JP2009066749A - 研磨布およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板、およびガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工を施す際に好適に用いられ得る、少なくとも片面に補強層を有する研磨布に関し、研磨加工時の加工安定性、および研磨布製造時の工程通過性に優れる研磨布を提供する。
【解決手段】極細繊維を表面に有する研磨布であって、極細繊維層1、接着層2、補強層3の三層構造からなり、接着層が面方向に非連続な構造を有することを特徴とする研磨布。
【選択図】図1
【解決手段】極細繊維を表面に有する研磨布であって、極細繊維層1、接着層2、補強層3の三層構造からなり、接着層が面方向に非連続な構造を有することを特徴とする研磨布。
【選択図】図1
Description
本発明は磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板、およびガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工を施す際に好適に用いられ得る研磨布に関し、加工安定性、および研磨布製造時の寸法安定性に優れた研磨布に関するものである。
近年、磁気ディスク等の磁気記録媒体は、高容量化、高記憶密度化に伴い、磁気ヘッドの浮上高さが著しく小さくなる傾向にある。そのため、磁気ディスク表面に突起が存在すると、磁気ヘッドと突起とが接触してヘッドクラッシュを起こし、ディスク表面に傷が発生する。また、ヘッドクラッシュには至らない程度の微小な突起であっても、磁気ヘッドとの接触により情報の読み書きの際に発生するエラーの原因となる。
従来、硬質ポリウレタンフォームなどからなる研磨パッドによってスラリー研削を行った後のディスク表面は、傷や微小な突起が多数存在する上、平滑性が低いことから、研磨布表面に遊離砥粒を付着させ、テープ状の不織布や織物を用いた研削により、平滑性を高める加工を行っている。具体的には、アルミニウム合金基板またはガラス基板を連続回転させた状態で、テープ状の研磨布を基板に押し付けながら、基板の径方向に往復運動させ、連続的に研磨テープを走行させるものである。このとき、スラリーを研磨テープと基板との間に供給するが、スラリー中に含まれる遊離砥粒が、研磨テープ表面の繊維に微分散した状態で把持され、基板に押し付けられることで研磨を行っている。
近年、磁気記録ディスクの記録方式が、従来の長手記録方式から垂直記録方式へ移行することに伴い、基板表面の平滑性を向上させる要求が益々高まってきており、テープ状の研磨布を用いたスラリー研削の他に、スラリーを用いないクリーニング加工も行われるようになってきた。
テープ状の研磨布を用いたスラリー研削および/またはクリーニング加工によって研磨加工を行う場合、最近の急激な高記録容量化のための高記録密度化に対応するためには、0.2nm以下の基板表面粗さを達成し、かつスクラッチ欠点と呼ばれる基板表面の傷を極小化することが要求されている。
基板表面粗さを小さくするため、不織布を構成する繊維を極細化し、基板表面への傷を極小化するため、クッション性を持たせるべく不織布に弾性重合体を含浸させるという提案がなされている(特許文献1〜4)。また、最近ではナノファイバーレベルの超極細繊維を表面に分散させた研磨布によって、基板表面粗さの極限までの低減、およびスクラッチ性能の向上を達成している(特許文献5)。
しかしながら、最近の研磨加工の精度の向上により、研磨テープの形体保持特性が重要視されるようになってきた。研磨時に研磨テープの引張強度が不足すると、テープが伸びる「ネッキング」と呼ばれる問題があり、テープ研磨面の長さ、幅が変化することにより、加工不均一化につながる。
また、研磨テープ構成繊維の超極細化によって繊維強度が低下し、それによりテープの引張強力は低下傾向となる。そのため、研磨加工時の形体安定性を維持し、かつ製造時の工程通過性が良好な研磨テープが求められていた。
特開2001−1252号公報
特開2002−273650号公報
特開平6−272114号公報
特許第3457478号公報
特開2007−144614号公報
本発明は磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板、およびガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工を施す際に好適に用いられ得る、少なくとも片面に補強層を有する研磨布に関し、研磨加工時の加工安定性、および研磨布製造時の工程通過性に優れる研磨布を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)極細繊維を表面に有する研磨布であって、極細繊維層、接着層、補強層の三層構造からなり、接着層が面方向に非連続な構造を有することを特徴とする研磨布。
(2)前記接着層が実質的に極細繊維に接着していないことを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(3)前記補強層が織物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の研磨布。
(4)前記接着層がドット状であることを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(5)前記ドットの密度が30〜1500個/cm2の範囲であることを特徴とする、前記(4)に記載の研磨布。
(6)前記ドットの付着量が1〜50g/m2の範囲であることを特徴とする前記(4)または(5)に記載の研磨布。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の研磨布を製造する方法であって、極細繊維発生可能な繊維からなる不織布に、補強層をドット状に塗布した接着剤にて接着し積層した後、極細繊維発生処理を行うことを特徴とする研磨布の製造方法。
(1)極細繊維を表面に有する研磨布であって、極細繊維層、接着層、補強層の三層構造からなり、接着層が面方向に非連続な構造を有することを特徴とする研磨布。
(2)前記接着層が実質的に極細繊維に接着していないことを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(3)前記補強層が織物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の研磨布。
(4)前記接着層がドット状であることを特徴とする前記(1)に記載の研磨布。
(5)前記ドットの密度が30〜1500個/cm2の範囲であることを特徴とする、前記(4)に記載の研磨布。
(6)前記ドットの付着量が1〜50g/m2の範囲であることを特徴とする前記(4)または(5)に記載の研磨布。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の研磨布を製造する方法であって、極細繊維発生可能な繊維からなる不織布に、補強層をドット状に塗布した接着剤にて接着し積層した後、極細繊維発生処理を行うことを特徴とする研磨布の製造方法。
本発明によれば、研磨加工時の加工安定性、および研磨布製造時の工程通過性に優れる研磨布を提供することができるものである。
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明でいう極細繊維とは、平均単繊維繊度が1.0×10−6〜0.05dtexの繊維を呼び、形態的にはその単繊維がバラバラに分散したものが大部分を占めるが、単繊維が部分的に結合しているもの、あるいは複数の単繊維が凝集した集合体などの全ての総称である。その繊維長や断面形態などは限定されない。
ここで、単繊維直径の平均値は以下の方法で求める。すなわち、極細繊維を含む研磨布の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、同一横断面内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定する。測定は、TEMあるいはSEMによる研磨布の横断面写真を、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維の直径を求めるものであり、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、平均値を算出することで求められるものである。なお、研磨布の極細繊維層を構成する極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、その面積を仮に断面が円の場合の面積とする。その面積から直径を算出することによって単繊維の直径を求めるものである。
また、単繊維繊度の平均値は以下のようにして求める。まず、単繊維の直径はnm単位で小数点以下一桁目まで測定し、150本の平均値を求め、小数点以下を四捨五入する。その平均単繊維直径とポリマーの密度から平均単繊維繊度を算出するものである。本発明では、平均単繊維繊度が1.0×10−6〜0.05dtex(単繊維直径で10〜2400nm相当)であることが必要である。より好ましくは1.0×10−5〜0.01dtexの範囲である。
本発明の研磨布は、平均単繊維繊度が1.0×10−6〜0.05dtexの極細繊維からなる極細繊維層、補強層、およびこれらを接着せしめる接着層からなることが特徴である。
極細繊維層は、短繊維をカード、クロスラッパーを用いて幅方向に配列させた積層ウェブを形成させた後にニードルパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンドやメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、抄紙法で得られる不織布および、支持体上にナノファイバーを静電紡糸法などにより噴霧、浸漬、あるいはコーティングして付着させたもの、織編物などが好適に用いられる。極細繊維を構成するポリマーとしては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられるが、ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、より好ましい。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポチトリメチレンテレフタレート等、ポリアミドの具体例としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等である。また、ポリマーには粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させても良いし、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
研磨加工時のテープ伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑える点から、本発明においては、研磨布の極細繊維を有する面の裏面に補強層を有することが必要である。補強層としては、織物、編物、不織布、フィルム状物(プラスチックフィルム、紙、金属薄膜シートなど)等を用いることが好しい。
中でも研磨布製造時の工程通過性、寸法安定性の観点から、補強層としては織物が好ましい。織物としては平織物、綾織、朱子織あるいはそれらの織り方を基本とした各種の織物を使用することができるが、研磨加工の均一性を鑑みた厚み均一性などの観点から、平織物が好ましく用いられる。織物を構成する糸はポリエステル、ポリアミドなどのポリマー繊維を用いることができる。中でも、耐アルカリ性(後述するように、極細繊維をポリマーアロイ繊維から発生させるにあたって易溶解性ポリマーにアルカリ易溶解性ポリマーを用いた場合、アルカリ易溶解性ポリマー溶出時におけるシートの耐久性に影響する。)、および研磨シート全体の柔軟性などの観点から、ポリアミドが好ましく用いられる。
織物を構成する繊維の単繊維繊度としては、0.3dtex以上5dtex以下が好ましい。0.3dtex以上とすることで充分な単糸強度が得られ、5dtex以下とすることで極細繊維層に対する凹凸を抑制できるため好ましい。また、織物のトータルの繊度としては30dtex以上120dtex以下が好ましい範囲である。30dtex以上とすることで研磨シートとしての充分な強力を保持可能であり、120dtex以下とすることで、必要以上に織物が厚くなることを抑制できるため好ましい。糸種としては紡績糸、フィラメント糸、解除繰り糸などから適宜使用可能である。織物の織密度としては、経糸、緯糸ともにともに10本/cm以上80本/cm以下が好ましい。織密度を10本/cm以上とすることで、目ずれを抑制でき、適度な寸法安定性が得られるため好ましい。80本/cm以下とすることで研磨シート全体の柔軟性が得られ、高目付化が抑制できるため好ましい。
本発明の研磨布は、極細繊維層と補強層とが接着層によって接着されており、接着層が平面方向に非連続な構造を有することが必要である。接着層が非連続構造を有することで、研磨布に適したクッション性と、適度な柔軟性が得られるからである。すなわち、接着剤が存在する部分と存在しない部分とによって弾性に差が生じ、これが研磨布に適したクッション性を生み出すと考えられる。ここでいう非連続な構造とは、接着層が平面方向に連続した層を形成せず、ドット状などの形態を有することを指すものである。なお、平面方向とはシート状である研磨布のシート状に広がった方向であり、厚さ方向とは垂直な方向を意味する。ただし、塗布量に差を持たせた場合にも同様の効果が得られるが、極細繊維発生加工時などの溶剤の液抜け性が非常に悪くなるため、接着層が付着していない部分が存在する、平面方向に非連続な構造を有するものが好ましい。
接着層を構成する接着剤は特に限定されるものではないが、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが好ましく用いられる。特に好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン系である。
接着層をドット状に形成させる場合、ドットのサイズ、ドットの間隔を適度に制御することにより、研磨布の柔軟性を調節することができる。ドットの形状は特に限定されないが、円形が便利である。ドットの直径としては、0.1〜3.5mmが好ましく、ドットの密度としては、30〜1500個/cm2が好ましい。ドットの付着量としては1〜50g/m2が好ましい範囲である。
極細繊維層に好ましく用いられる不織布(極細繊維不織布)において、強度補強やクッション性の向上の点から、主体をなす極細繊維以外にも、単繊維繊度が0.05dtex以上のナイロン6、ナイロン66、ナイロン12及び共重合ナイロンなどのポリアミド類からなる極細繊維を混合して使用してもよい。ただし、研磨布表面の平滑性の点から混合量としては、極細繊維層の繊維総重量に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下が採用される。
本発明においては、主に極細繊維層に弾性重合体を含有していてもよい。弾性重合体の存在により研磨布にクッション性を付与することができる。用いる弾性重合体は特に限定されない。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができる。中でもポリウレタン、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール成分にポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタンの重量平均分子量は50,000〜300,000が好ましく、より好ましくは100,000〜300,000、さら好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、得られるシート状物の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、300,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
また、弾性重合体は、主成分としてポリウレタンを用いることが好ましいが、性能や極細繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、バインダーとしてポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良い。さらに、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明の研磨布において、弾性重合体の含有率は、極細繊維層の繊維総重量に対し、5重量%以上200重量%以下であることが好ましい。含有量によって研磨布の表面状態、クッション性、硬度、強度などを適宜調節することができる。5重量%以上とすれば繊維脱落を少なくでき、200重量%以下とすれば、加工性及び生産性が向上するとともに、表面上において極細繊維が均一分散した状態を得ることができる。好ましくは20〜100重量%の範囲であり、より好ましくは30〜80重量%の範囲である。
研磨布をテープ状として研磨加工を施す際に寸法変化が生じると、基板表面を均一に研磨することができない。そこで、本発明においては研磨布の形態安定性の点から、極細繊維層の目付は100〜600g/m2であることが好ましく、150〜300g/m2であることがより好ましい。また、同様の観点から本発明の極細繊維層は厚みが0.1〜10mmの範囲が好ましく、0.3〜5mmの範囲がより好ましい。なお、本発明の極細繊維層の密度については特に限定されるものではないが、均一な加工性を得るためには0.1〜1.0g/cm3の範囲が好適である。
また、研磨加工中にネッキングなどを起こさず、均一な加工を行うためには、研磨布の湿潤状態での引張強度は60N/cm以上であることが好ましく、100N/cm以上がより好ましい。湿潤状態での引張強度を向上させるには、補強層構成繊維に疎水性ポリマーを用いたり、極細繊維層に含有させる弾性重合体の種類や量を調整したりすればよい。
本発明の研磨布は、研磨面、すなわち、極細繊維層の表面に補強層の繊維が露出していないことが好ましい。補強層の構成繊維は極細繊維層を形成する繊維よりも太繊度であるため、補強層の繊維が研磨面に露出すると研磨加工時の加工不均一化やスクラッチなどの欠点につながるためである。繊維の露出個数としては、極細繊維が存在する研磨面において、0〜1個/100cm2が好ましく、全く観察されないことがより好ましい。
次に、本発明の研磨布を製造する方法について詳細に記述する。
本発明の研磨布は、例えば、以下の工程を組み合わせることにより得られる。すなわち、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーを用いた複合繊維でウェブを作製し、該複合繊維ウェブに絡合処理を施して不織布を作製する工程、必要により弾性重合体を該不織布に付与し、該弾性重合体を実質的に凝固し固化させる工程、必要により起毛処理を施し表面に立毛を形成する工程、該不織布に補強層をドット状に配設した接着剤で積層する工程、該複合繊維から易溶解性ポリマーを溶解除去することにより極細繊維化する工程である。
平均単繊維繊度が1.0×10−6〜0.05dtexの極細繊維から直接不織布を製造するのは困難なので、前述のように、まず、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーを用いた複合繊維で不織布を製造し、この海島型複合繊維から極細繊維を発生させるという工程を経ることが好ましい。
本発明の研磨布を構成する極細繊維は、海島複合型繊維や分割型複合紡繊維糸などから得ることもできるし、ポリマーアロイ繊維から得ることもできる。ポリマーアロイ繊維から得る場合は、極細繊維の前駆体であるポリマーアロイ繊維は、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体を用いて得た海島型複合繊維であることが好ましい。このポリマーアロイ繊維中では、易溶解性ポリマーが海(マトリックス)、難溶解性ポリマーが島(ドメイン)をなし、その島サイズを制御することが重要である。ここで、島サイズとは、ポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察し、直径換算で評価したものである。前駆体中での島サイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、島サイズの分布は極細繊維の直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化するポリマーの混練が非常に重要であり、混練押出機や静止混練機等によって高混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンドでは混練が不足するため、数十nmレベルで島を分散させることは困難である。
具体的には、混練を行う際の目安としては、組み合わせるポリマーにもよるが、混練押出機を用いる場合には、2軸押出混練機を用いることが好ましく、静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。
島ドメインを円形に近づけるためには、ポリマーの組み合わせも重要となる。島成分ポリマーと海成分ポリマーは非相溶であることが好ましいが、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島成分ポリマーが充分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメーター(SP値)である。ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近いもの同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m3)1/2であると、非相溶化による島成分の円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えば、ナイロン6とポリエチレンテレフタレートはSP値の差が6(MJ/m3)1/2程度であり好ましい例であるが、その他、ナイロン6とポリ乳酸もSP値の差が2(MJ/m3)1/2であり、好ましい例として挙げることができる。一方、ナイロン6とポリエチレンはSP値の差が11(MJ/m3)1/2 程度であり好ましくない例として挙げられる。
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの溶融粘度を海に比べて低く設定すると剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすく超極細化の観点からは好ましい。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島成分ポリマー粘度は海成分ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
本発明の研磨布の極細繊維層を構成する不織布を得る方法としては特に限定されるものではないが、海島型複合繊維、分割型複合繊維または静電紡糸法などにより得られたものなどを用いることができる。またスパンボンド法、メルトブロー法などにより紡糸から直接形成した長繊維不織布、抄紙法で得られた不織布および、支持体上に静電紡糸法などにより極細繊維を噴霧、浸漬、あるいはコーティングして付着させたもの、織物、編物などが好適に用いられる。
複合繊維を用いて複合繊維ウェブを作製するにあたっては、通常の製法、装置を用いることができる。次に、複合繊維ウェブの複合繊維を絡合させ複合繊維不織布を得るが、絡合方法は特に限定されるものではない。ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの方法を適宜組み合わせることができる。
ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による緻密な表面状態の達成の観点から500〜8000本/cm2であることが好ましい。パンチング本数を500本/cm2以上とすることで、緻密性が得られ、高精度の仕上げを得ることができる。パンチング本数を8000本/cm2以下とすることで、加工性の悪化、繊維損傷、及び強度低下を防ぐことができる。かかるニードルパンチング後の複合繊維不織布の繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.15g/cm3以上0.30g/cm3以下であることが好ましい。
また、ウオータージェットパンチング処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。
このようにして得られた複合繊維不織布は、緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
本発明の研磨布は、前記複合繊維からなる不織布を極細繊維化処理する前に、弾性重合体を付与させることが好ましい。かかる弾性重合体のバインダー効果により、極細繊維が研磨布から抜け落ちるのを防止し、かつ研磨布にクッション性を持たせることが可能となる。
使用する弾性重合体については前述の通りであるが、弾性重合体を付与させる際に用いる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、かかる弾性重合体として、水中にエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンを用いてもよい。溶媒に溶解した弾性重合体溶液に不織布を浸漬する等して弾性重合体を不織布に付与し、その後、乾燥することによって弾性重合体を実質的に凝固し固化させる。乾燥にあたっては不織布及び弾性重合体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
本発明の研磨布は極細繊維層の表面(研磨面)が立毛されていることが好ましい。研磨布の立毛は、バッフィング処理により得られる。ここでいうバッフィング処理とは、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて表面を研削する方法などにより施すのが一般的である。特に、表面をサンドペーパーにより、起毛処理することで均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、研磨布の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数、サンドペーパー番手などを適宜調整することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とすることがより好ましい。
次に複合繊維から極細繊維を発現せしめる。複合繊維から極細繊維を発現せしめる方法、すなわち、極細繊維発生加工は、除去する成分(易溶解性ポリマーからなる海成分)の種類によって異なるが、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、PLAや共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。なお、本発明の研磨布における極細繊維化加工は、極細繊維発生型繊維に立毛を形成させた後に行ってもよいし、極細繊維化加工後に行ってもよい。
また、極細繊維発生加工に用いる装置は特に限定されるものではなく、連続染色機やバイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。
本発明の研磨布には、極細繊維層の一面に補強層を設ける必要があるが、補強層は接着層によって極細繊維層に接着する。かかる補強層を接着する方法としては、接着層が平面方向に非連続な構造となれば特に限定されるものではないが、接着剤をドット状に塗布する方法や各種模様(唐草模様、幾何学模様等)状に塗布する方法などが採用される。なかでも、研磨布全体のクッション性や柔軟性の観点から、ドット状に塗布させることが好ましい。
接着剤をドット状に塗布する方法としては、特に限定されないが、ディスパージョンドット塗布方法、パウダードット塗布方法、ダブルドットコーティング法などの通常の方法を用いることが可能である。付着パターンとしては、特に限定されるものではなく、ランダムパターン、格子状(レギュラー)パターンを適宜選択可能である。なお、まず補強層に接着剤を塗布し、その後に極細繊維層を重ね合わせる方法が好ましいが、先に極細繊維層に接着剤を塗布し、その後補強層を重ね合わせる方法や細繊維層及び補強層の両方に接着剤を塗布し両者を重ね合わせるいずれの方法も採用することができる。
本発明の研磨布を製造するにあたっては、補強層を接着後に、極細繊維化加工を行うことが重要である。シートに接着剤を付与した後に、易溶解性ポリマーを溶解除去することにより極細繊維と接着剤との間に空間を形成でき、接着剤(接着層)が実質的に極細繊維と接着しない構造をとることが可能となるのである。ここで実質的にとは、大部分においては接着剤と極細繊維が接着していないが、わずかな部分では接着剤と極細繊維が接着していてもよいことを意味する。このような、接着剤(接着層)が実質的に極細繊維と接着しない構造によって、接着部分(接着層が存在する部分)において研磨布の柔軟性が低減することを抑えることができ、柔軟性の不均一化を低減することができる。
極細繊維化加工については、前述のとおりであり、有機溶媒やアルカリ水溶液による処理で易溶解性ポリマーを溶解除去すればよい。
その他、染色処理や起毛処理を施す。染色処理は、原則として極細繊維化加工であるが、起毛処理は極細繊維化加工前に行っても後に行ってもかまわない。
その他、染色処理や起毛処理を施す。染色処理は、原則として極細繊維化加工であるが、起毛処理は極細繊維化加工前に行っても後に行ってもかまわない。
本発明の研磨布を用いて、研磨加工を行う方法としては、かかる研磨布を加工効率と安定性の観点から、30〜50mm幅のテープ状にカットして、研磨加工用テープとして用いる。
該研磨テープと遊離砥粒を含むスラリーとを用いて、アルミニウム合金磁気記録ディスクの研磨加工を行う方法が好適な方法である。研磨条件として、スラリーは、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。砥粒の保持性と分散性の観点から、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒径としては0.2μm以下が好ましいものである。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)PLAの重量平均分子量
試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で求めた。測定は各試料につき3点行い、その平均値を重量平均分子量とした。
試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で求めた。測定は各試料につき3点行い、その平均値を重量平均分子量とした。
(2)ポリマーの溶融粘度
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
(3)融点
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
(4)TEMによる研磨布の横断面観察
研磨布をエポキシ樹脂で包埋し、横断面方向に超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡(TEM)で研磨布の横断面における極細繊維層を観察した。また、必要に応じて金属染色を施した。
TEM装置 : (株)日立製作所製 H−7100FA型。
研磨布をエポキシ樹脂で包埋し、横断面方向に超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡(TEM)で研磨布の横断面における極細繊維層を観察した。また、必要に応じて金属染色を施した。
TEM装置 : (株)日立製作所製 H−7100FA型。
(5)極細繊維の数平均による直径、単繊維繊度
極細繊維を含む研磨布の横断面をTEMあるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、同一横断面内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。測定は、TEMあるいはSEMによる研磨布の横断面写真を、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径および繊度を求めるものであり、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定することで求めた。なお、研磨布を構成する極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、その面積を仮に断面が円の場合の面積とする。その面積から直径を算出することによって単繊維直径を求めるものである。また、単繊維繊度の平均値は以下のようにして求めた。まず、単繊維直径をnm単位で小数点以下一桁目まで測定し、その平均値を求め、小数点以下を四捨五入する。その単繊維直径から単繊維繊度を算出した。
SEM装置 : (株)キーエンス製 VE−7800型。
極細繊維を含む研磨布の横断面をTEMあるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、同一横断面内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。測定は、TEMあるいはSEMによる研磨布の横断面写真を、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径および繊度を求めるものであり、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定することで求めた。なお、研磨布を構成する極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、その面積を仮に断面が円の場合の面積とする。その面積から直径を算出することによって単繊維直径を求めるものである。また、単繊維繊度の平均値は以下のようにして求めた。まず、単繊維直径をnm単位で小数点以下一桁目まで測定し、その平均値を求め、小数点以下を四捨五入する。その単繊維直径から単繊維繊度を算出した。
SEM装置 : (株)キーエンス製 VE−7800型。
(6)湿潤時タテ引張強力
湿潤時のタテ引張強力は、JISL1096 8.12.1(1999)に準拠して、試料長さ方向をタテ方向とし、タテ方向にて長さ20cm、幅2.5cmのサンプルを採取し、つかみ間隔(試長)10cmで定速伸長型引張試験機にて、引張速度10cm/分にて伸長させて試料破断時の荷重を求めた。得られた値から幅1cm当たりの荷重を算出後、その値から厚み1mm当たりの荷重を算出し、引張強力(単位:N/cm幅/mm厚)とした。採取した前記試料を、25℃の蒸留水中に60分間浸漬させた後、試料表面の水分を軽く拭き取り、前述の方法で測定することで湿潤時のタテ引張強力を測定した。
湿潤時のタテ引張強力は、JISL1096 8.12.1(1999)に準拠して、試料長さ方向をタテ方向とし、タテ方向にて長さ20cm、幅2.5cmのサンプルを採取し、つかみ間隔(試長)10cmで定速伸長型引張試験機にて、引張速度10cm/分にて伸長させて試料破断時の荷重を求めた。得られた値から幅1cm当たりの荷重を算出後、その値から厚み1mm当たりの荷重を算出し、引張強力(単位:N/cm幅/mm厚)とした。採取した前記試料を、25℃の蒸留水中に60分間浸漬させた後、試料表面の水分を軽く拭き取り、前述の方法で測定することで湿潤時のタテ引張強力を測定した。
(7)工程通過性
スチーマーを備えた連続式染色機を用いたDip−Nip加工による極細繊維加工においての工程通過性に関し、シートの伸び、シワの発生の有無について評価した。工程通過性が良好な場合を「○」、シート伸びや破断などが発生し、加工が困難であった場合を「×」とした。
スチーマーを備えた連続式染色機を用いたDip−Nip加工による極細繊維加工においての工程通過性に関し、シートの伸び、シワの発生の有無について評価した。工程通過性が良好な場合を「○」、シート伸びや破断などが発生し、加工が困難であった場合を「×」とした。
(8)補強層繊維の表面への露出個数
研磨布の極細繊維層表面の任意の10×10cm(100cm2)の範囲を選択し、表面からの視点の距離を30cmに維持しながら、該範囲内に存在する、極細繊維層に露出した補強層の繊維を数えた。測定は3ヶ所で行い、その平均値を求め、補強層繊維の表面への露出個数とした。
研磨布の極細繊維層表面の任意の10×10cm(100cm2)の範囲を選択し、表面からの視点の距離を30cmに維持しながら、該範囲内に存在する、極細繊維層に露出した補強層の繊維を数えた。測定は3ヶ所で行い、その平均値を求め、補強層繊維の表面への露出個数とした。
(9)基板表面粗さ
JIS B0601(2001年度版)に準拠して、シュミットメジャーメントシステム社(Schmitt Measurement Systems,Inc)製TMS−2000表面粗さ測定器を用いて、研磨加工後のディスク基板サンプル表面の任意の10カ所について平均粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。0.25nm以下を表面粗さ良好とした。
JIS B0601(2001年度版)に準拠して、シュミットメジャーメントシステム社(Schmitt Measurement Systems,Inc)製TMS−2000表面粗さ測定器を用いて、研磨加工後のディスク基板サンプル表面の任意の10カ所について平均粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。0.25nm以下を表面粗さ良好とした。
(10)スクラッチ点数
研磨加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ3nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。50点以下をスクラッチ性能良好とした。
研磨加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ3nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。50点以下をスクラッチ性能良好とした。
[実施例1]
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
溶融粘度310poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度720poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のポリ乳酸(PLA)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
溶融粘度310poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度720poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のポリ乳酸(PLA)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
(スパンボンド)
スパンボンド法により、上記ポリマーアロイチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3500m/分で紡糸し、速度13.5m/分で移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率7%のエンボスロールで、温度80℃、線圧10kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
スパンボンド法により、上記ポリマーアロイチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3500m/分で紡糸し、速度13.5m/分で移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率7%のエンボスロールで、温度80℃、線圧10kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
(ニードルパンチ)
該ポリマーアロイ繊維からなる長繊維不織布に油剤(SM7060EX:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維重量に対し2重量%付与し、4枚積層し、バーブ数1、バーブ深さ0.06mmのニードルを用いて、ニードルパンチを3000本/cm2で施すことで、目付665g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
該ポリマーアロイ繊維からなる長繊維不織布に油剤(SM7060EX:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維重量に対し2重量%付与し、4枚積層し、バーブ数1、バーブ深さ0.06mmのニードルを用いて、ニードルパンチを3000本/cm2で施すことで、目付665g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
(弾性重合体の付与)
この不織布を液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、ポリマーアロイ繊維重量に対して固形分で21重量%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で19重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。
この不織布を液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、ポリマーアロイ繊維重量に対して固形分で21重量%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で19重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。
(半裁・立毛)
その後、厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#180番のサンドペーパーにて研削し立毛を形成させ、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
その後、厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#180番のサンドペーパーにて研削し立毛を形成させ、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
(接着層・補強層)
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−52f、織密度タテ×ヨコ=70×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.6mm、平均ドット間距離0.8mm、130個/cm2のランダムパターンで、塗布量は12g/m2にて付着させた。
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−52f、織密度タテ×ヨコ=70×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.6mm、平均ドット間距離0.8mm、130個/cm2のランダムパターンで、塗布量は12g/m2にて付着させた。
(脱海処理)
最後に、連続染色機にて35%水酸化ナトリウム水溶液を用い、ディップ−ニップ処理、スチーム処理、水洗の後、乾燥させることで、海成分であるPLAを溶出させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。この研磨布中のナイロン6のみをTEM写真から解析した結果、ナイロン6単繊維繊度は2.1×10−4dtexであった。なお、補強層を積層しているため、アルカリ処理時の工程通過性は良好であった。
最後に、連続染色機にて35%水酸化ナトリウム水溶液を用い、ディップ−ニップ処理、スチーム処理、水洗の後、乾燥させることで、海成分であるPLAを溶出させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。この研磨布中のナイロン6のみをTEM写真から解析した結果、ナイロン6単繊維繊度は2.1×10−4dtexであった。なお、補強層を積層しているため、アルカリ処理時の工程通過性は良好であった。
(研磨加工評価)
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。
該研磨布を40mm幅のテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。
アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.3nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを滴下し、テープ走行速度を5cm/分の条件で20秒間研磨を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は26であり、研磨加工性も良好であった。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は26であり、研磨加工性も良好であった。
[実施例2]
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(接着層・補強層)
上記不織布に、補強層として平均単繊維繊度3.5dtex、糸繊度177dtex、織密度タテ×ヨコ=48×36本/cmの綿織物を用いた以外は実施例1と同様にして、接着層・補強層を設けた。ドットは円形、130個/cm2でランダムパターンにて付着させた。
上記不織布に、補強層として平均単繊維繊度3.5dtex、糸繊度177dtex、織密度タテ×ヨコ=48×36本/cmの綿織物を用いた以外は実施例1と同様にして、接着層・補強層を設けた。ドットは円形、130個/cm2でランダムパターンにて付着させた。
(脱海処理)
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.16nm、スクラッチ点数は30であり、加工性は良好であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.16nm、スクラッチ点数は30であり、加工性は良好であった。
[実施例3]
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(接着層・補強層)
上記不織布に、補強層として繊度1.5dtex、目付180g/m2の短繊維不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、接着層・補強層を設けた。ドットは円形、130個/cm2でランダムパターンにて付着させた。
上記不織布に、補強層として繊度1.5dtex、目付180g/m2の短繊維不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、接着層・補強層を設けた。ドットは円形、130個/cm2でランダムパターンにて付着させた。
(脱海処理)
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は21であり、加工性は良好であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.18nm、スクラッチ点数は21であり、加工性は良好であった。
[実施例4]
(不織布)
(海島型複合繊維の原綿)
融点220℃のナイロン6を島成分、融点170℃のポリ(L−乳酸)(PLA、光学純度99.5%以上)を海成分とし、ナイロン6は260℃、PLAは230℃でそれぞれプレッシャーメルターにて溶融し、口金温度245℃にて、島本数376島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合口金を用いて、島/海重量比率40/60にて紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸、捲縮、カットを経て、繊度4.5dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(不織布)
(海島型複合繊維の原綿)
融点220℃のナイロン6を島成分、融点170℃のポリ(L−乳酸)(PLA、光学純度99.5%以上)を海成分とし、ナイロン6は260℃、PLAは230℃でそれぞれプレッシャーメルターにて溶融し、口金温度245℃にて、島本数376島/ホールの高分子相互配列体方式の海島型複合口金を用いて、島/海重量比率40/60にて紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸した後、液浴中で3.0倍に延伸、捲縮、カットを経て、繊度4.5dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(ニードルパンチ)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで1バーブのニードルを植込んだニードルパンチ機にて針深度7mmにて3000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチし、目付690g/m2、密度0.23g/cm3の複合繊維不織布を作製した。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、ついで1バーブのニードルを植込んだニードルパンチ機にて針深度7mmにて3000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチし、目付690g/m2、密度0.23g/cm3の複合繊維不織布を作製した。
(弾性重合体の付与)
この不織布を95℃で熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを繊維重量に対し20重量%付与後、乾燥させた。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で20重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMF、およびポリビニルアルコールを除去した。
この不織布を95℃で熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを繊維重量に対し20重量%付与後、乾燥させた。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で20重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMF、およびポリビニルアルコールを除去した。
(半裁・立毛)
その後、厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#240番のサンドペーパーにて研削し立毛を形成させ、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
その後、厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#240番のサンドペーパーにて研削し立毛を形成させ、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
(接着層・補強層)
上記不織布に対し、実施例1と同様にして接着層・補強層を設けた。
上記不織布に対し、実施例1と同様にして接着層・補強層を設けた。
(脱海処理)
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。なお、補強層を積層しているため、アルカリ処理時の工程通過性は良好であった。
研磨布中のナイロン6のみをSEM写真から解析した結果、ナイロン6の単繊維繊度は0.004dtexであった。
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。なお、補強層を積層しているため、アルカリ処理時の工程通過性は良好であった。
研磨布中のナイロン6のみをSEM写真から解析した結果、ナイロン6の単繊維繊度は0.004dtexであった。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.21nm、スクラッチ点数は38であり、加工性は良好であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.21nm、スクラッチ点数は38であり、加工性は良好であった。
[実施例5]
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(スパンボンド)
ネットコンベアーの移動速度を速度16.9m/分とした以外は実施例1と同様にして、スパンボンド目付120g/m2の長繊維不織布を得た。
ネットコンベアーの移動速度を速度16.9m/分とした以外は実施例1と同様にして、スパンボンド目付120g/m2の長繊維不織布を得た。
(ニードルパンチ)
上記長繊維不織布に対して実施例1と同様にしてニードルパンチ等を施し、目付519g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
上記長繊維不織布に対して実施例1と同様にしてニードルパンチ等を施し、目付519g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
(弾性重合体の付与)
この不織布に対して実施例1と同様にして、弾性重合体を付与した。
この不織布に対して実施例1と同様にして、弾性重合体を付与した。
(半裁・立毛)
その後、実施例1と同様にして半裁・立毛処理を施し、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
その後、実施例1と同様にして半裁・立毛処理を施し、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
(接着層・補強層)
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−26f、織密度タテ×ヨコ=43×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.5mm、平均ドット間距離0.7mm、152個/cm2のランダムパターンで、塗布量は10g/m2にて付着させた。
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−26f、織密度タテ×ヨコ=43×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.5mm、平均ドット間距離0.7mm、152個/cm2のランダムパターンで、塗布量は10g/m2にて付着させた。
(脱海処理)
その後、バッチ式染色機にて、2%水酸化ナトリウム水溶液を用い、60分間浸漬処理を行った。水洗の後、ディップ−ニップ処理し、乾燥させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
その後、バッチ式染色機にて、2%水酸化ナトリウム水溶液を用い、60分間浸漬処理を行った。水洗の後、ディップ−ニップ処理し、乾燥させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は25であり、加工性は良好であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.15nm、スクラッチ点数は25であり、加工性は良好であった。
[実施例6]
(不織布)
(ポリマーチップブレンド)
実施例1にて用いたのと同様のナイロン6(30質量部)とPLA(70質量部)とをチップ状態でブレンドした。
(不織布)
(ポリマーチップブレンド)
実施例1にて用いたのと同様のナイロン6(30質量部)とPLA(70質量部)とをチップ状態でブレンドした。
(スパンボンド)
スパンボンド法により、上記ブレンドチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸し、速度16.9m/分で移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率7%のエンボスロールで、温度80℃、線圧10kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付120g/m2の長繊維不織布を得た。
スパンボンド法により、上記ブレンドチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸し、速度16.9m/分で移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率7%のエンボスロールで、温度80℃、線圧10kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付120g/m2の長繊維不織布を得た。
(ニードルパンチ)
上記長繊維不織布に対して実施例1と同様にしてニードルパンチ等を施し、目付495g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
上記長繊維不織布に対して実施例1と同様にしてニードルパンチ等を施し、目付495g/m2のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。
(弾性重合体の付与)
この不織布に対して実施例1と同様にして、弾性重合体を付与した。
この不織布に対して実施例1と同様にして、弾性重合体を付与した。
(半裁・立毛)
その後、実施例1と同様にして半裁・立毛処理を施し、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
その後、実施例1と同様にして半裁・立毛処理を施し、極細繊維発現繊維からなる不織布を作製した。
(接着層・補強層)
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−26f、織密度タテ×ヨコ=43×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.5mm、平均ドット間距離0.7mm、152個/cm2のランダムパターンで、塗布量は10g/m2にて付着させた。
次に、ディスパージョンドットコーティング法によって、ポリウレタン系接着剤を上記不織布の半裁面に対しドット状に配置し、繊度78dtex−26f、織密度タテ×ヨコ=43×35本/cmのナイロン織物を接着した。ドットは円形で直径0.5mm、平均ドット間距離0.7mm、152個/cm2のランダムパターンで、塗布量は10g/m2にて付着させた。
(脱海処理)
その後、バッチ式染色機にて、2%水酸化ナトリウム水溶液を用い、60分間浸漬処理を行った。水洗の後、ディップ−ニップ処理し、乾燥させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。極細繊維の平均繊度は0.001dtexであった。
その後、バッチ式染色機にて、2%水酸化ナトリウム水溶液を用い、60分間浸漬処理を行った。水洗の後、ディップ−ニップ処理し、乾燥させ、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。極細繊維の平均繊度は0.001dtexであった。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は34であり、加工性は良好であった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は34であり、加工性は良好であった。
[比較例1]
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(接着層・補強層)
接着層・補強層は設けなかった。
接着層・補強層は設けなかった。
(脱海処理)
上記不織布に対し補強層を積層せずにそのまま、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を実施したところ、工程中でシート伸びが発生し、結反部分で破断が発生した。工程通過性が非常に悪いものであった。
上記不織布に対し補強層を積層せずにそのまま、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を実施したところ、工程中でシート伸びが発生し、結反部分で破断が発生した。工程通過性が非常に悪いものであった。
[比較例2]
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(接着層・補強層)
上記不織布に、目付50g/m2の低融点スパンボンド(ダイセルファインケム社製)を用い、実施例1で用いたのと同様のナイロン織物を、フラットロールを用いて、織物面を140℃に加熱させ、荷重6t/mにて接着させた。
上記不織布に、目付50g/m2の低融点スパンボンド(ダイセルファインケム社製)を用い、実施例1で用いたのと同様のナイロン織物を、フラットロールを用いて、織物面を140℃に加熱させ、荷重6t/mにて接着させた。
(脱海処理)
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.19nm、スクラッチ点数は63であり、接着層が平面方向全面に存在し、かつシートの柔軟性が低いために、スクラッチ点数が多いものであった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.19nm、スクラッチ点数は63であり、接着層が平面方向全面に存在し、かつシートの柔軟性が低いために、スクラッチ点数が多いものであった。
[比較例3]
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
(ポリマーアロイチップ)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(スパンボンド)
上記ポリマーアロイチップを用い、実施例1と同様にして、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
上記ポリマーアロイチップを用い、実施例1と同様にして、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
(補強層)
繊度84dtex−72f、織密度タテ×ヨコ=27×27本/cmのPET平織物を、補強層として用いた。
繊度84dtex−72f、織密度タテ×ヨコ=27×27本/cmのPET平織物を、補強層として用いた。
(積層・ニードルパンチ)
上記長繊維不織布および補強層を、長繊維不織布1枚/平織物1枚/長繊維不織布1枚の順に積層し、実施例1で用いたのと同様のニードルによってニードルパンチを3000本/cm2で施すことで絡合させ、目付542g/m2のポリマーアロイ繊維からなる接着層を有さない積層布帛を得た。
上記長繊維不織布および補強層を、長繊維不織布1枚/平織物1枚/長繊維不織布1枚の順に積層し、実施例1で用いたのと同様のニードルによってニードルパンチを3000本/cm2で施すことで絡合させ、目付542g/m2のポリマーアロイ繊維からなる接着層を有さない積層布帛を得た。
(弾性重合体の付与)
この積層布帛を液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で21重量%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で20重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。
この積層布帛を液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で21重量%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。次に、濃度約11%のポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で20重量%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。
(立毛)
その後、JIS#180番のサンドペーパーにて立毛処理を行った。
その後、JIS#180番のサンドペーパーにて立毛処理を行った。
(脱海処理)
その後、アルカリ処理を行い、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
極細繊維層の表面を観察したところ、15個/100cm2の補強層の露出箇所が見られた。
その後、アルカリ処理を行い、ナイロン6からなる極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
極細繊維層の表面を観察したところ、15個/100cm2の補強層の露出箇所が見られた。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.24nm、スクラッチ点数は185であった。ニードルパンチにより補強層(平織物)の繊維が切断され、極細繊維層の表面に補強層の繊維が露出したために、スクラッチ点数が非常に多いものであった。
該研磨布を用いて、実施例1と同様の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.24nm、スクラッチ点数は185であった。ニードルパンチにより補強層(平織物)の繊維が切断され、極細繊維層の表面に補強層の繊維が露出したために、スクラッチ点数が非常に多いものであった。
[比較例4]
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(接着層・補強層)
上記不織布に、実施例1で用いたのと同様のナイロン織物を、溶剤系ポリウレタンを塗布量15g/m2で全面に塗布した以外は実施例1と同様にして接着させた。
上記不織布に、実施例1で用いたのと同様のナイロン織物を、溶剤系ポリウレタンを塗布量15g/m2で全面に塗布した以外は実施例1と同様にして接着させた。
(脱海処理)
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
その後、実施例と同様の方法にてアルカリ脱海を行い、極細繊維を発生させ、研磨布を得た。
(研磨加工評価)
該研磨布を用いて、実施例1と同一の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は74であり、接着層が平面方向全面に存在し、かつシートの柔軟性が低いために、スクラッチ点数が多いものであった。
該研磨布を用いて、実施例1と同一の方法により研磨加工を実施した。
研磨加工後のディスクは、表面粗さが0.20nm、スクラッチ点数は74であり、接着層が平面方向全面に存在し、かつシートの柔軟性が低いために、スクラッチ点数が多いものであった。
表1には、実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた研磨布とその評価結果を示す。
本発明は、研磨布製造時の工程通過性、および寸法安定性に優れる研磨布を提供することをできる。そのため、本発明は、特に磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板及びガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工を施す際に用いられ得る研磨布として、好適に用いることができる。
1:極細繊維層
2:接着層
3:補強層
A:接着層が実質的に極細繊維と接着していない部分
2:接着層
3:補強層
A:接着層が実質的に極細繊維と接着していない部分
Claims (7)
- 極細繊維を表面に有する研磨布であって、極細繊維層、接着層、補強層の三層構造からなり、接着層が面方向に非連続な構造を有することを特徴とする研磨布。
- 前記接着層が実質的に極細繊維に接着していないことを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
- 前記補強層が織物であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨布。
- 前記接着層がドット状であることを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
- 前記ドットの密度が30〜1500個/cm2の範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の研磨布。
- 前記ドットの付着量が1〜50g/m2の範囲であることを特徴とする請求項4または5に記載の研磨布。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の研磨布を製造する方法であって、極細繊維発生可能な繊維からなる不織布に、補強層をドット状に塗布した接着剤にて接着し積層した後、極細繊維発生処理を行うことを特徴とする研磨布の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008210340A JP2009066749A (ja) | 2007-08-22 | 2008-08-19 | 研磨布およびその製造方法 |
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JP2007215661 | 2007-08-22 | ||
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105834925A (zh) * | 2016-05-13 | 2016-08-10 | 新沂市张氏磨具发展有限公司 | 一种新型金属打磨抛光用双面砂布的制作方法 |
-
2008
- 2008-08-19 JP JP2008210340A patent/JP2009066749A/ja active Pending
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CN105834925A (zh) * | 2016-05-13 | 2016-08-10 | 新沂市张氏磨具发展有限公司 | 一种新型金属打磨抛光用双面砂布的制作方法 |
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