JP2005054072A - 両面粘着シート及び研磨布積層体 - Google Patents

両面粘着シート及び研磨布積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】動的圧縮貯蔵弾性率に著しい変化を発生せず、研磨前に研磨布積層体を研磨スラリーに長時間浸漬する必要もなく、研磨中に研磨スラリーによる膨潤変形を生じることのない研磨布積層体を形成可能な両面粘着シート、及び研磨布積層体を提供する。
【解決手段】両面粘着シート10は、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率で除算した損失係数に変曲点を有しない。研磨布積層体は、前記の両面粘着シート又はその粘着剤層のいずれか一方に積層されている粘着剤層を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、両面粘着シート及び研磨布積層体に関し、詳しくは研磨布を研磨装置に貼着するために使用される両面粘着シート及び研磨布積層体に関し、更に詳しくは半導体装置の層間絶縁膜の平坦化や金属配線の形成工程(主として化学機械研磨[Chemical Mechanical Polishing]以下CMPと称す)に適応される研磨布の固定かつ緩衝材として使用される両面粘着シート及び研磨布と両面粘着シートとの積層体に関するものである。
近年、半導体デバイスの回路パターンを半導体ウェーハ上に反映させるため、フォトレジスト樹脂を半導体ウェーハに塗布し、フォトマスクを用いて該レジスト樹脂を焼き付け、エッチング処理工程を経て回路パターンを形成させる方法が主流となってきているが、デバイスの高速化、低容積化を図るための集積化技術が進歩し、これにつれて回路配線パターンも0.13μm以下の微細なパターンを安定して描画できることが望まれてきている。
ところが、半導体ウェーハ全面には「うねり」と称される緩やかな厚さバラツキ、すなわち標高差が存在し、その標高差が2〜4μm以上になる場合もある。このうねりは少なく、小さいことが望ましいが、工業レベルでは生産性とコストとの兼ね合いで、うねりの解消は満足できるものではないことが現状である。また、回路パターンの都合上、局所的に1μm以下程度であるが厚さが異なる段差を生じる可能性がある。これらのうねりや段差部分が存在するとフォトマスクによる回路パターン形成時に焦点ボケやにじみを生じて、回路パターンが正確に反映されず、半導体デバイス回路の断線や短絡等の原因となり、信頼性を著しく劣らせてしまう。
この問題の解決策としてCMPが提案されている。CMP技術では、膜厚分布を一定に保ち、膜表面の微小な凹凸を除去するために、二層構成の研磨布が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この二層構成の研磨布において、下層は半導体ウェーハ自体のそりやうねりによる研磨代の不均一性を解消するためにゴム弾性体とし、表層は半導体デバイス工程で生じた表面の比較的微細な凹凸を除去して平坦化するために硬質クロスが使用されている。
前記の非特許文献1などに提案されているような二層構成の研磨パッドに使用されている下層のゴム弾性体には一般的にポリウレタン含浸不織布が使用されているが、これは通気性が高く、研磨に用いられるスラリー水分を吸収・膨潤し、部分的もしくは全体的にゴム弾性(動的圧縮貯蔵弾性率)の変化が急激になりやすい(以下、まとめて膨潤変形ともいう)。また、膨潤変形に伴い、動的圧縮貯蔵弾性率が低下するため、均一研磨及び精密研磨の要求には応えられない。
そこで、研磨前に予め研磨スラリーに二層構成の研磨パッドを長時間浸漬し、ポリウレタン含浸不織布を膨潤変形させておき、その後の研磨中に膨潤変形が生じないようにしておく等のわずらわしさがあった。
この膨潤変形の解決策として、表層硬質材料と下層ポリウレタン含浸不織布との間に防水性材料層を施すことが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、研磨布積層体の側面からのスラリー浸入は防ぐことができず、不完全なものであった。
渡邊純二他、表面基準ポリシングにおけるパッド構成、精密工学会春季学術講演会論文集,1997年,P.183 特開平11−156701号公報
本発明は、うねりを持った半導体ウェーハや回路形成過程で局所の段差が生じたウェーハでも、そのうねりや段差に沿ってウェーハ全面を、均一に高低差を緩和するように研磨することができる研磨布固定粘着テープの提供を目的とする。より具体的には、動的圧縮貯蔵弾性率に著しい変化を発生させず、研磨前に研磨布積層体を研磨スラリーに長時間浸漬する必要もなく、研磨中に研磨スラリーによる膨潤変形を生じることのない研磨布積層体を形成し得る研磨布固定粘着テープを提供することが本発明の目的である。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、特定の厚さレンジと、特定の動的圧縮貯蔵弾性率と、特定の損失係数とを有する両面粘着シートを用いることによって、研磨作業に致命的な振動を発生させず、良好な研磨特性を有する両面粘着シートを提供することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、
1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率(Ec”)を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した損失係数(tanδ)に変曲点を有しないことを特徴とする、両面粘着シートに関する。前記の測定条件は、例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件である。
本発明の前記両面粘着シートの好ましい態様によれば、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率(Ec”)を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した損失係数(tanδ)に変曲点を有しないポリウレタン発泡体シートの両表面に粘着剤層を有する。前記の測定条件は、例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件である。
本発明による前記両面粘着シートの更に好ましい態様においては、ポリウレタン発泡体シートの金属イオン含有率が、5000ppm以下である。
本発明による前記両面粘着シートの更に好ましい態様においては、破断強度が40MPa以上500MPa以下の補強シートを、前記粘着剤層のいずれか一方と発泡体シートとの間に有する。
本発明による前記両面粘着シートの更に好ましい態様においては、補強シートの金属イオン含有率が、5000ppm以下である。
本発明による前記両面粘着シートの更に好ましい態様においては、粘着剤層の金属イオン含有率が、5000ppm以下である。
また、本発明は、前記両面粘着シートと、その粘着剤層のいずれか一方に積層されている研磨布とを含むことを特徴とする、研磨布積層体にも関する。
本発明の両面粘着シートを用いて研磨布を研磨装置に貼着し、被研磨体を研磨することによって、研磨中に研磨スラリーによる膨潤変形を生じることなく、ウェーハ全面を均一に、高低差を緩和するように研磨することができる。
本発明の詳細についていくつかの好ましい実施の形態を挙げて説明する。
但し、本発明が以下の実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
本発明の両面粘着シートは、前記のとおり、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件〔例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件〕における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率(Ec”)を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した損失係数(tanδ)〔例えば、前記の12種の測定条件における同一測定条件での動的圧縮損失弾性率(Ec”)を動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した損失係数(tanδ)〕に変曲点を有しないことを特徴とする、両面粘着シートである。ここで、両面粘着シートとは、両面粘着テープ、両面粘着フィルムとも呼ばれるものであり、基材層少なくとも1つと粘着材層少なくとも2つとを含む。
本明細書において、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件とは、以下の条件A〜Lを意味する:
条件A:0.1Hz及び30℃、条件B:0.1Hz及び40℃、条件C:0.1Hz及び60℃、条件D:0.1Hz及び80℃、
条件E:1Hz及び30℃、条件F:1Hz及び40℃、条件G:1Hz及び60℃、条件H:1Hz及び80℃、
条件I:10Hz及び30℃、条件J:10Hz及び40℃、条件K:10Hz及び60℃、条件L:10Hz及び80℃。
本明細書において損失係数(tanδ)の「変曲点」は、例えば、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件〔例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件〕での動的圧縮損失弾性率(Ec”)を動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した値(Ec”/Ec’)、すなわち損失係数(tanδ)に関するものである。従って、或る特定の周波数における特定温度範囲内での温度変化に応じて変化する損失係数(tanδ)に、「変曲点」が現れないことを意味する。
なお、本発明の両面粘着シートにおいて好適に用いられる発泡体シートでは、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件〔例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件〕で、前記の損失係数(tanδ)が温度上昇に伴って低下するか、あるいは少なくとも上昇しない。
本発明の両面粘着シートにおいて好適に用いられる発泡体シートは、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が0以上100μm以内である。発泡体シートの1m2内の最大厚みと最小厚みとの差は、0が最も望ましいが現実的には許容範囲があり、100μmよりも大きいと、被研磨体を一定の均一な厚みに研磨することが難しくなりやすい。つまり、圧力を掛けて研磨する際に厚みの厚い部分と薄い部分で圧力差が生じるからである。このため、研磨精度を必要とする場合は、発泡体シートの1m2内の最大厚みと最小厚みとの差は、0以上100μm以内であることが好ましく、80μm以内であるものがより好ましく、60μm以内であるものが更に好ましい。
また、発泡体シートの1m2内の平均厚さは、研磨時の両面粘着シートに対する水平方向の剪断力によって引き起こされる研磨特性を劣化させるずり変形に抗するため、150μm以上2.4mm以下であることが好ましい。
両面粘着シート又は発泡体シートの厚さの測定は、プローブ直径10mm、印加荷重50g/cm2において、1μm桁表示が可能なデジタル計測器により行われ得る。
また、本発明の両面粘着シートにおいては、破断強度が40MPa以上の補強シートを、発泡体シートと一方の粘着剤層との間に設ける構成としてもよい。
また、両面粘着シート又は発泡体シートは、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件〔例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の測定条件〕における動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)が5×105Pa〜1×107Pa、好ましくは8×105Pa〜6×106Paである。
動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)とは、複素弾性率の実数部であり、単位の正弦波のひずみを加えたときの同位相の応力成分の大きさを表し、以下の式(A):
Figure 2005054072
〔式中、Ec’は、動的圧縮貯蔵弾性率(MPa)であり、Ec *は、動的圧縮複素弾性率(MPa)であり、そしてδは、損失角(rad)である〕で計算することができる。
なお、動的圧縮複素弾性率(Ec *)は、以下の式(B):
Figure 2005054072
〔式中、Ec *は、動的圧縮複素弾性率(MPa)であり、Lは、試験片の長さ(mm)であり、bは、試験片の幅(mm)であり、tは、試験片の厚さ(mm)であり、ΔFは、動的荷重(N)であり、そしてΔLは、動的変位(mm)である〕により計算することができる。
また、動的圧縮損失弾性率(Ec”)とは、複素弾性率の虚数部であり、単位の正弦波のひずみを加えたときのひずみよりπ/2だけ位相が進んだ応力成分の大きさを表し、以下の式(C):
Figure 2005054072
〔式中、Ec”は、動的圧縮損失弾性率(MPa)であり、Ec *は、動的圧縮複素弾性率(MPa)であり、そしてδは、損失角(rad)である〕により計算することができる。
前記の周波数範囲及び温度範囲の測定条件(例えば、前記の12種の測定条件)において、両面粘着シート又は発泡体シートの動的圧縮貯蔵弾性率が5×105Pa未満であると、両面粘着シート又は発泡体シートが柔軟になることにより剪断変形を起こし易くなり、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向が現れる。一方、両面粘着シート又は発泡体シートの動的圧縮貯蔵弾性率が1×107Paを越えると両面粘着シート又は発泡体シートが硬くなる傾向が現れ、被研磨体表面の微細な段差及び「うねり」に追随しないで標高の高い部分を優先的に研磨するので、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向が現れる。
本発明による両面粘着シート又は発泡体シートの弾性率測定を圧縮モードで測定して規定する目的は、実際の研磨状況と近似させるためである。また、周波数条件を、例えば、前記の3段階で設定した理由は、研磨装置使用者や研磨対象によって研磨条件は異なり、その研磨条件のうちの回転数と関連させるためで、例えば、周波数条件1Hzは、定盤やベルト回転数60rpmを想定している。これにより研磨条件が異なっていても、研磨布積層体の圧縮挙動の傾向を推定することができる。
また、本発明による両面粘着シート又は発泡体シートは、前記の周波数範囲及び温度範囲における個々の測定条件、例えば、3種の周波数条件(0.1Hz、1Hz、及び10Hz)と4種の温度条件(30℃、40℃、60℃、及び80℃)との組み合わせからなる12種の個々の測定条件において、動的圧縮損失弾性率(Ec”)を動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)で除算した値(Ec”/Ec’)である損失係数(tanδ)に変曲点を有しない。損失係数に変曲点が存在するとは、即ち、両面粘着シート又は発泡体シートを構成する層に、固体相から流動相に変化する層が存在することを意味し、圧縮変形からの回復が遅くなるか回復しなくなり、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向にある。
また、研磨工程中に両面粘着シート又は発泡体シートから金属イオンが溶出すると、被研磨体の研磨表面を汚染して、金属や半導体の固有の電気特性を変化させたり、配線回路形成を阻害したりするので、本発明の両面粘着シート又は発泡体シートから金属イオンが溶出しないか、又は本発明の両面粘着シート又は発泡体シートが、実質的に金属イオンを含有しないことが好ましい。
つまり、両面粘着シートを構成する発泡体シートや粘着剤層や補強シートから金属イオンが溶出しないか、又は発泡体シートや粘着剤層や補強シートが、実質的に金属イオンを含有しないことが好ましい。
本発明でいう「金属イオン」とは、代表的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、タングステンの13種の金属のイオンである。上記金属イオンの総量は、試料(両面粘着シートや発泡体シート)を硝酸と硫酸による酸分解法によって分解した後、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置にて検出することができる。本発明による両面粘着シートに含まれる上記金属イオンの総量は、15000ppm以下であることが好ましく、3000ppm以下であることがより好ましく、1500ppm以下であることが更に好ましい。また、発泡体シートに含まれる上記金属イオンの総量は5000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることが更に好ましい。
更に、本発明で用いる発泡体シートは、25%圧縮硬さが0.1〜1.0MPaであることが好ましく、0.2〜0.5MPaであることがより好ましい。
本発明でいう「発泡体シートの25%圧縮硬さ」とは、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境に24時間以上静置した後、該発泡体シートを30mm×30mmに打ち抜き、約10mmの厚さとなるように複数のサンプルシートを重ね合わせ、前記と同じ温度及び湿度環境下にて前記重ね合わせたサンプルシート全面を50mm/分の速度で平行に圧縮し、元の厚みから25%圧縮させた際の応力をいう。
発泡体シートの25%圧縮硬さが、0.1MPa未満だと両面粘着シートが柔軟になり剪断変形を起こしやすいので、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向が現れる。一方、発泡体シートの25%圧縮硬さが、1.0MPaを越えると両面粘着シートが硬くなる傾向にあるので、被研磨体表面の微細な段差及び「うねり」に追随しないで標高の高い部分を優先的に研磨するので、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向が現れる。
本発明において使用される発泡体シートとしては、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは種々の方法で得ることができる。これらの中でも目的とする圧縮応力減衰率や硬さ、厚み精度が得やすいので、ポリウレタンが好ましい。
本発明において好適に使用されるポリウレタン発泡体シートについて説明する。ポリウレタンは、イソシアネート類と水酸基を有する化合物とを反応させて製造するが、この際適当な条件で水を添加すると炭酸ガスが発生する。この炭酸ガスをよく攪拌して細かく材料中に分散させ、材料が硬化するまで材料から散逸しないようにしておくと、ポリウレタンの発泡材料を得ることができる(プラスチック成形加工便覧、第4版、全日本プラスチック成形工業連合会編)。
ポリウレタン発泡体は、従来公知の一般的な方法でシート状に成形することができる。例えば、特開昭51−67396号公報、又は特開昭53−6365号公報には、押し出しダイから工程フィルム上に、反応することによってポリウレタンを形成し得る未発泡の組成物を展開し、発泡させつつオーブン内を通過させて硬化させる方法が提案されている。
工程フィルムに剥離処理を施した場合には、シート形成後に工程フィルムを剥離してウレタンのみの発泡体シートを得ることができる。また、工程フィルムに剥離処理を施さない場合には、ポリウレタンの発泡、硬化の過程で、ポリウレタンと工程フィルムとが強固に結合するので、この工程フィルムを後述する補強シートとして利用することができ、発泡体シートと補強シートとの間には格別接着剤層もしくは粘着剤層を設けなくても両シートを積層することができる。
また、剥離処理してなる工程フィルムを使用する場合、1枚の工程フィルムの剥離処理面に、上記組成物を展開して発泡、硬化させたり、2枚の工程フィルムの剥離処理面間に上記組成物を挟み込んでから発泡、硬化させたりする方法があるが、後者の方が好ましい。すなわち2枚の工程フィルムを用いてポリウレタン発泡体シートを形成し、両工程フィルムを剥がすと、シート両面に滑らかなスキン層を有する発泡体シートが形成される。このスキン層は、接着剤層もしくは粘着剤層を積層した場合、層間の密着性向上に効果を奏し、更に厚み精度が制御し易いため、2枚の工程フィルムを用いることが好ましい。
ウレタン発泡体シートの成形に使用する工程フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の平滑性と100℃程度の熱を数分間かけても溶融切断しないような耐熱性とを有するフィルムが用いられる。
上記した発泡体シートの破断強度は一般に比較的小さいので(例えば、5MPa以下)、破断強度が40MPa以上の補強シートを、発泡体シートと一方の粘着剤層との間に設けることによって、両面粘着シートの強度を大きくすることができる。両面粘着シートの破断強度を大きくできると、例えば研磨後、研磨布ごと両面粘着シートを研磨装置から剥がしたり、又は研磨後、両面粘着シートから研磨布を剥がす際に、両面粘着シートを破損することなく剥がしたりし易くなる。
補強シートは、種々のプラスチックシートであることが好ましく、厚さ精度や耐熱性、耐薬品性、汎用性の観点から好ましくはポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
厚さは12〜250μmであることが好ましく、更に25〜100μmであることがより好ましい。
補強シートの破断強度は、40MPa以上500MPa以下であることが好ましく、100MPa以上300MPa以下であることがより好ましい。破断強度が40MPa未満であると、両面粘着シートの強度が不足する場合がある。
また、補強シートの金属イオン含有率は、5000ppm以下であることが好ましく、1500ppm以下であることがより好ましい。補強シート中の金属イオン含有率が5000を超えると、研磨スラリーへの溶出の可能性が高くなり、半導体ウェーハ汚染に繋がる場合がある。
なお、補強シートを有する場合、後述する図3〜図8に示す態様のように、両面粘着シートの積層断面構成は非対称となるが、本発明における動的圧縮弾性率測定は粘着シート全面を圧縮させるため、補強シートの位置には無関係となる。
本発明において用いる粘着剤層について説明する。
本発明の両面粘着シートは、例えば、CMP技術での研磨布と研磨装置との間に位置し、両者を貼着するために用いられるものであり、補強シートがある場合には、後述する図3〜図8に示す態様のように、積層断面構成が非対称となるので、
(A)補強シートを配置した側の面から遠い方の粘着剤層に研磨布を貼着し、補強シートを配置した側の面から近い方の粘着剤層を研磨装置に貼着する、
(B)補強シートを配置した側の面から遠い方の粘着剤層を研磨装置に貼着し、補強シートを配置した側の面から近い方の粘着剤層に研磨布を貼着する、等の形態が考えられるが、(A)の形態が好ましい。
(A)、(B)いずれの形態で使用するかによって、研磨布を貼着する側の粘着剤層、及び研磨装置に貼着する側の粘着剤層は適宜選択することができる。
例えば、(A)の形態で使用する場合には、補強シートを配置した側の面から遠い方の粘着剤層は、研磨布及び発泡体シートに貼着し得ることが必要であり、一方、補強シートを配置した側の面に近い方の粘着剤層は、補強シート及び研磨装置に貼着し得ることが必要である。これらの貼着特性は、発泡体シートの素材や表面状態、補強シートの素材や表面状態等を考慮して選択すればよい。
研磨布表面がスエード調の場合や、研磨布表面に不陸部が多く十分な接着面積を確保し難い場合には、両面粘着シートに研磨布を強固に接着させ難くなる。両面粘着シートに研磨布を強固に接着させる必要があるので、上記のような研磨布を用いる場合には、研磨布を貼着する側の粘着剤層の厚みを20〜150μmとして粘着力を向上させた両面粘着シートを用いることが好ましい。
また、研磨装置に貼着する側の粘着剤層は、剥がす際に粘着剤が残り難くなるようにするためには薄膜である方が有利であるので、厚みを5〜50μmとして再剥離性能を向上させることが好ましい。
また、粘着剤層は、貼着時及び研磨に使用する時の温度範囲において、ゴム状領域にあることが重要であり、JIS Z0237に規定する粘着テープ・粘着シート試験方法による180度引き剥がしの粘着力が50mN/25mm以上、室温における落下までの保持時間が60分以上であることが好ましい。
更に研磨後に、研磨布を両面粘着シートから、又は研磨布ごと両面粘着シートを研磨装置から剥がす場合には、剥離し易いことが好ましい。即ち、研磨の最中は強固に研磨布や研磨装置に付着し、その後は容易に剥離し得ることが好ましい。
また、粘着剤層の金属イオン含有率は、5000ppm以下であることが好ましく、1500ppm以下であることがより好ましい。粘着剤層中の金属イオン含有率が5000を超えると、研磨スラリーへの溶出の可能性が高くなり、半導体ウェーハ汚染に繋がる場合がある。
このような粘着剤層の形成に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられ、中でも粘着性能のバランスを確保し易いという点から、アクリル系粘着剤が更に好ましい。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明してきたが、本発明の両面粘着シートは、所望により発泡体シートと補強シートとの間に接着剤層を設ける構成としていてもよい。
本発明において用い得る補強シート結合用接着剤層は、発泡体シートと補強シートとの間に位置し、両層を相互に固定するための層であり、その厚みは5〜150μmであることが好ましい。
ところで粘着剤は感圧性接着剤とも呼ばれ、広義の概念では接着剤に含まれるものであるが、本発明でいう「補強シート結合用接着剤」は感圧性接着剤に限定されず、その他の接着剤、例えば、感熱性接着剤などを包含する任意の接着剤である。前記の補強シート結合用接着剤としては、前記の粘着剤層用と同様のものを使用することができ、また接着剤としては水系、溶剤系を問わず、溶媒乾燥による一般タイプからドライラミタイプまで、300mm/分による180度引き剥がし強度が50mN/25mm以上のものを使用することができる。
両面粘着シートを研磨布及び研磨装置に貼着するためには上記したように粘着剤層を用い得るのに対し、発泡体シートと補強シートとを相互に固定するための補強シート用接着剤層としては、感圧性接着剤の他、感熱性接着剤層などの任意の接着剤層も用いることができる。発泡体シートと補強シートとは、一旦相互に固定してしまえば剥離するという特別な要求はないので、接着剤層を介して固定することがきるのに対し、研磨装置側、研磨布側に位置する層には貼着後剥離するという要求もあるので、接着剤ではなく粘着剤で形成することが重要である。
また、本発明の両面粘着シートは、その粘着剤層面に剥離シートを積層した状態で供することができる。用いられ得る剥離シートには、両面を剥離処理した剥離シートと片面を剥離処理した剥離シートとがある。いずれの剥離シートも粘着剤層を被覆した後、粘着剤層と接する界面において容易に剥離シートを剥離し得ることが必要であり、かつ剥離シート上に粘着剤の残留がないことが要求される。ここでいう容易に剥離することが可能なレベルとは、一般的に180度引き剥がし粘着力が1N/25mm未満のものをいう。
剥離シートとして具体的には、ポリエチレンテレフタレートや配向したポリプロピレン等の各種プラスチックフィルム又は紙の上に、シリコーン系あるいは非シリコーン系の剥離剤を塗工したものを用いることができる。粘着剤層の厚み精度を確保するために、プラスチックフィルムをベースとした剥離シートを用いることが望ましい。
本発明の両面粘着シートの種々の態様を添付図面に沿って説明する。
図1(模式的断面図)及び図2(模式的断面図)に示す本発明の両面粘着シート(10)は、いずれも、発泡体シート1の両表面に粘着剤層2,2’を有する態様であり、図1では、一方の粘着剤層2は露出しており、もう一方の粘着剤層2’上に両面剥離シート4を設けた状態を示す。更に、図2では、両方の粘着剤層2,2’上に、片面剥離シート5,5’を設けた状態を示す。
更に、図3(模式的断面図)、図4(模式的断面図)、及び図5(模式的断面図)に示す本発明の両面粘着シート(10)は、前記の図1及び図2に示す態様に加え、いずれも、発泡体シート1と粘着剤層2’との間に補強シート3を有する態様であり、図3では、一方の粘着剤層2は露出しており、もう一方の粘着剤層2’上に両面剥離シート4を設けた状態を示す。また、図4では、逆に、一方の粘着剤層2上に両面剥離シート4を設け、もう一方の粘着剤層2’は露出した状態を示す。更に、図5では、両方の粘着剤層2,2’上に、片面剥離シート5,5’を設けた状態を示す。
図6(模式的断面図)、図7(模式的断面図)、及び図8(模式的断面図)に示す本発明の両面粘着シート(10)は、いずれも、発泡体シート1と、粘着剤層2’との間に補強シート3とを有し、更に、発泡体シート1と補強シート3との間に補強シート用接着剤層6を有する態様である。また、図6では、一方の粘着剤層2は露出しており、もう一方の粘着剤層2’上に両面剥離シート4を設けた状態を示す。また、図7では、逆に、一方の粘着剤層2上に両面剥離シート4を設け、もう一方の粘着剤層2’は露出した状態を示す。更に、図8では、両方の粘着剤層2,2’上に、片面剥離シート5,5’を設けた状態を示す。
図1〜図8に示すように、前記剥離シートは、両面粘着シートと剥離シートの機能が損なわなければどのように配置しても構わない。従って、例えば、図1及び図2に示されるように、発泡体シート1及び粘着剤層2,2’からなる両面粘着シートに剥離シートを設ける場合、両面剥離シート4もしくは片面剥離シート5,5’を両面粘着シート(10)の片面もしくは両面に配置する構成としてもよい。また、図3〜図5に示されるように、発泡体シート1、粘着剤層2,2’、及び補強シート3からなる両面粘着シート(10)に剥離シートを設ける場合も、両面剥離シート4もしくは片面剥離シート5,5’を両面粘着シートの片面もしくは両面に配置する構成としてもよい。更に、図6〜図8に示されるように、発泡体シート1、粘着剤層2,2’、補強シート3、及び補強シート用接着剤層6からなる両面粘着シート(10)に剥離シートを設ける場合、両面剥離シート4もしくは片面剥離シート5,5’を両面粘着シートの片面もしくは両面に配置する構成としてもよい。
本発明の両面粘着シートのうち、図1及び図2に示すように発泡体シート1の両面側に粘着剤層2、2’が設けられてなる両面粘着シート(10)であって、補強シート3を有しない両面粘着シート(10)は、例えば以下に示す方法(イ)〜方法(ハ)のような方法で得ることができる。
方法(イ)
発泡体シート1の一方の面に粘着剤層2’を形成し、該粘着剤層2’の他方の面に両面剥離シート4を積層する。次いで、前記粘着剤層2’が接していない方の発泡体シート1の面に粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2の他方の面と両面剥離シート4の他方の面(粘着剤層2’が接していない方の面)とが接するようにロール状に巻き取る。
方法(ロ)
発泡体シート1の両面にそれぞれ粘着剤層2、2’を同時に形成し、一方の粘着剤層2’側に両面剥離シート4を積層しつつ、該粘着剤層2’が接していない方の両面剥離シート4と他の粘着剤層2とが接するように巻き取る。
方法(ハ)
片面剥離シート5の剥離処理面に粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2の他方の面に発泡体シート1を積層し、発泡体シート1の他方の面に粘着剤層2’を形成し、該粘着剤層2’の他方の面に片面剥離シート5’の剥離処理面を積層する。
前記の図6〜図8に示したように、補強シート3を有する両面粘着シート(10)は、例えば以下に示す方法(ニ)〜方法(ヘ)によって得ることができる。
方法(ニ)
補強シート3の一方の面に粘着剤層2’を形成し、該粘着剤層2’の他方の面に両面剥離シート4を積層する。次いで、前記粘着剤層2’が接していない方の補強シート3の面に補強シート用接着剤層6を形成し、該補強シート用接着剤層6の他方の面に発泡体シート1を積層する。次いで、該発泡体シート1の他方の面に粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2の他方の面と両面剥離シート4の他方の面(粘着剤層2’が接していない方の面)とが接するようにロール状に巻き取る。
方法(ホ)
補強シート3の一方の面に粘着剤層2’を形成し、該粘着剤層2’の他方の面に片面剥離シート5’の剥離処理面を積層する。次いで、前記粘着剤層2’が接していない方の補強シート3の面に補強シート用接着剤層6を形成し、該補強シート用接着剤層6の他方の面に発泡体シート1を積層する。次いで、該発泡体シート1の他方の面に粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2の他方の面に片面剥離シート5の剥離処理面を積層する。
方法(ヘ)
片面剥離シート5の剥離処理面に粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2の他方の面に発泡体シート1を積層し、発泡体シート1の他方の面に補強シート用接着剤層6を積層し、次いで該補強シート用接着剤層6の他方の面に補強シート3を積層し、該補強シート3の他方の面に粘着剤層2’を形成し、該粘着剤層2’の他方の面に片面剥離シート5’の剥離処理面を積層する。
剥離シート4、5、5’、発泡体シート1もしくは補強シート3上に各粘着剤を塗工する方法としては、例えばコンマコーター、ダイコーター、リップコーター、キスコーター、グラビアコーター等を使用して行う。コンマコーターを用いる場合、粘着剤の粘度は0.1〜100Pa・s程度が良好である。
本発明の両面粘着シートは、それ全体として、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μmよりも大きいと、被研磨体を一定の均一な厚みに研磨することが困難となる。すなわち、圧力を掛けて研磨する際に厚みの厚い部分と薄い部分で圧力差が生じるからである。このため、研磨精度を必要とする場合は、両面粘着シートの1m2内の最大厚みと最小厚みとの差は、80μm以内であることが好ましく、60μm以内であることがより好ましい。
また、本発明による両面粘着シートの1m2内の平均厚さは、それ全体として、研磨する際に圧力を掛けたときに所望する25%圧縮硬さを得ることと、両面粘着シートに対する水平方向の剪断力によって引き起こされるずり変形に抗するため250μm〜2.5mmであることが好ましい。なお、上記ずり変形は研磨特性を劣化させる。
両面粘着シートの厚さの測定は、プローブ直径10mm、印加荷重50g/cm2において、1μm桁表示が可能なデジタル計測器により行われ得る。
本発明による両面粘着シートの25%圧縮硬さは、それ全体として、0.1〜1.3MPaであることが重要であり、0.15〜0.7MPaであることが好ましい。両面粘着シート25%圧縮硬さが発泡体シートの25%圧縮硬さよりも硬くなるのは、次の理由による。両面粘着シートを構成する層は発泡体層と各々厚さを有する粘着剤層、補強シート層からなり、両面粘着シートを25%圧縮させると、発泡体の圧縮変形が他の層より早いため発泡体が25%以上圧縮されるためである。
ここでいう「両面粘着シートの25%圧縮硬さ」は、「発泡体シートの25%圧縮硬さ」と同様、両面粘着シートをJIS K 6400に記載される試験の一般的条件、即ち温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上静置した後、該両面粘着シートを30mm×30mmに打ち抜き、約10mmの厚さとなるようにシートを重ね合わせ、同温湿度環境下にて前記重ね合わせたシート全面を50mm/分の速度で平行に圧縮し、元の厚みから25%圧縮させた際の応力をいう。
発泡体シートと同様、両面粘着シートの25%圧縮硬さが、0.1MPa未満だと両面粘着シートが柔軟に成り剪断変形を起こしやすいので、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向にある。一方、1.3MPaを越えると両面粘着シートが硬くなり、被研磨体表面の微細な段差及び「うねり」に追随しないで標高の高い部分を優先的に研磨するので、被研磨体全面の表面膜厚を均一に研磨することが難しくなる傾向にある。
以上、両面粘着シートについて説明してきたが、本発明の別の態様として前記の両面粘着シートに研磨布が積層された研磨布積層体が提供される。研磨布としては、特に限定されることなく従来公知の研磨布を用いることができる。好ましくは前記研磨布としては、合成皮革スエード又はベロア、硬質ウレタン発泡体等を用いることができる。
この場合、前記研磨布は両面粘着シートに予め設けるように構成しても使用時に両面粘着シートに設ける構成としても構わない。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断らない限り、重量による。また、動的圧縮貯蔵弾性率(Ec’)の測定、及び損失係数(tanδ)の算出は、レオメトリック社製粘弾性測定装置RDS−IIを用いて実施した。
(実施例1)
本実施例では、図6に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤6/発泡体シート1/粘着剤層2からなる態様の両面剥離シート4に担持された両面粘着シート(10)を調製した。
すなわち、最初に、粘着性アクリル樹脂を含む粘着剤〔東洋インキ製造(株)製、金属イオン含有率=12ppm〕100部とイソシアネート誘導体系硬化剤〔東洋インキ製造(株)製〕3部とを攪拌混合した粘着剤組成物塗液をコンマコーターで乾燥膜厚30μmとなるように補強シート3となるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ=75μm、金属イオン含有率=14ppm)の全面に塗布し、粘着剤層2’を形成しつつ、巻き取り時に両面剥離処理してなるポリエチレンテレフタレート剥離シート4を該粘着剤層2’に0.3MPaの圧力でラミネートして、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート層3からなる粘着シート(C)を得た。
次に、粘着シート(C)の補強シート3側に前記と同様の粘着剤組成物塗液を同様の方法で同様の乾燥膜厚となるように全面塗布し、補強シート用接着剤層6を形成しつつ、巻き取り時に該補強シート用接着剤層6に、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1252μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が30μmの軟質ポリウレタン発泡体シート(1−1、金属イオン含有率=12ppm)を0.3MPaの圧力でラミネートして、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート層3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−1)からなる粘着シート(B)を得た。
最後に、ポリエチレンテレフタレート剥離シートを工程フィルムとして前記と同様の粘着剤組成物塗液を同様の方法で同様の乾燥膜厚となるように全面塗布し、粘着剤層2を形成しつつ、巻き取り時に該粘着剤層2に前記粘着シート(B)の発泡体シート(1−1)側を0.3MPaの圧力でラミネートした後、工程フィルムをはがし取り、図6に示すような剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−1)/粘着剤層2からなる粘着シート(A−1)を得た。この粘着シート(A−1)に関する12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)を表1に示す。また、この粘着シート(A−1)の1m2内の平均厚さは1417μmであり、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差は30μmであった。
(実施例2)
実施例1で用いた発泡体シート(1−1)の代わりに、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1312μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が46μmのウレタン樹脂発泡体シート(1−2、金属イオン含有率=13ppm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図6に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−2)/粘着剤層2からなる、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1477μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が47μmとなる粘着シート(A−2)を得た。
(比較例1)
実施例1で用いた発泡体シート(1−1)の代わりに、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1372μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が255μmのウレタン樹脂発泡体シート(1−3、金属イオン含有率=13ppm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図6に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−2)/粘着剤層2からなる、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1537μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が257μmとなる粘着シート(A−3)を得た。
(比較例2)
実施例1で用いた発泡体シート(1−1)の代わりに、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1012μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が198μmのポリエチレン樹脂発泡体シート(1−4、積水化学工業社製 ボラーラXL−EE 5倍発泡品 金属イオン含有率=23ppm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図6に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−2)/粘着剤層2からなる、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1177μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が199μmとなる粘着シート(A−4)を得た。
(実施例3)
本実施例では、図1に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/発泡体シート1/粘着剤層2からなる態様の両面剥離シート4に担持された両面粘着シート(10)を調整した。
すなわち、最初に、粘着性アクリル樹脂を含む粘着剤〔東洋インキ製造(株)製、金属イオン含有率=12ppm〕100部とイソシアネート誘導体系硬化剤〔東洋インキ製造(株)製〕3部とを攪拌混合した粘着剤組成物塗液を、コンマコーターで乾燥膜厚30μmとなるように、両面剥離処理してなるポリエチレンテレフタレート剥離シート4の全面に塗布し、粘着剤層2’を形成しつつ、巻き取り時に該粘着剤層2’に12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1252μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が30μmの軟質ポリウレタン発泡体シート(1−1、金属イオン含有率=12ppm)を0.3MPaの圧力でラミネートして、剥離シート4/粘着剤層2’/発泡体シート(1−1)からなる粘着シート(D)を得た。
次に、ポリエチレンテレフタレート剥離シートを工程フィルムとして前記と同様の粘着剤組成物塗液を同様の方法で同様の乾燥膜厚となるように全面塗布し、粘着剤層2を形成しつつ、巻き取り時に該粘着剤層2に前記粘着シート(D)の発泡体シート(1−1)側を0.3MPaの圧力でラミネートした後、工程フィルムをはがし取り、図1に示すような剥離シート4/粘着剤層2’/発泡体シート(1−1)/粘着剤層2からなる、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1312μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が31μmの粘着シート(E−1)を得た。
(比較例3)
実施例3で用いた発泡体シート(1−1)の代わりに、発泡体シート(1−3)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、図1に示すように、剥離シート4/粘着剤層2’/補強シート3/補強シート用接着剤層6/発泡体シート(1−3)/粘着剤層2からなる、12種の前記測定条件下での動的圧縮貯蔵弾性率及び損失係数(tanδ)が表1に記載の値を示し、1m2内の平均厚さが1432μm、1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が256μmとなる粘着シート(E−2)を得た。
<評価方法1>
実施例及び比較例で得られた粘着シート(B 50mm×300mm)の粘着剤層(2−3)側にJIS R6253に規定する1000番の耐水研摩紙を貼りあわせ、粘着剤層(2−1)側を、テスター産業社製研磨装置の定盤側に貼着した。
他方、前記研磨装置に、下記被研磨試料が前記耐水研摩紙と並行な位置に対向するように被研磨試料を装着し、前記耐水研磨紙と下記被研磨試料とを接触せしめ、荷重0.02MPaの圧力が掛かるようにし、20mL/分の流量で純水を供給しながら、20m/分の速度で、10分間研磨作業を行った。
直径30.0mmの円形で平均厚さ0.130mm、一方の面の60度反射光沢度が14.7のポリカーボネートのシート(a)を0.030mm厚さの粘着剤層を介して、直径30.0mmの円柱状圧子に貼付し被研磨試料とした。
厚さ測定は、プローブ直径10mm、印加荷重50g/cm2において、1μm桁表示が可能なデジタル計測器にて行った。
被研磨試料のポリカーボネートシート(a)の厚さを13箇所、研磨の前後でそれぞれ測定し、ばらつき度合いが良好なものを○、ばらつき度合いの大きいものを×、○と×の中間を△のように評価した。結果を表2に示す。
<評価方法2>
実施例及び比較例で得られた研磨パッド形状が、断面矩形状の溝化工を研磨パッドの中心から同心円状に多数本施してなる図3記載の研磨パッド積層体を用いて、研磨時のスラリー流量を100mL/minとし、シリコンウェーハ表面の熱酸化膜を加工圧が48kPa、定盤回転速度が60rpm、非研磨物回転速度が40rpm、研磨時間が120secの条件で均一性評価を行った。
均一性の評価はウェーハ面内49点の研磨レートのバラツキ度合いで評価した。バラツキ度合いの少ない物を○、バラツキ度合いの大きい物を×、○と×の中間を△のように3段階に分けた。結果を表2に示す。
両面粘着シートの最大最小厚み差が大きいと研磨量にばらつきが生じる。最大最小厚み差が小さくても、動的圧縮貯蔵弾性率が適切でないと良好な研磨は達成し得ない。
Figure 2005054072
Figure 2005054072
本発明による両面粘着シート及び研磨布積層体は、半導体装置の層間絶縁膜の平坦化や金属配線の形成工程(主として化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)に使用することができる。
発泡体シートと、その両表面の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その一方の粘着剤層において両面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その両表面の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その両方の粘着剤層において片面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その補強シート側粘着剤層において両面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その補強シート側粘着剤層とは反対側の粘着剤層において両面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その両方の粘着剤層において片面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シート用接着剤層と、その補強シート用接着剤層上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その補強シート側粘着剤層において両面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シート用接着剤層と、その補強シート用接着剤層上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その補強シート側粘着剤層とは反対側の粘着剤層において両面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。 発泡体シートと、その片側表面上の粘着剤層と、もう一方の表面上の補強シート用接着剤層と、その補強シート用接着剤層上の補強シートと、その補強シート上の粘着剤層とからなる本発明の両面粘着シートに、その両方の粘着剤層において片面剥離シートを設けた状態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1・・・発泡体シート;2,2’・・・粘着剤層;3・・・補強シート;
4・・・両面剥離シート;5,5’・・・片面剥離シート;
6・・・補強シート用接着剤層;10・・・両面粘着シート。

Claims (7)

  1. 1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率で除算した損失係数に変曲点を有しないことを特徴とする、両面粘着シート。
  2. 1m2内の最大厚みと最小厚みとの差が100μm以内であり、周波数範囲0.1Hz〜10Hz及び温度範囲30℃〜80℃での測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率が5×105Pa〜1×107Paであり、前記測定条件における動的圧縮損失弾性率を同一測定条件における動的圧縮貯蔵弾性率で除算した損失係数に変曲点を有しないポリウレタン発泡体シートの両表面に粘着剤層を有する、請求項1に記載の両面粘着シート。
  3. ポリウレタン発泡体シートの金属イオン含有率が、5000ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載の両面粘着シート。
  4. 破断強度が40MPa以上500MPa以下の補強シートを、前記粘着剤層のいずれか一方と発泡体シートとの間に有する、請求項2又は3に記載の両面粘着シート。
  5. 補強シートの金属イオン含有率が、5000ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の両面粘着シート。
  6. 粘着剤層の金属イオン含有率が、5000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の両面粘着シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の両面粘着シートと、その粘着剤層のいずれか一方に積層されている研磨布とを含むことを特徴とする、研磨布積層体。
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