JP6398467B2 - シート状物 - Google Patents

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本発明は、シート状物に関するものであり、特に、磁気記録ディスクに用いられるアルミニウム合金基板やガラス基板の超高精度の仕上げ加工に好適に用いられるシート状物に関するものである。
磁気記録ディスクは、近年の高記憶密度化に伴い、ディスク表面の極限までの平滑化が求められている。近年の磁気記録ディスクへの記録方式は、磁性膜内の磁化容易軸が垂直方向に配向した垂直記録媒体が主流となっている。このため、磁性層形成前の基板に凹凸や傷が存在すると、磁性膜製膜後に磁化容易軸が傾き異常部となるおそれがある。このような課題に対し、磁性膜形成前のディスク表面は、基板表面粗さを0.2nm以下とし、かつスクラッチ欠点と呼ばれる基板表面の傷を極小化することが要求されている。また、垂直記録媒体以降に開発された記録方式においても、磁性層製膜前の基板への要求は、前記と同様極限までの平滑化である。
磁気記録ディスクの基板の研磨には、硬質ポリウレタンフォームなどからなる研磨パッドによってスラリー研削を行った後、微小な傷や突起を研削して平滑性を高めるべく、研磨布の表面に遊離砥粒を付着させて研磨加工を行う方法が用いられている。
研磨加工とは具体的には、磁気記録ディスクの基板を連続回転させた状態で、テープ状の研磨布(研磨テープ)をゴムローラーにより磁気記録ディスクの基板に押し付けながら、その基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させる。このとき、スラリーを研磨テープと基板との間に供給し、スラリー中に含まれる遊離砥粒が、研磨テープ表面の繊維に微分散した状態で把持され、磁気記録ディスクの基板に押し付けられることによって研磨を行うものである。また、同研磨加工において、遊離砥粒を用いない洗浄加工も行われている。
従来、研磨加工や洗浄加工に用いられるシート状物としては、極細繊維からなる立毛を有する不織布とその内部に弾性重合体が含有された研磨布および洗浄加工布が提案されている(特許文献1参照。)。
この提案の研磨布によれば、磁気記録ディスクの基板表面の平滑性が大幅に向上し、磁気欠点やエラー欠点が抑えられる傾向にある。しかしながら、この提案で用いられている繊維径が1.4μm程度の極細繊維では、研磨加工時の砥粒の分散性が十分でなく、磁気記録ディスクの基板表面にスクラッチ欠点が入りやすいという課題があった。
上記のような背景を鑑み、砥粒の高分散化が可能な低表面粗さの研磨布が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案は、実際には、珪素系薬剤を100ppm以上付与しなければ、研磨布の表面粗さを15μm以下にできておらず、珪素系化合物が研磨加工後に異物として基板に残存するという課題があったため、珪素系の薬剤を含まない低表面粗さのシートが求められている。
特開2004−299041号公報 特開2013−071232号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、ナノファイバーレベルの極細繊維が極めて緻密に配列した立毛表面を得ることにより、表面粗さが低く、かつ動摩擦係数が高いシート状物を提供することにある。
すなわち本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のシート状物は、断面形状が丸型であり、平均単繊維径が500nm以下であって、繊維径CV値が、10%以下である極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成されたシート状物であって、少なくとも片面が前記極細繊維からなる立毛面となって極細繊維で被覆されており、前記立毛面における立毛被覆率が70〜99%で、表面粗さが5〜20μmであり、動摩擦係数が0.50〜0.80であることを特徴とするシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の極細繊維は、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の弾性重合体の含有率は、前記の繊維絡合体の総質量に対して20〜80質量%である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、珪素化合物の存在量が0〜100ppmである。
本発明のシート状物は、研磨布および洗浄加工布に好ましく用いられる。
本発明によれば、ナノファイバーレベルの極細繊維を極めて緻密に配列させることにより、表面粗さが低く、そして動摩擦係数が高い立毛表面を有するシート状物が得られる。本発明のシート状物を用いることにより、特に磁気記録ディスクの仕上げの研磨加工および/または洗浄加工を施す際に、表面粗さの極小化および磁気記録媒体用基板の不良率の低減に優れた効果を発揮させることができる。すなわち、本発明のシート状物は、特に研磨時と洗浄加工時に優れた性能を発揮するものである。
本発明のシート状物は、断面形状が丸型であり、平均単繊維径が500nm以下であって、繊維径CV値が、10%以下の、具体的には熱可塑性ポリマーからなる極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体により構成されたシート状物であり、その少なくとも片面が前記極細繊維からなる立毛面となっており、その立毛面における立毛被覆率が70〜99%で、表面粗さが5〜20μmであり、かつ静摩擦係数が0.5〜0.8であることを特徴とするシート状物である。
本発明において、極細繊維の平均繊維径は、500nm以下とすることが重要である。平均繊維径を500nm以下、好ましくは300nm以下とすることにより、研磨砥粒を高分散に把持し、高精度の仕上げができる。一方、繊維径が細すぎると繊維強度および剛性が低くなり研削不足となることから、平均繊維径は好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。
また、繊維径の均一性に関しては、極細繊維の繊維径CV値は10%以下であることが重要である。より好ましくは、8%以下である。ここでいう繊維径CV値とは、任意の100カ所の極細繊維の繊維径を測定して平均値および標準偏差を算出し、標準偏差を平均値で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど均一であることを示すものである。繊維径CV値を10%以下とすることにより、立毛面上の極細繊維の基板表面に対する押し付け力と掻き出し力が、基板表面全体にわたり均一となり、研磨加工時のスクラッチ発生が低減する。また、下限は特に限定されないが、通常0.1%以上となる。繊維径CVを上記範囲とするためには、後述する海島複合口金により得られる極細発生型繊維を用いることが好ましい態様である。
上記の平均繊維径については、実施例の測定方法においても後述するように、繊維径が5μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとする。
本発明において、シート状物の表面粗さは5〜20μmであることが重要である。
表面粗さを5μm以上、より好ましくは7μm以上とすることにより、研磨加工時の砥粒の保持性や分散性、および洗浄加工時の拭き取り性の観点から優れた効果を発揮する。また、表面粗さを20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下とすることにより、研磨および洗浄加工時の極細繊維の押し付けが基板表面全体にわたり均一となり、スクラッチ抑制と残渣除去の観点から優れた効果を発揮する。
上記の表面粗さは、繊維を細繊度化すること、起毛処理面をスライス工程での半裁面とすること、およびバフィング処理条件で調整することかできる。
また、本発明において、シート状物の動摩擦係数は0.5〜0.8であることが重要である。動摩擦係数を0.5以上、より好ましくは0.55以上とすることにより、研磨および洗浄加工において、良好な研磨性能および洗浄加工性能を示す。また、動摩擦係数を0.8以下、より好ましくは0.7以下とすることにより、動摩擦抵抗が大き過ぎず、研磨および洗浄加工時に被研磨物にスクラッチ欠点を与えにくい。
上記の動摩擦係数は、繊維径、立毛被覆率および極細繊維内の島繊維の本数により調整することができる。
本発明のシート状物は、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチなどによる大きな孔が一部に存在することは許容される。前記の箇所は、研磨加工時の砥粒や洗浄加工時の残渣のシート状物内部への流入孔となり、加工性能には直接影響しないためである。
本発明では、極細短繊維束内の繊維数は、1000〜10000本/束であることが好ましく、より好ましくは2000本〜6000本/束である。繊維数を1000本/束以上とすることにより、シート状物の立毛面における緻密性に優れることになる。一方、繊維数を10000本/束以下とすることにより、バフィング処理を施した後に均一な立毛表面が得られるとともに、研磨加工時にスラリーを付与した際の極細繊維の膠着が起こりにくいため、砥粒が均一に分散しスクラッチが発生しにくい。
極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィド(PPS)等を挙げることができる。ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、研磨加工時に発生する熱に対する耐熱性に優れており、好ましく用いられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポチトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。とりわけ、ポリアミド類は、スラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性と分散性に優れており、非研磨物に傷をつけることなく研磨することができるとともに柔軟性に優れていることから、被研磨物との接触抵抗が低いため微細研磨に好適に用いられる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良く、また、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させることもできる。
極細繊維の断面形状としては、丸型を用いる。
繊維絡合体を構成する極細繊維は、極細繊維束の形態をとることが好ましい。極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。
本発明のシート状物は、立毛面の立毛被覆率が70〜99%であることが重要であり、好ましくは80〜99%である。立毛被覆率を70%以上とすることにより、研磨加工時は砥粒の分散性が向上し、基板表面粗さが低減され、洗浄加工時は表面が緻密であることにより拭き取り性能が向上する。また、立毛被覆率を99%以下とすることにより、研磨加工時の砥粒や洗浄加工時の拭き取り異物がシート状物へと流入することが可能となり、スクラッチの発生が抑制される。
上記の立毛被覆率は、繊維径や島数などの設計、起毛処理時(バフ工程)での研削量など複合的な要因で調整することができる。
立毛被覆率とは、前記の立毛面について、走査型電子顕微鏡(SEM)により立毛繊維の存在がわかるように観察倍率30倍〜70倍に拡大し、画像分析ソフトを用いて合計面積4mmあたりの最表面に存在する立毛部分の総面積の比率を算出し、立毛被覆率とした。総面積の比率は、撮影したSEM画像について、画像分析ソフトウェアImageJを用い、閾値100に設定して2値化処理し、白色部分が立毛部分とみなし、その面積比率として算出できる。従って、白色部分でない、黒色部分を非立毛部分と見なす。また、立毛被覆率の算出において、立毛ではない物質が立毛として算出され立毛被覆率に大きく影響している場合、手動で画像を編集しその部分も前記の立毛部分でない非立毛部分として算出する。
画像分析システムとしては、画像分析ソフトウェアImageJが例示されるが、画像分析システムは、規定の画素の面積比率を計算する機能を有する画像処理ソフトウェアからなることであれば、画像分析ソフトウェアImageJに限らない。なお、画像処理ソフトウェアImageJが通用のソフトウェアであり、アメリカ国立衛生研究所により開発された。該画像処理ソフトウェアImageJは、取り込んだ画像に対し、必要な領域を特定し、画素分析を行う機能を有している。
本発明のシート状物に用いられる不織布としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータジェットパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、および抄紙法で得られる不織布などを適宜採用することができる。中でも、短繊維不織布やスパンボンド不織布は、後述するような極細繊維束の態様をニードルパンチ処理により得ることができるため好ましく用いられる。
本発明のシート状物は、前記の繊維絡合体が弾性重合体を含有しているものである。弾性重合体を含有させることによって、弾性重合体のバインダー効果により極細繊維がシート状物から抜け落ちることを防止し、起毛時に均一な立毛を形成することが可能となる。また、弾性重合体を含有させることによって、シート状物にクッション性を付与しスクラッチ欠点等の発生を抑制することができる。
本発明で用いられる弾性重合体としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、エチレン・酢酸ビニルエラストマーアクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマー、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール等を用いることができる。
前記のポリビニルアルコールとしては、鹸化度が80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタンやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどが挙げられる。
ポリウレタン系エラストマーのポリオール成分としては、ポリエステル系、ポリエーテル系およびポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネートおよび脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタン系エラストマーの重量平均分子量は、50,000〜300,000であることが好ましい。重量平均分子量を50,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは150,000以上とすることにより、シート状物の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を300,000以下、より好ましくは250,000以下とすることにより、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
また、弾性重合体には、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良い。
また、弾性重合体には、必要に応じて、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤および防臭剤などの添加剤を配合させることができる。
弾性重合体の含有率は、極細繊維束が絡合してなる不織布(繊維構造体)に対し、20〜80質量%であることが好ましい。弾性重合体の含有量によって、シート状物の表面状態、クッション性、硬度および強度などを調節することができる。含有率を20質量%以上、より好ましくは25質量%以上とすることにより、繊維脱落を少なくすることができる。一方、含有率を80質量%以下、より好ましくは50質量%以下とすることにより、加工性および生産性が向上するとともに、表面上に弾性重合体が露出せず極細繊維リッチな表面となる。
本発明のシート状物の、後述する補強層を除く部分の目付は、100〜600g/mであることが好ましい。目付を100g/m以上、より好ましくは150g/m以上とすることにより、シート状物の形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラおよびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、目付を600g/m以下、より好ましくは300g/m以下とすることにより、シート状物のクッション性を適度に抑え、研磨加工時の研磨布による押付圧を加工表面に適度に伝播させ、効率的な研磨加工を行うことができる。また、本発明のシート状物の密度は、均一な加工性を得るためには0.1〜1.0g/cmの範囲が好適である。
また、本発明のシート状物の、後述する補強層を除く部分の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましい。この厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、シート状物の形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、この厚さを10mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、研磨布の押付圧を十分に伝播させることができる。
本発明のシート状物は、珪素系化合物の存在量が0〜100ppmであることが好ましく、0〜50ppmであることがより好ましい態様である。珪素化合物の存在量を前記の範囲にすることにより、特に研磨と洗浄加工用途に用いる際は、基板への珪素系化合物の付着が起こらないために、欠点率を低下させることができる。このシート状物中の珪素化合物含有量については、ICP発光分光分析装置などにより測定することができる。
また、本発明のシート状物は、後述する極細繊維起毛面(研磨加工に供する側の面)の他方の面に補強層を有することも好ましい態様である。このようにすることにより、シート状物の形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラやスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。
補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)、およびフィルム状物(プラスチックフィルムや金属薄膜シートなど)等を採用することができる。
後に詳しく説明するが、上記のような極細繊維が緻密に配列した表面を得るためには、立毛処理時、極細繊維に対して適切な砥粒のサイズと、シート状物の工程移動速度に対し適切なサンドペーパー回転速度をとることが好ましい態様である。これにより、ポリウレタン(弾性重合体)と結合した極細繊維が効率的に掘り起こされ、極細繊維の分散した立毛を有するシート状物が得られる。
次に、本発明のシート状物を製造する方法について説明する。
まず、極細繊維束が絡合した繊維絡合体等の不織布を得る手段としては、海島型複合繊維等の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい態様である。極細繊維から直接繊維絡合体等の不織布を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から繊維絡合体を製造し、この繊維絡合体における海島型複合繊維(極細繊維発生型繊維)から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる繊維絡合体を得ることができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維等がある。これらの海島型繊維の中でも、高精度に制御された極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られ、不織布および不織布を有してなるシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海成分と島成分の比率は、海島型複合繊維に対する島繊維の質量比が0.2〜0.9であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましい態様である。質量比を0.2以上とすることにより、海成分の除去率が少なくなり、生産性が向上する。また、質量比を0.9以下とすることにより、島繊維の開繊性を向上させ、また島成分の合流を防止することができるため好ましい。
極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィド(PPS)等を挙げることができる。ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、研磨加工時に発生する熱に対する耐熱性に優れており、好ましく用いられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポチトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。とりわけ、ポリアミド類は、スラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性と分散性に優れており、非研磨物に傷をつけることなく研磨することができるとともに柔軟性に優れていることから、被研磨物との接触抵抗が低いため微細研磨に好適に用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸等を用いることができる。後述する高密度化収縮処理にて高い収縮性を発現させるために、海性分はポリスチレンや共重合ポリスチレンを用いることが好ましい。
上記の不織布(繊維絡合体)を得る方法としては、前述のとおり、繊維ウェブをニードルパンチやウォータジェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。本発明では、中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理に用いられるニードルにおいて、ニードルバーブ(切りかき)の数は好ましくは1〜9本である。ニードルバーブを1本以上とすることにより効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、ニードルバーブを9本以下とすることにより繊維損傷を抑えることができる。
パンチング本数は、好ましくは1000〜6000本/cmである。パンチング本数を1000本/cm以上とすることにより、緻密性が得られ、高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を6000本/cm以下とすることにより、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。
また、ウォータジェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力2〜60MPaで水を噴出させることが好ましい態様である。
ニードルパンチ処理あるいはウォータジェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維で構成された不織布の見掛け密度は、0.15〜0.45g/cmであることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた不織布にでき、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラおよびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、見掛け密度を0.45g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を繊維間に維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維で構成された不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させることができる。また、カレンダー処理等により厚み方向に圧縮させることもできる。
海島型複合繊維から海成分を溶解するなど、極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解除去する極細繊維発生加工は、上記の不織布に弾性重合体を付与する前、付与した後、および立毛処理の前後のいずれのタイミングでも行うことができる。
上記の易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンなどのポリオレフィンやポリスチレン等であれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒が用いられる。また、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維からなる不織布を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
また、極細繊維発生加工には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
また、シート状物表面の繊維分布の緻密性および均一性を得るためには、ポリウレタンを主成分とした弾性重合体は、極細繊維の繊維束が絡合してなる不織布(繊維絡合体)について、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しないことが好ましい態様である。繊維束内部にまで弾性重合体が存在すると、弾性重合体が各極細繊維と接着して存在することになるため、バフィング処理の際に表面繊維が引きちぎられやすく、かつ、立毛を形成し難い。
弾性重合体が、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しない形態を得る方法としては、例えば、弾性重合体を溶液とし、
(1)極細繊維発生型の海島型複合繊維で構成された不織布に、前記弾性重合体溶液を含浸し、水もしくは有機溶媒水溶液中で凝固させた後、海島型複合繊維の海成分を、弾性重合体は溶解しない溶剤で溶解除去する方法や、
(2)極細繊維発生型の海島型複合繊維で構成された不織布に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型複合繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いで弾性重合体の溶液を含浸し、水もしくは有機溶剤水溶液中で凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法、などが好ましく用いられる。
ポリウレタン系エラストマー液を繊維絡合体に含浸等して凝固させる場合、ポリウレタン系エラストマーが溶剤系のポリウレタン系エラストマーであれば、乾熱凝固または湿式凝固あるいはこれらを組み合わせてポリウレタン系エラストマーを凝固させることができる。また、ポリウレタン系エラストマーが水分散型のポリウレタン系エラストマーであれば、乾熱凝固、湿熱凝固または湿式凝固あるいはこれらの組み合わせにより、ポリウレタン系エラストマーを凝固させることができる。
ポリウレタン系エラストマーが溶剤系の場合には、水中に浸漬して凝固させる湿式凝固が好ましく、また、ポリウレタン系エラストマーが水分散型のポリウレタンの場合には湿熱凝固が好ましく用いられる。ポリウレタン系エラストマーが水分散型の場合は、感熱凝固性を示すことが好ましく用いられる。水分散型ポリウレタン系エラストマーにおいて、感熱凝固性を示さない場合、ポリウレタン系エラストマー液は乾式凝固の際に繊維絡合体の表層に集中するマイグレーション現象が発生し、ポリウレタン系エラストマーを含有したシート状物は、硬化する傾向にある。
ここで感熱凝固性とは、ポリウレタン系エラストマー液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度)に達するとポリウレタン系エラストマー液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。
水分散型ポリウレタン系エラストマーの感熱凝固温度は、40〜90℃であることが好ましい。感熱凝固温度を40℃以上とすることにより、ポリウレタン系エラストマー液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへのポリウレタン系エラストマーの付着等を抑制することができる。また、感熱凝固温度を90℃以下とすることにより、繊維絡合体中でのポリウレタン系エラストマーのマイグレーション現象を抑制することができ、内部に偏在させることができる。
感熱凝固温度を前記のとおりとするために、適宜感熱凝固剤を添加することができる。感熱凝固剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウム等の無機塩や、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルおよび過酸化ベンゾイル等のラジカル反応開始剤が挙げられる。
湿式凝固の温度は、溶剤系ポリウレタン系エラストマーの場合は、特に限定はない。また、水分散型ポリウレタン系エラストマーの場合は、ポリウレタン系エラストマーの感熱凝固温度以上であればよく、例えば、40〜100℃であることが好ましい。熱水中での湿式凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、ポリウレタン系エラストマーの凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。
湿熱凝固の温度は、水分散型ポリウレタン系エラストマーの感熱凝固温度以上であればよく、例えば、40〜200℃であることが好ましい。湿熱凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、ポリウレタン系エラストマーの凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。一方、湿熱凝固の温度を200℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーの熱劣化を防ぐことができる。
本発明の研磨布においては、シート状物中の珪素化合物の存在量は、前述のとおり、0〜100ppmであることが好ましく、より好ましくは0〜50ppmである。珪素存在量を上記範囲とすることで、研磨加工および洗浄加工時のテープから基板への珪素化合物の付着が抑制され、残渣物起因のエラー欠点を低減することができる。
これらの珪素系化合物は、研磨と洗浄加工用途に用いる際は、基板への珪素系化合物の基板への付着により欠点となる可能性があるため、珪素化合物の存在量は前記の範囲とすることが好ましい。このシート状物中の珪素化合物含有量については、ICP発光分光分析装置などにより測定することができる。
繊維絡合体に高分子弾性体の付与後、高分子弾性体付与シート状物を厚み方向に半裁し、ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。
本発明のシート状物は、極細繊維を含む不織布(繊維絡合体)と弾性重合体からなるシート状物の少なくとも一面に、極細繊維の立毛を有することが重要である。
この立毛は一般的にはバフィング処理により得られるが、ここでいうバフィング処理とは、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて極細繊維不織布のシート表面を研削する方法などにより施すことが好ましい。とりわけ、シート表面を、サンドペーパーを使用して起毛処理することにより、均一で緻密な立毛を形成することができる。
また、研削負荷を低減するために、起毛処理前に、極細繊維を含む不織布(繊維絡合体)と弾性重合体からなるシートを、水や薬品で湿潤状態とすることも好ましい態様である。極細繊維を含む不織布(繊維絡合体)と弾性重合体からなるシートを湿潤状態とすることにより、加工時の極細繊維不織布シートの滑り性が良くなり、融着なく極細繊維を分散させることが可能となる。また、バフィング処理を受ける面のみを液体で湿潤状態とすることができる。この場合、液体の塗布量を少なくとも10g/m以上にすることにより、融着なく起毛処理できる。これらシートを湿潤状態とする方法としては、前述のシート全体を湿潤状態とした後に窄液する手法が、斑無く緻密な表面が得られるためより好ましい態様である。
シート状物は、用途に応じて染色することができる。シート状物の染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。シート状物の染色温度は、高すぎると高分子弾性体が劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により設定することが好ましい。染色温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。
染料は、シート状物を構成する繊維の種類にあわせて、選択することができる。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。
また、シート状物の染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明のシート状物は、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、フィルター関連およびCDカーテン等の工業用資材として好適に用いることができる。本発明のシート状物は、特に好ましくは研磨加工および/または洗浄加工を施す際に好適に用いられる研磨布として用いることができる。
本発明のシート状物を用いて研磨および/または洗浄加工を行う方法においては、加工効率と安定性の観点から、シート状物のタテ方向がテープの長手方向となるように、30〜50mm幅のテープ状にシート状物をカットしたテープを研磨テープとして用いることが好ましい態様である。
その研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクの研磨加工を行う方法が好適である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。砥粒の保持製と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒径としては、0.2μm以下であることが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明のシート状物についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。次に、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。
(1)平均繊維径および繊維径CV値:
極細繊維の平均繊維径は、シート状物を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の繊維径を測定し、これを母集団とした標準偏差および平均値を算出する。また、繊維径が5μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとする。
この平均値を平均繊維径とし、標準偏差を平均値で割った値を百分率(%)表示したものを繊維径CV値とした。
(2)シート状物の表面粗さ:
本発明のシート状物の表面粗さは、サーフコーダSE−40C(Kosaka−Laboratory Ltd)を用いて測定した。シート状物を、その立毛の順目方向(立毛が寝る方向)と装置の触針の進行方向が同方向になるように平面台上に固定して、先端半径5μm、先端面積79μmの触針を用いて、送り早さ0.5m/分、評価長さ12.5cm、カットオフ2.5cm、縦倍率500倍、そして横倍率2倍で測定した。測定は5回行い、その平均値を表面粗さの数値として採用した。
(3)シート状物の動摩擦係数:
本発明のシート状物を、1cm角に切り出し平面圧子に両面テープを用いて取り付け、十分な水を浸みこませた。これを表面性測定機(新東科学(株)製HEIDON−14D)の移動台に取り付けたガラス板上に置き、表面の立毛の順目方向(立毛が寝る方向)に移動台を水平移動させたときの摩擦抵抗を測定し、動摩擦係数を求めた。試験速度は500mm/分とし、荷重条件は600g/mとした。測定は3回行い、その平均値を動摩擦係数の数値として採用した。
(4)シート状物の珪素含有量:
シート状物試料5gに硫酸を添加し、一昼夜放置して炭化させた後、ホットプレートにて硫酸を揮散させた。得られた炭化物を、電気炉を用いて550℃の温度で2時間加熱し、灰化処理を行った。得られた灰化物を炭酸ナトリウム融解し、希塩酸に溶解させたものを試料溶液とした。試料溶液をICP発光分光分析装置に導入し、珪素の定量を行った。
(5)立毛被覆率:
立毛被覆率は、上述したように、シート状物の立毛面について、走査型電子顕微鏡(SEM)により立毛繊維の存在がわかるように観察倍率40倍に拡大し、画像分析ソフトウェアImageJを用いて合計面積4mmあたりの立毛部分の総面積の比率を算出し、立毛被覆率とした。
(6)研磨加工:
本発明のシート状物を、40mm幅のテープとした。研磨対象として、表面粗さが0.2nm以下に制御されたHOYA社製のアモルファスガラスからなる基板を用いた。基板の両面を一度に研磨すべく、テープを基板の両面にセットして、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmの単結晶ダイヤモンド粒子が平均径50nmにクラスター化した遊離砥粒を0.01%含む研磨剤を、15ml/分で両面側に滴下し、基板へのテープの押付圧を1000g重、基板回転数を400rpm、基板揺動数を5Hz、テープ走行速度2.5cm/分として、10秒間研磨した。
(7)洗浄加工:
研磨加工直後の基板を、研磨材を洗浄剤(三洋化成株式会社製“ケミクリーン”(登録商標)PR−122)に代えて、テープの押付圧を750g重、加工時間を30秒とすること以外は、研磨加工と同じ条件で洗浄加工し、流水で洗浄した。
(8)基板の表面粗さ:
JIS B0601(2013年度版)に準拠して、シュミットメジャーメントシステム社(Schmitt measurement Systems, Inc)製TMS−2000表面粗さ測定器を用いて、研磨加工後のディスク基板サンプル表面の任意の10ヶ所について平均粗さを測定し、10ヶ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど、高性能であることを示す。基板表面粗さが0.20nm以下を加工性良好とし、0.20nmを超える場合は加工性不良とした。
(9)スクラッチ点数:
研磨加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela6100光学表面分析計を用いて、深さ3nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。スクラッチ点数が30以下を加工性良好とし、30を超える場合は加工性不良とした。
(10)不良ディスク発生率:
洗浄加工後のガラス基板に磁性層を形成し、磁気欠点やエラー欠陥という基板表面上に残存する異物起因の不良ディスク発生率を算出した。測定は、ディスク100枚を1セットとし、計10セット実施した。それぞれのセット毎に、ディスク表面の異物起因の不良ディスク発生率を算出し、10セットにおける発生率の平均値を、不良ディスク発生率とした。不良ディスク発生率が1%以下を加工性良好とし、1%を越える場合は加工性不良とした。
[実施例1]
(原綿)
(海成分と島成分)
融点が220℃で、MFRが58.3g/10分のナイロン6を島成分とし、融点が53℃で、MFRが300g/分のアクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分として用いた。
(紡糸と延伸)
上記の海成分と島成分を用い、2000島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度270℃、島/海質量比率30/70、吐出量1.4g/分・ホール、紡糸速度1200m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、この繊維をカットして、単繊維繊度が3.8dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の原綿を用い、カード工程とクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、得られた積層繊維ウェブに、トータルバーブデプス0.08mmのニードル1本を植込んだニードルパンチ機を用いて、針深度7mm、パンチ本数3200本/cmでニードルパンチを施し、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記のようにして得られた極細繊維発生型繊維不織布を85℃の温度で熱水収縮処理させた後、ポリビニルアルコールを繊維質量に対し54質量%付与後、乾燥させた。次に、この極細繊維発生型繊維不織布にトリクロロエチレンを含浸させ、海成分を除去する極細繊維発生加工を施して、極細繊維で構成された不織布を得た。
このようにして得られた極細繊維で構成された不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で30質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水で処理し、DMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により、厚み方向に半裁した。得られた半裁後のシートを、水を含むシートの質量が乾燥質量に対して200%となるように水を浸透させ窄液した後に、半裁面をJIS#320番のサンドペーパーを用いて、サンドペーパーの回転と逆方向にシートを進行させ、シート速度が1m/分で、2段バフィングの条件下、15g/mバフィング処理し、立毛を形成させシート状物を作製した。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.55mmで、目付が188g/mであり、見かけ密度が0.330g/cmであり、表面粗さが9.5μmであり、動摩擦係数が0.612、珪素含有量が28ppmで、立毛被覆率が88%であった。
得られたシート状物をシート状物のタテ方向がテープの長手方向となるように40mm幅のテープとし、研磨し洗浄加工を行ったところ、得られたディスクは、表面粗さが0.09nmで、スクラッチ点数は6で、不良ディスク発生率は0.2%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
8000島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度270℃、島/海質量比率15/85、吐出量0.9g/分・ホール、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸したこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度2.5dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が820g/mで、見掛け密度が0.231g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が60nmであり、厚さが0.56mm、目付が182g/mで、見かけ密度は0.313g/cmであり、表面粗さが8.8μmであり、動摩擦係数が0.707、珪素含有量が34ppmで、立毛被覆率が84%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.18mで、スクラッチ点数は19で、不良ディスク発生率は0.4%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
5000島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度270℃、島/海質量比率15/85、吐出量1.1g/分・ホール、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸したこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.2dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.202g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が100nmであり、厚さが0.56mm、目付が178g/mで、見かけ密度は0.322g/cmであり、表面粗さが9.2μmであり、動摩擦係数が0.651、珪素含有量が29ppmで、立毛被覆率が86%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.11nmで、スクラッチ点数は12で、不良ディスク発生率は0.3%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
(原綿)
島本数1000島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量1.2g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.0dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が770g/mで、見掛け密度が0.207g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が400nmであり、厚さが0.56mm、目付が196g/m、見かけ密度は0.342g/cmであり、表面粗さが12.4μmであり、動摩擦係数が0.598、珪素含有量が35ppmで、立毛被覆率が83%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.16nmで、スクラッチ点数は16で、不良ディスク発生率は0.3%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿)
固有粘度が1.20のポリエチレンテレフタレートを島成分としたこと以外は、実施例4と同様にして、単繊維繊度が3.1dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例4と同様にして、目付が840g/mで、見掛け密度が0.225g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例4と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が400nmであり、厚さが0.56mm、目付が201g/m、見かけ密度は0.345g/cmであり、表面粗さが12.7μmであり、動摩擦係数が0.512、珪素含有量が32ppmで、立毛被覆率が81%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨、洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.19nmで、スクラッチ点数は22で、不良ディスク発生率は0.7%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
(原綿)
実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%からなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で60質量%付与したこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.56mm、目付が191g/m、見かけ密度は0.338g/cmであり、表面粗さが9.3μmであり、動摩擦係数が0.643、珪素含有量が24ppmで、立毛被覆率が83%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.17nmで、スクラッチ点数は15で、不良ディスク発生率は0.6%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
(原綿)
実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%からなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で23質量%付与したこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.56mm、目付が187g/m、見かけ密度は0.329g/cmであり、表面粗さが10.0μmであり、動摩擦係数が0.625、珪素含有量が31ppmで、立毛被覆率が87%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.18nmで、スクラッチ点数は18で、不良ディスク発生率は0.5%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
(原綿)
実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で30質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水で処理し、DMFおよびポリビニルアルコールを除去した後、シート質量に対して、珪素の含有量が200ppmとなるように珪素系の滑剤(東レ・ダウコーニング社製:SM7036EXの付与濃度およびウェットピックアック率を調整し、含浸付与、乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.54mm、目付が182g/m、見かけ密度は0.323g/cmであり、表面粗さが9.2μmであり、動摩擦係数が0.643、珪素含有量が203ppmで、立毛被覆率が89%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.08nmで、スクラッチ点数は6で、不良ディスク発生率は0.8%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
参考例1
(長繊維不織布)
特開2007−100249号公報に記載の実施例1に準じて、溶融粘度310poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度720ポイズ(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のポリ乳酸(PLA)(光学純度99.5%以上)(60質量%)を、2軸押出混練機を用いて220℃の温度で混練して、ブレンドチップを得た。ここでPLAの重量平均分子量は、次の方法を用いて求めた。
すなわち、試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃の温度で測定し、ポリスチレン換算で求めた。測定は、各試料につき3点行い、その平均値を重量平均分子量とした。
次いでスパンボンド法により、上記のポリマーアロイチップを紡糸温度240℃で細孔から紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4000m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率16%のエンボスロールで、温度80℃、線圧20kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度が2.0dtexで、目付が150g/mmの長繊維不織布を得た。
(シート状物)
上記で得られたポリマーアロイ繊維からなる長繊維不織布に、油剤(SM7060EX:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維質量に対し2質量%付与し、4枚積層し、バーブ数が1で、バーブ深さが0.06mmのニードルを用いて、ニードルパンチを5000本/cmで施すことにより、目付が600g/mのポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
このようにして得られた不織布を液温が約85℃で、濃度が約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、ポリマーアロイ繊維質量に対して固形分で20質量%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。次に、このようにして得られた極細繊維発生型不織布にトリクロロエチレンを含浸させ、海成分を除去する極細繊維発生加工を施して、極細繊維で構成された不織布を得た。
以降、実施例1と同様にして極細繊維不織布へのポリウレタン付与と、湿潤状態でのバフィング処理を行い、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.95mm、目付が400g/mで、見かけ密度は0.345g/cmであり、表面粗さが10.6μmであり、動摩擦係数が0.584、珪素含有量が33ppmで、立毛被覆率が79%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.12nmで、スクラッチ点数は15で、不良ディスク発生率は0.7%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
参考例2
(原綿)
融点が220℃で、MFRが58.3g/10分のナイロン6と、融点が53℃で、MFRが300g/分のアクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を、質量比率で3:5の割合で混合して島成分とした。そして、島成分に用いたのと同様の共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。島本数が200島/ホールの海島型複合口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が5.0dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が760g/mで、見掛け密度が0.223g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が220nmであり、厚さが0.55mm、目付が172g/mで、見かけ密度は0.310g/cmであり、表面粗さが11.3μmであり、動摩擦係数が0.565、珪素含有量が29ppmで、立毛被覆率が81%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.14nmで、スクラッチ点数は17で、不良ディスク発生率は0.5%であり、加工性は良好であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿)
実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
立毛加工の際に、シートを乾燥状態で、JIS#320番のサンドペーパーを用いて、サンドペーパーの回転と逆方向にシートを進行させ、シート速度1m/分、2段バフィングとしたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維が融着していた。また、厚さは0.56mmで、目付は181g/mであり、見かけ密度は0.328g/cmであり、表面粗さが20.3μmであり、動摩擦係数が0.476で、珪素含有量が31ppm、立毛被覆率が66%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.43nmで、スクラッチ点数は182で、不良ディスク発生率は3.4%であり、スクラッチ点数の多いものであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(原綿)
島本数450島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量を1.1g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.0dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、実施例1と同様にして、目付が770g/mで、見掛け密度が0.216g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が600nmであり、厚さは0.54mmであり、目付は190g/mであり、見かけ密度は0.350g/cmであり、表面粗さが14.7μmであり、動摩擦係数が0.484、珪素含有量が27ppmで、立毛被覆率が82%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.23nmであり、スクラッチ点数は33で、不良ディスク発生率は2.2%であり、繊維径が太く、スクラッチ点数の多いものであった。結果を表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
島本数200島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量2.0g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が3.0dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて実施例1と同様にして、目付が760g/mで、見掛け密度が0.230g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いて、実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、極細繊維の平均繊維径が1000nmであり、厚さが0.55mmであり、目付が164g/mであり、見かけ密度が0.340g/cmであり、表面粗さが15.2μmであり、動摩擦係数が0.447で、珪素含有量が24ppm、立毛被覆率が78%であった。
得られたシート状物を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の方法で研磨し洗浄加工を実施した。加工後のディスクは、表面粗さが0.28nmであり、スクラッチ点数は39で、不良ディスク発生率は1.5%であり、繊維径が太く、スクラッチ点数の多いものであった。結果を表1に示す。
Figure 0006398467

Claims (6)

  1. 断面形状が丸型であり、平均単繊維径が500nm以下であって、繊維径CV値が、10%以下である極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成されたシート状物であって、少なくとも片面が前記極細繊維からなる立毛面となって極細繊維で被覆されており、前記立毛面における立毛被覆率が70〜99%で、表面粗さが5〜20μmであり、かつ動摩擦係数が0.50〜0.80であることを特徴とするシート状物。
  2. 極細繊維が、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維であることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
  3. 弾性重合体の含有率が、繊維絡合体の総質量に対して20〜80質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物。
  4. 珪素化合物の存在量が0〜100ppmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のシート状物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のシート状物からなる研磨布。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のシート状物からなる洗浄加工布。
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