JP2007069304A - 研磨布 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、テクスチャー加工において表面粗さが低く、且つスクラッチ欠点が少なく、さらに線密度の高いテクスチャー痕を形成することで、高電磁変換特性を達成することができる研磨布を提供せんとするものである。
【解決手段】
平均繊維径5μm以下の極細繊維が絡合してなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物であって、該極細繊維が表面に繊維軸方向に沿って凹部を有することを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨布に関し、特に磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板及びガラス基板を超高精度の仕上げでテクスチャー加工を施す際に好適に用いられ得る研磨布に関するものである。
近年、磁気ディスク等の磁気記録媒体は、高容量化、高記憶密度化に伴い、磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなる傾向にある。そのため、磁気ディスク表面に突起が存在すると、磁気ヘッドと突起とが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起であっても、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。
ディスク基板上に金属磁性層を形成する際、結晶成長の方向性を制御し、記録方向の抗磁力を向上させるために、記録ディスクの基板表面に微細な条痕を形成するテクスチャー加工という表面処理が行われている。
テクスチャー加工の方法としては、遊離砥粒のスラリーを研磨布表面に付着させて研削を行うスラリー研削等が用いられている。しかし、テクスチャー加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、研磨後のうねりを低くし、基板表面粗さを0.3nm以下にすることが要求されており、その要求に対応しうる研磨布が切望されている。
テクスチャー加工において、基板表面粗さを小さくするため、不織布を構成する繊維を極細化し、さらにクッション性を持たせるため不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされている。
例えば、0.3dtex以下の極細繊維不織布に高分子エラストマーを含浸させた研磨布が提案されており、0.5nm程度の表面粗さを達成している(特許文献1)。
更に、近年ではポリマーブレンド紡糸を用い、平均繊度0.001〜0.1dtexのポリアミド極細短繊維の不織布からなる研磨布(特許文献2参照)が提案されており、この研磨布では0.28nmの表面粗さを達成している。
遊離砥粒を含有するスラリーと不織布を主体とする研磨布を用いたテクスチャー加工方法では、まず研磨布をテープ状として用いる。次いで、基板を連続回転させた状態で、研磨テープを基板に押し付けながら、基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させる。その際に、スラリーを研磨テープと基板との間に供給し、スラリー中に含まれる遊離砥粒が研磨テープを構成する繊維に微分散した状態で把持され、基板に接触し研磨を行うものである。
特許文献2のような従来の研磨布は、表面粗さを低減させるため、繊維を極細化する方法が用いられている。確かに研磨布表面の繊維本数が増え、均一な加工が可能となるため、表面粗さが低減し、さらにスクラッチと呼ばれる基板表面の傷も減少する傾向にある。しかし、表面繊維の細繊維化により、砥粒の基板表面への押し付け力が低下し、テクスチャー痕の(微細な山や谷)の線密度が低く、シャープさに欠けることが影響して分解能やS/N比などの電磁変換特性を低下させる要因となり、ハードディスクドライブにおけるエラーの原因となっていた。
ハードディスクの電磁変換特性を向上させるためには、ディスク基板の表面粗さを極小化し、且つスクラッチを抑制し、さらにシャープなテクスチャー痕を線密度が高い状態で形成させる必要がある。基板の線密度は基板表面のラインデンシティという指標で評価できる。
この課題に対し、研磨布の砥粒の把持性を向上させることが有効であると考えられている。砥粒の把持性を向上させることにより、砥粒が基板表面に強く押し付けられることができ、基板表面に鋭利な溝が形成され、それにより高いラインデンシティを得ることができるからである。
砥粒の把持性を向上させるために、繊維表面に凹凸を付与し、該溝部分で砥粒を把持する方法が考えられる。
例えば特許文献3では織物の繊維表面に溝を有する研磨用テープが開示されている。しかし該繊維は1dtex程度の太繊度品であり、また該溝部分は開口幅が0.6〜3μm、深さが0.6〜2μm程度と非常に大きい為、砥粒が凹部分に数個凝集することによるスクラッチの増加が懸念される。加えて、近年の研磨布に求められる0.5dtex以下の極細繊維を得ることは凸部の合流などが発生するため、困難であった。
また、0.5dtex以下の極細繊維に凹凸を付与する方法(特許文献4)や、0.03〜0.6dtexの単繊維繊度において、最大径が0.1μm以下の凹部を有するフィラメントからなる研磨布(特許文献5)が開示されている。しかしながら、いずれの手法も無機微粒子を極細繊維に含有させ、アルカリ処理により減量することにより凹部を形成させている為、繊維の強度が低下するだけでなく、凹部のサイズが調整できないばかりか、凹部位置もランダムになるという課題を抱えていた。
特開2001−1252号公報 特開2002−273650号公報 特開2003−225856号公報 特開平6−25918号公報 特開2005−88158号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、テクスチャー加工において表面粗さが低く、且つスクラッチ欠点が少なく、さらに線密度の高いテクスチャー痕を形成することで、高電磁変換特性を達成することができる研磨布を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)平均繊維径5μm以下の極細繊維が絡合してなる不織布と高分子弾性体で構成されたシート状物からなる研磨布であって、該極細繊維がその表面に繊維軸方向に沿った凹部を有することを特徴とする研磨布。
(2)幅0.01〜1μm、深さ0.01〜1μmの範囲の凹部が極細繊維に直行する断面あたり平均で10本以上存在することを特徴とする上記(1)に記載の研磨布。
(3)高分子弾性体の含有率が、シート状物の総重量に対し、5重量%以上75重量%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の研磨布。
(4)高分子弾性体がポリウレタンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の研磨布。
本発明によれば、研磨布の極細繊維表面に繊維軸方向に連続した微細な凹部を有している為、繊維が砥粒を適切に把持することが可能となり、特にアルミニウム合金基板及びガラス基板のテクスチャー加工において、表面粗さが低く、且つスクラッチ欠点が少なく、さらに線密度の高いテクスチャー痕を形成することで、高電磁変換特性を達成することができる研磨布を提供することができる。
本発明は前記した課題、つまり、低表面粗さ及びスクラッチの抑制と、テクスチャー痕の高線密度という高精度化を両立するという課題について、鋭意検討し、研磨布の極細繊維表面の形状に着目して、研磨布を構成するシート状物の極細繊維が絡合してなる不織布に、表面に繊維軸方向に沿った凹部を有する極細繊維を用いることで、かかる課題を一挙に解決することができることを究明したものである。
以下本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明は、平均繊維径5μm以下の極細繊維が絡合してなる不織布と高分子弾性体で構成されたシート状物からなる研磨布であり、該不織布を構成する極細繊維はその表面に繊維軸方向に沿った凹部を有することを特徴とする。
本発明において、シート状物を構成する不織布に用いられる極細繊維の平均繊維径は、5μm以下であることが重要である。繊維強度と砥粒の把持性の点から好ましくは0.01〜5μmの範囲である。5μmを越える場合には、研磨布表面での立毛繊維の緻密性に劣り、遊離砥粒の分布の偏りが大きくなることにより、高精度の仕上げを達成できないため好ましくない。ここでいう平均繊維径は、得られたシート状物の厚み方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の繊維径を測定して算出される平均値のことを指すものである。
本発明の研磨布を構成するシート状物は短繊維をカード、クロスラッパーを用いて幅方向に配列させた積層ウェブを形成させた後にニードルパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンドやメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、抄紙法で得られる不織布、および織編物などが好適に用いられる。
本発明の研磨布は、不織布を形成する極細繊維がその表面に繊維軸方向に沿った凹部を有することが重要である。該凹部によって砥粒を適切に把持し、ディスク基板表面に鋭利な溝を形成できるからである。なお、繊維軸方向に沿った凹部とは、単なる凹みではなく、後述するように繊維軸方向にある程度の長さを有する溝を意味する。
本発明の研磨布の極細繊維表面の凹部は幅が0.01〜1μm、深さが0.01〜1μmの範囲であることが好ましい。また、凹部は繊維軸方向に長さが5μm以上あることが好ましい。幅、深さ及び長さの測定方法は、次の方法による。すなわち、研磨布より高分子弾性体を溶出除去して極細繊維のみを抽出し、走査型電子顕微鏡(SEM)により2000〜10000倍にて観察し、任意の100本の極細繊維において、繊維軸方向に長さが5μm以上、幅0.01〜1μm、深さ0.01〜1μmの範囲にある凹部の幅、深さ及び長さを測定する。なお、繊維表面にイレギュラーに形成された傷はカウントしない。
凹部の幅はより好ましくは0.1〜0.5μmであり、深さは0.1〜0.5μmの範囲がより好ましい。幅、深さいずれもが0.01μm以上であると砥粒を把持する効果がより向上するため好ましい。また凹部の幅、深さどちらもが1μm以下であれば砥粒に対して凹部が大きすぎることがなく、砥粒が溝部分に凝集して表面粗さの上昇や、スクラッチの増加が起こることがなく好ましい。幅、深さいずれかが1μmを超える凹部が存在した場合、砥粒が該溝部分に凝集するだけでなく、極細繊維の強度、ヤング率が大幅に低下し、結果として研磨性能が著しく悪化するため、該範囲を超える凹部は存在しないことが好ましい。一方、幅、深さいずれかが0.01μm未満である凹部については、砥粒の把持性の向上には寄与できないものの、表面粗さの上昇や、スクラッチの増加には直接は寄与しないため存在していてもよい。
本発明の研磨布は、凹部が極細繊維に直行する断面あたり平均で10本以上存在することが好ましい。10本以上であると、砥粒把持可能な溝部分が十分に確保でき、溝部分にかかる圧力が均一に分散されるため、ディスクの表面粗さの上昇や、スクラッチの増加が起こることがなく、好ましい。繊維表面の凹部数は、より好ましくは極細繊維に直行する断面あたり平均で15本以上である。
なお、極細繊維に直行する断面あたりの凹部本数は次のようにして求めた値をいう、すなわち、研磨布より高分子弾性体を溶出除去して極細繊維のみを抽出し、走査型電子顕微鏡(SEM)により2000〜10000倍にて観察し、任意の100本の極細繊維において、繊維軸方向に長さが5μm以上、幅0.01〜1μm、深さ0.01〜1μmの範囲にある凹部の本数を測定し、平均値を求め、小数点第1位を四捨五入することで算出する。この際、繊維表面にイレギュラーに形成された傷(長さが5μm以下の凹部も含まれる)はカウントしない。
本発明の研磨布に用いられる極細繊維は特に限定されるものではないが、極細繊維発生型繊維として、海島型複合繊維等を用いることができる。海島型複合繊維を構成する樹脂としては、極細繊維発生可能な2種類以上の樹脂の組合せが挙げられる。例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、共重合ポリエステルなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、共重合ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ乳酸(PLA)、乳酸共重合体、ポリグリコール酸などの脂肪酸ポリエステル系重合体類、脂肪酸ポリエステルアミド系重合体類などが用いることのできる合成樹脂の例として挙げられる。中でも、極細繊維成分として、親水性、耐摩耗性の観点から、ポリアミド類、ポリエステル類、脂肪族ポリエステル系重合体類が好適に用いられる。
更に、海島型複合繊維の海成分としては、島成分を構成するポリマーよりも溶解性、分解性の高い化学的性質を有するという点から、PE、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合成分とした共重合ポリエステル、PLAなどを用いることが好ましい。海成分を溶解する溶剤としては、PE、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤、共重合ポリエステル、PLAの場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって、海成分を除去することができる。特にニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化の観点から、ポリスチレン、共重合ポリスチレン等が好ましく使用される。
なお、極細繊維表面にサブミクロンオーダーの凹部を形成するためには、海島型繊維の島成分にポリマーアロイ繊維を用いることが重要である。該ポリマーアロイ繊維は難溶性成分が島、易溶性成分が海を形成するものが好ましい。ポリマーアロイ繊維の難溶性成分が易溶解性成分の表面まで浮き出し、それにより繊維軸方向に沿った微細な凹部を形成するからである。
また、難溶性成分が海、易溶性成分が島からなり、易溶性成分を溶出することにより、繊維表面に微細な連続状の溝を形成可能なナノポーラス繊維を用いてもよい。
本発明のシート状物は平均繊維径5μm以下の極細繊維が絡合してなる不織布と高分子弾性体から構成されるが、ここで用いる高分子弾性体は特に限定されない。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができるが、中でもポリウレタン、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール成分にポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のジオールを用いたものを使用可能である。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルジオールは、アルカンジオールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とを、通常のポリエステル生成反応に採用される条件下に反応させることによって得ることができる。アルカンジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
ジカルボン酸の代表例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独または2種以上の混合物で使用される。中でも脂肪族ジカルボン酸が好適に用いられる。これらジカルボン酸は、エステル形成性誘導体の形で用いてもかまわない。その際の代表例としては、上記例示のジカルボン酸のメチルエステルやエチルエステルなどの低級アルキルエステルなどが挙げられる。上記のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体は、単独または2種以上の混合物で使用されてもかまわない。
ポリカーボネートジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルとのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。アルキレングリコールとしては、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオールおよび2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオールなどの分岐アルキレングリコールを用いることができる。また、炭酸エステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどが挙げられる。
ポリラクトンジオールの例としては、ポリ−ε−カプロラクトンジオールやポリ−β−メチル−d−バレロラクトンジオールなどが挙げられる。これらポリラクトンジオールは、アルキレングリコール等を開始剤として用いて、ラクトンを開環重合させることによって製造される。
ポリウレタンの合成に用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、パラキシレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。
また、ポリウレタンの合成に用いられる鎖伸長剤としては、有機ジオール、有機ジアミンおよびヒドラジン誘導体などを用いることができる。有機ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールや水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシレングリコールなどを挙げることができる。有機ジアミンの例としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシレンジアミン、フェニルジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。ヒドラジン誘導体の例としては、ヒドラジン、アジピン酸ヒドラジドおよびイソフタル酸ヒドラジドなどを挙げることができる。
ポリウレタンの重量平均分子量は100,000〜300,000が好ましく、より好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量を100,000以上とすることにより、得られるシートの強度を保持し、また立毛面上の極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて不織布への含浸を行いやすくすることができる。
また、高分子弾性体は、主成分としてポリウレタンを用いることが好ましいが、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良く、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明の研磨布において、高分子弾性体の含有率は、シート状物の総重量に対し、5重量%以上75%重量%以下であることが好ましく、15重量%以上40重量%以下であることがより好ましい。含有量によって研磨布の表面状態、クッション性、硬度、強度などを適宜調節することができる。5%とすれば、繊維脱落を少なくでき、75%以下とすれば、加工性及び生産性が向上するとともに、シート表面上において極細繊維が均一分散した立毛面を得ることができる。
本発明の研磨布をテープ状にしてテクスチャー加工に用いる際、基板表面を均一に研磨するためには寸法変化が生じないことが必要である。そのため、研磨布の形態安定性の点から、本発明の研磨布の目付は100〜1000g/mの範囲であることが好ましく、150〜500g/mであることがより好ましい。また、同様の観点から本発明の研磨布は厚みが0.1〜10mmの範囲が好ましく、0.3〜5mmの範囲がより好ましい。なお、本発明の研磨布の密度については特に限定されるものではないが、均一な加工性を得るためには0.1〜1.0g/cmの範囲が好適である。
さらに、本発明の研磨布の製造方法について詳細に記述する。
少なくとも2成分のポリマーからなる、平均繊維径5μm以下の極細繊維が得られる極細繊維発生型繊維を複合紡糸、延伸、捲縮、カットを経て得る原綿を用いて、ニードルパンチング等の絡合処理を施して、不織布を構成する。該複合繊維から海成分を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割し、平均繊維径5μm以下に極細繊維化する前または後に、高分子弾性体をシート状物総重量に対し5重量%以上75重量%以下付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固、固化させる。次いで、該シート状物にバフィング処理を施すことにより立毛面を形成する。この過程において、極細繊維化する前もしくは後に、ウオータージェットパンチング等の高速流体流処理や揉み処理を採用しても良い。
所望の繊維径を有する極細繊維を得るには、極細繊維発生型繊維を用いるのが好ましい。極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分、島成分とし海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面放射状あるいは層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維、多層型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は繊維径の均一性、並びに立毛面を形成させた際の立毛の開繊性に優れる点から好ましい。
海島型複合繊維の製造方法としては、特に限定されないが、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)特公昭44−18369号公報等の海島型複合用口金を用いて、海島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式等が挙げられる。
また、本発明の研磨布においては、本発明の平均繊維径として5μmを越えない範囲であれば、繊維径が5μmを越える繊維を混合して使用してもよい。しかし、砥粒の把持性、被研磨物への傷の抑制の点から、たとえ平均繊維径として5μmを越えないとしても、繊維径が5μmを越える繊維混合量としては10重量%以下が好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
本発明においては、ポリマーの選択が容易であり、また極細繊維の分散性に優れ、且つ均一な繊維径の極細繊維が安定的に得られる点で上記(2)の高分子相互配列体方式による海島型複合繊維が好ましい。但し、高分子相互配列体方式では、口金構造によっては繊維径0.1μm未満も可能であるが、口金構造が複雑となり、紡糸性も著しく低下するため、工業的には0.1μmまでである。
本発明の研磨布において繊維表面の繊維軸方向に沿った凹部を有する極細繊維を得るには、多角形断面を有する口金を用いて島成分を溶融紡糸する方法等が挙げられるが、サブミクロンオーダーの微細な凹部を得るためには、ナノオーダーで島成分(極細繊維発生型繊維としての海島型複合繊維からみると湖成分)が分散したポリマーアロイ繊維を島成分とする方法が好ましく用いられる。
海島型複合繊維の島成分にポリマーアロイ成分を用いた複合繊維の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば(1)あらかじめ2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、ポリマーアロイ成分を島成分として海島型複合紡糸する方法、あるいは(2)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で混練機により混合し、島成分として海島型紡糸する方法等を採用することができる。このときの混練機としては島ポリマーの凝集を防ぐ為、強制的に混練するという観点から、二軸押出混練機や、静止混練機としては分割数100万分割以上のものを用いることが好ましい。
該ポリマーアロイの製造においては、ポリマーの組み合わせも重要となる。島成分ポリマーと海成分ポリマーは非相溶であることが好ましいが、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島成分ポリマーが十分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメーター(SP値)である。ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近いもの同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島成分の円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えば、N6とPETはSP値の差が6(MJ/m1/2程度であり好ましい例であるが、N6とPEはSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの溶融粘度を海に比べて低く設定すると剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすく超極細化の観点からは好ましい。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化(島成分のはずが、逆転して海成分となってしまうこと)しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島成分ポリマー粘度は海成分ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
本発明において、島成分のポリマーアロイ繊維の表面に繊維軸方向に沿った凹部を形成させる方法としては、特に限定されるものではないが、0.1μmレベルの微細な凹凸を形成するためには、ポリマーアロイの易溶解性ポリマーを有機溶媒などにより膨潤させ、その後に乾燥させることにより、ポリマーアロイ中の難溶性成分により繊維表面に凹部を形成させる方法を採用することができる。このとき、ポリマーアロイ中の海部分が有機溶剤等より膨潤するものを用いることが重要である。海成分が膨潤し、形態が大きく変化することにより、ポリマーアロイ中の繊維表面付近の島成分が表面に浮き出し、凹凸を形成することができるからである。有機溶剤により膨潤可能な海成分としては特に限定されるものではないが、取り扱い易さ、膨潤率の高さからPLAが好適に用いられる。また、ポリマーアロイ中の難溶性成分は特に限定されるものではなく、N6などのポリアミド類、PET、PTT、PBT等のポリエステル類を用いることができる。また、易溶性成分の比率を変化させることにより、凹部本数を制御することも可能である。
該極細繊維の膨潤に用いられる有機溶剤は特に限定されるものではないが、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン、クロロホルム、トルエン、ベンジルアルコールなどを好適に用いることができる。中でもDMFは膨潤率が高く、さらに高分子弾性体をシート状物に付与する際の溶媒として用いることができるため、後加工を行うことなく、従来の工程のみで極細繊維に凹凸を形成させることができるため、好ましい。
なお、ポリマーアロイ繊維の易溶性成分を溶出させ、難溶性成分である超極細繊維が束状となった繊維でも良いように思われるが、該繊維束は単繊維としての超極細繊維の凝集力がポリマーアロイ繊維ほど強くないため、繊維間の溝部分で砥粒を把持した際、繊維束が変形しやすく、砥粒を適切に把持できないため好ましくない。
このようにして得られた海島型複合繊維を絡合させて不織布とする。本発明の研磨布を構成するための不織布を得るには、海島型複合繊維を短繊維化し、カード・クロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、ニードルパンチ処理を行うことが好ましい。ウエブを形成するという点においては、ランダムウエブなどを用いることも可能である。また、スパンボンド、メルトブローなど紡糸から直接形成する長繊維不織布を用いても良い。ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による緻密な立毛面形成の観点から1000〜6000本/cmであることが好ましい。1000本/cm未満では表面繊維の緻密性に劣ることにより、所望の高精度の仕上げを得ることができず、6000本/cmを越えると、加工性の悪化を招くとともに繊維損傷が大きく、強度低下につながるため好ましくない。ニードルパンチング後の複合繊維不織布シートの繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.2g/cm以上であることが好ましい。
このようにして得られた複合繊維不織布は、表面繊維本数の緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
次に極細繊維を発現せしめる方法は除去する成分の種類によって異なるが、PEやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、共重合ポリエステルやPLAであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。
ここで、海島型繊維の易溶性成分を溶解する際に、同時に海島型繊維の島成分に用いるポリマーアロイ繊維の易溶性成分が溶解し、超極細繊維束を発生しないことが必要である。そのため、海島型繊維の海成分としてはPEやポリスチレン等の有機溶剤により溶解する成分を用い、島成分のポリマーアロイ繊維の易溶性成分としては共重合ポリエステルやPLA等のアルカリ水溶液に溶解する成分を用いることが好ましい。また、海成分を溶解する際の有機溶剤により島成分であるポリマーアロイ繊維が膨潤し、微細な凹凸を形成できるため、より好ましい。なお、島成分に用いるポリマーアロイ繊維が易溶性成分が島(極細繊維発生型繊維としての海島型複合繊維からみると湖成分)であるナノポーラス繊維を用いる場合は、この限りではない。
また、極細繊維化処理をした後に、極細繊維及び極細繊維束間の相互絡合を高め、高緻密化させること、並びに極細繊維束の開繊性、平滑性を向上させる観点から、ウオータージェットパンチング処理などの高速流体流処理や、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、タンブラー、リラクサー等を用いた揉み処理を適宜組み合わせて実施しても良い。なお、高速流体流処理と揉み処理を組み合わせて行う場合には、揉み加工時の寸法変動を抑える点から、高速流体流処理を行った後に揉み処理を行うことが好ましい。高速流体流処理として、作業環境の点から水流を使用するウオータージェットパンチング処理が好ましく、ウオータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。
本発明の研磨布は、前記不織布シートを極細繊維化処理する前および/または後に、高分子弾性体を付与させることにより得ることができる。かかる高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、被研磨物表面の傷の抑制効果に優れるものである。
かかる高分子弾性体の付与方法としては、高分子弾性体を塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。中でも、加工性の点から、シート中に高分子弾性体溶液を含浸した後に、湿式凝固させる方法が好ましく使用される。
高分子弾性体に用いる溶媒としてはDMF、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、水中にエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンを用いてもよい。中でもDMFはポリマーアロイ繊維を膨潤させる能力が高いため、溶媒として好適に用いられる。
本発明の研磨布において、極細繊維と高分子弾性体とからなるシート状物の少なくとも片面に、極細繊維からなる立毛面を有することが好ましい。該立毛面はバッフィング処理により得られる。ここでいうバッフィング処理とは、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いてシート表面を研削する方法などにより施すのが一般的である。特に、シート表面をサンドペーパーにより、起毛処理することで、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。更に、シート表面上の表面繊維分布の均一性及び緻密性を向上させるため、研削負荷を小さくすることが好ましい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数、サンドペーパー番手などを適宜調整することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とすることがより好ましい。
本発明の研磨布を用いて、テクスチャー加工を行う方法としては、かかる研磨布を、加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、テクスチャー加工用テープとして用いる。
該研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクやガラス磁気記録ディスクのテクスチャー加工を行うのが好適な方法である。研磨条件としては、スラリーはダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。
砥粒の保持性と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維の繊維径に適合した砥粒径としては0.2μm以下が好ましいものである。
本発明で得られた研磨布は、表面上の立毛繊維が極めて均一に分散し、且つ極細繊維表面に繊維軸方向に沿ったある程度連続した微細な凹部を有している為、繊維が砥粒を適切に把持することが可能となり、アルミニウム合金基板及びガラス基板のテクスチャー加工において、スクラッチ欠点が少なく、基板表面上に表面粗さ0.3nm以下という高精度なテクスチャー加工を施すことができる。さらにラインデンシティの高いテクスチャー痕を形成することができ、電磁変換特性に優れ、記録ディスクの高記録密度化に対応可能な加工面として仕上げることができるものである。

以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)ポリマーの溶融粘度
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
(2)融点
Perkin Elmaer DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
(3)平均繊維径
該研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の繊維径を測定し、これを母集団とした標準偏差値及び平均値を算出する。該平均値を平均繊維径とした。
(4)繊維表面凹部本数
研磨布より高分子弾性体を溶出除去して極細繊維のみを抽出し、(株)キーエンス製VE−7800型走査型電子顕微鏡(SEM)により2000〜10000倍にて観察し、任意の100本の極細繊維において、繊維軸方向に長さが5μm以上、幅0.01〜1μm、深さ0.01〜1μmの範囲にある凹部の本数を測定し、平均値を求め、小数点第1位を四捨五入することで判定した。なお、繊維表面にイレギュラーに形成された傷(長さが5μm以下の凹部も含まれる)はカウントしない。
(5)基板表面粗さ
JIS B0601(2001年度版)に準拠して、Schmitt Measurement Systems, Inc製TMS−2000表面粗さ測定器を用いて、テクスチャー加工後のディスク基板サンプル表面の任意の10カ所について平均粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(6)スクラッチ点数
テクスチャー加工後の基板5枚の両面すなわち計10表面を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ3nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(7)ラインデンシティ
原子間力顕微鏡AFMを用いて、テクスチャー加工後の基板サンプル表面の任意の10カ所について、半径方向長さ1μmあたりに形成されているテクスチャー痕の本数を測定し、その平均値をラインデンシティとした。数値が大きいほど高性能であることを示す。
(実施例1)
溶融粘度310poise(230℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6(40重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度720poise(230℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のPLA(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。該チップを島成分、2-エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリスチレンを海成分とし、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海重量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、繊度3.5dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。該複合繊維中の島成分の断面形状を観測したところ、微細な凹凸は形成されていなかった。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付710g/m、密度0.2g/cmの不織布を作製した。この不織布シートを熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを島成分繊維重量に対し30重量%含浸させてから、トリクロロエチレン中で海成分を溶解除去し、平均繊維径2.0μmの極細繊維からなるシート状物を得た。
このシート状物にポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で30重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFを除去した。また、ポリウレタン溶媒のDMFによりPLAが膨潤することで、極細繊維表面に凹凸を形成させた。
次いで、該シート状物を厚み方向に半裁した後、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、非スライス面に対し、3段バッフィングを施し、立毛面を形成させ、厚さ1.02mm、目付205g/m、繊維表面の凹部本数が16本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でテクスチャー加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工したディスクを用い、研磨布表面に平均粒径0.1μmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で10秒間研磨を実施した。 テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、それぞれ0.16nm、0.15nm、0.17nm、0.15nm、0.16nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は150点、ラインデンシティは16本/μm幅であった。
(実施例2)
島成分のポリマーアロイのN6/PLA重量比率を20/80とした以外、実施例1と同様の製法により、平均繊維径2.0μm、厚さ1.02mm、目付200g/m、繊維表面の凹部本数が12本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.17nm、0.19nm、0.18nm、0.17nm、0.18nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は130点、ラインデンシティは14本/μm幅であった。
(実施例3)
溶融粘度1200poise、(262℃、剪断速度121.6sec−1)融点225℃のPBT(40重量%)と、重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のPLA(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて250℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
このポリマーアロイチップを用い、実施例1と同様の製法により、平均繊維径2.0μm、厚さ1.02mm、目付200g/m、繊維表面の凹部本数が15本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.22nm、0.20nm、0.23nm、0.21nm、0.20nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は160点、ラインデンシティは17本/μm幅であった。
(実施例4)
島成分のポリマーアロイのN6/PLA重量比率を5/95とした以外、実施例1と同様の製法により、平均繊維径2.0μm、厚さ0.97mm、目付190g/m、繊維表面の凹部本数が4本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.20nm、0.19nm、0.17nm、0.21nm、0.18nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は170点、ラインデンシティは10本/μm幅であった。
Figure 2007069304
得られた研磨布の特性は表1に示したとおりであるが、実施例1〜3の研磨布はいずれも極細繊維表面に10本以上の凹部を有しており、いずれの実施例にも長さが5μm以上で幅、深さいずれかが0.01〜1μmの範囲を外れた凹部は存在しなかった。また、実施例1〜4の研磨布はいずれもテクスチャー加工後のディスク基板表面は、表面粗さが0.3nm以下であり、かつスクラッチ個数も少なく、加工性も良好であった。また、ラインデンシティは10本/μm以上と多く、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(比較例1)
融点170℃のPLA(光学純度99.5%以上)を島成分、実施例1で用いた共重合ポリスチレンを海成分に用い、島/海重量比率を80/20とし、実施例1と同様の製法により、平均繊維径2.0μm、厚さ1.00mm、目付195g/m、繊維表面の凹部本数が0本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.16nm、0.18nm、0.17nm、0.16nm、0.17nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は140点、ラインデンシティは7本/μm幅であった。
(比較例2)
芯成分としてN6(80重量%)、鞘成分としてPLA(光学純度99.5%以上)(20重量%)を海島型複合紡糸の島成分に用い、実施例1で用いた共重合ポリスチレンを海成分とし、島/海重量比率を80/20として実施例1と同様の製法により、平均繊維径2.0μm、厚さ1.05mm、目付210g/m、繊維表面の凹部本数が0本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.20nm、0.22nm、0.21nm、0.23nm、0.20nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は160点、ラインデンシティは8本/μm幅であった。
(比較例3)
島成分のポリマーアロイをN6/共重合PET(融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合させて作製した。融点225℃)、重量比率を20/80とした以外、実施例1と同様の製法により、平均繊維径1.9μm、厚さ1.02mm、目付205g/m、繊維表面の凹部本数が0本の研磨布を得た。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1で実施した条件でテクスチャー加工を行った。
加工後のディスクの表面粗さは、それぞれ0.48nm、0.46nm、0.45nm、0.47nm、0.44nmであり、0.3nm以下を安定して達成していることを確認できた。スクラッチ点数は1300点、ラインデンシティは9本/μm幅であった。
得られた研磨布の特性は表1に示したとおりであるが、比較例1〜3の研磨布はいずれも極細繊維表面の凹部本数が10本未満であった。また、長さ5μm以上で幅、深さいずれかが0.01〜1μmの範囲を外れた凹部は存在しなかった。また、基板表面のラインデンシティは10本/μm未満であり、テクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は電磁変換特性に劣るものであった。

Claims (4)

  1. 平均繊維径5μm以下の極細繊維が絡合してなる不織布と高分子弾性体で構成されたシート状物からなる研磨布であって、該極細繊維がその表面に繊維軸方向に沿った凹部を有することを特徴とする研磨布。
  2. 幅0.01〜1μm、深さ0.01〜1μmの範囲の凹部が極細繊維に直行する断面あたり平均で10本以上存在することを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  3. 高分子弾性体の含有率が、シート状物の総重量に対し、5重量%以上75重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨布。
  4. 高分子弾性体がポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
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