JP2013071232A - 研磨布 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の極細繊維からなる研磨布ではなし得なかった、表面粗さが低く、動摩擦係数が小さい高性能の研磨布を提供する。
【解決手段】平均単繊維直径0.05〜5.0μmの極細繊維を含む繊維構造体であって、その繊維構造体の表面粗さが1〜20μmであり、動摩擦係数が0.1〜1.0であることを特徴とする研磨布であり、その繊維構造体の少なくとも一部に、10〜3000ppmの珪素化合物が存在し、その繊維構造体の少なくとも片側の表面に、極細繊維からなる立毛を有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨布、特に磁気記録ディスクに用いられるアルミニウム合金基板やガラス基板を、超高精度の仕上げで研磨加工および/またはクリーニング加工を施す際に好適に用いられる研磨布に関するものである。
磁気記録ディスクは、近年の急激な高記録容量化のための高記録密度化に伴い、ディスク表面の極限までの平滑化が求められている。近年の記録方式は、磁性膜内の磁化容易軸が垂直方向に配向した垂直記録媒体が主流となっている。このため、磁性層形成前の基板に凹凸や傷が存在すると磁性膜製膜時後に磁化容易軸が傾き異常部となる恐れや磁気ヘッドの低浮上を満足できない恐れがある。このような課題に対し、研磨布を用いて研磨加工を行うことによって、0.1nm以下の基板表面粗さを達成し、かつワイピングテープを用いてクリーニング加工を行うことによって、スクラッチ欠点と呼ばれる基板表面の傷を極少化すること、さらには基板表面の残差や汚れといった異物を除去することが要求されており、その要求に対応しうる研磨布が切望されている。
基板の表面粗さを小さくするため、研磨布を構成する繊維を極細化し、基板表面への傷を極少化するため、クッション性を持たせるべく不織布に高分子弾性体を含浸させるという提案がなされている。このような繊維構造体として、例えば、単繊維直径0.05〜2.0μmの極細繊維からなる不織布に、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を含有する研磨布が提案されているが、基板の表面粗さが0.2nm程度であった(特許文献1および2参照。)。
また、基板の表面粗さを小さくする方法として、研磨材の表面粗さを小さく、均一な表面にすることが提案されている。例えば、表面粗さが0.07−2.7μmのフィルム製の研磨テープを用いることにより、従来のフィルム製の研磨テープよりも基板の表面粗さが向上する。しかしながら、砥粒を固定させた研磨層を有する研磨テープであるため、遊離砥粒を用いる研磨布と比較して、研磨レートが十分に取れない上、基板の表面粗さが0.4〜0.6nm程度であった(特許文献3参照。)。
さらに、従来の研磨加工では、高効率化のための高研磨レートが可能な、摩擦係数の高い研磨布が提案されている。このような研磨布として例えば、研磨布表面の最小摩擦係数方向の摩擦係数が1.0以上の研磨布では高研磨レートが可能であったものの、基板上にスクラッチ欠点が発生する頻度が高く、エラーの原因となっていた(特許文献4参照。)。
特開平9−262775号公報 特開平9−277175号公報 特開2006−142388号公報 特開2001−1254号公報
そこで本発明の目的は、上記従来の課題を解決し、研磨加工および/またはクリーニング加工において従来の研磨布ではなし得なかった、極細繊維からなり、表面粗さが低く、動摩擦係数が小さい高性能の研磨布を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の研磨布は、平均単繊維直径0.05〜5.0μmの極細繊維を含む繊維構造体であって、該繊維構造体の表面粗さが1〜20μmであり、動摩擦係数が0.1〜1.0であることを特徴とする研磨布である。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の少なくとも片側の表面に、前記の極細繊維からなる立毛を有することである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の少なくとも片側の表面に対する水滴吸収時間は、0.1秒〜60分である。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の少なくとも一部に、10〜3000ppmの珪素化合物が存在することである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体が、シロキサン骨格を有する珪素化合物を含有することである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の表面粗さは3〜15μmである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の動摩擦係数は0.3〜0.8である。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の少なくとも一部に、100〜1000ppmの珪素化合物が存在することである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の少なくとも一部に、300〜800ppmの珪素化合物が存在することである。
本発明の研磨布の好ましい態様によれば、前記の繊維構造体の立毛形成前に、シロキサン骨格を有する珪素化合物を付与することである。
本発明によれば、研磨布の表面粗さが低く、動摩擦係数が小さいことにより、従来の研磨布よりも研磨布上に研磨剤を分散させた上で基板を均一に加工することができるため、基板の表面粗さを低くすることができ、スクラッチ欠点を抑え、優れた研磨性能を発揮することができる研磨布が得られる。
本発明の研磨布は、磁気記録ディスクに用いるアルミニウム合金基板やガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工やクリーニング加工を施す際に好適に用いられる。
本発明の研磨布は、極細繊維を含む繊維構造体である。極細繊維を含むことにより、研磨布の表面粗さを小さくすることができ、研磨時に研磨対象の表面粗さを小さくすることができる。
本発明の研磨布は、平均単繊維直径0.05〜5.0μmの極細繊維を含む繊維構造体であって、該繊維構造体の表面粗さが1〜20μmであり、動摩擦係数が0.1〜1.0であることを特徴とする研磨布である。
極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィド等を挙げることができる。ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、研磨加工時に発生する熱に対する耐熱性に優れるため、より好ましく用いられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポチトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。またポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良いし、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させても良い。他の共重合成分としては、例えば、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、3−ヒドロキシブタン酸、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12等を挙げることができる。また、粒子としては、例えば、酸化チタンを挙げることができ、難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤や無機系難燃剤を挙げることができ、帯電防止剤としては、例えば、アルコール系の帯電防止剤を挙げることができる。
本発明で用いられる極細繊維の平均単繊維直径は、研磨布表面繊維の緻密性、繊維強度および砥粒の把持性の点から、0.05〜5.0μmであることが重要である。平均単繊維直径を5.0μm以下とすることにより、研磨布の表面粗さを小さくすることができ、研磨対象の表面粗さを小さくすることができる。一方、平均単繊維直径を0.05μm以上とすることにより、繊維強度および剛性を維持することができるため、研磨を効率良く行うことができる。上記のバランスから、極細繊維の平均単繊維直径は、好ましくは0.3〜3.0μmであり、より好ましくは0.5〜1.5μmである。
極細繊維の平均単繊維直径に関しては、実施例の測定方法においても後述するように、単繊維直径が10μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均単繊維直径の測定対象から除外するものとする。
極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。
本発明の研磨布に用いられる不織布において、上記に定義される極細繊維よりも太い繊維が混合されていてもよい。そのようにすることにより、研磨布の強度を補強し、またクッション性を向上させることができる。かかる極細繊維よりも太い繊維を形成するポリマーとしては、前述の極細繊維を構成するポリマーと同様のものを採用することができる。かかる極細繊維よりも太い繊維の不織布に対する混合量としては、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることで、研磨布表面の平滑性を好適に維持することができる。
本発明の研磨布に用いられる繊維絡合体である不織布としては、短繊維を、カードおよびクロスラッパーを用いて積層繊維ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、および抄紙法で得られる不織布などを適宜採用することができる。中でも、短繊維不織布やスパンボンド不織布は、後述するような極細繊維束の態様をニードルパンチ処理により得ることができるため、好ましく用いられる。
本発明の研磨布は、前記の繊維絡合体である不織布が高分子弾性体を含有することが好ましい。繊維絡合体に高分子弾性体を含有させることによって、高分子弾性体のバインダー効果により極細繊維が研磨布から抜け落ちることを防止し、立毛処理時に均一な立毛を形成することが可能となる。また、繊維絡合体である不織布に高分子弾性体を含有させることによって、研磨布にクッション性を付与し、スクラッチ欠点をより少なくすることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー等を用いることができる。中でも、ポリウレタンおよびポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
上記の高分子弾性体の主成分として用いられるポリウレタンのポリマージオール成分の重量平均分子量は、好ましくは500〜5000であり、より好ましくは1000〜3000である。重量平均分子量を500以上、より好ましくは1000以上とすることにより、研磨布の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を5000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
また、その原料であるジオール成分としては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリラクトンジオールもしくはこれらの共重合物が好ましく用いられる。
また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネートおよび脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。中でも、被研磨物へのフィット性と傷の抑制に寄与するクッション性を高めるために、柔軟性の点から、ポリマージオール中におけるポリエーテルジオール成分の割合が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい態様である。
本発明で用いられるポリウレタンの重量平均分子量は、100,000〜300,000が好ましく、より好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量を100,000以上とすることにより、得られる研磨布の強度を保持し、また立毛面上の極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、重量平均分子量を300,000以下とすることにより、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて不織布への含浸を行いやすくすることができる。
本発明においては、高分子弾性体として、主成分としてポリウレタンが好ましく用いられるが、これに、バインダーとして性能や立毛繊維の均一分散状態を損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良い。また、高分子弾性体は、各種の添加剤、例えば、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、硫黄系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系およびベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、および凝固調整剤などを微量含有していても良い。
弾性重合体としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができる。
中でも、ポリウレタン、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。ポリウレタン系エラストマーのポリオール成分としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のジオール、もしくはこれらの共重合物を用いることができる。また、ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式イソシアネート、脂肪族系イソシアネートなどを使用することができる。
ポリウレタン系エラストマーの重量平均分子量としては50,000〜300,000が好ましい。重量平均分子量を50,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは150,000以上とすることにより、研磨布の強度を保持し、また極細繊維の脱落を防ぐことができる。また、300,000以下、より好ましくは250,000以下とすることで、ポリウレタン溶液の粘度の増大を抑えて極細繊維層への含浸を行いやすくすることができる。
また、弾性重合体には、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明において、上記の弾性重合体の含有率は、極細繊維束が絡合してなる不織布に対し、5〜200質量%であることが好ましい。含有量によって、研磨布の表面状態、クッション性、硬度および強度などを調節することができる。弾性重合体の含有率を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とすることにより、繊維脱落を少なくすることができる。一方、弾性重合体の含有率を、好ましくは200質量%以下、より好ましくは100質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下とすることにより、加工性及び生産性が向上すると共に、表面上において極細繊維が均一分散した状態を得ることができる。
本発明の研磨布の、後述する補強層を除く部分の目付は、100〜600g/mであることが好ましい。上記の目付を、好ましくは100g/m以上、より好ましくは150g/m以上とすることにより、研磨布の形態安定性・寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、上記の目付を、好ましくは600g/m以下、より好ましくは300g/m以下とすることにより、研磨布をテープ状にした時の取扱い性が容易となり、また、研磨布のクッション性を適度に抑え、研磨加工時において非研磨面からのゴムローラーによる押付圧を研磨表面に適度に伝播させ、効率的な研磨加工を行うことができる。
本発明の研磨布の、後述する補強層を除く部分の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましい。上記の厚さを、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上とすることにより、研磨布の形態安定性・寸法安定性に優れ、研磨加工時およびクリーニング加工時の研磨布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、上記の厚さを、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、研磨加工時の押付圧を充分に伝播させることができる。
また、本発明の研磨布は、後述する極細繊維束の切断端を有する面(研磨に供する側の面)の他方の面に補強層を有する構造としてもよい。そのようすることで、研磨布の形態安定性・寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)、フィルム状物(プラスチックフィルム、金属薄膜シートなど)等を採用することができる。
本発明の研磨布は、基板と接触する面、すなわち研磨に使用する側の面の表面に立毛処理が施されていることが好ましい。これにより、研磨布表面の繊維上に遊離砥粒を微分散させて均一に研磨することや、また、研磨屑や研磨剤等の有機・無機化合物の残差や汚れの除去を効率的にできる。また、立毛がクッション性を高めるため、スクラッチ欠点をより少なくすることができる。
本発明の研磨布は、極細短繊維不織布に高分子弾性体を付与し、水溶性樹脂を水洗除去した後にバッフィング処理(立毛処理)することにより得られる。ここでいうバッフィング処理とは、少なくとも片面が立毛面となっている状態で、スエード調に仕上げられていてもよい。バッフィング処理は針布やサンドペーパーを使用して行うのが一般的である。とりわけ、高分子弾性体付与後、表面をサンドペーパーを使用して、立毛処理することにより均一で緻密な立毛を形成することができる。さらに、研磨布表面上の表面繊維分布の均一性及び緻密性を向上させ、立毛繊維の方向性を極めて少なくするためには、研削負荷をより小さくすることが好ましい。研削負荷が小さい状態では、巻き毛状となる立毛繊維が少なく、立毛繊維が束状に膠着した状態となりにくいため、基板研磨時において基板の低表面粗さを実現でき、スクラッチ欠点を抑制できるため好ましい。研削負荷を小さくするためには、バフ段数、サンドペーパー番手、各段における研削重量、サンドペーパー走行速度、シート走行速度を適度に調節することが好ましい。中でも、バフ段数は3段以上の多段バッフィングとし、各段にて使用するサンドペーパーの番手をJIS規定の150番〜600番の範囲とするのが好ましい。また、各段における研削重量を50g/m以下とするのが好ましく、40g/m以下とするのがより好ましく、30g/m以下とするのが更に好ましい。さらに各段におけるサンドペーパー走行速度をシート走行速度で除した値が50〜200の範囲に設定することが好ましい。50以上の場合には、研磨布表面上の表面繊維の緻密性が低下し過ぎないため好ましく、200未満の場合には研磨布表面上の表面繊維の良好な分散性が維持でき、立毛繊維の方向性の乱れが小さく、表面繊維の粗密ムラが抑えられるため好ましい。
次に、本発明の研磨布を製造する方法について説明する。
極細繊維束が絡合してなる不織布を得る手段としては、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維から直接不織布を製造するのは困難であるが、極細繊維発生型繊維から不織布を製造し、この不織布における海島型複合繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分・島成分とし、溶剤などを用いて海成分を溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海・島の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海・島の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維がより好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステルおよびポリ乳酸などを用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性重合体を付与する前、付与した後、または立毛処理後、のいずれのタイミングで行ってもよい。
不織布を得る方法としては、前述のとおり、繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法、抄紙法などを採用することができ、中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどの処理を経るものが好ましい。
ニードルパンチ処理において、バーブの本数は1〜9本であることが好ましい。バーブの本数を、1本以上とすることにより、効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、バーブの本数を、好ましくは9本以下とすることで繊維損傷を抑えることができる。
バーブのトータルデプスは、0.05〜0.09mmであることが好ましい。バーブのトータルデプスを、好ましくは0.05mm以上とすることにより、繊維束への十分な引掛かりが得られるため効率的な繊維絡合が可能となる。一方、バーブのトータルデプスを、好ましくは0.09mm以下とすることにより繊維損傷を抑えることが可能となる。
パンチング本数は、4500〜14000本/cmであることが好ましい。パンチング本数を、好ましくは4500本/cm以上とすることにより、緻密性が得られ、高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を、好ましくは14000本/cm以下とすることにより、加工性の悪化、繊維損傷、および強度低下を防ぐことができる。
また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから、圧力1〜60MPaで水を噴出させることが好ましい。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維不織布の見掛け密度は、0.15〜0.30g/cmであることが好ましい。上記の見掛け密度を、好ましくは0.15g/cm以上とすることにより、研磨布の形態安定性・寸法安定性に優れ、研磨加工時の研磨布の伸びによる加工ムラ、スクラッチ欠点の発生を抑えることができる。一方、上記の見掛け密度を、このましくは0.30g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい態様である。
極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒を用いることができ、また、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維(からなる不織布)を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
また、極細繊維発生加工には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。また、極細繊維発生加工は、立毛処理前に行ってもよいし立毛処理後に行ってもよい。
弾性重合体は、極細繊維発生加工の前に付与してもよいし、後に付与してもよい。
弾性重合体を付与させる際に用いられる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、水中にポリウレタンをエマルジョンとして分散させた水系ポリウレタンを用いてもよい。
溶媒に溶解した弾性重合体溶液に、不織布を浸漬する等して弾性重合体を不織布に付与し、その後、乾燥することによって弾性重合体を実質的に凝固し固化させる。乾燥にあたっては、不織布および弾性重合体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
研磨布に補強層を積層させる場合の方法としては、絡合や接着などの公知の方法を用いてもよい。
補強層を絡合で積層する方法としては、上述した極細繊維発生型繊維からなる不織布などを製造する際に、織物、編物および不織布(紙を含む)等を重ねてニードルパンチやウォータージェットパンチなどの処理をする方法が挙げられる。
補強層を接着で積層する方法としては、不織布に対して、熱接着繊維や樹脂を含む織物、編物、不織布(紙を含む)およびフィルム状物(プラスチックフィルム、金属薄膜シートなど)等を重ねて、熱圧着法やフレームラミ法にて接着する方法、あるいは補強層と不織布からなるシート層との間に接着層を設けて接着する方法が挙げられる。接着層としては、ポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸およびアクリル系接着剤などゴム弾性を有するものであれば使用可能であるが、コストや実用性を考えると、NBRやSBR等の接着剤が好ましい。接着剤の付与方法としては、エマルジョンまたはラテックス状で該シート層に塗布することが好ましい。
本発明の研磨布は、その表面粗さが1〜20μmである。表面粗さを1μm以上にすることにより、研磨加工時の砥粒の保持性や分散性、クリーニング加工時の拭き取り性の観点において、優れた態様とすることができる。また、表面粗さが20μmより小さい場合、研磨加工に用いた場合に被研磨物にスクラッチ欠点を与えにくく、被研磨物の表面粗さを低くすることができる。表面粗さは、より好ましくは3〜15μmであり、さらに好ましくは5〜10μmである。本発明における表面粗さは、後述する実施例に記載の方法で求めた。
表面粗さは、極細繊維を含む繊維構造体からなる研磨布の各製造工程において、均一でない場合、表面粗さが高くなるため、立毛処理工程が重要である。
本発明の研磨布は、その表面の動摩擦係数が0.1〜1.0である。動摩擦係数が0.1以上ならば、研磨加工およびクリーニング加工において基板に押し付けた際に良好な研磨性能およびクリーニング性能を示す。また、動摩擦係数が1.0以下ならば、摩擦抵抗が大き過ぎず、基板に傷を発生させる恐れが低い。動摩擦係数は好ましくは0.2〜0.9であり、より好ましくは0.3〜0.8である。本発明における動摩擦係数は、後述する実施例記載の方法にて求めた。
動摩擦係数は、上述した極細繊維を含む繊維構造体からなる研磨布の各製造工程を実施することによって、達成することができる。また、動摩擦係数は、後述する加工薬剤の付与によっても変動するため、加工薬剤を付与する場合は、上述の動摩擦係数が範囲内となるよう薬剤種および付与条件を調整する必要がある。
本発明の研磨布は、その表面の水滴吸収時間が0.1秒〜60分であることが好ましい。水滴吸収時間が0.1秒以上ならば、研磨剤が研磨布内層部へ通過し過ぎず、研磨布表面の繊維上で砥粒を把持することができ、研削量が不足とならない。また、水滴吸収時間が60分以内ならば、研磨布表面の繊維上で研磨剤を弾き過ぎることなく、砥粒が繊維上に分散して把持され、均一に研磨できる。連続的に砥粒を研磨表面上に供給した場合、研磨表面が湿潤状態になるのが遅く、砥粒が十分に分散できずスクラッチが増加しやすくなり、研磨精度が低下することから、水滴吸収時間はより好ましくは0.1秒〜10分であり、さらに好ましくは0.1秒〜1分である。本発明における水滴吸収時間は、後述する実施例記載の方法にて求めた。
水滴吸収時間は、上述した極細繊維を含む繊維構造体からなる研磨布の各製造工程を実施することによって、達成することができる。また、後述する加工薬剤の付与によっても変動するため、加工薬剤を付与する場合は、上述の水滴吸収時間が範囲内となるよう薬剤種および付与条件を調整する必要がある。
本発明の研磨布の立毛長は、2mm以下であることが好ましい。立毛長は、より好ましくは0.1〜2mmの範囲である。立毛長が2mmを超えると、立毛繊維の自由度が大きくなりすぎるために、立毛面内における立毛繊維の方向性の乱れが大きい状態となり、基板表面粗さが大きくなると共に、研磨布上で局所的な砥粒分布の偏りが生じ、スクラッチ欠点を抑制できなくなることがある。かかる立毛長は、研磨布表面の順目方向を下向きにして撮影した表面電子顕微鏡写真において、任意の50本の立毛繊維について最表層に露出している繊維長を測定し、その平均値のことを指すものである。立毛長を2mm以下に制御するためには、前述の絡合不織布と高分子弾性体とからなるシートの製造方法とバッフィング方法を組み合わせることにより達成可能である。
本発明の研磨布の見掛け密度は、表面繊維の緻密性と均一性が高くすること、および砥粒の保持性と押し付け力を考慮すると、0.2〜0.5g/cmの範囲にあることが好ましい。
本発明の研磨布の表面は、JISK−6253Aの規定に基づいて測定される硬度が20〜60であることが好ましい。硬度が20未満である場合、砥粒の押し付け力が不十分であり、研削不足となり、未研磨加工部分が発生する。また、硬度が60を超える場合には、砥粒の押し付けが強くなりすぎるために、スクラッチ欠点が発生するとともに、所望の表面粗さを達成することができない。前述した極細短繊維不織布及び高分子弾性体の構成をとることにより、上記の硬度とすることができる。
本発明の研磨布は、研磨性能を向上させることを目的に加工薬剤を付与してもよい。このような加工薬剤としては、平滑性向上可能な珪素系薬剤やWAX系薬剤(例えば、日華化学株式会社製ネオシードNR−90)、撥水・撥油性向上や摺動性向上可能なフッ素系薬剤(例えば、日華化学株式会社製NKガードS−02)の他、分散剤、柔軟剤および界面活性剤等の助剤が挙げられる。このような加工薬剤を付与した後には、薬剤種によるが、乾燥した後にキュア処理と呼ばれる薬剤の効果を発現させるために必要な加熱処理を行う場合もある。
研磨布およびワイピングテープとしての不織布の利用には、研磨工程時の研磨剤やクリーニング工程時の洗浄剤との相互作用もあるため、加工薬剤の組合せは多種多様になる。中でも、後述するように、繊維分散性を向上させ、研磨工程後の基板評価における平滑性やスクラッチ数が良好にするため、珪素化合物を一定量含有することが好ましい。
本発明の研磨布は、上述した加工薬剤をいずれの工程前後、または工程中に付与してもよい。工程通過性の観点から、脱海時または脱海後に付与することが好ましい。また、立毛処理後に付与する場合には、乾燥後に立毛が凝集して表面の繊維均一性が低下するために表面粗さが劣化することから、立毛処理前に加工薬剤を付与することが好ましい。
この場合に、立毛処理時に繊維の開繊性が向上して、研磨布表面の繊維が緻密かつ均一に配列するため、表面粗さが優れる。シリコーン薬剤を後加工で付与する場合に、摩擦係数が小さくなる傾向があることが一般に知られているが、本発明の研磨布の好ましい加工方法例として挙げる立毛処理前の加工薬剤の付与では、例えば、シリコーン薬剤の場合に立毛処理後の表面繊維が上述したように緻密に均一に配列することから、繊維の接触面積が増大するため、摩擦係数が大きくなる。このように繊維の接触面積が増大し、均一性が高いことは、研磨工程およびクリーニング工程における基板の均一処理を可能とし、結果として基板の表面粗さとスクラッチ数を抑えることが可能である。
本発明の研磨布においては、繊維構造体の少なくとも一部に好ましくは珪素化合物を含有させることができるが、その場合、繊維構造体の珪素含有量は10〜3000ppmであることが好ましい。珪素含有量が10ppm以上ならば、繊維分散性が向上する。また、珪素含有量が3000ppm以下ならば、立毛処理において、本発明の研磨布の好ましい加工方法例として挙げるサンドペーパーでの加工時に研磨布処理面上でペーパーが滑って正常に立毛処理できないことが発生する頻度が少ないことから、研磨布表面の繊維が緻密かつ均一に配列でき、表面粗さを優れるものにでき、また、研磨布の撥水性が強くなり過ぎず、研磨加工およびクリーニング加工で用いる研磨剤や洗浄剤の研磨布上での分散性が良く、均一に加工できる。
上述のとおり、正常に立毛処理可能でかつ繊維接触面積を増大させることが可能な珪素含有量であることが好ましく、研磨およびクリーニング工程後の基板評価における平滑性やスクラッチ数の観点から、珪素含有量が100〜1500ppmであることがより好ましく、300〜800ppmであることがさらに好ましい態様である。
本発明の研磨布では、珪素化合物について上記の範囲を好ましい含有量として挙げるが、研磨布に用いられる繊維構造体の特性に応じた最適な珪素含有量あるいは加工薬剤付与量とすることが肝要である。
本発明の研磨布に用いられる珪素化合物としては、シロキサン骨格を有することが好ましい。シロキサン骨格を有する珪素化合物としては、置換基のある場合は、置換基として、例えば、ポリエーテル、エポキシ基、アミン類、カルボキシル基、メチル基等のアルキル基およびフェニル基等があるものでもよい。
150℃の温度以上の高温で処理を行う場合、耐熱性の高いポリメチルフェニルシロキサンが好ましく用いられる。耐熱性のシリコーンオイルとしては、例えば、耐熱性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−54)や、耐熱性ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製SH510、信越化学工業株式会社製KF−965、KF−968)を用いることができる。
また、ポリエステルとの相溶性を重視する場合は、例えばアルキル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製SF8416、BY16−846、SH203、SH230)を用いることができる。
また、柔軟性を重視する場合は、例えばアミノ変性シリコーン(丸菱油化工業株式会社製ベビナーHCA)を用いることができる。中でも汎用性が高い点から、ポリアルキルシロキサンを用いることが好ましく、例えば、ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX、SH200、信越化学株式会社製POLON−MWS)を用いることが好ましい。
本発明の研磨布は、プレスなどの処理を施してもよい。プレス処理は、不織布を得る工程後から研磨布をテープ状にカットするまでの工程の間であれば、いずれの工程間で処理してもよい。中でも、立毛処理前にプレスを行うことが、研磨布表面を高密度化した上で、繊維の乱れを防止できる点で好ましい。プレス時のセット性を高めるため、熱プレスをすることが好ましい。珪素化合物を付与する場合でも、プレスはいずれの工程間で処理してもよいが、プレス処理するより前の工程で珪素化合物を付与することが、珪素化合物の薬剤を研磨布により浸透させることができる。
本発明の研磨布は、例えば、加工効率と安定性の観点から20〜50mm幅のテープ状にカットして研磨加工用テープとして用いることができる。
本発明の研磨布は、一般に知られるテープ研磨加工を用いることが好ましい。例えば、ガラスまたはアルミニウム合金等からなる磁気記録ディスク基板を連続回転させ、かつ遊離砥粒を含む研磨剤を研磨加工用テープと基板との間に供給することによって、研磨加工用テープの表面繊維上に遊離砥粒を微分散させた状態下において、研磨加工用テープをゴムローラーで基板に押し付けながら連続的に走行させて研磨を行う方法が挙げられる。研磨剤としては、ダイヤモンド微粒子などの高硬度砥粒を水系分散媒に分散したものが好ましく用いられる。砥粒径は、本発明の研磨布を構成する極細繊維に適合した砥粒の保持性と分散性の観点から、0.2μm以下のものが好ましく用いられる。
また、本発明の研磨布は、クリーニング加工用のテープとしても好適に用いることができる。クリーニング方法としては、クリーニングテープとして研磨加工用テープを用い、研磨剤の代わりに水や洗浄剤を用いる以外は上述した研磨加工とほぼ同様に行い、それまでの加工で基板に付着した研磨屑や研磨剤等の有機・無機化合物の残差や汚れの除去を行う方法が挙げられる。このとき、研磨時と同一のテープを用いてもよいし、異なるテープを用いてもよい。また、クリーニング加工は、テープ研磨後の基板やパッド研磨後の基板に対して行っても良く、あるいは基板成形後に表面粗さが抑えられている場合には研磨加工を行っていない基板に対して行っても良い。
本発明の研磨布は、極細繊維からなり、表面粗さが低く動摩擦係数が小さいことにより、従来の研磨布よりも研磨布上に研磨剤を均一に分散させた上で基板を均一に加工することができるため、基板の表面粗さを低くすることができ、スクラッチ欠点を抑え、優れた研磨性能を発揮することができる。これらの効果により、磁気記録ディスクに用いられるアルミニウム合金基板やガラス基板を超高精度の仕上げで研磨加工やクリーニング加工を施す際に好適に用いられる。
次に、実施例により、本発明の研磨布とその製造方法について、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例で用いた評価方法とその評価用加工方法は、次のとおりである。
[評価方法・評価用加工方法]
(1)ポリマーの融点
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて、2ndrunでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分で、サンプル量は10mgとした。
(2)ポリマーのメルトフローレイト(MFR)
試料ペレット5gを、MFR計電気炉のシリンダーに入れ、東洋精機製メルトインデクサー(S101)を用いて、荷重2160gf、温度285℃の条件で、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
(3)極細繊維の平均単繊維直径
研磨布の極細繊維を含む厚み方向に垂直な断面を走査型電子顕微鏡(SEM キーエンス社製VE−7800型)を用いて3000倍で観察し、30μm×30μmの視野内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。ただし、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、小数点以下を四捨五入して平均値を算出した。単繊維直径が10μmを超える繊維が混在している場合には、当該繊維は極細繊維に該当しないものとして平均単繊維直径の測定対象から除外するものとする。また、極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって、単繊維の平均直径を求める。
(4)研磨布の表面粗さ
本発明の研磨布の表面粗さは、サーフコーダSE−40C(Kosaka−Laboratory Ltd)を用いて測定される。研磨布を、その立毛の順目方向(立毛が寝る方向)と装置の触針の進行方向が同方向になるように平面台上に固定して,先端半径5μm、先端面積79μmの触針を用いて、送り速さ0.5m/分、評価長さ12.5cm、カットオフ2.5cm、縦倍率500倍、横倍率2倍で測定した。測定は5回行い、その平均値を表面粗さの数値として採用した。
(5)研磨布の表面の動摩擦係数
本発明の研磨布の表面の動摩擦係数は、1cm角に切り出した試料を平面圧子に両面テープを用いて取り付け、十分な水を浸みこませた。これを表面性測定機(新東科学(株)製 HEIDON−14D)の移動台に取り付けたガラス板上に置き、立毛の順目方向(立毛が寝る方向)に移動台を水平移動させたときの摩擦抵抗を測定し、動摩擦係数を求めた。試験速度は500mm/分、荷重条件は600g/cmとした。測定は3回測定を行い、その平均値を動摩擦係数の数値として採用した。
(6)研磨布の表面の吸水性測定
FACE/CA−A型の接触角測定装置(協和界面科学(株)製)を用い、注射器に蒸留水を入れ、注射針(外径0.60mm、内径0.45mm)から水滴1滴を研磨布上に滴下し、その水滴を該装置の接眼レンズから観察し、吸収時間(tq)を次式にて求めた。
tq=t2−t1(秒)
t1:水滴が研磨布上に落ちた時間
t2:研磨布中に水滴が吸い込まれ、表面上に水滴がなくなる時間
このt1、t2の状態は、通常の場合(およそtqが10秒以上)では目視で測定可能であるが、非常に速い場合や観察し難い場合は、前述の装置で水滴が注射針から滴下開始する時間から水滴が研磨布中に十分吸収されるまでの状態を、該装置の接眼レンズを通して水滴の状態の全画像をビデオに撮影してから測定することができる。
このようにして、製品から任意に取出した試料で20個の測定を行い、該20個の測定値(tq)の中で、最も大きい方の5個のデータの平均値をとり、該平均値を吸水時間の値とした。
(7)研磨布の珪素含有量
研磨布試料5gに硫酸を添加し、一昼夜放置して炭化させた後、ホットプレートにて硫酸を揮散させた。得られた炭化物を電気炉を用いて550℃の温度で2時間加熱し、灰化処理を行った。得られた灰化物を炭酸ナトリウム融解し、希塩酸に溶解させたものを試料溶液とした。試料溶液をICP発光分光分析装置に導入し、珪素の定量を行った。
(8)研磨加工
研磨布を、30mm幅のテープとした。研磨対象として、表面粗さが0.3nm以下に制御されたKMG社製のアモルファスガラスからなる基板を用いた。基板の両面を1度に研磨すべく、テープを基板の両面にセットして、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmの単結晶ダイヤモンド粒子が平均径50nmにクラスター化した遊離砥粒を0.01%含む研磨剤を、15ml/分で両面側に滴下し、基板へのテープの押付圧を1500g重、基板回転数を400rpm、基板揺動数を5Hz、テープ走行速度2.5cm/分として、10秒間研磨した。
(9)クリーニング加工
研磨加工直後の基板を、研磨剤を洗浄剤(三洋化成株式会社製ケミクリーンPR−122)に代えて、加工時間を30秒とする以外は研磨加工と同じ条件でクリーニング加工し、流水で洗浄した。
(10)基板の表面粗さ
JIS B 0601:2001に基づいて測定した。表面粗さ測定機(シュミットメジャーメントシステム社製 TMS−2000)を用いて、研磨加工およびクリーニング加工後のディスク基板サンプル表面の10カ所について表面粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。
原子間力顕微鏡AFM(Digital Instruments社製NanoScope I I Ia AFM Dimension3000ステージシステム)を用いて、研磨加工後のディスク基板サンプル5枚の両面、すなわち計10表面の各々について、任意の10カ所(1カ所あたりの観察領域はディスク表面上の径方向5μm×周方向5μmの領域である)を抽出する。次いで、該10カ所の各々について1点、ディスクの厚み方向における横軸を径方向とした断面プロファイルを任意に抽出し、得られた断面プロファイル各々について、JIS B 0601(2001年版)に準拠して、算術平均粗さRaを算出する。得られた10表面×10点=合計100点の測定値を平均することにより、基板表面粗さを算出した。数値が低いほど、高性能であることを示す。基板表面粗さが、1.5Å以下を研磨性能良好とした。
(11)基板のスクラッチ点数
研磨加工およびクリーニング加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、光学表面分析計(Candela6100)を用いて、深さ1nm以上の溝をスクラッチとしてスクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。スクラッチ個数が、20個以下を研磨性能良好とした。
(12)基板の総合評価
研磨加工およびクリーニング加工後の基板の表面粗さおよびスクラッチ点数について、表面粗さが1.0Å以下かつスクラッチ点数が10以下のものを「○」、表面粗さが1.0〜1.5Åまたはスクラッチ点数が10〜20のものを「△」、表面粗さが1.5Å以上またはスクラッチ点数が20以上のものを「×」と評価し、「○」および「△」を合格とした。
[実施例1]
(原綿)
(海成分・島成分)
融点220℃、MFR10.5のナイロン6を島成分とし、融点53℃、MFR12のアクリル酸2‐エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。
(紡糸・延伸)
上記の海成分と島成分を用い、376島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度285℃、島/海質量比率40/60、吐出量1.7g/分・ホール、紡糸速度1200m/分で海島繊維を溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度6.5dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードとクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、得られた積層繊維ウェブを、スロートデプス60μm、キックアップ0μm、アンダーカットアングル4°、スロートレングス0.9mmのニードルを植込んだニードルパンチ機を用いて、針深度8mm、パンチ本数3200本/cmでニードルパンチし、目付800g/m、見掛け密度0.190g/cmの極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(研磨布)
上記の極細繊維発生型繊維不織布を約95℃の温度の熱水で熱水収縮処理させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分のco−PSTを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を作製した。
このようにして得られた極細繊維不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタン(ゲル化点4.2ml)を、繊維質量に対して固形分で20質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#240番のサンドペーパーを用いて3段研削し、立毛を形成させ研磨布を作製した。
得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.72μmであり、厚さは0.50mmであり、目付は180g/mであり、見掛け密度は0.360g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例2]
(研磨布)
実施例1と同様にして、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を作製した。このようにして得られた極細繊維不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタン(ゲル化点4.2ml)を、繊維質量に対して固形分で20質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した後に、極細繊維不織布質量に対して珪素含有量が500ppmとなるように、珪素系薬剤(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX)の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整して、含浸付与した。その後、実施例1と同様にして半裁およびバフを行い、研磨布を作製した。
得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例3〜4]
(研磨布)
珪素含有量を150ppm(実施例3)または1500ppm(実施例4)になるように、珪素系薬剤の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整したこと以外は、実施例2と同様にして、研磨布を作製した。得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿)
(紡糸・延伸)
島本数600島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量1.0g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(研磨布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例2と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を作製し、次いで研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.35μmであり、厚さが0.5mmであり、目付177g/mであり、見掛け密度が0.354g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例6]
(原綿)
(紡糸・延伸)
島本数376島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量1.9g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が4.0dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(研磨布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例2と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を作製し、次いで研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.58μmであり、厚さが0.52mmであり、目付178g/mであり、見掛け密度が0.342g/cmであった。得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例7]
(原綿)
(海成分と島成分)
海成分と島成分は、実施例1と同様のものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の海成分と島成分を用い、200島/ホールの海島型複合口金を用いて、紡糸温度285℃、島/海質量比率40/60、吐出量0.9g/分・ホール、紡糸速度1200m/分の条件で、海島型複合繊維を溶融紡糸した。次いで、85℃の温度で紡糸用の油剤液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度5.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(研磨布)
上記極細繊維発生型繊維不織布を用いたこと以外は、実施例2と同様にして研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が1.53μmであり、厚さが0.51mmであり、目付が186g/mであり、見掛け密度が0.365g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例8]
(原綿)
島本数36島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量2.6g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度7.3dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(研磨布)
上記極細繊維発生型繊維不織布を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が2.99μm、厚さ0.51mm、目付167g/m、見掛け密度0.327g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例9]
(原綿)
島本数36島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量6.6g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度18.3dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(研磨布)
上記極細繊維発生型繊維不織布を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が4.73μm、厚さ0.51mm、目付172g/m、見掛け密度0.337g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例10]
(原綿)
(海成分・島成分)
融点260℃、MFR46.5のPETを島成分とし、融点230℃、MFR100の5−ナトリウムイソフタル酸8モル%を共重合させた共重合PETを海成分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度4.7dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(水分散型ポリウレタン液)
非イオン系強制乳化型ポリウレタンエマルジョン(ポリカーボネート系)に、感熱ゲル化剤として硫酸ナトリウムをポリウレタン固形分対比4質量%添加し、ポリウレタン液濃度が10質量%となるように、水分散型ポリウレタン液を調整した。
(研磨布)
上記の極細繊維発生型繊維不織布に、上記の水分散型ポリウレタン液を付与し、乾燥温度120℃で5分間熱風乾燥して、ポリウレタンの付着量が不織布の島成分に対して30質量%であるポリウレタン付シートを作製した。上記ポリウレタン付シートを、液流染色機を用いて90℃の温度に加熱した濃度20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、30分間処理し、海島型複合繊維から海成分を溶解除去して、極細繊維不織布を作製した。次いで、得られた極細繊維不織布に、極細繊維不織布質量に対して珪素含有量が500ppmとなるように珪素系薬剤(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX)の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整して、含浸付与した。その後、実施例1と同様にして半裁およびバフを行い、研磨布を作製した。
得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.74μm、厚さ0.52mm、目付175g/m、見掛け密度0.337g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例11]
(原綿)
(海成分と島成分)
海成分と島成分は、実施例1で用いたものと同じものを用いた。
(紡糸・延伸)
上記の海成分と島成分を50質量%ずつ混合して、紡糸温度285℃で海島型繊維を溶融紡糸する、いわゆる混合紡糸法により、海成分中に島成分が約1000個配置された極細繊維発生型繊維を、紡糸速度1200m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、単繊維繊度が11.6dtexで、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発生型不織布を作製した。
(研磨布)
上記の極細繊維発生型繊維からなる不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール12%水溶液に含浸し乾燥した。この不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で20質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水でDMFを除去した。その後、トリクロロエチレン中で海成分のco−PSTを溶解除去し、乾燥を行って、極細繊維束とポリウレタンからなる極細繊維不織布を作製後、実施例2と同様に珪素系薬剤を含浸付与した。その後、JIS#320番のサンドペーパーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、研磨布を作製した。
得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.72μm、厚さが0.55mmであり、目付が180g/mであり、見掛け密度が0.327g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例12]
(研磨布)
実施例1と同様にして、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を作製した。このようにして得られた極細繊維不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタン(ゲル化点4.2ml)を、繊維質量に対して固形分で20質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の温度の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、実施例1と同様にして半裁した後に、極細繊維不織布質量に対して珪素含有量が500ppmとなるように珪素系薬剤(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX)の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整して、含浸付与した。その後、バフを行い、研磨布を作製した。
得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例13]
(研磨布)
実施例1と同様にして、極細繊維束が絡合してなる極細繊維不織布を作製した。このようにして得られた極細繊維不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタン(ゲル化点4.2ml)を、繊維質量に対して固形分で20質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、実施例1と同様にして半裁・バフを行った後に、極細繊維不織布質量に対して珪素含有量が500ppmとなるように珪素系薬剤(東レ・ダウコーニング株式会社製SM7060EX)の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整して、含浸付与し、研磨布を作製した。
得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[実施例14〜17]
(研磨布)
加工薬剤と含浸工程からの処理を、他のポリジメチルシロキサン薬剤(信越化学株式会社製POLON−MWS,実施例14)として含浸および乾燥後に120度で3分間加熱した、アミノ変性シリコーン薬剤(丸菱油化株式会社製ベビナーHCA、実施例15)として含浸および乾燥した、フッ素系薬剤(日華化学株式会社製NKガードS−02、実施例16)として含浸および乾燥後に160度で30秒間加熱した、あるいは、ワックス系薬剤(日華化学株式会社製ネオシードNR−90、実施例17)として含浸・乾燥後に160度で30秒間加熱した以外は、実施例2と同様にして、研磨布を作製した。得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿)
(紡糸・延伸)
島本数1200島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量0.04g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が0.09dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(研磨布)
上記原綿を用いたこと以外は、実施例2と同様にして極細繊維発生型繊維不織布を作製し、次いで研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が0.03μmであり、厚さが0.41mmであり、目付162g/mであり、見掛け密度が0.395g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[比較例2]
(原綿)
島本数16島/ホールの海島型複合口金を用いて、吐出量9.6g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度26.7dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を作製した。
(極細繊維発生型繊維不織布)
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発生型繊維不織布を作製した。
(研磨布)
上記極細繊維発生型繊維不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、研磨布を作製した。得られた研磨布は、極細繊維の平均単繊維直径が8.65μm、厚さ0.52mm、目付162g/m、見掛け密度0.312g/cmであった。また、得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
[比較例3]
(研磨布)
珪素含有量を4000ppmになるように、珪素系薬剤の薬剤濃度およびウェットピックアップ率を調整したこと以外は、実施例2と同様にして、研磨布を作製した。珪素含有量が多量であったため、バフ工程時にロールが研削対称面で滑ることが頻発したため、均一にバフ加工することができなかった。得られた研磨布への付与薬剤、研磨布の珪素含有量、平均単繊維直径、表面粗さ、動摩擦係数、吸水性および研磨工程後の基板の表面粗さ、およびスクラッチ個数をまとめた結果を表1に示す。
Figure 2013071232

Claims (10)

  1. 平均単繊維直径0.05〜5.0μmの極細繊維を含む繊維構造体であって、該繊維構造体の表面粗さが1〜20μmであり、動摩擦係数が0.1〜1.0であることを特徴とする研磨布。
  2. 繊維構造体の少なくとも片側の表面に、極細繊維からなる立毛を有することを特徴とする請求項1記載の研磨布。
  3. 繊維構造体の少なくとも片側の表面に対する水滴吸収時間が、0.1秒〜60分であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨布。
  4. 繊維構造体の少なくとも一部に、10〜3000ppmの珪素化合物が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨布。
  5. 繊維構造体が、シロキサン骨格を有する珪素化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨布。
  6. 繊維構造体の表面粗さが、3〜15μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨布。
  7. 繊維構造体の動摩擦係数が、0.3〜0.8であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の研磨布。
  8. 繊維構造体の少なくとも一部に、100〜1000ppmの珪素化合物が存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の研磨布。
  9. 繊維構造体の少なくとも一部に、300〜800ppmの珪素化合物が存在することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の研磨布。
  10. 繊維構造体の立毛形成前に、シロキサン骨格を有する珪素化合物を付与することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の研磨布。
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