JP2009083093A - 研磨布 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の極細繊維からなる研磨布では達成し得なかった、極細繊維が均一に分散した極めて緻密な表面状態、優れた平滑性を有する高性能研磨布を提供する。
【解決手段】研磨布は、平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が収束してなる極細繊維束が絡合してなる不織布を主体として構成される研磨布であって、少なくとも一部の該極細繊維束の内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとり、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下であることを特徴とする研磨布である。
【選択図】図2

Description

本発明は磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板またはガラス基板などの基板を超高精度の仕上げでテクスチャー加工に代表される研磨加工および/またはクリーニング加工を施す際に好適に用いられ得る研磨布に関するものである。
近年、磁気ディスクなどの磁気記録媒体は、高容量化、高記録密度化に伴い、磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなる傾向にある。そのため、磁気ディスク表面に突起が存在すると、磁気ヘッドと突起とが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起であっても、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。
従来より、硬質ポリウレタンフォームやポリウレタン含浸型の不織布からなる研磨パッドを用いたスラリー研削を行った後のディスク表面は、傷や微小な突起が多数存在し、平滑性が低いため、この傷や微小な突起を除去して平滑性を高める目的で、不織布や織物からなるテープ状の研磨布表面に遊離砥粒を付着させて研削を行っている。すなわち、研磨布をテープ状として用い、アルミニウム合金基板またはガラス基板を連続回転させた状態で、その研磨テープを基板に押し付けながら、基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させるものである。その際に、スラリーを研磨テープと基板との間に供給し、スラリー中に含まれる遊離砥粒が研磨テープを構成する繊維に微分散した状態で把持され、基板に接触し研磨を行う方法である。
中でも長手記録方式の磁気記録ディスク製造においては、テープ状の研磨布でのスラリー研削により、記録ディスクの基板表面に略同心円状に微細な条痕を形成させることにより、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際、結晶成長の方向性を制御し、記録方向の抗磁力が向上し、高記録密度化させることが可能となる。このスラリー研削はテクスチャー加工と呼ばれている。また最近、磁気記録ディスクの記録方式が従来の長手記録方式から垂直記録方式に移行するに伴い、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはスラリーを用いないクリーニング加工により、ディスク基板表面への微細な条痕の形成を抑制しながら平滑性を向上させる要求が高まってきている。
テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはクリーニング加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、0.2nm以下の基板表面粗さを達成し、かつスクラッチ欠点と呼ばれる基板表面の傷を極少化することが要求されており、その要求に対応しうる研磨布が切望されている。基板表面粗さを小さくするため、不織布を構成する繊維を極細化し、基板表面への傷を極少化するため、クッション性を持たせるべく不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされている。
例えば、0.3dtex(繊維直径約5μm)以下の極細繊維不織布に高分子エラストマーを含浸させた研磨布が提案されており、0.5nm程度の表面粗さを達成している(例えば、特許文献1参照)。
さらに、近年では海島型複合紡糸を用い、平均繊度0.001〜0.1dtex(繊維直径約0.3〜約3μm)のポリアミド極細短繊維の不織布からなる研磨布(例えば、特許文献2参照)が提案されており、この研磨布では0.28nmの表面粗さを達成しているが、さらなる極細繊維として、ナノファイバーレベルの超極細繊維が求められている。
そこで、ナノファイバーレベルの超極細繊維からなる研磨布として、ポリマーブレンド海島型繊維により得られた超極細繊維からなる研磨布(例えば、特許文献3、4参照)が提案されており、単繊維繊度は最も細いもので0.0003dtex(繊維直径約0.2μm)の超極細繊維が得られている。また、島成分がナノオーダーで海成分中に均一に微分散したポリマーアロイ繊維を用いたナノファイバーからなる研磨布が提案されており(例えば、特許文献5、6参照)。該極細繊維は繊維直径が0.05〜0.3μmの超極細繊維が得られている。しかし、前記のポリマーブレンド繊維及びポリマーアロイ繊維から得られた超極細繊維は、極細繊維同士の凝集が著しく、海成分除去前の海島型複合繊維の形状を保持する傾向が大きい。そのため、繊維束としての性質が支配的となり、スクラッチの限度基準がより厳しくなっている(従来の溝深さ上限3nm以下が1〜2nm以下まで厳格化)昨今において、スクラッチ欠点の極少化に充分寄与できるものではなかった。また、最近の垂直記録方式の磁気記録ディスクにて要求される平滑性、すなわち、スクラッチ・突起の極少化を含めた微細な条痕の抑制を満足できるものではなかった。
特開2001−1252号公報 特開2002−273650号公報 特開2002−79472号公報 特開2002−172555号公報 特開2004−256983号公報 特開2007−144614号公報
本発明の目的は、従来の極細繊維からなる研磨布では達成し得なかった、極細繊維が均一に分散した極めて緻密な表面状態、優れた平滑性を有する高性能研磨布を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が収束してなる極細繊維束が絡合してなる不織布を主体として構成される研磨布であって、少なくとも一部の該極細繊維束の内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとり、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下であることを特徴とする研磨布。
(2)前記中空部を有する極細繊維束の横断面において、該極細繊維束の総断面積に占める中空部の断面積の比率が10〜50%であることを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(3)該極細繊維束の横断面における中空部の個数が1〜500個であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の研磨布。
(4)少なくとも片面が該極細繊維からなる立毛面を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の研磨布。
(5)平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が収束してなる極細繊維束が絡合してなる不織布と、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とで構成されることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の研磨布。
本発明によれば、従来の極細繊維からなる研磨布では達成し得なかった、極細繊維が均一に分散した極めて緻密な表面状態、優れた平滑性を有するため、記録ディスクの基板表面に対し、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはスラリーを用いないクリーニング加工において、スクラッチおよび微小な突起の発生を極少化することが可能となり、また垂直記録方式の記録ディスクにて要求される微細な条痕の抑制を満足できる高性能研磨布を提供できるものである。
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明者らは、前記した課題、すなわちスクラッチおよび微小な突起の極少化、垂直記録方式の記録ディスクにて要求される微細な条痕の抑制という課題について、研磨布表面上の極細繊維の緻密性と分散性に着目して鋭意検討し、研磨布を構成する極細繊維の繊維直径と極細繊維束の構造が高精度のスラリー研削および/またはクリーニング加工に大きく寄与することを見出し、研磨布を構成する不織布を、平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が収束してなる極細繊維束が絡合してなる不織布を主体としてなり、少なくとも一部の該極細繊維束の内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとり、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下である不織布で作ってみたところ、かかる課題を一挙に解決することができることを究明したものである。
本発明の研磨布は例えば、以下の工程を組み合わせることにより得られる。すなわち、溶剤に対する溶解性の異なるポリマーを2種類以上用い、極細繊維としたときの平均繊維直径が0.05〜1μm、少なくとも一部の極細繊維束の内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとり、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下である極細繊維発生型繊維を作製する工程、該極細繊維発生型繊維を用い、繊維ウェブを作製、該繊維ウェブに絡合処理を施して不織布を作製する工程、該極細繊維発生型繊維から易溶性ポリマー(溶剤に対する溶解性の大きい方のポリマー)を溶解除去することにより極細繊維化する工程である。また適宜、高分子弾性体を該不織布に付与し、該高分子弾性体を凝固し固化させる工程、起毛処理を施し表面に立毛を形成する工程を組み合わせることも可能である。
さらに、本発明の研磨布について、その製造方法とあわせて詳細に記述する。
本発明に用いられる極細繊維の平均繊維直径は、研磨布表面の立毛繊維の緻密性、繊維強度及び砥粒の把持性の点から、0.05〜1μmであることが重要である。0.05μm未満である場合には、繊維強度及び剛性が低く、研削不足となるばかりでなく、砥粒の把持性に劣り、砥粒の局所的な凝集を招き、スクラッチ欠点が発生しやすいため好ましくない。一方、1μmを越える場合には、立毛繊維の緻密性に劣り、砥粒が微分散されず、研磨布表面における砥粒分布の偏りが大きくなるため、スクラッチ欠点とリッジ欠点を抑制しきれないため好ましくない。なお、平均繊維直径は以下の測定方法により測定した値をいう。つまり、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、1つの極細繊維束を構成する極細繊維の繊維直径を全て測定する。同様の測定を合計5つの極細繊維束について行い、これを母集団とした平均値を算出する。該平均値を平均繊維直径とする。なお、極細繊維横断面が円形ではなくて異形の場合、その外接円直径を繊維直径とする。
本発明に用いられる極細繊維が収束してなる極細繊維束において、少なくとも一部の極細繊維束は、その横断面において内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとることが重要である。ここで、極細繊維束内部の中空部とは、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、極細繊維束内部において、極細繊維同士が接して配列することにより形成される、極細繊維群内部の空隙部分のことを指し、極細繊維束の横断面における断面積が5μm(μm×μm)以上のものと定義する。平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が密に収束してなる極細繊維束は、極細繊維同士の凝集が著しいため単繊維にはばらけず、極細繊維発生型繊維から非極細繊維成分(易溶性ポリマー)を除去する前の複合繊維の形状を保持する傾向が大きい。そのため、繊維束としての性質が支配的となり、スクラッチの限度基準がより厳しくなっている(従来の溝深さ上限3nm以下が1〜2nm以下まで厳格化)昨今において、スクラッチ欠点の極少化を達成が難しい。一方、本発明の内部に中空部を有する極細繊維束から形成される研磨布においては、極細繊維束内に空隙を有することによって、極細繊維発生型繊維から非極細繊維成分(易溶性ポリマー)を除去する前の複合繊維の形状が崩壊しやすいため、研磨布表面での極細繊維の緻密性及び分散性に優れ、スラリー研削およびクリーニング加工におけるスクラッチ欠点とリッジ欠点を抑制し、被研磨物表面の平滑性の向上に寄与できるものである。
本発明に用いられる極細繊維が収束してなる極細繊維束において、研磨布表面での極細繊維の分散性及び分布の均一性の観点から、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下であることが重要である。なお、中空部の断面積CVは以下の測定方法により測定した値をいう。つまり、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、1つの極細繊維束内部に存在する全ての中空部の中で、最大断面積を有する中空部を選択し、その断面積を測定する。同様の測定を合計30個の極細繊維束について行い、これを母集団とした平均値及び標準偏差を算出する。該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを中空部の断面積CVと定義する。研磨布表面上において、各極細繊維束がばらけ、極細繊維が分散する度合いは、各極細繊維束の横断面における中空部の最大断面積に依存し、極細繊維束群における中空部の最大断面積のばらつきを表す、中空部の断面積CVが小さいほど、研磨布表面での極細繊維の均一分散及び分布の均一性が高く、スラリー研削およびクリーニング加工におけるスクラッチ欠点を抑制し、被研磨物表面の平滑性の向上に寄与できるものである。中空部の断面積CVが30%を越えると、研磨布表面上の極細繊維の分布が不均一となるため、スクラッチ欠点を抑制できないだけでなく、被研磨物表面のうねりが大きくなるため好ましくない。
また、中空部を有する極細繊維束の横断面において、該極細繊維束の総断面積に占める中空部の断面積の比率が10〜50%であることが好ましい。ここで、該極細繊維束の横断面とは、極細繊維の繊維軸方向に対して概ね垂直にカットして得られた断面のことを指す。また、中空部を有する極細繊維束の総断面積に占める中空部の断面積の比率が10〜50%であるとは、中空部の断面積の比率が10〜50%である中空部を有する極細繊維束が、数にして90%以上存在することを指すものである。中空部の断面積の比率が10%未満である場合には、極細繊維同士の凝集を抑制しきれず、極細繊維発生型繊維の複合繊維形状を保持する傾向が大きくなりすぎるため、研磨布表面の極細繊維の分散性、緻密性に劣り、スクラッチ欠点およびリッジ欠点を抑制しきれないため好ましくない。また、中空部の断面積の比率が50%を越える場合には、極細繊維束により構成される研磨布の強度が低い傾向となり、スラリー研削およびクリーニング加工時の寸法安定性に乏しく、加工安定性が低くなり、研削ムラの発現による表面粗さの増大とスクラッチが発生しやすいため好ましくない。
さらに、研磨布表面での極細繊維の分散性の観点から、該極細繊維束の横断面における中空部の個数は1〜500個であることが好ましく、3〜100個であることがより好ましく、10〜50個であることが更に好ましい。上限値については、口金構造の複雑さ、製糸性の点から500個までである。
本発明の所望の極細繊維束を得るには、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発生型繊維を得る方法としては、溶剤に対する溶解性(以下、溶剤溶解性という)の異なる2成分以上の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合紡糸法や、2成分以上の熱可塑性樹脂を繊維断面放射状あるいは層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合紡糸法や多層型複合紡糸法などを採用することができる。中でも、海島型複合紡糸法によって得られた海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束の内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、極細繊維からなる不織布をバフィング処理し、立毛面を形成させた際の立毛の開繊性に優れているので好ましい。
海島型複合紡糸法としては、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)あらかじめ2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器等で混合し紡糸する方法、および(4)特公昭44−18369号公報等の海島型複合用口金を用いて、海島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式、等が挙げられる。
極細繊維束の内部に中空部を有し、該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとる極細繊維束を得る方法としては、例えば、(A)図1に例示するような断面構造が得られる芯鞘型複合口金を用いて、芯成分に溶剤を用いて溶解除去されるポリマー、鞘成分に溶剤溶解性の異なる2成分のブレンドポリマーを使用して極細繊維発生型繊維を紡糸、延伸した後、芯成分ポリマーと鞘内海成分ポリマーとを溶解除去する方法、(B)例えば特公昭44−18369号公報に記載された海島型複合用口金等を用いて、島成分に溶剤を用いて溶解除去されるポリマー、海成分に溶剤溶解性の異なる2成分のブレンドポリマーを使用して極細繊維発生型繊維を紡糸、延伸した後、島成分と、海成分内の易溶性成分を溶解除去する方法、(C)特公昭61−6165号公報や特公平3−73656号公報等に記載の3成分紡糸法にて、図2に例示するような芯鞘型の島を有する海島断面構造が得られる多芯芯鞘型複合口金を用いて、海成分2C及び島成分中の芯成分2Aに溶剤を用いて溶解除去されるポリマー、島成分中の鞘成分2Bに溶剤溶解性の異なる2成分のブレンドポリマー成分とした極細繊維発生型繊維を紡糸、延伸した後、海成分、島成分中の芯成分及び鞘成分中の易溶性成分を溶解除去する方法、等が挙げられる。中でも、研磨布表面の極細繊維の分散性の観点から、(C)の方法が最も好適に用いられる。
本発明において、極細繊維束内を構成する極細繊維の単繊維の繊維直径CVが60%以下であることが好ましい。また下限は特に限定されないが、通常0.1%以上となる。ここでいう繊維直径CVとは、極細繊維束を構成する繊維の繊維直径標準偏差を束内平均繊維直径で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど極細繊維束内を構成する極細繊維の単繊維繊度が均一であることを示すものである。繊維直径CVが60%を越える場合には、研磨布表面における細繊度繊維と太繊度繊維との剛性差に起因する立毛繊維の分布の偏りが生じると共に、砥粒分散及び押しつけ力の均一性に欠け、スクラッチ欠点及びリッジ欠点を十分に抑制しきれないため好ましくない。
海島型複合繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば、丸、楕円、扁平および三角などの多角形や、扇、十字、Y、H、X、W、Cおよびπ型などが挙げられる。また、用いられるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性を考慮すると2ないし3成分であることが好ましく、特に溶解除去ポリマー1成分、極細繊維ポリマー1成分の2成分で構成されることが好ましい。また、このときの成分比は、極細繊維ポリマーの複合繊維全体に対する重量比は0.2〜0.9であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.8である。この成分比が0.2以上であると、溶解除去ポリマーの除去率が多すぎず、生産性が著しく低下することなく、コスト的にも好ましい。また、成分比が0.9以下であると、極細繊維の開繊性に優れ、均一な立毛面を得ることができるため好ましい。
本発明においては、ポリマーの選択が容易であり、また極細繊維の分散性に優れ、かつ均一な繊維径の極細繊維が安定的に得られる点では、海島型複合紡糸法は上記(4)の高分子相互配列体方式が好ましい。但し、高分子相互配列体方式では、口金構造によって単繊維直径を1μm未満とすることも可能であるが、口金構造が複雑となり紡糸性が著しく低下するため、上記(1)の単純なチップブレンド法(例えば、特開平10−53967号公報)、上記の(2)または(3)の方法を採用することも好ましい。また、本発明における極細繊維を得るにはブレンドポリマーを用いるが、均一な極細繊維を得るには、混練押出機や静止混練器等によって高混練するだけでなく、ポリマーの組み合わせも重要となる。島成分ポリマーと海成分ポリマーは非相溶であることが好ましいが、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島成分ポリマーが十分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメータ(SP値)である。
ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータである。SP値が近いもの同士では、相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は、種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m31/2であると、非相溶化による島成分の円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの溶融粘度を海を形成するポリマーの溶融粘度に比べて低く設定すると、剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすく超極細化の観点からは好ましい態様である。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くすることができないため、島成分ポリマー粘度は海成分ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
本発明の用いられる極細繊維発生型繊維を構成する樹脂としては、極細繊維を発生可能な2種類以上の樹脂の組合せが挙げられる。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12および共重合ナイロンなどのポリアミド類、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ乳酸、乳酸共重合体およびポリグリコール酸などの脂肪酸ポリエステル系重合体類や脂肪酸ポリエステルアミド系重合体類などが、用いることのできる合成樹脂の例として挙げられる。中でも、極細繊維成分として、親水性と耐摩耗性の観点から、ポリアミド類とポリエステル類が好適に用いられる。とりわけ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12および共重合ナイロンのポリアミド類や、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリトリメチレンテレフタレートおよび共重合ポリエチレンテレフタレートのポリエステル類は、スラリー液との親和性が特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性と分散性に優れ、被研磨物に傷をつけることなく研磨することができるとともに、柔軟性に優れることにより、被研磨物との接触抵抗が低く微細研磨に適した素材として、より好適に用いられる。
更に、溶解除去されるポリマー成分としては、極細繊維成分を構成するポリマーよりも溶解性や分解性の高い化学的性質を有するという点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合成分とした共重合ポリエステル、ポリ乳酸、熱可塑性PVA系樹脂などを用いることが好ましい。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤が用いられ、また海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、また、熱可塑性PVA系樹脂の場合は、熱水にて溶解することができ、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって、海成分を除去することができる。特に、ニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化の観点から、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステルおよびポリ乳酸が好ましく使用される。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維を、絡合させて不織布とする。本発明の研磨布を構成するための不織布を得るには、極細繊維発生型繊維を短繊維化し、カードやクロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、ニードルパンチ処理を行うことが好ましい。ウエブを形成するという点においては、ランダムウエブなどを用いることも可能である。また、メルトブローやスパンボンドなど、紡糸から直接形成する長繊維不織布でもよい。しかしながら、とりわけ本発明の研磨布においては、長繊維不織布は、極細繊維束相互の絡合および表面繊維の緻密性が、短繊維不織布より劣り、かつ表面繊維本数密度の粗密ムラが大きくなり、研磨砥粒の分布の偏りが大きく、且つ局所的な砥粒の凝集を招き、スクラッチの発生につながることがある。そのため、長繊維不織布よりも短繊維不織布が好ましい。
ニードルパンチ処理のパンチング本数は、繊維の高絡合化による緻密な立毛面形成の観点から、1000〜4000本/cmであることが好ましい。パンチング本数が1000本/cm以上であれば、表面繊維の緻密性に優れ、所望の高精度の仕上げを得ることができ、また、パンチング本数が4000本/cm以下であると、加工性の悪化を招くことがなく繊維損傷や強度低下につながることもない。ニードルパンチング後の不織布の繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.15〜0.4g/cmであることが好ましく、0.2〜0.3g/cmであることがより好ましい。
このようにして得られた不織布は、表面繊維本数の緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
また、極細繊維化処理をした後に、極細繊維および/または極細繊維束の相互絡合をより高めて緻密化させること、および極細繊維束の開繊性を高めて平滑性を向上させるという点から、ウオータージェットパンチング処理などの高速流体流処理や、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、タンブラーおよびリラクサー等を用いた揉み処理を適宜組み合わせて実施しても良い。高速流体流処理と揉み処理を組み合わせて行う場合には、揉み加工時の寸法変動を抑える点から、高速流体流処理を行った後に揉み処理を行うことが好ましい。高速流体流処理として、作業環境の点で水流を使用するウオータージェットパンチング処理が好ましく、ウオータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。
本発明の研磨布において、前記した極細繊維束が絡合してなる不織布を主体として構成されることが重要であり、不織布単体から構成されることを含むものである。
本発明の研磨布において、被研磨物へのフィット性および被研磨物表面の傷の抑制効果に優れる点から、前記不織布を極細繊維化処理する前および/または後に、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を付与させることが好ましい。かかる高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、不織布の内部空間に高分子弾性体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物表面の傷の抑制効果に優れるものである。
かかる高分子弾性体の主成分として用いるポリウレタンのポリマージオール成分の分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜3000であるのがよく、その原料であるジオール成分としては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合物が好ましく用いられる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。中でも、被研磨物へのフィット性、傷の抑制に寄与するクッション性を高めるために、柔軟性の点から、ポリマージオール中におけるポリエーテルジオール成分の割合が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
ポリウレタンの重量平均分子量は、100,000〜300,000が好ましく、より好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量を100,000以上とすることにより、得られる研磨布の強度を保持し、また立毛面上の極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて不織布への含浸を行いやすくすることができる。
また、研磨布表面上の極細繊維の緻密性、分布の均一性を満足する観点から、ポリウレタンのゲル化点は2.5〜6.0mlであることが好ましい。ゲル化点は、より好ましくは3〜5mlの範囲である。ポリウレタンのゲル化点とは、ポリウレタン濃度1重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)溶液100gを攪拌しながら、この溶液中に蒸留水を滴下し、25±1℃の温度条件でポリウレタンの凝固が開始して微白濁したときの水滴下量の値である。このため、測定に用いられるDMFは、水分0.03%以下のものを使用する必要がある。前述の測定方法は、ポリウレタンDMF溶液が透明であることを前提にして記載しているが、ポリウレタンDMF溶液が予め微白濁している場合には、ポリウレタンの凝固が開始し始めて白濁程度が変化したときの水滴下量をゲル化点とみなすことができる。ゲル化点が2.5ml未満の場合には、ポリウレタンを湿式凝固させる際に、凝固速度が速すぎるため、不織布内部空間に存在するポリウレタンの発泡が大きな粗雑なものとなり、また一部発泡不良を生じる結果、後述するバッフィング処理によりシート表面を研削した場合に、立毛面上の極細繊維の立毛長さに斑が生じたり、立毛繊維の分布に偏りが生じたものとなり、研磨砥粒が立毛面に均一に分散した状態が得られず、超高精度の仕上げを実現できないことがある。一方、ゲル化点が6.0mlを超えると、ポリウレタンを湿式凝固させる際に、凝固速度が遅すぎるため、不織布内部空間に存在するポリウレタンにはほとんど発泡が認められず、非常に膜厚の厚い硬いポリウレタンとして存在し、バッフィング処理によるシート表面を研削した場合に、ポリウレタンの研削を行いにくく、立毛面上の極細繊維の立毛長さが非常に短く、かつ繊維束の開繊性に劣り、表面繊維本数密度の粗密ムラが大きくなるため、研磨砥粒の局所的な凝集を招き、スクラッチの発生につながる。
また、高分子弾性体は、主成分としてポリウレタンを用いるが、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良く、各種の添加剤、例えば、リン系、ハロゲン系、無機系などの難燃剤、フェノール系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系およびベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤および凝固調整剤などを微量含有していても良い。
かかるポリウレタンの不織布への付与方法としては、ポリウレタンを塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。中でも、加工性の点から、不織布中にポリウレタン溶液を含浸した後に、湿式凝固させる方法が好ましく使用され、ポリウレタンをジメチルホルムアミドなどの溶剤により溶液とし、(A)極細繊維発生型繊維が絡合した不織布に、前記ポリウレタン溶液を含浸し、水もしくは有機溶媒水溶液中で凝固させた後、極細繊維発生型繊維の溶解除去ポリマー成分を、ポリウレタンは溶解しない溶剤で溶解除去する方法、(B)極細繊維発生型繊維が絡合した不織布に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、極細繊維発生型繊維の溶解除去ポリマー成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いでポリウレタンの溶液を含浸し、水もしくは有機溶剤水溶液中で凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法などを好ましく用いることができる。
また、高分子弾性体の不織布内部における形態は、繊維の脱落が少なく、立毛繊維の方向性を均一に揃える点から、極細繊維の繊維束の最外周に位置する単繊維の少なくとも一部が接合している状態であることが好ましい。この形態は、前記(B)の方法によって得ることができる。すなわち、ポリビニルアルコールが極細繊維束の外周の大半を保護しているため、極細繊維の繊維束の内部へのポリウレタンの侵入を防ぎ、部分的にポリビニルアルコールの保護がない繊維束の外周部にはポリウレタンが接着することになる。
極細繊維束の最外周に位置する繊維を高分子弾性体が部分的に接着、拘束したことにより、立毛面上の立毛極細繊維の自由度を適度にコントロールすることができるので、その結果、バッフィング処理後の立毛繊維の方向性が極めて少なくし、すなわち、一方向に揃えられた状態に調整することができる。これにより、立毛繊維が均一に分散した状態となり、立毛面上に存在する極細繊維の粗密ムラが小さく、均一に配列した状態とすることができる。このように、立毛繊維が緻密且つ均一分散した状態で分布し、且つ繊維の方向性が一方向に揃えられた状態の構造とすることにより、テクスチャー加工時の砥粒の分散性を高め、研磨布表面における砥粒分布を均一にできるため、スクラッチ欠点を極めて少なくすることを可能とすることができる。
更に、高分子弾性体の不織布内部における形態として、研磨布表面におけるスラリー保持量を高め、スラリー研削加工の均一性を高める点から、高分子弾性体を付与後、立毛面を形成した不織布(以下、シート状物ともいう)において、少なくとも、該シート状物の立毛部の根元付近において、高分子弾性体が極細繊維束内部に存在している状態であることが好ましい。この形態は、不織布に高分子弾性体を付与し、立毛面を形成する前および/または後に、(a)シート状物を高分子弾性体の溶剤に含浸処理、圧縮した後、溶解した高分子弾性体を再凝固させる方法、(b)シート状物の表面に高分子弾性体の溶剤を付与した後、溶解した高分子弾性体を再凝固させる方法を単独もしくは組み合わせて用いることにより得られる。中でも、立毛繊維が緻密且つ均一分散した状態との両立を図る点から、立毛面を形成した後に、前記(b)の方法を行うことがより好ましい。更に、(b)の方法を行った後に、立毛繊維の分布をより均一にするために、サンドペーパーもしくはロールサンダーなどを用いて、擦過処理や軽バフを行っても良い。
本発明の研磨布において、クッション性およびフィット性は、研磨精度の上で重要であり、極細繊維と高分子弾性体の割合や空隙率(見掛け密度でわかる)によって制御し、調節することができる。高分子弾性体の含有率は、シート状物の総重量に対し、50%重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以下である。含有量によって研磨布の表面状態、空隙率、クッション性、硬度および強度などを適宜調節することができる。高分子弾性体の含有率が50%を超えると、加工性および生産性に劣るともに、シート状物表面上において極細繊維が均一分散した立毛面を得られにくいため、スラリー研削加工時におけるスクラッチ欠点の発生を抑制しきれないため、好ましくない。
本発明の研磨布において、研磨布表面の極細繊維の緻密性と分散性の観点から、研磨布の少なくとも片面が極細繊維からなる立毛面であることが好ましい。
該立毛面はバッフィング処理により得られる。ここでいうバッフィング処理としては、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて不織布表面を研削する方法などが一般的である。とりわけ、不織布表面をサンドペーパーを使用して起毛処理することにより、均一で緻密な立毛を形成することができる。本発明の研磨布に用いる不織布は、中空部を有する極細繊維束によって構成されているため、バッフィング処理を施すことによって、表面に存在する中空部を有する極細繊維束の繊維束構造が崩壊しやすく、繊維がばらけて研磨布表面に繊維が分散されやすい。また、中空部を有する極細繊維束の中空部の断面積CVが30%以下であるため、極細繊維束の繊維束構造の崩壊の程度、つまり繊維のばらけの程度のバラツキが小さく、各極細繊維束が均一にばらけて、繊維が研磨布表面に均一分散した状態を形成することができるものである。前記のバッフィング処理に例示される研磨布表面への物理的、機械的処理を施すことによって、研磨布表面に存在する極細繊維は、繊維束構造が崩壊し、大部分が中空部を有さないものとなる。その結果、主として研磨布内部に中空部を有する極細繊維束が存在する構造となるものである。
更に、超高精度の仕上げで基板表面にスラリー研削およびクリーニング加工を施し、かつスクラッチを抑制する目的で、表面上の表面繊維分布の均一性及び緻密性を向上させ、立毛繊維の方向性を極めて少なくするためには、研削負荷をより小さくすることが好ましい。研削負荷が高い状態では、巻き毛状となる立毛繊維が多く、また立毛繊維が束状に膠着した状態となりやすい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数やサンドペーパー番手などを適宜調整することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とすることが好ましい。
本発明では、研磨布の立毛面における表面繊維本数の線密度が40本/100μm幅以上であることが好ましい。上限は特に限定されず、数値が大きいほど好ましいが、通常1000本/100μm幅以下となる。ここでいう表面繊維本数の線密度は、以下により定義されるものである。該研磨布の立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。また、これを母集団とした平均値を算出する。表面繊維本数の線密度が40本/100μm幅未満である場合には、緻密性に劣り、砥粒を微細に分散させるに至らず、高精度の仕上げを達成できないとともに、研磨布表面上の繊維が存在しない部分に砥粒が凝集し、スクラッチの発生につながりやすい。
表面繊維本数の線密度については、前述した極細繊維不織布および高分子弾性体の構成をとり、前記シート状物の製造方法を採用し、且つ研磨布の繊維見掛け密度としては、表面繊維の緻密性及び均一性を高くすることと砥粒の保持性、押し付け力とを考慮すると、0.2〜0.6g/cmの範囲にあることが好ましく、0.3〜0.5g/cm3であることがより好ましく、0.35〜0.5g/cmであることが更に好ましい。
また、本発明の研磨布の水滴吸収時間は0.1〜60秒であることが好ましい。より好ましくは0.1〜20秒、さらに好ましくは0.1〜10秒である。60秒を超えると、連続的に砥粒を研磨表面上に供給した場合、研磨表面が湿潤状態になるのが遅く、砥粒が十分に分散できずスクラッチが増加しやすくなり、研磨精度が低下する。また、吸水時間が0.1秒未満であると、研磨布内層部へのスラリー抜けが多く、研磨布表面での砥粒の保持量の低下につながるため、スラリー研削の加工安定性が低くなると共に、研削量不足になりやすいため好ましくない。
本発明でいう水滴吸収時間は、協和界面科学(株)製FACE/CA−A型の接触角測定装置を利用し、装置付属の注射器に蒸留水を入れ、注射針(外径0.60mm、内径0.45mm)から水滴1滴を研磨布上に滴下し、その水滴を該装置の接眼レンズから観察して、下式により算出する。
tq(水滴吸収時間)=t2−t1 (秒)
ここで、水滴が研磨布上に落ちた時刻をt1とし、水滴は時間経過とともに研磨布中に吸い込まれ、表面上に水滴がなくなる時刻をt2とする。
このt1、t2の状態は、通常の場合(およそtqが10秒以上)では目視で測定可能であるが、非常に速い場合や観察し難い場合は、前述の装置で水滴が注射針から滴下開始する時間から水滴が研磨布中に十分吸収されるまでの状態を該装置の接眼レンズを通して水滴の状態の全画像をビデオに撮影する。そのビデオ画像を再生し、t1、t2の状態とその録画時間から水滴の吸収時間を測定することができる。
なお、吸水時間tqは、製品から任意に取出した試料で20個の測定を行い、該20個の測定値(tq)の中で、最も大きい方の5個のデータの平均値をとり、該平均値を吸水時間の値とする。
水滴吸収時間を本発明の範囲とする手段は特に限定されず、不織布の密度や不織布表層部におけるポリウレタンの分布状態、繊維繊度等によって総合的に調整されるものであるが、さらに基材が同一であっても、親水性成分溶液にて親水化加工処理をすることによっても可能、かつ有効であり、好ましい方法である。この処理は、上述した製造方法のうち、いずれのタイミングで行っても良いが、水滴吸収時間の調整が容易な点で、好ましくは、高分子弾性体を付与後、立毛面を形成する前もしくは後が良い。この場合、基材の密度や繊度、使用する繊維種等によって、その処理薬剤や付与量は目的に応じ、適宜調整する必要がある。
ここで、親水性成分としては特に限定されないが、例えば、−OH、−COOH、−NH、−CONH−、−SO、−SOなどの親水基を含有する化合物やその誘導体、その他界面活性剤が好ましく用いられる。中でもアクリル酸系、グリコール系、ポリビニルアルコール系、セルロース系、ウレタン系、親水基含有エステル系、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などがより好ましい。そして、その溶液又はエマルジョン水溶液を用いて浸漬処理、噴霧処理、コーティング処理、等で処理した後、80〜190℃で乾燥し固着する。また、研磨布全体の吸水性を大きくしすぎると、砥粒スラリーが基布内部に浸透し効率が低下する傾向があるので、全体をやや撥水処理後、表面を親水性成分処理剤で加工し、吸水性を抑制する方法を用いても良い。
また、親水性成分の付与については、繊維成分への添加により行っても良い。例えば、繊維への添加方法としては、前記親水性成分の繊維へのグラフト重合、紡糸時に親水性化合物微粒子を繊維成分にブレンドする方法、繊維表面への吸着や固着などを用いることができる。
本発明では、研磨布中の珪素化合物の含有量は、研磨布の総重量に対する珪素元素の重量として100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。100ppm以下である場合、スラリー研削及びクリーニング加工後に磁性膜をスパッタリングした後の、磁性膜の剥離の発生やハードディスクドライブにおけるエラーの発生を抑制できるため好ましい。
本発明の研磨布をテープ状として、スラリー研削及びクリーニング加工を施す際に、寸法変化が生じると、基板表面を均一に研磨することができないため、研磨布の形態安定性の点から、本発明の研磨布の目付は100〜400g/mであることが好ましく、150〜300g/mであることがより好ましい。更に、スラリー研削及びクリーニング加工時のテープ伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑える点から、研磨布の片面に補強層を接着しても良い。研磨布に補強層を設ける際には、補強層を接着した不織布もしくはシート状物の反対面が立毛面となっていることが必須条件である。
また、研磨布に補強層を接着する方法として、熱圧着法、フレームラミ法、補強層と不織布もしくはシート状物との間に接着層を設ける方法のいずれを採用してもよい。また、接着層としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものであれば使用可能である。コストや実用性を考えると、NBRやSBRのような接着剤が好ましい。接着剤の付与方法としては、エマルジョンや、ラテックス状態で不織布もしくはシート状物に塗布する。
補強層としては、織編物、熱接着繊維等を用いた不織布、フィルム状物などが挙げられる。
織編物の構造としては、織物としては平織、綾織、朱子織等、編物としては丸編、トリコット、ラッセル等が挙げられる。不織布については、スパンボンド、メルトブローなどの長繊維不織布、ニードルパンチ法、ウオータージェットパンチ法などで得られる短繊維不織布のどちらも用いることができる。フィルムとなる素材としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系およびポリフェニルサルファイド系などのフィルム形状を有するものであれば使用可能であるが、汎用性を考えるとポリエステルフィルムを使用することが好ましい。補強層を設ける場合には、スラリー研削及びクリーニング加工時の研磨布の形態安定性、クッション性および基板表面へのフィット性を全て満足させる点から、不織布もしくはシート状物との厚みバランスをとることが必要である。不織布もしくはシート状物は、仕上がり厚みとして0.4mm以上であることが好ましく、生産性の点からより好ましくは0.4〜2mmの範囲である。そのため、補強層の厚みは20〜100μmとすることが好ましい。不織布もしくはシート状物の厚みが0.4mm未満であると、スラリー研削及びクリーニング加工時の寸法変化が大きく、超高精度の仕上げが行えないため補強層が必要であるが、補強層の効果が強くクッション性を失ってしまうことがある。補強層の厚みが20μm未満であると、スラリー研削及びクリーニング加工時の寸法変化を抑えることが困難であり、100μmを超えると、研磨布全体の剛性が高くなりすぎるために、スクラッチの発生を抑えることができないため好ましくない。
本発明の研磨布を用いて、スラリー研削及びクリーニング加工時を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、スラリー研削及びクリーニング加工用テープとして用いる。該研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクもしくはガラス磁気記録ディスクのスラリー研削及びクリーニング加工を行う方法が好適な方法である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。中でも、砥粒の保持性、分散性、スクラッチ抑制、表面粗さ低減の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒は、単結晶ダイヤモンドからなり、1次粒子径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。
本発明の研磨布は、従来の極細繊維からなる研磨布では達成し得なかった、極細繊維が均一に分散した極めて緻密な表面状態、優れた平滑性を有するため、記録ディスクの基板表面に対し、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはスラリーを用いないクリーニング加工において、スクラッチおよび微小な突起の発生を極少化することが可能となり、また垂直記録方式の記録ディスクにて要求される微細な条痕の抑制を満足できる高性能研磨布を提供できるものである。

以下、実施例により、本発明の研磨布についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について、以下に説明する。
(1)メルトフローレイト(MFR)
試料ペレット4〜5gをMFR計電気炉のシリンダーに入れ、荷重325gf、温度270℃の条件で外径9.5mm、内径2.0955mm、高さ8mmの垂直な穴を有するオリフィスから10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定する。同様の測定を3回繰り返し行い、その平均値をメルトフローレイトとした。
(2)平均繊維直径及び繊維直径CV
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維直径を測定する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出する。該平均値を平均繊維直径とし、該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを繊維直径CVとした。
(3)極細繊維束内の中空部個数
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、1つの束状繊維について、中空部の個数を測定し、同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした平均値を、極細繊維束内の中空部個数とした。なお、極細繊維束内部の中空部とは、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、極細繊維束内部において、極細繊維同士が接して配列することにより形成される、極細繊維群内部の空隙部分のことを指し、極細繊維束の横断面における断面積が5(μm)以上のものを中空部と定義する。
(4)極細繊維束内の中空部面積比率
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、1つの極細繊維束について、極細繊維束の最外周繊維にて覆われる内部の全断面積、極細繊維束内に存在する全ての中空部の断面積の和をそれぞれ測定し、中空部の断面積の和を全断面積で割った値を算出する。同様の測定を合計5つの束状繊維について行い、これを母集団とした平均値を百分率(%)で表したものを極細繊維束内の中空部面積比率とした。
(5)極細繊維束内の中空部の断面積CV
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、1つの極細繊維束内部に存在する全ての中空部の中で、最大断面積を有する中空部を選択し、その断面積を測定する。同様の測定を合計30個の極細繊維束について行い、これを母集団とした平均値及び標準偏差を算出する。該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを中空部の断面積CVとした。
(6)表面繊維本数の線密度
研磨布の立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、その平均値を表面繊維本数の線密度とした。
(7)水滴吸収時間
FACE/CA−A型の接触角測定装置(協和界面科学(株)製)を用い、注射器に蒸留水を入れ、注射針(外径0.60mm、内径0.45mm)から水滴1滴を研磨布上に滴下し、その水滴を該装置の接眼レンズから観察し、吸収時間(tq)を次式にて求めた。
tq=t2−t1 (秒)
t1:水滴が研磨布上に落ちた時間
t2:研磨布中に水滴が吸い込まれ、表面上に水滴がなくなる時間
このt1、t2の状態は、通常の場合(およそtqが10秒以上)では目視で測定可能であるが、非常に速い場合や観察し難い場合は、前述の装置で水滴が注射針から滴下開始する時間から水滴が研磨布中に十分吸収されるまでの状態を該装置の接眼レンズを通して水滴の状態の全画像をビデオに撮影してから測定することができる。
このようにして、製品から任意に取出した試料で20個の測定を行い、該20個の測定値(tq)の中で、最も大きい方の5個のデータの平均値をとり、該平均値を吸水時間の値とした。
(8)基板表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope III aAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、スラリー研削またはクリーニング加工後のディスク基板サンプル5枚の両面、すなわち計10表面の各々について、任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)を抽出する。次いで、該10カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出し、得られた断面プロファイル各々について、JIS B 0601(2001年版)に準拠して、算術平均粗さRaを算出する。得られた10表面×10点=合計100点の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(9)スクラッチ点数
テクスチャー加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela6100光学表面分析計を用いて、深さ2nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。
[実施例1]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
(ポリマー)
下記co−PSTを芯成分とし、また、下記N6および下記co−PSTを35/65の重量比率にてチップ状態で混合したものを鞘成分とした。また、芯/鞘重量比率は20/80とした。
co−PST:MFR12のアクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン。
N6:MFR10.5のナイロン6。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用い、図1の断面構造が得られる芯鞘型複合用口金を通して、紡糸温度285℃、紡糸速度600m/分で溶融紡糸した。次いで、液浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付550g/m、見掛け密度0.22g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中でco−PSTを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、25重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固させた後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥させた。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製し、これを研磨布とした。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付170g/m、見掛け密度0.34g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は3個、中空部面積比率は23%、中空部の断面積CVは25%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は110本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でスラリー研削加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmの単結晶ダイヤモンド粒子がクラスター平均径100nmでクラスター化した遊離砥粒スラリー(ダイヤモンド粒子濃度がスラリー全体重量に対し0.05重量%のもの)を滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で15秒間研磨を実施した。尚、スラリー研削加工は各ディスクの両面について前記条件にて研磨を実施した。
スラリー研削加工後のディスクは、表面粗さが0.17nm、スクラッチ点数は25であり、緻密でかつ均一な略同心円状のテクスチャー痕が形成された加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例2]
実施例1で得られた研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でスラリー研削加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に平均粒子径50nmのコロイダルシリカからなる遊離砥粒スラリー(コロイダルシリカ濃度がスラリー全体に対し0.1重量%のもの)を滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で30秒間研磨を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.12nm、スクラッチ点数は30であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例3]
実施例1で得られた研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でクリーニング加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面にリンゴ酸の水溶液(リンゴ酸濃度が水溶液全体に対し1重量%のもの)を滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で30秒間クリーニング加工を実施した。
クリーニング加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は25であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例4]
シート総重量に対するポリウレタン重量比率を50重量%とする以外は、実施例1と同様の方法により、厚さ0.5mm、目付175g/m、見掛け密度0.35g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は4個、中空部面積比率は26%、中空部の断面積CVは25%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は90本/100μm幅、水滴吸収時間は20秒であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同一の方法によりスラリー研削加工を実施した。研磨加工後のディスクは表面粗さが0.19nm、スクラッチ点数は35であり、加工性は良好であった。
[実施例5]
(極細繊維不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ウォータージェットパンチ処理)
次いで、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏共に10MPaの圧力で処理し、ポリビニルアルコールの溶解除去と共に極細繊維絡合を行い、厚さ0.35mm、目付140g/m、見掛け密度0.4g/cmの研磨布を得た。
得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は5個、中空部面積比率は30%、中空部の断面積CVは23%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は100本/100μm幅、水滴吸収時間は13秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法によりスラリー研削加工を実施した。研磨加工後のディスクは表面粗さが0.16nm、スクラッチ点数は22であり、緻密でかつ均一な略同心円状のテクスチャー痕が形成された加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例6]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
(ポリマー)
実施例1で用いたのと同様のco−PSTを、図2に示すような複合形態の2A及び2C成分とした。また、実施例1で用いたのと同様のN6および実施例1で用いたのと同様のco−PSTを40/60の重量比率にてチップ状態で混合したものを、図2に示すような複合形態の2B成分とした。また、2A:2B:2Cの重量比率は20:60:20とした。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用い、3成分紡糸機により、図2に示すような断面構造が得られる複合用口金を通して、紡糸温度285℃、紡糸速度600m/分で溶融紡糸した。次いで、液浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付600g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.53mm、目付170g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは35%、極細繊維束内の中空部個数は17個、中空部面積比率は25%、中空部の断面積CVは15%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は130本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.14nm、スクラッチ点数は13であり、緻密でかつ均一な略同心円状のテクスチャー痕が形成された加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例7]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
(ポリマー)
実施例1で用いたのと同様のco−PSTを、図3に示すような複合形態の3A成分とした。
また、実施例1で用いたのと同様のN6および実施例1で用いたのと同様のco−PSTを40/60の重量比率にてチップ状態で混合したものを、図3に示すような複合形態の3B成分とした。また、3A:3Bの重量比率は40:60とした。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用い、2成分紡糸機により、図3に示すような断面構造が得られる複合用口金を通して、紡糸温度285℃、紡糸速度600m/分で溶融紡糸した。次いで、液浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付600g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付160g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは35%、極細繊維束内の中空部個数は36個、中空部面積比率は21%、中空部の断面積CVは18%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は120本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.16nm、スクラッチ点数は18であり、緻密でかつ均一な略同心円状のテクスチャー痕が形成された加工面であり、加工性も良好であった。
[実施例8]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
ポリマーの芯/鞘重量比率を5/95とした以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mm、目付500g/m、見掛け密度0.23g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付180g/m、見掛け密度0.36g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は3個、中空部面積比率は8%、中空部の断面積CVは25%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は90本/100μm幅、水滴吸収時間は16秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.19nm、スクラッチ点数は45であり、加工性は良好であった。
[実施例9]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
ポリマーの芯/鞘重量比率を40/60とし、目付設定を変更した以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mm、目付650g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.47mm、目付160g/m、見掛け密度0.34g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は1個、中空部面積比率は45%、中空部の断面積CVは23%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は110本/100μm幅、水滴吸収時間は16秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は35であり、加工性は良好であった。
[実施例10]
(極細繊維発生型繊維不織布)
ポリマーの芯/鞘重量比率を50/50とし、目付設定を変更した以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mm、目付800g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
ポリウレタン(ポリマージオールがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなり、ゲル化点が3mlのもの)をシート総重量に対し、25重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを熱水にて溶解除去し、乾燥した。得られたシート状物をサンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、片面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付160g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は1個、中空部面積比率は55%、中空部の断面積CVは27%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は110本/100μm幅、水滴吸収時間は16秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は58であり、加工性は良好であった。
[実施例11]
実施例9の研磨布の裏面にNBR(ニトリルゴム)を主体とする接着剤を塗布し、補強層として、糸使いが経緯ともに78dtex−52フィラメントで、織密度が経175本/2.54cm、緯85本/2.54cmのナイロン糸織物を圧着し、研磨布とした。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は30であり、加工性は良好であった。
[比較例1]
下記co−PSTを芯成分とし、また、下記N6および下記co−PSTを35/65の重量比率にてチップ状態で混合したものを鞘成分とした。また、芯/鞘重量比率は20/80とした。
co−PST:MFR20のアクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン。
N6:MFR4のナイロン6。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用いた以外は実施例1と同様にして紡糸・延伸・捲縮付与・カットを行い、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付550g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付160g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は1.5μm、繊維直径CVは80%、極細繊維束内の中空部個数は3個、中空部面積比率は23%、中空部の断面積CVは25%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は45本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.22nm、スクラッチ点数は120であり、ディスク表面のうねりが大きく、均一性に欠けるものであった。
[比較例2]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
(ポリマー)
実施例1で用いたのと同様のN6と、実施例1で用いたのと同様のco−PSTとを35/65の重量比率にてチップ状態で混合したものを用いた。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用い、単成分用口金を通して、紡糸温度285℃、紡糸速度600m/分で溶融紡糸した。次いで、液浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付550g/m、見掛け密度0.2g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.5mm、目付160g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは40%、極細繊維束内の中空部個数は2個、中空部面積比率は10%、中空部の断面積CVは65%であった。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は85本/100μm幅、水滴吸収時間は15秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.21nm、スクラッチ点数は85であり、ディスク表面のうねりがやや大きく、均一性に欠けるものであった。
[比較例3]
(極細繊維不織布)
(極細繊維発生型繊維不織布)
(ポリマー)
実施例1で用いたのと同様のN6と実施例1で用いたのと同様のco−PSTとを40/60の重量比率にてチップ状態で混合したものを、図3に示すような複合形態の3A成分とした。また、3A成分と同様のものを、図3に示すような複合形態の3B成分とした。また、3A:3Bの重量比率は70:30とした。
(紡糸・延伸・捲縮付与・カット)
上記ポリマーを上記比率にて用い、2成分紡糸機により、図3に示すような断面構造が得られる複合用口金を通して、紡糸温度285℃、紡糸速度600m/分で溶融紡糸した。次いで、液浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5dtex、繊維長51mmの極細繊維発生型繊維の原綿を得た。
(ウェブの形成・ニードルパンチ処理)
上記原綿を用い、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。次いで、1600本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付500g/m、見掛け密度0.22g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(極細繊維発現処理)
上記極細繊維発生型繊維不織布に対し実施例1と同様にして極細繊維発現処理を施し、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を得た。
(高分子弾性体の付与・起毛処理)
上記極細繊維不織布に、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与・起毛処理を施し、研磨布を得た。
得られた研磨布は、厚さ0.53mm、目付170g/m、見掛け密度0.32g/cmであった。また、得られた研磨布を構成する極細繊維の平均繊維直径は0.4μm、繊維直径CVは35%、極細繊維束内に中空部は存在しないものであった(中空部個数0個)。また、研磨布の表面繊維本数の線密度は80本/100μm幅、水滴吸収時間は18秒であった。
(スラリー研削加工)
該研磨布を用いて、実施例1と同様にしてスラリー研削加工を実施した。
研磨加工後のディスクは表面粗さが0.21nm、スクラッチ点数は110であり、ディスク表面のうねりがやや大きく、均一性に欠けるものであった。
Figure 2009083093
表1には、実施例および比較例で得られた研磨布の特性および研磨布を用いた加工評価結果を示す。
本発明の研磨布は、従来の極細繊維からなる研磨布では達成し得なかった、極細繊維が均一に分散した極めて緻密な表面状態、優れた平滑性を有するため、記録ディスクの基板表面に対し、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはスラリーを用いないクリーニング加工において、スクラッチおよび微小な突起の発生を極少化することが可能となり、また垂直記録方式の記録ディスクにて要求される微細な条痕の抑制を満足できる高性能研磨布を提供できるものである。
本発明に係る芯鞘型構造の極細繊維発生型繊維断面の例を模式的に示す説明図である。 本発明に係る芯鞘型の島を有する海島型繊維構造の極細繊維発生型繊維断面の例を模式的に示す説明図である。 本発明に係る海島型構造の極細繊維発生型繊維断面の例を模式的に示す説明図である。
符号の説明
2A:島成分中の芯成分
2B:島成分中の鞘成分
2C:海成分
3A:島成分
3B:海成分

Claims (5)

  1. 平均繊維直径0.05〜1μmの極細繊維が収束してなる極細繊維束が絡合してなる不織布を主体として構成される研磨布であって、少なくとも一部の該極細繊維束が内部に中空部を有し、かつ該中空部を取り囲むように該極細繊維が配列する構造をとり、該極細繊維束の横断面における中空部の断面積CVが30%以下であることを特徴とする研磨布。
  2. 前記中空部を有する極細繊維束の横断面において、該極細繊維束の総断面積に占める中空部の断面積の比率が10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  3. 前記中空部を有する極細繊維束の横断面における中空部の個数が1〜500個であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨布。
  4. 少なくとも片面が前記極細繊維からなる立毛面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
  5. 前記不織布がポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨布。
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