JP3816817B2 - 研磨用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた研磨速度を有する研磨用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラウン管等のガラス部品、ハードディスク等の電子部品等は、その製造過程で、部品表面を研磨することが性能を発揮する上で必須である。このとき用いる研磨用シートには、近年の低価格化の進行に伴う生産性向上の要求から、速やかに目標の面状態まで到達できるよう、研磨速度の向上が強く求められている。
【0003】
かかる研磨の研磨用シートとしては主にポリアミドもしくはポリアミド系中空糸からなる不織布にポリウレタン樹脂を含浸し、多孔質高剛性の板としたものが使用されている。これは、実用に足るだけの性能を有してはいるが、研磨速度のよりいっそうの向上を求められているのは前記の通りである。
【0004】
更に、かかる構成のシートは本来柔軟性に富んだ素材であることから、研磨用シートとして用いるために、現在は含浸したポリウレタン樹脂の発泡セル内に更に硬質樹脂を2次含浸し、シートの密度と弾性率を高めることで研削用シートとしての性能を得ている。しかしながらこの方法では研磨用シートの生産性が低いだけでなく、シート中の空隙が少ないため目詰まりしやすく寿命が短くなるなど、全体としての生産性はあまり高くないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる問題を解決し、研磨速度が速く、より生産性に優れた研磨用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために検討を加えた結果、不織布用の繊維としてポリアミドが連続層を形成しているポリアミド/ポリスチレン混合物からなる繊維を用いるならばシート自体の剛性が向上し、研磨速度の向上が可能であることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、3次元絡合不織布及びその内部に樹脂が含有されたシートにおいて、該不織布を構成する繊維が実質的にポリスチレンとポリアミドからなり、該ポリスチレンと該ポリアミドの重量比が1:99〜90:10の範囲であり、かつ該繊維内部のポリアミドが連続層を形成しており、さらに該繊維表面が実質的にポリアミドからなることを特徴とする研磨用シートである。
そして好ましくは、該繊維が、ポリアミドを海成分とし、ポリスチレンを島成分とする海島型繊維からなる研磨用シートであり、さらには、繊維が、中空繊維からなる研磨用シートである。そして、本発明の研磨シートを構成する3次元絡合不織布の内部に含有された樹脂がポリウレタンであることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明において3次元絡合不織布を構成する繊維は実質的にポリスチレンとポリアミドからなり、該ポリスチレンと該ポリアミドの重量比が1:99〜90:10の範囲である。そして、該繊維中でポリアミドが連続層を形成している繊維とは、繊維をトルエン等のポリスチレンの良溶媒中に浸漬した際においても繊維が縦方向に切断しない状態にある繊維を示し、具体的にはポリアミドが海成分である海島型繊維、あるいはポリアミドとポリスチレンのいずれもが連続層である一般に共連続構造または多層張り合せ型と呼ばれる構造を持った繊維などが例示される。ポリアミドが不連続の場合、研磨シートとして使用中に繊維の断裂が多発し、発生した糸くずが被研磨面に欠点を生じせしめるため、研磨シートとしては不適当なものとなることから、本発明の繊維はポリアミドが連続層であることが必要となる。
【0010】
更に、本繊維の表面は実質的にポリアミドで被覆されている必要がある。表面がポリスチレンで被覆された場合、研磨液による濡れが悪くなるため、被研磨材の研磨斑が発生しやすくなるほか、研磨時の摩擦による繊維の膠着が発生しやすくなり、かかる膠着部によって被研磨面に欠点を生じせしめやすい等の問題がある。なお、繊維表面が実質的にポリアミドからなるとは、不織布を構成する繊維を重ねて100℃においてプレスした際にポリスチレンの溶融により繊維同士の融着が発生するかどうかで判定され、必ずしも繊維表面が100%ポリアミドからなることを意味するものではない。
【0011】
本繊維を構成する繊維は実質的にポリスチレンとポリアミドからなり、該ポリスチレンと該ポリアミドの重量比が1:99〜90:10の範囲であることが必須であり、好ましくはポリスチレン2:98〜30:70、より好ましくはポリスチレン3:97〜60:40、最適にはポリスチレン4:96〜45:55からなる。ポリスチレンの比率が1未満ではポリスチレンの存在しないものと実質的に差を見出せずポリスチレンの性質である剛性が得られにくく研磨速度が低下する傾向にある。また、ポリスチレンの比率が90を越えると、硬い反面もろいため研磨時に繊維が破断する傾向があり、どのような繊維の構造をとっても繊維の靭性が不十分となりやすく、研磨シートとしての強度が低下する傾向にある。また、繊維表面がポリスチレンで被覆されやすくなるため、前述のように、研磨液による濡れが悪くなることによって、被研磨材の研磨斑が発生しやすくなる、さらに研磨時の摩擦による繊維の膠着が発生しやすくなり、かかる膠着部が被研削面に欠点を生じせしめる傾向があるため研磨シートとしては不適当なものとなる。
【0012】
また、前述と同様の結果をポリアミド成分の構成重量比率から説明すると、ポリアミドの比率が99を越えるとポリアミド単独と実質的な差が存在せず、前述の通りポリスチレンの性質である剛性が得られにくく研磨速度が低下する傾向にある。また、ポリアミドの比率が10未満では繊維の靭性が不十分となりやすく、使用時に繊維の断裂が発生しやすくなり、研磨シートとしては不適当なものとなる、また、表面の被覆が不安定になり、実質的に表面をポリアミドで覆うことが困難であるなどの問題がある。
研磨性に関して、繊維の剛性が高いほど研磨速度が向上することから、非常に硬い樹脂であり繊維化しやすいポリスチレンを研磨シート用のポリアミドに対する比率として1以上添加する必要がある。しかしながら、ポリスチレン単独では融点が低く摩擦熱に弱いことと、および硬い反面もろいため研磨時に容易に破断してしまい研磨シートとしての強度を有しない。そこで、ポリスチレンをポリアミドで被覆することで、ポリアミドの濡れ性とタフネスに優れた性質を付与し、剛性と繊維の強さ(タフネス)を両立することが可能となり、さらに研磨液による繊維の濡れ性も併せ持つ繊維が得られる。
【0013】
かかる繊維の原料となるポリアミドは特に限定されるものではなく、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン96(ノナメチレンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンとアジピン酸からなるナイロン)、ナイロン910(ノナメチレンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンとセバシン酸からなるナイロン)、ナイロン912(ノナメチレンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンとドデカン二酸からなるナイロン)、ナイロン6/12(カプロラクタムとラウロラクタムの共重合体)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸からなるナイロン)、ナイロン9T(ノナメチレンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンとテレフタル酸からなるナイロン)、ポリアミドブロック共重合体(ポリアミドエラストマー)などが用いられる。
また、本発明を構成する繊維はポリアミドおよびポリスチレン以外の樹脂成分が本発明の効果を損なわない程度に添加されていても良く、さらに、各種安定剤等が添加されていても良い。
【0014】
かかる繊維を得る方法としては特に制限は無く、公知の方法のいずれもが用いられる。例えば特殊形状のノズルを用いて複合紡糸する方法、あるいは、予め樹脂を、ポリアミドが連続相になるよう押出機で混合、紡糸する海島型繊維を作製する方法等がある。特に後者は海成分をポリアミドとしポリスチレンを島成分として微分散させることによって繊維の強度と靭性がより高いレベルでバランスし、優れた研磨シートを与えるのでより好ましい。
更に本繊維は研磨時の目詰まりを抑制し、より長期間安定した研磨性を得る目的で、繊維中に空洞を設けることも好ましく行われる。かかる空洞の形成方法としては、異型ノズルを用いて中空糸を紡糸する、溶媒を用いて繊維構成成分の一部を抽出するなどの方法が例示できる。
【0015】
本繊維の直径は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。100μmを越えて過度に太くなると研磨時に傷等が出やすくなり、また研磨後の表面平滑度が粗くなるなどの問題がある。また、直径は0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。直径が0.1μm未満の場合には、繊維の剛性が小さくなりやすく、研磨速度が低下する傾向にある。
【0016】
本発明の繊維が中空繊維の場合には、中空繊維の一つの孔の直径は該繊維直径の1/2以下であることが好ましく10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。一つの孔の直径が大きいほど繊維の剛性が低下し、単独で繊維径の1/2を越える直径を有する孔が存在する場合繊維の剛性が低下し、結果として研磨速度が低下する傾向がある。
【0017】
また、本発明の中空繊維の一つの孔の直径は0.005μm以上であることが好ましく、0.01μm以上がより好ましい。これよりも小さい孔の存在は排除されるものではなく、研磨砥粒の直径が平均数nm〜数十nmの範囲の物が多いことからシリコンウエハー研磨用シート(以下研磨用シート)としての性能向上に寄与しにくい傾向がある。
【0018】
この場合の孔の効果は単に目詰まりを抑制し研磨効率を上げるだけでなく、砥粒に過大な力がかかった場合の砥粒の逃げ場となるため、瞬間的に研磨過剰と成ることを防ぎ、結果としてより短時間で平滑面を得ることができる。なお、中空繊維中の孔の数はそれぞれの繊維の任意の断面において、多いほど好ましく少なくとも一つ以上必要であり、2つ以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。また該中空繊維の側面に孔の一部が開口した状態である場合や孔によって側面が凹凸の状態になっているものが砥粒の逃げ場が増加する点から特に好ましい。孔の数の上限は性能面からは特に規定されるものではないが、通常2000を越えるものは量産困難である。
【0019】
本発明の中空繊維の製造方法としては特に限定されるものではなく、公知の中空繊維の製造方法のいずれもが適用可能である。例示するならば、異型断面の口金から溶融樹脂を押し出し、中空の繊維を得る方法、やはり特殊な口金を使用し、溶解特性の異なる2種類以上の樹脂を、芯鞘繊維の形で紡糸した後、芯の樹脂を溶解除去する方法、あるいは2種以上の樹脂を溶融混合し、紡糸した後、島成分を構成する樹脂を溶解除去する方法などが挙げられる。
【0020】
かかる中空繊維の製造方法において、得られる繊維中に最も多数の孔を形成できること、さらに、繊維側壁に孔の開口部ができ、その結果繊維の側面も研磨時の有効面として作用することによって、特に優れた研磨速度・研磨精度を与えることから、2種以上の樹脂を溶融混合した後紡糸し、後に島の部分の樹脂を溶媒により一部溶解除去するいわゆる混合紡糸によって製造する方法がより好ましい。なお、かかる繊維はその製造過程で、延伸および/またはは熱処理されているほうが繊維の強度が増し研磨用シートの寿命がより長くなるため好ましい。また、島の部分の樹脂を溶解除去する場合、これは、紡糸から不織布化をへて最終の研磨用シートが完成するまでのいずれの工程で行っても良い。本発明を構成する繊維が混合紡糸された海島型繊維の場合には、島成分としてポリスチレンを、海成分としてポリアミドを用いて海島型繊維を紡糸し、そのまま島成分を溶解除去せずに研磨用シートを作製してもよいし、溶解除去して中空繊維とすることも可能である。溶解除去して中空繊維とする場合には、溶解除去条件を変えてポリスチレンとポリアミドの重量比を所望の比率とすることが可能である。すなわち、所望の比率でポリアミドとポリスチレンの海島型繊維を紡糸し、所望のポリスチレン比率にするために、ポリスチレンの溶解除去剤としてのトルエン等の有機溶媒との接触時間、該有機溶媒の温度、および繊維または該繊維で構成された不織布のディップ・ニップ処理条件等公知の方法により達成可能である。そして結果として、ポリスチレンの一部溶解除去された空隙部分が中空となり、海島型繊維から中空繊維を得ることが可能となる。
【0021】
本発明の繊維を3次元絡合不織布とする方法は特に限定は無く公知の方法のいずれもが用いられる。例えば、ニードルパンチ、水流絡合などを例示することができる。
【0022】
本発明における研磨シートを構成する不織布は、その充填率が、樹脂の担持力が強く研磨用シートの硬度がより高く研磨性能が向上することから0.10以上であることが好ましく、研磨用シートの硬度がより高まるとともに、繊維と樹脂の分布がより均一となり研磨精度が高くなることから0.15以上であることがより好ましく、0.20以上であることが特に好ましい。また、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。充填率が、0.5を越えると樹脂を含浸させにくくなり、研磨用シートの生産性が低下する傾向がある。そのためシートの硬度が低下しやすく、さらに繊維と樹脂の分布が不均一となることによって研磨精度が低下する傾向がある。なお、ここで不織布の充填率の決定は、あらかじめ乾燥状態で不織布の見かけ体積(厚み×幅×長さ;厚みはピーコック型厚み計で測定)を求めた後、アルコール中に浸漬し、アルコールの体積増を繊維の体積とし以下の式で求められる。
充填率=繊維の体積/不織布の見かけ体積
【0023】
なお、研磨用シートとなったものについても、内部に含有された樹脂を抽出した後同様の方法で求めることができる。
【0024】
更に該不織布の好ましい目付は、研摩用シートの取り扱い容易性から100〜3000g/mの範囲である。
【0025】
また、該不織布は、表面を平滑化し厚さを規制するため厚さ方向にプレスするのが好ましい。プレスの方法としては、複数の加熱ロール間を通す方法、予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等、従来公知の方法が利用でき、繊維中の海成分すなわちポリアミドの溶融・圧着により、不織布の平滑化を達成することも可能である。なおこの工程の際に、テンションやプレス等による工程の形態変化を抑制することおよび中空繊維と樹脂の密着を防止し研磨用シートの不織布と樹脂の間に空隙を存在させることによって研磨効果を高めることを目的として、ポリビニルアルコール、デンプン、または樹脂エマルジョン等の接着剤を予め不織布に添加した後に、不織布に樹脂を付与し、その後に熱水等で予め添加した該接着剤等を抽出除去することが好ましく用いられる。
【0026】
本発明において、不織布とともに研磨用シートを構成する樹脂は、吸湿した状態で流動開始温度が50℃以上あれば特に制限は無く、公知の樹脂いずれもが用いることができる。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂などの高Tg熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、架橋型アクリル樹脂、フェノール樹脂、架橋型(熱硬化型)ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0027】
これらの樹脂のうち、磨耗に強く、研磨時の耐久性に優れること、摩擦力が高く、研磨中に不織布の糸が離脱するなどのトラブルを起こしにくいこと、更に溶媒への溶解性が良く、不織布中に均一に付与することが容易であり生産性に優れることなどの点から熱可塑性もしくは架橋型のポリウレタンが特に好ましく、取り扱い時に寿命等の問題が無く最も生産性に優れることから熱可塑性ポリウレタンが最も好ましい。かかるポリウレタン系樹脂を具体的に例示すると、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなど公知のジイソシアネートおよびそのウレタン結合形成性誘導体のうちから選ばれた一つ以上のジイソシアネートと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の公知のポリオール等から選ばれた一つ以上のポリオールと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオール類、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、フェニレンジアミン等のジアミン類、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジド類から選ばれた2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種の低分子化合物で分子量300以下の化合物から合成されたポリウレタン等が好ましく挙げられる。
【0028】
本発明の3次元絡合不織布と樹脂とを一体化させシートとする方法は特に限定されるものではなく、例えば、3次元絡合不織布を樹脂溶液中に浸漬し、直ちに貧溶媒中に移動し樹脂を凝固させる方法、3次元絡合不織布内部に樹脂溶液、もしくは樹脂エマルジョン液を付与し、樹脂を乾燥・析出させる方法、樹脂のモノマーおよび/またはオリゴマーを含浸し、加熱等により重合・高分子化する方法など公知の方法が採用できる。
【0029】
本発明においてシートを構成する3次元絡合不織布とその内部に含有された樹脂の重量比の好ましい範囲は、研磨シートの耐久性がより優れたものとなる点から樹脂比率10w%以上が好ましく、研磨斑が発生しにくくなるため樹脂比率30w%以上が特に好ましい。また、本発明の効果を十分に得るためには繊維比率10w%以上が好ましく、目詰まりによるメンテナンス間隔がより長くなるという点で繊維比率30w%以上が好ましい。
【0030】
本発明の研磨用シートは、樹脂と不織布を一体化した後に研磨用シートの硬度の微調整を行う為にさらにその空隙率、厚みなどをプレス、発泡その他の処理で調整することも可能である。
【0031】
本発明の研磨用シートはシートの表面を研磨面として用いることも、また、シートを任意の形状に切断し、その断面を研磨面として用いることもできる。表面を研磨面として用いる場合には、シートの断面を用いる場合より精密な研磨が可能となり、精度を重視する研磨ではかかる方法を用いることが好ましい。また、シートの表面を研磨面として用いる場合、使用時に研磨用シートの表面の大きな凹凸を防ぐためその表面を平滑化しておくことが好ましい。かかる平滑化の方法としては特に制限は無く平板プレス等任意の方法を取ることができるが、好ましくは本発明の繊維が均一に起毛露出し研磨速度が向上する点からサンドペーパーなどでバフィング処理を行うことで平滑化することが研磨性に優れ最も有用である。
【0032】
また、シートの断面を研磨面として用いる場合、繊維の配向が研磨に最も適した構造となるため、より高速の研磨が可能となり、研磨速度を重視する工程ではかかる方法を用いることが好ましい。また、この場合本発明の研磨用シートを重ね合わせたり、更に、研磨用シート同士を接着して用いることが研磨効率向上の面から特に好ましい。
【0033】
また本発明の研磨用シートは、厚みが0.1〜10mmの範囲が好ましく、0.3mm〜3mmの範囲にあることが好ましい。厚みが0.1mm未満では剛性が不足し、しわが発生しやすくなるなど取り扱い性が低下する他、特に表面を研磨面として用いる場合研磨用シートの寿命が短くなるなど実用上不利であり、10mmを越えるとわずかの歪で座屈するなど、やはり取り扱い性が低下する他、樹脂をシート中に均一に分布させることが困難になり生産性の低下をきたしやすい傾向がある。
【0034】
また、本発明の研磨用シートの密度は特に規定されるものではないが0.1〜0.9g/cmの範囲が生産性が高く好適である。
本発明の研磨用シートの表面硬度は、JIS K7312で規定されているC硬度で表現して40゜以上であることが好ましく、50゜以上であることがより好ましく、55゜以上であることが特に好ましい。硬度が40゜より低いと研磨速度および生産性が低下が低下する傾向があり、研磨用シート自身が変形しやすいため平滑品質にし難い傾向がある。また100゜以下であることが好ましく、95゜以下であることがより好ましく、90゜以下であることがさらに好ましい。硬度が100゜を越えると、研磨用シートの変形が過小となるため、研磨用シートの表面不良、砥粒の不良、研磨条件の不良等がそのまま品質不良に直結するため研磨面の平滑性が低下する傾向にある。
【0035】
【実施例】
以下に、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、特に断りの無い限り、文中の%は重量%、部は重量部を示す。
[海島型繊維の海島比率]
繊維断面における海島の面積比率は、電子顕微鏡にて繊維断面の500〜2000倍の拡大写真を撮影し、平均繊維直径および島部の平均直径および島数から算出する。
[繊維断面の中空率]
中空部を有する繊維の中空率は、電子顕微鏡にて繊維断面の500〜2000倍の拡大写真を撮影し、下記式により算出する。
中空率(%)=(A/B)×100
A=繊維断面の中空部の面積
B=繊維断面の外周に囲まれた部分の面積
【0036】
実施例1
ポリアミドとしてナイロン6(以下PA6と略す)50部とポリスチレン(以下PSと略す)50部をドライブレンド後、単軸押出機にて溶融混練した後、ダイより押出、海成分がPA6、島成分がPSからなる直径15μ、島数50の海島型繊維を紡糸した。得られた繊維を延伸、クリンプ、カットして、3.5デシテックス、カット長さ55mmのステープル繊維を得た。該ステープル繊維をカードに通し、クロスラッパー方式によりウエッブとし、積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980P/cmの針刺し密度でニードルパンチして目付450g/mの不織布を得た。不織布の充填率は0.21であった。不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にPSの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したが繊維の融着は見られなかった。この不織布にポリビニルアルコール(以下PVAと略す)をグラビアコートして保形処理した後、17%のポリウレタンのジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)溶液を含浸し、DMF濃度3%水溶液で凝固し、湯洗し3次元絡合不織布と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる多孔質のシートを得た。得られたシートの不織布と樹脂の重量比は2:1であった。さらに表面をサンドペーパーでバフし、表面を平滑化して厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研磨用シートのC硬度をJIS K7312に基づき高分子計器(株)製のアスカーC型硬度計を用いて測定したところ硬度は75であった。
【0037】
直径500mmの下定盤に本発明の研磨用シートを感圧接着剤で貼り合わせ、続いて上定盤に直径4インチ、研磨前の表面粗さ2μmのアルミ円盤3枚をワックスで接着後、両者を研磨機にセットし、コロイダルシリカスラリー(ナルコ社製#2350)の20倍純水希釈物を、流量1リットル/minで還流しつつ、100rpmの回転数で研磨した。2分後のアルミ円盤の表面荒さを評価した。測定はJIS B0601−1994に準じ、表面粗さ計(東京精密株式会社製サーファコム120A、円錐状触針;頂角90゜、先端曲率半径5μm)で40mm間隔の2点間の粗さを評価した。
【0038】
さらに、同一の研磨用シートを用いて、新たなアルミ円盤を2分研磨することを繰り返し、研磨後のアルミ円盤の表面粗さが最初に研磨したアルミ円盤の表面粗さの1.5倍となったときの回数を研磨用シートの耐久性の尺度として、耐久性を評価した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
実施例1で用いた研磨シートをトルエン中に浸漬し、一部のPSを抽出することで任意の断面10箇所の平均中空率6%の多空中空繊維からなる研磨用シートを得た。この研磨シートのポリウレタン樹脂成分をDMFで抽出除去した後、不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にPSの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したが繊維の融着は見られなかった。このとき、繊維を構成する成分比はPA6:PS=62.5:37.5で繊維断面は島部分のポリスチレンが一部溶解除去されて中空部分を構成する状態が観察された。繊維対樹脂の比率は8:5であった。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
PA6とPSの比率が62.5:37.5であり、かつ目付が360g/mである他は実施例1と同様にして不織布を得た。不織布の充填率は0.17であった。不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にPSの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したが繊維の融着は見られなかった。この不織布を繊維対樹脂の比率が8:5となるよう含浸率を調整した他は実施例1とまったく同様にして研磨用シートを得た。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
実施例4
中空糸用ノズルを用いた他は実施例1と同様の条件で紡糸し中央部に直径5μmの空洞を持ち、PA6が海成分で、PSが島成分の島数42からなる直径15μmの中空糸を得た。これを実施例1と同一の条件で不織布化し、目付450g/mの不織布を得た。不織布の充填率は0.21であった。不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にPSの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したが繊維の融着は見られなかった。この不織布にポリビニルアルコール(以下PVAと略す)をグラビアコートして保形処理した後、17%のポリウレタンDMF溶液を含浸し、DMF濃度3%水溶液で凝固し、湯洗し3次元絡合不織布と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる多孔質のシートを得た。得られたシートの不織布と含有された樹脂の重量比は17:10あった。さらに表面をサンドペーパーでバフし、表面を平滑化して厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研磨用シートのC硬度をJIS K7312に基づき高分子計器(株)製のアスカーC型硬度計を用いて測定したところ硬度は71であった。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
繊維原料としてPA6のみを用いた他は実施例1とまったく同様にして研磨用シートを得た。用いた不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にポリスチレンの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したが繊維の融着は見られなかった。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
比較例2
繊維原料としてPSのみを用いた他は実施例1とまったく同様にして研磨用シートを得た。用いた不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にポリスチレンの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したところ繊維が融解し、繊維同士が接着して板状となった。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行おうととしたところ、繊維の破断および膠着による糸くずが大量に生成し、被研磨材の汚染が発生したため評価を中止した。
【0044】
比較例3
PA6を島成分としPSを海成分としてさらにPA6とPSの比率を3:7とした他は実施例1とまったく同様にして研磨用シートを得た。用いた不織布を構成する繊維を100℃においてプレスした際にポリスチレンの溶融により繊維の融着が発生するかどうか確認したところ繊維が融解し、繊維同士が接着して板状となった。この研磨シートについて実施例1と同様の評価を行おうととしたところ、繊維の膠着および破断による糸くずが大量に生成し、被研磨材の汚染が発生したため評価を中止した。
【0045】
実施例5
実施例1で得た研磨用シートの表裏面同士を17%ポリウレタンDMF溶液を接着剤として貼り合わせた後、厚み5mmになるよう貼り合わせ方向で切断し、実施例1の研磨用シートの断面が積層された状態の研磨面からなるの研磨シートを得た。この研磨シートを用い生産ラインにてブラウン管用ガラスの研磨を行ったところ、1個当たり5分間の研磨で目的とする製品が得られた。
【0046】
比較例4
比較例1で得たシートを用いた他は実施例4とまったく同様の試験を行ったところ、一個当たり9分の研磨で目的とする製品が得られた。
【0047】
実施例1と比較例1、2、3を比べるならば、本発明の研磨シートの研磨性能がPA単独の繊維を用いたものより勝ること、また、PS単独ないしPSが海である繊維を使用したものは研磨材としては不適であり、本発明のPAが海であることが必須であることが分かる。また、実施例1と4、また2と3を比べるなら、繊維が中空繊維である方が研磨シートとしてよりすぐれた性能を発揮することが分かる。更に実施例4と比較例4を比較することで、断面を研磨面として用いる場合でも、本発明の効果が発揮されることが確認できる。
【0048】
【表1】
Figure 0003816817
【0049】
【発明の効果】
本発明の研磨用シートを用いるならば、より短時間に、ブラウン管等の被研磨物を研磨処理できるだけでなく、研摩布自体の生産性が良く安価に製造できる等、研磨工程全体の生産性の向上が可能となり有用である。

Claims (4)

  1. 3次元絡合不織布及びその内部に樹脂が含有されたシートにおいて、該不織布を構成する繊維が実質的にポリスチレンとポリアミドからなり、該ポリスチレンと該ポリアミドの重量比が1:99〜90:10の範囲であり、かつ該繊維内部のポリアミドが連続層を形成しており、さらに該繊維表面が実質的にポリアミドからなることを特徴とする研磨用シート。
  2. 繊維が、ポリアミドを海成分とし、ポリスチレンを島成分とする海島型繊維である請求項1に記載の研磨用シート。
  3. 繊維が、中空繊維である請求項1または2に記載の研磨用シート。
  4. 樹脂が、ポリウレタンである請求項1〜3いずれかに記載の研磨用シート。
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