JP5178367B2 - ワイピング用織物およびワイピング製品 - Google Patents

ワイピング用織物およびワイピング製品 Download PDF

Info

Publication number
JP5178367B2
JP5178367B2 JP2008185969A JP2008185969A JP5178367B2 JP 5178367 B2 JP5178367 B2 JP 5178367B2 JP 2008185969 A JP2008185969 A JP 2008185969A JP 2008185969 A JP2008185969 A JP 2008185969A JP 5178367 B2 JP5178367 B2 JP 5178367B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
wiping
multifilament yarn
polyester multifilament
sea
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008185969A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010024570A (ja
Inventor
謙吾 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Frontier Co Ltd
Original Assignee
Teijin Fibers Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Fibers Ltd filed Critical Teijin Fibers Ltd
Priority to JP2008185969A priority Critical patent/JP5178367B2/ja
Publication of JP2010024570A publication Critical patent/JP2010024570A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5178367B2 publication Critical patent/JP5178367B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Cleaning Implements For Floors, Carpets, Furniture, Walls, And The Like (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Description

本発明は、拭き取り性および捕塵性に極めて優れるワイピング用織物およびワイピング製品に関するものである。
従来、ワイピングクロスやワイピングテープなどのワイピング製品は、清掃用布帛、眼鏡やレンズ拭きなどの用途に使用されてきた。そして、その多くは吸水性が良好な繊維素材として木綿繊維などの天然繊維や、布帛内の繊維表面積を大きくすることにより、吸着力が高まることを期待した極細繊維が使用されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。今日、ワイピング製品はICや半導体の製造工場やクリーンルームなど、産業分野でも幅広く展開している。産業分野用のワイピング製品には、近年の精密性の高度化により、より微小な塵、埃、油などの拭き取り性および捕塵性が要求される。しかし、従来の極細繊維を使用した布帛では、近年要求されているレベルに対して性能不足であることが否めない。
なお、本出願人は特願2007−300389号において、単繊維径50〜1500nmのポリエステルマルチフィラメント糸を含むワイピング用織物を提案した。また、経浮き成分および/または緯浮き成分としてその浮き本数が2本以上の浮き組織を含む織物は本発明とは全く異なる用途であるが、例えば特許文献5などで知られている。
特開昭61−228821号公報 特開2005−160721号公報 特開平11−152644号公報 特開2006−336118号公報 特許第3356438号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、拭き取り性および捕塵性に極めて優れるワイピング用織物およびその製造方法およびワイピング製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、単繊維径50〜1500nmのポリエステルマルチフィラメント糸と特定の単繊維径を有するポリエステルマルチフィラメント糸からなる複合糸を、織物の経糸および緯糸のうち一方にのみ配し、他方に、特定の単繊維径を有するポリエステルマルチフィラメント糸を配して特定織組織を有する織物を得ると、拭き取り性および捕塵性に極めて優れるワイピング用織物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「ワイピング用織物であって、単繊維径50〜1500nmの、フィラメント数が1000本以上のポリエステルマルチフィラメント糸Aと単繊維径が5〜30μmのポリエステルマルチフィラメント糸Bとを含む複合糸条Cが織物の経糸および緯糸のうちどちらか一方にのみ配され、他方には単繊維径が8〜20μmかつフィラメント数が72〜300本のポリエステルマルチフィラメント糸Dが全量配され、かつ、前記複合糸条Cにおいて、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの糸長DAと、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの糸長DBとの比DA/DBが1.05以上であり、かつ前記複合糸条Cを、経浮き成分および/または緯浮き成分としてその浮き本数が2本以上の浮き組織を含むことを特徴とするワイピング用織物。」が提供される。
その際、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。また、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bにおいて、フィラメント数が10〜150本、かつ総繊度が30〜110dtexの範囲内であることが好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dにおいて、総繊度が30〜220dtexの範囲内であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記のワイピング用織物を用いてなる、携帯電話、眼鏡、レンズ、液晶材料、大規模集積回路、電子情報材料、電子機器類、医薬品、医療用器具、真珠、宝石、家具、および自動車部品からなる群より選択されるいずれかの用途に使用されるワイピング製品が提供される。
本発明によれば、拭き取り性および捕塵性に極めて優れるワイピング用織物およびその製造方法およびワイピング製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
従来、ワイピングクロスやワイピングテープなどワイピング製品の多くは、布帛内の繊維表面積を大きくすることにより、吸着力が高まることを期待した極細繊維が使用されてきた。極細繊維を用いたワイピング製品の特徴としては、繊維間隙の毛細管現象により吸水性や吸油性が高まること、また、極細繊維特有のシャープ・マルチシェービング効果が期待できることがある。ここでシャープ・マルチシェービング効果とは、表面積が大きいことと一定面積における繊維数の多さを利用した効果である。対象物への繊維接触回数がはるかに多くなることにより極細繊維が微細な塵埃や油脂をそぎ取る。本発明は、超極細繊維の効果および、拭き取り対象物に対する適度な摩擦抵抗により、効率的に塵埃を拭き取り、その拭き取られた塵埃は、織物を構成する経糸と緯糸による凹凸構造差を形成し、くぼんだ交点(組織点)に捕集される織物構造を採用した点に特徴がある。太い繊維のみで構成された布帛や平坦な表面を持つ布帛で拭くと、繊維の移動により繊維全体に溜まった塵埃や油脂が再び繊維の下へ巻き込まれ、除去機能が劣る。一方、極細繊維のみで構成された布帛で拭くと、拭き取り対象物との摩擦抵抗が高くなりすぎ、かえって除去機能が劣る。
まず、本発明のワイピング用織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aはその単繊維径(単繊維の直径)が50〜1500nm(好ましくは100〜1000nm、特に好ましくは550〜800nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単糸繊度に換算すると、0.00002〜0.022dtexに相当する。ここで、単繊維径が50nm未満の場合には製造が困難となるだけでなく、繊維強度が低くなるため実用上好ましくない。逆に、単繊維径が1500nmを超える場合には、ワイピング用織物をワイピング製品として使用する際、十分な拭き取り性が得られず好ましくない。なお、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。また、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、1000以上(より好ましくは2000〜10000)であることが好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜200dtexの範囲内であることが好ましい。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸Aを構成する単繊維の直径の最大と最小の幅が、平均繊維直径の50%以内であることが、均一な拭き取り性が得られるため好ましい。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
一方、ポリエステルマルチフィラメント糸Bは、その単繊維径が5〜30μm(好ましくは10〜20μm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が5μmよりも小さいと布帛表面が平坦となり拭き取り性が損われるおそれがある。該単繊維径が30μmよりも大きいと布帛の剛性が高くなり拭き取り対象物の表面にキズをつけるおそれがある。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、前記と同様、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、10〜150本(好ましくは30〜150本)の範囲内であることが好ましい。前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、30〜110dtexの範囲内であることが好ましい。また、かかるポリエステルマルチフィラメント糸Bの繊維形態は長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸Bを形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
次いで、ポリエステルマルチフィラメント糸Dは、その単繊維径が8〜20μm(好ましくは10〜15μm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が8μmよりも小さいと布帛の剛性が小さくなり拭き取り時のハンドリングが困難におそれがある。該単繊維径が20μmよりも大きいと布帛表面が平坦となり拭き取り性が損われるおそれがあり、さらに布帛の剛性が高くなり拭き取り対象物の表面にキズをつけるおそれがある。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、前記と同様、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記ポリエステルマルチフィラメント糸Dにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、10〜300本(好ましくは30〜150本)の範囲内であることが好ましい。前記ポリエステルマルチフィラメント糸Dの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、30〜220dtexの範囲内であることが好ましい。また、かかるポリエステルマルチフィラメント糸Dの繊維形態は長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸Dを形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
本発明のワイピング用織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bが複合糸条Cとして、織物の経糸および緯糸のうちどちらか一方にのみ配され、他方には、前記のポリエステルマルチフィラメント糸Dが配されることが好ましい。複合糸条Cが織物の経糸および緯糸両方に配されていると、織物表面が平坦となり、さらに拭き取り時に対象物との摩擦抵抗が高くなりすぎ、拭き取り性が低下するおそれがある。
ここで、複合糸条Cは、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Aと前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bからなり、複合方法としては、インターレース空気加工、引き揃え仮撚捲縮加工、カバリング加工などが例示され、なかでも明確な芯鞘構造を形成する上でインターレース空気加工が好ましい。
本発明のワイピング用織物において、複合糸条Cに含まれるポリエステルマルチフィラメント糸Aの糸長DAと、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの糸長DBとの比DA/DBが1.05以上(好ましくは1.1〜1.4)であることが肝要である。該比DA/DBが1.05より小さいと布帛表面が平坦となり拭き取り性が損われるおそれがある。逆に該比DA/DBが1.4よりも大きいと、製編織する際の工程性が低下するおそれがある。
本発明のワイピング用織物において、前記複合糸条Cを、経浮き成分および/または緯浮き成分としてその浮き本数が2本以上の浮き組織を含む織物であることが肝要である。すなわち、前述の複合糸条Cを経浮きおよび/または緯浮き成分として、その浮き本数が2本以上の浮き組織を織物全体に、あるいは局所的に形成する。ここで、かかる浮き組織としては、サテン、ジャガード、ドビー、ツイル、昼夜織、二重織などの組織が挙げられる。
このように織物表面に複合糸条Cを浮き成分として存在させるにあたって、織物の一完全組織(one repeat)あるいは浮き模様部分において、複合糸条Cの浮きの割合(面積比)が、45〜95%(好ましくは50〜90%)の範囲にあるのが好ましい。浮きの割合が45%以下になると拭き取り性が低下する。一方、浮きの割合が95%を超えると織物を構成する経糸と緯糸との交点が極端に少なくなり、拭き取った塵埃を捕集する部位が少なくなり、繊維の移動により繊維全体に溜まった塵埃や油脂が再び繊維の下へ巻き込まれ、除去機能が劣るおそれがある。
次に、糸の浮き本数について述べる。浮き本数とは、経糸使いにあっては経糸が何本の緯糸を越えて緯糸と交差するかをみたときの「越える本数」である。例えば、経糸の浮き本数についていえば、1/1の平織物では浮き本数は1であり、2/2のツイルでは2、3/2のツイルでは3、4/1のサテンでは浮き本数は4である。さらに、緯糸の浮き本数については、2/3のツイルでは3、1/4のサテン組織では4となる。
本発明のワイピング用織物は、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、ポリエステルマルチフィラメント糸A用として島成分がポリエステルからなりかつ島成分の径が50〜1500nmである海島型複合繊維を用い、ポリエステルマルチフィラメント糸B用として単繊維径が5〜30μmのポリエステルマルチフィラメント糸を用いて複合糸条Cとし、一方、ポリエステルマルチフィラメント糸D用として単繊維径が5〜20μmのポリエステルマルチフィラメント糸を用いて、織物を織成した後、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、前記のワイピング用織物を製造することができる。
ここで、前記の海島型複合繊維において、該繊維を構成するポリマーは、海成分ポリマーが島成分ポリマーよりも溶解性が高い組合せであれば任意であるが、特に溶解速度比(海/島)が200以上であることが好ましい。かかる溶解速度比が200未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解させている間に繊維断面表層部の島成分の一部も溶解されるため、海成分を完全に溶解除去するためには、島成分の何割かも減量されてしまうことになり、島成分の太さ斑や溶剤浸食による強度劣化が発生して、毛羽やピリングなどの品位に問題が生じやすくなる。
海成分ポリマーは、好ましくは島成分との溶解速度比が200以上であればいかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。また、ナイロン6は、ギ酸溶解性があり、ポリスチレン・ポリエチレンはトルエンなど有機溶剤に非常によく溶ける。なかでも、アルカリ易溶解性と海島断面形成性とを両立させるため、ポリエステル系のポリマーとしては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。なお、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加効果が大きくなるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性・紡糸安定性などの点から好ましくなくなる。また、共重合量が10重量%以上になると、本来溶融粘度低下作用があるので、本発明の目的を達成することが困難になる。したがって、上記の範囲で、両成分を共重合することが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、海成分との溶解速度差があればいかなるポリエステルポリマーであってもよいが、前記のように繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる本発明の海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、多いほど海成分を溶解除去して極細繊維を製造する場合の生産性が高くなり、しかも得られる極細繊維の細さも顕著となって被研磨物に微細な溝を形成することが可能となるので100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。なお、島数があまりに多くなりすぎると紡糸口金の製造コストが高くなるだけでなく、加工精度自体も低下しやすくなるので10000以下とするのが好ましい。
次に、島成分の径は、50〜1500nmの範囲とする必要がある。また、海島複合繊維断面内の各島は、その径が均一であるほど海成分を除去して得られる極細マルチフィラメント糸からなる織物の品位や耐久性が向上するので好ましい。
前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が40%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方5%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
前記の海島型複合繊維において、その島間の海成分厚みが500nm以下、特に20〜200nmの範囲が適当であり、該厚みが500nmを越える場合には、該厚い海成分を溶解除去する間に島成分の溶解が進むため、島成分間の均質性が低下するだけでなく、毛羽やピリングなど着用時の欠陥や染め斑も発生しやすくなる。
前記の海島型複合繊維は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、まず溶融粘度が高く且つ易溶解性であるポリマーと溶融粘度が低く且つ難溶解性のポリマーとを、前者が海成分で後者が島成分となるように溶融紡糸する。ここで、海成分と島成分の溶融粘度の関係は重要で、海成分の比率が小さくなって島間の厚みが小さくなると、海成分の溶融粘度が小さい場合には島間の一部の流路を海成分が高速流動するようになり、島間に接合が起こりやすくなるので好ましくない。
溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面形成がなされるいかなる紡糸口金でもよい。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。
吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。
ここで、特に微細な島径を有する海島型複合繊維を高効率で製造するために、通常のいわゆる配向結晶化を伴うネック延伸(配向結晶化延伸)に先立って、繊維構造は変化させないで繊維径のみを極細化する流動延伸工程を採用することが好ましい。流動延伸を容易とするため、熱容量の大きい水媒体を用いて繊維を均一に予熱し、低速で延伸することが好ましい。このようにすることにより延伸時に流動状態を形成しやすくなり、繊維の微細構造の発達を伴わずに容易に延伸することができる。このプロセスでは、特に海成分および島成分が共にガラス転移温度100℃以下のポリマーであることが好ましく、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルに好適である。具体的には60〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲の温水バスに浸漬して均一加熱を施し、延伸倍率は10〜30倍、供給速度は1〜10m/分、巻取り速度は300m/分以下、特に10〜300m/分の範囲で実施することが好ましい。予熱温度不足および延伸速度が速すぎる場合には、目的とする高倍率延伸を達成することができなくなる。
得られた流動状態で延伸された延伸糸は、その強伸度などの機械的特性を向上させるため、定法にしたがって60〜220℃の温度で配向結晶化延伸する。該延伸条件がこの範囲外の温度では、得られる繊維の物性が不十分なものとなる。なお、この延伸倍率は、溶融紡糸条件、流動延伸条件、配向結晶化延伸条件などによって変わってくるが、該配向結晶化延伸条件で延伸可能な最大延伸倍率の0.6〜0.95倍で延伸すればよい。
以上に説明した海島型複合繊維と前述ポリエステルマルチフィラメント糸Bとを用いて複合糸条Cとし、一方、前述ポリエステルマルチフィラメント糸Dを用いて、織物を織成した後、前記の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、本発明の織物が得られる。なお、前記のアルカリ水溶液による海成分の溶解除去処理の前および/または後に染色加工や親水加工など各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた織物は、前記の複合糸条Cに含まれる極細繊維のポリエステルマルチフィラメント糸Aの効果と織物表面の凹凸構造の効果により優れた拭き取り性を呈する。その際、KES風合い計測器で測定した織物表面の摩擦係数が0.5〜0.9の範囲内であり、かつ織物の表面粗さが0.5〜3.5μmの範囲内であると優れた拭き取り性が得られ好ましい。
次に、本発明のワイピング製品は、前記のワイピング用織物を用いてなる、携帯電話、眼鏡、レンズ、液晶材料、大規模集積回路、電子情報材料、電子機器類、医薬品、医療用器具、真珠、宝石、家具、および自動車部品からなる群より選択されるいずれかの用途に使用されるワイピング製品である。かかるワイピング製品は、拭き取り性および捕塵性に極めて優れている。なお、かかるワイピング製品の形状は特に限定されず、ワイピングクロス、ワイピングテープ、マスコット形状をした携帯ストラップなどいずれでもよい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<単繊維径と繊維径の均一性>透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維の横断面を撮影することにより測定した。n数5で測定しその平均値を求め、その最大値と最小値の幅が平均値の50%より小さいものを○、大きいものを×とした。
<摩擦係数および表面粗さ>KES風合い計測器による表面特性測定法に従って測定した。
<糸長の測定>織物から、複合糸を取り出し30cmの長さに裁断する(n数=5)。続いて、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bを1本ずつ取り出し、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけてポリエステルマルチフィラメント糸Aの糸長DA(mm)、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの糸長DB(mm)を測定し、(糸長DAの平均値)/(糸長DBの平均値)をDA/DBとした。
<ワイピング性能>ガラス板に定量の人工汚れ(カーボンブラックおよび牛脂極度硬化油および流動パラフィンのヘキサン希釈液)を滴下し、常温で1時間以上風乾させてスポット状の汚れを付着させた。その後、ガラス板に対し、ワイピング布で押圧荷重5g/cm2、拭き取り速度10cm/minで拭き取り動作を行った。拭き取り後のガラス板について5名のモニターにより官能評価を行った。モニターはガラス板を見た時の状態を次の基準により評価し、15点以上のものは「○」、15点以下のものは「×」と判定した。
5点:ガラス板に汚れがあったことは全く感じられず、非常にきれいである。
4点:ガラス板に汚れがあったことは感じられず、きれいである。
3点:ガラス板に汚れがあったかもしれないが、まあきれいである。
2点:ガラス板に汚れがあったであろうと推測されるほど、少し汚い。
1点:ガラス板に汚れがあったであろうと確信できるほど、汚い。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント糸A用糸条とした。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bとして、高熱収縮性のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸33dtex/12filを用意し、前記ポリエステルマルチフィラメント糸A(2本)とポリエステルマルチフィラメント糸B(1本)とを引き揃えてインターレース加工により複合糸条Cを得た。
一方、ポリエステルマルチフィラメント糸Dとして、ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸84dtex/72filを300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、前記複合糸条Cを300回/m(Z方向)にて撚糸し、緯糸に全量配し、経密度220本/2.54cm、緯密度150本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により4/1のサテン組織(複合糸条Cの浮き糸本数4本)の織物生機を得た。
次いで、該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて13.2%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し15%であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は16μmであった。また、DA/DBは1.15であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dの単繊維径は10.5μmであった。また、織物表面において、摩擦係数は0.72、表面粗さは0.94μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「○」であった。
[実施例2]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸56dtex/10fil(ポリエステルマルチフィラメント糸A)を得た後、同様に該糸2本と高熱収縮性のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸33dtex/12fil(単繊維径16μm、ポリエステルマルチフィラメント糸B)との複合糸条Cを得た。
その後、実施例1と同様にポリエステルマルチフィラメント糸Dとしてポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸84dtex/72fil(単繊維径10.5μm)を300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、前記の複合糸条Cを300回/m(Z方向)にて撚糸し、緯糸に全量配し、経密度150本/2.54cm、緯密度131本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により2/2ツイル組織(複合糸条Cの浮き糸本数2本)の織物生機を得た。
次いで、実施例1と同様に該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて15.8%減量(アルカリ減量)した。その後、実施例1と同様に常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し29%であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は16μmであった。またDA/DBは1.10であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dの単繊維径は10.5μmであった。また、織物表面において、摩擦係数は0.55、表面粗さは1.68μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「○」であった。
[比較例1]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸56dtex/10fil(ポリエステルマルチフィラメント糸A)を得た後、同様に該糸2本と高熱収縮性のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸33dtex/12fil(ポリエステルマルチフィラメント糸B)との複合糸条Cを得た。
その後、実施例1と同様にポリエステルマルチフィラメント糸Dとしてポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸84dtex/72filを300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、前記の複合糸条Cを300回/m(Z方向)にて撚糸し、緯糸に全量配し、経密度156本/2.54cm、緯密度105本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
次いで、実施例1と同様に該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて14.9%減量(アルカリ減量)した。その後、実施例1と同様に常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し23%であった。またDA/DBは1.06であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は16μmであった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dの単繊維径は10.5μmであった。また、織物表面においては摩擦係数は0.45、表面粗さは3.62μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「×」であった。
[比較例2]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸56dtex/10fil(ポリエステルマルチフィラメント糸A)を得た後、同様に該糸2本と通常のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸56dtex/24fil(単繊維径14.8μm、ポリエステルマルチフィラメント糸B)との複合糸条Cを得た。
その後、実施例1と同様にポリエステルマルチフィラメント糸Dとしてポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸84dtex/72filを300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、前記の複合糸条Cを300回/m(Z方向)にて撚糸し、緯糸に全量配し、経密度200本/2.54cm、緯密度138本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により4/1のサテン組織(複合糸条Cの浮き糸本数4本)の織物生機を得た。
次いで、実施例1と同様に該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて12.2%減量(アルカリ減量)した。その後、実施例1と同様に常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し23%であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は14.8μmであった。また、DA/DBは1.02であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dの単繊維径は10.5μmであった。また、織物の表面において、摩擦係数は0.52、表面粗さは0.63μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「×」であった。
[比較例3]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸56dtex/10fil(ポリエステルマルチフィラメント糸A)を得た後、同様に該糸2本と高熱収縮性のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸33dtex/12fil(ポリエステルマルチフィラメント糸B)との複合糸条Cを得た。
その後、実施例1と同様にポリエステルマルチフィラメント糸Dとしてポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸84dtex/15filを300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、前記の複合糸条Cを300回/m(Z方向)にて撚糸し、緯糸に全量配し、経密度220本/2.54cm、緯密度150本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により4/1のサテン組織の織物生機を得た。
次いで、該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて13.9%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し13%であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は16μmであった。また、DA/DBは1.15であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Dの単繊維径は22.8μmであった。また、織物表面において、摩擦係数は0.67、表面粗さは0.45μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「×」であり、ガラス板に微小なキズも見られた。
[比較例4]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸56dtex/10fil(ポリエステルマルチフィラメント糸A)を得た後、同様に該糸2本と高熱収縮性のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸33dtex/12fil(ポリエステルマルチフィラメント糸B)との複合糸条Cを得た。該糸を300回/m(Z方向)にて撚糸し、経糸および緯糸に全量配し、経密度170本/2.54cm、緯密度150本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により4/1のサテン組織の織物生機を得た。
次いで、該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて25.5%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの平均繊維径は700nm、最大値と最小値の幅は平均繊維径に対し30%であった。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維径は16μmであった。また、DA/DBは1.12であった。また、織物表面において、摩擦係数は0.97、表面粗さは0.41μmであった。得られた織物を用いてワイピングクロスを得て、ワイピング試験を実施した。ワイピング性能は「×」であった。
本発明によれば、拭き取り性および捕塵性に極めて優れるワイピング用織物およびその製造方法およびワイピング製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (5)

  1. ワイピング用織物であって、単繊維径50〜1500nmの、フィラメント数が1000本以上のポリエステルマルチフィラメント糸Aと単繊維径が5〜30μmのポリエステルマルチフィラメント糸Bとを含む複合糸条Cが織物の経糸および緯糸のうちどちらか一方にのみ配され、他方には単繊維径が8〜20μmかつフィラメント数が72〜300本のポリエステルマルチフィラメント糸Dが全量配され、かつ、前記複合糸条Cにおいて、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの糸長DAと、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの糸長DBとの比DA/DBが1.05以上であり、かつ前記複合糸条Cを、経浮き成分および/または緯浮き成分としてその浮き本数が2本以上の浮き組織を含むことを特徴とするワイピング用織物。
  2. 前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条である、請求項1に記載のワイピング用織物。
  3. 前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bにおいて、フィラメント数が10〜150本、かつ総繊度が30〜110dtexの範囲内である、請求項1または請求項2に記載のワイピング用織物。
  4. ポリエステルマルチフィラメント糸Dにおいて、総繊度が30〜220dtexの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載のワイピング用織物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のワイピング用織物を用いてなる、携帯電話、眼鏡、レンズ、液晶材料、大規模集積回路、電子情報材料、電子機器類、医薬品、医療用器具、真珠、宝石、家具、および自動車部品からなる群より選択されるいずれかの用途に使用されるワイピング製品。
JP2008185969A 2008-07-17 2008-07-17 ワイピング用織物およびワイピング製品 Active JP5178367B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008185969A JP5178367B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 ワイピング用織物およびワイピング製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008185969A JP5178367B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 ワイピング用織物およびワイピング製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010024570A JP2010024570A (ja) 2010-02-04
JP5178367B2 true JP5178367B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=41730656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008185969A Active JP5178367B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 ワイピング用織物およびワイピング製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5178367B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009060985A1 (ja) * 2007-11-09 2009-05-14 Teijin Fibers Limited 布帛および複合シートおよび研磨布およびワイピング製品
JP5810802B2 (ja) * 2011-09-29 2015-11-11 東レ株式会社 研磨布
JP5970801B2 (ja) * 2011-12-13 2016-08-17 東レ株式会社 洗浄加工布および磁気記録媒体用基板表面の洗浄方法
JP6360764B2 (ja) * 2014-09-30 2018-07-18 富士フイルム株式会社 反射防止フィルム、反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルムと清掃用布を含むキット
EP3305956A4 (en) * 2015-05-27 2019-01-16 Toray Industries, Inc. FABRIC
ES2969446T3 (es) * 2016-04-20 2024-05-20 Teijin Frontier Co Ltd Productos de hilo, tejido y fibra

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2890533B2 (ja) * 1989-10-12 1999-05-17 東レ株式会社 セーム皮調ワイピングクロスおよびその製造方法
JP4315009B2 (ja) * 2004-02-10 2009-08-19 東レ株式会社 混繊糸およびそれからなる繊維製品
JP4598600B2 (ja) * 2005-05-31 2010-12-15 帝人ファイバー株式会社 ワイピングクロス
JP2007308821A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Teijin Fibers Ltd 研磨布用織物およびその製造方法および磁気デイスク研磨布

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010024570A (ja) 2010-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4571541B2 (ja) 透湿防水性ポリエステル織物の製造方法
TWI723152B (zh) 紗線及布帛及纖維製品
JP5178367B2 (ja) ワイピング用織物およびワイピング製品
JP5543213B2 (ja) ワイピング製品
JP5356771B2 (ja) グローブ用布帛および繊維製品
JP2007308821A (ja) 研磨布用織物およびその製造方法および磁気デイスク研磨布
JP6271856B2 (ja) 布帛の製造方法および繊維製品の製造方法
JP4598600B2 (ja) ワイピングクロス
JP5275587B2 (ja) 極細二層構造糸及びそれからなるワイピングクロス
JP5096049B2 (ja) 研磨布用織物およびその製造方法および研磨布
JP2010018907A (ja) 布帛および繊維製品
JP2010209499A (ja) ワイピング用布帛およびワイピング製品
JP4922668B2 (ja) 防透性織編物およびその製造方法および繊維製品
JP5155124B2 (ja) 揚柳調布帛の製造方法および揚柳調布帛
JP5442985B2 (ja) 染色されたカーシート用布帛の製造方法および染色されたカーシート用布帛
JP2005248357A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2011157647A (ja) ワイピングクロス
JP2010255143A (ja) 防汚性ポリエステル布帛およびその製造方法および繊維製品
JP2010233865A (ja) 洗浄用具
JP5071097B2 (ja) 海島型ポリエステル複合繊維
JP5065769B2 (ja) 研磨布用織物およびその製造方法および研磨布
JP2005047020A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2012207361A (ja) 極細繊維及び該極細繊維を含むワイピングクロス
JP7201395B2 (ja) グローブ用布帛および繊維製品
US20240110314A1 (en) Conjugate fiber and multifilament

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110426

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110706

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120619

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5178367

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160118

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160118

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250