JP2008155358A - ガラステクスチャー用研磨布及びその製造方法 - Google Patents

ガラステクスチャー用研磨布及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、記録ディスク用ガラス基板へのテクスチャー加工において、ディスク基板表面に大きな傷(スクラッチ)をつけることなく、研磨効率が高くかつ安定的に均一で精度の高い加工が可能なテクスチャー加工用研磨布と、その製造方法を提供することである。
【解決手段】平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexかつ繊度CVが1〜10%の範囲であるポリエステル極細繊維および/または該極細繊維からなる極細繊維束が絡合してなる不織布と弾性重合体とで構成されるシート状物からなる研磨布であって、表面に露出した単繊維繊度0.0001〜0.02dtexの極細繊維間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観察し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で150ヶ所以上存在することを特徴とするガラステクスチャー用研磨布。
【選択図】なし

Description

本発明は磁気記録ディスク用ガラス基板にテクスチャー加工を行う際に用いられる研磨布に関し、近年の高容量化に伴い達成が困難であった、ガラス基板に対して高効率かつ高精度にテクスチャー加工仕上げするのに好適に用いられる研磨布、およびその製造方法に関するものである。
近年、磁気ディスク等の磁気記録媒体は、高容量化、高記憶密度化に伴い、磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)が著しく低くなる傾向にある。そのため、磁気ディスク表面に突起が存在すると、磁気ヘッドと突起とが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起であっても、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因につながる。
そこで、ディスク基板と磁気ヘッドの接触を防止するため、基板表面の微小突起を平滑化し、さらに同心円状に均一な溝を形成するテクスチャー加工という表面処理が行われている。このテクスチャー加工により、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際、結晶成長の方向性を、面内の磁化方向から記録方向である円周方向に配向させ、異方性媒体とすることにより、高記憶容量化を達成することができる。
テクスチャー加工の方法としては、ダイヤモンドや酸化セリウムなどの遊離砥粒のスラリーを研磨布表面に付着させて研削を行うスラリー研削等が一般的に用いられている。
磁気記録媒体用の基板材料としてはアルミニウム系及びガラス系材料が広く使用されている。アルミニウム合金基板のテクスチャー加工は、表面を鏡面加工した後にNi−P合金等の無電解メッキ処理により形成される非磁性層に対し行われる。テクスチャー加工による円周状の溝や歪みにより成膜した磁性層が円周方向へ配向することで残留磁化を発生させるものである。前記非磁性層を形成したディスク表面へのテクスチャー加工用研磨布としては、近年では、0.03dtex以下の極細繊維絡合不織布と高分子弾性体からなる立毛人工皮革状物により構成された研磨布が提案されており、超高精度の仕上げでかつ安定的なテクスチャー加工を達成してきている(例えば、特許文献1)。
一方、近年ではガラス基板についても、テクスチャー加工により異方性を持たせる試みがなされている(特許文献2)。該ガラステクスチャー加工に用いられる研磨布としては、繊維直径1.5μmのポリエステル極細繊維からなる織布が用いられている。
特許文献3では高研削力を得るためにポリエステル/ポリアミドの割繊性極細繊維(ポリエステル成分が0.05〜0.1dtex、ポリアミド成分が0.02〜0.05dtex)からなる織編物が開示されている。
また、平均繊度0.01〜0.2dtexのポリエステル極細繊維不織布と高分子弾性体からなる立毛シートが開示されている(特許文献4)。
特許文献2〜4のテクスチャー加工用研磨布は、構成繊維は細いものでも10−2dtexオーダーであり繊度が太いことにより、近年の高容量化に対応しうる基板表面粗さ、線密度(ラインデンシティ)を得ることが難しい状況である。また、極細繊維が細くなることにより、束状に揃いやすく極細繊維束としての性質が支配的になり、結果として表面粗さ、スクラッチ性能の低下を招き、ラインデンシティも低いものであった。そのため、高研削力を有し、かつ安定的に均一で精度の高いガラステクスチャー加工を行える研磨布が切望されている。
特開2002−79472号公報 特開2003−30825号公報 特開2005−36340号公報 特開2004−130395号公報
本発明の目的は、記録ディスク用ガラス基板へのテクスチャー加工において、ディスク基板表面に大きな傷(スクラッチ)をつけることなく、研磨効率が高くかつ安定的に均一で精度の高い加工が可能なテクスチャー加工用研磨布と、その製造方法を提供することである。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexかつ繊度CVが1〜10%の範囲であるポリエステル極細繊維および/または該極細繊維からなる極細繊維束が絡合してなる不織布と弾性重合体とで構成されるシート状物からなる研磨布であって、表面に露出した単繊維繊度0.0001〜0.02dtexの極細繊維間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観察し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で150ヶ所以上存在することを特徴とするガラステクスチャー用研磨布である。
本発明の研磨布は、表面の極細繊維の分散性、均一性及び剛性に優れているため、研磨後の基板表面粗さを小さく、テクスチャー条痕の線密度に相当するラインデンシティを向上させ、研磨後の表面に大きな傷(スクラッチ)をつけず、且つ高効率で研削可能であるという、記録ディスクの生産性と高記録容量化の両立を達成しうるものである。
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明は、平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexかつ繊度CVが1〜10%の範囲であるポリエステル極細繊維および/または該極細繊維からなる極細繊維束が絡合してなる不織布と弾性重合体とで構成されるシート状物からなる研磨布であって、表面に露出した単繊維繊度0.0001〜0.02dtexの極細繊維間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観察し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で150ヶ所以上存在することを特徴とするガラステクスチャー用研磨布である。
本発明の研磨布に用いられる極細繊維の平均単繊維繊度は、研磨布表面の立毛繊維の緻密性、繊維強度及び砥粒の把持性の点から、0.0001〜0.02dtexであることが必要である。0.0001dtex以上とすることで、研削に必要とされる充分な繊維強度、剛性が得ることができ、結果として砥粒を的確に把持し、ガラス基板表面に鋭利に高密度のテクスチャー痕を形成できるため好ましい。一方、0.02dtex以下とすることで、立毛繊維の緻密性を保ち、砥粒を微分散化でき、研磨布表面における砥粒分布を均一化させることができる。平均単繊維繊度の好ましい範囲としては0.0005〜0.01dtexであり、さらに好ましい範囲としては0.001〜0.01dtexである。なお、平均単繊維繊度は後述する測定方法により測定した値をいう。すなわち、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、極細繊維束が存在する場合には束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、各極細繊維について繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出し、該平均値を平均繊度とする。なお、束状の極細繊維が存在しない場合は、極細繊維300本の繊維径を測定し、同様に平均値を計算するものである。
0.0001〜0.02dtexの繊度を有する極細繊維を得るには、単純な直接紡糸法では困難であるので極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などにより溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面放射状あるいは層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維や多層型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって、繊維束の内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、表面繊維の開繊性、分散性に優れているので好ましい。
海島型複合繊維の製造方法としては、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)あらかじめ2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内にて静止混練器等で混合し紡糸する方法、および(4)特公昭44−18369号公報等の海島型複合用口金を用いて、海島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式、等が挙げられる。
本発明において、研磨布を構成する単繊維の繊度CVが1〜10%の範囲であることが好ましい。ここでいう繊度CVとは、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面としてSEM、またはTEMにより観察し、極細繊維束が存在する場合には束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、各極細繊維について繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出し、該平均値を平均繊度とする。なお、束状の極細繊維が存在しない場合は、極細繊維300本の繊維径を測定し、同様に平均値を計算するものである。該平均値を平均繊度とし、該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを繊度CVとする。繊維束を繊度CVが10%以下とすることで、研磨布表面における低繊度繊維と高繊度繊維との剛性差に起因する立毛繊維の分布の偏りを抑制できるとともに、砥粒分散及び押しつけ力の均一性が得られ、スクラッチ欠点を抑制できるため好ましい。所望の繊度CVを得るには、極細繊維発生型繊維の中でも、上記(1)〜(3)の方法では、島成分の繊維径の内外周差が大きく、前記繊度CV値を達成できないばかりか、部分的に極細繊維同士が接着した束状となることもあるため、好ましくない。繊度の均一な極細繊維を得るためには、上記(4)の高分子相互配列体方式による海島型複合繊維が好ましい。
なお、海島型複合繊維中の島数は200〜1000が好ましい。1000以下とすることで、口金加工性および安定した紡糸性を得ることができる。また、200以上とすることで、極細繊維としても高い生産性を保つことができ、表面繊維の開繊性、分散性が得られるため好ましい。紡糸性、生産性を考慮した場合、さらに好ましくは300〜500の範囲である。
海島型複合繊維を構成する樹脂としては、極細繊維を発生可能な2種類以上の樹脂の組合せが挙げられ、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等が用いられる。ポリエステル系としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどの芳香族ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、乳酸共重合体およびポリグリコール酸などの脂肪酸ポリエステル系重合体類や脂肪酸ポリエステルアミド系重合体類などの脂肪族ポリエステル類、ポリアミド系としてはナイロン6(N6)、ナイロン66、ナイロン12および共重合ナイロンなどのポリアミド類が挙げられる。ポリオレフィン系としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンなどを用いることができる。
本発明における島成分(極細繊維成分)はポリエステルであることが重要である。これは、繊維剛性が高く、繊維の均一分散性に優れるため、記録ディスクに用いられる硬度の高いガラス基板を高効率、高精度にガラステクスチャー加工を行うことができるからである。一方、スラリーとの親和性、親水性に優れるポリアミドを用いることも考えられるが、ポリエステルに比べ繊維剛性が低く、基板表面との接触抵抗が弱すぎるために高硬度のガラス基板のガラステクスチャー加工には不適当である。ガラステクスチャー加工の性能としては表面粗さ、ラインデンシティという指標で評価できるが、ポリアミドを用いた場合、ポリエステルに比べて加工性が極めて悪く、加工ムラが生じて表面粗さが高くなるだけでなく、ラインデンシティが極めて低いものとなるため好ましくない。
海島型複合繊維の海成分を構成する樹脂としては、島成分を構成する樹脂であるポリエステル樹脂よりも溶解性や分解性の高い化学的性質を有するという点から、PE、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、イソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合成分とした共重合ポリエステルおよびPLAなどを好適に用いることができる。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がPE、ポリプロピレン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤が用いられ、また海成分が共重合ポリエステルやPLAの場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、溶剤中に海島型複合繊維(不織布)を浸漬し、窄液を行うことによって、海成分を除去することができる。特に、ニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化が可能なこと、ならびに、溶解時にトルエンやトリクロロエチレン等の有機溶剤を使用しないこと、原料が植物由来であり環境対応型ポリマーであることからPLAが好ましく使用される。
また、このときの海/島成分比は、島繊維の海島型複合繊維に対する重量比で0.2〜0.9であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.8の範囲である。該成分比を0.2以上とすることで、海成分除去による生産性の著しい低下を招くことなく、コスト的にも好ましい。また、成分比を0.9以下とすることで、島成分繊維の開繊性、分散性に優れ、均一な立毛面を得ることができるため好ましい。
また、海島型複合繊維を用いた場合、不織布に弾性重合体を付与した後、外周部分の海成分(易溶性成分)を除去することで、極細繊維束と弾性重合体の間に隙間を形成することができ、弾性重合体と極細繊維束の最外周に存在する繊維とが、実質的に接着していない構造を形成させることができるため好ましい。また、上記の手法以外に、不織布に水溶性樹脂を付与して海島型複合繊維を保護した後、弾性重合体を含浸付与し、水溶性樹脂を除去する方法を採用することもできる。
本発明の研磨布は、表面に露出した単繊維繊度0.0001〜0.02dtexのポリエステル極細繊維間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観察し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で150ヶ所以上存在することが好ましい。ここで表面繊維の分散性は以下の方法で求めることができる。すなわち、極細繊維を含む研磨布の表面をSEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影した研磨布の表面写真において、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲を無作為に抽出し、研磨布の表面に露出した単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexの(PETでは約0.1〜1.4μmの単繊維直径を有する)極細繊維の繊維間の交差点をカウントする。合計10枚以上の表面写真を測定し、各写真についてカウントを行い、10ヶ所の平均を求め小数点第一位で四捨五入するものである。このとき、表面にポリウレタンなどの弾性重合体が露出し、極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチ等により大きな穴を形成している部分は避け、判定に用いないものとする。ここでいう極細繊維間の交差点とは、分散した極細繊維1本1本間の交差点であり、交差角の鋭角が20°以上である交差点である。繊維が部分的に合流している箇所や、交差せずに並行している部分、フィブリル化した部分は除くものとする。また、極細繊維が2本以上凝集して形成される束同士の交差点、あるいは束状部分と極細繊維1本の間の交差点もカウントしない。なお、極細繊維が数百本単位で凝集した束の表面で、部分的に分散した極細繊維間の交差点についてはカウントするものとする。
ここで、表面の極細繊維間の交差点は150ヶ所以上存在することが好ましく、より好ましくは200ヶ所以上である。極細繊維が表面に分散することで、従来の束状の極細繊維では達成し得なかった極めて緻密な表面状態と、優れた平滑性が得られるからである。
本発明において、ポリエステル極細繊維の交差点数を上記範囲とするためには、極細繊維発生型繊維不織布と弾性重合体とからなるシート状物の少なくとも片面に、極細繊維発生型繊維からなる立毛面を形成させた後に、易溶性成分溶解溶媒などにより湿潤した状態で極細繊維化することが好ましい。極細繊維発生型繊維からなる立毛部分が表面に分散した状態で、極細繊維化が起こり、極細化の工程で表面に分散し、これを乾燥せしめることで、研磨布の表面を覆うようにして分散させることができる。なお、該極細化の加工において、研磨布に液流染色機を用いたもみ加工などの物理的刺激を付与することにより、極細繊維の分散性が向上するため好ましい。該工程を行うことで極細繊維が一方向に配列せず、極細繊維間の交差点が著しく増えるのである。
本発明でいう不織布は短繊維をカード、クロスラッパーなどを用いて幅方向に配列させた積層ウェブを形成させた後にニードルパンチあるいはウォータジェットパンチ処理などの絡合処理を施して得られる短繊維不織布が好ましく用いられる。
本発明で用いる弾性重合体は特に限定はないが、例えば、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができるが、中でもポリウレタン、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール成分にポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタンの重量平均分子量は50,000〜300,000が好ましく、より好ましくは100,000〜250,000である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、得られるシート状物の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて不織布への含浸を行いやすくすることができる。
また、弾性重合体は、主成分としてポリウレタンを用いることが好ましいが、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良く、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明において、弾性重合体の付与量は、研磨布表面繊維の緻密性、クッション性などを考慮し、固形分として対極細繊維重量比で10〜200重量%の範囲が好ましい。好ましくは20〜100重量%の範囲であり、より好ましくは30〜80重量%の範囲である。
本発明の研磨布をテープ状としてガラステクスチャー加工を施す際に、大きな寸法変化が生じると、基板表面を均一に研磨することができないため、研磨布の形態安定性の点から、本発明に用いられる研磨布の目付は100〜1000g/mであることが好ましく、150〜600g/mであることがより好ましく、さらに好ましくは150〜400g/mの範囲である。また、同様の観点から本発明の研磨布は厚みが0.1〜5mmの範囲が好ましく、0.2〜2mmの範囲がより好ましい。
なお、本発明の研磨布の見掛け密度については、均一な加工性を得るために0.2〜0.6g/cmの範囲が好適であり、より好ましくは0.3〜0.5g/cmの範囲である。
本発明の研磨布の目付はJIS L 1096 8.4.2(1999)に準拠して測定した。また、見掛け密度については、研磨布の厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名”ピーコックH”)にて任意の10点を測定し、平均値を算出し、目付を該厚みで除することにより算出した。
本発明では、スクラッチ欠点抑制の点から、研磨布中に含まれる金属あるいは金属化合物の含有量は、研磨布の総重量に対する金属元素の重量として100ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましく、全く含有していないことが更に好ましい。100ppm以下であれば、金属あるいは金属化合物が基板表面に接触することによる、スクラッチ欠点及の発生を抑制できるため、好ましい。
研磨布中に含まれる金属あるいは金属化合物の例としては、鉄、酸化鉄、繊維ポリマーの添加剤として用いられる二酸化チタンなどが挙げられる。
更に、ガラステクスチャー加工時のテープ伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑える点から、研磨布の極細繊維を有する面の裏面に補強層を接着する方法が好適に用いられる。
補強層としては、織編物や熱接着繊維を用いた不織布、フィルム状物を用いることが好ましい。中でも、高精度のガラステクスチャー加工を行うには、厚みや物理特性において均一なフィルム状物を使用することがより好ましい。
ここでいうフィルムとなる素材としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系およびポリフェニルサルファイド系などのフィルム形状を有するものであれば使用可能である。汎用性を考えた場合、ポリエステルフィルムを使用することが好ましい。フィルムからなる補強層を設ける場合には、ガラステクスチャー加工時の研磨布の形態安定性、クッション性および基板表面へのフィット性を全て満足させる必要があるため、不織布からなるシート状物との厚みバランスをとることが重要である。不織布からなるシート状物の仕上がり厚みとしては0.2mm以上であることが好ましく、生産性の点からより好ましくは0.2〜2.0mmの範囲である。そのため、フィルムの厚みは20〜100μmとすることが好ましい。不織布からなるシート状物の厚みが0.2mm未満の場合、ガラステクスチャー加工時の寸法変化を抑えるため補強層が必要である。一方、フィルム層の厚みが20μm未満であると、ガラステクスチャー加工時の寸法変化を抑えられず、100μmを超えると、研磨布全体の剛性が高くなりすぎ、結果としてスクラッチなどの発生を抑えることができないため好ましくない。
次に、本発明の研磨布の製造方法について詳細に記述する。
本発明の研磨布は、少なくとも下記工程(1)〜(3)を組み合わせることにより得られる。すなわち、
(1)平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexに極細化可能なポリエステルを島成分、脂肪族ポリエステルを易溶性成分とする海島型複合繊維を用いて不織布を作製する工程、
(2)該不織布に弾性重合体を極細化後の極細繊維重量に対し10〜200重量%付与し、少なくとも片面にバッフィング処理を施す工程、
(3)該不織布に極細化処理を行う工程、
である。
本発明の研磨布を構成する不織布を得る方法としては、海島複合紡糸により得られた海島複合繊維を短繊維とし、該短繊維をカード、クロスラッパーなどを用いて幅方向に配列させ積層ウェブを形成させた後にニードルパンチあるいはウォータジェットパンチ処理などの絡合処理を施して得られる短繊維不織布が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による緻密な表面状態の達成の観点から1000〜6000本/cmであることが好ましい。1000本/cm以上とすることで表面繊維の緻密化を達成し、所望の高精度の仕上げが可能となり、6000本/cm以下とすることで、加工性の悪化、繊維損傷により強度低下を抑えることができる。なお、ニードルパンチング後の複合繊維不織布の繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.15〜0.35g/cmの範囲であることが好ましい。
ウオータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。効率的な絡合と均一な表面を得るために、ノズルの直径は0.05〜0.20mm、ノズルの間隔は5mm以下であることが好ましい。
このようにして得られた不織布は、緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
本発明の研磨布は、前記不織布シートを極細繊維化処理する前および/または後に、ポリウレタンを主成分とする弾性重合体を付与させることにより得ることができる。かかる弾性重合体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、極細不織布の内部空間に弾性重合体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物表面の傷の抑制効果に優れるものである。
かかるポリウレタンの不織布への付与方法としては、ポリウレタンを塗布、あるいは含浸後凝固させる方法などを適宜採用することができるが、中でも加工性の点から、不織布中にポリウレタン溶液を含浸した後に、湿式凝固させる方法が好ましく使用される。
使用する弾性重合体については前述の通りであるが、弾性重合体を付与させる際に用いる溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、水中にエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンを用いてもよい。溶媒に溶解した弾性重合体溶液に不織布を浸漬する等して弾性重合体を不織布に付与し、その後、乾燥することによって弾性重合体を実質的に凝固し固化させる。乾燥にあたっては不織布及び弾性重合体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
弾性重合体には必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明の研磨布において、極細繊維が研磨布の表面で分散した状態となるためには、極細繊維発生型繊維不織布と弾性重合体とからなるシート状物の少なくとも片面に、極細繊維発生型繊維からなる立毛面を形成させた後に、極細繊維化することが好ましい。極細繊維発生型繊維からなる立毛部分が表面に分散した状態で、極細繊維化が起こり、極細化の工程で表面に分散し、これを乾燥せしめることで、研磨布の表面を覆うようにして分散させることができるからである。なお、該極細化工程は極細繊維分散化の観点から、脱海溶媒などの液体を用いて湿潤状態で行うことが好ましい。
本発明でいう研磨布の立毛は、例えばバッフィング処理により得られる。ここでいうバッフィング処理とは、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて表面を研削する方法などにより施すのが一般的である。特に、表面をサンドペーパーにより、起毛処理することにで均一かつ緻密な立毛を形成することができるため好ましい。さらに、研磨布の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数、サンドペーパー番手などを適宜調整することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とすることがより好ましい。
また、起毛加工後に、フラットロールを用いて80〜200℃の温度にて厚みを0.1〜0.9倍に圧縮することにより研磨布の全体密度、表面繊維密度を向上させることができる。該圧縮加工は、乾燥、湿潤いずれの状態でも実施可能であるが、乾燥状態であると、表面繊維のロールへの接着、表面部分のみの融着を引き起こす場合があるため、該加工は湿潤状態で行うことが好ましい。湿潤状態では熱伝導率が乾燥状態対比高く、結果として研磨布全体を均一に圧縮できるため好ましい。
次に海島型複合繊維から極細繊維を発現せしめる方法、すなわち、極細繊維発生加工は、除去する成分(易溶解性ポリマーからなる海成分)の種類によって異なるが、PEやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、PLAや共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。
また、極細繊維発生加工の際に極細繊維を研磨布表面に分散させ、本発明の研磨布表面の緻密化、平滑化を達成するためには、極細繊維発生加工中、もしくは発生加工後、乾燥させることなしに、処理液中にて湿潤状態で物理的刺激を加えることが好ましい。物理的刺激を加える方法としては特に限定されるものではないが、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、タンブラー、リラクサー等を用いた揉み処理、ウオータージェットパンチング処理などの高速流体流処理や、超音波処理による振動等を適宜組み合わせて実施してもよい。なお、極細繊維発生加工の後、乾燥後に揉み加工を行った場合、繊維の分散性が充分ではなく、また表面繊維間にもつれ、ピリング等が生じやすい為、好ましくない。
本発明の研磨布に補強層を接着する方法としては、熱圧着法、フレームラミ法、補強層とシート状物との間に接着層を設けるいずれの方法を採用してもよく、接着層としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものが使用可能である。コストや実用性を考えると、NBRやSBRのような接着剤が好ましい。接着剤の付与方法としては、エマルジョンや、ラテックス状態でシート状物に塗布する方法が好適に用いられる。
本発明の研磨布を用いて、ガラステクスチャー加工を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、ガラステクスチャー加工用テープとして用いる。
該ガラステクスチャー加工用テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、ガラス基板磁気記録ディスクのテクスチャー加工を行う方法が好適な方法である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。中でも、砥粒の保持性、分散性、スクラッチ抑制、表面粗さ低減の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒は、単結晶ダイヤモンドからなり、1次粒子径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。テクスチャー痕の凹凸の鋭角化を図る点から、更に該ダイヤモンド粒子はクラスター化していることが好ましく、該クラスター径は100〜800nmが好ましく、100〜600nmであることがより好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について、以下に説明する。
(1)ポリマーの粘度MFR(メルトフローレート:g/10min)
ASTM D1238(測定荷重2.16kg荷重)に基づいて測定を行い、各試料につき10回の測定を実施し、平均値を小数点以下第一位を四捨五入したものを、それぞれのポリマーのMFRとした。
(2)固有粘度
オルソクロロフェノール25mlに対し、ポリエステルポリマーまたはポリエステル繊維2gを溶解したポリエステル溶液を作製し、そのポリエステル溶液の相対粘度ηrをオストワルド粘度計を用いて、25℃で測定し、次の近似式により固有粘度(IV)を算出する。
IV=0.0242×ηr+0.2634
但し、ηr=(t×d)/(t×d
t :ポリエステル溶液の落下時間(秒)
:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
d :ポリエステル溶液の密度(g/cc)
:オルソクロロフェノールの密度(g/cc)
(3)融点
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
(4)平均単繊維繊度及び繊度CV
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、極細繊維束が存在する場合には束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、各極細繊維について繊維成分の比重と繊維径から繊度を算出する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出し、該平均値を平均繊度とした。なお、束状の極細繊維が存在しない場合は、極細繊維300本の繊維径を測定し、同様に平均値を計算するものである。該平均値を平均繊度とし、該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを繊度CVとした。
TEM装置 : (株)日立製作所製 H−7100FA型
SEM装置 : (株)キーエンス社製 VE−7800型
(5)極細繊維の分散性(交差点数)
極細繊維を含む研磨布の表面を(株)キーエンス社製 VE−7800型SEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲を無作為に抽出し、研磨布表面に露出した0.0001〜0.02dtexの繊度を有する極細繊維の繊維間の交差点をカウントした。合計10枚以上の表面写真を測定し、各写真についてカウントを行い、10ヶ所の平均を求め小数点第一位で四捨五入した。このとき、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し、極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチ等により大きな穴を形成している部分は避け、判定に用いないものとする。ここでいう極細繊維間の交差点とは、分散した極細繊維1本1本間の交差点であり、交差角の鋭角が20°以上である交差点である。繊維が部分的に合流している箇所や、交差せずに並行している部分、フィブリル化した部分は除くものとする。また、極細繊維が2本以上凝集して形成される束同士の交差点、あるいは束状部分と極細繊維1本の間の交差点もカウントしない。なお、極細繊維が数百本単位で凝集した束の表面で、部分的に分散した極細繊維間の交差点についてはカウントするものとする。
シート状物(研磨布)の表面0.01mm中に平均で150ヶ所以上存在した場合を、分散性良好とした。
(6)目付
JIS L 1096 8.4.2(1999)に準拠して測定した。
(7)見掛け密度
研磨布の厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名”ピーコックH”)にて任意の10点を測定し、平均値を算出した。(5)にて得られた目付を、該厚みで除することにより、見掛け密度を算出した。
(8)基板表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope IIIaAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、テクスチャー加工後のガラスディスク基板(化学強化系ガラス基板:HOYA製N5基板)サンプル5枚の両面、すなわち計10表面の各々について、任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)を抽出した。次いで、該10カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出し、得られた断面プロファイル各々について、JIS B 0601(2001年版)に準拠して、算術平均粗さRaを算出する。得られた10表面×10点=合計100点の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(9)ラインデンシティ
原子間力顕微鏡AFMを用いて、テクスチャー加工後の基板サンプル表面の任意の10カ所について、半径方向長さ1μmあたりに形成されているテクスチャー痕の本数を測定し、その平均値を小数点以下第一位で四捨五入し、ラインデンシティ(テクスチャー痕の線密度)とした。数値が大きいほど高性能であることを示す。
(実施例1)
融点210℃、270℃におけるMFRが45g/10minのイソフタル酸を10mol%共重合したPBTを島成分、融点170℃、230℃におけるMFRが43g/10minのポリ(L−乳酸)(PLA、光学純度99.5%以上)を海成分とし、PBTは260℃、PLAは230℃でそれぞれプレッシャーメルターにて溶融し、口金温度245℃にて、島本数376島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合口金を用いて、島/海重量比率40/60にて紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸、捲縮、カットを経て、繊度4.9dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで1バーブのニードルを植込んだニードルパンチ機にて針深度7mmにて3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付630g/m、見掛け密度0.23g/cmの複合繊維不織布を作製した。この不織布を95℃で熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを繊維重量に対し20重量%付与後、乾燥させた。
この不織布にポリウレタン(ポリマージオールのポリエステル:ポリエーテル比率が75:25)を12%に調整したDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で20重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFを除去した。
次いでサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて3段バッフィングを施し、立毛面を形成させ、最後に、液流染色機(ユニエースFLR型)にて80mmのノズルを用い、浴比1/27において、3%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて80℃で45分間処理し、海成分であるPLAを溶出させた後、80℃で乾燥し、PBTからなる極細繊維を発生させ、厚さ1.12mm、目付410g/m、見掛け密度0.37g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.006dtex、繊度CV8%、表面繊維交差点は289ヶ所であり表面分散性は良好であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でガラステクスチャー加工を行った。
化学強化系ガラス基板(HOYA製N5基板)に、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.5nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次平均粒子径10nmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒を0.1重量%含むスラリーを15ml/分の供給量で滴下し、ディスクの回転数を400rpm、テープのディスクへの押付圧を2.5kg/cm、テープ走行速度を5cm/分の条件で20秒間研磨を実施した。
ガラステクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.39nm、ラインデンシティは35本/μmであり、スクラッチの発生もなく、均一な加工面が形成され、加工性も良好であった。また、ガラステクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例2)
紡糸口金に200島/ホールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ1.11mm、目付410g/m、見掛け密度0.37g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.01dtex、繊度CV8%、表面繊維交差点は214ヶ所であり表面分散性は良好であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でガラステクスチャー加工を行った。
ガラステクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.41nm、ラインデンシティは30本/μmであり、スクラッチの発生もなく、均一な加工面が形成され、加工性も良好であった。また、ガラステクスチャー加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例3)
島成分に固有粘度0.72のPET、海成分に固有粘度0.53の5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したPETを用い、口金温度285℃、島/海重量比率40/60にて紡糸を行った以外は、実施例1と同様にして、厚さ1.12mm、目付413g/m、見掛け密度0.37g/cmの研磨布を得た。得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.003dtex、繊度CV8%、表面繊維交差点は296ヶ所であり表面分散性は良好であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でガラス研磨加工を行った。
ガラス研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.40nm、ラインデンシティは36本/μmであり、スクラッチの発生もなく、均一な加工面が形成され、加工性も良好であった。また、ガラス研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(比較例1)
極細繊維発生型不織布にポリウレタンを付与後、PLAを溶出させ、最後にバッフィング処理を施した以外は、実施例1と同様の条件で行い、厚さ1.10mm、目付400g/m、見掛け密度0.36g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.006dtex、繊度CV8%であった。該研磨布は最後に起毛処理を行っているため、表面繊維が一方向にそろった状態となっており、表面繊維交差点は89ヶ所であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でテクスチャー加工を行った。
テクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.44nm、ラインデンシティは15本/μmであり、ラインデンシティが低いものであった。
(比較例2)
島成分として実施例1で用いたPBTを40重量%、海成分として融点170℃、230℃におけるMFRが129g/10minのポリ(L−乳酸)(PLA、光学純度99.5%以上)を60重量%、チップブレンドにて紡糸温度245℃の条件で紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で2.9倍に延伸、捲縮、カットを経て、繊度4.2dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
該原綿を用いて実施例1と同様の条件で加工を行い、厚さ1.21mm、目付415g/m、見掛け密度0.34g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.004dtexであったが、繊度CV45%とバラツキの大きいものであった。表面繊維交差点は141ヶ所であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でガラステクスチャー加工を行ったところ、繊度バラツキが大きいため、基板表面の大きな傷が発生し、加工性不良であった。
(比較例3)
紡糸口金に36島/ホールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ1.08mm、目付384g/m、見掛け密度0.36g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.05dtex、繊度CV8%、表面繊維交差点は108ヶ所であり表面分散性は良好であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でガラステクスチャー加工を行った。
ガラステクスチャー加工後のディスクは、表面粗さが0.46nm、ラインデンシティは12本/μmであり、ラインデンシティが低いものであった。繊度が0.05dtexと太いために表面粗さは低いものの、ラインデンシティが低いものであった。
(比較例4)
融点220℃、270℃におけるMFRが93g/10minのN6を島成分に用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ1.09mm、目付395g/m、見掛け密度0.36g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は0.005dtex、繊度CV8%、表面繊維交差点は244ヶ所であり表面分散性は良好であった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1の条件でガラステクスチャー加工を行ったところ、基板表面の大きな傷の発生はないが、研削量が低いために加工ムラが発生し、基板表面粗さ、ラインデンシティは測定不可能であった。

Claims (13)

  1. 平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexかつ繊度CVが1〜10%の範囲であるポリエステル極細繊維および/または該極細繊維からなる極細繊維束が絡合してなる不織布と弾性重合体とで構成されるシート状物からなる研磨布であって、表面に露出した単繊維繊度0.0001〜0.02dtexの極細繊維間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観察し、該極細繊維が50本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で150ヶ所以上存在することを特徴とするガラステクスチャー用研磨布。
  2. 前記ポリエステル極細繊維が極細繊維発生型繊維から得られたものであり、該極細繊維発生型繊維の少なくとも一成分が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載のガラステクスチャー用研磨布。
  3. 前記肪族ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とする請求項2に記載のガラステクスチャー用研磨布。
  4. 前記ポリエステル極細繊維がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびその共重合体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のガラステクスチャー用研磨布。
  5. 前記弾性重合体がポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  6. 前記ポリエステル極細繊維束中の極細繊維が200〜1000本/束であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  7. 前記弾性重合体と前記極細繊維束の最外周に存在する繊維とが、実質的に接着していないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  8. 目付が100〜1000g/mであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  9. 見掛け密度が0.2〜0.6g/cmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  10. 片面に補強層が積層されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のガラステクスチャー用研磨布。
  11. 下記工程(1)〜(3)、
    (1)平均単繊維繊度が0.0001〜0.02dtexに極細化可能なポリエステルを島成分、脂肪族ポリエステルを易溶性成分とする海島型複合繊維を用いて不織布を作製する工程、
    (2)該不織布に弾性重合体を極細化後の極細繊維重量に対し10〜200重量%付与し、少なくとも片面にバッフィング処理を施す工程、
    (3)該不織布に極細化処理を行う工程、
    を少なくとも行うことを特徴とするガラステクスチャー用研磨布の製造方法。
  12. 前記海島型複合繊維が、200〜1000島を有する海島型口金を用いた複合紡糸によって得られることを特徴とする請求項11に記載のガラステクスチャー用研磨布の製造方法。
  13. 前記極細化処理時に湿潤状態で物理的刺激を付与することを特徴とする請求項11または12に記載のガラステクスチャー用研磨布の製造方法。
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