JP6686328B2 - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維絡合体を含むシートに、液体を付与し得られたシートをバフロールに供給して湿式バフィングしてシートを立毛化する工程を含むシート状物の製造方法に関するものである。
また本発明は、繊維絡合体を含むシート状物で、少なくとも片面が極細繊維からなる立毛で覆われており、立毛した極細繊維が均一に配向しているシート状物に関するものである。
従来、極細繊維の極細化技術を応用してシート状物とし、これを起毛処理等により立毛化することでさまざまなタイプのシート状物が検討されてきた。
起毛処理の分野では、サンドペーパー、ブラシ、砥石および針布を用いた乾式バフィングで布帛を起毛処理する装置が良く知られている。
これに対し、起毛工程で布帛が熱を持つとともに繊維が切断されることを防ぐため、回転する砥石に水圧で布帛を押し当ててバフィングする装置が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、起毛された繊維を同一に配列させることの提案はなく、蓮の葉や桃の実のような表面状態になると記載がある。また、この提案では、木綿などの太い繊維を対象としており、極細繊維の起毛については提案がはなされていない。さらには、回転する砥石に水圧で布帛を押し当てているため、起毛される布帛の含水量の調整ができておらず、常に過剰な含水量となるため起毛状態を厳密には制御できていない。また、この提案では熱による繊維の切断は防止されているが、均一な毛羽を有すると記載があるように、毛羽のサイズが均一であり、そのためには、熱ではない繊維の切断(砥石で物理的に切断される行為)については積極的である。すなわち、水圧は強く起毛され削りとられる量は多いことがわかる。
また別に、1.5dtex以下の極細繊維からなる起毛処理されたシートが提案されている(特許文献2参照。)。起毛方法として、乾式バフィングや湿式バフィングの提案があるが、種々の起毛方法が提案されているように、この提案ではどんな起毛状態となってもよく、実施例は全て乾式バフィングであることからも、湿式バフィングは列挙されているだけで、起毛された繊維を同一に配列させる提案も、極細繊維を湿式バフィングする上で重要なバフィング条件の提案もなされていない。
人工皮革の分野では、スクラッチ欠点が少なく高精度なテクスチャー加工を施すことができる研磨布の提供として、平均単繊維繊度が0.0001〜0.01dtexの立毛化された研磨布が提案されている(特許文献3参照。)。この提案では、極細繊維が均一に配列した状態を定義した、線密度が30本/100μm幅以上1000本/100μm幅以下であることを特徴としているが、極細繊維の立毛化処理で研削負荷を小さくする提案として、バフ段数やサンドペーパーの番手の提案があるのみであり、平均単繊維繊度が0.0001〜0.01dtexの極細繊維を立毛化する上で重要な湿式バフィングの記載が一切なく、表面は極細繊維が束状に膠着しており実際の線密度は上記を達成していない。
さらに、ナノファイバーを表面に分散させる方法として、単繊維繊度が1×10−8〜1.4×10−3dtexである極細繊維を表面に有する研磨布の提案(特許文献4参照。)があり、ここでは立毛化した後に複合繊維から易溶性ポリマーを溶解除去することで極細繊維を発生させている。すなわち、この提案では、従来のバフィング(乾式バフィング)では直接にナノファイバーを立毛化できておらず、湿式バフィングも例がほとんどないため、極細繊維の立毛化は課題であった。
特開平6−123060号公報 特開2000−212880号公報 特開2007−54910号公報 特開2007−144614号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、極細繊維を極めて緻密に配列した立毛表面を得ることにより、極めて緻密な表面タッチで優雅な表面状態のシート状物およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のシート状物の製造方法は、平均単繊維直径が0.01〜8μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体を含んでなるシートに、前記のシートの質量に対し液体を10〜300質量%付与し、得られたシートをバフロールに供給し、前記のシートを介する前記バフロールの反対側からは前記バフロールに直接対向する外力を加えることなく、前記のシートの前記バフロールに接する側の面を、サンドペーパーを用いて湿式バフィングしてシートの一方の面を立毛し、湿式バフィング処理した立毛面の少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率を40〜95%にせしめ、前記立毛面の極細繊維において、前記極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率を50%以下にせしめる工程を含むことを特徴とするシート状物の製造方法である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のシートの質量に対し液体を30〜250質量%付与した状態で、湿式バフィング処理することである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のシートに付与する液体は、粘度20mPa・s以下である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面の立毛被覆率を40〜100%にせしめることである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の湿式バフィング処理した立毛面の少なくとも片面における立毛層の厚みは、0.20mm以下である。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.01〜8μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体を含んでなるシート状物であって、前記のシート状物の片面または両面は立毛面で構成されており、前記の立毛面のうち少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%であり、前記立毛面の立毛された繊維において、極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率が50%以下であることを特徴とするシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面の立毛被覆率は、40〜100%である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のシート状物中に高分子弾性体が含まれてなりその付量は、繊維の質量に対し10〜60質量%である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の立毛面の少なくとも片面における立毛層の厚みは、0.20mm以下である。
本発明のシート状物の製造方法によれば、極細繊維を極めて緻密に配列することが可能となる。特に、立毛リッチな表面状態や、極細繊維の先端の変形を極力抑えた立毛処理が可能となる。
また、本発明によれば、極細繊維を極めて緻密に配列させることにより、極めて緻密な表面タッチで優雅な表面状態のシート状物が得られる。特に、立毛リッチな表面状態では、その表面は優雅で光沢のある表面ともなり、平滑な表面ともなる。特に、極細繊維の先端の変形が極力抑えられた極細繊維を有する立毛の場合、表面外観の均一性と表面タッチの均一性において優位であり、研磨加工および/または洗浄加工の研磨布として使用した際には、スクラッチ抑制に優位である。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.01〜8μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体を含んでなり、シート状物の片面または両面は立毛面で構成されており、立毛面のうち少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%であり、前記立毛面の立毛された繊維において、極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率が50%以下であるシート状物である。
本発明において、極細繊維の平均単繊維直径は、0.01〜8μmとすることが重要である。
緻密性に優れ繊維把持力が強固なものとなることからは、平均単繊維直径を8μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下とする。緻密性に優れることは、表面を立毛リッチとする際に優位である。表面タッチについても同様で、従来の極細繊維からなるシート状物とは異なる質感をもったシート状物を得ることができ、特に、研磨布として使用した際は、高精度の仕上げを達成することができる研磨布が得られる。また、光沢感についても同様で、特に、染色した人工皮革として使用した際は、均一に揃った繊維の数が多くなり光沢感のあるシート状物を得ることができる。また、繊維配向率についても同様で、緻密性を意味する繊維配向率が高くなりやすい。平均単繊維直径が8μmより大きくなると、繊維配向率が40%未満となり、緻密性も光沢感も乏しい従来の人工皮革の表面外観となる。
また、平均単繊維直径を0.01μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは1μm以上とすることにより、単繊維強度および剛性の高いシート状物となり、特に研磨布として使用した際には高研削性能を発現する。平均単繊維直径が0.01μm未満では、極細繊維集合体が凝集して開繊が難しく、立毛化しないため立毛品位が著しく低下し、目的の表面タッチも得られることができず、特に研磨布として使用した際はスクラッチの原因となる。
単繊維直径の均一性に関しては、極細繊維の繊維径CV値は40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下である。ここでいう繊維径CV値とは、任意の100カ所の極細繊維の平均単繊維直径を測定して平均値および標準偏差を算出し、標準偏差を平均値で割った値を百分率(%)表示したものであり、この値が小さいほど均一であることを示すものである。繊維径CV値を40%以下とすることにより、立毛が均一となり、優雅な表面外観かつ極めてソフトな表面タッチのシート状物を得ることができる。特に、研磨布では、均一な押し付け力と砥粒分散性により高精度の研磨加工が可能である。
また、繊維径CV値を0.1%より小さくした場合、均一さが過剰のため表面外観が天然ライクではなく人工ライクとなり、優雅さが劣る。特に、研磨布では、均一さが過剰の場合、研磨時の摩擦が上昇することにより摩擦熱による欠点を生じる。より好ましい繊維径CV値は、0.5%〜10%である。
本発明で用いられる極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の観点から、ポリエステルが好ましく用いられる。
また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維であることが好ましい態様である。繊維を構成するポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは、融点が高いものが多く、熱に対する耐熱性に優れており好ましく用いられる。とりわけ、ポリアミド類からなる繊維は、スラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性と分散性に優れており、非研磨物に傷をつけることなく研磨することができると共に、柔軟性に優れることにより被研磨物との接触抵抗が低いため、微細研磨に好適に用いられる。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合され構成されることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良く、また、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させることもできる。
極細繊維の断面形状としては、例えば、丸、楕円、扁平および三角などの多角形、扇、十字、Y、H、X、W、C、およびπ型などを用いることができる。
繊維絡合体を構成する極細繊維は、極細繊維束の形態をとることが好ましい態様である。極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよく、場合によっては部分的に結合していてもよく、凝集していてもよい。
本発明のシート状物に用いられる繊維絡合体としては、短繊維絡合体および長繊維絡合体のいずれでもよいが、圧縮率や品位の点では短繊維絡合体が好ましく用いられる。
本発明のシート状物に用いられる短繊維絡合体としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、および抄紙法で得られる不織布などを適宜採用することができる。繊維絡合体としては織編物でも良いが、繊維配向率や立毛被覆率の点からはタテ方向の繊維本数を調節する必要があるため、タテヨコ方向だけでなく厚み方向の繊維本数において有利な不織布がより好ましく用いられる。
中でも、短繊維不織布やスパンボンド不織布は、後述するような極細繊維束の態様をニードルパンチ処理により得ることができる。短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、シート状物の圧縮特性や表面品位に優れたシート状物を得ることができる。繊維長は、より好ましくは30〜80mmである。
本発明で用いられる繊維絡合体は、その内部に強度を向上させるなどの目的で補強層を含ませることができる。補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)、およびプラスチックフィルムや金属薄膜シートなどのフィルム状物等を採用することができる。補強層が繊維で構成された織物や編物の場合、繊維の平均単繊維直径は、0.1〜20μm程度であることが好ましい。
本発明のシート状物は、シート状物の片面または両面は立毛面で構成されており、立毛面のうち少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%であることが重要である。
前記の繊維配向率を40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上とすることにより、緻密な立毛となり、優雅な表面外観で、かつ従来の極細繊維からなるシート状物とは異なる質感をもったシート状物を得ることができる。また、特に、研磨布では、拭き取り性能が向上し好ましい態様である。特に、染色した高分子弾性体を含む人工皮革に湿式バフィングした際は、繊維が緻密に配向することにより繊維と色差のある高分子弾性体(イラツキ)が隠れ、より優雅な外観品位となり好ましい態様である。繊維配向率が95%より多くなると、極細繊維1本1本の触感を認識できなくなり、表面タッチが粗く感じる。特に、研磨布では、極細単繊維間の空隙の自由度が低下してスラリーが分散できなくなり、スクラッチの原因となる。また、シート状物の製造において、極細繊維の開繊性が著しく低下する。繊維配向率が40%未満となると、緻密性も光沢感も乏しい従来の人工皮革の表面外観となる。
本発明では、その少なくとも片面が前記の極細繊維からなる立毛面となってその立毛面における極細繊維の配向の度合いとして、タテ方向に配列した繊維のヨコ方向の繊維配向率を定義する。すなわち、配向の度合いが大きい立毛方向をタテ方向とし、その直交方向をヨコ方向とする。そして、シート状物の表面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM)により、シート状物の観察倍率5000倍の画像を30枚撮影する。撮影した画像から、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチなどにより大きな孔を形成している部分は避けて、ヨコ方向に100μmの基準線を一箇所引く。基準線と交差する鋭角が60°以上の極細繊維をタテ方向に配列した繊維とし、その本数を測定し、n数30の平均値を算出して、タテ方向に配列した繊維のヨコ方向の線密度とする。その線密度と理論線密度(100μm÷単繊維直径)から、次式により繊維配向率(%)を算出する。
・繊維配向率(%)=線密度(本)÷理論線密度(本)
本発明のシート状物は、タテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面の立毛被覆率が40〜100%であることが好ましく、より好ましくは45〜95%である。立毛被覆率が40%未満では立毛化していない繊維が存在し、表面品位が不均一となる。特に、染色した高分子弾性体を含む人工皮革の場合は、非立毛部分ではイラツキがひどく、優雅な外観品位とはいえない。また、拭き取り性能が低下するため、特に研磨布を用途とした場合は性能が劣る。
立毛被覆率とは、前記のタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面について、走査型電子顕微鏡(SEM)により立毛繊維の存在がわかるように観察倍率30倍〜70倍に拡大し、画像分析ソフトを用いて合計面積4mmあたりの立毛部分の総面積の比率を算出し、立毛被覆率とした。総面積の比率は、撮影したSEM画像について、画像分析ソフトウェアImageJを用い、立毛部分と非立毛部分を閾値100に設定して2値化処理することで算出できる。また、立毛被覆率の算出において、立毛ではない物質が立毛として算出され立毛被覆率に大きく影響している場合、手動で画像を編集しその部分を非立毛部分として算出する。
画像分析システムとしては、画像分析ソフトウェアImageJが例示されるが、画像分析システムは、規定の画素の面積比率を計算する機能を有する画像処理ソフトウェアからなることであれば、画像分析ソフトウェアImageJに限らない。なお、画像処理ソフトウェアImageJが通用のソフトウェアであり、アメリカ国立衛生研究所により開発された。該画像処理ソフトウェアImageJは、取り込んだ画像に対し、必要な領域を特定し、画素分析を行う機能を有している。
本発明のシート状物は、タテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面の立毛された繊維において、極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率が50%以下であることが好ましい場合がある。変形した比率が50%以下であることにより、滑らかなタッチとなり、繊維配向率も小さくなりやすい。また、研磨布として使用した際には、スクラッチの面で有利である。表面外観の均一性と緻密性の観点からも、好ましい態様である。湿式バフィングのみで得られる立毛は、変形した比率が50%以下となる。乾式バフィングしたシートに湿式バフィングした場合は、乾式バフィングで変形した繊維を湿式バフィングが切断することにより変形がなくなるが、繊維が揃えられるだけの部分については変形した繊維が残る。
本発明のシート状物は、立毛面の少なくとも片面における立毛層の厚みが、0.20mm以下であることが好ましい場合がある。立毛層は非立毛層に対し密度が低く、強度の点で弱い。立毛層の厚みを0.20mm以下とすることにより、高強力シートが必要な用途では、十分な実力を発揮する。立毛層が0.001mm以下になると、立毛層が弱く摩耗などの力で破壊されてしまう。
本発明のシート状物では、単繊維同士もしくは繊維の絡合部に多数の数nm〜500nm程度の隙間が生まれるため、多孔性材料のような特異的な性質を示す場合もあり、フィルターなどの用途としての使用も可能である。
本発明のシート状物は、繊維絡合体の極細繊維質量に対し10〜60質量%の高分子弾性体を含ませることが好ましい。極細繊維質量に対し少なくとも10質量%の高分子弾性体を含有させることによって、シート状物に適度な圧縮特性を付与することが可能となる。高分子弾性体の質量が60質量%より多い場合は、立毛工程での繊維の開繊性が乏しくなり、またシート状物のしなやかさが低下する。さらには、シート状物が染色されて用いられる場合、染色後の繊維絡合体の繊維と高分子弾性体の色調に差が生じるため、高分子弾性体は少ない方が好ましい場合がある。環境配慮の面では、高分子弾性体を多量に含有せしめることは、製造工程における有機物の使用量が増加するため好ましくなく、高分子弾性体が少ない方が、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いた場合、再生回収や廃棄が容易となる。研磨布の場合は、高分子弾性体が含まれないことにより、表面が繊維のみとなるため、高分子弾性体が被研磨物を削ることが原因で発生するスクラッチ欠点が減少する。高分子弾性体の質量のより好ましい範囲は、15〜55質量%である。
上記の高分子弾性体には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤および酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、撥水剤、粘度調整剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、および凝固調整剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子等を含有させることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタン系エラストマー、ポリウレア、ポリアクリル酸、エチレン・酢酸ビニルエラストマーおよびアクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール等が挙げられ、耐久性と圧縮特性の観点からは、ポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。高分子弾性体には、複数の高分子弾性体を含有せしめることができる。
本発明で特に好ましく用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタンやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどが挙げられる。
本発明で使用されるポリウレタン系エラストマーは、溶剤系のポリウレタン系エラストマーおよび水分散系のポリウレタン系エラストマーのいずれも用いることができる。
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
上記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエーテル系ジオールを用いることが好ましい態様である。
上記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
また、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれも採用することができる。
また、ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。
また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で用いられるポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、ポリウレタン系エラトマーの分子量が一定の場合、500〜4000の範囲であることが好ましい。数平均分子量を好ましくは500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、シート状物が硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーとしての強度を維持することができる。
本発明で用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、好ましくはエチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
本発明で用いられるポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタン系エラストマーに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、またポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤も用いることができる。ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できるという観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。
また、本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーは、水分散型ポリウレタン系エラストマーである場合、分子構造内に親水性基を有していることが好ましい態様である。分子構造内に親水性基を含有させることにより、水分散型ポリウレタン系エラストマーとしての分散と安定性を向上させることができる。
親水性基としては、例えば、4級アミン塩等のカチオン系、スルホン酸塩やカルボン酸塩等のアニオン系の親水性基の組み合わせ、およびアニオン系とノニオン系の親水性基の組み合わせのいずれの親水性基も採用することができる。
中でも、光による黄変や中和剤による弊害の懸念のないノニオン系の親水性基が特に好ましく用いられる。すなわち、アニオン系の親水性基の場合は中和剤が必要となるが、例えば、中和剤がアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミンおよびジメチルエタノールアミン等の第3級アミンである場合は、製膜や乾燥時の熱によってアミンが発生して揮発し、系外に放出される。そのため、大気放出や作業環境の悪化を抑制するために、揮発するアミンを回収する装置の導入が必須となる。
また、アミンは、加熱によって揮発せずに最終製品であるシート状物中に残留した場合、製品の焼却時等に環境へ排出されることも考えられる。これに対し、ノニオン系の親水性基の場合は、中和剤を使用しないためアミン回収装置を導入する必要はなく、アミンのシート状物中への残留の心配もない。また、中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウム等のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物等の場合、ポリウレタン部分が水に濡れるとアルカリ性を示すこととなるが、ノニオン系の親水性基の場合は中和剤を使用しないため、ポリウレタン系エラストマーの加水分解による劣化を心配する必要もない。
本発明のシート状物の見掛け密度は、0.10〜0.80g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.70g/cmである。見掛け密度が0.10g/cm以上になると、シート状物の緻密感や機械物性が良好であり、0.80g/cm以下であると、風合いが硬くなることを避けることができる。
シート状物の厚みは、0.1〜7mmであることが好ましい。この厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、シート状物の形態安定性と寸法安定性に優れる。一方、厚さを7mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、シート状物の成形性に優れる。
次に、本発明のシート状物を製造する方法について説明する。
本発明で用いられる極細繊維束が絡合した繊維絡合体等の不織布を得る手段としては、海島型繊維等の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい態様である。極細繊維から直接繊維絡合体等の不織布を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から繊維絡合体を製造し、この繊維絡合体における海島型繊維等の極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる繊維絡合体を得ることができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維等が挙げられる。これらの海島型繊維の中でも、高精度に制御された極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られ、不織布および不織布を有してなるシート状物の強度にも資するという観点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびPVAなどが挙げられる。
海島型繊維の繊維極細化処理(脱海処理)は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し、搾液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いられる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液が用いられ。
また、繊維極細化処理には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
海成分の溶解除去は、高分子弾性体を含浸する前、含浸した後、および起毛処理後のいずれのタイミングでも行うことができる。高分子弾性体付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接高分子弾性体が密着する構造となって極細繊維を強く把持できることから、シート状物の耐摩耗性がより良好となる。一方、高分子弾性体付与後に脱海処理を行うと、高分子弾性体と極細繊維間に、脱海された海成分に起因する空隙が生成することから、極細繊維を直接ポリウレタンが把持せずにシート状物の圧縮特性が良好となる。
本発明では、極細繊維束内の繊維数は10〜9000本/束であることが好ましく、より好ましくは10〜4000本/束である。繊維数が10本/束未満の場合には、極細繊維の緻密性が乏しく、例えば、摩耗等の機械物性が低下する傾向がある。また、繊維数が9000本/束より多い場合には、立毛時の開繊性が低下し、立毛面の繊維分布が不均一となる傾向がある。
繊維の密集性の観点からは、極細繊維束内の繊維密集度合いは30〜1000であることが好ましく、より好ましくは50〜700である。繊維密集度合いは、(極細繊維束内の繊維数)×(単繊維直径)で算出し、極細繊維の束の大きさの指標となる。このように、極細繊維束内の繊維密集度合いを30〜1000とすることにより、繊維絡合体とする際の加工操業性が良く、繊維束の緻密性が良くなる。
本発明で用いられる繊維絡合体を得る方法としては、繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理に用いられるニードルにおいて、ニードルバーブ(切りかき)の数は好ましくは1〜9本である。ニードルバーブを1本以上とすることにより効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、ニードルバーブを9本以下とすることにより繊維損傷を抑えることができる。
パンチング本数は、好ましくは1000〜6000本/cmである。パンチング本数を1000本/cm以上とすることにより、緻密性が得られ、高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を6000本/cm以下とすることにより、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。より好ましいパンチング本数は、1500〜4000本/cmである。
また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい態様である。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力2〜60MPaで水を噴出させることが好ましい態様である。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維で構成された繊維絡合体の見掛け密度は、0.15〜0.40g/cmであることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた繊維絡合体にできる。一方、見掛け密度を0.40g/cm以下、好ましくは0.30g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を繊維間に維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維で構成された繊維絡合体は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって熱収縮処理させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。また、繊維絡合体はカレンダー処理等により、厚み方向に圧縮させることもできる。
また、シート状物表面の繊維分布の緻密性および均一性を得るためには、高分子弾性体は極細繊維の繊維束が絡合されてなる不織布等の繊維絡合体について、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しないことが好ましい態様である。繊維束内部にまで高分子弾性体が存在すると、高分子弾性体が各極細繊維と接着して存在することになるため、バフィング処理の際の開繊性が乏しくなる。
高分子弾性体が、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しない形態を得る方法としては、例えば、高分子弾性体を溶液とし、
(1)極細繊維発生型の海島型繊維で構成された繊維絡合体に、前記の高分子弾性体溶液を含浸し凝固させた後、海島型繊維の海成分を、弾性重合体は溶解しない溶剤で溶解除去する方法や、
(2)極細繊維発生型の海島型繊維で構成された繊維絡合体に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いで前記の高分子弾性体溶液を含浸し凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法、などを好ましく用いることができる。
前記のポリビニルアルコールとしては、鹸化度80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
ポリウレタン系エラストマー液を繊維絡合体に含浸等し、凝固させる場合、ポリウレタン系エラストマーが溶剤系のポリウレタン系エラストマーであれば、乾熱凝固または湿式凝固あるいはこれらを組み合わせてポリウレタン系エラストマーを凝固させることができる。また、水分散型のポリウレタン系エラストマーであれば、乾熱凝固、湿熱凝固または湿式凝固あるいはこれらの組み合わせにより、ポリウレタン系エラストマーを凝固させることができる。
ポリウレタン系エラストマーが溶剤系の場合には、水中に浸漬して凝固させる湿式凝固が好ましく用いられ、また、ポリウレタン系エラストマーが水分散型のポリウレタンの場合には湿熱凝固が好ましく用いられる。ポリウレタン系エラストマーが水分散型の場合は感熱凝固性を示すことが好ましく用いられる。
水分散型ポリウレタン系エラストマーにおいて、感熱凝固性を示さない場合、ポリウレタン系エラストマー液は、乾式凝固の際に繊維絡合体の表層に集中するマイグレーション現象が発生し、ポリウレタン系エラストマーを含有したシート状物は、硬化する傾向にある。ここで感熱凝固性とは、ポリウレタン系エラストマー液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度)に達するとポリウレタン系エラストマー液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。
水分散型ポリウレタン系エラストマーの感熱凝固温度は、40〜90℃であることが好ましい。感熱凝固温度を40℃以上とすることにより、ポリウレタン系エラストマー液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへのポリウレタン系エラストマーの付着等を抑制することができる。また、感熱凝固温度を90℃以下とすることにより、繊維絡合体中でのポリウレタン系エラストマーのマイグレーション現象を抑制することができ、内部に偏在させることができる。
感熱凝固温度を前記のとおりとするために、適宜感熱凝固剤を添加することができる。感熱凝固剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウム等の無機塩や、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルおよび過酸化ベンゾイル等のラジカル反応開始剤が挙げられる。
湿式凝固の温度は、溶剤系ポリウレタン系エラストマーの場合は、特に限定はされない。また、水分散型ポリウレタン系エラストマーの場合は、ポリウレタン系エラストマーの感熱凝固温度以上であればよく、例えば、40〜200℃の温度であることが好ましい。湿熱凝固の温度を40℃以上、より好ましくは60℃以上とすることにより、ポリウレタン系エラストマーの凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。一方、湿熱凝固の温度を200℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーの熱劣化を防ぐことができる。
繊維絡合体に高分子弾性体を付与後、得られた高分子弾性体付与シート状物を、シート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。高分子弾性体を付与しない場合も同様である。
本発明のシート状物は、シート状物の少なくとも一面に、立毛を有することが重要である。
本発明のシート状物の製造方法は、シートの質量に対し液体を10〜300質量%付与し、得られたシートをバフロールに供給し、そのシートを介する前記のバフロールの反対側からは前記のバフロールに直接対向する外力を加えることなく前記のシートの前記バフロールに接する側の面を湿式バフィングし、シートの一方の面を立毛する工程を含むことが重要である。
バフロールに直接対向する外力がある場合、液体の付与量が上記範囲の範囲外となることにくわえ、シートが圧縮された状態でバフィングされるため、開繊が効率的ではなく、圧縮方向に繊維が動くため繊維配向率も不十分となる。また、圧縮された部分がそのまま立毛層厚みとなるため、立毛層厚みが厚くなる。結果、一般的な乾式バフィングに近く、得られるシート状物は一般的な立毛状態となる。ここでいう乾式バフィング処理とは、シートを湿潤状態とせずにサンドペーパーやロールサンダーなどを用いてシートの表面を研削、または擦過する方法などにより施すことができる。とりわけ、シートの表面を、サンドペーパーを使用してバフィング処理することにより、均一で緻密な立毛を形成することができる。
一方、本発明のシート状物の製造方法は、上記の一般的な立毛化処理の後、もしくは処理していないシート状物、もしくは染色後のシート状物に湿式バフィングすることが重要である。種々の立毛化処理を組み合わせる場合は、最後に湿式バフィングを含むことが好ましい。
一般的な立毛化処理の後に湿式バフィングした場合、バフィングの研削負荷にもよるが、もともと存在する立毛層の表層の一部が、湿式バフィングで得られる状態となる。すなわち、本発明のシート状物は、本発明の範囲内であれば一般的な立毛処理で得られる立毛も一部残すことができる。染色する場合は、染色後に湿式バフィングすることが、得られた表面状態を維持させるためにより好ましい態様である。染色後に、ブラシや加熱ロールなどで繊維配向率を向上させる処理は公知であるが、湿式バフィングでは、光沢が出るほどの高配向率が可能である。
湿式バフィングにおいて、シートに付与する液体は、水や薬品など特に指定はないが、後に乾燥して除去することができる点、および環境配慮やコストの点からは、水または水を溶媒とする溶液が好ましく用いられる。液体の粘度が高いと、立毛繊維が均一に揃いにくく、すなわち繊維配向率が低くなるため、液体の粘度は20mPa・s以下であることが好ましい。好ましくは10mPa・s以下である。粘度はB型粘度計で測定する。液体を付与する量は、シート状物の質量に対し10〜300質量%である。液体の量が10質量%未満では、バフィング処理されるシート表面を安定的に湿潤状態とすることができず、300質量%を超えると抵抗が大きく効率的に立毛化されない。液体の量を、好ましくは30〜250質量%、より好ましくは50〜230質量%、さらに好ましくは100〜200質量%とすることにより、繊維配向率の高い立毛が安定的に得られる。 このように、湿潤状態とすることにより、バフィング処理で極細繊維同士が融着することを防ぎ、また開繊性も上昇し、繊維配向率においては一般的なバフィング処理では得られない領域となる。また、繊維が切断されにくく立毛化する効果もあり、乾式バフィングでは繊維先端が変形することが知られているが、その変形を抑制する効果もある。
通常、湿式バフィングでシートに付与した液体は、湿式バフィング後に乾燥して除去する。
シリコーンエマルジョンなどで繊維を造膜保護し乾式状態でバフィング処理することによっても、融着や変形の抑制が可能である。しかしながら、造膜保護では保護層が厚くなるように付与量を過剰としなければ融着効果は不十分であり、バフィング処理後も薬剤が過剰にシートに残るため、表面タッチが悪く、コスト高となり、後工程へも影響する。
シートに液体を付与する方法としては、塗布やディッピングなど公知の方法が使用可能であるが、シート全体の湿潤ムラが少なくなることから、ディッピングがより好ましく用いられる。また、液体を付与した後に、窄液する手法により、斑無く緻密な表面が得られる。上記の液体量に調整するには、一度シートを液体中に浸した後、ニップロールを用いて窄液することが安定的に調整できる点で好ましい態様である。
さらにシート状物の表面に、前述のような均一な極細繊維の立毛を形成するためには、サンドペーパーを用いることが好ましく、サンドペーパーの砥粒径、バフロール回転速度、シート速度、およびシート接触長を適切な範囲に制御することが好ましい。
バフィング処理でシート状物が受ける研削負荷を低減するためには、バフフィング段数を多段にすることができる。また、サンドペーパーの番手は、JIS規定の120番〜600番の範囲とすることが好ましい。バフロール速度は、200〜1500m/分であることが好ましく、より好ましくは300〜1000m/分である。バフロール速度は、バフロールの回転速度と周長から算出される周速のことである。
バフロールに供給するシートの速度は、生産性の点から、0.1m/分以上であることが好ましく、より好ましくは1.0m/分以上である。立毛状態の安定性からは20m/分以下が好ましく、より好ましくは10m/分以下、さらに好ましくは8m/分以下である。バフィング処理でのバフロールとシート接触長は、0.1〜50cmとすることが好ましく、より好ましくは1〜20cmである。シートの接触長とは、シートが接しているバフロールの周長のことである。0.1cm未満では立毛化が不十分となり、50cmを超えるとバフィング処理において熱をもったバフロールと接触するシート長が長く、シート自体が熱をもってバフィング処理されるため、湿式バフィングの効果が十分に得られない。
湿式バフィング処理の前に、シートにシリコーンなどの滑剤を付与することにより、極細繊維表面を保護し融着抑制の効果を発現し、また潤滑効果によって繊維の開繊性も向上する。また、シートの起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で好ましい態様である。湿式バフィング処理でシートに付与する液体を、シリコーンエマルジョンなどの滑剤とすることができる。
シート状物は、用途に応じて染色することができる。シート状物の染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。シート状物の染色温度は、高すぎると高分子弾性体が劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により設定することが好ましい。染色温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。
染料は、シート状物を構成する繊維の種類にあわせて、選択することができる。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。
また、シート状物の染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明のシート状物は、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、フィルター関連およびCDカーテン等の工業用資材として好適に用いることができる。
本発明のシート状物は、繊維が緻密にかつ均一に配列しているため、剥離強力にも優位であり、その表面にコーティング層を形成して、銀付人工皮革または研磨パッドを製造する際に用いることもできる。銀付人工皮革とするためのコーティング層や下引き層の形成方法としては、乾式造面法、ダイレクトコート法などがあり、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。各層の厚みは、用途に応じて適宜設定することができる。好ましい厚みは10〜1000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。
コーティング層に用いられる樹脂はポリウレタンが最も好適である。前記の樹脂には、適宜他の樹脂を混合して用いることもできる。近年、多くの用途で耐久性が要求されていることから、ポリエーテル系、あるいはポリカーボネート系などの耐久性に優れたポリウレタンを用いることが好ましい。耐摩耗性の点からは、シリコーン変性ポリウレタンが好ましく用いられる。同じ理由で、ポリウレタン樹脂にシリコーンオイルや固体のシリコーン系化合物を含有させて使用することもできる。
また、環境負荷の点からは、水分散系ポリウレタンを用いて銀面層を形成することが好ましい。水分散液には、懸濁分散液および乳化分散液が含有させることができる。樹脂には、架橋剤、カーボンブラック、熱膨張マイクロカプセル、難燃剤、鎖伸張剤、有機フィラー、チキソトロピー付与剤、消泡剤、レベリング剤、および界面活性剤など各種添加剤を含有させることができる。下引き層としては、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられ、コーティング層と同様の樹脂を用いることができる。
本発明のシート状物は、研磨加工および/または洗浄加工を施す際に好適に用いられる研磨布として用いることができる。本発明の研磨布を用いて研磨加工を行う方法は、加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状に研磨布をカットしたテープを研磨テープとして用いられる。
その研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクの研磨加工を行う方法が好適である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。砥粒の保持製と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒径としては、0.2μm以下であることが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明のシート状物とその製造方法についてさらに具体的に説明する。次に、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。ただし、以降、実施例6〜10と記載されている箇所については、それぞれ、参考例1〜5と読み替えるものとする。
(1)平均単繊維直径および繊維径CV値:
平均単繊維直径については、シート状物を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、これを母集団とした標準偏差および平均値を算出する。この平均値を平均単繊維直径とし、標準偏差を平均値で割った値を百分率(%)表示したものを繊維径CV値とした。平均単繊維直径が5μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均単繊維直径の測定対象から除外するものとする。
(2)タテ方向に配列した繊維のヨコ方向の線密度および繊維配向率:
線密度については、シート状物の表面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM)により、シート状物の観察倍率5000倍の画像を30枚撮影する。撮影した画像より、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチなどにより大きな孔を形成している部分は避けて、ヨコ方向に10μmの基準線を一箇所引く。基準線と交差する鋭角が60°以上の極細繊維をタテ方向に配列した繊維とし、その本数を測定し、n数30の平均値を算出して、タテ方向に配列した繊維のヨコ方向の線密度とする。その線密度と理論線密度(100μm÷単繊維直径)から、次式により繊維配向率(%)を算出する。
・繊維配向率(%)=線密度(本)÷理論線密度(本)。
(3)立毛被覆率:
立毛被覆率は、上述したように、シート状物の立毛面について、走査型電子顕微鏡(SEM)により立毛繊維の存在がわかるように観察倍率40倍に拡大し、画像分析ソフトウェアImageJを用いて合計面積4mmあたりの立毛部分の総面積の比率を算出し、立毛被覆率とした。
[実施例1]
(原綿)
ナイロン6を島成分とし、アクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分として用いた。前記の海成分と島成分を用い、8000島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度270℃、島/海質量比率15/85、吐出量0.9g/分・ホール、紡糸速度1200m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で2.9倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、平均単繊維直径が15.8μmで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の原綿を用いて、カード工程とクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、ニードルパンチ機を用いてニードルパンチを施し、目付が820g/mで、見掛け密度が0.231g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の極細繊維発生型繊維からなる不織布を85℃の温度で熱水収縮させた後、鹸化度88%のポリビニルアルコールを繊維質量に対し54質量%付与し、トリクロロエチレンを用いて海成分のポリスチレンを溶解除去後、乾燥し、極細繊維束からなる不織布を得た。このようにして得られた極細繊維束からなる不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系ポリマージオール75質量%とポリエステル系ポリマージオール25質量%とからなるポリウレタンDMF溶液を、繊維質量に対して固形分で30質量%となるように付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水で処理し、DMFおよびポリビニルアルコールを除去し、得られたシート状物を乾燥した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により、厚み方向に半裁してシート状物を得た。得られた半裁後のシートに、乾燥質量に対して100質量%となるように水を付与し、搾液して湿潤状態とした後に、このシートをバフロールに供給し、シートを介するバフロールの反対側からは前記のバフロールに直接対向する外力を加えることなく前記のシートに立毛を形成させ、片面に立毛が形成されたシート状物を作製した。このときのバフィング条件の詳細として、バフロールには240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度400m/分、シート搬送速度2.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触長を4cmとして湿式バフィングを行い、水を乾燥してシート状物を得た。
得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.67mm、極細繊維の平均繊維径が0.05μmであり、線密度が1768本/100μm幅、繊維配向率が88%、立毛被覆率が81%、繊維先端部の変形比率が15%、立毛層厚みが0.02mmであり、極めてソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
2000島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率30/70、吐出量1.4g/分・ホール、平均単繊維直径が24.1μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.205g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が340本/μm幅、繊維配向率が85%、立毛被覆率が76%、繊維先端部の変形比率が12%、立毛層厚みが0.02mmであり、極めてソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
固有粘度が1.20のポリエチレンテレフタレートを島成分として用い、海成分としてポリスチレンとして用いたこと意外は、実施例2と同様にして原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例1と同様にして、目付が831g/mで、見掛け密度が0.225g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の原綿を用いて、極細繊維発生型繊維からなる不織布を、95℃の温度で熱水収縮させたこと以外は、実施例2と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.66mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が345本/μm幅、繊維配向率が86%、立毛被覆率が77%、繊維先端部の変形比率が11%、立毛層厚みが0.02mmであり、極めてソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
(原綿)
400島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率30/70、平均単繊維直径が29.7μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例1と同様にして、目付が800g/mで、見掛け密度が0.217g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が0.80μmであり、線密度が110本/μm幅、繊維配向率が80%、立毛被覆率が70%、繊維先端部の変形比率が10%、立毛層厚みが0.02mmであり、極めてソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿)
36島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率55/45、延伸倍率3.5倍として、平均単繊維直径が18.4μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例3と同様にして海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例3と同様にして、目付が821g/mで、見掛け密度が0.223g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.66mm、極細繊維の平均繊維径が2.1μmであり、線密度が35本/μm幅、繊維配向率が80%、立毛被覆率が68%、繊維先端部の変形比率が8%、立毛層厚みが0.02mmであり、ソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
(原綿)
実施例5と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例5と同様にして、目付が821g/mで、見掛け密度が0.223g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例5と同様にして得た半裁後のシートに、水を付与せず(乾式状態)に、このシートをバフロールに供給し、シートを介するバフロールの反対側から前記のバフロールに直接対向する外力を加え(ニップロール)、シートに立毛を形成させた。得られたシートを染色した後、実施例5と同様の湿式バフィング、乾燥を施しシート状物を得た。
得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.65mm、極細繊維の平均繊維径が2.1μmであり、線密度が32本/μm幅、繊維配向率が67%、立毛被覆率が60%、繊維先端部の変形比率が35%、立毛層厚みが0.15mmであり、ソフトな表面タッチでイラツキのない優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
(原綿)
16島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率80/20、延伸倍率2.7倍として平均単繊維直径が20.5μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例6と同様にして、目付が822g/mで、見掛け密度が0.224g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例6と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.67mm、極細繊維の平均繊維径が4.4μmであり、線密度が16本/μm幅、繊維配向率が78%、立毛被覆率が60%、繊維先端部の変形比率が30%、立毛層厚みが0.15mmであり、ソフトな表面タッチでイラツキのない優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
(原綿)
実施例2と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例2と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例2と同様にして得た半裁後のシートに、乾燥質量に対して40質量%となるように水を立毛する面に塗布して湿潤状態とした後に、実施例2と同様にして湿式バフィング、乾燥してシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が300本/μm幅、繊維配向率が75%、立毛被覆率が68%、繊維先端部の変形比率が18%、立毛層厚みが0.02mmであり、極めてソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例9]
(原綿)
実施例2と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例2と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例2と同様にして得た半裁後のシートに、乾燥質量に対して15質量%となるように水を立毛する面に塗布して湿潤状態とした後に、実施例2と同様にして湿式バフィング、乾燥してシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が230本/μm幅、繊維配向率が58%、立毛被覆率が60%、繊維先端部の変形比率が32%、立毛層厚みが0.02mmであり、ソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。結果を表1に示す。
[実施例10]
(原綿)
実施例5と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例5と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例5と同様にして得た半裁後のシート状物に、そのシート状物を介するバフロールの反対側から前記のバフロールに直接対向する外力を加え(ニップロールではさみこみ)、シートに立毛を形成させ、実施例2と同様にして湿式バフィング、乾燥してシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.66mm、極細繊維の平均繊維径が2.1μmであり、線密度が33本/μm幅、繊維配向率が69%、立毛被覆率が62%、繊維先端部の変形比率が33%、立毛層厚みが0.10mmであり、ソフトな表面タッチで優雅な表面状態であった。該シート状物は剥離強力の高い銀付用基材として好適であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿)
実施例2と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例2と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例2と同様にして得た半裁後のシートに、水を付与せず乾式状態でのバフィングし、乾燥しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が12本/μm幅、繊維配向率が3%、立毛被覆率が43%で、ほとんどの繊維が融着して繊維1本1本を確認できず、立毛層厚みが0.02mmであり、粗い表面タッチで人工皮革とはいえない表面状態であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(原綿)
実施例2と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例2と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例2と同様にして得た半裁後のシートに、乾燥質量に対して100質量%となるように水を付与、搾液して湿潤状態とした後に、該シートをバフロールに供給し、該シートを介するバフロールの反対側から該バフロールに直接対向する外力を加え(ニップロール)バフィングすること以外は、実施例2と同様にしてシート状物を得た。
得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.59mm、極細繊維の平均繊維径が0.25μmであり、線密度が24本/μm幅、繊維配向率が6%、立毛被覆率が45%で、ほとんどの繊維が融着して繊維1本1本を確認できず、立毛層厚みが0.04mmであり、粗い表面タッチで人工皮革とはいえない表面状態であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
実施例5と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例5と同様にして、不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例5と同様にして得た半裁後のシートに、乾燥質量に対して100質量%となるように水を付与、搾液して湿潤状態とした後に、該シートをバフロールに供給し、該シートを介するバフロールの反対側から該バフロールに直接対向する外力を加え(ニップロール)バフィングすること以外は実施例5と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.61mm、極細繊維の平均繊維径が2.1μmであり、線密度が18本/μm幅、繊維配向率が38%、立毛被覆率が55%で、繊維先端部の変形比率が28%、立毛層厚みが0.04mmであり、通常の人工皮革の表面タッチ、表面状態であった。結果を表1に示す。
[比較例4]
(原綿)
15000島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率15/85、吐出量0.7g/分・ホール、延伸倍率4.0倍とし、平均単繊維直径が17.4μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例1と同様にして、目付が780g/mで、見掛け密度が0.201g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.62mm、極細繊維の平均繊維径が0.05μmであり、線密度が876本/μm幅、繊維配向率が9%、立毛被覆率が34%で極細繊維が立毛として分散されていない部分が多く、立毛層厚みが0.02mmであり、粗い表面タッチで優雅とはいえない表面状態であった。結果を表1に示す。
[比較例5]
(原綿)
16島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率90/10、延伸倍率2.5倍として平均単繊維直径が21.5μmで、繊維長を51mmとしたこと以外は、実施例7と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維からなる不織布)
上記の実施例7と同様にして、目付が822g/mで、見掛け密度が0.224g/cmの極細繊維発生型繊維からなる不織布を作製した。
(シート状物)
上記の不織布を用いて、実施例7と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、シート状物の厚みが0.64mm、極細繊維の平均繊維径が9.0μmであり、線密度が16本/μm幅、繊維配向率が78%、立毛被覆率が60%、繊維先端部の変形比率が30%、立毛層厚みが0.15mmであり、粗い表面タッチで優雅とはいえない表面状態であった。結果を表1に示す。
Figure 0006686328

Claims (9)

  1. 平均単繊維直径が0.01〜8μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体を含んでなるシートに、前記シートの質量に対し液体を10〜300質量%付与し、得られたシートをバフロールに供給し、前記シートを介する前記バフロールの反対側からは前記バフロールに直接対向する外力を加えることなく、前記シートの前記バフロールに接する側の面を、サンドペーパーを用いて湿式バフィングしてシートの一方の面を立毛し、湿式バフィング処理した立毛面の少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率を40〜95%にせしめ、前記立毛面の極細繊維において、前記極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率を50%以下にせしめる工程を含むことを特徴とするシート状物の製造方法。
  2. シートの質量に対し液体を30〜250質量%付与した状態で、湿式バフィング処理することを特徴とする請求項1記載のシート状物の製造方法。
  3. 液体の粘度が20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1または2記載のシート状物の製造方法。
  4. タテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面について、立毛被覆率を40〜100%にせしめることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  5. 湿式バフィング処理した立毛面の少なくとも片面における立毛層の厚みが、0.20mm以下であることを特徴とした請求項1〜のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  6. 平均単繊維直径が0.01〜8μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体を含んでなるシート状物であって、前記シート状物の片面または両面は立毛面で構成されており、前記立毛面のうち少なくとも片面におけるタテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%であり、前記立毛面の立毛された繊維において、極細繊維の先端が繊維径に対し120〜300%の大きさに変形した比率が50%以下であることを特徴とするシート状物。
  7. タテ方向に配列した極細繊維のヨコ方向の繊維配向率が40〜95%である立毛面の立毛被覆率が、40〜100%である請求項記載のシート状物。
  8. シート状物中に高分子弾性体が含まれてなりその付量が、繊維の質量に対し10〜60質量%であることを特徴とする請求項6または7記載のシート状物。
  9. 立毛面の少なくとも片面における立毛層の厚みが、0.20mm以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のシート状物。
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