JP2007308829A - 研磨布 - Google Patents

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昭大 田辺
Yoshikazu Yakake
善和 矢掛
Asanori Shimada
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Abstract

【課題】本発明は、凹凸の鋭角性に優れるテクスチャー痕を形成することができるとともに、スクラッチ欠点、リッジ欠点が少なく歩留まりが良く、更に基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なハードディスクのテクスチャー加工を施すことができる研磨布を提供する
【解決手段】本発明の研磨布は、平均繊度が0.0001〜0.01dtexのポリエステル極細繊維および/または該ポリエステル極細繊維からなるポリエステル極細繊維束が絡合してなる不織布とポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とで構成され、少なくとも片面が該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物からなる研磨布であって、該ポリエステル極細繊維として、固有粘度が0.55〜1.00、かつ、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる繊維を含有することを特徴とする研磨布である。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨布に関し、特にハードディスクに用いられるアルミニウム合金基板またはガラス基板を超高精度の仕上げでテクスチャー加工を施す際に用いられる研磨布に関するものである。
ハードディスク等の磁気記録媒体は、めざましい技術革新により高容量化と高記憶密度化の要求が高まり、このため各種基板表面加工の高精度化が要求されている。
高容量化と高記憶密度化に伴い、ハードディスクと磁気ヘッドとの間隔、すなわち、磁気ヘッドの浮上高さは小さくなってきており、最近では5nm以下の浮上高さのものが要求されている。磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなることにより、磁気ディスクの表面に突起があるとその突起と磁気ヘッドとが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起でも、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。記録ディスクについては、高容量化および高密度化と平行して小型化も進んできており、これに併せてスピンドル回転用のモーター等も小型化されてきている。このため、モーターのトルクが不足し、磁気ヘッドが記録ディスク表面とが密着し、浮上しなくなるというトラブルを引き起こす。
このハードディスクと磁気ヘッドとの密着を防止する手段として、記録ディスクの基板表面にほぼ同心円状の微細な条痕を形成するテクスチャー加工という表面処理が行われている。また、このテクスチャー加工を行うことにより、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際の結晶成長の方向性を制御することで記録方向の抗磁力を向上させることが可能となり、円周方向に磁気的配向を与えて磁気特性を向上している。
従来、テクスチャー加工の方法としては、遊離砥粒からなる水系研磨スラリーを研磨布表面に付着させて研削を行うスラリー研削が用いられている。すなわち、研磨布をテープ状として用い、アルミニウム合金基板またはガラス基板を連続回転させた状態で、その研磨テープを基板に押し付けながら、基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させる。その際に、スラリーを研磨テープと基板との間に供給し、スラリー中に含まれる遊離砥粒が研磨テープを構成する繊維に微分散した状態で把持され、基板に接触し研磨を行う方法である。
テクスチャー加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、研磨後のうねりを低くし、均一で且つ微細なテクチャー痕を形成し、基板表面粗さを極めて小さくすることが要求され、その要求に対応しうる研磨布が求められてきた。
テクスチャー加工において基板表面粗さを小さくするためには、クッション性や基材表面の平滑性に優れることから不織布を用いる方法が多く提案されてきた(特許文献1および特許文献2参照)。
中でも基材表面の平滑性向上やディスク基板表面への当たりの調節などを目的として、不織布を構成する繊維を極細化し、不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされている。例えば、極細繊維が絡合してなる不織布中に、特定の湿潤弾性率を有するポリウレタンが含有されており、表面に、0.03dtex以下の繊度を有する極細繊維からなる立毛が存在するテクスチャー加工用研磨シート(特許文献3参照)が提案されており、このテクスチャー加工用研磨シートを用いた加工では、0.4nmの表面粗さを実現している。
また、平均繊度0.001〜0.1dtexのポリアミド極細短繊維の不織布からなる研磨布(特許文献4参照)が提案されており、この研磨布では0.28nmの表面粗さを実現している。
一方、表面粗さの極小化が進むにつれて、基板表面に深い谷を有する局所的な傷、すなわちスクラッチ欠点及び、異常突起、すなわちリッジ欠点に対する許容範囲は狭くなってきている。すなわち、ハードディスクに要求される面記録密度を向上させるために、単位記録面積の極小化と磁気ヘッドの低浮上化が益々必要となってきており、従来のテクスチャー加工においてスクラッチ欠点、リッジ欠点と判定されなかった傷や突起がエラーの発生につながり、この傷や突起が欠点とみなされるため、更なる基板表面の平滑性、均一性の向上が必要となってきている。
従来、研磨スラリーに用いる研磨粒子は粒径100nm程度のダイヤモンド粒子を用いていたが、近年、前記ディスク欠点を削減することを目的として、ダイヤモンド粒子の小径化が図られている。例えば、特許文献5では、粒径が1〜10nmの範囲にあるダイヤモンド粒子からなるクラスター粒子を研磨粒子とした水系研磨スラリーが提案されており、マイクロファイバーからなる研磨テープを用いた研磨加工において、0.18nmの表面粗さと異常突起の削減を実現している。
しかし、特許文献1〜5に記載の従来の研磨布と前記小径ダイヤモンド粒子からなる研磨スラリーとを用いたテクスチャー加工では、ダイヤモンド粒子径が小さく、砥粒の研削力自体が低くなることにより、スクラッチ欠点やリッジ欠点を減少させることができるが、基板表面のテクスチャー痕の凹凸形状が不明瞭な状態で形成され、最終的に形成されるテクスチャー加工面の表面粗さこそ小さいものであるが、テクスチャー痕の凹凸の鋭角性に欠けることが影響して、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際の結晶成長の方向性を制御することが不十分となり、円周方向の磁気的配向が低くなり、分解能やS/N比などの電磁変換特性を著しく低下させる要因となり、ハードディスクドライブにおけるエラーにつながるという新たな問題点を生じていた。
よって、最近では、粒子径10nm以下の小径ダイヤモンド粒子からなる水系研磨スラリーを用いたテクスチャー加工において、表面粗さ及びスクラッチ・リッジ欠点の低減とともに、テクスチャー痕の凹凸の鋭角性を向上させる技術が求められ、この技術の核となる超高精度の研磨布が要求されている。
ここで、表面粗さ及びスクラッチ・リッジ欠点の減少と、テクスチャー痕の凹凸の鋭角化を両立させるためには、粒子径10nm以下の小径ダイヤモンド粒子からなるクラスター粒子を研磨布表面に、微分散した状態で保持し、更に研磨布表面を構成する繊維にて、該粒子をしっかりと把持し、砥粒の押圧を高めて、切れ味鋭く研削することが強く求められる。
特許文献6には、砥粒の押圧を高め、研削量を多くとることを狙いとし、研磨布構成繊維として、液晶ポリエステル繊維などのフィブリル化可能な繊維を用いることが提案されている。しかし、液晶ポリエステル繊維を研磨シートに用いた場合、剛直ポリマーであるがゆえに、繊維強度が高く、高い研削力が得られるものの、フィブリル径のバラツキに起因する加工圧力のバラツキが大きくなりやすく、ディスク表面全体における加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑制しきれないものであった。更に、該研磨シートは不織布単体からなるものであるため、クッション性が乏しく、この点からもスクラッチ欠点を抑制できないものであった。
また、アルミニウム合金基板に比べ表面硬度の高いガラス基板のテクスチャー加工用研磨布として、特許文献7にはポリエステル極細繊維不織布と高分子弾性体とからなる研磨布が、特許文献8にはポリエステル極細繊維不織布構造体からなる研磨布がそれぞれ提案されている。特許文献7については、研削量は多くとれるものの、立毛繊維の緻密性が不十分であり、砥粒が微分散されないため、テクスチャー痕の線密度の低い荒削りの状態となり満足できるものではなかった。また、開示されているポリエステル系ポリマーを適用した場合、極細繊維の細繊度化に伴い、繊維剛性が低下し、砥粒の把持性と局所的な高い押圧との両立が十分に図れていないため、テクスチャー痕の凹凸の鋭角性を十分に高めることができないものであった。特許文献8については、繊維ポリマーとしてポリエチレン−2,6ナフタレンジカルボキシレートが開示されているが、適用可能なポリエステル系ポリマーの1種として挙げているにすぎず、砥粒の把持性と局所的な高い押圧との両立に寄与する繊維の硬さ、剛性に結びつくポリマー特性について何らの開示をするものではなかった。また、該研磨布は不織布単体からなるものであるため、クッション性が乏しく、スクラッチ欠点・リッジ欠点の発生を十分に抑制できるものではなかった。
よって、砥粒を微分散させた状態でしっかりと把持し、更に押圧を向上させるためには、研磨布表面繊維の緻密性と分散性を高めつつ、極細立毛繊維の高剛性化を図れる技術が必要となってきた。
特開平9−262775号公報 特開平9−277175号公報 特開2002−79472号公報 特開2002−273650号公報 特開2004−178777号公報 特開平10−315142号公報 特開2004−130395号公報 特開2006−45757号公報
そこで本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、凹凸の鋭角性に優れるテクスチャー痕を形成することができるとともに、スクラッチ欠点、リッジ欠点が少なく歩留まりが良く、更に基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なテクスチャー加工を施すことができる研磨布を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明の研磨布は、平均繊度が0.0001〜0.01dtexのポリエステル極細繊維および/または該ポリエステル極細繊維からなるポリエステル極細繊維束が絡合してなる不織布とポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とで構成され、少なくとも片面が該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物からなる研磨布であって、該ポリエステル極細繊維として、固有粘度が、0.55〜1.00、かつ、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる繊維であることを特徴とする研磨布である。
本発明によれば、研磨布表面上の立毛繊維の剛性が高く、また緻密且つ均一に分散した状態で分布しているので、アルミニウム合金基板及びガラス基板のテクスチャー加工において、砥粒が局所的に集中することなく、微分散した状態で研磨布表面に分布し、且つ繊維表面における砥粒の把持性が高く、砥粒の単位粒子あたりの加工圧力が高いことにより、凹凸の鋭角性に優れるテクスチャー痕を形成することができるとともに、スクラッチ欠点、リッジ欠点が少なく歩留まりが良く、更に基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なテクスチャー加工を施すことができ、電磁変換特性に優れた記録ディスクの高記録密度化に対応可能な加工面として仕上げることができる研磨布を得ることができる。
本発明者らは、前記した課題、すなわちテクスチャー痕の凹凸の鋭角化、表面粗さ0.3nm以下、スクラッチ欠点及びリッジ欠点の抑制という課題について、研磨布表面上の立毛繊維の剛性と緻密性に着目して鋭意検討し、研磨布構成繊維の繊度とポリマーの剛性が高精度のテクスチャー加工に大きく寄与することを見出し、研磨布を構成するシート状物を、極細繊維成分が全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなり、固有粘度が0.55〜1.00、平均繊度が0.0001〜0.01dtexのポリエステル極細繊維および/または該ポリエステル極細繊維からなるポリエステル極細繊維束が絡合してなる不織布とポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とで作ってみたところ、かかる課題を一挙に解決することができることを究明したものである。
本発明の研磨布を構成するシート状物について説明する。具体的には、極細繊維成分が全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる、極細繊維の平均繊度が0.0001〜0.01dtex、極細繊維の固有粘度が0.55〜1.00の極細繊維発生型繊維を複合紡糸、延伸、捲縮を経て得る。その後、極細繊維発生型繊維をカットして得られる原綿を用いて、ニードルパンチング等の絡合処理を施して、複合繊維からなる不織布を作成する。次いで、該複合繊維から海成分を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離・分割し、極細繊維化する前および/または後に、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固し、固化させる。次いで、得られたシート状物にバフィング処理を施すことにより、シート状物表面に立毛面を形成する。以上の過程により本発明の研磨布を達成しうるものである。
さらに、本発明の研磨布の製造方法について詳細に記述する。
本発明において、ハードディスクのテクスチャー加工時における砥粒の把持性、砥粒の押し付け力(加工圧力)、表面平滑性の観点から、極細繊維を構成するポリマーは全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂であることが重要である。
また、ジカルボン酸成分について、全ジカルボン酸成分に対するナフタレンジカルボン酸のモル分率は、30モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、70モル%以上が特に好ましい。
本発明においてポリエステル極細繊維として、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上をナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる繊維を含有させることによって、繊維剛性つまり引張・曲げといった機械的特性に優れ、繊維表面が剛直で硬く、立毛面における繊維の均一分散性にも優れるものとすることができ、砥粒の把持性及び分散性を高めることが可能であり、小径ダイヤモンド粒子を均一且つ高い加工圧力でディスク表面に押し付けることができ、均一及び微細で、尚かつ凹凸の鋭角性に優れたテクスチャー痕を形成することができる。全ジカルボン酸成分中に占めるナフタレンジカルボン酸の割合が20モル%未満であるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる極細繊維を用いるだけでは、極細繊維の繊維剛性、硬さが低くなるため、砥粒の把持性、加工圧力共に低くなりやすく、鋭利なテクスチャー痕を十分に形成できないため不適当である。
尚、本発明において、ナフタレンジカルボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、中でも2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸等を挙げることができ、これらを1種を単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでも良いが、中でも、砥粒の把持性、加工圧力に寄与する繊維の硬さ、曲げ弾性、耐摩耗性、繊維製造工程における工程通過性の観点から、テレフタル酸単独で用いることが最も好ましい。
また、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族以外のジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸を少量混合して用いても良い。
本発明に使用するポリエステル樹脂は、前記のナフタレンジカルボン酸および/またはその低級アルキルエステル、ナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸および/またはその低級アルキルエステルを構成成分とするジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とを重縮合反応させることにより製造できる。上記ナフタレンジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルを挙げることができ、好ましくはジメチルエステルである。
また、本発明において、ポリエステル極細繊維は、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上95モル%以下がナフタレンジカルボン酸、5モル%以上80モル%以下がテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなることが好ましい。ナフタレンジカルボン酸成分がジカルボン酸成分の95モル%を越え、テレフタル酸成分が5モル%未満である場合、高弾性、高強度といった繊維剛性に極めて優れる特性を示す反面、糸の残留伸度、タフネスが低くなる傾向を示すことから、ナフタレンジカルボン酸がジカルボン酸成分の95モル%以下、テレフタル酸が5モル%以上とすることが好ましい。
次いで、本発明に用いる脂肪族アルキレングリコール成分については、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種のジオール成分を主たる成分として用いることが好ましい。主たるとは全ジオール成分を基準として、90モル%以上であることを指し、より好ましくは95モル%以上が該成分であるのがよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他のジオール成分を共重合しても良い。他のジオール成分としては、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等を用いることができる。
ポリエステル樹脂の構成成分であるジオール成分として、オルトキシリレングリコール、メタキシリレングリコール、パラキシリレングリコール等の芳香族グリコール類、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェノール類等の芳香族系ジオール類を用いた場合、高弾性、高強度といった繊維剛性に極めて優れる特性を示す反面、糸の残留伸度、タフネスが著しく低くなる傾向を示すことから、耐摩擦性能に劣り、テクスチャー加工時の研磨布とディスクとの摩擦によって、砥粒の加工圧力が不均一な状態となりやすく、テクスチャー痕の局所的な凹凸のムラが大きくなるため好ましくない。また、ポリエステル樹脂の液晶性が高くなりすぎる傾向にあるため、分子鎖が繊維軸方向に極めて配向しやすく、摩擦によりフィブリル化が起こり、フィブリル径のバラツキに起因する加工圧力のバラツキが大きくなりやすく、ディスク表面全体における加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑制しきれないため好ましくない。よって、高弾性、高強度、耐摩耗性を全てを満足する点から、本発明に用いるポリエステル樹脂の構成成分のジオール成分は、脂肪族アルキレングリコールであることが重要である。
本発明において、砥粒の把持性及び押し付け力を満足するための極細繊維の高弾性、高強度、繊維表面の硬さの観点から、ポリエステル極細繊維の固有粘度は0.55〜1.00であることが重要である。またその中でも、0.55〜0.80であることが好ましく、0.60〜0.75であることがより好ましい。固有粘度が0.55未満である場合には、極細繊維の弾性、強度、硬さが低くなるため、砥粒の把持力、押しつけ力共に低く、テクスチャー痕の凹凸形状の鋭角性に欠け、ラインが不明瞭となるとともに、線密度の低下につながるため好ましくない。また、耐摩耗性も低下する傾向を示すため、砥粒の加工圧力が不均一な状態となりやすく、テクスチャー痕の局所的な凹凸のムラが大きくなるため好ましくない。一方、固有粘度が1.00を越える場合には、紡糸時のパック圧力が著しく高くなり、口金吐出孔での吐出ムラ等による糸切れの発生が多く、安定して製糸することが困難であり、ひいては生産性の低下を引き起こすため好ましくない。なお、固有粘度は以下の測定方法により測定した値をいう。まず、オルソクロロフェノール25mlに対し、ポリエステルポリマーまたはポリエステル繊維2gを溶解したポリエステル溶液を作製する。次いで、そのポリエステル溶液の相対粘度ηrをオストワルド粘度計を用いて、25℃で測定し、次の近似式により固有粘度(IV)を算出する。IV=0.0242×ηr+0.2634、但し、ηr=(t×d)/(t×d)、t :ポリエステル溶液の落下時間(秒)、t:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d :ポリエステル溶液の密度(g/cc)、d:オルソクロロフェノールの密度(g/cc)
本発明に用いられる極細繊維の平均繊度は、研磨布表面の立毛繊維の緻密性、繊維強度及び砥粒の把持性の点から、0.0001〜0.01dtexであることが重要である。0.0001dtex未満である場合には、繊維強度及び剛性が低く、研削不足となるばかりでなく、砥粒の把持性に劣り、砥粒の局所的な凝集を招き、スクラッチ欠点が発生しやすいため好ましくない。一方、0.01dtexを越える場合には、立毛繊維の緻密性に劣り、砥粒が微分散されず、研磨布表面における砥粒分布の偏りが大きくなるため、テクスチャー痕の線密度が低くなると共に、スクラッチ欠点とリッジ欠点を抑制しきれないため好ましくない。なお、平均繊度は以下の測定方法により測定した値をいう。つまり、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、極細繊維束が存在する場合は、1つの極細繊維束を構成する極細繊維の繊維径を測定し、各極細繊維について繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。同様の測定を合計5つの極細繊維束について行い、これを母集団とした平均値を算出する。該平均値を平均繊度とする。なお、束状の極細繊維が存在しない場合は、極細繊維300本の繊維径を測定し、同様に平均値を計算する。
所望の繊度を有する極細繊維を得るには、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面放射状あるいは層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維や多層型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束の内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、極細繊維からなるシート状物をバフィング処理し、立毛面を形成させた際の立毛の開繊性に優れているので好ましい。
海島型複合繊維の製造方法としては、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)あらかじめ2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器等で混合し紡糸する方法、および(4)特公昭44−18369号公報等の海島型複合用口金を用いて、海島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式、等が挙げられる。
本発明において、極細繊維束を構成する極細繊維の単繊維の繊度CVが10%以下であることが好ましい。また下限は特に限定されないが、通常0.1%以上となる。ここでいう繊度CVとは、極細繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を平均繊度で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど極細繊維束を構成する極細繊維の単繊維繊度が均一であることを示すものである。繊度CVが10%を越える場合には、研磨布表面における低繊度繊維と高繊度繊維との剛性差に起因する立毛繊維の分布の偏りが生じると共に、砥粒分散及び押しつけ力の均一性に欠け、スクラッチ欠点及びリッジ欠点を十分に抑制しきれないため好ましくない。所望の繊度CVを得るには、極細繊維発生型繊維の中でも、均一な繊度の極細繊維が得られる点で上記(4)の高分子相互配列体方式による海島型複合繊維が好ましい。
海島型複合繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば、丸、楕円、扁平および三角などの多角形や、扇、十字、Y、H、X、W、Cおよびπ型などが挙げられる。また、用いられるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性を考慮すると2ないし3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。また、このときの成分比は、島繊維の海島型複合繊維に対する重量比で0.2〜0.9であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.8である。この成分比が0.2以上であると、海成分の除去率が多すぎず、生産性が著しく低下することなく、コスト的にも好ましい。また、成分比が0.9以下であると、島成分繊維の開繊性に優れ、均一な立毛面を得ることができるため好ましい。
海島型複合繊維の海成分を構成する樹脂としては、島成分を構成するポリマーである本発明のポリエステル樹脂よりも溶解性や分解性の高い化学的性質を有するという点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合成分とした共重合ポリエステル、ポリ乳酸、熱可塑性PVA系樹脂、熱可塑性セルロース系樹脂などを用いることが好ましい。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤が用いられ、また海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、また、熱可塑性PVA系樹脂や熱可塑性セルロース系樹脂などの場合は、熱水にて溶解することができ、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって、海成分を除去することができる。特に、ニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化の観点から、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステルおよびポリ乳酸が好ましく使用される。
本発明において、テクスチャー加工での水系研磨スラリー滴下後の湿潤状態における砥粒の押し付け力を高め、テクスチャー痕の凹凸の鋭角性を向上させる観点から、湿潤時の極細繊維の初期引張抵抗度は30cN/dtex以上であることが好ましい。より好ましくは40cN/dtex以上、更に好ましくは50cN/dtex以上である。初期引張抵抗度が高いほど、繊維長手方向に対し垂直な方向に力を加えた際の曲げ反発性が高いため、砥粒の実質的な加工圧力を高めることができる。ここで、上限値については剛性の点からは特に限定されないが、紡糸、延伸工程での工程通過性を考慮すると、150cN/dtex以下に制御することが重要である。30cN/dtex未満である場合、砥粒の押し付け力が不十分であり、テクスチャー痕の凹凸形状が不明瞭になりやすいだけでなく、ディスク全体に対する砥粒の加工圧力が不均一になることによる、表面粗さ異常や加工ムラの発生につながるため好ましくない。
所望の初期引張抵抗度を得るには、極細繊維成分として前述のポリエステル樹脂を用い、紡糸、延伸工程での極細繊維成分の分子配向を高めるために、極細繊維発生型繊維の溶解除去成分の溶融粘度をより低粘度サイドのものを使用し、極細繊維成分の溶融粘度に対し、相対的に低粘度に設定すること、紡糸速度を800〜3000m/分の範囲、より好ましくは1000〜1600m/分の範囲に設定すること、延伸倍率を2.3倍以上、好ましくは2.5倍以上、更に好ましくは2.7倍以上に設定すること、延伸方式を2段以上の多段延伸とし、更に1段目に対し2段目の延伸温度を高温条件に設定することを組み合わせて行うことにより達成できるものである。
湿潤時の極細繊維の初期引張抵抗度は以下の測定方法にて測定するものである。まず、紡糸、延伸を経て得られた前述のポリエステル樹脂を極細繊維成分とする極細繊維発生型繊維10本を用いて、極細繊維成分以外の成分を溶解除去する。得られた極細繊維束を25℃の蒸留水中に30分間浸漬した後、極細繊維束表面の水分を軽く拭き取り、湿潤状態の極細繊維束試料を得る。次いで、定速伸長形引張試験機(テンシロン)を用いて、試長50mm、引張速度50mm/分にて、荷重−伸長曲線を求める。次いで、JIS L 1013(2005年版)8.10項に準拠して、得られた曲線から原点近くで伸長変化に対する荷重変化の最大点A(接線角の最大点)を求め、次の式により、初期引張抵抗度を算出する。Tri=P/{(L’/L)×F0}、ここで、Tri=初期引張抵抗度(cN/dtex)、P:接触角の最大点Aにおける荷重(cN)、F0:正量繊度(dtex)、L:試長(mm)、L’:THの長さ(mm)(HはAからの垂線の足、TはAにおける接線の横軸との交点)を表す。同様の測定を5回実施し、その平均値を湿潤時の極細繊維の初期引張抵抗度とする。
このようにして得られた海島型複合繊維を、絡合させて不織布とする。本発明の研磨布を構成するための不織布を得るには、海島型複合繊維を短繊維化し、カード・クロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、ニードルパンチ処理を行うことが好ましい。ウエブを形成するという点においては、ランダムウエブなどを用いることも可能である。また、メルトブローやスパンボンドなど、紡糸から直接形成する長繊維不織布でもよい。しかしながら、とりわけ本発明の研磨布においては、長繊維不織布は、極細繊維束相互の絡合および表面繊維の緻密性が、短繊維不織布より劣り、かつ表面繊維本数密度の粗密ムラが大きくなり、研磨砥粒の分布の偏りが大きく、且つ局所的な砥粒の凝集を招き、スクラッチの発生につながることがある。そのため、極細長繊維不織布よりも短繊維不織布が好ましい。
ニードルパンチ処理のパンチング本数は、繊維の高絡合化による緻密な立毛面形成の観点から、1000〜4000本/cmであることが好ましい。パンチング本数が1000本/cmであれば、表面繊維の緻密性に優れ、所望の高精度の仕上げを得ることができ、また、パンチング本数が4000本/cm以下であると、加工性の悪化を招くことがなく繊維損傷や強度低下につながることもない。ニードルパンチング後の複合繊維不織布シートの繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.15〜0.4g/cmであることが好ましく、0.2〜0.3g/cmであることがより好ましい。
このようにして得られた複合繊維不織布は、表面繊維本数の緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
また、極細繊維化処理をした後に、極細繊維および/または極細繊維束の相互絡合をより高め、緻密化させることおよび極細繊維束の開繊性を高め、平滑性を向上させるという点から、ウオータージェットパンチング処理などの高速流体流処理や、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、タンブラーおよびリラクサー等を用いた揉み処理を適宜組み合わせて実施しても良い。高速流体流処理と揉み処理を組み合わせて行う場合には、揉み加工時の寸法変動を抑える点から、高速流体流処理を行った後に揉み処理を行うことが好ましい。高速流体流処理として、作業環境の点で水流を使用するウオータージェットパンチング処理が好ましく、ウオータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。
本発明の研磨布に用いられる極細繊維不織布において、被研磨物へのフィット性及びスクラッチ抑制の点から、前述のポリエステル極細繊維以外にも、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン12及び共重合ナイロンなどのポリアミド類からなる極細繊維を混合して使用してもよい。また、テクスチャー痕の凹凸の鋭角性の点からすると、混合量としては、不織布の繊維総重量に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の量的に少ない方が好ましく採用される。更に、スクラッチ欠点とリッジ欠点の抑制の点から、ポリアミド類からなる極細繊維の平均繊度は、好ましくは0.0001〜0.05dtexである。
本発明におけるシート状物は、前記不織布シートを極細繊維化処理する前および/または後に、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を付与させることにより得ることができる。かかる高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、極細短繊維不織布の内部空間に高分子弾性体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物表面の傷の抑制効果に優れるものである。
かかる高分子弾性体の主成分として用いるポリウレタンのポリマージオール成分の分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜3000であるのがよく、その原料であるジオール成分としては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合物が好ましく用いられる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。中でも、被研磨物へのフィット性、傷の抑制に寄与するクッション性を高めるために、柔軟性の点から、ポリマージオール中におけるポリエーテルジオール成分の割合が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
ポリウレタンの重量平均分子量は、100,000〜300,000が好ましく、より好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量を100,000以上とすることにより、得られるシート状物の強度を保持し、また立毛面上の極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて複合繊維不織布への含浸を行いやすくすることができる。
また、バッフィング処理を施した際に、立毛面上の極細繊維の緻密性と均一性を満足する観点から、ポリウレタンのゲル化点は2.5〜6.0mlであることが好ましい。ゲル化点は、より好ましくは3〜5mlの範囲である。ポリウレタンのゲル化点とは、ポリウレタン1重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)溶液100gを攪拌しながら、この溶液中に蒸留水を滴下し、25±1℃の温度条件でポリウレタンの凝固が開始して微白濁したときの水滴下量の値である。このため、測定に用いられるDMFは、水分0.03%以下のものを使用する必要がある。前述の測定方法は、ポリウレタンDMF溶液が透明であることを前提にして記載しているが、ポリウレタンDMF溶液が予め微白濁している場合には、ポリウレタンの凝固が開始し始めて白濁程度が変化したときの水滴下量をゲル化点とみなすことができる。ゲル化点が2.5ml未満の場合には、ポリウレタンを湿式凝固させる際に、凝固速度が速すぎるため、複合繊維不織布内部空間に存在するポリウレタンの発泡が大きな粗雑なものとなり、また一部発泡不良を生じる結果、バッフィング処理によりシート表面を研削した場合に、立毛面上の極細繊維の立毛長さに斑が生じたり、立毛繊維の分布に偏りが生じたものとなり、研磨砥粒が立毛面に均一に分散した状態が得られず、超高精度の仕上げを実現できないことがある。一方、ゲル化点が6.0mlを超えると、ポリウレタンを湿式凝固させる際に、凝固速度が遅すぎるため、複合繊維不織布内部空間に存在するポリウレタンにはほとんど発泡が認められず、非常に膜厚の厚い硬いポリウレタンとして存在し、バッフィング処理によるシート表面を研削した場合に、ポリウレタンの研削を行いにくく、立毛面上の極細繊維の立毛長さが非常に短く、かつ繊維束の開繊性に劣り、表面繊維本数密度の粗密ムラが大きくなるため、研磨砥粒の局所的な凝集を招き、スクラッチの発生につながる。
また、高分子弾性体は、主成分としてポリウレタンを用いるが、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良く、各種の添加剤、例えば、リン系、ハロゲン系、無機系などの難燃剤、フェノール系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系およびベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤および凝固調整剤などを微量含有していても良い。
かかるポリウレタンの複合繊維不織布への付与方法としては、ポリウレタンを塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。中でも、加工性の点から、複合繊維不織布中にポリウレタン溶液を含浸した後に、湿式凝固させる方法が好ましく使用され、ポリウレタンをジメチルホルムアミドなどの溶剤により溶液とし、(A)極細繊維発生型の海島型複合繊維が絡合した不織布に、前記ポリウレタン溶液を含浸し、水もしくは有機溶媒水溶液中で凝固させた後、海島型複合繊維の海成分を、ポリウレタンは溶解しない溶剤で溶解除去する方法、(B)極細繊維発生型の海島型複合繊維が絡合した不織布に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型複合繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いでポリウレタンの溶液を含浸し、水もしくは有機溶剤水溶液中で凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法などを好ましく用いることができる。
また、高分子弾性体の不織布内部における形態は、繊維の脱落が少なく、立毛繊維の方向性を均一に揃える点から、極細繊維の繊維束の最外周に位置する単繊維の少なくとも一部が接合している状態であることが好ましい。この形態は、前記(B)の方法によって得ることができる。すなわち、ポリビニルアルコールが極細繊維束の外周の大半を保護しているため、極細繊維の繊維束の内部へのポリウレタンの侵入を防ぎ、部分的にポリビニルアルコールの保護がない繊維束の外周部にはポリウレタンが接着することになる。
極細繊維束の最外周に位置する繊維を高分子弾性体が部分的に接着、拘束したことにより、立毛面上の立毛極細繊維の自由度を適度にコントロールすることができるので、その結果、バッフィング処理後の立毛繊維の方向性が極めて少なくし、すなわち、一方向に揃えられた状態に調整することができる。これにより、立毛繊維が均一に分散した状態となり、立毛面上に存在する極細繊維の粗密ムラが小さく、均一に配列した状態とすることができる。このように、立毛繊維が緻密且つ均一分散した状態で分布し、且つ繊維の方向性が一方向に揃えられた状態の構造とすることにより、テクスチャー加工時の砥粒の分散性を高め、研磨布表面における砥粒分布を均一にできるため、スクラッチ欠点を極めて少なくすることを可能とすることができる。
更に、高分子弾性体の不織布内部における形態として、研磨布表面におけるスラリー保持量を高め、テクスチャー痕の線密度をより高くする点から、不織布に高分子弾性体を付与後、立毛面を形成したシート状物において、少なくとも、該シート状物の立毛部の根元付近において、高分子弾性体が極細繊維束内部に存在している状態であることが好ましい。この形態は、不織布に高分子弾性体を付与し、立毛面を形成する前および/または後に、(a)シート状物を高分子弾性体の溶剤に含浸処理、圧縮した後、溶解した高分子弾性体を再凝固させる方法、(b)シート状物の表面に高分子弾性体の溶剤を付与した後、溶解した高分子弾性体を再凝固させる方法を単独もしくは組み合わせて用いることにより得られる。中でも、立毛繊維が緻密且つ均一分散した状態との両立を図る点から、立毛面を形成した後に、前記(b)の方法を行うことがより好ましい。更に、(b)の方法を行った後に、立毛繊維の分布をより均一にするために、サンドペーパーもしくはロールサンダーなどを用いて、擦過処理や軽バフを行っても良い。
本発明の研磨布において、クッション性およびフィット性は、研磨精度の上で重要であり、極細繊維と高分子弾性体の割合や空隙率(見掛け密度でわかる)によって制御し、調節される。高分子弾性体の含有率は、シート状物の総重量に対し、10重量%を越え100%重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上60重量%以下である。含有量によって研磨布の表面状態、空隙率、クッション性、硬度および強度などを適宜調節することができる。高分子弾性体の含有率が10%以下である場合には、繊維脱落が多くなるとともに、クッション性が低くスクラッチの発生につながるため好ましくない。また100%を超えると、加工性および生産性に劣るともに、シート状物表面上において極細繊維が均一分散した立毛面を得られにくい。
本発明の研磨布においては、極細繊維と高分子弾性体とからなるシート状物の少なくとも片面に、極細繊維からなる立毛面を有することが特に重要である。該立毛面はバッフィング処理により得られる。ここでいうバッフィング処理としては、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いてシート表面を研削する方法などが一般的である。とりわけ、シート表面をサンドペーパーを使用して起毛処理することにより、均一で緻密な立毛を形成することができる。更に、超高精度の仕上げで基板表面にテクスチャー加工を施し、かつスクラッチを抑制する目的で、シート表面上の表面繊維分布の均一性及び緻密性を向上させ、立毛繊維の方向性を極めて少なくするためには、研削負荷をより小さくすることが好ましい。研削負荷が高い状態では、巻き毛状となる立毛繊維が多く、また立毛繊維が束状に膠着した状態となりやすい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数やサンドペーパー番手などを適宜調整することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とすることが好ましい。
本発明では、研磨布の立毛面における表面繊維本数の線密度が40本/100μm幅以上であることが好ましい。上限は特に限定されず、数値が大きいほど好ましいが、通常1000本/100μm幅以下となる。ここでいう表面繊維本数の線密度は、以下により定義されるものである。該研磨布の立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。また、これを母集団とした平均値を算出する。表面繊維本数の線密度が40本/100μm幅未満である場合には、緻密性に劣り、砥粒を微細に分散させるに至らず、高精度の仕上げを達成できないとともに、研磨布表面上の繊維が存在しない部分に砥粒が凝集し、スクラッチの発生につながりやすい。
表面繊維本数の線密度について、本発明の要件を満足させるためには、前述した極細繊維不織布および高分子弾性体の構成をとり、前記シート状物の製造方法を採用し、且つ研磨布の繊維見掛け密度としては、表面繊維の緻密性及び均一性を高くすることと砥粒の保持性、押し付け力とを考慮すると、0.2〜0.6g/cmの範囲にあることが好ましく、0.3〜0.5g/cmであることがより好ましく、0.35〜0.5g/cmであることが更に好ましい。
また、本発明の研磨布の水滴吸収時間は0.1〜60秒であることが好ましい。より好ましくは0.1〜20秒、さらに好ましくは0.1〜10秒である。60秒を超えると、連続的に砥粒を研磨表面上に供給した場合、研磨表面が湿潤状態になるのが遅く、砥粒が十分に分散できずスクラッチが増加しやすくなり、研磨精度が低下する。また、吸水時間が0.1秒未満であると、研磨布内層部へのスラリー抜けが多く、研磨布表面での砥粒の保持量の低下につながるため、テクスチャー痕の線密度が低くなると共に、研削量不足になりやすいため好ましくない。
本発明でいう水滴吸収時間は、協和界面科学(株)製FACE/CA−A型の接触角測定装置を利用し、装置付属の注射器に蒸留水を入れ、注射針(外径0.60mm、内径0.45mm)から水滴1滴を研磨布上に滴下し、その水滴を該装置の接眼レンズから観察して、下式により算出する。
tq(水滴吸収時間)=t2−t1 (秒)
ここで、水滴が研磨布上に落ちた時刻をt1とし、水滴は時間経過とともに研磨布中に吸い込まれ、表面上に水滴がなくなる時刻をt2とする。
このt1、t2の状態は、通常の場合(およそtqが10秒以上)では目視で測定可能であるが、非常に速い場合や観察し難い場合は、前述の装置で水滴が注射針から滴下開始する時間から水滴が研磨布中に十分吸収されるまでの状態を該装置の接眼レンズを通して水滴の状態の全画像をビデオに撮影する。そのビデオ画像を再生し、t1、t2の状態とその録画時間から水滴の吸収時間を測定することができる。
なお、吸水時間tqは、製品から任意に取出した試料で20個の測定を行い、該20個の測定値(tq)の中で、最も大きい方の5個のデータの平均値をとり、該平均値を吸水時間の値とする。
水滴吸収時間を本発明の範囲とする手段は特に限定されず、前述のポリエステル極細繊維を用いるほか、不織布の密度や不織布表層部におけるポリウレタンの分布状態、繊維繊度等によって総合的に調整されるものであるが、さらに基材が同一であっても、親水性成分溶液にて親水化加工処理をすることによっても可能、かつ有効であり、好ましい方法である。この処理は、上述した製造方法のうち、いずれのタイミングで行っても良いが、水滴吸収時間の調整が容易な点で、好ましくは、高分子弾性体を付与後、立毛面を形成する前もしくは後が良い。この場合、基材の密度や繊度、使用する繊維種等によって、その処理薬剤や付与量は目的に応じ、適宜調整する必要がある。
ここで、親水性成分としては特に限定されないが、−OH、−COOH、−NH、−CONH−、−SO、−SOなどの親水基を含有する化合物やその誘導体、その他界面活性剤が好ましく用いられる。中でもアクリル酸系、グリコール系、ポリビニルアルコール系、セルロース系、ウレタン系、親水基含有エステル系、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などがより好ましい。そして、その溶液又はエマルジョン水溶液を用いて浸漬処理、噴霧処理、コーティング処理、等で処理した後、80〜190℃で乾燥し固着する。また、研磨布全体の吸水性を大きくしすぎると、砥粒スラリーが基布内部に浸透し効率が低下する傾向があるので、全体をやや撥水処理後、表面を親水性成分処理剤で加工し、吸水性を抑制する方法を用いても良い。
また、親水性成分の付与については、繊維成分への添加により行っても良い。例えば、繊維への添加方法としては、前記親水性成分の繊維へのグラフト重合、紡糸時に親水性化合物微粒子を繊維成分にブレンドする方法、繊維表面への吸着や固着などを用いることができる。
本発明では、研磨布中の珪素化合物の含有量は、研磨布の総重量に対する珪素元素の重量として100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。100ppm以下である場合、テクスチャー加工後に磁性膜をスパッタリングした後の、磁性膜の剥離の発生やハードディスクドライブにおけるエラーの発生を抑制できるため好ましい。
本発明の研磨布をテープ状として、テクスチャー加工を施す際に、寸法変化が生じると、基板表面を均一に研磨することができないため、研磨布の形態安定性の点から、本発明の研磨布の目付は100〜400g/mであることが好ましく、150〜300g/mであることがより好ましい。更に、テクスチャー加工時のテープ伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑える点から、研磨布の片面に補強層を接着しても良い。研磨布に補強層を設ける際には、補強層を接着したシート状物の反対面が立毛面となっていることが必須条件である。
また、研磨布に補強層を接着する方法として、熱圧着法、フレームラミ法、補強層とシート状物との間に接着層を設ける方法のいずれを採用してもよい。また、接着層としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものであれば使用可能である。コストや実用性を考えると、NBRやSBRのような接着剤が好ましい。接着剤の付与方法としては、エマルジョンや、ラテックス状態でシート状物に塗布する。
補強層としては、織編物や熱接着繊維を用いた不織布なども考えられるが、高精度のテクスチャー加工を行うには、厚みや物理特性において均一なフィルム状物を使用することが好ましい。補強層に織編物や熱接着繊維を用いた場合には、補強層の表面の凹凸が大きすぎるために、研磨布全体に補強層の凹凸が反映し、基板表面のうねりを抑制することができず、かつ所望の表面粗さを達成し得ないことがある。
フィルム状物は、表面の平滑性に優れることから、研磨布表面の平滑性を損なうことなく、高精度のテクスチャー加工を行うことができる。ここでいうフィルムとなる素材としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系およびポリフェニルサルファイド系などのフィルム形状を有するものであれば使用可能であるが、汎用性を考えるとポリエステルフィルムを使用することが好ましい。フィルムからなる補強層を設ける場合には、テクスチャー加工時のシートの形態安定性、クッション性および基板表面へのフィット性を全て満足させる点から、不織布からなるシート状物との厚みバランスをとることが必要である。不織布からなるシート状物は、仕上がり厚みとして0.4mm以上であることが好ましく、生産性の点からより好ましくは0.4〜2mmの範囲である。そのため、フィルムの厚みは20〜100μmとすることが好ましい。不織布からなるシート状物の厚みが0.4mm未満であると、テクスチャー加工時の寸法変化が大きく、超高精度の仕上げが行えないため補強層が必要であるが、補強層の効果が強くクッション性を失ってしまうことがある。フィルム層の厚みが20μm未満であると、テクスチャー加工時の寸法変化を抑えることが困難であり、100μmを超えると、研磨布全体の剛性が高くなりすぎるために、スクラッチの発生を抑えることができないため好ましくない。
本発明の研磨布を用いて、テクスチャー加工を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、テクスチャー加工用テープとして用いる。該研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクもしくはガラス磁気記録ディスクのテクスチャー加工を行う方法が好適な方法である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。中でも、砥粒の保持性、分散性、スクラッチ抑制、表面粗さ低減の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒は、単結晶ダイヤモンドからなり、1次粒子径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。テクスチャー痕の凹凸の鋭角化を図る点かた、更に該ダイヤモンド粒子がクラスター化していることが好ましく、クラスター径は100〜800nmが好ましく、100〜600nmであることがより好ましい。
本発明で得られた研磨布は、研磨布表面上の立毛繊維の剛性が高く、また緻密且つ均一に分散した状態で分布しているので、アルミニウム合金基板及びガラス基板のテクスチャー加工において、砥粒が局所的に集中することなく、微分散した状態で研磨布表面に分布し、且つ繊維表面における砥粒の把持性が高く、砥粒の単位粒子あたりの加工圧力が高いことにより、凹凸の鋭角性に優れるテクスチャー痕を形成することができるとともに、スクラッチ欠点、リッジ欠点が少なく歩留まりが良く、更に基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なテクスチャー加工を施すことができ、電磁変換特性に優れた記録ディスクの高記録密度化に対応可能な加工面として仕上げることができる研磨布を得ることができる。

以下、実施例により、本発明の研磨布についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について、以下に説明する。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノール25mlに対し、ポリエステルポリマーまたはポリエステル繊維2gを溶解したポリエステル溶液を作製し、そのポリエステル溶液の相対粘度ηrをオストワルド粘度計を用いて、25℃で測定し、次の近似式により固有粘度(IV)を算出する。
IV=0.0242×ηr+0.2634
但し、ηr=(t×d)/(t×d
t :ポリエステル溶液の落下時間(秒)
:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
d :ポリエステル溶液の密度(g/cc)
:オルソクロロフェノールの密度(g/cc)
(2)平均繊度及び繊度CV
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、各極細繊維について繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出する(束状の極細繊維が存在しない場合は、極細繊維300本の繊維径を測定し、同様に平均値を計算する。)。該平均値を平均繊度とし、該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを繊度CVとした。
(3)湿潤時における極細繊維の初期引張抵抗度
まず、紡糸、延伸、捲縮を経て得られた本発明のポリエステル樹脂を極細繊維成分とする極細繊維発生型繊維10本を用いて、極細繊維成分以外の成分を溶解除去する。得られた極細繊維束を25℃の蒸留水中に30分間浸漬した後、極細繊維束表面の水分を軽く拭き取り、湿潤状態の極細繊維束試料を得る。次いで、定速伸長形引張試験機(テンシロン)を用いて、試長50mm、引張速度50mm/分にて、荷重−伸長曲線を求める。次いで、JIS L 1013(2005年版)8.10項に準拠して、得られた曲線から原点近くで伸長変化に対する荷重変化の最大点A(接線角の最大点)を求め、次の式により、初期引張抵抗度を算出する。
Tri=P/{(L’/L)×F0}、
ここで、Tri=初期引張抵抗度(cN/dtex)、P:接触角の最大点Aにおける荷重(cN)、F0:正量繊度(dtex)、L:試長(mm)、L’:THの長さ(mm)(HはAからの垂線の足、TはAにおける接線の横軸との交点)を表す。
同様の測定を5回実施し、その平均値を湿潤時の極細繊維の初期引張抵抗度とする。
(4)表面繊維本数の線密度
研磨布の立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、その平均値を表面繊維本数の線密度とした。
(5)水滴吸収時間
FACE/CA−A型の接触角測定装置(協和界面科学(株)製)を用い、注射器に蒸留水を入れ、注射針(外径0.60mm、内径0.45mm)から水滴1滴を研磨布上に滴下し、その水滴を該装置の接眼レンズから観察し、吸収時間(tq)を次式にて求めた。
tq=t2−t1 (秒)
t1:水滴が研磨布上に落ちた時間
t2:研磨布中に水滴が吸い込まれ、表面上に水滴がなくなる時間
このt1、t2の状態は、通常の場合(およそtqが10秒以上)では目視で測定可能であるが、非常に速い場合や観察し難い場合は、前述の装置で水滴が注射針から滴下開始する時間から水滴が研磨布中に十分吸収されるまでの状態を該装置の接眼レンズを通して水滴の状態の全画像をビデオに撮影してから測定することができる。
このようにして、製品から任意に取出した試料で20個の測定を行い、該20個の測定値(tq)の中で、最も大きい方の5個のデータの平均値をとり、該平均値を吸水時間の値とした。
(6)珪素含有量
研磨布試料5gに硫酸を添加し、一昼夜放置して炭化させた後、ホットプレートにて硫酸を揮散させた。得られた炭化物を電気炉にて550℃、2時間加熱し、灰化処理を行った。得られた灰化物を炭酸ナトリウム融解し、希塩酸に溶解させたものを試料溶液とした。試料溶液をICP発光分光分析装置に導入し、珪素の定量を行った。
(7)基板表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope IIIaAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、テクスチャー加工後のディスク基板サンプル5枚の両面、すなわち計10表面の各々について、任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)を抽出する。次いで、該10カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出し、得られた断面プロファイル各々について、JIS B 0601(2001年版)に準拠して、算術平均粗さRaを算出する。得られた10表面×10点=合計100点の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(8)スクラッチ点数
テクスチャー加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ2nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(9)リッジ点数
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope IIIaAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、テクスチャー加工後の基板サンプル表面の任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)について、高さ5nm以上の突起をリッジとして、その個数を測定し、その合計点数をリッジ点数とした。
(10)テクスチャー痕の鋭角性
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope IIIaAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、走査速度0.5Hz、ピクセル数512×128の条件でテクスチャー加工後の基板サンプル表面の径方向に任意に3カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向1μm×周方向0.25μmの領域である)を抽出する。次いで、該3カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出する。次いで、合計3点の断面プロファイルについて、径方向1μm幅全ての凹部及び凸部(以下、凹凸)の形状を観察し、鋭角性の評価を以下の基準にて行った。尚、凹凸の先端部が尖った状態とは、先端部の曲率半径が100nm未満であることを示し、なだらかな曲線状とは先端部の曲率半径が100nm以上であることを示す。
○:凹凸の形状が明瞭であり、凹凸の先端部の90%以上が尖った状態である。
△:凹凸の形状は明瞭であるが、凹凸の先端部の10%を越え30%未満がなだらかな曲線状である。
×:凹凸の形状が不明瞭であり、凹凸の先端部の30%以上がなだらかな曲線状である。
(実施例1)
(シート状物の製造)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の92モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、8モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂(固有粘度0.70)、海成分としてポリスチレン(温度220℃、オリフィスサイズ2.0955mmφ×8mm、荷重2160g下でのメルトインデックスが15g/10minのもの)を用いて、島本数200島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3.5dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は65cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付500g/m、密度0.2g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.6mm、目付230g/m、繊維見掛け密度0.38g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.007dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は60本/100μm幅、水滴吸収時間は13秒、珪素含有量は35ppmであった。
(テクスチャー加工)
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でテクスチャー加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmの単結晶ダイヤモンド粒子がクラスター平均径150nmでクラスター化した遊離砥粒スラリーを滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で10秒間研磨を実施した。尚、テクスチャー加工は各ディスクの両面について前記条件にて研磨を実施した。
テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は25、リッジ点数は0であった。また、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例2)
島成分、海成分共に実施例1と同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.5倍で延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は60cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付450g/m、密度0.22g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、実施例1と同一のポリウレタンをシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物を、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させ立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.55mm、目付200g/m、繊維見掛け密度0.36g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は95本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒、珪素含有量は30ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は15、リッジ点数は0であった。また、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例3)
実施例2で得られた立毛シート状物の立毛面に、グラビアロールでN,N−ジメチルホルムアミドを塗布し、水中で再凝固し、乾燥させた後、立毛面をサンドペーパー番手が600番のエンドレスサンドペーパーを用いて、擦過処理を施し、得られた立毛シート状物を研磨布とした。
該研磨布は、立毛部の根元付近にてポリウレタンが極細繊維束内部に存在しており、厚さ0.50mm、目付190g/m、繊維見掛け密度0.38g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は90本/100μm幅、水滴吸収時間は17秒、珪素含有量は30ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.19nm、スクラッチ点数は18、リッジ点数は1であった。また、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、更にテクスチャー痕の線密度が高く、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例4)
実施例2で得られた立毛シート状物に、エチレングリコール及びデシルベンゼンスルホン酸を、該シート状物の総重量に対し、それぞれ0.5重量%が付与されるように処理し、研磨布とした。
得られた研磨布は厚さ0.56mm、目付195g/m、繊維見掛け密度0.35g/cmであり、研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は95本/100μm幅、水滴吸収時間は0.5秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は8、リッジ点数は0であった。また、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、更にテクスチャー痕の線密度が高く、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例5)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、50モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂(固有粘度0.70)、海成分として実施例1と同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は40cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付500g/m、密度0.2g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.55mm、目付200g/m、繊維見掛け密度0.36g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は95本/100μm幅、水滴吸収時間は13秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.17nm、スクラッチ点数は15、リッジ点数は0であった。また、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、更にテクスチャー痕の線密度が高く、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例6)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の96モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、4モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂(固有粘度0.70)、海成分として実施例1と同一のものを用いて、島本数200島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍で延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3.5dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は65cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付490g/m、密度0.21g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、実施例1と同一のポリウレタンをシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物を、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させ立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.57mm、目付220g/m、繊維見掛け密度0.39g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.007dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は57本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒、珪素含有量は30ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.22nm、リッジ点数が1であった。また、スクラッチ点数が40とやや多いレベルであった。テクスチャー痕の鋭角性については、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例7)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の92モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、8モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂(固有粘度1.00)、海成分として実施例1と同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍で延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は70cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付450g/m、密度0.2g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、実施例1と同一のポリウレタンをシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物を、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させ立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.55mm、目付210g/m、繊維見掛け密度0.38g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.89であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は95本/100μm幅、水滴吸収時間は14秒、珪素含有量は30ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.21nm、スクラッチ点数が25、リッジ点数が1であった。また、テクスチャー痕の鋭角性については、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例8)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、70モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂(固有粘度0.72)、海成分として実施例1と同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍で延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は35cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付470g/m、密度0.21g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、実施例1と同一のポリウレタンをシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物を、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させ立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.53mm、目付210g/m、繊維見掛け密度0.4g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は90本/100μm幅、水滴吸収時間は12秒、珪素含有量は30ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.17nm、スクラッチ点数が15、リッジ点数が0であった。また、テクスチャー痕の鋭角性については、凹凸が明瞭に形成されており、且つ凹凸の先端部が尖った形態を有しており、○評価であった。また、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、S/N比などの電磁変換特性に優れるものであった。
(比較例1)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の92モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、8モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなる、固有粘度0.55のポリエステル樹脂、海成分は実施例1との同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.5倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は45cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付450g/m、密度0.2g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.55mm、目付200g/m、繊維見掛け密度0.36g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.45であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は92本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は30、リッジ点数は1であった。テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸の形状が明瞭であるが、凹凸の先端部がなだらかな曲線状となっている部分が全体の約30%を占めており、△評価であった。テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板はハードディスクドライブテストにおいて、S/N比は良好であるものの、エラーの発生が多発し、電磁変換特性にやや劣るものであった。
(比較例2)
島成分、海成分共に実施例1と同一のものを用いて、島本数100島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.8倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度5dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は65cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付500g/m、密度0.23g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分である共重合ポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、実施例1と同一のポリウレタンをシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物を、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングをして立毛面を形成させ、厚さ0.55mm、目付180g/m、繊維見掛け密度0.33g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.02dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。
また、研磨布の表面繊維本数の線密度は35本/100μm幅、水滴吸収時間は13秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.32nm、スクラッチ点数は350、リッジ点数は25であり、また、テクスチャー加工面全体を観察すると、表面のうねりが大きく、テクスチャー痕の均一性に欠けるものであった。更に、テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸の形状が明瞭であり、凹凸の先端部が尖った状態であり○評価であったが、テクスチャー痕の不均一性が起因して、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板はハードディスクドライブテストにおいて、エラーの発生が多発し、電磁変換特性が低いものであった。
(比較例3)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の15モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、85モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなる、固有粘度0.70のポリエステル樹脂、海成分は実施例1との同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で2.5倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は28cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付480g/m、密度0.22g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.57mm、目付210g/m、繊維見掛け密度0.37g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.65であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は98本/100μm幅、水滴吸収時間は14秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は13、リッジ点数は0であった。テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸の形状が不明瞭であり、凹凸の先端部がなだらかな曲線状となっている部分が全体の約80%を占めており、×評価であった。テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板はハードディスクドライブテストにおいて、エラーの発生が多発し、電磁変換特性が低いものであった。
(比較例4)
島成分として、全ジカルボン酸成分中の100モル%がテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールからなる、固有粘度0.72のポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート、海成分は実施例1との同一のものを用いて、島本数400島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合用口金を通して、島/海重量比率40/60、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸後、捲縮を経て、単繊維繊度3dtexの海島型複合繊維を作製した。該複合繊維から海成分をトルエンにて溶解除去した極細繊維の湿潤時における初期引張抵抗度は25cN/dtexであった。
次いで、この海島型複合繊維を51mmにカットして得られた原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付420g/m、密度0.22g/cmの複合繊維不織布を作製した。この複合繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
次いで、該極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、20重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.53mm、目付180g/m、繊維見掛け密度0.34g/cmであった。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊度は0.003dtex、繊度CVは8%、固有粘度は0.70であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は100本/100μm幅、水滴吸収時間は16秒、珪素含有量は35ppmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.14nm、スクラッチ点数は10、リッジ点数は0であった。テクスチャー痕の鋭角性は、凹凸の形状が不明瞭であり、凹凸の先端部がなだらかな曲線状となっている部分が全体の90%以上を占めており、×評価であった。テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板はハードディスクドライブテストにおいて、エラーの発生が多発し、電磁変換特性が低いものであった。
Figure 2007308829
本発明の研磨布は、研磨布表面上の立毛繊維の剛性が高く、また緻密且つ均一に分散した状態で分布しているので、アルミニウム合金基板及びガラス基板のテクスチャー加工において、砥粒が局所的に集中することなく、微分散した状態で研磨布表面に分布し、且つ繊維表面における砥粒の把持性が高く、砥粒の単位粒子あたりの加工圧力が高いことにより、凹凸の鋭角性に優れるテクスチャー痕を形成することができるとともに、スクラッチ欠点、リッジ欠点が少なく歩留まりが良く、更に基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なテクスチャー加工を施すことができ、電磁変換特性に優れた記録ディスクの高記録密度化に対応可能な加工面として仕上げることができる研磨布を得ることができる。

Claims (9)

  1. 平均繊度が0.0001〜0.01dtexのポリエステル極細繊維および/または該ポリエステル極細繊維からなるポリエステル極細繊維束が絡合してなる不織布とポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とで構成され、少なくとも片面が該極細繊維からなる立毛面を有するシート状物からなる研磨布であって、該ポリエステル極細繊維として、固有粘度が0.55〜1.00、かつ、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上がナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂からなる繊維を含有することを特徴とする研磨布。
  2. 前記ポリエステル樹脂が、全ジカルボン酸成分中の20モル%以上95モル%以下がナフタレンジカルボン酸、5モル%以上80モル%以下がテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、脂肪族アルキレングリコールからなるジオール成分とで構成されるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の研磨布。
  3. 前記高分子弾性体の含有率が、シート状物の総重量に対し、10重量%を越え100重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨布。
  4. 前記ポリエステル極細繊維束を構成する極細繊維の単繊維の繊度CVが10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
  5. 前記シート状物の立毛面における表面繊維本数の線密度が、40本/100μm幅以上1000本/100μm幅以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨布。
  6. 前記高分子弾性体と前記極細繊維束の最外周に位置する繊維とが部分的に接合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨布。
  7. 水滴吸収時間が0.1〜60秒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の研磨布。
  8. 少なくとも、シート状物の立毛部の根元付近において、高分子弾性体が極細繊維束内部に存在していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の研磨布。
  9. ハードディスクのテクスチャー加工用に用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の研磨布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010064216A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Fujibo Holdings Inc 研磨布
JP2015209594A (ja) * 2014-04-23 2015-11-24 東レ株式会社 シート状物およびその製造方法

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