JP2007196336A - 不織布研磨シート - Google Patents

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右広 西田
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Abstract

【課題】研磨層(ポリウレタンエラストマーからなる多孔質銀面層)表面の均一性に優れ、被研磨面を凹凸なく均一に研磨することが出来る研磨シートを提供すること。
【解決手段】研磨面の表面に微細孔を多数形成させた多孔質銀面層を有する研磨シートであって、前記微細孔のうち孔径50μmφ以下の微細孔が表面に存在する全微細孔の85%以上を占め、該多孔質銀面層を塗布するベース基材が厚さ0.7〜2.5mmのポリエステル不織布である不織布研磨シート。
【選択図】なし

Description

本発明は研磨シートに係るものであり、更に詳しくは光学ガラスレンズや半導体用フォトマスク、液晶ディスプレイ用フォトマスク、ハードディスクドライブ用ガラスディスクなどの超精密研磨に好適な研磨シートに関する。
従来、集積回路を形成する為の基材として用いられる半導体ウエハーの鏡面研磨用パッド及び板ガラス、光学レンズ及びフォトマスクなどのガラス製品研磨シートとして合成繊維よりなる不織布表面にポリウレタン多孔質銀面層を形成させてなる研磨パッドが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特公平6−61702号公報
これら合成繊維不織布からなる研磨シートは適度なクッション性を有し被研磨面に過度の圧力をかけることなく研磨することが可能である。該不織布からなる研磨シートは合成繊維よりなる不織布にポリウレタンエラストマー等の樹脂を含浸させた後、均一な表面が得られるように断面方向に薄くスライスし、表面を平滑に処理した後にポリウレタンエラストマーからなる多孔質銀面層を形成させてなるものである。
しかし樹脂含浸した不織布を薄くスライスするには技術的難度が高く、均一な表面が得難く微細な表面凹凸が生じる為、該表層に積層する多孔質銀面層も該表面凹凸を忠実にひらってしまい、均一な研磨面が得難い。
上述の如き問題点に鑑みて鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至ったものである。本発明の目的は研磨層(ポリウレタンエラストマーからなる多孔質銀面層)表面の均一性に優れ、被研磨面を凹凸なく均一に研磨することが出来る研磨シートの提供を課題とする。
本発明は以下の構成よりなる。
1. 研磨面の表面に微細孔を多数形成させた多孔質銀面層を有する研磨シートであって、前記微細孔のうち孔径50μmφ以下の微細孔が表面に存在する全微細孔の85%以上を占め、該多孔質銀面層を塗布するベース基材が厚さ0.7〜2.5mmのポリエステル不織布であることを特徴とする不織布研磨シート。
2. 多孔質銀面層が、ポリウレタンエラストマーの有機溶媒溶液を塗布した後に水系凝固液中で凝固させ、乾燥後に研削加工して得られるものであり、該多孔質銀面層上に蒸留水を滴下した際の表面接触角が初期120°以下、水滴消失までに要する時間が60秒以下であることを特徴とする上記第1に記載の不織布研磨シート。
3. ポリエステル不織布がポリエステル短繊維不織布であり、ポリエステル短繊維の単繊維繊度が0.5〜5.0デシテックスの範囲、繊維長が50〜76mmの範囲であり、ニードルパンチ法により絡合一体化されたものであることを特徴とする上記第1又は第2に記載の不織布研磨シート。
本発明によると研磨層表面の均一性に優れ、適度な曲げ剛性を有する為、研磨時の歪みやよじれ変形を生じ難く、均一な研磨が可能となる。また表面の濡れ性に優れると共に研磨用スラリーに含有する粒状研磨剤(砥粒)を担持するに適した表面微細孔を形成させたため、精密な研磨が可能であるなどの効果を奏する。
本発明の研磨シートは樹脂含浸したポリエステル不織布シートの表面にポリウレタンエラストマーからなる多孔質銀面層を配してなるものであることが好ましい。該銀面層表面の微細孔のうち孔径50μmφ以下の微細孔が表面に存在する全微細孔の85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。100%であることは非常に好ましいが、必ずしも100%である必要はなく、98%以下でも十二分に好ましい。孔径50μmφを超過する孔は、研磨用スラリーに含まれる粒状研磨剤(砥粒)を把持し難くなり、研磨効率が低下し、被研磨面を均一に研磨しづらくなるばかりか、スクラッチの要因になる場合もあり、好ましくない。そして、孔径50μmφ以下の微細孔が全微細孔の85%未満の場合、上述のように、孔径50μmφを超過する孔の割合が増大することとなり、研磨効率の低下やスクラッチの問題が起こり易く、あまり好ましくない。
研磨シートのベース基材としてはポリエステル不織布が強度や耐熱性、耐薬品性等の観点で好適に使用される。該ポリエステル不織布はポリエステル短繊維を公知のニードルパンチ法によって絡合一体化してなるものが好ましいが、ポリエステル短繊維の原料ポリエステルとして耐アルカリ性研磨性能を向上させるため、固相重合法等公知の技術を用いた高重合度ポリエステルや研磨条件や用途に応じてビスフェノールAエチレンオキサイド誘導体やビスフェノールFエチレンオキサイド誘導体、その他のモノマーを共重合させたポリエステルであってもよい。
ポリエステル不織布の絡合一体化方法は物理的絡合方法を用いることが望ましい。繊維の絡合方法としてはニードルパンチ法の他、ウォータージェットパンチ法等が一般的であるが、ウォータージェットパンチ法は高圧水流噴射によって強い絡合状態が形成されるものの穴開きや繊維密度の粗密が生じてしまいあまり好ましくない。またサーマルボンド法など短繊維ウェッブを加圧下加熱して一体化する方法では融着部がアルカリ加水分解を受けやすい他、研磨時の剪断歪みによって絡合部が容易に外れてしまい易いのであまり好ましくなく、ニードルパンチ法による絡合方法が好ましい。ニードルパンチ法ではバーブと呼ばれる、糸を引っ掛けて絡ませる部分が複数ついた針(ニードル)又は先端がフォークのような形状になったフォーク針等を用いることが出来る。機械の速度(ストローク数)や針密度、ストロークの距離等々の条件はウェッブの目付や厚み等々に応じて適宜選定すればよい。
不織布に供するポリエステルウェッブは公知のカード機を用いて繊維を配列させシート状とするが繊維配列方向の異なる、複数のウェッブを積層した状態で絡合一体化させると剪断変形によるシートの力学的強度低下が抑制され好ましい。またウェッブを作成せず紡糸後、直接不織布を得るスパンボンド法では繊維密度の粗密が生じ易いほか、粗硬なシートとなってしまい、程よいクッション性が得にくく、研磨シートのベース基材としてあまり好ましくない。
ベース基材に用いるポリエステル不織布の目付については200〜500g/m2、厚みは0.7〜2.5mmが好ましい。ポリエステル不織布の目付けが200g/m2未満ではニードリングによって該不織布表層を構成する短繊維が不織布裏面に到達し、強固な絡合性を得ることが出来るがベースとなる不織布の力学的強度が研磨シートに供するには少々不足してしまいあまり好ましくない。また500g/m2を著しく超過する範囲ではニードリングにより該不織布表層を構成する短繊維が不織布裏面まで到達せず、不織布の絡合性自体が強固なものとならず、研磨シートに供するにはあまり好ましくない。
また厚みについては0.7mm未満では厚みが小さ過ぎ、ニードルのストロークを小さく留めても不織布ウェッブの損傷が起こりやすくあまり好ましくない。また2.5mmを超過する厚みでは力学的強度面で好ましいものになるが含浸処理する樹脂の量が大きくなり(ピックアップが大きくなり)、コスト的に割高になり易いのであまり好ましくない。
また本発明の不織布研磨シートを構成するポリエステル短繊維は、単繊維繊度が0.5〜5.0デシテックスの範囲、より好ましくは0.7〜4.5デシテックス、更に好ましくは1.0〜4.0デシテックスの範囲である。繊維の断面形状は特に限定されず中実丸断面の他、扁平断面、三角断面その他多葉断面の採用も可能であるし、中空断面も包括される。より好ましいのは中実丸断面である。また短繊維繊度が0.5デシテックス未満ではベース基材としての力学的強度に乏しく、研磨シートとしてあまり好ましくない。また5.0デシテックスを超過するものとなればベース基材として強度面では好ましいものとなるが、曲げ難く粗硬なものになってしまうので、研磨時のスクラッチを生じさせる恐れもあり、あまり好ましくない。
該ポリエステル短繊維の繊維長は50〜76mmの範囲であることがカード通過性や繊維間の絡合性、得られたポリエステル不織布の強度の面で好ましく、絡合状態が強固となるために素抜け等が生じ難く、施拭面の汚染等を予防する上でも好ましい。繊維長が50mm未満では、不織布の目付や厚みにもよるが、ニードリングの際に表面付近の繊維が裏面まで到達し難く不織布シートの剥離が生じやすいのであまり好ましくない。また76mmを著しく超過する範囲では不織布ウェッブ表面に微細凹凸を形成し易く均一な不織布シートを得難くなりあまり好ましくない。
本発明の研磨シートは上記により得られたポリエステル不織布に、例えば、スチレンブタジエン共重合体やニトリルブタジエン共重合体、ポリウレタンエラストマーのような伸縮性のある重合体を含浸させ、該樹脂を繊維間空隙に充填させることによりベースとなるポリエステル不織布シート(中間製品)を得、該不織布シートの表面を平坦均一に処理した後に表面に銀面層を構成、均一に精密研削して最終製品を得ることができる。
中間製品となるポリエステル不織布の樹脂含浸には、例えば、公知のパッダーマングル装置等を用いて、該ポリエステル不織布を乾燥状態のまま樹脂溶液に浸漬し、マングルにて余分な樹脂溶液を圧搾除去した後、樹脂溶液の溶媒成分を揮発除去させると共に共重合、高次元架橋反応を促進させることができる。次に少なくとも表面を熱ローラーで加熱成型、及び/又は精密研削して微細凹凸を矯正し、ベースとなるポリエステル不織布シート(中間製品)を得る。精密研削にはサンドペーパーの番手として#100番手以上、好ましくは#120〜240番手程度のものを採用することで微細凹凸を矯正する。該加熱成型及び研削は表面、裏面共に実施することが更に好ましい。
次いで、例えば、ポリウレタンエラストマーを上記のポリエステル不織布シート(中間製品)表面に湿式コートし、次いで該ポリウレタンエラストマーからなる銀面表面を精密バフ研磨してスエード様表面を形成させるものであるが、ポリウレタンエラストマーを溶解する有機溶媒としてジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどポリウレタンエラストマーを溶解し且つ水との混合性もよい溶媒を選択し、使用することができる。
ポリウレタンエラストマーとしては一般的に有機ジイソシアネート、ポリオール類、及びジアミン類など鎖延長剤を用いて生産されるものである。有機ジイソシアネートとしてはジフェニルメタンー4,4'―ジイソシアネート、トリレンー2,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンー4,4'−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、又はこれらの混合物が好ましく例示される。
またポリオール成分としてはポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンブチレンアジペートグリコール、ポリペンタメチレンアジペートグリコール等のポリエステルポリオール類や、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類、又はラクトン類を開環重合させたポリカプロラクトン類等の分子両末端に水酸基を導入したポリオール類、又はこれらの混合物が好ましく例示される。
鎖延長剤としてはエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等のジアミン類等が例示される。また必要に応じて上記ポリウレタンエラストマーにポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアクリロ二トリル等々を混合させてもよいし、酸化防止剤や平滑剤、各種安定剤等々の成分を混合させてもよい。
ポリウレタンエラストマーを上記の溶媒に溶解しポリウレタンエラストマー溶液となし、コート用に供するが、溶液のエラストマー固形分濃度は10〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である。エラストマー溶液の固形分濃度が10重量%未満では溶液粘度が低いためにコート層の厚さが均一なものになりづらく、研磨パッドとして好ましいものにはなりにくいのであまり好ましくない。また固形分濃度が50重量%を超過する範囲では、逆に溶液粘度が高くなり、樹脂塗布の際の樹脂ロスが大きくコスト的にあまり好ましくない。
該湿式コートには、例えば、ナイフロールコーターやフローティングナイフ、コンマコーター、キスロールコーターなど公知のコーティング装置を用いて、樹脂溶液をポリエステル不織布シート(中間製品)表面に塗布し、引き続き水性液体中で水/溶媒交換によって浴中凝固させることができる。浴中凝固工程にて処理する樹脂溶液の溶媒分率、固形分の分率や水浴温度、処理時間、浴温などを適宜制御、調整して多孔質銀面層を得る。細かい微細孔を得る為には樹脂溶液の固形分の分率を大きくすることが好ましいが、前記のようにあまり固形分の分率が大きくし過ぎてしまうとコスト面のみならず、該銀面層の硬度が高くなってしまい適度なクッション性を得にくくなり、被研磨面にスクラッチなどを形成させやすくなってしまうので、あまり好ましくない。
ポリウレタンエラストマー溶液をベース基材(ポリエステル不織布シート(中間製品))表面に、例えば、湿式塗布して銀面層を得た後、均一に表面をバフ掛けするが、バフ掛けに使用するサンドペーパーの番手としては#100番手以上、好ましくは#150〜320番手、更に好ましくは#200〜320番手の範囲のものを使用し表面銀面層の研削を行ない、スエード調の触感を与える、よりファインなスエード調の触感を与えることによって精密な研磨が可能となる。該研削後はポリウレタンエラストマー樹脂からなる研削屑を洗浄、高圧空気噴射等々により除去しておくことが好ましい。
本発明の研磨シートに用いるベース基材は厚さ0.7〜2.5mmのポリエステル不織布であることが好ましい。ポリエステル不織布の厚さが0.7mm未満であると樹脂溶液塗布時及び凝固時に皺が入りやすく、塗布斑が生じやすいので、研磨シートとしてあまり好ましくない。また、曲げ変形や剪断変形による折れ、よじれが製品の研磨工程で生じやすくなり、均一な研磨が困難となるのであまり好ましくない。また厚さが2.5mmを超過するものは曲げ剛性が高いために研磨面に歪みを生じ難く均一な研磨に適した研磨シートとなるが、厚みが大きくなる為に研磨シート材の巻取りがし難くなるのであまり好ましくなく、製品重量が大きくなってしまい輸送コストなどの観点からも好ましいとは言えない。
また研磨シートの表面は適度の濡れ性を有することが好ましい。粒状研磨剤(砥粒)を含有した研磨用スラリーを垂らしながら被研磨面を研磨する工程においては該研磨用スラリーが研磨シート表面にすばやく均一に拡散することが好ましい。研磨用スラリーは水性液体に分散剤や粒状研磨剤等々を混合したサスペンション(懸濁液)であり、研磨表面の濡れ性が悪いと、研磨面及び被研磨面間に薄い水膜が出来てしまい均一な研磨ができづらくなりあまり好ましくない。濡れ性は表面接触角で評価することが出来る。20℃×65%RH、気圧1013hPaの標準状態において研磨面(多孔質銀面層)上に蒸留水を1滴滴下した際の表面接触角が初期120°以下、好ましくは110°以下であり、水滴消失までの時間(即ち、接触角が0°になるまでに要する時間)が60秒以下、より好ましくは50秒以下、更に好ましくは45秒以下である。
表面接触角が初期120°を著しく超過すると水滴拡散・消失までに要する所要時間が大幅に掛かり研磨面及び被研磨面間に薄い水膜が出来やすく均一な研磨が出来づらくあまり好ましくない。水滴消失までの所要時間が60秒を著しく超過する場合にも上記と同じく研磨面及び被研磨面間に薄い水膜が出来やすく均一な研磨が出来づらくあまり好ましくない。表面の濡れ性を向上させるには表面の粗度を上げたり、微細孔の孔径拡大により実現が可能であるが、研磨面の表面粗度を上げることは精密な研磨を行なう上で相反するものであり、微細孔の孔径拡大も上述のように粒状研磨剤(砥粒)を把持し難くしてしまう為、被研磨面を均一に研磨しづらくなりあまり好ましくない。表面の粗度を上げることなく濡れ性を向上させ、細かな微細孔を均一に形成させることが好ましい。
以下実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。尚、本文中及び実施例中の特性値は下記測定方法に基づき評価したものである。また言うまでもないが本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(接触角測定)
気圧1013hPa、環境温湿度20℃×65%RHの雰囲気中で協和界面科学社製接触角測定装置CAX−150型を使用し、液温10℃の蒸留水を1滴、研磨シート表面に滴下し、水滴滴下直後の表面接触角及び水滴消失(表面接触角0°)までに要する時間をオンライン計測した。尚、画面上において水滴の右側左側の表面接触角がそれぞれ異なる為、両者の平均値を算出して特性値とした。試行回数5回の平均値をもって表面接触角とした。
(ポリエステル不織布の厚み測定)
環境温湿度20℃×65%RHの雰囲気中で尾崎製作所社製PEACOCKダイヤルシックネスゲージを用いてポリエステル不織布の厚み計測を実施した。測定箇所数5箇所の平均値をもってポリエステル不織布の厚みとした。
(微細孔の孔径測定)
日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6060型を使用し、研磨シートの表面観察を実施した。拡大倍率200倍の表面写真を5箇所撮影(5枚)し、視野中における全微細孔の内、孔径50μmφ以下のものの割合を目視確認した。上記5枚の平均値をもって全微細孔における孔径50μMφの割合を算出した。
(ガラスの研磨評価)
研磨機に研磨シートを装着し、ガラス表面の精密研磨を実施した。研磨用スラリーとしては二酸化珪素微細粉体を水性液体に分散懸濁させたものを研磨シート表面に滴下しつつガラスの被研磨面を押し当てながら30個研磨した。研磨後のガラス被研磨面を目視観察し、スクラッチが確認されたガラスの割合を求め、下記基準に基づいて評価した。
◎ : 5%未満
○ : 5〜10%
△ : 10〜50%
× : 50%以上
(実施例1)
ポリエステル短繊維(東洋紡績製1.7デシテックス丸断面、カット長51ミリ、東洋紡エステル(東洋紡エステル))を公知のカード機を用いて短繊維ウェッブ(シート)を作成しウェッブの繊維配列方向が直行配列となるように積層した後、ニードルパンチによって短繊維間を絡合一体化させポリエステル不織布を作成した。得られたポリエステル不織布の厚みは2.3mmであった。次いでスチレンブタジエン共重合体エマルション水溶液に含浸させて該溶液を充分にピックアップさせた後、加熱し架橋反応を促進させ充分に固化させた。
次いで表面温度100℃の加熱ローラーで表面及び裏面を処理した後表面及び裏面を#120番手のサンドペーパーと#160番手のサンドペーパーで研削処理してポリエステル不織布シート(中間製品)を得た。
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)をポリオール成分として、ジオール成分としてジフェニルメタンー4,4'−ジイソシアネート、鎖延長剤としてトリメチレンジアミンをジメチルホルムアミド(DMF)中で溶液重合させて樹脂固形分濃度が30重量%のポリウレタンエラストマー溶液とし、該ポリウレタンエラストマー溶液100重量部にカーボンブラック粉末4重量部、ジメチルホルムアミド(DMF)83重量部、ステアリルアルコール3重量部を加えて銀面ポリウレタン塗布液を得た。
得られた塗布液を上記ポリエステル不織布シート(中間製品)にナイフロールコーターで700g/m2塗布し、浴温35℃の凝固水槽中に浸漬し凝固させた後、温水を通じ十分に脱溶媒させた後、雰囲気温度が150℃となる乾燥機中で乾燥した。次いで#120番手のサンドペーパーを用いて粗研削、#180番手のサンドペーパーを用いて中間研削、#200番手のサンドペーパーを用いて最終仕上研削を実施し高圧空気流処理及び流水処理を十分に実施してポリウレタンエラストマーからなる研削屑を除去して研磨シートを得た。
得られた研磨用シートの非塗工面(ポリウレタンエラストマー塗布面の反対面)に両面接着テープを取りつけ、所定の形状にカットし研磨装置に装着した後、ガラスの研磨に供した。被研磨面のスクラッチ発生も少なく、均一且つ安定な研磨が出来た。結果を表1に纏めた。
(実施例2)
ポリエステル短繊維(東洋紡績製1.7デシテックス丸断面、カット長51ミリ、東洋紡エステル(登録商標))を公知のカード機を用いて短繊維ウェッブ(シート)を作成しウェッブの繊維配列方向が直行配列となるように積層した後、ニードルパンチによって短繊維間を絡合一体化させポリエステル不織布を作成した。得られたポリエステル不織布の厚みは1.5mmであった。次いでスチレンブタジエン共重合体エマルション水溶液に含浸させて該溶液を充分にピックアップさせた後、加熱し架橋反応を促進させ充分に固化させた。
次いで表面温度100℃の加熱ローラーで表面及び裏面を処理した後表面及び裏面を#120番手のサンドペーパーと#160番手のサンドペーパーで研削処理してポリエステル不織布シート(中間製品)を得た。
次いで実施例1で用いたポリウレタンエラストマー溶液100重量部にカーボンブラック粉末4重量部、ジメチルホルムアミド(DMF)78重量部、ステアリルアルコール3重量部を加えて銀面ポリウレタン塗布液を得た他は実施例1同様の方法で研磨シートを得た。得られた研磨用シートの非塗工面(ポリウレタンエラストマー塗布面の反対面)に両面接着テープを取りつけ、所定の形状にカットし研磨装置に装着した後、ガラスの研磨に供した。被研磨面のスクラッチ発生も少なく、均一且つ安定な研磨が出来た。結果を表1に纏めた。
(比較例1)
ポリエステル短繊維(東洋紡績製1.7デシテックス丸断面、カット長51ミリ、東洋紡エステル(登録商標))を公知のカード機を用いて短繊維ウェッブ(シート)を作成し該ウェッブをニードルパンチによって短繊維間を絡合一体化させポリエステル不織布を作成した。得られたポリエステル不織布の厚みは0.6mmであり繊維の絡合性は良好であるが、薄くニードルリングの痕跡がはっきりと残存しているものであった。
次いでスチレンブタジエン共重合体エマルション水溶液に含浸させて該溶液を充分にピックアップさせた後、加熱し架橋反応を促進させ充分に固化させた。
次いで表面温度100℃の加熱ローラーで表面及び裏面を処理した後表面及び裏面を#120番手のサンドペーパーと#160番手のサンドペーパーで研削処理してポリエステル不織布シート(中間製品)を得た。
次いで実施例1で用いたポリウレタンエラストマー溶液100重量部にカーボンブラック粉末4重量部、ジメチルホルムアミド(DMF)78重量部、ステアリルアルコール3重量部を加えて銀面ポリウレタン塗布液を得た他は実施例1同様の方法で研磨シートを得た。
得られた研磨用シートの非塗工面(ポリウレタンエラストマー塗布面の反対面)に両面接着テープを取りつけ、所定の形状にカットし研磨装置に装着した後、ガラスの研磨に供した。ベースとなるポリエステル不織布シートの厚みが小さい為、研磨の際の適度なクッション性が得難く、被研磨面にスクラッチが散見されるものが多数あった。また研磨時の変形(よじれ、皺など)が生じやすく研磨シートとしては好ましいものにはならなかった。
(比較例2)
実施例1で用いたポリウレタンエラストマー溶液100重量部にカーボンブラック粉末4重量部、ジメチルホルムアミド(DMF)203重量部、ステアリルアルコール3重量部を加えて銀面ポリウレタン塗布液を得た他は実施例1同様の方法で研磨シートを得た。ポリウレタンエラストマー溶液の粘度自体が低く均一な塗布が困難であったばかりか、得られた研磨面表面微細孔の平均孔径が大きくなってしまい研磨用スラリーの研磨砥粒の強固な担持が出来ず、微細孔内で該研磨砥粒が移動してしまい、スクラッチの発生が顕著であった。結果を表1に纏めた。
Figure 2007196336
本発明の不織布研磨シートは、光学ガラスレンズや半導体用フォトマスク、液晶ディスプレイ用フォトマスク、ハードディスクドライブ用ガラスディスクなどの超精密研磨用の研磨シートとして好適に使用される。研磨層表面の均一性に優れ、適度な曲げ剛性を有するので、研磨時の歪みやよじれ変形を生じ難く、均一な研磨が可能となる。また表面の濡れ性に優れると共に研磨用スラリーに含有する粒状研磨剤(砥粒)を担持するに適した表面微細孔を形成させたため、精密な研磨が可能である。

Claims (3)

  1. 研磨面の表面に微細孔を多数形成させた多孔質銀面層を有する研磨シートであって、前記微細孔のうち孔径50μmφ以下の微細孔が表面に存在する全微細孔の85%以上を占め、該多孔質銀面層を塗布するベース基材が厚さ0.7〜2.5mmのポリエステル不織布であることを特徴とする不織布研磨シート。
  2. 多孔質銀面層が、ポリウレタンエラストマーの有機溶媒溶液を塗布した後に水系凝固液中で凝固させ、乾燥後に研削加工して得られるものであり、該多孔質銀面層上に蒸留水を滴下した際の表面接触角が初期120°以下、水滴消失までに要する時間が60秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の不織布研磨シート。
  3. ポリエステル不織布がポリエステル短繊維不織布であり、ポリエステル短繊維の単繊維繊度が0.5〜5.0デシテックスの範囲、繊維長が50〜76mmの範囲であり、ニードルパンチ法により絡合一体化されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布研磨シート。
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