JP5970801B2 - 洗浄加工布および磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体用基板表面を洗浄するために好適に用いられる洗浄加工布に関するものであり、特に研磨加工後の磁気記録媒体用基板表面の洗浄を効率的に行うために好適に用いられる洗浄加工布に関するものである。
近年、磁気記録媒体の高記録密度化は加速的に進んでおり、読書きヘッドの浮上高さも著しく低くなっている。これに伴い、これまで問題視されていなかった数十nmオーダーの微細な異物がヘッドの浮上高さに影響し、読書きの差異のエラーとなることが惹起している。このため、基板表面の鏡面加工およびその後の洗浄加工が重要視されている。
磁気記録媒体用の基板としては、Ni−Pメッキ等の非磁性メッキ処理を施したアルミ系基板やガラス系基板が用いられている。いずれの基板も、パッドポリッシング等により、1次と2次研磨を行った後、基板に1〜2オングストロームレベルの平滑性を付与する目的で、洗浄加工布を用いた鏡面加工を施すことが行われている。その後、基板表面に付着した有機物や微少なゴミと、基板表面上に残存するダイヤモンド砥粒や研磨屑などの加工残渣を除去するために、洗浄加工布を用いた洗浄加工が行われ、その後、乾燥を行い、下地層、磁性層および保護層の成膜工程に供される。このとき、加工残渣が除去しきれないまま磁気記録媒体を仕上げると、残渣物に起因する磁気欠点やエラー欠陥などの不具合が発生する。
このような背景から、磁気記録媒体用基板表面を洗浄するため、平均単繊維径5μm以下の極細繊維立毛を有する不織布とその内部に弾性重合体が含有された洗浄加工布が提案されている(特許文献1参照。)。この提案によれば、極細繊維の掻き出し効果が大幅に向上し、磁気欠点とエラー欠点が抑えられる傾向にある。しかしながら、近年の著しい高密度化によって基板表面粗さの精度が益々向上することに伴い、異物の極少化はさらに進み、文献中に記載の平均単繊維径1.4μm程度の極細繊維では、異物の除去効果が十分なものではなかった。
上記背景を鑑み、平均単繊維の直径が1〜400nmの極細繊維を用いた洗浄加工布が提案されている(特許文献2参照。)。ナノオーダーの超極細繊維により異物の拭取り性能が向上するものの、比表面積の著しい増加により、極細繊維同士が凝集し、ナノオーダーの極細繊維としての特性を生かしきれていなかった。さらに、繊維間の空隙が小さいため、拭取った残渣物の保持力が低いという課題があった。残渣物を効率的に掻き出し、適切に保持可能な洗浄加工布が求められている。
特許第4457758号公報 特開2008−55411号公報
そこで本発明の目的は、高精度に微細化された磁気記録媒体用基板表面に残存する研磨砥粒の小片、研磨屑およびスラリー液などの加工残渣を拭取り、把持することにより効率的に除去することが可能な洗浄加工布、およびそれを用いて成る磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法を提供することにある。
すなわち本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の洗浄加工布は、平均繊維径が0.3〜3.0μmの極細繊維からなる極細繊維束を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成されたシート状物であって、前記極細繊維が扁平度1.5〜5.0の扁平断面を有するかまたは変形度が1.5〜5.0である異形断面を有し、前記シート状物の動摩擦係数が0.2〜0.8であることを特徴とする洗浄加工布である。
本発明の洗浄加工布の好ましい態様によれば、前記の極細繊維が立毛を形成し、表面繊維立毛部分の極細繊維束の幅方向の平均サイズは40〜180μmである。
本発明の洗浄加工布の好ましい態様によれば、前記の表面繊維立毛部分の極細繊維束の幅方向の平均サイズは50〜160μmである。
本発明の洗浄加工布の好ましい態様によれば、前記のシート状物の表面粗さは5〜18μmである。
本発明の洗浄加工布の好ましい態様によれば、前記のシート状物の少なくとも一部に、シロキサン骨格を有する珪素化合物が珪素含有量10〜1500ppmで存在することである。
本発明の洗浄加工布の好ましい態様によれば、本発明の洗浄加工布は、磁気記録媒体用基板表面を洗浄するための洗浄加工布である。
また、本発明の磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法は、前記の洗浄加工布に、水および/または有機酸系洗浄剤の水溶液を浸透させ、磁気記録媒体用基板表面に該洗浄加工布を接触させて洗浄することを特徴とする磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法である。
本発明によれば、高精度に微細化された磁気記録媒体用基板表面に残存する研磨砥粒の小片、研磨屑およびスラリー液などの加工残渣を拭取り、把持することにより効率的に除去することが可能な洗浄加工布が得られる。本発明のこの洗浄加工布は、高精度に平滑化された基板表面に対し、極細繊維のエッジよる拭取り性が優れているので、基板表面に残存する異物の掻き出し、除去効率が極めて高く磁気記録媒体用基板の不良率を抑えることができるものである。
図1は、本発明の洗浄加工布表面の極細繊維束が構成する表面繊維立毛部分の構造の一例を示すSEM拡大(40倍)の図面代用写真である。
本発明の洗浄加工布は、平均繊維径が0.3〜3.0μmの極細繊維からなる極細繊維束を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成された洗浄加工布であり、前記極細繊維が異形断面からなり、前記極細繊維の束(極細繊維束)が絡合してなる不織布等の繊維絡合体を有してなるものである。本発明では、極細繊維を採用することにより、微細な残渣物の除去性能が向上し、さらに異形断面繊維を用いることにより、繊維断面凸部のエッジ効果により、残渣物の掻き取り効果が向上するものである。
本発明でいう極細繊維の異形断面とは、扁平度が1.5〜5.0の扁平断面を有するか、または変形度が1.5〜5.0である異形断面を有する態様である。
扁平断面を有する繊維の場合、扁平度を1.5以上とすることにより、明確に丸型断面とは異なる形状となり、十分な掻き取り効果が得られる。一方、扁平度を5.0以下とすることにより、製造が容易となること、単繊維断面の厚みが極端に薄くなることを防ぐことができ、洗浄加工に適した繊維形状となる。ここでいう扁平度は、単繊維断面の短辺部の最大長さ(A)と長辺部の最大長さ(B)の比(B/A)で定義される。
また、Y型断面のような異形断面を有する繊維の場合も同様に、変形度を1.5以上とすることにより、丸型断面とは異なる形状となり、十分なエッジ効果が得られる。一方、変形度を5.0以下とすることにより、製造が容易となり、十分な繊維強度が得られる。ここでいう変形度とは、単繊維断面の外接円の直径(B)と内接円の直径(A)の比(B/A)で定義される。
本発明で用いられる極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィド(PPS)等を挙げることができる。ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは、融点が高いものが多く洗浄加工時に発生する熱に対する耐熱性に優れており、本発明で好ましく用いられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポチトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。
また、本発明で用いられる極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良いし、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させても良い。
本発明において用いられる極細繊維の平均繊維径は、0.3〜3.0μmとすることが重要である。平均繊維径を3.0μm以下、好ましくは2.5μm以下とすることにより、微細な残渣物の除去性能を確保することができる。一方、平均繊維径を0.3μm以上、好ましくは0.4μm以上とすることにより、繊維強度および剛性を維持することができるため、洗浄加工を効率的に行うことができる。
極細繊維からなる極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。ここでいう結合とは、化学的な反応や物理的な融着等によるものを指し、凝集とは、水素結合等の分子間力によるものを指す。
本発明の洗浄加工布に用いられる不織布等の繊維絡合体においては、上記に定義される極細繊維よりも太い繊維が混合されていてもよい。太い繊維とは、平均繊維径が10μm以上のものを呼ぶ。太い繊維が混合されることにより、洗浄加工布の強度が補強され、またクッション性等の特性を向上させることができる。このような極細繊維よりも太い繊維を形成するポリマーとしては、前述の極細繊維を構成するポリマーと同様のものを採用することができる。極細繊維よりも太い繊維の繊維絡合体に対する混合量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることにより、洗浄加工布表面の平滑性を維持することができる。また、前記の太い繊維は、拭取り性能の観点から洗浄加工布の表面に露出していないことが好ましい。
実施例の測定方法においても後述するように、本発明においては、繊維径が10μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとする。
本発明の洗浄加工布に用いられる繊維絡合体である不織布としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層繊維ウェブを形成させた後にニードルパンチやウォータジェットパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、および抄紙法で得られる不織布などを適宜採用することができる。なかでも、短繊維不織布やスパンボンド不織布は、極細繊維束の態様をニードルパンチ処理により制御することが可能であるため本発明では好ましく用いられる。
本発明の洗浄加工布は、前記の繊維絡合体が弾性重合体を含有している。繊維絡合体に弾性重合体を含有させることによって、弾性重合体のバインダー効果により極細繊維が洗浄加工布から抜け落ちるのを防止し、起毛時に均一な立毛を形成することが可能となる。また、弾性重合体を含有させることによって、洗浄加工布にクッション性を付与しスクラッチ欠点等の発生を抑制することができる。
本発明で用いられる弾性重合体としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー等を挙げることができる。中でも、ポリウレタンおよびポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
ポリウレタン系エラストマーのポリオール成分としては、ポリエステル系、ポリエーテル系およびポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物などを用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネートおよび脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタン系エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは50,000〜300,000である。重量平均分子量を50,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは150,000以上とすることにより、洗浄加工布の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を300,000以下、より好ましくは250,000以下とすることにより、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
また、弾性重合体には、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などの他の樹脂が含まれていてもよい。また、これらの他の樹脂の含有率は、ポリウレタンの特性を損なわない範囲で含有することが好ましく、含有率としては、0〜30質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜20質量%の範囲である。
また、弾性重合体には、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤および防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
弾性重合体の含有率は、極細繊維束が絡合してなる繊維構造体(質量)に対し、好ましくは5〜200質量%である。弾性重合体の含有量によって、洗浄加工布の表面状態、クッション性、硬度および強度などを調節することができる。弾性重合体の含有量を5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とすることにより、繊維脱落を少なくすることができる。一方、弾性重合体の含有量を200質量%以下、より好ましくは100質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下とすることにより、加工性および生産性が向上するとともに、表面上において極細繊維が均一分散した状態を得ることができる。
本発明の洗浄加工布の、後述する補強層を除く部分の目付は、好ましくは100〜600g/mである。目付を100g/m以上、より好ましくは150g/m以上とすることにより、洗浄加工布の形態安定性・寸法安定性に優れ、洗浄加工時の洗浄加工布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、目付を600g/m以下、より好ましくは300g/m以下とすることにより、洗浄加工布の取扱い性が容易となり、また、洗浄加工布のクッション性を適度に抑え、洗浄加工時において非研磨面からのゴムローラーによる押付圧を洗浄加工表面に適度に伝播させ、効率的な洗浄加工を行うことができる。
また、本発明の洗浄加工布の、後述する補強層を除く部分の厚さは、好ましくは0.1〜10mmである。厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、洗浄加工布の形態安定性・寸法安定性に優れ、洗浄加工時の洗浄加工布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、厚さを10mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、研磨加工時の押付圧を十分に伝播させることができる。
また、本発明の洗浄加工布は、後述する極細繊維起毛面(研磨に供する側の面)の他方の面に補強層を有することも好ましい態様である。補強層を設けることにより、洗浄加工布の形態安定性と寸法安定性に優れ、洗浄加工時の洗浄加工布の伸びによる加工ムラ、およびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。
補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)およびフィルム状物(プラスチックフィルム、金属薄膜シートなど)等を採用することができる。
本発明の洗浄加工布は、洗浄加工に供する側の面の表面に起毛処理が施され立毛を有していていることが好ましい態様である。洗浄加工布の表面に立毛を形成することにより、異形断面の極細繊維の分散を得ることができ、さらに表面繊維に適度なクッション性が得られるため、空隙に残渣物把持可能となり、残渣保持特性が向上する。
図1は、本発明の洗浄加工布表面の極細繊維束が構成する表面繊維立毛部分の構造の一例を示すSEM拡大(40倍)の図面代用写真である。図1に示されるように、洗浄加工布の立毛面は極細繊維束からなる表面繊維立毛部分を含む構造で形成されている。表面繊維立毛部分は、図1の四角形で示される。本発明では、図1に示される四角形において、極細繊維束方向(繊維束の幅方向)が、表面繊維立毛部分の構造の横方向であり、極細繊維束の極細繊維が揃った長さ方向が、表面繊維立毛部分の構造の長さ方向である。表面繊維立毛部分の構造の形態としては、極細繊維が均一に揃っていてもよく、また、極細繊維同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。ここで、結合とは、化学的な反応や物理的な融着等によるものを指し、凝集とは、水素結合等の分子間力によるものを指す。
本発明では、表面繊維立毛部分の構造の極細繊維束の幅方向の平均サイズは、好ましくは40〜180μmの範囲であり、より好ましくは50〜160μmの範囲である。表面繊維立毛部分の構造の極細繊維束の幅方向の平均サイズが180μm以下の場合には、表面繊維立毛部分の極細繊維束同士が重ならなくなり、洗浄加工布表面の凹凸が小さくなり、研磨加工に用いた場合に被研磨物にスクラッチ欠点を与えにくく、被研磨物の表面粗さを低くすることができる。また、表面繊維立毛部分の構造の極細繊維束の幅方向の平均サイズが40μm以上となると、洗浄加工布表面に存在する極細繊維の量が多くなり、表面カバー率が高くなり好ましい態様である。
本発明では、表面繊維立毛部分の構造の極細繊維束の長さ方向の平均サイズは、100μm〜500μmであることが好ましい。極細繊維束の長さ方向は、極細繊維の長さ方向であり、図1において長方形の長さ方向に該当する。表面繊維立毛部分の構造の長さ方向の平均サイズが500μm以下の場合は、極細繊維束同士の重なりが生じにくく、洗浄加工布表面の凹凸が小さくなり、研磨加工に用いた場合に被研磨物にスクラッチ欠点を与えにくく、被洗浄加工布の表面粗さを低くすることができる。また、長さ方向の平均サイズが100μm以上の場合には、表面に存在する極細繊維の量が多くなり、表面カバー率が高く好ましい態様である。
本発明の洗浄加工布は、表面粗さが5〜18μmであることが好ましい。表面粗さはより好ましくは5〜16μmであり、さらに好ましくは5〜14μmである。表面粗さが5μmより大きい場合、スラリー研削加工時の砥粒の保持性、分散性の観点から好ましい態様である。また、表面粗さが18μmより小さい場合、研磨加工に用いた場合に被研磨物にスクラッチ欠点を与えにくく、被研磨物の表面粗さを低くすることができる。
本発明の洗浄加工布は、その表面の動摩擦係数が0.2〜0.8であることが重要である。動摩擦係数を0.2以上とすることにより、研磨加工および洗浄加工において基板に押し付けた際に良好な研磨性能および洗浄加工性能を示す。また、動摩擦係数を0.8以下とすることにより、動摩擦抵抗が大き過ぎず、引っ掛かりにより基板に傷を形成させにくい。動摩擦係数は、好ましくは0.3〜0.7であり、より好ましくは0.4〜0.6である。本発明における動摩擦係数は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
上記の動摩擦係数0.2〜0.8は、上述した極細繊維を含む繊維構造体の各製造工程を実施することによって、達成することができる。また、動摩擦係数は、後述する加工薬剤の付与によっても変動するため、加工薬剤を付与する場合は、上述の動摩擦係数が範囲内となるように薬剤種および付与条件を調整する必要がある。
本発明の洗浄加工布は、繊維構造体の少なくとも一部に好ましくは珪素化合物を含有させることができる。その場合、繊維構造体の珪素含有量は10〜1500ppmであることが好ましい。珪素含有量を10ppm以上とすることにより、表面繊維の分散性を向上させることが可能となる。また、珪素含有量を1500ppm以下とすることにより、摩擦抵抗が下がりすぎることなく、また、立毛処理の前に付与した場合の立毛処理において、本発明の洗浄加工布の好ましい加工方法例として挙げるサンドペーパーでの加工時に、洗浄加工布処理面上でペーパーが滑って正常に立毛処理できないことが発生する頻度が少なくなる。
上述のとおり、珪素化合物を立毛処理の前に付与する場合は、立毛処理が容易であり、繊維接触面積を増大させることが可能な珪素含有量であることが好ましく、研磨および洗浄加工工程後の基板の平滑性やスクラッチ数等の観点から、珪素含有量はより好ましくは50〜1000ppmであり、さらに好ましくは100〜800ppmである。
本発明の洗浄加工布では、珪素化合物について上記の範囲を好ましい含有量として挙げるが、洗浄加工布に用いられる繊維構造体の特性に応じた最適な珪素含有量あるいは加工薬剤付与量とすることが好ましい。
本発明の洗浄加工布に用いられる珪素化合物としては、シロキサン骨格を有する珪素化合物が好ましく用いられる。シロキサン骨格を有する珪素化合物としては、置換基のある場合は、置換基として、例えば、ポリエーテル、エポキシ基、アミン類、カルボキシル基、メチル基等のアルキル基およびフェニル基等を有するものでもよい。
かかる珪素化合物を付与する方法としては特に限定されることはなく、スプレーで噴霧する方法、コーターで塗布する方法、およびシリコーン系滑剤を含む溶液に含浸した後にロールでニップする方法などを用いることができる。また、帯電防止剤等を混合して同時に付与してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、凝固防止剤など他の薬剤を添加してもよい。
また、繊維構造体に珪素化合物を付与した後、乾燥等で150℃の温度以上の高温で処理を行う場合、珪素化合物として耐熱性の高いポリメチルフェニルシロキサンが好ましく用いられる。また、耐熱性のシリコーンオイルとしては、例えば、耐熱性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−54)や、耐熱性ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製SH510、信越化学工業株式会社製KF−965、KF−968)を用いることができる。また、柔軟性を重視する場合は、例えば、アミノ変性シリコーン(丸菱油化工業株式会社製ベビナーHCA)を用いることができる。中でも汎用性が高い点から、ポリアルキルシロキサンを用いることが好ましく、例えば、ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX、SH200、信越化学株式会社製POLON−MWS)を用いることが好ましい。
本発明の洗浄加工布は、その表面の水滴吸収時間が0.1秒〜60分であることが好ましい。水滴吸収時間を0.1秒以上とすることにより、洗浄液が洗浄加工布内層部へ通過し過ぎず、洗浄加工布表面の繊維上で砥粒を把持することができる。また、水滴吸収時間を60分以内とすることにより、洗浄加工布表面の繊維上で研磨剤を弾き過ぎることなく、洗浄液が繊維上に分散して把持され、均一に洗浄加工ができる。洗浄加工効率の観点から、研磨と水滴吸収時間は、より好ましくは1秒〜10分であり、さらに好ましくは2秒〜5分である。
次に、本発明の洗浄加工布を製造する方法について説明する。
極細繊維束が絡合してなる不織布のような繊維絡合体を得る手段としては、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維から直接繊維絡合体を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から繊維絡合体を製造し、この繊維絡合体における海島型複合繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる繊維絡合体を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし海成分を、溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
本発明の洗浄加工布に好適に用いられるY型や三角型等に代表される極細の異形断面糸は、例えば、特開2011−174215号公報に記載の海島成分のポリマー流を、計量する複数の計量孔を有する計量板と、複数の計量孔からの吐出ポリマー流を合流する合流溝に、複数の分配孔を有する分配板を組み合わせることにより、様々な断面形状を形成可能な複合紡糸口金を用いることにより作製することができる。
海成分と島成分の比率は、島繊維の海島型複合繊維に対する質量比で0.2〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7である。質量比を0.2以上とすることにより、海成分の除去率を少なくなり、生産性が向上する。また、質量比を0.8以下とすることにより、島繊維の開繊性の向上、および島成分の合流を防止できる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸等を用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性重合体を付与する前、付与した後および起毛処理後のいずれのタイミングで行ってもよい。
不織布等の繊維絡合体を得る方法としては、前述のとおり、繊維ウェブをニードルパンチやウォータジェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。なかでも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理に用いられるニードルにおいて、ニードルバーブ(切りかき)の数は好ましくは1〜9本である。ニードルバーブを1本以上とすることにより、効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、ニードルバーブを9本以下とすることにより、繊維損傷を抑えることができる。
本発明の洗浄加工布の表面繊維立毛部分を達成するためには、ニードルパンチで持ち込まれる極細繊維発生型繊維等の複合繊維の本数を3〜9本/1バーブとすることが好ましい。表面繊維立毛部分の構造の幅方向の平均サイズは、60〜180μmであることが好ましく、より好ましくは50〜160μmである。そのためには、1回のニードルパンチで持ち込まれる極細繊維発生型繊維等の複合繊維の本数は、上述のとおり、3〜8本/1バーブでとすることが好ましく、より好ましくは3〜7本である。
バーブに引っかかる極細繊維発生型繊維等の複合繊維の本数は、バーブの形状と複合繊維の直径によって決定される。そのため、ニードルパンチ工程で用いられる針のバーブ形状は、キックアップ0〜50μm、アンダーカットアングル0〜40°、スロートデプス40〜80μm、スロートレングス0.5〜1.0mmのものが好ましく用いられる。
パンチング本数は、好ましくは1000〜7000本/cmである。パンチング本数を1000本/cm以上とすることにより、緻密性が得られ高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を7000本/cm以下とすることにより、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。
上記範囲でニードルパンチを行うことにより、本発明の表面繊維立毛部分の好ましい形状を達成することが可能であり、表面粗さと動摩擦係数を好ましい範囲に制御することが可能となる。
また、ウォータジェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力2〜60MPaで水を噴出させると良い。
ニードルパンチ処理あるいはウォータジェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維不織布(繊維絡合体)の見掛け密度は、0.15〜0.45g/cmであることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm以上とすることにより、洗浄加工布の形態安定性と寸法安定性に優れ、洗浄加工時の洗浄加工布の伸びによる加工ムラ、およびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、見掛け密度を0.45g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維不織布(繊維絡合体)は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。また、カレンダー処理等により厚み方向に圧縮してもよい。
極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであればトルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒が用いられ、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維(からなる不織布)を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
また、極細繊維発生加工には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。極細繊維発生加工は、立毛処理前に行ってもよいし立毛処理後に行ってもよい。
また、洗浄加工布表面の繊維分布の緻密性および均一性を得るためには、ポリウレタンを主成分とした弾性重合体は、極細繊維の繊維束が絡合してなる不織布(繊維絡合体)について、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しないことが好ましい。繊維束内部にまで弾性重合体が存在すると、弾性重合体が各極細繊維と接着して存在することになるため、バフィング処理の際に表面繊維が引きちぎられやすく、かつ、立毛を形成し難い。
弾性重合体が、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しない形態を得る方法としては、弾性重合体をジメチルホルムアミドなどの溶剤により溶液とし、
(1)極細繊維発生型の海島型複合繊維が絡合した不織布(繊維絡合体)に、前記弾性重合体溶液を含浸し、水もしくは有機溶媒水溶液中で凝固させた後、海島型複合繊維の海成分を、弾性重合体は溶解しない溶剤で溶解除去する方法や、
(2)極細繊維発生型の海島型複合繊維が絡合した不織布(繊維絡合体)に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型複合繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いで弾性重合体の溶液を含浸し、水もしくは有機溶剤水溶液中で凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法、
などを好ましく用いることができる。
前記の弾性重合体を繊維絡合体に付与する際に好ましく用いられる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、ポリウレタンの場合、水中にエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンとしてもよい。
溶媒に溶解した弾性重合体溶液に繊維絡合体を浸漬する等して弾性重合体を繊維絡合体に付与し、その後、乾燥することによって弾性重合体を実質的に凝固し固化させる。乾燥にあたっては、繊維絡合体および弾性重合体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
本発明の洗浄加工布への珪素化合物を付与する方法としては特に限定されることはなく、スプレーで噴霧する方法、コーターにて塗布する方法、およびシリコーン系滑剤を含む溶液に含浸した後にロールでニップする方法などを用いることができる。
本発明の洗浄加工布の動摩擦係数と表面粗さを制御する目的で、シート状物にシリコーン薬剤を付与することが好ましい。シリコーンの付与は、シート状物を起毛処理前に実施することが好ましい。シリコーンによる動摩擦低減効果により、立毛処理時に繊維の開繊性が向上し、洗浄加工布表面の繊維が緻密かつ均一に配列するからである。
洗浄加工布用のシート状物の起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、洗浄加工布の表面に前記のような均一な極細繊維の立毛を形成させるためには、極細繊維と用いられるサンドペーパーの砥粒径の比率、サンドペーパーとシート状物速度の比率、研削量および研削負荷を適切な範囲に制御することが好ましい。また、研削負荷を低減するために、バフ段数を3段以上の多段バッフィングとし、前半の1〜2段以上でトータル研削量の70〜90%、最終の1段で30〜10%の研削を行い、表面を整えることが好ましい。
上記条件でシート状物をバッフィング研削することにより、ポリウレタン等の弾性性重合体と結合した極細繊維が効率的に掘り起こされ、表面繊維の分散性が確保できる。バッフィング研削により、前述した極細繊維束からなる立毛が、図1に示すように、表面に緻密に配列した表面状態を形成することが可能となる。
本発明の洗浄加工布には、不織布(繊維絡合体)の一面に補強層を設けてもよい。繊維絡合体に補強層を設ける方法としては、熱圧着法、フレームラミ法および補強層とシート状物との間に接着層を設けるいずれの方法を採用してもよい。接着層としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものが使用可能である。コストと実用性の観点から、NBRやSBRのような接着剤が好ましく用いられる。接着剤の付与方法としては、エマルジョンやラテックス状態でシート状物に塗布する方法が好適に用いられる。また、補強層の接着については、極細繊維発生加工の前であっても良いし、後であってもよい。
本発明の洗浄加工布は、例えば、ハードディスクのサイズに対する加工効率安定性の観点から30〜50mm幅のテープ状にカットして用いることができる。
次いで、基板を連続回転させた状態で、テープ状とした洗浄加工布を研磨加工後の基板に押し付けながら、基板の径方向に洗浄加工布または基板を往復運動させ、連続的に洗浄加工布を走行させる。その際に、水および/または有機酸系洗浄剤の水溶液を洗浄加工布表面に供給し、表面の極細繊維にて基板表面を洗浄する方法が好適な方法である。
ここで使用される有機酸系洗浄剤は、スルホン酸、クエン酸、リンゴ酸および酢酸の少なくとも1つを含有するものであることが好ましい。洗浄加工方法としては、上記のような洗浄加工用テープと洗浄剤を用い、ガラス等からなる磁気記録ディスク基板の洗浄加工を行うことができる。また、本発明の洗浄加工布は、ダイヤモンド砥粒等の遊離砥粒を用いた、テープ研磨加工にも好ましく用いることができる。また、ワイピングクロス、各種研磨材、フィルター、有害物質除去製品等の工業材料用途としても好適に用いられるものである。
[測定方法と評価用加工方法]
(1)融点
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分で、サンプル量は10mgとした。
(2)メルトフローレイト(MFR)
試料ペレット4〜5gを、MFR計電気炉のシリンダーに入れ、東洋精機製メルトインデクサー(S101)を用いて、荷重2160gf、温度285℃の条件で、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
(3)極細繊維の平均繊維径
洗浄加工布の極細繊維を含む厚み方向に垂直な断面を、走査型電子顕微鏡(SEM キーエンス社製VE−7800型)を用いて3000倍で観察し、30μm×30μmの視野内で無作為に抽出した50本の単繊維直径をμm単位で、有効数字3桁で測定した。ただし、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、有効数字3桁目を四捨五入し平均値を有効数字2桁で算出した。繊維径が10μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとする。また、極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の直径を求めた。
(4)表面繊維立毛部分の構造サイズ測定
図1に示されるように、洗浄加工布表面を観察面としてSEMより倍率40倍で観察し、表面に存在する極細繊維同士が接して配列することにより形成される極細繊維束を表面繊維立毛部分の構造と定義した。この表面繊維立毛部分の構造を無作為に50個抽出し、抽出した50個の表面繊維立毛構造の幅方向および長さ方向のサイズを測定し、それらの平均値を算出した。
(5)洗浄加工布の表面粗さ
本発明の洗浄加工布の表面粗さは、サーフコーダSE−40C(Kosaka−Laboratory Ltd)を用いて測定した。洗浄加工布を、その立毛の順目方向(立毛が寝る方向)と装置の触針の進行方向が同方向になるように平面台上に固定して,先端半径5μm、先端面積79μmの触針を用いて、送り速さ0.5m/分、評価長さ12.5cm、カットオフ2.5cm、縦倍率500倍、横倍率2倍で測定した。測定は5回行い、その平均値を表面粗さの数値として採用した。
(6)洗浄加工布の表面の動摩擦係数
本発明の洗浄加工布を、1cm角に切り出し平面圧子に両面テープを用いて取り付け、十分な水を浸みこませた。これを表面性測定機(新東科学(株)製 HEIDON−14D)の移動台に取り付けたガラス板上に置き、表面の立毛の順目方向(立毛が寝る方向)に移動台を水平移動させたときの摩擦抵抗を測定し、動摩擦係数を求めた。試験速度は500mm/分、荷重条件は600g/cmとした。測定は3回測定を行い、その平均値を動摩擦係数の数値として採用した。
(7)洗浄加工布の珪素含有量
洗浄加工布試料5gに硫酸を添加し、一昼夜放置して炭化させた後、ホットプレートを用いて硫酸を揮散させた。得られた炭化物を、電気炉を用いて550℃の温度で2時間加熱し、灰化処理を行った。得られた灰化物を炭酸ナトリウム融解し、希塩酸に溶解させたものを試料溶液とした。試料溶液をICP発光分光分析装置に導入し、珪素の定量を行った。
(8)研磨加工
本発明の洗浄加工布を、30mm幅のテープとした。研磨対象として、表面粗さが0.2nm以下に制御されたKMG社製のアモルファスガラスからなる基板を用いた。基板の両面を一度に研磨すべく、テープを基板の両面にセットして、洗浄加工布表面に1次粒子径1〜10nmの単結晶ダイヤモンド粒子が平均径50nmにクラスター化した遊離砥粒を0.01%含む研磨剤を、15ml/分で両面側に滴下し、基板へのテープの押付圧を1000g重、基板回転数を400rpm、基板揺動数を5Hz、テープ走行速度2.5cm/分として、10秒間研磨した。
(9)洗浄加工
研磨加工直後の基板を、研磨剤を洗浄剤(三洋化成株式会社製ケミクリーンPR−122)に代えて、テープの押付圧を750g重、加工時間を30秒とする以外は研磨加工と同じ条件で洗浄加工し、流水で洗浄した。
(10)エラー数
洗浄加工後のガラス基板に磁性層を形成し、磁気欠点やエラー欠陥という基板表面上に残存する異物起因の不良ディスク発生率を算出した。測定は、ディスク100枚を1セットとし、計3セット実施した。それぞれのセット毎に、ディスク表面の異物起因の不良ディスク発生率を算出し、3セットにおける発生率の平均値を、不良ディスク発生率とした。不良ディスク発生率が1%以下を加工性良好とし、1%を超える場合は加工性不良とした。
[実施例1]
(原綿)
(海成分と島成分)
融点220℃、MFR58.3のナイロン6を島成分とし、融点53℃、MFR300のアクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な400島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率40/60、吐出量1.7g/分・ホール、紡糸速度1190m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が4.9dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用い、カード工程とクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、得られた積層繊維ウェブを、スロートデプス60μm、キックアップ0μm、アンダーカットアングル27°、スロートレングス0.8mmのニードル1本を植込んだニードルパンチ機を用いて、針深度8mm、パンチ本数3200本/cmでニードルパンチし、目付が710g/m、見掛け密度が0.223g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(洗浄加工布)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を95℃の温度で熱水収縮処理させた後、ポリビニルアルコールを繊維質量に対し34質量%付与後、乾燥させた。このようにして得られた不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で31質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水で処理し、DMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、シート質量に対して、珪素の含有量が200ppmとなるように、珪素系薬剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SM7036EX)の付与濃度およびウェットピックアップ率を調整し、含浸付与、乾燥した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により厚み方向に半裁してシートを得た。得られたシートの非半裁面を、JIS#320番のサンドペーパーを用いて、サンドペーパーの回転と逆方向にシートを進行させ、シート速度5m/分で、3段バッフィングにて研削し、立毛を有する洗浄加工布を作製した。
得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が185g/m、見かけ密度が0.336g/cmであった。得られた洗浄加工布を用いて、研磨加工、洗浄加工を実施し、エラー性能評価を実施したところ、不良ディスク発生率は、0.4%と満足のいくものであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
実施例1で用いたものと同じ原綿を用いた。
(極細繊維発生型繊維不織布)
スロートデプス60μm、キックアップ10μm、アンダーカットアングル27°、スロートレングス0.8mmのニードルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が721g/m、見掛け密度が0.225g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、極細繊維の平均繊維径が0.74μm、厚さが0.56mm、目付が189g/m、見かけ密度が0.338g/cmであった。結果を表1に示す。表面繊維立毛構造サイズが実施例1よりも大きいため、テープ表面粗さが高く、不良ディスク発生率は0.6%と若干悪くなった。
[実施例3]
(原綿)
実施例1で用いたものと同じ原綿を用いた。
(極細繊維発生型繊維不織布)
スロートデプス65μm、キックアップ10μm、アンダーカットアングル35°、スロートレングス0.8mmのニードルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が706g/m、見掛け密度が0.221g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.54mm、目付が181g/m、見かけ密度が0.335g/cmであった。結果を表1に示す。表面繊維立毛構造サイズが実施例1、2よりも大きいため、テープ表面粗さが高く、不良ディスク発生率は0.9%と若干悪くなった。
[実施例4]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な200島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率40/60、吐出量1.8g/分・ホール、紡糸速度1140m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が5.4dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が1.10μm、変形度が2.0のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が188g/m、見かけ密度が0.342g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が1.10μmであるため、不良ディスク発生率が0.8%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例5]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な1600島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率30/70、吐出量1.6g/分・ホール、紡糸速度1140m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が4.8dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.32μm、変形度が1.7のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.54mm、目付が188g/m、見かけ密度が0.348g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が0.32μmと細いため、不良ディスク発生率は、0.3%と実施例1に比べて若干良い数値となった。
[実施例6]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な36島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率40/60、吐出量2.0g/分・ホール、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が6.7dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が2.90μm、変形度が2.1のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が178g/m、見かけ密度が0.32g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が2.90μmと太いため、不良ディスク発生率は1.0%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例7]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分が三角型の海島成分を作製可能な400島/ホールの海島型複合口金を用いた以外は、実施例1と同様にして海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.75μm、扁平度が1.7の三角型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が181g/m、見かけ密度が0.329g/cmであった。結果を表1に示す。繊維断面が三角形であるため、不良ディスク発生率は0.6%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例8]
(原綿)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(極細繊維発生型繊維不織布)
実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
シートに対して、珪素系薬剤を付与しなかったこと以外は、実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.56mm、目付が181g/m、見かけ密度が0.323g/cmであった。結果を表1に示す。珪素含有量が0ppmであるため、加工時の摩擦抵抗が高くなり、不良ディスク発生率は0.7%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例9]
(原綿)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(洗浄加工布)
シートに対して、珪素含有量が750ppmとなるように、珪素系薬剤を付与したこと以外は、実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が180g/m、見かけ密度が0.327g/cmであった。結果を表1に示す。珪素含有量が751ppmであるため、加工時の摩擦抵抗が低くなりすぎ、不良ディスク発生率は0.9%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例10]
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島と海成分が縦割り分割断面(11層交互貼り合わせ型)構造を作製可能な複合口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして海島型複合繊維の原綿を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.78μm、扁平度が2.5の扁平断面からなる極細繊維の立毛を有し、厚さが0.53mm、目付が184g/m、見かけ密度が0.347g/cmであった。結果を表1に示す。不良ディスク発生率は0.9%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例11]
(原綿)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(洗浄加工布)
シートに対して、珪素含有量が1600ppmとなるように、珪素系薬剤を付与したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が185g/m、見かけ密度が0.336g/cmであった。結果を表1に示す。珪素含有量が多すぎることにより、摩擦抵抗が下がり過ぎ、不良ディスク発生率は1.0%と実施例1に比べて悪くなった。
[実施例12]
(原綿)
実施例1で用いたものと同様の原綿を用いた。
(極細繊維発生型繊維不織布)
スロートデプス70μm、キックアップ10μm、アンダーカットアングル35°、スロートレングス0.8mmのニードルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が701g/m、見掛け密度が0.219g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、変形度が1.9のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が179g/m、見かけ密度が0.325g/cmであった。結果を表1に示す。表面繊維立毛構造サイズが大きいため、不良ディスク発生率は1.0%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[実施例13]
(海成分と島成分)
融点255℃、MFR46.5のPETを島成分とした以外は実施例1と同様のポリマーを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして海島型複合繊維の原綿を得た。
(洗浄加工布)
得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.69μm、変形度が2.0のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が188g/m、見かけ密度が0.342g/cmであった。得られた洗浄加工布を用いて、研磨加工、洗浄加工を実施し、エラー性能評価を実施したところ、不良ディスク発生率は、0.6%と実施例1に比べて若干悪くなったが、満足のいくものであった。
[比較例1]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分が丸型の海島成分を作製可能な400島/ホールの海島型複合口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.74μm、丸型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.55mm、目付が181g/m、見かけ密度が0.329g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が丸型であるため、不良ディスク発生率は1.2%と実施例1に比べて若干悪くなった。
[比較例2]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な2600島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率30/70、吐出量1.6g/分・ホール、紡糸速度1140m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が4.8dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が0.24μm、変形度が1.6のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.53mm、目付が187g/m、見かけ密度が0.353g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が0.24μmと細すぎるため、表面摩擦抵抗が0.96と高くなりすぎ、不良ディスク発生率は2.0%と実施例1に比べて悪くなった。
[比較例3]
(原綿)
(海成分と島成分)
実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、島成分がY型の海島成分を作製可能な24島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率40/60、吐出量2.0g/分・ホール、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が6.7dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を得た。
(洗浄加工布)
実施例1と同様にして洗浄加工布を得た。得られた洗浄加工布は、平均繊維径が3.52μm、変形度が2.1のY型断面の極細繊維の立毛を有し、厚さが0.56mm、目付が183g/m、見かけ密度が0.327g/cmであった。結果を表1に示す。繊維径が3.52μmと太いため、不良ディスク発生率は1.3%と実施例1に比べて悪くなった。

Claims (7)

  1. 平均繊維径が0.3〜3.0μmの極細繊維からなる極細繊維束を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成されたシート状物であって、前記極細繊維が扁平度1.5〜5.0の扁平断面を有するかまたは変形度が1.5〜5.0である異形断面を有し、前記シート状物の動摩擦係数が0.2〜0.8であることを特徴とする洗浄加工布。
  2. 極細繊維が立毛を形成し、表面繊維立毛部分の極細繊維束の幅方向の平均サイズが40〜180μmであることを特徴とする請求項1記載の洗浄加工布。
  3. 表面繊維立毛部分の極細繊維束の幅方向の平均サイズが50〜160μmであることを特徴とする請求項記載の洗浄加工布。
  4. シート状物の表面粗さが5〜18μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の洗浄加工布。
  5. シート状物の少なくとも一部に、シロキサン骨格を有する珪素化合物が珪素含有量10〜1500ppmで存在することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の洗浄加工布。
  6. 磁気記録媒体用基板表面を洗浄するための洗浄加工布であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の洗浄加工布。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の洗浄加工布に、水および/または有機酸系洗浄剤の水溶液を浸透させ、磁気記録媒体用基板表面に前記洗浄加工布を接触させて洗浄することを特徴とする磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法。
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