JP7104961B2 - 研磨布 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンベアウエハ、ガラス、化合物半導体基板、ハードディスク基板等において良好な鏡面を形成するために好適に使用される研磨布に関するものである。

従来、研磨布は、約20μm(およそ3デニール)の直径のポリエステル繊維の短繊維をニードルパンチで絡合させた不織布に、ポリウレタンの溶液を含浸させて、湿式凝固させて乾燥させた後、ポリウレタンの溶液を乾式塗布することで得られるポリウレタン含浸不織布系研磨布が知られている(例えば特許文献1)。
この研磨布は、液晶ガラス、ガラスディスク、ホトマスク、シリコンウエハ、CCDカバーグラス等の基板の精密研磨の研磨布として、既に広く使用されている。精密研磨を行うための研磨布としては、基板の鏡面性がますます要求が厳しくなっているが、この研磨布では、繊維径が太すぎるので要求特性を満足することができない。 また、繊維径が5μm程度の極細繊維の短繊維をニードルパンチで絡合させた不織布で、ポリウレタン樹脂をバインダーとして極細繊維が脱落しない構造の研磨布が知られている(特許文献2)。この研磨布は、得られる鏡面性は優れているが、研磨速度が低く、その結果研磨時間が長くなるという問題、またすぐに目詰まりをするため、研磨布としての寿命が短いという問題があった。
特開平05-008178号公報 特開2013-071232号公報
そこで本発明は、上記従来技術の背景に鑑み、シリコンベアウエハ、ガラス、化合物半導体基板およびハードディスク基板等において良好な鏡面を形成するために使用される研磨布であって、研磨速度が高く、目詰まりが起きにくく寿命が長い研磨布を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであり、本発明の研磨布は、以下の構成から
なる。
(1) 不織布と高分子弾性体とを主成分としている研磨布であって、
前記不織布は、不織布に含まれている繊維が絡合しており、前記絡合されている繊維は平均単繊維径が3.17.9μmの極細繊維を含む束であり、
研磨布の表の面は水の接触角が102度以上の撥水性表面であり、
研磨布の裏の面は不織布に高分子樹脂が含浸されてなり、研磨布の裏の面のC型硬度が研磨布の表の面のC型硬度より12%以上高いことを特徴とする研磨布。
(2)高分子弾性体が研磨布の20~30質量%である上記研磨布。
(3)高分子弾性体がポリウレタン系エラストマーを必須成分とする前記いずれかの研磨布。
(4)ポリウレタン系エラストマーが高分子弾性体の50~100質量%である請求前記研磨布。
(5)ポリウレタン系エラストマーが研磨布の20~30質量%である前記いずれかの研磨布。
(6)少なくとも研磨布の表の面にフッ素系撥水剤が付着していることを特徴とする前記いずれかに記載の研磨布。
(7)研磨布の表の面に、直径0.4mm以上の貫通口が、研磨布表の面の総面積に対して1~20%以下の面積の割合で存在することを特徴とする前記いずれかの研磨布。
本発明によれば、シリコンベアウエハ、ガラス、化合物半導体基板およびハードディスク基板等を研磨する際に、研磨速度が高く、かつ、目詰まりが起きにくく、寿命が長い良好な研磨布が得られる。
本発明の研磨布は不織布および高分子弾性体を主成分とする。主成分という量を定義するならば、研磨布に対して80質量%以上、さらに90質量%以上、またさらに95質量%以上である。
本発明での不織布は、不織布に含まれている繊維が絡合しており、前記絡合されている繊維は平均単繊維径が3.0~8.0μmの極細繊維の束である。
繊維が絡合した不織布としては以下のものが挙げられる。
短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層繊維ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータジェットパンチを施して得られる短繊維を含む不織布。
スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維からなる不織布、および抄紙法で得られる不織布など。なかでも、短繊維からなる不織布やスパンボンド不織布は、後述するような極細繊維束の態様をニードルパンチ処理により得ることができる。
極細繊維束を構成する極細繊維の平均単繊維径は、3.0~8.0μmであることが重要である。平均単繊維径を8.0μm以下とすることにより、研磨対象の基板の鏡面性を良好にすることができる。平均単繊維径を一定以下とする理由としては、基板と研磨布が有する細い繊維群との接触面積が大きくなり、その結果接触圧力が小さくなるので、研磨対象基板の鏡面性を良好にすることができるためと推測している。 一方、平均単繊維径を一定以上とすることにより、研磨速度が大きくできるので、短い時間で研磨対象基板の鏡面性を良好にすることが可能となる。さらに好ましい極細繊維の平均単繊維径は、3.5~6.0μm以下である。
また、本発明で用いられる束を形成している極細繊維の平均単繊維径の変動係数(CV値)は、0~10%、さらに0.1~10%の範囲であることが好ましい。ここでいう極細繊維の平均単繊維径の変動係数とは、極細繊維の単繊維径の標準偏差を平均単繊維径で割った値を百分率表示したものであり、この値が小さいほど単繊維径の分布が小さいことを示すものである。
本発明においては、平均単繊維径のCV値を10%以下とすることにより、極細繊維の単繊維径が均一となり、表面での繊維の同一性が保たれる。CV値は、低いほど好ましいが、製造の都合上実質的には0.1%以上となる。
所望のCV値を得るには、例えば特公昭44-18369号公報等記載の海島型複合用口金を用いて、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸して高分子相互配列体を形成する方式等の手法を用いることができる。この方式では、溶融ポリマーが均一に分散されるように分散板を調整し、かつ複合単繊維中の極細繊維の繊維径を均一にするよう適正な口金背面圧となるように口金寸法を調整した海島型パイプ口金を用いて、複合紡糸する方法が一般的である。
極細繊維の束の形態としては、極細繊維の単糸同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。ここで、結合とは、化学的な反応や物理的な融着等によるものを指し、凝集とは、水素結合等の分子間力によるものを指す。
本発明の不織布においては、本発明で特定する極細繊維が70質量%以上、さらに質量90%以上、またさらに95質量%以上含まれていることが好ましい。
本発明の研磨布用に用いられる不織布は、繊維径が10.0μmを超える繊維が混合されて,上記に定義される極細繊維と絡合していてもよい。太い繊維が混合されることにより、研磨布の強度が補強され、またクッション性等の特性を向上させることができる。混合しなくてもいいが、上で示した性能向上のためであれば、不織布において5~30質量%が好ましい。
本発明の効果を発現させるためには、不織布において極細繊維の比率が70重量%以上となるように、太い繊維の混合比率を抑える必要がある。極細繊維の比率が100%であっても、本発明の効果は得られ、実用上の強度およびクッション性は得られる。このような極細繊維よりも太い繊維を形成するポリマーとしては、前述の極細繊維を構成するポリマーと同様のものを使用することができる。この太い繊維の繊維径としては、特に限定されないが10.0μmを超え、40μm以下が好ましい。また、この太い繊維は、研磨性能の観点から表面に露出していないことが好ましい。
実施例の測定方法においても説明しているように、本発明においては、繊維径が10.0μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとする。
本発明で用いられる極細繊維を与えるポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィド(略称「PPS」)等を挙げることができる。ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、耐熱性に優れており好ましく用いられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(略称「PET」)、ポリブチレンテレフタレートおよびポチトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良いし、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させても良い。
高分子弾性体と混合される前の不織布の厚みは、1.0~4.0mmであることが好ましい。また、密度は、0.15~0.60g/cmであることが好ましい。
本発明の研磨布は、高分子弾性体を含有している。この様な高分子弾性体が、バインダー効果により極細繊維が研磨布から抜け落ちるのを防止し、不織布の繊維を起毛させる場合には、均一な立毛を形成することが可能となるので好ましい。また、高分子弾性体を含有させることによって、研磨布にクッション性を付与し、研磨布の厚み均一性を向上させる。高分子弾性体としてはポリウレタン系エラストマーが好ましい。このようなものとしてはポリウレタンエラストマーやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのことである。そしてこのポリウレタン系エラストマーは高分子弾性体のうち50~100質量%の範囲が好ましい。
ポリウレタン系エラストマーのポリオール成分としては、ポリエステル系、ポリエーテル系およびポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネートおよび脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタン系エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは50,000以上である。重量平均分子量を50,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは150,000以上とすることにより、研磨布の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量の上の方はポリマーが架橋しており無限大となっていてもよいが、300,000以下、より好ましくは250,000以下とするのがよい。ポリウレタン系エラストマーを不織布と共存させるには、当該エラストマーの溶液を利用する。重量平均分子量をあまり高くせず、エラストマーの溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
研磨布において、高分子弾性体の含有率は、不織布および高分子弾性体の和に対して、20~30質量%の範囲が好ましい。また高分子弾性体としてポリウレタン系エラストマーを使用する場合には、不織布および高分子弾性体の和に対して、20~30質量%の範囲が好ましい。
この含有率が低い場合は、研磨布の寿命が短くなる傾向がある。また、含有率が高い場合は、研磨対象基板のスクラッチ・パーティクルの欠陥が多くなり、鏡面性が不良となる傾向がある。この含有率のより好ましい範囲は、21~28質量%である。高分子弾性体としてポリウレタン系エラストマーを必須とするときもポリウレタン系エラストマーの含有量は上で示した範囲が好ましい。
本発明の研磨布を製造するにあたり、高分子弾性体を、繊維の絡合体である不織布に付与する。その付与には液体を媒体としたものが用いられる。ポリウレタン系エラストマーに限らず、溶媒としては、N,N’-ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等を用いることができる。高分子弾性体としてポリウレタン系エラストマーを使用する場合、水分散可能なポリウレタンを水中に分散させたエマルジョンも用いることもできる。
ポリウレタン系エラストマー溶液または分散液に、不織布を浸漬して、ポリウレタン系エラストマーを不織布に付与し、その後、乾燥することによってポリウレタン系エラストマーを実質的に凝固し固化させ、本発明の研磨布の材料とすることができる。乾燥にあたっては、不織布およびポリウレタン系エラストマーの性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
得られた研磨布用材料に対して起毛処理を行うことが好ましい。この処理はサンドペーパーやロールサンダーなどでできる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。
また、ポリウレタン系エラストマーは、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤および防臭剤などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明の研磨布には、不織布にポリウレタン系エラストマーなどの高分子弾性体を付与し、必要に応じて立毛処理したもよい。さらに毛羽落ち防止のため追加して高分子弾性体を付与してもよい。追加して付与される高分子弾性体としては、上述したポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー等が好ましく用いられる。
毛羽落ち防止のための高分子弾性体の付着量としては、研磨布に含まれる高分子弾性体中0.5~6.0質量%が好ましい。毛羽落ち防止のための高分子弾性体としてポリウレタン系エラストマーを使用する場合も、研磨布中のポリウレタン系エラストマーに対して、0.5~6.0質量%が好ましい。この範囲により優れた毛羽落ち防止機能が得られ、また研磨布に必要とされる圧縮特性を維持することができる。高分子弾性体およびポリウレタン系エラストマーそれぞれにおいて、その付着量のより好ましい範囲は、1.0~5.0質量%である。
本発明の研磨布の目付は、好ましくは100~600g/m以下である。この目付を100g/m以上、より好ましくは150g/m以上とすることにより、研磨布の形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラおよびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、この目付を600g/m以下、より好ましくは300g/m以下とすることにより、研磨布の取扱い性が容易となり、また、研磨布のクッション性を適度に抑え、研磨加工時における押付圧を抑えることができる。
また、研磨布の厚さは、好ましくは0.1mm以上、さらに0.3mm以上とすることが好ましい。この厚さだと、研磨布の形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布厚み変形による加工ムラ、およびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。また厚さの上の方の値としては、10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下である。この厚み以下だと研磨加工時の押付圧を十分に伝播させることができる。
本発明の研磨布の表の面は、水の接触角が100度以上の撥水性表面であることが必要である。高分子弾性体を不織布に付与したそのもの、必要に応じて起毛処理したもの、さらに必要に応じて、毛落ち防止処理したもの、いずれかの研磨布用材料の表の面に撥水処理をおこなうことで、この特性を得ることができる。撥水処理の方法として、撥水剤の溶液を不織布材料の表の面に塗布して、乾燥させる方法や、撥水機能を有する低分子化合物を蒸気で研磨布材料の表の面に接触させながらプラズマ放電をして、繊維絡合体表面に撥水機能を有する重合物を堆積させる方法が例示される。溶液上の撥水剤として、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤、脂肪族炭化水素系撥水剤等がある。これらの中で、水の接触角で100度以上を実現できやすいという点で、フッ素系撥水剤が好ましい。フッ素系撥水剤としては、旭硝子(株)製の“アサヒガード”(登録商標)AG-E061、AG-E081、AG-E082やダイキン工業(株)製の“ユニダイン”(登録商標)TG-4571、TG-5541、TG-5546や日華化学(株)の“NKガード”(登録商標)S-07、S-11、S-750、S-0671等があげられる。
所定の濃度で撥水剤の溶液を調整して、不織布材料の表の面に塗布し、溶媒を気化させることで、水の接触角を100度以上にすることができる。環境の観点からここで溶媒としては水が好ましい。研磨布の表の面を水の接触角を100度以上にすると、研磨中に生じる研磨速度の低下が少なくなり、その結果、研磨布の使用寿命が長くなる。
本発明の研磨布の表の面側から測定したC型硬度は、60~90度が好ましい。研磨布表面のC型硬度が低くなると、研磨しているうちに研磨速度の低下が大きくなり、寿命が短くなる傾向がある。また、表面のC型硬度が高すぎると、研磨対象基板のスクラッチが生じやすくなる傾向がある。
本発明の研磨布のの面から測定したC型硬度は、の面から測定したC型硬度より10%以上大きいことが好ましい。C型硬度の差を10%以上とすると、研磨布による研磨速度が大きくなり、研磨対象基板の所望の鏡面性が早い時間で得られるので好ましい。
裏面のC型硬度を研磨布の表面のC型硬度に対して10%以上大きくする方法として、研磨布の裏となる不織布の面に、硬質の高分子樹脂の溶液を塗布して、一部含浸塗布して、乾燥させ、研磨布の繊維絡合体の裏面のみを高硬度化することで可能である。高分子樹脂の溶液として、ウレタン系ポリマーの溶液や、エポキシ樹脂の良溶媒の溶液や、イソシアネート系低分子化合物の良溶媒の溶液などが好ましいものとして挙げられる。ウレタン系ポリマーとしてはウレタン系エラストマーが好ましい。
本発明の研磨布の表の面は被研磨材料と触れる面となるが、その面からは、直径0.4mm以上の貫通口が、貫通口の開口の総面積が研磨布表面の総面積に対して1~20%の面積の割合で存在していることが好ましい。貫通口が円形でない場合には、その面積を与える円の直径とする。0.4mm以上の貫通口が総面積比率で1%以上存在することで、研磨対象基板のスクラッチが少なくなるので好ましい。20%を超えると、研磨布の接触表面積が小さくなり、研磨布の研磨速度が小さくなるので好ましくない。その他に0.4mm未満の貫通口があってもいい。
本発明の研磨布には、安定した研磨特性を得るために、研磨布の表面に、格子状の溝、同心円の複数の溝が形成されていることが好ましい。
次に、本発明の研磨布を構成する不織布を製造する方法について説明する。
極細繊維束が絡合している不織布を得る手段としては、極細繊維になりうる繊維を用いることが好ましい。極細繊維の状態で絡合させるのは簡単ではない。そこで、例えば海成分と島成分からなる海島型繊維を絡合させ、得られた繊維絡合体のから海成分を除去し、島成分由来の極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合した状態とすることができる。
極細繊維発になりうる繊維としては、上で説明したように、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって、島成分を極細繊維とすることができる海島型繊維があげられる。その他に2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、両方の成分を剥離、分割することによって極細繊維に割繊することができる剥離型複合繊維もある。
海島型繊維には、複合口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸等を用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性重合体であるポリウレタン系エラストマーを付与する前、ポリウレタン系エラストマーを付与した後、または起毛処理後のいずれのタイミングで行ってもよい。
繊維を絡合させる方法としては、前述のとおり、繊維ウェブをニードルパンチやウォータジェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができ、なかでも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理に用いられるニードルにおいて、ニードルバーブ(切りかき)の数は好ましくは1~9本である。ニードルバーブを1本以上とすることにより効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、ニードルバーブを9本以下とすることにより繊維損傷を抑えることができる。
ニードルバーブのトータルデプスは、好ましくは0.04~0.09mmである。トータルデプスを0.04mm以上とすることにより、繊維束への十分な引掛かりが得られるため効率的な繊維絡合が可能となる。一方、トータルデプスを0.09mm以下とすることにより繊維損傷を抑えることが可能となる。
ニードルパンチのパンチング本数は、好ましくは1000本/cm以上4000本/cm以下である。パンチング本数を1000本/cm以上とすることにより、緻密性が得られ、高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を4000本/cm以下とすることにより、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。パンチング本数のより好ましい範囲は、1500~3500本/cm以下である。
また、ウォータジェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。好適には、直径0.05~1.0mmのノズルから、圧力1~60MPaで水を噴出させると良い。
ニードルパンチ処理あるいはウォータジェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維からなる不織布の見掛け密度は、0.15~0.35g/cm以であることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm以上とすることにより、研磨パッドの形態安定性と寸法安定性に優れ、研磨加工時の加工ムラ、およびスクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、見掛け密度を0.35g/cm以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーを付与するための十分な空間を維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維からなる不織布は、緻密化の観点から、乾熱処理もしくは湿熱処理、またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。また、カレンダー処理等により、極細繊維発生型繊維からなる不織布を厚み方向に圧縮してもよい。
極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒が用いられる。また、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維からなる不織布を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
また、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる加工には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。上記の極細繊維発生加工は、立毛処理前に行なうことができる。
本発明の研磨布の材料は、研磨布を製造するとき、および得られた研磨布を成形するときの毛羽落ち防止のため、上述したポリウレタン系エラストマーを付与後、さらに他のエラストマーを付与してもよい。毛羽落ち防止樹脂としては、上述したポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマーが用いられる。
研磨布の不織布の厚みは0.6~1.3mmであることが好ましい。厚みを0.6mm以上とすることで研磨対象基板を均一に研磨できる。また、厚みを1.3mm以下とすることで研磨対象基板の欠陥を抑えることができる。不織布の厚みは、接触式の厚み計で測定することができる。不織布の裏面に、研磨機の定盤に貼りつけるために、両面テープを貼り合せることで研磨布とすることが出来る。
また、本発明においては、エラストマーの付着量が少なくても、毛羽落ちを効率よく防止させるため、および研磨布の圧縮特性を維持するために、研磨布の表の面の近くのみにポリウレタン系エラストマー層を形成させることが好ましい。研磨布の繊維絡合体の表層近くにポリウレタン系エラストマー層を形成する方法としては、各種ポリウレタン系エラストマーを水系エマルジョン等の状態として、立毛後の研磨布用繊維絡合体に対し、ポリウレタン系エラストマーを通常の塗布等の方法で付与後に乾燥することが好ましい。その理由は、水系ポリウレタンエマルジョンを、研磨布用繊維絡合体に塗布して、それを乾燥して、厚み方向にポリウレタンエマルジョンを積極的にマイグレーションさせることにより、ポリウレタン系エラストマーを研磨布用繊維絡合体の表層部分により多く付着することができるためである。
本発明の研磨布は、シリコンベアウエハ、ガラス、化合物半導体基板およびハードディスク基板等で良好な鏡面研磨面を形成するために好適に使用される。
次に、実施例によって、さらに本発明の詳細を説明する。本実施例により本発明が限定して解釈される訳ではない。研磨評価および各測定は、次のとおりに行った。
〔研磨評価〕
岡本工作機械製作所製研磨装置(型式:SPP600)に研磨布を両面テープで貼り合わせて、直径610mmにサイズ調整した。被研磨体として両面エッチド6インチシリコンベアウエハを用いて、次の条件で研磨評価を行った。
・プラテン回転:46rpm
・ウエハヘッド回転:49rpm
・ヘッド荷重:100g/cm
・スラリー量:700ml/min(スラリー:コロイダルシリカスラリー砥粒濃度1%)
・研磨時間:30分。
〔研磨布の被研磨基板面の鏡面性および研磨布の寿命の推定〕
研磨布を立ち上げ後、上記研磨評価条件で、両面エッチド6インチシリコンベアウェハを研磨時間30分で研磨して、研磨基板面の鏡面性をZygo社のNewView6300で表面粗さを計測した。また、シリコンウェハの研磨速度を測定して、1枚後の研磨速度と100枚研磨後の研磨速度の低下をみることで寿命の判定をおこなった。
〔スクラッチ・パーティクル等の欠陥数〕
トップコン社製ゴミ検査装置商品名“WM-3”を使用して、0.5μm以上の欠陥数を測定した(ウェハー2枚でのn=2測定の平均値)。
〔融点〕
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC-7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分で、サンプル量は10mgとした。
〔メルトフローレイト(MFR)〕
試料ペレット4~5gを、MFR計電気炉のシリンダーに入れ、東洋精機製メルトインデクサー(S101)を用いて、荷重2160gf、温度285℃の条件で、10分間に押し出される樹脂の量(g/10分)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
〔極細繊維の平均単繊維径および平均単繊維径CV〕
研磨布の厚み方向の断面を、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE-7800型)を用いて3000倍で観察し、30μm×30μmの視野内で、無作為に抽出した50本の単繊維直径をμm単位で、有効数字3桁で測定した。ただし、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、有効数字3桁目を四捨五入し、平均値を有効数字2桁で算出した。繊維径が10.0μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均繊維径の測定対象から除外するものとした。また、極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の直径とした。これを母集団とした標準偏差値および平均値を算出した。該標準偏差値を該平均値で割った値を百分率(%)で表したものを平均単繊維径径CVとした。
〔研磨布表面の水の接触角の測定〕
20℃の環境で行った。研磨布表面にディスペンサーで、純水の液滴3μLを滴下する。研磨布表面で滴下後、10分後に、接触角計で水滴の断面をCCDカメラで画像を取り込み、接触角を測定する。
[実施例1]
(研磨布用不織布)
(海島型複合繊維用のポリマー)
融点260℃でMFR46.5のポリエチレンテレフタレート(PET)を島成分とし、融点85℃でMFR117のポリスチレンを海成分として用いた。
(紡糸・延伸)
上記の島成分と海成分を用い、16島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度285℃、島/海質量比率80/20、吐出量1.2g/分・ホールおよび紡糸速度1100m/分の条件で、断面が海島構造に観察される海島型複合繊維を溶融紡糸した。次いで、スチーム延伸によって2.8倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、複合繊維繊度が4.2dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(海島型複合繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用い、カード工程とクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、得られた積層繊維ウェブを、トータルバーブデプス0.08mmのニードル1本を植込んだニードルパンチ機を用いて、針深度6mm、パンチ本数3000本/cmでニードルパンチし、目付が815g/m、見掛け密度が0.225g/cmの不織布を作製した。
(ポリウレタンの含浸付与)
上記不織布を、95℃の熱水で収縮処理した。ポリビニルアルコールの水溶液を不織布に付与し、乾燥し、ポリビニルアルコールを繊維に対して26質量%付与した。トリクロロエチレンを用いて海成分のポリスチレンを溶解除去後、乾燥し、極細繊維束からなる不織布を得た。このようにして得られた極細繊維束からなる不織布に、ジイソシアネートとポリジオール成分がポリエーテル系75質量%およびポリエステル系25質量%とから得られたポリウレタンを、極細繊維とポリウレタンとの質量比が22質量%となるように付与した。次いで、30%のN,N-ジメチルホルムアミド(以下「DMF」)を含む35℃の水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水で処理し、DMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により厚み方向に半裁してシート基材を得た。得られたシート基材の半裁面を、バッフィング研削し半裁面に起毛を形成させた。
(毛羽落ち防止剤の付与)
上記のシート基材に、ニトリルブタジエンゴム(NBR)(日本ゼオン社製 Nipol LX511A)樹脂の8.5%溶液を、シート基材とNBRの固形分の質量比が3.1質量%となるように付与し、170℃の温度で乾燥し研磨パッド用基材を得た。得られた研磨パッド用基材は、極細繊維の平均単繊維径が4.4μm、平均単繊維径CV値が6.2%、厚さが1.08mm、目付が370g/m、見かけ密度が0.343g/cmであった。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、日華化学(株)製のNK-ガード S-750の20%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、112度であった。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、弾性率200MPaのポリウレタンの20%DMF溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は73度であり、裏面の硬度が12%高い。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.77nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.42(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.82nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.45(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例2]
(研磨布用不織布)
実施例1と同様の不織布を使用した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、ダイキン工業(株)製のユニダインTG-5541の20%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、102度であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、弾性率300MPaのポリウレタンの20%DMF溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は83度であり、28%高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.62nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.62(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.70nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.58(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(研磨布用不織布)
実施例1と同様の不織布を使用した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、旭硝子(株)製のアサヒガードAG-E081の30%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、140度であった。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、弾性率300MPaのポリウレタンの17%DMF溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は83度であり、28%高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.65nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.62(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.71nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.65(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例4]
(研磨布用不織布)
紡糸工程において、36島/ホールの海島型複合口金を用いて、極細繊維の平均単繊維径を3.1μmとしたこと以外は実施例1と同じに実施して、繊維径CV値が5.2%、厚さが1.08mm、目付が370g/m、見かけ密度が0.343g/cmの研磨布用不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、ダイキン工業(株)製のユニダインTG-5541の30%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、135度であった。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、メタフェニレンジイソシアネートの60%MEK溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は79度であり、22%高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.67nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.45(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.63nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.47(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例5]
紡糸工程において、16島/ホールの海島型複合口金を用いて極細繊維の平均単繊維径を5.9μmとし、シート基材とNBRの固形分の質量比が3.2質量%となるように付与したこと以外は、実施例1と同様にして、平均単繊維径CV値が5.6%、厚さが1.08mm、目付が373g/m、見かけ密度が0.345g/cmの研磨布用不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、ダイキン工業(株)製のユニダインTG-5541の30%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、135度であった。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、メタフェニレンジイソシアネートの60%MEK溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は79度であり、22%高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.63nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.58(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.61nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.54(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例6]
(研磨布用の不織布)
極細繊維の平均単繊維径を7.9μmとし、シート基材とNBRの固形分の質量比が4.5質量%となるように付与したこと以外は、実施例1と同様にして、平均単繊維径CV値が6.1%、厚さが1.08mm、目付が374g/m、見かけ密度が0.346g/cmの研磨布用不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、ダイキン工業(株)製のユニダインTG-5541の30%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、135度であった。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、メタフェニレンジイソシアネートの60%MEK溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は79度であり、22%高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.53nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.71(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.51nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.72(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[実施例7]
(研磨布用の不織布)
実施例6と同様の不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
実施例6と同様の撥水処理を実施した。
(裏面の高硬度付与)
実施例6と同様の高硬度処理を実施した。
得られた研磨布表面に、直径0.65mmでピッチ幅4mm、開口率6.8%の45度千鳥パターンで全面に貫通口を加工した。なお開口率とは研磨布の表の面積に対する貫通口の面積和の割合である。
得られた研磨布を用いて両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.43nmで非常に鏡面性が良好であった。研磨速度は、0.69(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、0.41nmで鏡面性は維持されており、研磨速度も0.72(μm/分)と維持されており、寿命は良好であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[比較例1]
(研磨布用不織布)
紡糸工程において極細繊維の平均単繊維径を2.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、平均単繊維径CV値が6.3%、厚さが1.08mm、目付が371g/m、見かけ密度が0.344g/cmの研磨布用不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
実施例1と同様の表面撥水付与をおこなった。
(裏面の高硬度付与)
実施例1と同様の裏面高硬度付与をおこなった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、1.2nmで非常に鏡面性が不良であった。研磨速度は、0.21(μm/分)で低かった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、1.5nmで鏡面性は不良であり、研磨速度も0.12(μm/分)と低下していた。寿命は不良であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[比較例2]
(研磨布用不織布)
紡糸工程において極細繊維の平均単繊維径を8.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、平均単繊維径CV値が6.3%、厚さが1.08mm、目付が371g/m、見かけ密度が0.344g/cmの研磨布用不織布を作成した。
(表面の撥水付与)
実施例1と同様の表面撥水付与をおこなった。
(裏面の高硬度付与)
実施例1と同様の裏面高硬度付与をおこなった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、2.1nmで非常に鏡面性が不良であった。研磨速度は、0.78(μm/分)であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、22nmで鏡面性は不良であり、研磨速度も0.82(μm/分)であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[比較例3]
(研磨布用不織布)
実施例1と同様の不織布を使用した。
(表面の撥水付与)
上記の不織布の表面に、撥水剤として、日華化学(株)製のNK-ガード S-750の9%水溶液を塗布乾燥して、撥水表面を得た。水の接触角は、98度であった。
(裏面の高硬度付与)
実施例1と同様の裏面高硬度付与をおこなった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、0.8nmで鏡面性は良好であった。研磨速度は、0.43(μm/分)で良好であった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、2.0nmで鏡面性は不良であり、研磨速度も0.12(μm/分)と低下していた。寿命は不良であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
[比較例4]
(研磨布用不織布)
実施例1と同様の不織布を使用した。
(表面の撥水付与)
実施例1と同様の撥水処理を実施した。
(裏面の高硬度付与)
上記の不織布の裏面に、弾性率100MPaのポリウレタンの5%DMF溶液を準備して、塗布乾燥した。表面のC型硬度は65度で、裏面のC型硬度は70度であり、裏面のC型硬度は、表面の硬度より8%程度高かった。
得られた研磨布を両面エッチドシリコンウェハーを30分研磨して、表面の平均粗さが、1.6nmで非常に鏡面性が不良であった。研磨速度は、0.23(μm/分)で低かった。スクラッチ・パーティクル数は、0個で少なかった。100枚後の両面エッチドシリコンウェハーの30分研磨の表面の平均粗さは、2.0で鏡面性は不良であり、研磨速度も0.22(μm/分)であった。
その他の評価結果を含めて、評価結果を表1に示す。
Figure 0007104961000001
*「裏面と表面の硬度の違い」:C型硬度の差。下記式で算出される値。
(研磨布裏面のC型硬度)/(研磨布表面のC型硬度)-1}×100

Claims (7)

  1. 不織布と高分子弾性体とを主成分としている研磨布であって、
    前記不織布は、不織布に含まれている繊維が絡合しており、前記絡合されている繊維は平均単繊維径が3.17.9μmの極細繊維を含む束であり、
    研磨布の表の面は水の接触角が102度以上の撥水性表面であり、
    研磨布の裏の面は不織布に高分子樹脂が含浸されてなり、研磨布の裏の面のC型硬度が研磨布の表の面のC型硬度より12%以上高いことを特徴とする研磨布。
  2. 高分子弾性体が研磨布の20~30質量%である請求項1記載の研磨布。
  3. 高分子弾性体がポリウレタン系エラストマーを必須成分とする請求項1または2記載の研磨布。
  4. ポリウレタン系エラストマーが高分子弾性体の50~100質量%である請求項3記載の研磨布。
  5. ポリウレタン系エラストマーが研磨布の20~30質量%である請求項3または4記載の研磨布。
  6. 少なくとも研磨布の表の面にフッ素系撥水剤が付着していることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の研磨布。
  7. 研磨布の表の面に直径0.4mm以上の貫通口が、研磨布の表の面の総面積に対して1~20%以下の面積の割合で存在することを特徴とする請求項1~6いずれかに記載の研磨布。
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