JP2008227252A - 研磨パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハ極端部まで均一に研磨できる研磨パッドを提供する。また、研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】研磨層8とクッション層10が両面テープ11,12を介して積層されている研磨パッド1において、研磨層とクッション層の間に、研磨層と同一材料からなり、かつ研磨層より厚い中間層9が設けられており、研磨層と中間層の間の両面テープの基材が樹脂フィルムである研磨パッド。
【選択図】図2

Description

本発明はレンズ、反射ミラー等の光学材料やシリコンウエハ、ハードディスク用のガラス基板、アルミ基板、及び一般的な金属研磨加工等の高度の表面平坦性を要求される材料の平坦化加工を安定、かつ高い研磨効率で行うことが可能な積層研磨パッド及びその製造方法に関するものである。本発明の積層研磨パッドは、特にシリコンウエハ並びにその上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスを、さらにこれらの酸化物層や金属層を積層・形成する前に平坦化する工程に好適に使用される。
半導体装置を製造する際には、ウエハ表面に導電性膜を形成し、フォトリソグラフィー、エッチング等をすることにより配線層を形成する形成する工程や、配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が行われ、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じる。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでいるが、これに伴い、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となってきた。
ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にケミカルメカニカルポリシング(以下、CMPという)が採用されている。CMPは、ウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付けた状態で、砥粒が分散されたスラリーを用いて研磨する技術である。CMPで一般的に使用する研磨装置は、例えば、図1に示すように、研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、被研磨材(半導体ウエハ)4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤の供給機構を備えている。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と被研磨材4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、被研磨材4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。
従来、高精度の研磨に使用される研磨パッドとしては、一般的にポリウレタン発泡体シートが使用されている。しかし、ポリウレタン発泡体シートは、局部的な平坦化能力には優れているが、クッション性が不足しているためにウエハ全面に均一な圧力を与えることが難しい。このため、通常、ポリウレタン発泡体シートの背面に柔らかいクッション層が別途設けられ、積層研磨パッドとして研磨加工に使用されている。積層研磨パッドとしては、例えば以下のようなものが開発されている。
研磨層、研磨層よりも弾性率が大きい第2層、及び第2層よりも弾性率が低い第3層がこの順で積層されている半導体ウエハ研磨用パッドが開発されている(特許文献1)。
また、硬質材料からなる上層と、軟質材料からなる下層とを有し、上層の一部に異なる複数の防水性材料からなる二層以上の防水性材料層を有する積層構造の研磨パッドが開発されている(特許文献2)。
近年、ウエハ1枚からできるだけ多くの半導体チップを製造するために、ウエハエッジ部まで均一に平坦化できる研磨パッドが求められている。ウエハエッジ部の均一性を向上させるためにポリシングヘッドにはリテーナリングが設けられているが、研磨時にリテーナリングによって研磨パッドが加圧され変形し、その変形によりウエハ極端部が研磨されにくくなるという問題があった。
特許第3788729号明細書 特許第3152188号明細書
本発明は、ウエハ極端部まで均一に研磨できる研磨パッドを提供することを目的とする。また、該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す研磨パッドにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、研磨層とクッション層が両面テープを介して積層されている研磨パッドにおいて、研磨層とクッション層の間に、研磨層と同一材料からなり、かつ研磨層より厚い中間層が設けられており、研磨層と中間層の間の両面テープの基材が樹脂フィルムであることを特徴とする研磨パッド、に関する。
従来の研磨パッドを用いた際に、ウエハ極端部が研磨されにくい理由としては以下のように考えられる。通常、ウエハはポリシングヘッドから外れないようにするために、リテーナリングによってその周囲を保持されている。研磨時には加圧機構によってリテーナリングと共にウエハが研磨パッド表面に押し付けられる。その際にリテーナリング下の研磨パッドが圧力によって圧縮変形し、それに伴いリテーナリングのすぐ内側の研磨パッドもへこむ。そのため、ウエハ極端部が研磨パッドに接触する圧力は、ウエハの他の部分よりも小さくなり、ウエハ極端部は研磨されにくくなると考えられる。しかも、従来の研磨パッドは、スラリーを吸収して経時的に弾性率が変化しやすく、圧縮変形しやすくなるためウエハ極端部はより研磨されにくくなると考えられる。
本発明者らは、研磨層の下面に、基材が樹脂フィルムである両面テープを貼り合わせることにより下層にスラリーが浸入することを防止し、さらに前記両面テープの他面側に研磨層と同一材料からなり、かつ研磨層より厚い中間層を設けることにより、研磨層の研磨特性を損なわずに弾性率の経時的な変化を抑制できることを見出した。前記中間層は研磨層と同一材料からなることが必要である。なぜなら、研磨層と両面テープと中間層からなる積層体を擬似研磨層とし、積層体全体での研磨特性を損なわないようにするためである。また、同一材料を用いることにより効率的に製造できるためコスト面でもメリットがある。また、前記中間層は研磨層より厚いことが必要である。なぜなら、中間層が研磨層より薄い場合には積層体全体の弾性率の変化が大きくなり、圧縮変形しやすくなってウエハ極端部が研磨されにくくなるためである。
本発明においては、研磨層の厚さが0.3〜1.5mmであり、中間層の厚さが0.5〜2mmであり、クッション層の厚さが0.5〜2mmであることが好ましい。各層の厚さを上記範囲に調整することにより、ウエハ極端部の研磨され難さをより改善できるだけでなく、平坦化特性等の研磨特性も良好になる。
また、研磨層と中間層の間の両面テープの基材はポリエステルフィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムは水の透過を防ぐ性質に優れており、中間層に水が浸入することを効果的に防止することができる。
また、研磨層と中間層の間の両面テープのせん断応力は700kPa以上であることが好ましい。せん断応力が700kPa以上である両面テープを用いることにより、研磨時に生じる「ずり」に対する両面テープの耐久性が向上し、研磨層と中間層の間で剥離しにくくなる。
また本発明は、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法、に関する。
本発明における研磨層及び中間層は、微細気泡を有する発泡体であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂やのようなハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、感光性樹脂などの1種または2種以上の混合物が挙げられる。ポリウレタン樹脂は耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性を有するポリマーを容易に得ることができるため、研磨層及び中間層の形成材料として特に好ましい材料である。以下、前記発泡体を代表してポリウレタン樹脂について説明する。
前記ポリウレタン樹脂は、イソシアネート成分、ポリオール成分(高分子量ポリオール、低分子量ポリオールなど)、及び鎖延長剤からなるものである。
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。イソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
イソシアネート成分としては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、及びポリヒドキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子量ポリオールの数平均分子量は特に限定されるものではないが、得られるポリウレタン樹脂の弾性特性等の観点から500〜2000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、これを用いたポリウレタン樹脂は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなる。そのためこのポリウレタン樹脂から製造される研磨パッドは硬くなりすぎ、ウエハ表面のスクラッチの原因となる。また、摩耗しやすくなるため、パッド寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いたポリウレタン樹脂は軟らかくなりすぎるため、このポリウレタン樹脂から製造される研磨パッドは平坦化特性に劣る傾向にある。
ポリオール成分として上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオールを併用することが好ましい。エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミンを用いてもよい。
ポリオール成分中の高分子量ポリオール、低分子量ポリオール、低分子量ポリアミンの比は、これらから製造される研磨層に要求される特性により決められる。
ポリウレタン発泡体をプレポリマー法により製造する場合において、プレポリマーの硬化には鎖延長剤を使用する。鎖延長剤は、少なくとも2個以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。具体的には、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールや低分子量ポリアミンを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
本発明におけるイソシアネート成分、ポリオール成分、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨パッドの所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール成分と鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対するイソシアネート成分のイソシアネート基数は、0.80〜1.20であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.15である。イソシアネート基数が前記範囲外の場合には、硬化不良が生じて要求される比重及び硬度が得られず、研磨特性が低下する傾向にある。
ポリウレタン発泡体は、溶融法、溶液法など公知のウレタン化技術を応用して製造することができるが、コスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
ポリウレタン発泡体の製造は、プレポリマー法、ワンショット法のどちらでも可能であるが、事前にイソシアネート成分とポリオール成分からイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が、得られるポリウレタン樹脂の物理的特性が優れており好適である。
なお、イソシアネート末端プレポリマーは、分子量が800〜5000程度のものが加工性、物理的特性等が優れており好適である。
前記ポリウレタン発泡体の製造は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分、及び活性水素基含有化合物を含む第2成分を混合して硬化させるものである。プレポリマー法では、イソシアネート末端プレポリマーがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤が活性水素基含有化合物となる。ワンショット法では、イソシアネート成分がイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤及びポリオール成分が活性水素基含有化合物となる。
ポリウレタン発泡体の製造方法としては、中空ビーズを添加させる方法、機械的発泡法、化学的発泡法などが挙げられる。
特に、ポリアルキルシロキサンとポリエーテルの共重合体であって活性水素基を有しないシリコン系界面活性剤を使用した機械的発泡法が好ましい。かかるシリコン系界面活性剤としては、SH−192、SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、L5340(日本ユニカ製)等が好適な化合物として例示される。
なお、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
研磨層及び中間層を構成する微細独立気泡タイプのポリウレタン発泡体を製造する方法の例について以下に説明する。独立気泡タイプにすることにより、スラリーの吸収を抑制することができる。かかるポリウレタン発泡体の製造方法は、以下の工程を有する。
1)イソシアネート末端プレポリマーの気泡分散液を作製する発泡工程
イソシアネート末端プレポリマー(第1成分)にシリコン系界面活性剤を添加し、非反応性気体の存在下で撹拌し、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。前記プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
2)硬化剤(鎖延長剤)混合工程
上記の気泡分散液に鎖延長剤(第2成分)を添加、混合、撹拌して発泡反応液とする。
3)注型工程
上記の発泡反応液を金型に流し込む。
4)硬化工程
金型に流し込まれた発泡反応液を加熱し、反応硬化させる。
前記微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的にも最も好ましい。
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコン系界面活性剤を含む第1成分に分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用にて微細気泡が得られ好ましい。
なお、発泡工程において気泡分散液を作成する撹拌と、混合工程における鎖延長剤を添加して混合する撹拌は、異なる撹拌装置を使用することも好ましい態様である。特に混合工程における撹拌は気泡を形成する撹拌でなくてもよく、大きな気泡を巻き込まない撹拌装置の使用が好ましい。このような撹拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。発泡工程と混合工程の撹拌装置を同一の撹拌装置を使用しても支障はなく、必要に応じて撹拌翼の回転速度を調整する等の撹拌条件の調整を行って使用することも好適である。
ポリウレタン発泡体の製造方法においては、発泡反応液を型に流し込んで流動しなくなるまで反応した発泡体を、加熱、ポストキュアすることは、発泡体の物理的特性を向上させる効果があり、極めて好適である。金型に発泡反応液を流し込んで直ちに加熱オーブン中に入れてポストキュアを行う条件としてもよく、そのような条件下でもすぐに反応成分に熱が伝達されないので、気泡径が大きくなることはない。硬化反応は、常圧で行うと気泡形状が安定するために好ましい。
ポリウレタン発泡体において、第3級アミン系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。触媒の種類、添加量は、混合工程後、所定形状の型に流し込む流動時間を考慮して選択する。
ポリウレタン発泡体の製造は、各成分を計量して容器に投入し、撹拌するバッチ方式であっても、また撹拌装置に各成分と非反応性気体を連続して供給して撹拌し、気泡分散液を送り出して成形品を製造する連続生産方式であってもよい。
また、ポリウレタン発泡体の原料となるプレポリマーを反応容器に入れ、その後鎖延長剤を投入、撹拌後、所定の大きさの注型に流し込みブロックを作製し、そのブロックを鉋状、あるいはバンドソー状のスライサーを用いてスライスする方法、又は前述の注型の段階で、薄いシート状にしても良い。また、原料となる樹脂を溶解し、Tダイから押し出し成形して直接シート状のポリウレタン発泡体を得ても良い。
前記ポリウレタン発泡体の独立気泡の平均気泡径は、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜60μmである。この範囲から逸脱する場合は、研磨速度が低下したり、研磨後の被研磨材(ウエハ)の平坦性が低下する傾向にある。
前記ポリウレタン発泡体の比重は、0.5〜1.3であることが好ましい。比重が0.5未満の場合、研磨層の表面強度が低下し、被研磨材のプラナリティが低下する傾向にある。また、1.3より大きい場合は、研磨層表面の気泡数が少なくなり、プラナリティは良好であるが、研磨速度が低下する傾向にある。
前記ポリウレタン発泡体の硬度は、アスカーD硬度計にて、45〜70度であることが好ましい。アスカーD硬度が45度未満の場合には、被研磨材のプラナリティが低下し、また、70度より大きい場合は、プラナリティは良好であるが、被研磨材のユニフォーミティ(均一性)が低下する傾向にある。
研磨層の被研磨材と接触する研磨表面は、スラリーを保持・更新するための凹凸構造を有していてもよい。発泡体からなる研磨層は、研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持・更新する働きを持っているが、研磨表面に凹凸構造を形成することにより、スラリーの保持と更新をさらに効率よく行うことができ、また被研磨材との吸着による被研磨材の破壊を防ぐことができる。凹凸構造は、スラリーを保持・更新する形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝、及びこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの凹凸構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
前記凹凸構造の作製方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定サイズのバイトのような治具を用い機械切削する方法、所定の表面形状を有した金型に樹脂を流しこみ、硬化させることにより作製する方法、所定の表面形状を有したプレス板で樹脂をプレスし作製する方法、フォトリソグラフィを用いて作製する方法、印刷手法を用いて作製する方法、炭酸ガスレーザーなどを用いたレーザー光による作製方法などが挙げられる。
研磨層の厚みは中間層及びクッション層との関係や研磨特性を考慮して適宜調整されるが、0.3〜1.5mmであることが好ましい。前記厚みの研磨層を作製する方法としては、前記微細発泡体のブロックをバンドソー方式やカンナ方式のスライサーを用いて所定厚みにする方法、所定厚みのキャビティーを持った金型に樹脂を流し込み硬化させる方法、及びコーティング技術やシート成形技術を用いた方法などが挙げられる。
中間層の厚みは研磨層及びクッション層との関係や研磨特性を考慮して適宜調整されるが、少なくとも研磨層より厚いことが必要であり、好ましくは0.5〜2mmである。前記厚みの中間層は研磨層と同様の方法で作製することができる。
一方、本発明におけるクッション層は、研磨層の特性を補うものである。クッション層は、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために必要である。プラナリティとは、パターン形成時に生じた微小凹凸を有する被研磨材を研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、被研磨材全体の均一性をいう。研磨層の特性によって、プラナリティを改善し、クッション層の特性によってユニフォーミティを改善する。本発明の研磨パッドにおいては、クッション層は研磨層より柔らかいものを用いる。
クッション層の形成材料としては、研磨層より柔らかいものであれば特に限定されることはない。例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布やポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、感光性樹脂などが挙げられる。
クッション層の厚みは研磨層及び中間層との関係や研磨特性を考慮して適宜調整されるが、好ましくは0.5〜2mmであり、より好ましくは0.8〜1.5mmである。
図2は本発明の研磨パッドの構造を示す概略断面図である。本発明の研磨パッド1は、研磨層8、中間層9及びクッション層10が両面テープ11、12を介して積層された構造を有する。
研磨層と中間層の間の両面テープ11は、樹脂フィルムからなる基材の両面に接着剤層を設けたものである。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム;ナイロンフィルムなどが挙げられる。
両面テープ11の基材としてはポリエステルフィルムを用いることが好ましい。ポリエステルフィルムは水の透過を防ぐ性質に優れており、中間層に水が浸入することを効果的に防止することができる。
中間層とクッション層の間の両面テープ12は特に制限されず、例えば、不織布又は前記樹脂フィルムからなる基材の両面に接着剤層を設けたものが挙げられる。
前記両面テープ11、12のせん断応力は700kPa以上であることが好ましい。せん断応力が700kPa以上である両面テープを用いることにより、研磨時に生じる「ずり」に対する両面テープの耐久性が向上し、研磨層と中間層の間、中間層とクッション層の間で剥離しにくくなる。両面テープのせん断応力を700kPa以上に調整する方法としては、3官能モノマーなどの多官能モノマーを混合することにより接着剤の架橋度を高くする方法、せん断応力の高い基材(例えば、PET、PENなど)を使用する方法などが挙げられる。
基材が樹脂フィルムの場合、強度及びせん断応力を考慮すると、その厚さは5〜250μm程度であり、好ましくは10〜125μmである。
接着剤の組成としては、例えば、ゴム系やアクリル系等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は、金属イオン含有量が少ないため好ましい。また、両面テープの各接着剤の組成を異なるものとし、各層の接着力を適正化することも可能である。
接着剤層の厚さは、接着力及びせん断応力を考慮すると、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは40〜150μmである。
研磨層、中間層及びクッション層を貼り合わせる手段としては、例えば、各層を両面テープで挟みプレスする方法が挙げられる。
本発明の研磨パッドは、プラテンと接着する面に両面テープが設けられていてもよい。該両面テープとしては、上述と同様に基材の両面に接着剤層を設けた一般的な構成を有するものを用いることができる。
半導体デバイスは、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を経て製造される。半導体ウエハとは、一般にシリコンウエハ上に配線金属及び酸化膜を積層したものである。半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、図1に示すように研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、半導体ウエハ4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えた研磨装置などを用いて行われる。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と半導体ウエハ4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。研磨に際しては、研磨定盤2と支持台5とを回転させつつ半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付け、スラリーを供給しながら研磨を行う。スラリーの流量、研磨荷重、研磨定盤回転数、及びウエハ回転数は特に制限されず、適宜調整して行う。
これにより半導体ウエハ4の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定、評価方法]
(数平均分子量)
数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)にて測定し、標準ポリスチレンにより換算した。
GPC装置:島津製作所製、LC−10A
カラム:Polymer Laboratories社製、(PLgel、5μm、500Å)、(PLgel、5μm、100Å)、及び(PLgel、5μm、50Å)の3つのカラムを連結して使用
流量:1.0ml/min
濃度:1.0g/l
注入量:40μl
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
(平均気泡径)
作製したポリウレタン発泡体を厚み1mm以下になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出したものを平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、SEM(S−3500N、日立サイエンスシステムズ(株))を用いて100倍で観察した。得られた画像を画像解析ソフト(WinRoof、三谷商事(株))を用いて、任意範囲の全気泡径を測定し、平均気泡径を算出した。
(比重)
JIS Z8807−1976に準拠して行った。作製したポリウレタン発泡体を4cm×8.5cmの短冊状(厚み:任意)に切り出したものを比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定には比重計(ザルトリウス社製)を用い、比重を測定した。
(硬度)
JIS K6253−1997に準拠して行った。作製したポリウレタン発泡体を2cm×2cm(厚み:任意)の大きさに切り出したものを硬度測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時には、試料を重ね合わせ、厚み6mm以上とした。硬度計(高分子計器社製、アスカーD型硬度計)を用い、硬度を測定した。
(せん断応力)
20mm幅の両面テープの両端(各20mmの長さ)を作製した研磨層に圧力78.5kPaで貼り合わせた。その後、引張り速度200mm/minで該両端を引張り、この時のせん断応力(kPa)を測定した。
(面内均一性)
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、面内均一性の評価(Max−Min法)を行った。酸化膜の膜厚測定には、干渉式膜厚測定装置(大塚電子社製)を用いた。研磨条件としては、スラリーとして、シリカスラリー(SS12、キャボット社製)を研磨中に流量150ml/min添加した。研磨荷重としては350g/cm、研磨定盤回転数35rpm、ウエハ回転数30rpmとした。
面内均一性の評価は、8インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用いて上記研磨条件にて2分間研磨を行い、図3に示すようにウエハ上の特定位置77点(5mm間隔)の研磨前後の膜厚測定値から研磨速度最大値、研磨速度最小値、及び平均研磨速度を求め、その値を下記式に代入することにより算出した。ウエハ1000枚目における面内均一性を表1に示す。なお、面内均一性の値が小さいほどウエハ表面の均一性が高いことを表す。
Max−Min法
面内均一性(%)={(研磨速度最大値−研磨速度最小値)/平均研磨速度}×100
(未研磨度)
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、ウエハ周端から内部方向に2mmの位置における未研磨の程度を測定した。未研磨の程度は以下の方法により測定した。8インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用いて下記研磨条件にて熱酸化膜が約0.5μmになるまで研磨を行い、同様の操作を500枚繰り返し行った。そして、ウエハ500枚目において、図3に示すようにウエハ上の特定位置77点(5mm間隔)の研磨前後の膜厚測定値から平均研磨速度を算出した。また、ウエハ周端から内部方向に2mmの位置における研磨速度Xを測定した。酸化膜の膜厚測定には、干渉式膜厚測定装置(大塚電子社製)を用いた。研磨条件としては、スラリーとして、シリカスラリー(SS12 キャボット社製)を研磨中に流量150ml/min添加した。研磨荷重としては350g/cm、研磨定盤回転数35rpm、ウエハ回転数30rpmとした。
未研磨度は下記式にて算出される。なお、未研磨度の値が1より小さくなればなるほど未研磨の状態であることを表す。未研磨度は、0.90以上であることが好ましく、より好ましくは0.92以上であり、前記値以上であれば望ましい研磨状態であるといえる。
未研磨度=研磨速度X/平均研磨速度
実施例1
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1229重量部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート272重量部、数平均分子量1018のポリテトラメチレンエーテルグリコール1901重量部、ジエチレングリコール198重量部を入れ、70℃で4時間反応させてイソシアネート末端プレポリマーを得た。
該プレポリマー100重量部及びシリコン系界面活性剤(東レダウコーニングシリコン製、SH−192)3重量部を重合容器内に加えて混合し、80℃に調整して減圧脱泡した。その後、撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように激しく約4分間撹拌を行った。そこへ予め70℃に温度調整したエタキュア300(アルベマール社製、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミンと3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミンとの混合物)21重量部を添加した。該混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールド(注型容器)へ流し込んだ。この混合液の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、100℃で16時間ポストキュアを行い、ポリウレタン発泡体ブロックを得た。
約80℃に加熱した前記ポリウレタン発泡体ブロックをスライサー(アミテック社製、VGW−125)を使用してスライスし、ポリウレタン発泡体シート(平均気泡径:50μm、比重:0.86、硬度:52度)を得た。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して、厚さ0.3mmになるまで該シートの表面バフ処理をし、厚み精度を整えたシートとした。このバフ処理をしたシートを直径61cmの大きさで打ち抜き、溝加工機(テクノ社製)を用いて表面に溝幅0.25mm、溝ピッチ1.50mm、溝深さ0.40mmの同心円状の溝加工を行って研磨層を得た。
前記方法でスライスして得られたポリウレタン発泡体シートを、厚さ2mmになるまでバフ機で表面バフ処理し、厚み精度を整えたシートとした。このバフ処理をしたシートを直径61cmの大きさで打ち抜いて中間層を得た。
研磨層の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、#5673JX、基材:厚さ23μmのPETフィルム、接着剤層:厚さ50μmのアクリル系接着剤層、せん断応力:710kPa)を貼り合わせ、該両面テープの他面に中間層を貼り合わせた。そして、中間層の他面に前記両面テープをさらに貼り合わせ、該両面テープの他面にクッション層(ポリエチレンフォーム、厚み1.27mm)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。
実施例2
中間層の厚さを2mmから0.5mmに変更した以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
実施例3
研磨層の厚さを0.3mmから1.5mmに変更した以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
比較例1
研磨層の厚さを0.3mmから2mmに変更し、中間層を設けず、両面テープとして積水化学工業社製の#5782(基材:不織布、接着剤層:アクリル系接着剤層、せん断応力:400kPa)を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
比較例2
中間層を設けず、両面テープとして前記#5782を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
比較例3
研磨層の厚さを0.3mmから2.3mmに変更し、中間層を設けず、両面テープとして前記#5782を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
Figure 2008227252
表1から、本発明の研磨パッドは面内均一性に優れ、ウエハ極端部まで均一に研磨できることがわかる。
CMP研磨で使用する研磨装置の一例を示す概略構成図 本発明の研磨パッドの構造を示す概略断面図 ウエハ上の膜厚測定位置77点を示す概略図
符号の説明
1:研磨パッド
2:研磨定盤
3:研磨剤(スラリー)
4:被研磨材(半導体ウエハ)
5:支持台(ポリシングヘッド)
6、7:回転軸
8:研磨層
9:中間層
10:クッション層
11、12:両面テープ

Claims (5)

  1. 研磨層とクッション層が両面テープを介して積層されている研磨パッドにおいて、研磨層とクッション層の間に、研磨層と同一材料からなり、かつ研磨層より厚い中間層が設けられており、研磨層と中間層の間の両面テープの基材が樹脂フィルムであることを特徴とする研磨パッド。
  2. 研磨層の厚さが0.3〜1.5mmであり、中間層の厚さが0.5〜2mmであり、クッション層の厚さが0.5〜2mmである請求項1記載の研磨パッド。
  3. 樹脂フィルムがポリエステルフィルムである請求項1又は2記載の研磨パッド。
  4. 研磨層と中間層の間の両面テープのせん断応力が700kPa以上である請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッド。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法。
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