JP5029104B2 - 研磨布 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェハや磁気記録ディスクなどの仕上げ加工における、研磨加工及び/またはクリーニング加工を施す際に好適に用いられ得る研磨布に関し、ナノファイバーレベルの極細繊維を表面に分散させることで、優れた平滑性と高い研磨性能を有する研磨布に関するものである。
近年、磁気ディスク等の磁気記録媒体は、高容量化、高記憶密度化に伴い、磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)が著しく低くなる傾向にある。そのため、磁気ディスク表面に突起などの異常欠点が存在すると、磁気ヘッドと異常欠点とが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起であっても、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因につながる。
磁気記録媒体の製造方法としては、アルミニウム合金基板またはガラス基板に対し、研磨パッドを用いたスラリー研削を行った後、磁性体をスパッタリングにより形成している。一般に、硬質ポリウレタンフォームやポリウレタン含浸型の不織布からなる研磨パッドを用いてスラリー研削を行った後のディスク表面は、傷や微小な突起が多数存在し平滑性に乏しいことから、傷や微小な突起を除去して平滑性を高めるため、不織布や織物からなるテープ状の研磨布表面に遊離砥粒を付着させて研削を行ってきた。加工としては、研磨布をテープ状として用い、アルミニウム合金基板またはガラス基板を連続回転させた状態で、研磨テープを基板に押し付けながら、基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させる。その際、遊離砥粒を含んだスラリーを研磨テープと基板との間に供給することで、遊離砥粒が研磨テープ表面の繊維に微分散した状態で把持され、これが基板に接触することで研磨が進行するものである。
中でも従来の長手(面内)磁気記録方式の磁気記録ディスクの製造においては、テープ状の研磨布でのスラリー研削により、記録ディスクの基板表面に略同心円状に微細な条痕を形成させることによって、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際に磁性体の結晶成長の方向性が制御されることで記録方向の抗磁力が向上し、高記録密度化が可能となる。この長手磁気記録方式におけるスラリー研削は、テクスチャー加工と呼ばれている。
一方最近では、磁気記録ディスクの記録方式が従来の長手磁気記録方式から垂直磁気記録方式に移行するに伴い、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削及び/またはスラリーを用いないクリーニング加工により、平滑性を向上させるという要求が高まってきている。この際、表面平滑化のためには、長手磁気記録方式で要求されたディスク基板表面への微細な条痕の形成を抑制する必要がある。
テープ状の研磨布を用いたスラリー研削及び/またはクリーニング加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、0.2nm以下の基板表面粗さを達成し、かつスクラッチ欠点と呼ばれる基板表面の傷を極小化することが要求されており、その要求に対応しうる研磨布が切望されている。基板表面粗さを小さくするため、不織布を構成する繊維を極細化し、基板表面への傷を極小化するため、クッション性を持たせるべく不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされている。
例えば、0.03dtex以下のポリアミド極細繊維不織布からなる研磨布(特許文献1)が提案されており、実施例中では最も細いもので10−4オーダーの極細繊維が用いられている。しかし、研磨布を用いた加工では、表面粗さは0.4nm程度であり、さらなる表面粗さの低下を達成するため、ナノファイバーレベルの超極細繊維が求められている。
ナノファイバーレベルの極細繊維を用いた研磨布として、例えば特許文献2では、ポリマーアロイ繊維を用い、1×10−8〜4×10−4dtexの超極細繊維からなる研磨布が開示されている。しかし、研磨布の極細繊維は束状に集束した状態であって、束状繊維としての性質が支配的となり、表面粗さの低下といった超極細繊維の優位性を充分に発揮できるものではなかった(実施例中の基板表面粗さとしては0.21〜0.30nm程度)。そのため、最近の垂直記録方式の磁気記録ディスクにおいて求められる平滑性ならびにスクラッチ・突起の極少化を満足できる研磨布が切望されていた。
特開2002−79472号公報 特開2005−329534号公報
本発明の目的は、ハードディスクなどの精密研磨用途において、ナノファイバーレベルの超極細繊維を表面に有することにより、スクラッチおよび微小な突起の除去を達成することが可能な、高性能研磨布を提供することである。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)静電紡糸法により製造された、平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維構造体と、平均繊維径が0.50〜10μmの細繊維構造体が積層した複合繊維構造体とからなることを特徴とする研磨布。
(2)静電紡糸法により製造された、平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維構造体と、高分子弾性体層が積層した複合構造体とからなることを特徴とする研磨布。
(3)前記複合繊維構造体が、高分子弾性体を含むことを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(4)前記高分子弾性体がポリウレタンであることを特徴とする前記(2)または(3)のいずれかに記載の研磨布。
(5)前記細繊維構造体および高分子弾性体の表面が、JIS K−6253Aに基づいて測定される硬度が30〜60°であることを特徴とする、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の研磨布。
(6)片面に補強層が積層されていることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の研磨布。
本発明の研磨布は、研磨布表面の超極細繊維の分散性、均一性に優れているため、磁気記録ディスクなどの基板表面に対し、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削及び/またはスラリーを用いないクリーニング加工において、スクラッチ及び微小な突起の発生を極少化することが可能となり、また垂直記録方式の記録ディスクにて要求される微細な条痕の抑制を満足できる高性能研磨布を提供できるものである。
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明において、極細繊維構造体とは平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維からなる構造体であり、細繊維構造体とは平均繊維径が0.50〜10μmの細繊維からなる構造体をいい、その構造は特に限定されるものではない。
本発明の研磨布に用いられる極細繊維構造体層の平均繊維径は、研磨布表面の繊維強度及び砥粒の把持性の点から、1.0nm〜1.0μmであることが好ましい。1.0nm以上とすることで、研削に必要とされる充分な繊維強度を得ることができ、砥粒を的確に把持できる。一方、1.0μm以下とすることで、砥粒を微分散化でき、研磨布表面における砥粒分布を均一化させることができる。平均繊維径のより好ましい範囲としては1.0nm〜0.50μmである。なお、平均繊維径は後述する測定方法により測定した値をいう。すなわち、研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、繊維300本の繊維径を有効数字3桁で測定し、これを母集団とした平均値を有効数字2桁で算出し、この平均値を平均繊維径とする。なお、繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積を算出した後、同じ面積をもつ円の直径を繊維径とみなすものとする。
研磨布表面に分散化した平均繊維径1.0nm〜1.0μmの極細繊維を得るには、単純な直接紡糸法では困難である。また極細短繊維を用いた抄紙法でも良いように思われるが、繊維長が短いことに起因する繊維の脱落、さらには加工時の生産性などの観点から研磨布に使用するには問題がある。一方、海島型複合紡糸法やポリマーブレンド、チップブレンドなどの極細繊維発生型繊維を用いる方法は研磨布用途にも好ましいが、繊維が束状となりやすく、極細繊維の分散性を優先させると静電紡糸法を用いることがより好ましい。
本発明の研磨布に用いられる平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維のポリマーとしては、静電紡糸法にて紡糸可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル系、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル系、ナイロン6(N6)、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートなどのメタクリレート系、ポリノルマルプロピルアクリレート、ポリノルマルブチルアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレートなどのアクリレート系、および、ポリブチルイソシアネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、およびこれらの共重合体などが挙げられる。こらのうち、紡糸の簡便性、得られる繊維による研磨性能が良好であることから、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系などが好ましい。また、ポリマーの性能をを損なわない範囲で、他の高分子や他の化合物を併用してもよい。
本発明の研磨布は上述した極細繊維構造体に加えて、細繊維構造体を有することにより適度なクッション性を得ることができ、極細繊維集合体のみでは得られなかった高い研磨性能を得ることが可能となる。一般的な構造としては極細繊維集合体と細繊維集合体が積層しており、研磨布表面に極細繊維集合体を有するものが好ましい。細繊維集合体としては、その構造は特に限定されないが、基材としてはポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等からなる織編物、不織布などが好適に用いられる。
また、細繊維構造体の平均繊維径は0.50〜10μmの範囲が好ましい。0.50μm以上とすることで充分な強力、クッション性を得ることができるため好ましい。また、10μm以下とすることで、細繊維構造体層の柔軟性を得ることができ、また細繊維が研磨布表面に露出した場合でも、スクラッチなどの異常欠点になりにくいため好ましい。
本発明の研磨布はクッション性を向上させる目的で高分子弾性体を含んでいてもよく、一般に、研磨布表面に極細繊維層、非研磨面として高分子弾性体層を有するものが好ましい。高分子弾性体層としては、不織布などのシート状物に含浸したものであっても良いし、乾式法などにより得られたシート状の高分子弾性体のみであっても良い。用いる高分子弾性体としては特に限定はないが、例えば、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができるが、中でもポリウレタン、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール成分にポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタンの重量平均分子量は50,000〜300,000が好ましく、より好ましくは100,000〜250,000である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、得られるシート状物の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて不織布への含浸を行いやすくすることができる。
また、高分子弾性体は、主成分としてポリウレタンを用いることが好ましいが、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良く、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明において、不織布などのシート状物への高分子弾性体の付与量は、研磨布表面繊維の緻密性、クッション性などを考慮し、固形分として対繊維重量比で10〜200重量%の範囲が好ましい。好ましくは20〜100重量%の範囲である。
本発明の細繊維集合体層、および高分子弾性体層はJIS K−6253Aの規定に基づいて測定される硬度が30〜60°であることが好ましい。硬度を30°以上とすることで、砥粒の押付力が充分に伝わり、60°以下とすることでスクラッチ欠点の抑制や低表面粗さを達成できる。
本発明の研磨布をテープ状、あるいはパッド状として研磨加工を施す際に、大きな寸法変化が生じると、基板表面を均一に研磨することができないため、研磨布の形態安定性の点から、本発明に用いられる細繊維集合体層、および高分子弾性体層の目付は50〜2000g/mであることが好ましく、100〜1000g/mであることがより好ましく、さらに好ましくは150〜600g/mの範囲である。また、同様の観点から本発明の細繊維集合体および高分子弾性体層は厚みが0.1〜5mmの範囲が好ましく、0.2〜3mmの範囲がより好ましい。均一な加工性を得るために見掛け密度としては、0.2〜0.9g/cmの範囲が好適であり、より好ましくは0.3〜0.8g/cmの範囲である。
なお、研磨布表面の極細繊維集合体層の目付としては0.3〜10g/mの範囲が好ましい。0.3g/m以上とすることで細繊維集合体層として充分な性能を発揮することができ、10g/m以下とすることで、極細繊維集合体層と積層を行った層間剥離などを防ぐことができるため好ましい。
本発明の各層の目付はJIS L 1096 8.4.2(1999)に準拠して測定した。また、見掛け密度については、各集合体層の厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名”ピーコックH”)にて任意の10点を測定し、平均値を算出し、目付を厚みで除することにより算出した。
本発明では、スクラッチ欠点抑制の点から、研磨布中に含まれる金属あるいは金属化合物の含有量は、研磨布の総重量に対する金属元素の重量として100ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましく、全く含有していないことが更に好ましい。100ppm以下であれば、金属あるいは金属化合物が基板表面に接触することによる、スクラッチ欠点及の発生を抑制できるため、好ましい。
研磨布中に含まれる金属あるいは金属化合物の例としては、鉄、酸化鉄、繊維ポリマーの添加剤として用いられる二酸化チタンなどが挙げられる。
更に、研磨加工時の加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑える点から、複合繊維構造体からなる研磨布に対し、さらに研磨布の細繊維を有する面の裏面に補強層を接着する方法が好適に用いられる。
補強層としては、寸法安定性が得られれば特に限定されるものではなく、織編物や熱接着繊維を用いた不織布、フィルム状物を用いることが好ましい。中でも、高精度の研磨加工を行うには、厚みや物理特性において均一なフィルム状物を使用することがより好ましい。
ここでいうフィルムとなる素材としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系およびポリフェニルサルファイド系などのフィルム形状を有するものであれば使用可能である。汎用性を考えた場合、ポリエステルフィルムを使用することが好ましい。フィルムからなる補強層を設ける場合には、研磨加工時の研磨布の形態安定性、クッション性および基板表面へのフィット性を全て満足させる必要があるため、不織布からなるシート状物との厚みバランスをとることが重要である。不織布からなるシート状物の仕上がり厚みとしては0.2mm以上であることが好ましく、生産性の点からより好ましくは0.2〜2.0mmの範囲である。そのため、フィルムの厚みは20〜100μmとすることが好ましい。不織布からなるシート状物の厚みが0.2mm未満の場合、研磨加工時の寸法変化を抑えるため補強層が必要である。一方、フィルム層の厚みが20μm未満であると、研磨加工時の寸法変化を抑えられず、100μmを超えると、研磨布全体の剛性が高くなりすぎ、結果としてスクラッチなどの発生を抑えることができないため好ましくない。
次に、本発明の研磨布の製造方法について詳細に記述する。
本発明の極細繊維構造体は静電紡糸法により製造される。静電紡糸法により製造された極細繊維は束状になりにくく、極細繊維が分散しているため研磨加工において砥粒を的確に把持できるため好ましい。静電紡糸法とは従来公知の手法であって、繊維形成可能な化合物を溶解させた溶液にをノズル等から供給し、電界を作用させることによって延伸し、繊維形成するものである。
次に静電紡糸法について具体的に説明する。
まず、極細繊維構成材料を溶解させた紡糸溶液を準備する。紡糸溶液の溶媒としては、極細繊維構成材料を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、フェノール、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリルなどを挙げることができるが、これらの溶媒に限定されるものではなく、2種類以上の混合溶媒としても使用可能である。また、ポリマーの溶解性や、紡糸安定性を向上させるために、無機塩や有機塩、可塑剤などを上記溶媒に加えても良い。なお、これらの溶媒に溶解させるポリマーの種類は前述の通りである。
また、溶液中のポリマーの濃度は1〜40重量%であることが好ましい。1重量%以上とすることで繊維構造体を形成するのに充分な濃度を確保でき、40重量%以下とすることで、得られる繊維の平均繊維径をナノファイバーレベルに制御することが可能となる。より好ましくは2〜30重量%の範囲である。
紡糸溶液をノズルへ供給し、ノズルから紡出し、紡出された紡糸溶液に電界を作用させて極細繊維化するものである。紡糸溶液を紡出するノズルの直径(内径)としては極細繊維の平均直径に影響するため、繊維径1.0μm以下の極細繊維を得るためには好ましくは0.1〜2.0mm程度とすることが好ましい。
ノズルから紡糸溶液を紡出した後、紡出した紡糸溶液に電界を作用させて延伸、極細化する。この電界の大きさとしては特に限定されるものではないが、極細繊維の直径を所望の範囲とするためには、0.1〜5kV/cmであることが好ましい。0.1kV/cm以上とすることで繊維形成が可能となり、5kV/cm以下とすることで空気の絶縁破壊を未然に防ぐことができるため好ましい。
電界は、例えばノズルと集積体の間に電位差を設けることによって作用させることができる。印加電圧としては上述した電界強度が得られれば特に限定されるものではないが、5〜50kVの範囲が好ましく、より好ましくは5〜30kVの範囲である。
前記極細化した極細繊維を捕集体上に積層させた極細繊維集合体層を形成することができる。捕集体としては、極細繊維を捕集可能なものであれば特に限定されないが、例えば、金属製などの導電性材料、非導電性材料として不織布、織編物、ネット、ドラム、ベルトなどを使用可能である。
本発明の研磨布は、上述した極細繊維集合体層に加えて、平均繊維径が0.50〜10μmの細繊維集合体からなるクッション層を設けることにより、表面にナノファイバーレベルの極細繊維を有し、かつ平滑性、クッション性、寸法安定性に優れた高研磨性能を得ることが可能となる。
細繊維集合体層としては特に限定されるものではないが織編物、不織布などが好適に用いられるが、集合体層全体のうねり、厚み・目付の均一性、クッション性などの観点から不織布が好適に用いられる。
本発明における細繊維構造体を構成する不織布を得る方法としては、特に限定されるものではないが、平均繊維径が0.50〜10μmの細繊維を得るために、単成分紡糸や海島型複合紡糸、分割型複合紡糸、静電紡糸法など公知の極細化手法を用いることができる。中でも得られる細繊維の繊維径を細くできることなどの観点から、海島型複合紡糸から得られる細繊維が好ましい。また、不織布の構成としては、紡糸、延伸、捲縮、カットを経て得られた短繊維をカード、クロスラッパーを用いて幅方向に配列させた積層ウェブを形成させた後にニードルパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンドやメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、抄紙法で得られる不織布、静電紡糸法により得られる不織布などを用いることができる。中でも研磨布としての平滑性、目付ムラ、寸法安定性、クッション性などの観点から、短繊維不織布が好適に用いられる。
短繊維不織布の繊維ウェブの絡合方法は特に限定されるものではないが、ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの方法を適宜組み合わせることが出来る。
ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による緻密な表面状態の達成の観点から500〜8000本/cmであることが好ましい。500本/cm以上とすることで表面繊維の緻密性を得ることができ、8000本/cm以下とすることで、加工性の悪化、繊維の損傷による強度低下を防ぐことができるため好ましい。ニードルパンチング後の複合繊維不織布の繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.20〜0.50g/cmの範囲であることが好ましい。ウォータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。このようにして得られた複合繊維不織布は、緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させる方法を採用しても良い。
細繊維集合体を構成する海島型複合繊維から極細繊維を発現せしめる方法、すなわち、細繊維発生加工は、除去する成分(易溶解性ポリマーからなる海成分)の種類によって異なるが、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、PLAや共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。
本発明の研磨布は、前記細繊維集合体層を極細繊維化処理する前および/または前記細繊維集合体層を極細繊維化処理した後、もしくは極細繊維集合体層と積層後のいずれかのプロセスで、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を付与させても良い。かかる高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、不織布の内部空間に高分子弾性体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物表面の傷の抑制効果に優れるものである。
かかるポリウレタンの不織布への付与方法としては、ポリウレタンを塗布、あるいは含浸後凝固させる方法などを適宜採用することができるが、中でも加工性の点から、不織布中にポリウレタン溶液を含浸した後に、湿式凝固させる方法が好ましく使用される。
使用する高分子弾性体については前述の通りであるが、高分子弾性体を付与させる際に用いる溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、水中にエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンを用いてもよい。溶媒に溶解した高分子弾性体溶液に不織布を浸漬する等して高分子弾性体を不織布に付与し、その後、乾燥することによって高分子弾性体を実質的に凝固し固化させる。乾燥にあたっては不織布及び高分子弾性体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
本発明の研磨布は、例えば、上述した極細繊維集合体層と細繊維集合体層および/または高分子弾性体層を別々に製造した後に、フラットロールなどを用いたカレンダー加工などにより、厚みを加圧圧縮することで一体化することが可能である。カレンダー加工時には極細繊維層の性能を損なわない範囲で加熱してもよいし、加熱しなくてもよい。この加圧圧縮加工は、乾燥、湿潤いずれの状態でも実施可能であるが、乾燥状態であると、表面繊維のロールへの接着、表面部分のみの融着を引き起こす場合があるため、この加工は湿潤状態で行うことが好ましい。湿潤状態では熱伝導率が乾燥状態対比高く、結果として研磨布全体を均一に圧縮できるため好ましい。
本発明の複合繊維構造体からなる研磨布にさらに補強層を接着する方法としては、熱圧着法、フレームラミ法、補強層とシート状物との間に接着層を設けるいずれの方法を採用してもよく、接着層としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものが使用可能である。コストや実用性を考えると、NBRやSBRのような接着剤が好ましい。接着剤の付与方法としては、エマルジョンや、ラテックス状態でシート状物に塗布する方法が好適に用いられる。
本発明の研磨布を用いて、研磨加工を行う方法としては、加工効率と安定性の観点から、研磨布を30〜50mm幅のテープ状にカットして、研磨加工用テープとして用いる。
この研磨加工用加工テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクまたはガラス磁気記録ディスクの研磨加工を行う方法、この加工テープと水系洗浄剤とを用いて前記ディスクのクリーニング加工が好適な方法である。研磨条件として、スラリーはダイヤモンド微粒子やコロイダルシリカなどの砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。なお、砥粒の保持性と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した1次砥粒径としては1〜200nmが好ましく、より好ましくは1〜100nmである。また、1次砥粒がクラスター化した2次粒子からなる砥粒を用いても良い。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について、以下に説明する。
(1)ポリマーの硫酸相対粘度
研磨布より細繊維成分以外の成分を溶解等により除去し、細繊維のみを取り出し、細繊維0.25gを直示天秤で精秤する(0.25±0.005g)。次いで精秤した試料を25mlの濃硫酸にて溶解し、試料溶液とする。次いで、25±0.5℃に昇温した恒温槽にセットされた粘度管(濃硫酸の落下秒数が100±20秒のもの)に、試料溶液を15ml注入した後、試料溶液の落下時間を測定する。この操作を3回繰り返し実施し、平均値Tを求める。同様の操作を、試料を溶解していない濃硫酸についても3回繰り返し実施し、平均値T0を求め、T/T0を硫酸相対粘度とする。
(2)平均繊維径
研磨布を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、繊維300本の繊維径を有効数字3桁で測定し、これを母集団とした平均値を有効数字2桁で算出し、この平均値を平均繊維径とする。なお、繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積を算出した後、同じ面積をもつ円の直径を繊維径とみなすものとする。
TEM装置 : (株)日立製作所製 H−7100FA型
SEM装置 : (株)キーエンス社製 VE−7800型
(3)目付
極細繊維および細繊維集合体それぞれについて、JIS L 1096 8.4.2(1999)に準拠して測定した。
(4)見掛け密度
細繊度集合体の厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名”ピーコックH”)にて任意の10点を測定し、平均値を算出した。(3)にて得られた目付を、厚みで除することにより、見掛け密度を有効数字2桁で算出した。
(5)細繊維集合体層および高分子弾性体層の硬度
JIS K−6253Aの規定に基づき、大きさ7cm×7cmの試料片を10枚準備した。この中の一枚を高分子計器社のASKER A型硬度感知部を取付けたCL−150低圧荷重硬度計に取り付け、室温20℃、湿度60%下にて硬度を測定した。同様の方法にて計10枚の硬度を測定し、得られた試料硬度の平均値を細繊維集合体層、および高分子弾性体層の硬度として評価した。
(6)基板表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope IIIaAFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、研磨加工後のディスク基板サンプル5枚の両面、すなわち計10表面の各々について、任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)を抽出した。次いで、この10カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出し、得られた断面プロファイル各々について、JIS B 0601(2001年版)に準拠して、算術平均粗さRaを算出する。得られた10表面×10点=合計100点の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(7)スクラッチ点数
研磨加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ2nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。
(実施例1)
(極細繊維集合体層の作製)
室温(25℃)にて、N6試薬を15wt%濃度でギ酸溶媒に溶解させた。これを紡糸溶液として用い、静電紡糸法により、内径が0.5mmのステンレス製ノズルを使用し、電圧20kVにて電界を作用させ、表面に導電フッ素加工を施したステンレス薄板を取付けたドラムに、紡糸距離15cmにて紡出し、極細繊維を集積させて極細繊維集合体層を形成した。この極細繊維集合体層の作製において、紡糸空間の相対湿度は30%に設定した。
得られたN6からなる極細繊維の繊維径は平均で0.13μmであり、極細繊維がランダムな方向で重なり合った網目状となっていた。極細繊維集合体の目付は0.30g/mであった。
(細繊維集合体層の作製)
島成分として硫酸相対粘度2.63のN6、海成分として2−エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリスチレン(温度220℃、オリフィスサイズ2.0955mmφ×8mm、荷重2160g下でのメルトインデックスが15g/10min、軟化点温度が60℃のもの)を用い、N6、ポリスチレンともに275℃でそれぞれプレッシャーメルターにて溶融し、口金温度285℃にて、島本数200島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合口金を用いて、島/海重量比率60/40にて紡糸速度1200m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸、捲縮、カットを経て、繊度4.0dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで1バーブのニードルを植込んだニードルパンチ機にて針深度8mmにて1500本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、目付640g/m、密度0.23g/cmの複合繊維不織布を作製した。この不織布を95℃で熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを繊維重量に対し20重量%付与後、乾燥させた後、トリクロロエチレンにて海成分であるポリスチレンを溶解除去した後、乾燥させ、目付460g/m、厚み1.70mm、見掛け密度0.27g/cm、硬度45°の細繊維集合体を得た。得られた細繊維集合体層の平均繊維径は1.2μmであった。
(研磨布の作製)
前記細繊維集合体層1枚上に、前記極細繊維集合体層を4枚積層し、湿潤状態でフラットロールを用い温度120℃、線圧10kg/cm、加工速度2m/分にて過熱圧縮を行い、目付495g/m、厚み1.40mm、見掛け密度0.35g/cmの研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次粒子径10〜100nmのコロイダルシリカの遊離砥粒スラリーを滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で30秒間研磨を実施した。尚、研磨加工は各ディスクの両面について前記条件にて研磨を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.12nm、スクラッチ点数は10であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例2)
(細繊維集合体層の作製)
実施例1にて作製した細繊維不織布に、ポリウレタン(ポリマージオールのポリエステル:ポリエーテル比率が75:25)を12%に調整したDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で25重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFを除去し、乾燥することで、目付505g/m、厚み1.50mm、見掛け密度0.34g/cm、硬度40°の細繊維集合体を得た。
(研磨布の作製)
前記細繊維集合体層1枚上に、実施例1にて作製した極細繊維集合体層を4枚積層し、実施例1と同一の条件にて過熱圧縮を行い、目付530g/m、厚み1.44mm、見掛け密度0.37g/cmの研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件で研磨加工を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.10nm、スクラッチ点数は5であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。細繊維構造体にポリウレタンを含浸することでクッション性が良好となり、性能が向上した。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(実施例3)
(研磨布の作製)
エステル系ポリウレタン(株式会社ミスミ製”MUR−200”)(硬度40°)上に、実施例1で作製した極細繊維集合体層6枚を、アクリル系粘着剤を厚さ30μmとなるように塗布して貼り合せを行い、実施例1で用いたフラットロールにて加熱圧縮を行い、研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件で研磨加工を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は19であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。クッション層を積層することで研磨性能が向上した。
(実施例4)
(極細繊維集合体層の作製)
室温(25℃)にて、数平均分子量16万のポリアクリロニトリルを10wt%濃度でジメチルホルムアミド溶媒に溶解させた。これを紡糸溶液として用い、静電紡糸法により、実施例1と同様にして極細繊維不織布を作製した。
得られたポリアクリロニトリルからなる極細繊維の繊維径は平均で0.14μmであり、極細繊維がランダムな方向で重なり合った網目状となっていた。極細繊維集合体の目付は0.30g/mであった。
(研磨布の作製)
実施例2にて作製した細繊維集合体層1枚上に、前記極細繊維集合体層を4枚積層し、湿潤状態でフラットロールを用いて実施例1と同様の方法にて、目付533g/m、厚み1.40mm、見掛け密度0.38g/cmの研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件で研磨加工を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.10nm、スクラッチ点数は6であり、略同心円状のテクスチャー痕が形成されていない平滑性に優れた加工面であり、加工性も良好であった。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に極めて優れるものであった。
(比較例1)
(研磨布の作製)
実施例2にて作製した細繊維集合体層を用い、厚み方向に半裁した後、サンドペーパー番手が240番のエンドレスサンドペーパーを用いて、非スライス面に対し、3段バッフィングを施して立毛面を形成させて立毛シート状物を作製した。該立毛シート状物を研磨布とし、厚さ0.56mm、目付190g/m、見掛け密度0.34g/cmの研磨布を作製した。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件にて研磨性能評価を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.22nm、スクラッチ点数は45であり、平滑性に優れた加工面であり、加工性に問題はなかったものの、略同心円状にテクスチャー痕が残るものであった。研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に劣るものであった。
(比較例2)
(細繊維集合体層の作製)
硫酸相対粘度0.716のPETを用い、295℃でプレッシャーメルターにて溶融し、口金温度295℃にて、紡糸速度1200m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸、捲縮、カットを経て原綿を得た。
この原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで1バーブのニードルを植込んだニードルパンチ機にて針深度8mmにて1500本/cmのパンチ本数でニードルパンチし、ポリウレタン(ポリマージオールのポリエステル:ポリエーテル比率が75:25)を13%に調整したDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で30重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFを除去し、厚み方向に圧縮、乾燥することで、目付590g/m、厚み1.64mm、密度0.36g/cm、硬度47°の細繊維集合体を作製した。得られた細繊維集合体層の平均繊維径は13.6μmであった。
(研磨布の作製)
前記細繊維集合体層1枚上に、実施例1にて作製した極細繊維集合体層を4枚積層し、実施例1と同一の条件にて過熱圧縮を行い、目付600g/m、厚み1.61mm、見掛け密度0.37g/cmの研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件にて研磨性能評価を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.25nm、スクラッチ点数は94であった。繊維径10μm以上の繊維構造体と積層したため、研磨時に13.6μmの繊維が一部表面に露出して研磨に寄与することで砥粒の押付圧が高くなりすぎ、スクラッチ欠点が多く発生した。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に劣るものであった。
(比較例3)
(研磨布の作製)
エステル系ポリウレタン(株式会社ミスミ製”MUR−200”)(硬度70°)上に、実施例1で作製した極細繊維集合体層6枚を、アクリル系粘着剤を厚さ30μmとなるように塗布して貼り合せを行い、実施例1で用いたフラットロールにて加熱圧縮を行い、研磨布を得た。
(研磨性能評価)
研磨布を40mm幅のテープとし、実施例1と同一の条件にて研磨性能評価を行った。研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.28nm、スクラッチ点数は86であった。硬度の高い高分子弾性体層と積層したことで、押付圧が高くなりすぎ、結果として表面粗さが高く、スクラッチ欠点が多く発生した。また、研磨加工後に磁性層を成膜した基板は、電磁変換特性に劣るものであった。

Claims (6)

  1. 静電紡糸法により製造された、平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維構造体と、平均繊維径が0.50〜10μmの細繊維構造体が積層した複合繊維構造体とからなることを特徴とする研磨布。
  2. 静電紡糸法により製造された、平均繊維径が1.0nm〜1.0μmの極細繊維構造体と、高分子弾性体層が積層した複合構造体とからなることを特徴とする研磨布。
  3. 前記複合繊維構造体が、高分子弾性体を含むことを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  4. 前記高分子弾性体がポリウレタンであることを特徴とする請求項2または3に記載の研磨布。
  5. 前記細繊維構造体および高分子弾性体の表面が、JIS K−6253Aに基づいて測定される硬度が30〜60°であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の研磨布。
  6. 片面に補強層が積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨布。
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