JP2005074577A - 研磨布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 研磨砥粒の担持量が高く、研磨効率に優れると共に、砥粒保持力や砥粒押し付け持のクッション性を適度に保ち研磨加工時のテンションコントロールを容易にすることで、高精度の仕上げに適し、且つ効率的なテクスチャー加工を行うことができ、スクラッチ欠点を極小化することができる研磨布を提供する。
【解決手段】 本発明の研磨布は、平均単繊維繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなるシート状物の片面にフィルムが積層されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明の研磨布は、平均単繊維繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなるシート状物の片面にフィルムが積層されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、基板上にテクスチャー加工を施し、その上に磁気記録層を形成して磁気記録媒体を製造するための、前記テクスチャー加工に使用する研磨布に関するものである。
磁気ディスク等の磁気記録媒体は、近年めざましい技術革新により高容量化、高記憶密度化の要求が高まり、このため各種基板表面加工の高精度化が要求されている。
近年、高容量化、高記憶密度化に伴い、記録ディスクと磁気ヘッドとの間隔、つまり、磁気ヘッドの浮上高さは小さくなってきており、磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなることにより、磁気ディスクの表面に突起があるとその突起と磁気ヘッドとが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起でも、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。さらには磁気ヘッドが記録ディスク表面とが密着し、浮上しなくなるというトラブルを引き起こす。
この記録ディスクと磁気ヘッドとの密着を防止する手段として、記録ディスクの基板表面に微細な条痕を形成するテクスチャー加工という表面処理が行われている。またテクスチャー加工を行うことにより、ディスク基板上に金属磁性層を形成する際の結晶成長の方向性を制御することで記録方向の抗磁力を向上させることが可能となる。
テクスチャー加工の方法としては、遊離砥粒のスラリーを研磨布表面に付着させて研磨を行うスラリー研磨等が用いられている。しかし、テクスチャー加工によって、磁気ヘッドの低浮上を満足するための表面処理を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、研磨後のうねりを低くし、基板表面粗さを極めて小さくすることが要求され、その要求に対応しうる研磨布が求められている。テクスチャー加工において基板表面粗さを小さくするためには、クッション性や基材表面の平滑性に優れることから不織布を用いる方法が多く提案されてきた。
中でも基材表面の平滑性向上やディスク基板表面への当たりの調節などを目的として、不織布を構成する繊維を極細化し、不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案が種々なされており、例えば、0.3dtex以下の極細繊維不織布に高分子エラストマーを含浸させた研磨布が提案されており(特許文献1)、また、極細繊維絡合不織布中に高分子弾性体が含有しており、0.03dtex以下の繊度を有する極細繊維からなる立毛が存在するテクスチャー加工用研磨シートが提案されている(特許文献2)。
今後、更に高精度に安定して研磨可能な技術が期待され、この技術の核となる超高精度な研磨布が要求されてきている。
より高精度の研磨を実行するには研磨布を構成する繊維はより細く、より柔らかいシートが要求されるものの、研磨量はそれに従い低下する。研磨量を稼ぐために加工時のテンションを高く設定し被研磨体への当たりを強くすることで調整されるためシートの加工安定性や伸びの問題が発生し、これによるスクラッチなどの欠点も発生するという問題があった。従来にも伸びを抑えるために張り合わせの提案はなされているものの(特許文献3〜5)、むしろ張り合わせによりシートが硬化し、スクラッチ欠点が発生し易いという問題があった。
特開2001−1252号公報
特開2002−79472号公報
特開平9−262775号公報
特開平9−277175号公報
特開平10−315142号公報
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑み、研磨砥粒の担持量が高く、研磨効率に優れると共に、砥粒保持力や砥粒押し付け持のクッション性を適度に保ち研磨加工時のテンションコントロールを容易にすることで、高精度の仕上げに適し、且つ効率的なテクスチャー加工を行うことができ、スクラッチ欠点を極小化することができる研磨布を提供することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の研磨布は、平均単繊維繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなるシート状物の片面にフィルムが積層されていることを特徴とするものである。
本発明の研磨布によれば、基材表面に存在する極細繊維の繊維径の均一性と表面繊維密度の均一性に優れ加工時のテンションコントロールが容易であるため、ガラス及びアルミニウム合金基板のテクスチャー加工を行うと、基板表面のキズ(スクラッチ)の発生を抑制し、生産性も著しく改善される上に、記録ディスクの高記録密度化に対応可能な、精度の優れた加工面として仕上げることができる。
本発明は、高精度の加工を行い、スクラッチ欠点を抑制し、かつ、テンションによる伸びの問題を克服するするという課題について鋭意検討し、基材表面に存在する極細繊維の緻密性及び均一性をベースに補強層からなるシート伸びの両立に着目して、シート状物の片面にフィルムを積層して研磨布を作製してみたところ、かかる課題を一挙に解決できることを究明し優れた研磨布の達成を可能にしたものである。
本発明の研磨布について、具体的には、海島型複合口金を用いることで、平均繊度0.001〜0.05dtexの極細繊維発生型繊維を複合紡糸し、延伸、捲縮、カットを経て得る原綿を用いて、ニードルパンチングにより絡合させて不織布を構成する。次いで、該複合繊維からなる不織布に熱水収縮を施し、水溶性樹脂を付与する。次いで、複合繊維の一成分(例えば、海島構造からなる複合繊維の海成分)を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割などして極細繊維化する前もしくは後に、高分子弾性体を付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固、固化させる。次いで、該水溶性樹脂を溶解除去した後にバッフィング処理を施し、裏面に接着層を塗布した後フィルムを張り合わせることにより、本発明の研磨布を達成しうるものである。
本発明では、上記の複合繊維を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割した後の極細短繊維の平均繊度は0.001〜0.05dtexであることが特に重要であり、0.003〜0.02dtexであることがより好ましい。0.001dtex未満である場合には、繊維強度及び剛性が低く、研削不足になるばかりでなく、スラリー中の遊離砥粒の保持性、分散性に劣り、砥粒の凝集を招くと共に、研磨屑、砥粒片のクリーニング効果に劣るため、スクラッチが発生しやすく、好ましくない。を0.05dtex越える場合には、研磨布表面での立毛繊維の緻密性に劣り、高精度の仕上げを達成できないため好ましくない。該特性を満足させるためには、前述した特徴を有する海島型複合繊維を用いて、研磨布の具体的製造方法として以下の構成とすることが好ましい。
まず、本発明における海島型複合繊維の不織布を得るには、該複合繊維を短繊維化し、カード・クロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、ニードルパンチ処理を行うことが好ましい。ウエブを形成するという点においては、ランダムウエブなどを用いることも可能である。またメルトブロー、スパンボンドなど紡糸から直接形成する長繊維不織布でもよいように考えられるが、とりわけ研磨布においては、極細繊維相互の絡合及び表面繊維の緻密性が、短繊維不織布よりも著しく劣り、かつ、表面繊維密度の粗密ムラが大きくなりすぎるので、極細長繊維不織布は研磨布としては好ましくない。ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による繊維の高密度化(緻密な立毛面形成)の観点から1000〜3500本/cm2 であることが好ましい。1000本/cm2 未満では、研磨布表面繊維の緻密性に劣り、3500本/cm2 を越えると、加工性の悪化を招くとともに、繊維損傷が大きくなるため好ましくない。ニードルパンチング後の不織布シートの繊維密度は、0.2g/cm3 以上であることが好ましく、0.2g/cm3 未満の場合、不織布シート中のタテ配向繊維の緻密性に劣るものであり、表面繊維密度の緻密化を図れず好ましくない。
本発明おける極細繊維発生型繊維を構成する樹脂としては、物理的または化学的処理により、極細繊維を発生可能な2種類以上の樹脂の組合せが挙げられる。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、共重合ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ乳酸、乳酸共重合体、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル系重合体類、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体類などが用いることのできる合成樹脂の例として挙げられる。中では、極細短繊維成分として、親水性、耐摩耗性の観点から、ポリアミド類、ポリエステル類が好適に用いられる。とりわけ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類やポリブチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル類が、スラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性、分散性に優れ、被研磨物に傷をつけることなく研磨することができるとともに、柔軟性に優れることにより、被研磨物との接触抵抗が低く微細研磨に適した素材として、より好適に用いられる。
かかる複合繊維の溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割される海成分を構成するポリマーとしては、上記のポリアミド類、ポリエステル類、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類を使用することができる。これらの中から極細短繊維の断面形成性、紡糸性、延伸性などを考慮して、海成分と島成分とを選択して組み合わせればよい。さらに本発明において、極細短繊維の緻密性を上げるために、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートの熱水収縮処理を行うことが好ましい。
本発明において、バルキーな構造体を形成し、スラリー液中に含まれる研磨砥粒を介したディスク基板表面への当たりを制御するとともに、研磨布表面上への高分子弾性体の露出を抑制するためには、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートにポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を含浸付与することが好ましい。該水溶性樹脂を含む水溶液中に不織布シートを通し、該水溶性樹脂を含浸させた後、不織布シート中の水分を除去するために加熱処理を行う過程において、加熱時間、加熱温度を適宜調整することで該水溶性樹脂が不織布シート中に含まれる水分と共にシート表層部に移動し、シート厚み方向に偏った分布をとることにより、高分子弾性体が研磨布表面に露出しにくい状態を可能とする。また、高分子弾性体の研磨布表面上への露出抑制とクッション性を両立させる点から、該水溶性樹脂の含有率は、極細繊維重量に対し40〜80%であることが好ましい。
本発明の研磨布は、極細繊維発生型繊維からなる不織布から海成分を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割し、極細繊維化する前もしくは後に高分子弾性体を付与させることによって得られる。該高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、極細短繊維不織布の内部空間に高分子弾性体を充填し一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物へのキズの抑制効果に優れるものである。
かかる高分子弾性体はウレタン系、シリコーン系、アクリル系高分子などを使用することができる。中でも、ポリウレタンが本発明プロセスにおける加工性やクッション性の上から好ましい。例えばポリウレタン系合成樹脂である場合、ポリウレタンの高分子ジオール成分の分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜3000であるのがよく、その原料であるジオール成分としては、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合物が好ましく使用される。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族系イソシアネート、脂環系イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
かかる高分子弾性体はウレタン系、シリコーン系、アクリル系高分子などを使用することができる。中でも、ポリウレタンが本発明プロセスにおける加工性やクッション性の上から好ましい。例えばポリウレタン系合成樹脂である場合、ポリウレタンの高分子ジオール成分の分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜3000であるのがよく、その原料であるジオール成分としては、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合物が好ましく使用される。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族系イソシアネート、脂環系イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
研磨時のクッション性およびフィット性は、研磨精度の上で重要であり、極細短繊維と高分子弾性体の割合や空隙率(見掛け密度でわかる)によって制御し、研磨精度や研磨目的によって調節される。高分子弾性体の含有量は、成型上該シート状物層の繊維重量に対し20%〜60%であることが好ましく、含有量によって研磨布の表面状態、空隙率、クッション性、硬度、強度などを調節することができる。20%未満である場合、クッション性に劣るため、スクラッチを発生しやすく、また強度に劣るため好ましくない。60%を越えると、加工性及び生産性に劣るとともに、表面上に高分子弾性体が露出しやすく、砥粒の凝集によるスクラッチを引き起こしやすいため好ましくない。かかる高分子弾性体の付与方法としては、該高分子弾性体を塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。
本発明において、JISL−1096Bの規定に基づいて測定される研磨布の吸水速度は80mm以上であることが好ましい。80mm未満である場合には、テクスチャー加工でスラリー液を研磨布表面上に付与する際に、スラリー中の研磨砥粒の分散性が低下するとともに、砥粒の保持性も低下するため、高精度の研磨に対応し得ないため好ましくない。研磨布の吸水速度を80mm以上にするためには、前述した極細短繊維不織布及び高分子弾性体の構成をとる必要があり、更に研磨布の見掛け密度としては、表面繊維の緻密性を考慮すると、0.2〜0.5g/cm3 の範囲にあることが好ましく、0.2〜0.4g/cm3 の範囲にあることがより好ましい。
本発明の研磨布において、不織布と高分子弾性体とからなるシート状物の少なくとも片面に極細繊維からなる立毛面を有することが好ましい。該立毛面を得るためには、不織布に高分子弾性体を付与した後に、バフィング処理することが好ましい。ここでいうバフィング処理は、針布やサンドペーパーを使用して行うのが一般的である。とりわけ、高分子弾性体付与後、表面をサンドペーパーを使用して、起毛処理することにより均一で緻密な立毛を形成することができる。
本発明の研磨布は得られた不織布層に対して裏面に補強層を接着するのであるが、該補強層と不織布層の間に接着層を有することが特徴である。例えば熱圧着法やフレームラミ法を使用すると、熱により不織布層がダメージを受け硬化する。これは研磨布のクッション性を損なうだけでなく、研磨砥粒の保持性を低下させる。接着方法としてはポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸、アクリル系の接着剤などゴム弾性を有するものならば使用可能であるが、コストや実用性を考えるとNBR,SBRといった接着剤が望ましい。付与工程としてはエマルジョン、ラテックス状で該不織布層に塗布する。
補強層としては、従来より織編物、熱接着繊維を用いた不織布などの提案がされているが、高精度の加工を行うには厚み、物理特性において均一なフィルム状物の使用が必須である。補強層に織編物や熱接着繊維を用いた場合には、補強層の表面の凹凸が大きすぎるために、研磨布全体に補強層の凹凸が反映し、研磨加工後の基板表面のうねりが大きくなり好ましくない。フィルム状物は表面の平滑性に優れることから、研磨布表面の平滑性を損なうことなく、高精度の加工を行うことができるのである。
ここで言うフィルムとなる素材としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリフェニルサルファイド系などのフィルム形状を有する物であれば使用可能であるが、汎用性を考えるとポリエステルフィルムを使用するのが望ましい。本発明の特徴は、このフィルム層と不織布層の厚みバランスをとることが重要である。不織布層は仕上がり厚みとして0.4〜1.0mmが望ましく好ましくは0.45〜0.60mmが望ましい。0.4mm以下であると伸びが発生し加工できないので補強層が必要であるが補強層の効果が強くクッション性を失ってしまう。1.0mm以上であると伸びは低下するものの、不織布の性質上伸びをコントロールすることが困難で、不織布自体の性質が勝ってしまい伸びの具合を調整することができないため研磨時のテンションコントロールが難しい。その他、ハンドリング性や、コスト面でのデメリットが大きいことも理由として挙げられる。研磨時のテンションコントロールの安定性を維持し、不織布研磨布の持つクッション性を生かすためには補強層が必須である。従って補強層の厚みも重要になってくる。不織布層とのバランスを保つにはフィルムの厚みを20〜100μmとすることが望ましい。好ましくは40〜70μmであることが好ましい。20μm以下では伸びを抑えることが困難であり、100μm以上であると研磨布全体の剛性が高くなり、基板へのあたりが大きくなるため、スクラッチ等の欠点が発生しやすい。
本発明で得られた研磨布の伸びに対する特性として、該研磨布の乾燥時(室温20℃、湿度40%の条件下)の長手方向の10%伸長時応力が30〜200N/cm幅であることが好ましい。
本発明の研磨布を用いて、テクスチャー加工を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、テクスチャー加工用テープとして用いる。次いで、基板を連続回転させた状態で、テープ状とした該研磨布を基板に押し付けながら、基板の径方向に研磨布または基板を往復運動させ、連続的に研磨布を走行させる。その際に、遊離砥粒を含むスラリーを研磨布表面に供給し、テープ状とした該研磨布の表面に遊離砥粒を含むスラリーを付着させて、アルミニウム合金磁気記録ディスクやガラス磁気記録ディスクの表面の研磨を行うのが好適な方法である。研磨条件としては、スラリーはダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。
該研磨布表面に該スラリーを付着させて基板表面の研磨を行う際に、基板への研磨布表面のあたりを均一に制御し、均一研磨を行うためには、該研磨布に10〜20N程度の加工張力をかけた状態で研磨を行うのが好ましい。
該研磨布の長手方向の10%伸長時応力を30〜200N/cm幅に制御することにより、前記テクスチャー加工張力下において、テープ状とした研磨布の伸長率を3%以下に抑えることができ、表面繊維の緻密性を低下させることなく、超高精度の表面粗さを達成し、且つスクラッチ欠点を少なく抑えることができる。
該研磨布の長手方向の10%伸長時応力が30N/cm幅未満では、テクスチャー加工張力下における研磨布の伸びが大きくなりすぎるため、表面繊維の緻密性が低下し、超高精度の表面粗さを達成することができないとともに、伸びにより発現する研磨布表面の繊維が存在しない空隙部に砥粒が凝集し、スクラッチ欠点を発生しやすいため好ましくない。一方、200N/cm幅を超えると、遊離砥粒を含むスラリーにより湿潤状態の研磨布がディスク面に押し付けられ、水分が絞り出されて乾燥した状態となり、基板表面に砥粒が強く押さえつけられ、スクラッチ欠点が発生しやすいとともに、表面粗さが大きくなるため好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)スクラッチ点数
テクスチャー加工後の基板5枚の両面すなわち計10表面を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価し、300点以下を合格とした。
(2)吸水速度
大きさ20cm×2.5cmの試験片をタテ方向及びヨコ方向にそれぞれ5枚採取し、各試験片を20℃の水を入れた水槽上の一定の高さに支えた水平棒上にピンで止める。試験片の下端を一線に並べて水平棒を降ろして、試験片の下端がちょうど水につかるようにする。10分間の水の上昇した高さを測定する。同様の方法で計10枚の試験を行い、その平均値を吸水速度として評価した。
(1)スクラッチ点数
テクスチャー加工後の基板5枚の両面すなわち計10表面を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価し、300点以下を合格とした。
(2)吸水速度
大きさ20cm×2.5cmの試験片をタテ方向及びヨコ方向にそれぞれ5枚採取し、各試験片を20℃の水を入れた水槽上の一定の高さに支えた水平棒上にピンで止める。試験片の下端を一線に並べて水平棒を降ろして、試験片の下端がちょうど水につかるようにする。10分間の水の上昇した高さを測定する。同様の方法で計10枚の試験を行い、その平均値を吸水速度として評価した。
実施例1
島成分としてナイロンと、海成分として共重合ポリスチレンを用いて、海島型複合繊維口金を通して溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度5dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を形成する。
島成分としてナイロンと、海成分として共重合ポリスチレンを用いて、海島型複合繊維口金を通して溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度5dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を形成する。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、ついでこの積層ウエブに1500本/cm2 のパンチ本数でニードルパンチし、目付700g/m2 、密度0.25g/cm3 の不織布を作製した。この不織布シートを熱水収縮させた後、水性糊剤で補強した後、海成分を溶解除去した。次にポリウレタンを極細短繊維重量に対し40重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、水性糊剤を除去した。
次いで、サンドペーパーでバッフィングを施し、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の研磨布を得た。ついで、NBRを主体とする接着剤を裏面に塗布し、厚み50μmのポリエステルフィルムを圧着し研磨布を作成した。10%伸長時応力は70N/cm幅、吸水速度は110mmであった。
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件でテクスチャー加工を行った。
ガラス基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工したディスクを用い、研磨布に20Nの加工張力をかけた状態で、5cm/分の速度で研磨布を走行させ、研磨布表面に平均粒径0.2μmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを滴下し、25秒間研磨を実施した。テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出しスクラッチ点数を測定したところ200個であり、欠点個数が著しく少なく、電磁変換特性に優れるものであった。更にテクスチャー加工表面に残留する研磨屑、砥粒片が極めて少なかった。
実施例2
島成分をポリエステルとする以外は、実施例1と同様の製法で、厚さ0.55mm、目付180g/m2 、見掛け密度0.33g/cm3 の研磨布を得た。裏面に実施例1と同様のポリエステルフィルムを張り付け、10%伸長時応力は65N/cm幅、吸水速度は100mmであった。
島成分をポリエステルとする以外は、実施例1と同様の製法で、厚さ0.55mm、目付180g/m2 、見掛け密度0.33g/cm3 の研磨布を得た。裏面に実施例1と同様のポリエステルフィルムを張り付け、10%伸長時応力は65N/cm幅、吸水速度は100mmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出しスクラッチ点数を測定したところ250個であり、欠点個数は少なく、電磁変換特性においても問題なかった。
比較例1
実施例1と同様の製法で、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の不織布に120μmのフィルムを貼り付けて研磨布を得た。
10%伸長時応力は210N/cm幅、吸水速度は95mmであった。
実施例1と同様の製法で、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の不織布に120μmのフィルムを貼り付けて研磨布を得た。
10%伸長時応力は210N/cm幅、吸水速度は95mmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、スクラッチ点数は約2000個であり、欠点個数が極めて多く、電磁変換特性に劣るものであった。
比較例2
比較例1と同様にえた不織布に対して15μmのフィルムを貼り付けて研磨布を得た。10%伸長時応力は30N/cm幅、吸水速度は100mmであった。 該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施したところ伸びが発生しテンションコントロールが困難で加工できなかった。
比較例1と同様にえた不織布に対して15μmのフィルムを貼り付けて研磨布を得た。10%伸長時応力は30N/cm幅、吸水速度は100mmであった。 該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施したところ伸びが発生しテンションコントロールが困難で加工できなかった。
比較例3
比較例1と同様にえた不織布に対してフィルムは張り付けなかった。10%伸長時応力は18N/cm幅、吸水速度は110mmであった。
比較例1と同様にえた不織布に対してフィルムは張り付けなかった。10%伸長時応力は18N/cm幅、吸水速度は110mmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施したところ伸びが発生し加工できなかった。
比較例4
実施例1と同様の製法で、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の研磨布を得た。裏面に目付75g/m2の織物を張り付けた。10%伸長時応力は40N/cm幅、吸水速度は100mmであった。
実施例1と同様の製法で、厚さ0.5mm、目付170g/m2 、見掛け密度0.34g/cm3 の研磨布を得た。裏面に目付75g/m2の織物を張り付けた。10%伸長時応力は40N/cm幅、吸水速度は100mmであった。
該研磨布を用いて実施例1と同一の方法でテクスチャー加工を実施し、テクスチャー加工後のディスクから任意に5枚を抽出し表面粗さを測定したところ、スクラッチ点数は約400個であり、欠点個数が合格に至らなかった。
Claims (12)
- 平均単繊維繊度0.001〜0.05dtexの極細短繊維束が3次元絡合した不織布とその内部空間に存在する高分子弾性体とからなるシート状物の片面にフィルムが積層されていることを特徴とする研磨布。
- 該フィルムが、20〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の研磨布。
- 該研磨布の長手方向の10%伸長時応力が30〜200N/cm幅であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の研磨布。
- 該フィルムが、前記不織布と高分子弾性体からなるシート状物と接着層を介して張り合わせられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
- 該シート状物層の厚みが0.4〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨布。
- JISL−1096Bの規定に基づいて測定される該研磨布の吸水速度が80mm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨布。
- 該高分子弾性体が、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の研磨布。
- 該高分子弾性体の含有率が、該シート状物層の繊維重量に対し20〜60%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の研磨布。
- 該シート状物層の少なくとも片面に該極細繊維からなる立毛面を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の研磨布。
- 磁気ディスク基板のテクスチャー加工において、遊離砥粒からなるスラリーを請求項1〜9のいずれかに記載の研磨布の表面に付着させて研磨を行うことを特徴とするテクスチャー加工方法。
- 該研磨に際して、該研磨布に10〜20N程度の加工張力をかけた状態で行うことを特徴とする請求項10に記載のテクスチャー加工方法。
- 該テクスチャー加工張力下において、研磨布の伸長率を3%以下に抑えた状態で行うことを特徴とする請求項10または11に記載のテクスチャー加工方法。
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JP2008254136A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-10-23 | Toray Ind Inc | 研磨布 |
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