難しいような場合には、該垂直方向から、±30度程度の角度範囲内、更に好ましくは±15度程度の角度範囲内でずれてバーブを用いるようにしてもある程度の効果が得られるので望ましいものである。バーブのスロートデプスとしては30〜150μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による繊維の高密度化(緻密な立毛面形成)の観点から1000〜3500本/cm2 であることが好ましい。1000本/cm2 未満では、研磨布表面繊維の緻密性に劣り、3500本/cm2 を越えると、加工性の悪化を招くとともに、繊維損傷が大きくなるため好ましくない。針のバーブの方向をシート幅方向に対し垂直にすることにより、上記範囲の針本数にて効率よく繊維絡合が進み、タテ配向繊維の高密度化を達成しうるのである。ニードルパンチング後の不織布シートの繊維密度は、0.2g/cm3 以上であることが好ましく、0.2g/cm3 未満の場合、不織布シート中のタテ配向繊維の緻密性に劣るものであり、表面繊維密度の緻密化を図れず好ましくない。
本発明おける極細繊維発生型の溶出分割型複合繊維を構成する樹脂としては、極細繊維を発生可能な溶解特性の異なる2種類以上の樹脂の組合せが挙げられる。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、共重合ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ乳酸、乳酸共重合体、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル系重合体類、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体類などが用いることのできる合成樹脂の例として挙げられる。中では、極細短繊維を構成する難溶出成分として、親水性、耐摩耗性の観点から、ポリアミド類、ポリエステル類が好適に用いられる。とりわけ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類やポリブチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル類が、スラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性、分散性に優れ、被研磨物に傷をつけることなく研磨することができるとともに、柔軟性に優れることにより、被研磨物との接触抵抗が低く微細研磨に適した素材として、より好適に用いられる。
かかる複合繊維の溶解除去される易溶出成分を構成するポリマーとしては、極細短繊維成分の選択に応じて、極細短繊維成分が溶けにくい溶剤に対し、溶解性の大きいポリマーを選択し組み合わせればよい。中でも、アルカリ水溶液を溶剤として用いる場合には、スルホイソフタル酸共重合ポリエステルなどのアルカリ易溶性ポリエステル類を用いるのが好ましく、トリクロロエチレンやトルエンなどの有機溶剤を用いる場合には、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレンなどのポリオレフィン類を用いるのが好ましい。これらの中から極細短繊維の断面形成性、紡糸性、延伸性、絡合不織布形成時の工程通過性などを考慮すると、アルカリ水溶液を溶剤として用い、難溶出成分をポリアミド類、易溶出成分をアルカリ易溶性ポリエステル類として用いるのがより好適な組合せである。
さらに本発明において、極細短繊維の緻密性を上げるために、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートの熱水収縮処理を行うことが好ましい。該熱水収縮処理において、均一かつ高い収縮を得るためには、易溶出成分として上記ポリマー類の中から、収縮性の高いポリマーを選択するのがより好ましい。
本発明において、バルキーな構造体を形成し、スラリー液中に含まれる研磨砥粒を介したディスク基板表面への当たりを制御するとともに、研磨布表面上への高分子弾性体の露出を抑制するためには、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートにポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を含浸付与することが好ましい。該水溶性樹脂を含む水溶液中に不織布シートを通し、該水溶性樹脂を含浸させた後、不織布シート中の水分を除去するために加熱処理を行う過程において、加熱時間、加熱温度を適宜調整することで該水溶性樹脂が不織布シート中に含まれる水分と共にシート表層部に移動し、シート厚み方向に偏った分布をとることにより、高分子弾性体が研磨布表面に露出しにくい状態を可能とする。また、高分子弾性体の研磨布表面上への露出抑制とクッション性を両立させる点から、該水溶性樹脂の含有率は、極細繊維重量に対し40〜80%であることが好ましい。
本発明の研磨布は、極細繊維発生型の溶出分割型複合繊維からなる不織布から易溶出成分を溶解除去し、極細繊維化した後に高分子弾性体を付与させることが好ましい。該高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、極細短繊維不織布の内部空間に高分子弾性体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物へのキズの抑制効果に優れるものである。かかる高分子弾性体としては、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系高分子などを使用することができる。中でも、ポリウレタンが本発明プロセスにおける加工性やクッション性の上から好ましい。本発明において好適に用いられるポリウレタンとしては、ポリマージオール、有機イソシアネートと鎖伸長剤とを反応せしめてなるものが好ましく、中でもそのポリマージオール成分として、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステル・エーテルジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合したものからなるものを使用することができ、ポリウレタン付与後のバッフィング処理の際に、研磨布表面上の立毛繊維が緻密でかつ均一分散された状態とするためには、シート弾性の観点から、これらポリウレタンの中でも特に、ポリマージオール成分中にポリエーテルジオールおよび/またはポリエステルジオールが含まれるポリウレタンが好ましく用いられる。研磨時のクッション性およびフィット性は、研磨精度の上で重要であり、極細短繊維と高分子弾性体の割合や空隙率(見掛け密度でわかる)によって制御し、研磨精度や研磨目的によって調節される。高分子弾性体の含有量は、成型上研磨布の繊維重量に対し20%〜60%であることが好ましく、含有量によって研磨布の表面状態、空隙率、クッション性、硬度、強度などを調節することができる。20%未満である場合、クッション性に劣るため、スクラッチを発生しやすく、また強度に劣るため好ましくない。60%を越えると、加工性及び生産性に劣るとともに、表面上に高分子弾性体が露出しやすく、砥粒の凝集によるスクラッチを引き起こしやすいため好ましくない。かかる高分子弾性体の付与方法としては、該高分子弾性体を塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。
本発明の研磨布は、不織布に高分子弾性体を付与し、水溶性樹脂を除去した後にバッフィング処理することにより得られる。ここでいうバッフィング処理とは、少なくとも片面が立毛面となっている状態で、スエード調に仕上げられていてもよい。バッフィング処理は針布やサンドペーパーを使用して行うのが一般的である。とりわけ、高分子弾性体付与後、表面をサンドペーパーを使用して、起毛処理することにより均一で緻密な立毛を形成することができる。さらに、研磨布表面上の表面繊維分布の均一性及び緻密性を向上させるためには、3段以上の多段バッフィングが好ましい。2段以下のバッフィングでは、繊維や高分子弾性体が十分にバッフィングされないだけでなく、未バフや半バフの繊維が残留し、研磨布表面上の起毛長が不均一となり、高精度研磨に対応し得ないため好ましくない。さらに各段におけるサンドペーパー走行速度をシート走行速度で除した値が50〜200の範囲に設定することが好ましい。50未満の場合には、研磨布表面上の表面繊維の緻密性が低下するため好ましくなく、200を越える場合には研磨布表面上の表面繊維の分散性に劣り、好ましくない。
本発明において、JISL−1096Bの規定に基づいて測定される研磨布の吸水速度は80mm以上であることが好ましい。80mm未満である場合には、テクスチャー加工でスラリー液を研磨布表面上に付与する際に、スラリー中の研磨砥粒の分散性が低下するとともに、砥粒の保持性も低下するため、高精度の研磨に対応し得ないため好ましくない。研磨布の吸水速度を80mm以上にするためには、前述した極細短繊維不織布及び高分子弾性体の構成をとる必要があり、更に研磨布の見掛け密度としては、表面繊維の緻密性及び均一性が高くすること及び砥粒の保持性、押し付け力を考慮すると、0.2〜0.5g/cm3 の範囲にあることが好ましい。
本発明の研磨布の表面は、JISK−6253Aの規定に基づいて測定される硬度が20〜60であることが好ましい。硬度が20未満である場合、砥粒の押し付け力が不十分であり、研削不足となり、テクスチャー未加工部分が発生し、好ましくない。また、硬度が60を越える場合には、砥粒の押し付けが強くなりすぎるために、スクラッチ欠点が発生するとともに、所望の表面粗さを達成することができないため好ましくない。前述した極細短繊維不織布及び高分子弾性体の構成をとることにより、上記硬度とすることができる。
本発明において、JISB−0601の規定に基づいて測定される研磨布の表面粗さが30μm以下であることが好ましい。20μm以下であることがより好ましい。表面粗さが30μmを越えると、テクスチャー加工表面のうねりを抑制することができず、且つ所望の表面粗さを達成し得ないため好ましくない。前述した極細短繊維不織布及び高分子弾性体の構成をとることにより、上記表面粗さとすることができる。
本発明の研磨布を用いて、テクスチャー加工を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、テクスチャー加工用テープとして用いる。該研磨テープの表面に遊離砥粒を含むスラリーを付着させて、アルミニウム合金磁気記録ディスクやガラス磁気記録ディスクの表面の研削を行うのが好適な方法であり、研磨条件としては、スラリーはダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。砥粒の保持性と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維の繊維径に適合した砥粒径として、0.2μm以下が好ましく、0.05〜0.2μmがより好ましい。
本発明で得られた研磨布は、基板表面粗さが極めて小さい超高精度の仕上げのテクスチャー加工面を有する記録ディスク用基板を提供することができ、且つ微細な研磨屑及び砥粒の基板表面への食い込みに起因する欠陥を抑制し、クリーニング効果が高いとともに、局所的な砥粒の凝集などに起因するスクラッチ欠点を極小化することができるものである。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)繊度及び繊度CV値
該研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の300カ所の極細繊維の繊維径を測定し、繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。これを母集団とした標準偏差値及び平均値を算出する。該平均値を平均繊度とし、該標準偏差値を該平均値で除した値を繊度CV値とした。
(2)表面繊維本数の線密度及び線密度CV値
該研磨布立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。またこれを母集団とした標準偏差値及び平均値を算出する。該標準偏差値を該平均値で除した値を線密度CV値とした。
(3)研磨布吸水速度
大きさ20cm×2.5cmの試験片をタテ方向及びヨコ方向にそれぞれ5枚採取し、各試験片を20℃の水を入れた水槽上の一定の高さに支えた水平棒上にピンで止める。試験片の下端を一線に並べて水平棒を降ろして、試験片の下端がちょうど水につかるようにする。10分間の水の上昇した高さを測定する。同様の方法で計10枚の試験を行い、その平均値を吸水速度として評価した。
(4)研磨布表面粗さ
大きさ3cm×3cmの試験片を10枚以上準備する。次いで、その中の1枚を表面粗さ計SURFCOM1400Dに取り付ける。室温20℃、湿度60%下で、測定検知部の曲率半径1.25μm、検知部速度0.6mm/秒、測定倍率タテ500倍、測定倍率ヨコ20倍、カットオフ長2.5mmの条件下にて、試料1枚あたりにつき、測定長5mmの試料表面粗さを測定する。同様の方法で計10枚測定を行い、得られた試料10枚の表面粗さの平均値で評価する。
(5)研磨布硬度
JISK−6253Aの規定に基づき、大きさ7cm×7cmの試験片を10枚準備する。この中の1枚を高分子計器社製のASKER A型硬度感知部を取り付けたCL−150定圧荷重硬度計に取り付け、室温20℃、湿度60%下で、硬度を測定する。同様の方法で計10枚の硬度を測定し、得られた試料硬度の平均値を研磨布硬度として評価した。
(6)異形断面繊維比率
該研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の繊維形状を測定し、異形断面繊維比率を算出する。
(7)基板表面粗さ
JISB0601に準拠して、TMS表面粗さ計を用いて、ディスク基板サンプル表面の任意の10カ所について平均粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。
実施例1
繊維断面形状が図1に示すような形態で、図1のA成分としてナイロン6を、B成分としてアルカリ易溶性共重合ポリエステルを用いて、B成分によって分割されるA成分数が10となる放射型の分割型複合口金にて、A成分とB成分の重量比率を20:80の割合で溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度2dtex、繊維長51mmの溶出分割型複合繊維の原綿を形成する。
この溶出分割型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、ついでこの積層ウエブに100本/cm2 のニードルパンチを行った。次にこの不織布シートの上下から、針のバーブ方向をシート幅方向に対し垂直にして1500本/cm2 のパンチ本数でニードルパンチし、目付680g/m2 、密度0.2g/cm3 の不織布を作製した。
この不織布シートを熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを島成分繊維重量に対し45重量%付与させてから、アルカリ水溶液に浸漬し、B成分を溶解除去した。
次いでポリウレタン(ポリマージオール成分中にポリエーテルジオール75%を含むもの)を極細短繊維重量に対し35重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを溶解抽出した。
次いで、サンドペーパー走行速度をシート走行速度で除した値を160、160、120として3段バッフィングを施し、厚さ0.55mm、目付180g/m2 、見掛け密度0.33g/cm3 の研磨布を得た。
該研磨布中の極細繊維の異形断面繊維比率は100%であり、断面形状は略二等辺三角形状を有し、平均繊度は0.04dtex、繊度CV値は10%であった。また、該研磨布の表面繊維本数の線密度は抽出した30カ所全て30本/100μm幅以上であり、平均32本/100μm幅、線密度CV値は8%であった。また該研磨布の吸水速度は90mm、硬度は43、表面粗さは25μmであった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でテクスチャー加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工したディスクを用い、研磨布表面に平均粒径0.1μmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを滴下し、15秒間研磨を実施した。テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、平均値0.3nmであった。
また、テクスチャー加工表面を観察したところ、砥粒の食い込み起因のクレーター状の欠点は検出されず、スクラッチ欠点も少なかった。更に、テクスチャー加工表面上に残留する研磨屑及び砥粒も極めて少ないものであった。
実施例2
島成分としてナイロン6と、海成分として共重合ポリエステルを用いて、島本数150島のパイプ型海島型複合繊維口金を通して、島/海重量比率92/8の割合で溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度3.3dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を形成する。この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、ついでこの積層ウエブに1500本/cm2 のパンチ本数でニードルパンチし、目付700g/m2 、密度0.25g/cm3 の不織布を作製した。この不織布シートを熱水収縮させた後、水性糊剤で補強した後、海成分を溶解除去した。次にポリウレタンを極細短繊維重量に対し40重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、水性糊剤を除去した。次いで、サンドペーパーでバッフィングを施し、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の研磨布を得た。
該研磨布中の極細繊維の4〜6角形様断面を有する異形断面繊維比率は60%であり、断面形状はほとんどのものが角張った多角形様であり、平均繊度は0.02dtex、繊度CV値は7%であった。また、該研磨布の表面繊維本数の線密度は抽出した30カ所全て30本/100μm幅以上であり、平均37本/100μm幅、線密度CV値は8%であった。また該研磨布の吸水速度は80mm、硬度は45、表面粗さは28μmであった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を行った。テクスチャー加工表面を観察したところ、砥粒の食い込み起因のクレーター状の欠点は検出されず、スクラッチ欠点も少なかった。更に、テクスチャー加工表面上に残留する研磨屑及び砥粒も極めて少ないものであった。
比較例1
島成分としてナイロン6、海成分として実施例1と同じアルカリ易溶性共重合ポリエステルを用いて、島本数36本/ホールの海島型パイプ口金を通して、島/海重量比率35/65で溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度4.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を形成する。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、ついでこの積層ウエブに100本/cm2 のニードルパンチを行った。次にこの不織布シートの上下から、針のバーブ方向をシート幅方向に対し垂直にして3000本/cm2 のパンチ本数でニードルパンチし、目付800g/m2 、密度0.25g/cm3 の不織布を作製した。この不織布シートを熱水収縮させ、海成分を溶解除去した後に、ポリビニルアルコールを島成分繊維重量に対し40重量%含浸させた。
次いでポリウレタン(ポリマージオール成分がポリエーテルジオール75%のもの)を極細短繊維重量に対し50重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固し、ポリビニルアルコールを溶解抽出した後、厚み方向に半裁した。
次いで、サンドペーパー走行速度をシート走行速度で除した値を160、160、120として、非スライス面に対し、3段バッフィングを施し、厚さ0.47mm、目付180g/m2 、見掛け密度0.38g/cm3 の研磨布を得た。
該研磨布中の極細繊維の異形断面繊維比率は20%であり、断面形状はほとんごが楕円形状であり、平均繊度は0.04dtex、繊度CV値は8%であった。また、該研磨布の表面繊維本数の線密度は抽出した30カ所全て30本/100μm幅以上であり、平均33本/100μm幅、線密度CV値は6%であった。また該研磨布の吸水速度は100mm、硬度は45、表面粗さは15μmであった。
該研磨布を用いて、実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施した。テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、平均値0.29nmであった。また、砥粒の食い込みに起因するクレーター状の欠点及び研磨屑起因のスクラッチ欠点が多数検出された。更にテクスチャー加工表面上に残留する研磨屑、砥粒片が多く検出された。
比較例2
実施例1のA成分とB成分の成分重量比率を40:60とする以外は、実施例1と同様の製法で行い、厚さ0.6mm、目付200g/m2 、見掛け密度0.33g/cm3の研磨布を得た。
該研磨布中の極細繊維の異形断面繊維比率は100%であり、断面形状は略二等辺三角形状であり、平均繊度は0.08dtex、繊度CV値は8%であった。また、該研磨布の表面繊維本数の線密度は抽出した30カ所全て30本/100μm幅未満であり、平均23本/100μm幅、線密度CV値は12%であった。また該研磨布の吸水速度は90mm、硬度は43、表面粗さは30μmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、平均値0.5nmであった。砥粒の食い込み起因のクレーター状欠点は検出されなかったが、スクラッチ欠点が多数検出され、テクスチャー加工表面のうねりも大きいものであった。更に、テクスチャー加工表面上に残留する研磨屑、砥粒片は少なかった。
本発明に用いられる放射型の溶出分割型複合繊維の横断面形状を模式的に示す説明図である。
符号の説明
A:図1の放射型の溶出分割型複合繊維の中の極細繊維を構成する難溶出成分を示す。
B:図1の放射型の溶出分割型複合繊維の中の溶解除去される易溶出成分を示す。

Claims (9)

  1. 平均繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなり、少なくとも片面に該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物において、該不織布を構成する極細短繊維のほとんどが丸みを帯びた断面形状を有する繊維であって、かつ、該断面形状のうち、3〜6角形様のものが全体の過半数を占めていることを特徴とする研磨布。
  2. 該研磨布を構成する極細繊維の繊度CV値が10%以下であり、該立毛面における表面繊維本数の線密度が30本/100μm幅以上でかつシート連続長手方向における該線密度のCV値が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  3. JISL−1096Bの規定に基づいて測定される該研磨布の吸水速度が80mm以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の研磨布。
  4. 該高分子弾性体がポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
  5. 該高分子弾性体の含有率が、該研磨布の繊維重量に対し20〜60%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨布。
  6. 該研磨布の表面が、JISK−6253Aの規定に基づいて測定される硬度が20〜60であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨布
  7. JISB−0601の規定に基づいて測定される該研磨布の表面粗さが30μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の研磨布。
  8. 磁気ディスク基板のテクスチャー加工において、遊離砥粒からなるスラリーを請求項1〜7のいずれかに記載の研磨布の表面に付着させて研削を行うことを特徴とするテクスチャー加工方法。
  9. 該遊離砥粒の粒径が0.2μm以下であることを特徴とする請求項8に記載のテクスチャー加工方法。
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