JP2005047995A - 難燃性を向上させた耐熱性樹脂組成物およびその利用 - Google Patents

難燃性を向上させた耐熱性樹脂組成物およびその利用 Download PDF

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Yoshifumi Okada
好史 岡田
Toshio Yamanaka
俊夫 山中
Shigeru Tanaka
田中  滋
Yuji Tada
祐二 多田
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Otsuka Chemical Co Ltd
Kaneka Corp
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】耐熱性、加工性(溶媒可溶性も含む)、誘電特性等の諸物性と、難燃性とを十分に両立させることが可能であり、特に、電子機器における情報処理能力の向上に十分に対応できる配線基板の製造に好適に用いることができる耐熱性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、少なくとも、有機溶媒に可溶性を示す(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を含むとともに、フェノール性水酸基を有する(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含んでいる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性に優れた耐熱性樹脂組成物およびその利用に関するものであり、特に、難燃性に加えて、誘電特性、耐熱性、加工性等の諸物性にも優れ、積層時の加工性や低誘電性、耐熱性、難燃性が要求される積層構造体の製造に好適に用いることができる耐熱性樹脂組成物とその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器における情報処理能力の向上が求められている。そのため、この要求に対応すべく、電子機器においては、回路を伝達する電気信号の高周波化が進められている。上記回路は、通常、配線基板(配線板あるいは回路基板)上に形成されている。この電気信号の高周波化に伴って上記配線基板に対しては、電気的信頼性を保つとともに、回路における電気信号の伝達速度の低下や、電気信号の損失の抑制が望まれている。
【0003】
ところで、上記配線基板の表面には、通常、当該配線基板そのものや回路を保護するための保護膜(保護層)、あるいは、多層構造の配線基板において各層間の絶縁性を確保するための層間絶縁膜等の絶縁層(絶縁膜)といった各種の膜が形成される。これら膜は、配線基板上に積層されるため、絶縁性に加えて、配線基板に接着するための接着性も求められている。
【0004】
特に、フレキシブルプリント配線板(FPC)やビルドアップ回路基板等を積層して、多層構造の配線基板を製造する場合には、上記層間絶縁膜によって基板同士が接着されて固定される。そのため、層間絶縁膜には、基板等に対する優れた接着力が求められることになる。従って、上記保護膜や絶縁層は、接着性を有する接着材料を用いて形成される。
【0005】
それゆえ、接着材料を用いて絶縁層を形成した場合、上記のように電気信号の高周波化を図るためには、当該接着材料に対して、GHz(ギガヘルツ)帯域にて、配線基板の高い信頼性を得ることができること、電気信号の伝達に悪影響を及ぼさないことが望まれる。
【0006】
さらに、近年、環境への配慮から、電子機器に用いられる各種材料には、リサイクルへの対応や、環境に負荷を与える物質の使用をできる限り避けることが求められている。例えば、難燃剤については非ハロゲン系(ハロゲンフリー)難燃材が求められ、半田については鉛を含有しない半田(鉛フリー半田)が求められている。
【0007】
特に、半田については、従来では、配線基板と搭載部品とを物理的及び電気的に接続する材料として、鉛を含有する共晶半田が主に用いられてきていた。しかしながら、環境への配慮から、鉛を含有していない上記鉛フリー半田が使用されるようになってきた。この鉛フリー半田は、従来の鉛を含有している半田に比べて融点温度が40℃程度高い。そのため、配線基板に使用される材料に対しても更なる耐熱性の向上が強く要求されるようになってきた。
【0008】
上記配線基板に用いられる樹脂材料、特に、上記層間絶縁膜等の絶縁層や保護膜に用いられる接着材料や絶縁材料としては、絶縁性に加えて良好な加工性や接着性を示す接着材料が用いられる。具体的には、エポキシ系接着材料や熱可塑性ポリイミド系接着材料が挙げられる。
【0009】
上記エポキシ系接着材料は、加工性、接着性に優れるという利点を有しているが、誘電特性や耐熱性に問題がある。具体的には、エポキシ系接着材料は、被着体同士を低い温度、低い圧力で貼り合わせ加工することができ、被着体との接着性にも優れたものとなっている。ところが、エポキシ系接着材料は、硬化後の樹脂において誘電率、誘電正接が高くなるため誘電特性に劣っており、ガラス転移温度が低い、熱分解温度が低い等、耐熱性も劣っている。
【0010】
一方、熱可塑性ポリイミド系接着材料は、耐熱性や誘電特性に優れるという利点を有しているが、加工性に問題がある。具体的には、熱可塑性ポリイミド系接着材料は、ガラス転移温度が高い、熱分解温度が高い等、耐熱性に優れたものとなっている。ところが、熱可塑性ポリイミド系接着材料を用いて被着体同士を接着させるためには、高温、高圧の条件下で貼り合わせ加工を行う必要があり、これが問題となっていた。
【0011】
そこで、従来、低温度かつ短時間で接着可能であり、耐熱性に優れたポリイミド系の樹脂材料が提案されている(例えば特許文献1・2参照)。
【0012】
また、ポリイミド樹脂は、その優れた耐熱性や電気絶縁性から、一般に、上記FPC用のベースフィルムやそのカバーレイフィルム等に広く用いられている。このようなポリイミド樹脂製のフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸の状態で低沸点の有機溶媒(有機溶剤)に溶解し、フィルム状に加工(例えば、コーティング剤やレジストとして用いる場合には、塗布乾燥)した後、イミド化することにより形成される。これは、ポリイミド樹脂は通常、各種有機溶媒への溶解性が低いためである。上記イミド化温度は、一般に250℃以上の高温とする必要がある。このような高温では、ポリイミド樹脂以外の材料を劣化させる可能性があるため、限定した用途のみでしか用いられていない。
【0013】
そこで、低沸点の有機溶媒に可溶(以下、便宜上、溶媒可溶性と称する)であって、イミド化のために高温加熱を必要としないポリイミド系の樹脂材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、上記FPCの製造等に好適に用いることのできるポリイミド系接着材料として、感光性を有するものも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0014】
ところで、上記配線基板に用いられる樹脂材料には、難燃性も求められることは前述したが、難燃性を向上させた各種樹脂材料も種々提案されている(例えば、特許文献5〜8)。中でも、ハロゲン系の成分を難燃剤として含む樹脂材料(例えば、特許文献5参照)よりも、リン系の化合物を含む樹脂材料(例えば、特許文献6〜8参照)や、シロキサン系の樹脂成分を含む樹脂材料(例えば、特許文献9参照)がより好ましく用いられる。これは、環境に負荷を与える物質の使用をできる限り避けるためである。
【0015】
【特許文献1】
特開平8−27430(平成8(1996)年1月30日公開)
【0016】
【特許文献2】
特開平7−242820(平成7(1995)年9月19日公開)
【0017】
【特許文献3】
特開平8−253586(平成8(1996)年10月1日公開)
【0018】
【特許文献4】
特開平6−27667(平成6(1994)年2月4日公開)
【0019】
【特許文献5】
特開平9−132710(平成9(1997)年5月20日公開)
【0020】
【特許文献6】
再公表WO00/09518(平成12(2000)年2月24日国際公開)
【0021】
【特許文献7】
特開2001−335703(平成13(2001)年12月4日公開)
【0022】
【特許文献8】
特開2002−235001(平成14(2002)年8月23日公開)
【0023】
【特許文献9】
特開平10−338735(平成10(1998)年12月22日公開)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、特に、電子機器における情報処理能力の向上に対応する配線基板を製造する用途において、樹脂材料の諸物性をバランス良く向上させることが困難であるという課題を有している。より具体的には、従来の技術では、上記用途に用いられる樹脂材料において、耐熱性、加工性(溶媒可溶性も含む)、誘電特性等の諸物性と、難燃性とを両立させることが困難となっていた。
【0025】
例えば、特許文献1や2に開示されている樹脂材料(文献中、耐熱性フィルム接着剤または耐熱性樹脂組成物)は、シロキサン成分を含むポリイミド樹脂にエポキシ樹脂を混合してなっている。そのため、ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)を特定の範囲とすることにより低温での接着が可能となり、しかもポリイミド樹脂を含有しているため耐熱性にも優れている。しかしながら、この樹脂材料においては、誘電特性や難燃性の向上に関しては明らかでない。
【0026】
また、特許文献3に開示されている樹脂材料(文献中、ポリアミドイミドワニス)は、既にイミド化しているため高温にさらす必要が無い。そのため、有機溶媒を乾燥するのみでフィルム状に形成することができる。したがって、この樹脂材料では高い加工性を実現することが可能である。しかしながら、この樹脂材料では、脂肪族骨格を導入することにより溶媒可溶性となっているため、Tgが150℃以下と耐熱性が無く、かつ、難燃性がない。つまり、この技術では、溶媒可溶性とするために、難燃性と耐熱性を犠牲にしている。
【0027】
同様に、特許文献4に開示されている樹脂材料(文献中、光硬化性樹脂組成物)は、感光性を有しており、造膜性に優れている。したがって、この樹脂材料では高い加工性を実現することが可能である。しかも、この樹脂材料では、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、可撓性等にも優れている。しかしながら、この樹脂材料においても、難燃性の向上に関しては明らかでない。
【0028】
樹脂材料の難燃性を向上するためには、特許文献5〜9に開示されている技術のように、難燃剤を添加することが考えられる。ここで、一般的な難燃剤をポリイミド系の樹脂材料に添加した場合、難燃剤が表面に析出(ブリードまたはジューシング)することが多い。そのため、フィルム状に成膜した樹脂材料の外観や難燃性そのものに不具合が生じるおそれがある。
【0029】
そこで、ポリイミド系の樹脂材料のTgを向上させるために、熱硬化性樹脂を添加することが考えられる。しかしながら、通常のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を添加すれば更に難燃性が低下する。そのため、例えば、特許文献9に開示されているようなシロキサン系の樹脂成分は、難燃剤としては有効ではない。
【0030】
これに対して、例えば、特許文献6・7に開示されているようなリン系の化合物を難燃剤として用いた場合には、上記難燃剤の析出を有効に回避することが可能である。特に、特許文献8に開示されているポリイミド系の樹脂材料(文献中、耐熱性組成物)は、特許文献6に開示されている一般式(1)のリン系化合物を用いることで、加工性、耐熱性、難燃性、接着性、力学特性等の諸物性を向上することができる。
【0031】
しかしながら、特に、電子機器における情報処理能力の向上に対応する配線基板を製造する場合には、ポリイミド系の樹脂材料において、上記諸物性をよりバランスの良く向上させることが求められる。
【0032】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、耐熱性、加工性(溶媒可溶性も含む)、誘電特性等の諸物性と、難燃性とを十分に両立させることが可能であり、特に、電子機器における情報処理能力の向上に十分に対応できる配線基板の製造に好適に用いることができる耐熱性樹脂組成物と、その代表的な利用方法とを提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の(A)ポリイミド系樹脂および特定の(B)ホスファゼン化合物の組み合わせを選択することで、難燃性とその他の諸物性とのバランスを優れたものとできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0034】
すなわち、本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、(A)ポリイミド系樹脂および(B)ホスファゼン化合物を少なくとも含む耐熱性樹脂組成物において、上記(A)ポリイミド系樹脂として、有機溶媒に可溶性を示す(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を含むとともに、上記(B)ホスファゼン化合物として、フェノール性水酸基を有する(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなり、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含むことを特徴としている。
【0035】
上記耐熱性樹脂組成物においては、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物として、少なくとも、次に示す一般式(1)
【0036】
【化6】
Figure 2005047995
【0037】
(ただし、式中mは3〜25の整数を示し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含む。)
で表される(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または、次に示す一般式(2)
【0038】
【化7】
Figure 2005047995
【0039】
(ただし、式中nは3〜10000の整数を表し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含み、Rは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、または−N=P(O)(OCOH)を示し、Rは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OC)(OCOH)、または−P(O)(OCOH)を示す。)
で表される(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を含むことが好ましい。
【0040】
また、上記耐熱性樹脂組成物においては、上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基または次に示す一般式(3)
【0041】
【化8】
Figure 2005047995
【0042】
(ただし、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
で表されるビスフェニレン基のうち、少なくとも何れか一つを含むフェニレン系架橋基により、上記フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなっていることが好ましい。
【0043】
上記架橋フェノキシホスファゼン化合物においては、上記フェノキシホスファゼン化合物として(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物が用いられるとともに、上記フェニレン系架橋基が、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、当該架橋フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合が、上記フェノキシホスファゼン化合物中のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の総数を基準として50〜99.9%の範囲内となっている、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(B−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物であることがより好ましい。
【0044】
上記耐熱性樹脂組成物においては、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、脂肪族化合物成分、脂環族化合物成分、または、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物成分、のうち少なくとも一種から選ばれる有機溶媒溶解性付与成分を含み、低沸点の有機溶媒を含む混合溶媒に可溶性を示すことが好ましい。
【0045】
上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂としては、酸二無水物成分とジアミン成分またはイソシアネート成分とを反応させて得られるものであり、上記酸二無水物成分には、少なくとも、次に示す一般式(4)
【0046】
【化9】
Figure 2005047995
【0047】
(ただし、式中Vは、直接結合、−(C=O)−、−C(CF−、−C(CH−、−O−、−O−T−O−、または−O−CO−T−CO−O−を示し、Tは2価の有機基を示す。)
で表される酸二無水物が含まれるものが用いられてもよいし、あるいは、酸二無水物成分とジアミン成分またはイソシアネート成分とを反応させて得られるものであり、上記ジアミン成分またはイソシアネート成分には、シロキサンジアミン、ヒドロキシジアミン、メタ位にアミノ基を有するジアミン、オルト位にアミノ基を有するジアミン、メタ位にアミノ基を有するイソシアネート、およびオルト位にアミノ基有するイソシアネートの少なくとも何れか含まれているものが用いられてもよい。
【0048】
また、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の有機溶媒に、室温〜100℃の温度範囲において1重量%以上溶解することが好ましい。
【0049】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物においては、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂と、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物とを含むとともに、さらに、エポキシ化合物、(メタ)アクリル化合物、イソシアネート化合物のうち少なくとも1種から選択される(C)反応性化合物を含んでいてもよい。
【0050】
上記(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物が選択された場合、上記((A−1)可溶性ポリイミド樹脂と、(B)ホスファゼン化合物成分と、(C−1)エポキシ化合物との合計重量に対する上記(B)ホスファゼン化合物の重量で表される重量混合比(B)/〔(A)+(B)+(C)〕が、0.01以上0.4以下の範囲内となっていることが好ましい。
【0051】
また、上記(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物が選択された場合、当該(C−1)エポキシ化合物として、次に示す一般式群(5)
【0052】
【化10】
Figure 2005047995
【0053】
(ただし、各式中g、h、i、jまたはkは、1以上10以下の整数を示す。)より選択される少なくとも1種のエポキシ化合物が用いられることが好ましい。
【0054】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記耐熱性樹脂組成物を用いて形成されてなる樹脂フィルムを挙げることができる。この樹脂フィルムは、プリント配線板用接着剤シート、カバーレイフィルム、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、またはプリント配線板用基板として用いることができる。
【0055】
また、本発明に係る耐熱性樹脂組成物の他の用途としては、上記耐熱性樹脂組成物を含んでなる樹脂製剤を挙げることができる。この樹脂製剤は、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用封止剤、回路保護剤、またはカバーインクとして用いることができる。
【0056】
あるいは、本発明に係る耐熱性樹脂組成物の他の用途としては、上記耐熱性樹脂組成物を用いて形成された樹脂層を少なくとも1層含んでいる積層体を挙げることができる。この積層体は、回路基板、または多層プリント配線板として用いることができる。
【0057】
上記のように、本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂と(B−1)フェノキシホスファゼン化合物または(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を少なくとも含む構成である。
【0058】
それゆえ上記構成の耐熱性樹脂組成物は、耐熱性・誘電特性・難燃性に優れるだけでなく、従来の熱可塑性ポリイミド樹脂系の接着材料よりも低温で接着することが可能となるため、加工性にも優れる。しかも、特定のポリイミド樹脂を用いているため、従来のポリイミド/エポキシ樹脂混合系接着剤に比べて、加工性、耐熱性、誘電特性等といった諸特性のバランスが優れたものとなっている。したがって、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、従来と比較して低温での接着が可能で加工性・取扱性に優れる上に、優れた耐熱性・誘電特性・難燃性を発揮することが可能になる。
【0059】
その結果、例えば、本発明に係る耐熱性樹脂組成物をワニス状の溶液等とした場合、接着剤、コーティング剤、あるいはインク等として有用な樹脂製剤とすることができる。また、本発明に係る耐熱性樹脂組成物を樹脂シートまたは樹脂フィルムとした場合、フレキシブルプリント配線板(FPC)やビルドアップ回路基板等の回路基板に代表される積層体や、これを構成する積層材料等として好適に用いることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、(A)ポリイミド系樹脂および(B)ホスファゼン化合物を少なくとも含み、さらに好ましくは、(C)反応性化合物を含むものである。このうち、(A)ポリイミド系樹脂として、有機溶媒に可溶性を示す(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が少なくとも用いられ、(B)ホスファゼン化合物として、フェノール性水酸基を有する(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物が用いられる。
【0062】
〔(A)ポリイミド系樹脂〕
本発明に係るポリイミド系樹脂としては、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が少なくとも用いられる。この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂とは、有機溶媒に可溶性を示すものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、脂肪族化合物成分、脂環族化合物成分、または、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物成分、のうち少なくとも一種から選ばれる有機溶媒溶解性付与成分を含む構造を有している。
【0063】
<(A−1)可溶性ポリイミド樹脂>
上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂における「可溶性」とは、上述したように、低沸点の有機溶媒を含む混合溶媒に可溶性を示すことを指すが、より具体的には、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の有機溶媒に、室温〜100℃の温度範囲において1重量%以上溶解することを指す。
【0064】
上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、樹脂骨格に繰り返し単位としてイミド環を有する樹脂であればよい。具体的には、ポリイミド(イミド環のみを有する樹脂、狭義のポリイミド樹脂)の他に、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、マレイミド等、イミド環以外の繰り返し単位を有する広義のポリイミド樹脂も含まれる。
【0065】
ここで、(A)ポリイミド系樹脂は、後述するように、一般に、次の2つの製造方法により製造される。まず、第1の方法では、原料となるモノマー成分として、酸二無水物成分とジアミン成分とを用い、これらモノマー成分を反応させてポリアミド酸(ポリアミック酸)を重合し、これをイミド化することによりポリイミド系樹脂を得る。また、第2の方法では、原料となるモノマー成分として、酸二無水物成分とイソシアネート成分とを用い、これらモノマー成分を反応させてポリイミド系樹脂を得る。
【0066】
上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本発明では、上記モノマー成分として、後述する特定構造の酸二無水物、ジアミン、またはイソシアネートを用いることにより、本発明に係る耐熱性樹脂組成物により好適な(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。なお、この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の製造方法については後述する。
【0067】
<酸二無水物成分>
本発明において好適に用いられる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂では、原料のうち、酸二無水物成分として、少なくとも、次に示す一般式(4)
【0068】
【化11】
Figure 2005047995
【0069】
(ただし、式中Vは、直接結合、−(C=O)−、−C(CF−、−C(CH−、−O−、−O−T−O−、または−O−CO−T−CO−O−を示し、Tは2価の有機基を示す。)
で表される酸二無水物(説明の便宜上、芳香族テトラカルボン酸二無水物と称する)が含まれることが好ましい。
【0070】
上記一般式(4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いれば、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の有機溶媒に対する溶解性が向上するとともに、(C)反応性化合物との相溶性も向上するため好ましい。(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を用いた場合、(C)反応性化合物と配合した後にイミド化させるため高温・長時間で処理する必要が無い。それゆえ、得られる耐熱性樹脂組成物の加工性を高めることが可能になるため好ましい。
【0071】
上記一般式(4)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の中でも、当該一般式(4)におけるTが、次に示す群(6)
【0072】
【化12】
Figure 2005047995
【0073】
で表される2価の有機基および一般式(7)
【0074】
【化13】
Figure 2005047995
【0075】
(ただし、式中Zは、−C2Q−、−C(=O)−、−SO−、−O−または−S−を示し、Qは1〜5の整数を示す。)
で表される2価の有機基(ベンゼン環を1個または2個含有する有機基)の何れかとなっている酸二無水物(説明の便宜上、フェニレン系芳香族テトラカルボン酸二無水物と称する)がより好ましく用いられる。このフェニレン系芳香族テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。このような酸二無水物を用いることで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂および耐熱性樹脂組成物における誘電特性を優れた(GHz領域における誘電率や誘電正接を低い)ものとすることができるとともに、耐熱性も優れたものとすることができる。
【0076】
さらに、上記フェニレン系芳香族テトラカルボン酸二無水物の中でも、次に示す
【0077】
【化14】
Figure 2005047995
【0078】
で表される4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物を用いることが特に好ましい。この酸二無水物を用いることで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂および耐熱性樹脂組成物において、溶媒に対する溶解性や耐熱性、フェノール樹脂成分やエポキシ樹脂成分との相溶性、誘電特性等の諸特性のバランスをより良いものとすることができる。また、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物には入手し易いという利点もある。
【0079】
本発明で用いられる酸二無水物成分としては、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物を少なくとも含んでいればよいが、全酸二無水物中の芳香族テトラカルボン酸二無水物の含有率を規定することで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の物性を優れたものとすることができる。
【0080】
具体的には、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、原料として用いられる全ての酸二無水物成分を100モル%とした場合、50モル%以上用いられることが好ましい。これにより、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の溶媒に対する溶解性や、(C)反応性化合物のうち特にエポキシ樹脂との相溶性を優れたものとすることができ、さらに誘電特性も優れたものとすることができる。
【0081】
本発明で用いることのできる酸二無水物については、具体的な化合物を例示すると、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸〔別称:4,4’−オキシジフタル酸〕、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン酸、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン酸、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸、p−フェニレンジフタル酸等の無水物またはその低級アルキルエステル等を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0082】
これら各化合物は、単独で用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、上述したように、一般式(4)で表される酸二無水物が少なくとも1種用いられることが非常に好ましい。
【0083】
上記各化合物のうち、2,3,3’,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の無水物またはその低級アルキルエステルを用いることが特に好ましい。これによって、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の溶媒に対する溶解性および耐熱性のバランスを優れたものとすることができる。これら化合物の中でも、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、上記フェニレン系芳香族テトラカルボン酸二無水物(例えば、上述した4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸等)がより好ましい。
【0084】
<ジアミン成分>
本発明において好適に用いられる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂では、原料のうち、ジアミン成分としては特に限定されるものではない。本発明で用いられるジアミン成分は、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、耐熱性、半田耐熱性、PCT耐性、低吸水性、熱可塑性を優れたものとすることができるジアミンであればよい。このようなジアミン成分としては、例えば、ベンゼン環(フェニル基)等の芳香族構造を含むジアミンを挙げることができる。
【0085】
具体的には、上記ジアミン成分には、次に示す一般式(8)
【0086】
【化15】
Figure 2005047995
【0087】
(ただし、式中Yは、それぞれ独立して−C(=O)−、−SO−、−O−、−S−、−(CH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−C(=O)O−、または直接結合を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、mおよびrはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を示す。)
で表されるジアミン(説明の便宜上、芳香族ジアミンと称する)が含まれることが好ましい。この芳香族ジアミンを用いることで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂において、溶解性や耐熱性を優れたものとすることができるとともに、吸水性を低いものとすることが可能となる。なお、上記一般式(8)における複数の繰り返し単位であるYは、全て同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。
【0088】
上記一般式(8)で表される芳香族ジアミンとしては、具体的には、例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノジベンジルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、等が挙げられるが特に限定されるものではない。これらジアミンは、単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0089】
上記一般式(8)で表される芳香族ジアミンの中でも、各種溶媒に対する溶解性を向上させる点から見れば、メタ位またはオルト位にアミノ基を有する芳香族ジアミンが好ましく、特に、次に示す一般式(9)
【0090】
【化16】
Figure 2005047995
【0091】
(ただし、式中Yは、それぞれ独立して−C(=O)−、−SO−、−O−、−S−、−(CH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−C(=O)O−、または直接結合を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、mおよびrはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を示す。)
で表されるジアミン、すなわちメタ位にアミノ基を有する芳香族ジアミン(説明の便宜上、メタ芳香族ジアミンと称する)がより好ましい。このような芳香族ジアミンを用いれば、パラ位にアミノ基を有する芳香族ジアミンを用いた場合よりも、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂をさらに溶解性に優れたものとすることが可能となる。
【0092】
上記一般式(8)で表される芳香族ジアミンとしては、具体的には、例えば、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0093】
上記芳香族ジアミンの中でも、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることが特に好ましい。この芳香族ジアミンを用いることで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂および耐熱性樹脂組成物において、各種有機溶媒に対する溶解性、半田耐熱性、PCT耐性等の物性をより優れたものとすることができる。
【0094】
さらに、本発明では、ジアミン成分として、水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミン(説明の便宜上、ヒドロキシジアミンと称する)も好ましく用いられる。このヒドロキシジアミンを用いれば、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂には、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方が導入されることになる。これら水酸基やカルボキシル基は、熱硬化成分である(C)反応性化合物、特にエポキシ化合物(エポキシ樹脂を含む)の硬化剤となり得る。
【0095】
それゆえ、ヒドロキシジアミンを用いた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂では、(C)反応性化合物としてエポキシ化合物を用いることで、低温あるいは短時間で硬化させることが可能となる。また、上記エポキシ化合物は、水酸基および/またはカルボキシル基と反応することができるので、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂では、エポキシ樹脂を介して架橋することが可能となる。そのため、得られる耐熱性樹脂組成物に対して、より優れた耐熱性、半田耐熱性およびPCT耐性を与えることが可能となる。
【0096】
上記ヒドロキシジアミンとしては、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有していれば特に限定されることはないが、具体的には、例えば、2,4−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル化合物類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルホン化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]アルカン化合物類;4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル化合物類;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物;3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,47−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,47−ジアミノ−3,37−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルホン化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]アルカン化合物類;2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物;等を挙げることができる。
【0097】
上記ヒドロキシジアミンの中でも、次に示す
【0098】
【化17】
Figure 2005047995
【0099】
で表される3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることが特に好ましい。
【0100】
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を合成する場合には、ジアミン成分として、上記一般式(8)で表される芳香族ジアミンと、上述したヒドロキシジアミンとを併用することが好ましい。このとき、ヒドロキシジアミンとして、上記3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いた場合には、得られる耐熱性樹脂組成物に対して、優れた半田耐熱性およびプレッシャークッカーによる耐湿テスト(PCT)耐性を与えることができる。
【0101】
本発明においては、ジアミン成分として、上記芳香族ジアミンおよび/またはヒドロキシジアミン以外にもその他のジアミンを用いることもできる。ここでいうその他のジアミンとしては、目的の(A−1)可溶性ポリイミド樹脂または耐熱性樹脂組成物の用途や求められる物性等に応じて適宜選択することが可能であり、具体的な化合物は特に限定されるものではない。
【0102】
上記その他のジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノエーテル、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジアミノジエチルスルフィド、2,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、o−トルイジンスルホン、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,2−−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3、3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,3−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ビス(2−メトキシ−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,3’−ジアミノ−1,1,1’−ジアダマンタン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(2−クロロ−4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)デカフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタ−1−エン−3−イン等を挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0103】
なお、本発明で用いられる上記他のジアミン(あるいはヒドロキシジアミンでもよい)の中でも、用途によっては、シロキサン結合(−Si−O−)を含むジアミン(説明の便宜上、シロキサンジアミンと称する)が用いられることが好ましい場合がある。
【0104】
上記シロキサンジアミンとしては、具体的には、例えば、次に示す一般式(10)
【0105】
【化18】
Figure 2005047995
【0106】
(ただし、式中Rは、炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基を示し、yは1〜40の整数を示し、zは1〜20の整数を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。このようなシロキサンジアミンを用いれば、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂において、有機溶媒への溶解性を向上させることができる。
【0107】
また、本発明においては、上記他のジアミンとして、シロキサンジアミン以外にも、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン等を好適に用いることができる。これらジアミンを用いれば、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の有機溶媒に対する溶解性と耐熱性とをより優れたものとすることができる。
【0108】
本発明で用いられるジアミン成分としては、上記芳香族ジアミンを少なくとも含んでいればよく、好ましくは上記ヒドロキシジアミンをさらに含んでいればよいが、全ジアミン成分中のこれら各ジアミンの含有率を規定することで、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の物性を優れたものとすることができる。
【0109】
具体的には、原料として用いられる全ジアミン成分を100モル%としたときに、上記芳香族ジアミンを20〜99モル%の範囲内で用いるとともに、ヒドロキシジアミンを80〜1モル%の範囲内で用いることが好ましい。この含有率は、ヒドロキシジアミンとして上記3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを選択した場合でも同一である。上記各ジアミンの含有率が上記範囲内にあれば、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の溶解性、半田耐熱性、PCT耐性が損なわれるような事態を回避することができる。
【0110】
また、全ジアミン成分中における上記その他のジアミンの含有率は、特に限定されるものではないが、原料として用いられる全ジアミン成分を100モル%としたときに、10モル%未満の範囲内で用いられることが好ましい。
【0111】
<イソシアネート成分>
上述したように、本発明で用いられる上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、酸二無水物成分とジアミン成分またはイソシアネート成分とを反応させて得られるものである。したがって、本発明では、上記ジアミン成分に代えて、原料としてイソシアネート成分を用いることができる。
【0112】
本発明で用いられるイソシアネート成分は、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、耐熱性、半田耐熱性、PCT耐性、低吸水性、熱可塑性を優れたものとすることができるイソシアネートであればよいが、具体的には、前述したジアミンに対応するジイソシアネートに対応するジイソシアネートを挙げることができる。
【0113】
より具体的には、一般式(8)で表される芳香族ジアミン、やメタ位またはオルト位にアミノ基を有する芳香族ジアミンに対応するジイソシアネート〔例えば、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンに対応するジイソシアネート等〕、ヒドロキシジアミンに対応するジイソシアネート〔例えば、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルに対応するジイソシアネート等〕、シロキサンジアミンに対応するジイソシアネート、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン等に対応するジイソシアネートを挙げることができるが、特に限定されるものではない。これら化合物は1種類のみを用いてもよいし2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0114】
<イミド環以外に導入可能な構造>
本発明において用いられる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂としては、狭義のポリイミド樹脂の他に、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド等、イミド環以外の繰り返し単位を有する広義のポリイミド樹脂も含まれる。このように上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂には、イミド環以外の構造が導入されても良い。
【0115】
ポリアミドイミドは、酸二無水物成分として無水トリメリット酸を用いるとともに、ジアミン成分またはイソシアネート成分として、芳香族を含むジアミンまたはイソシアネートを用いることにより合成することができる。
【0116】
次に、ポリエステルイミドは、酸二無水物成分として、無水トリメリット酸を用いるとともに、上述したジアミン成分を用いることにより合成することができる。具体的には、まず、無水トリメリット酸およびジアミン成分との反応により、次に示す一般式(11)
【0117】
【化19】
Figure 2005047995
【0118】
(ただし、式中R10は、2価の有機基を示す。)
で表されるようなイミド環を有するジカルボン酸を合成する。そして、このジカルボン酸を、後述する他の酸二無水物やジオールと反応させ、脱水縮合する。これによりポリエステルイミドを得ることができる。
【0119】
次に、ポリエーテルイミドは、上述した各酸二無水物成分およびジアミン成分の少なくとも一方として、エーテル結合を有する化合物を用いることによって得られる。
【0120】
ここで、ポリアミドイミドやポリエステルイミドにおいて酸二無水物成分として用いられる無水トリメリット酸は、他の酸二無水物と共重合させることが可能である。上記他の酸二無水物としては、具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族あるいは脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルメタン−4、4−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、ビス[(4−カルボキシ)フタルイミド]−4、4−ジフェニルエーテル、ビス[(4−カルボキシ)フタルイミド]−a,a’−メタキシレン、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2−4−トリカルボン酸等のトリカルボン酸およびこれらの酸二無水物;ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’,4’オキシジフタル酸等のテトラカルボン酸およびこれらの酸二無水物;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。これら化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0121】
また、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の有機溶媒に対する溶解性をより向上させることを目的として、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂に脂肪族化合物成分、脂環族化合物成分、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物等を導入してもよい。
【0122】
これらのうち、脂肪族化合物成分および脂環族化合物成分については、上述した酸二無水物成分、ジアミン成分またはイソシアネート成分として、脂肪族または脂環族の化合物を選択すれば、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の骨格中に脂肪族化合物成分および脂環族化合物成分を導入することができる。脂肪族または脂環族の化合物の具体的な例としては、ダイマー酸、水添ダイマー酸、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびそれらに対応するイソシアネート等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0123】
また、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール等のエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。これら化合物において、アルキレンオキサイドの付加量については特に限定されるものではないが、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の熱安定性から見れば、平均で片末端5モル以下であればよく、3モル以下であることが好ましく、2モル以下であることがより好ましい。
【0124】
上記脂肪族化合物成分、脂環族化合物成分、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物を(A−1)可溶性ポリイミド樹脂に導入する場合、これら成分は、溶解性を改良する効果が大きく、耐熱性を低下させる作用が小さい傾向にある。したがって、これら成分を導入する場合には、その導入量は、酸二無水物成分の全量、あるいは、ジアミン成分またはイソシアネート成分の全量に対して、1〜100モル%の範囲であればよい。これによって、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂における有機溶媒への溶解性、特に、芳香族系、ケトン系またはエーテル系溶媒への溶解性を改良することができる。
【0125】
<(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成>
本発明で用いられる上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、公知の方法で製造することができる。具体的には、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成方法(製造方法)は、用いられる原料の違いによって、大きく次の2つの方法に分けることができる。
【0126】
まず第1の方法は、原料(モノマー成分)として、酸二無水物成分およびジアミン成分を用いる場合の方法であり、これらモノマー成分を重縮合させて前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)を合成し、これをさらに化学的または熱的に脱水環化(イミド化)させるという二段階の方法である。一方、第2の方法は、原料として、酸二無水物成分およびイソシアネート成分を用いる場合の方法であり、これらモノマー成分を重合してポリイミド樹脂を得るという一段階の方法である。
【0127】
以下の説明では、第1の方法におけるポリアミド酸の合成(製造)およびポリアミド酸のイミド化と、第2の方法とをそれぞれ順に詳述する。
【0128】
<第1の方法におけるポリアミド酸の合成(製造)方法>
ポリアミド酸の合成(製造)方法は、少なくとも1種の酸二無水物を含んでなる酸二無水物成分と、少なくとも1種のジアミンを含んでなるジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。このとき、上記酸二無水物成分とジアミン成分とは実質的に等モルとなるように配合する。したがって、1種類のみの酸二無水物およびジアミンを用いる場合は、互いに等モルとなるように配合すればよいし、2種以上の酸二無水物および2種以上のジアミンを用いる場合、酸二無水物成分の全量(複数の酸二無水物の全量)とジアミン成分の全量(複数のジアミンの全量)とを実質的に等モルとなるように配合すればよい。複数の酸二無水物およびジアミンを用いる場合には、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることができる。
【0129】
上記ポリアミド酸の合成において、各モノマー成分を反応させる方法は特に限定されるものではないが、一般的には、有機溶媒中に、実質的に等モル量の酸二無水物成分およびジアミン成分を溶解させた後、各種反応条件を制御しながら重合が完了するまで攪拌する方法が用いられる。この方法により有機溶媒にポリアミド酸が溶解してなる溶液(以下、ポリアミド酸溶液と称する)を得ることができる。
【0130】
上記酸二無水物成分およびジアミン成分を添加する順序としては、例えば、(1)ジアミン成分を有機溶媒に溶解させ、その後、酸二無水物成分を添加する、(2)酸二無水物成分を有機溶媒に溶解させ、その後、ジアミン成分を添加する、(3)有機溶媒中に適量のジアミン成分を加えて溶解させ、続いて、ジアミン成分に対してモル比で過剰となる酸二無水物成分を加え、加えた酸二無水物成分の過剰量に相当する量のジアミン成分を添加する、等の方法を挙げることができるが特に限定されるものではない。なお、ここでいう「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解した状態だけではなく、溶質が溶媒中に均一に分散または拡散して、実質的に溶解している状態と同じ状態となる場合を含むものとする。
【0131】
上記ポリアミド酸の合成反応における合成条件は特に限定されるものではなく、上記モノマー成分を重合させることによってポリアミド酸を十分に合成できる条件であればよい。本発明では、合成条件のうち、温度条件、反応時間、使用する有機溶媒については、次に示すように規定すると好ましい。
【0132】
まず、上記ポリアミド酸の合成反応における温度条件は、酸二無水物成分とジアミン成分とを重合させることができる温度範囲であれば特に限定されるものではないが、その上限は80℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、20℃以下であることが特に好ましい。また、その下限は、−20℃以上であることが好ましい。
【0133】
次に、上記ポリアミド酸の合成反応における反応時間は、酸二無水物成分とジアミン成分との重合反応を完了させることができる時間であれば特に限定されるものではないが、その上限は一般的に50時間であれば十分であり、12時間以下であってもよい。一方、その下限は、30分以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましい。
【0134】
次に、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒は、ポリアミド酸を十分に溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではないが、通常は有機極性溶媒が用いられる。さらに、ポリアミド酸を合成する時の粘度の増加を抑制して攪拌しやすくする点や、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を乾燥させやすくする点等から、ポリアミド酸を良好に溶解することができ、かつ、なるべく沸点の低い有機極性溶媒を選択することが好ましい。これによって、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の製造工程の効率化を図ることが可能となる。
【0135】
ポリアミド酸の合成反応に使用する上記有機極性溶媒としては、具体的には、例えば、N,N−ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒;ヘキサメチルホスファミド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができるが特に限定されるものではない。
【0136】
上記各有機極性溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。さらに、必要に応じて、上記各有機極性溶媒と、キシレンまたはトルエン等の芳香族炭化水素とを組み合わせて用いてもよい。
【0137】
上記合成方法により得られるポリアミド酸溶液の具体的な条件は特に限定されるものではないが、対数粘度については、次に示す範囲内とすることが好ましい。すなわち、ポリアミド酸を0.5g/N−メチル−2−ピロリドン100mlの濃度溶液とした場合に、30℃における対数粘度が0.2〜4.0(デシリットル/グラム)の範囲内であることが好ましく、0.3〜2.0(デシリットル/グラム)の範囲内であることがより好ましい。
【0138】
<第1の方法におけるポリアミド酸のイミド化>
本発明で用いられる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、上記合成方法により得られたポリアミド酸をイミド化することにより得られる。このイミド化の具体的な手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱的手法または化学的手法により、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。ここでいう熱的手法とは、ポリアミド酸溶液を熱処理して脱水する方法であり、化学的手法とは、脱水剤を用いて脱水する方法である。これらの手法の他、減圧下で加熱処理を行うことによりイミド化する方法もある。
【0139】
(1)熱的手法
上記熱的手法は、加熱によってポリアミド酸を脱水閉環する方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、上記ポリアミド酸溶液を加熱処理することによってイミド化反応を進行させ、同時に溶媒を蒸発させる等の方法を挙げることができる。加熱処理の条件は特に限定されるものではないが、加熱温度が300℃以下であり、加熱時間が約5分〜10時間の範囲内であることが好ましい。また、トルエンやキシレン等の還流による熱環化法等も用いることができる。この熱的手法により、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。
【0140】
(2)化学的手法
上記化学的手法は、例えば、上記ポリアミド酸溶液に、化学量論量以上の脱水剤と触媒とを加えることによって、脱水反応および有機溶媒の蒸発を行う方法を挙げることができる。この化学的手法により、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。
【0141】
上記脱水剤としては、具体的には、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物;無水安息香酸等の芳香族酸無水物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド類;等を挙げることができる。また、上記触媒としては、具体的には、例えば、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類;等を挙げることができる。
【0142】
上記化学的手法の条件は特に限定されるものではないが、反応温度は100℃以下であることが好ましく、反応時間は、約1分〜50時間の範囲内であることが好ましい。また、有機溶媒の蒸発の条件も特に限定されるものではないが、加熱温度は200℃以下であることが好ましく、加熱時間は約5分〜12時間の範囲内であることが好ましい。
【0143】
(3)減圧下での加熱処理
熱的手法および化学的手法以外の方法の一つとして、上記減圧下での加熱処理によるイミド化(説明の便宜上、減圧加熱手法と称する)が挙げられる。この減圧加熱手法によっても(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。減圧加熱手法における処理条件としては、イミド化が実施できる条件であれば特に限定されるものではないが、処理条件のうち、加熱条件および圧力条件は次に示すように規定すると好ましい。
【0144】
まず、加熱条件は、80〜400℃の範囲内であればよいが、効率よくイミド化および脱水を行うためには、その下限を100℃以上とすることが好ましく、120℃以上とすることがより好ましい。一方、加熱処理における最高温度(上限)は、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の熱分解温度以下とすることが好ましい。したがって、加熱の上限は、通常、イミド化の完結温度である約250〜350℃の範囲内に設定されることが好ましい。
【0145】
次に、圧力条件は低圧であればとくに限定されるものではないが、具体的には、0.001〜0.9気圧の範囲内であることが好ましく、0.001〜0.8気圧の範囲内であることがより好ましく、0.001〜0.7気圧の範囲内であることがさらに好ましい。換言すれば、減圧加熱手法における圧力の上限は1気圧未満であればよく、0.9気圧以下が好ましく、0.8気圧以下がより好ましく、0.7気圧以下がさらに好ましい。一方、下限は特に限定されるものではないが0.001気圧以上であればよい。
【0146】
上記減圧加熱手法によりポリアミド酸をイミド化する方法では、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去することができる。そのため、ポリアミド酸の加水分解を抑制することができる。また、ポリアミド酸の原料である酸二無水物成分には、不純物として、片側開環物または両側開環物が含まれているが、減圧加熱手法を用いることにより、これら片側開環物または両側開環物を閉環させることができる。その結果、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂をより高分子量とすることができる。
【0147】
(4)溶媒を蒸発させない固形化手法
上記の熱的手法および化学的手法、あるいは減圧加熱手法では、イミド化の過程で溶媒を蒸発させるようになっているが、例えば、熱的手法や化学的手法では、溶媒を蒸発させないで固形の(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得る手法もある。具体的には、この手法では、上記熱的手法または化学的手法によって得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の溶液を、貧溶媒中に加え、ポリイミド樹脂を析出させ、乾燥することにより、固形の(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を得る。
【0148】
この手法で用いられる貧溶媒としては、得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の溶液の溶媒とは良好に混合するが、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は溶解しにくい性質の溶媒であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ(登録商標)、メチルエチルケトン、水等を挙げることができる。
【0149】
この方法によれば、貧溶媒中で(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を析出させるので、固形の(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が得られるだけでなく、不純物を除去して精製することもできる。不純物としては、未反応のモノマー成分(酸二無水物・ジアミン)、無水酢酸やピリジン(化学的手法の場合)、トルエンやキシレン(熱的手法の場合)が挙げられる。貧溶媒で析出する手法では、これら不純物を除去して精製・乾燥することができるので、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の品質を向上することが可能となる。
【0150】
<第2の方法>
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を合成(製造)する第2の方法は、少なくとも1種の酸二無水物を含んでなる酸二無水物成分と、少なくとも1種のジイソシアネートを含んでなるイソシアネート成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。このとき、上記第1の方法におけるポリアミド酸の合成と同様に、酸二無水物成分とイソシアネート成分とは実質的に等モルとなるように配合すればよい。
【0151】
上記第2の方法において、各モノマー成分を反応させる方法は特に限定されるものではないが、一般的には、上記ポリアミド酸の合成と同様に、有機溶媒中に、実質的に等モル量の酸二無水物成分およびイソシアネート成分を溶解させた後、各種反応条件を制御しながら重合が完了するまで攪拌する方法が用いられる。この方法により有機溶媒にポリイミド酸が溶解してなる溶液(可溶性ポリイミド溶液)を1段階で得ることができる。
【0152】
各モノマー成分の反応は、無触媒でも行うことができるが、イソシアネート成分と活性水素化合物との反応に対する触媒を用いることが好ましい。この触媒としては、例えば、3級アミン類、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、あるいはコバルト、チタニウム、錫、亜鉛などの金属、半金属化合物等を挙げることができる。なお、第2の方法において酸二無水物成分およびイソシアネート成分を添加する順序も特に限定されるものではなく、上記ポリアミド酸の合成方法に順ずればよい。
【0153】
上記第2の方法において、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を合成する合成条件は特に限定されるものではなく、上記モノマー成分を重合させることによってポリイミドを十分に合成できる条件であればよい。本発明では、合成条件のうち、温度条件、使用する有機溶媒については、次に示すように規定すると好ましい。
【0154】
まず、上記第2の方法の合成反応における温度条件は、酸二無水物成分とイソシアネート成分とを重合させることができる温度範囲であれば特に限定されるものではないが、通常は、50〜220℃の範囲内であることが好ましい。なお、反応時間も特に限定されるものではない。
【0155】
次に、上記第2の方法の合成反応に使用する有機溶媒は、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を十分に溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではないが、上記ポリアミド酸の合成の場合と同様に、合成時の粘度の増加を抑制して攪拌しやすくする点や、得られる(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を乾燥させやすくする点等から、ポリイミドを良好に溶解することができ、かつ、なるべく沸点の低い有機溶媒を選択することが好ましい。これによって、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の製造工程の効率化を図ることが可能となる。
【0156】
第2の方法の合成反応に使用することができる上記有機溶媒としては、具体的には、例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N、N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスファミド等のアミド系有機溶媒;N−メチルカプロラクタム等のラクタム系有機溶媒;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の尿素系有機溶媒;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ビス(2−メトキシエチル)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エタン]等の炭化水素系有機溶媒;ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系有機溶媒;γ−ブチロラクトン等のエステル系有機溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン系有機溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン等の硫黄系有機溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ系有機溶媒;アセトニトリル等のニトリル系有機溶媒;等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない、これら有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0157】
<可溶性ポリイミド溶液>
本発明における耐熱性樹脂組成物の調製では、得られた固形の(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を所望の有機溶媒に溶解させることにより、可溶性ポリイミド溶液として用いることができる。可溶性ポリイミド溶液に用いられる有機溶媒としては、得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を溶解することができる有機溶媒であれば特に限定されるものではないが、例えば、上述したポリアミド酸の合成反応に使用する有機極性溶媒を挙げることができる。これら有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0158】
上記可溶性ポリイミド溶液の濃度は特に限定されるものではなく、得られる耐熱性樹脂組成物の用途(使用目的)や使用方法等によって適宜決定すればよいが、通常は1〜30重量%の範囲内であればよい。また、可溶性ポリイミド溶液における粘度も特に限定されるものではないが、通常は、N−メチル−2−ピロリドン溶液とした場合に、30℃における対数粘度が0.1〜2.5(デシリットル/グラム)の範囲にあることが好ましい。対数粘度がこの範囲内であれば、一般的に見て(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の分子量を好適な値とすることができる。
【0159】
なお、本発明にかかる耐熱性樹脂組成物においては、(A)ポリイミド系樹脂として、少なくとも上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が1種含まれていればよいが、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が2種以上含まれていてもよいし、それ以外のポリイミド樹脂が含まれていてもよい。また、この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂としては、イミド化前の前駆体であるポリアミド酸であってもよい。耐熱性樹脂組成物を調製する際に、各成分を配合する際に反応が起こりにくく安定性が高いことから、ポリアミド酸ではなくイミド化された(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0160】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物において、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の配合量は特に限定されるものではないが、耐熱性樹脂組成物の全量を100重量(質量)%としたとき、その下限は20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。一方、その上限は、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の配合量がこのような範囲内であれば、耐熱性樹脂組成物の加工性や、当該耐熱性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化樹脂(硬化物)の誘電特性や耐熱性等の諸物性を優れたものとすることができる。
【0161】
〔(B)ホスファゼン化合物〕
本発明に係る耐熱性樹脂組成物においては、フェノール性水酸基を有する化合物、すなわち、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物および/または(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物が用いられる。上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなるホスファゼン化合物である。
【0162】
上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物および/または(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含むことにより、得られる耐熱性樹脂組成物の耐熱性を損なうことなく難燃性を付与することができる。特に、本発明で用いられるホスファゼン化合物は、分子内にフェノール性水酸基を有するため、このフェノール性水酸基の影響により、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂との相溶性を著しく向上させることができる。そのため、得られる耐熱性樹脂組成物において、難燃剤が表面に析出(ブリードまたはジューシング)しにくくすることができ、難燃性をより一層向上することが可能となる。
【0163】
しかも、分子内にフェノール性水酸基を有するため、耐熱性樹脂組成物を硬化させる場合に、後述する(C)反応性化合物、特にエポキシ樹脂成分と反応し網目構造を形成することが可能となる。そのため、効率のよい硬化が可能となり、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。また、従来のホスファゼン化合物よりもアルカリ可溶性を向上させることも可能である。
【0164】
<(B−1)フェノキシホスファゼン化合物>
本発明で用いられる(B−1)フェノキシホスファゼン化合物は、フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物であれば特に限定されるものではないが、具体的には、(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物および(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物の少なくとも一方が好ましく用いられる。
【0165】
まず、上記(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物は、次に示す一般式(1)
【0166】
【化20】
Figure 2005047995
【0167】
(ただし、式中mは3〜25の整数を示し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基(−COH)を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含む。)
で表される構造を有している。
【0168】
次に、上記(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、次に示す一般式(2)
【0169】
【化21】
Figure 2005047995
【0170】
(ただし、式中nは3〜10000の整数を表し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含み、Rは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、または−N=P(O)(OCOH)を示し、Rは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OC)(OCOH)、または−P(O)(OCOH)を示す。)
で表される構造を有している。
【0171】
上記(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物および(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、上記(A)ポリイミド系樹脂や後述する(C)反応性化合物、あるいは(D)その他成分との相溶性が優れており、さらには、得られる耐熱性樹脂組成物を硬化させた後の耐熱性も優れたものとすることができる。
【0172】
上記(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物および(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、次の各文献に記載の方法により製造することができる。
文献A:横山正明ら、工業化学雑誌,Vol. 67, No. 9, p. 1378 (1964)
文献B:奥橋朋也ら、工業化学雑誌,Vol. 73, No. 6, p. 1164 (1970)
文献C:特開昭58−219190号公報
文献D:Alessandro Medici, et. al., Macromolecules, Vol. 25, No. 10, p. 2569 (1992)
文献E:特開昭54−145394号公報
文献F:特開昭54−145395号公報
例えば、4−メトキシフェノール、4−(ベンジルオキシ)フェノール等のように、2価フェノールの一方の水酸基がメチル基またはベンジル基で保護された化合物(説明の便宜上、保護フェノール化合物と称する)を合成し、さらにこれら化合物のアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)を得る。得られた保護フェノール化合物のアルカリ金属塩(4−メトキシフェノールのアルカリ金属塩、または4−(ベンジルオキシ)フェノールのアルカリ金属塩)を、上記文献E・Fに記載されている塩化ホスホニトリルと反応させる。その後、さらにピリジンハロゲン化水素酸塩または三臭化ホウ素等と反応させることによって、メチル基またはベンジル基を脱保護して水酸基に変える。これによって、上記フェノキシホスファゼン化合物を合成することができる。
【0173】
さらに、上記フェノキシホスファゼン化合物のうち、部分的に水酸基置換のフェノキシ基を有する化合物を製造する場合には、保護フェノール化合物のアルカリ金属、および/またはヒドロキシアルキルフェノールのアルカリ金属塩を得て、これを塩化ホスホニトリルと反応させる際に、アルコール系またはフェノール系化合物のアルカリ金属塩を同時に用いることによって製造することができる。
【0174】
<(B−1)フェノキシホスファゼン化合物の合成(製造)の一例>
上記(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物および(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物の具体的な合成(製造)方法の一例について説明する。
【0175】
まず、次に示す一般式(12)
【0176】
【化22】
Figure 2005047995
【0177】
(ただし、式中mは3〜25の整数を示す。)
で表される環状ジクロルホスファゼン化合物、あるいは、次に示す一般式(13)
【0178】
【化23】
Figure 2005047995
【0179】
(ただし、式中Xは−N=PClまたは−N=P(O)Clを示し、Yは−PClまたは−P(O)Clを示し、nは3〜10000の整数を示す。)
で表される直鎖または鎖状ジクロルホスファゼン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のジクロルホスファゼン化合物を原料ホスファゼン化合物として用いる。
【0180】
上記一般式(12)または(13)で表される化合物に対して、次に示す一般式(14)および(15)
【0181】
【化24】
Figure 2005047995
【0182】
【化25】
Figure 2005047995
【0183】
(ただし、各式中Mはアルカリ金属を示す。)
で表されるアルカリ金属フェノラートを反応させる。なお、上記一般式(15)で表されるアルカリ金属フェノラートにおいては、アルキルオキシ基(メトキシ基)の位置は特に限定されるものではない。
【0184】
上記反応により、一般式(12)または一般式(13)で表される構造に、フェニル基およびメトキシフェニル基を導入することができる。このとき、一般式(12)または(13)で表される構造において、1分子中に少なくとも1個以上のメトキシフェニル基が導入されている必要がある。換言すれば、上記一般式(12)または(13)の化合物と、一般式(14)および(15)の化合物とを反応させる場合には、1分子中に少なくとも1個以上のメトキシフェニル基が導入されるように、一般式(15)の化合物の量(モル比換算)を含む反応条件を規定する必要がある。なお、反応条件の詳細については特に限定されるものではなく、公知の条件を用いればよい。
【0185】
上記反応により得られた化合物に対して、ピリジンハロゲン化水素酸塩または三臭化ホウ素等との反応によって、メトキシフェニル基を脱保護し、水酸基に変換する。その結果、上記一般式(1)で表される(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物および(一般式(2)で表される)(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を合成することができる。
【0186】
<(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物>
上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、上述したように、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有しており、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなるホスファゼン化合物である。この(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を公知の架橋基により架橋したものであればよいが、好ましくは、フェニレン系架橋基により上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋したものであることが好ましい。
【0187】
上記フェニレン系架橋基とは、構造中にフェニル基を含んでいる架橋基であればよいが、具体的には、次に示すo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基
【0188】
【化26】
Figure 2005047995
【0189】
または、次に示す一般式(3)
【0190】
【化27】
Figure 2005047995
【0191】
(ただし、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
で表されるビスフェニレン基のうち、少なくとも何れか一つを含む架橋基を挙げることができる。
【0192】
本発明においては、上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を合成(製造)する場合、上記フェノキシホスファゼン化合物として、該当するどのような化合物を用いてもよいが、上述した(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を用いることが好ましい。このとき、架橋基としても上記フェニレン系架橋基を用いることが好ましい。
【0193】
さらに、(1)フェノキシホスファゼン化合物として、(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を用い、(2)架橋基として上記フェニレン系架橋基を用いた場合、これら(1)および(2)の条件が満たされているとき、架橋の条件を次の(3)および(4)を満たすように規定することが好ましい。
【0194】
すなわち、(3)上記フェニレン系架橋基は、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物((B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物)のフェニル基およびヒドロキシフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、(4)当該架橋フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合が、上記フェノキシホスファゼン化合物中のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の総数を基準として50〜99.9%の範囲内となっていることが好ましい。
【0195】
上記(1)〜(4)の条件を満たす(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を用いれば、得られる耐熱性樹脂組成物において難燃性をより一層向上させることが可能となる。なお、上記(1)〜(4)の条件を満たす架橋フェノキシホスファゼン化合物を、(B−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物と称する。
【0196】
<(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物の合成(製造)の一例>
上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、上記(B−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物を例に挙げて、合成方法の一例を説明する。
【0197】
まず、上記一般式(12)または(13)で表されるジクロルホスファゼン化合物とアルカリ金属フェノラートとを反応させる。このとき用いられるアルカリ金属フェノラートとしては、上記一般式(14)および(15)で表されるアルカリ金属フェノラートに加えて、次に示す一般式(16)および(17)
【0198】
【化28】
Figure 2005047995
【0199】
【化29】
Figure 2005047995
【0200】
(ただし、式中、Mはアルカリ金属を示し、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
で表されるアルカリ金属ジフェノラートとを併用する。
【0201】
これによって得られる化合物は、一般式(12)または(13)で表される構造にメトキシフェニル基(およびフェニル基)が導入されるとともに、上記一般式(16)・(17)で表されるアルカリ金属ジフェノラートによって一般式(12)または(13)で表される構造が架橋された構造となっている。その後、ピリジンハロゲン化水素酸塩または三臭化ホウ素との反応によって、メチル基またはベンジル基を脱保護し水酸基に変える。これによって、一般式(1)および/または一般式(2)で表されるフェノキシホスファゼン化合物を芳香族ジオールで架橋した化合物、すなわち、上記(B−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物を得ることができる。
【0202】
上記フェノキシホスファゼン化合物(架橋体も含む)の配合量は、特に限定されるものではないが、耐熱性樹脂組成物の全重量を100重量%とした場合、0.1〜50重量%の範囲内であることが好ましい。0.1重量%未満の場合には難燃性の付与の効果が小さくなる場合があり、50重量%以上の場合には、接着性の低下や力学特性の低下が見られる場合がある。
【0203】
特に、本発明では、上記(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物を選択した場合、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂と、(B)ホスファゼン化合物成分と、(C−1)エポキシ化合物との合計重量に対する上記(B)ホスファゼン化合物の重量で表される重量混合比(B)/〔(A)+(B)+(C)〕が、0.01以上0.4以下の範囲内となっていることが好ましく、0.05以上0.4以下の範囲内となっていることがより好ましい。0.01未満の場合には難燃性の付与効果が小さく、0.4を超えると、接着性の低下や誘電特性が低下することがある。
【0204】
〔(C)反応性化合物〕
本発明で用いられる(C)反応性化合物は、耐熱性樹脂組成物に含まれる上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂や(B)ホスファゼン化合物と反応して、得られる耐熱性樹脂組成物の物性向上に寄与する化合物であれば特に限定されるものではないが、本発明では、(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物、(C−2)(メタ)アクリル化合物、(C−3)イソシアネート化合物のうち少なくとも1種を好ましく用いることができる。
【0205】
<(C−1)エポキシ化合物>
本発明で(C)反応性化合物として用いられる(C−1)エポキシ化合物は、エポキシ基を分子内に有する化合物であれば特に限定されるものではない。(C−1)エポキシ化合物を含有することにより、得られる耐熱性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化樹脂(以下、単に硬化樹脂と称する)に対して、優れた耐熱性や絶縁性を付与できるとともに、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性も付与することができる。
【0206】
上記(C−1)エポキシ化合物としては、具体的には、各種エポキシ樹脂を挙げることができる。より具体的には、例えば、エピコート828(商品名、油化シェル社製)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;180S65(商品名、油化シェル社製)等のオルソクレゾールノボラック樹脂等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;157S70(商品名、油化シェル社製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;1032H60(商品名、油化シェル社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂;ESN375(商品名、新日鐵化学社製)等のナフタレンアラルキルノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン1031S(商品名、油化シェル社製)、YGD414S(商品名、東都化成)、トリスヒドロキシフェニルメタンEPPN502H(商品名、日本化薬製)、特殊ビスフェノールVG3101L(商品名、三井化学製)、特殊ナフトールNC7000(日本化薬)、TETRAD−X、TETRAD−C(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ポリグリコール型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;エポキシ変性ポリシロキサン;等のエポキシ樹脂類あるいはこれらをハロゲン化したハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられるが特に限定されるものではない。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0207】
特に、本発明では、上記各種エポキシ樹脂の中でも、分子鎖中に少なくとも1つの芳香環および/または脂肪族環を有するエポキシ樹脂(説明の便宜上、環系エポキシ樹脂と称する)をより好ましく用いることができる。このような環系エポキシ樹脂は、(1)入手しやすいこと、(2)(A−1)可溶性ポリイミド樹脂や(B)ホスファゼン化合物との相溶性に優れていること、(3)上記硬化樹脂に対して優れた耐熱性や絶縁性を付与することができること、といった利点がある。
【0208】
本発明では、上記環系エポキシ樹脂として、例えば、次に示す一般式群(5)
【0209】
【化30】
Figure 2005047995
【0210】
(ただし、各式中g,h,i,j,kは、1以上10以下の整数を示す。)
で表される構造を有する化合物から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂(エポキシ化合物)を好適に用いることができる。上記一般式群(5)から選択されるエポキシ化合物を用いれば、上記(1)〜(3)の利点をより得やすくすることができる。
【0211】
本発明で用いられる上記(C−1)エポキシ化合物は、高純度のものを用いることが好ましい。高純度の(C−1)エポキシ化合物を用いることで、信頼性の高い電気絶縁性を得ることができる。ここでいう高純度とは、具体的には、(C−1)エポキシ化合物中に含まれるハロゲンやアルカリ金属の含有濃度が一定レベル以下であることを指す。
【0212】
具体的には、本発明において、耐熱性樹脂組成物中に含まれるハロゲンやアルカリ金属の含有濃度は、120℃、2気圧の条件下で抽出した場合に、500ppm以下であることが好ましく、250ppm以下であることがさらに好ましい。ハロゲンやアルカリ金属の含有濃度が500ppmよりも高くなると、耐熱性樹脂組成物の電気信頼性が損なわれてしまうことがあるため望ましくない。低ハロゲン含有濃度や低アルカリ金属含有濃度を達成するためには、ハロゲンやアルカリ金属の含有濃度が低いエポキシ化合物を選択することが好ましい。なお、(C−1)エポキシ化合物だけではなく、後述する(C−2)(メタ)アクリル化合物や(C−3)イソシアネート化合物についても、ハロゲンやアルカリ金属の含有濃度が低いエポキシ化合物を選択することが好ましい。
【0213】
また、本発明で用いられる(C−1)エポキシ化合物においては、エポキシ価の下限値が150以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましく、190以上であることが最も好ましい。また、上記エポキシ樹脂のエポキシ価の上限値は、700以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、300以下であることが最も好ましい。なお、ここでいうエポキシ価はエポキシ当量とも称し、エポキシ基1個当たりの平均分子量のことを指す。例えば、1g中に5ミリモルのエポキシ基があればエポキシ当量は200である。また、例えば、平均繰り返し単位1000の樹脂において、平均繰り返し単位当たりエポキシ基が2個あればエポキシ当量は500となる。上記エポキシ価が150未満であると、上記硬化樹脂の中で極性基が多くなるため、誘電特性が損なわれる場合がある。すなわち、上記硬化樹脂の誘電率や誘電正接が高くなる。一方、エポキシ価が700を超えると、上記硬化樹脂の中の架橋密度が低下するので、耐熱性が損なわれる場合がある。
【0214】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物において、(C−1)エポキシ化合物の配合量は特に限定されるものではないが、(C−1)エポキシ化合物に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対する上記(B)ホスファゼン化合物や後述する(D)その他の成分に含まれる水酸基のモル数で表されるモル混合比(説明の便宜上、水酸基モル数/エポキシ基モル数と称する)が、0.4以上1.2以下の範囲内となるように調整することが好ましい。
【0215】
上記水酸基モル数/エポキシ基モル数が上記の範囲内であれば、得られる耐熱性樹脂組成物の加工性や上記硬化樹脂の誘電特性や耐熱性等を優れたものとすることができる。なお、エポキシ基および水酸基のそれぞれのモル数は、エポキシ化合物のエポキシ価およびホスファゼン化合物の水酸基価やフェノール樹脂等の水酸基価から算出すればよい。
【0216】
<(C−2)(メタ)アクリル化合物>
本発明で(C)反応性化合物として用いられる(C−2)(メタ)アクリル化合物は、不飽和二重結合を有する化合物であれば特に限定されるものではない。(C−2)(メタ)アクリル化合物を含有することで、上記(C−1)エポキシ化合物と同様に、上記硬化樹脂に対して、優れた耐熱性や絶縁性を付与できるとともに、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性を付与することができる。
【0217】
上記(C−2)(メタ)アクリル化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクレート、ステアリルメタクレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクレート、トリエチレングリコールジメタクレート、ポリエチレングリコールジメタクレート、1,3−ブチレングリコールジメタクレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクレート、ネオペンチルグリコールジメタクレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート、1,4−ブタンジオールジメタクレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクレート、1,6−メキサンジオールジメタクレート、1,9−ノナンジオールメタクレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラレアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0218】
上記(C−2)(メタ)アクリル化合物は、1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、上記硬化樹脂において架橋密度を向上するためには、上記(C−2)(メタ)アクリル化合物の中でも、特に2官能以上を有するモノマーを用いることが望ましい。
【0219】
さらに、本発明においては、上記硬化樹脂の柔軟性を発現させるためには、(C−2)(メタ)アクリル化合物各種変性ジアクリレートを用いることが好ましい。この変性ジアクリレートとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールFEO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジメタアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジメタアクリレート、ビスフェノールS EO変性ジメタアクリレート等を挙げることができる。
【0220】
上記変性ジアクリレートの中でも、特に、ジアクリレートあるいはメタアクリレートの一分子中に含まれる変成するEOの繰り返し単位が2〜50の範囲内の化合物が好ましく、2〜40の範囲内の化合物がより好ましい。
【0221】
上記(C−2)(メタ)アクリル化合物の配合量は特に限定されるものではなく、得られる耐熱性樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、(C−2)(メタ)アクリル化合物を配合することによる効果が十分得られる量であればよい。具体的には、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂100重量部に対し、0.1〜400重量部の範囲内であることが好ましく、5〜250重量部の範囲内がより好ましい。
【0222】
<(C−3)イソシアネート化合物>
本発明で(C)反応性化合物として用いられる(C−3)イソシアネート化合物としては、芳香族または脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられる。本発明で用いる(C−3)イソシアネート化合物としては、低分子化合物、高分子化合物の何れであってもよい。(C−3)イソシアネート化合物を含有することで、上記(C−1)エポキシ化合物等と同様に、上記硬化樹脂に対して、優れた耐熱性や絶縁性を付与できるとともに、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性を付与することができる。
【0223】
上記(C−3)イソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体;これらのイソシアネート化合物の過剰量と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物;等が挙げられる。また、各種の化合物でブロック化されたイソシアネート化合物も用いることができる。これらイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0224】
上記(C−3)イソシアネート化合物の配合量は特に限定されるものではなく、得られる耐熱性樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、(C−3)イソシアネート化合物を配合することによる効果が十分得られる量であればよい。具体的には、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂100重量部に対し、0.1〜400重量部の範囲内であることが好ましく、5〜250重量部の範囲内がより好ましい。
【0225】
〔(D)その他の成分〕
本発明に係る耐熱性樹脂組成物には、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(B)ホスファゼン化合物、(C)反応性化合物以外に(D)その他の成分が含まれていてもよい。(D)その他の成分は、得られる耐熱性樹脂組成物の用途に応じて適宜選択されるものであって特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、(D−1)(C)反応性化合物の反応開始剤または反応促進剤、(D−2)熱硬化性を向上させるための熱硬化成分、(D−3)目的に応じた各種添加剤、(D−4)その他の難燃剤等を挙げることができる。
【0226】
<(D−1)(C)反応性化合物の反応開始剤または反応促進剤>
本発明で(D)その他の成分として用いられる(D−1)(C)反応性化合物の反応開始剤または反応促進剤としては、(C)反応性化合物の種類に応じて、(C−1)エポキシ化合物の硬化剤および硬化促進剤、(C−2)(メタ)アクリル化合物の重合開始剤、(C−3)イソシアネート化合物の硬化剤を挙げることができる。
【0227】
まず、(C)反応性化合物のうち、(C−1)エポキシ化合物の場合は、水酸基を有するホスファゼン化合物が硬化剤として作用するため硬化剤を添加しなくても硬化が可能であるが、硬化物の特性、特に耐熱性を向上させることを目的に硬化剤を添加することが好ましい。
【0228】
(C−1)エポキシ化合物の硬化剤としては、より具体的には、例えば、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビフェノールクレゾールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールメラミン共重合型フェノール樹脂、ナフトール/クレゾール共重合型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、1,5−ジアミノナフタレン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−1,4−ベンゼンジアミン、1,3−ジ(p−アミノフェニル)プロパン、m−キシレンジアミン等の芳香族ジアミン系化合物;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン系化合物;ポリアミノアミド系化合物、ドデシル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等の脂肪族酸無水物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族酸無水物;アミノ樹脂類;ユリア樹脂類;メラミン樹脂類;ジシアンジアミド;ジヒドラジン化合物類;イミダゾール化合物類;ルイス酸およびブレンステッド酸塩類;ポリメルカプタン化合物類;イソシアネートおよびブロックイソシアネート化合物類;等を挙げることができる。これら硬化剤は、1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0229】
上記(C−1)エポキシ樹脂の硬化剤の使用量は特に限定されるものではないが、全エポキシ化合物を100重量部としたとき、下限が0.1重量部以上であればよく1重量部以上であることが好ましい。一方、上限は100重量部以下であればよく50重量部以下であることが好ましい。
【0230】
また、(C−1)エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、当該(C−1)エポキシ化合物の硬化を促進できる化合物であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;3級アミン系、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン等のアミン系化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のボレート系化合物;イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物;2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物等を挙げることができる。これら硬化促進剤は1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0231】
また、(C−1)エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、各種アミンアダクト、スルホニウム塩、イミダゾール類等の潜在性硬化促進剤を用いることができる。これら潜在的硬化促進剤も1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0232】
上記(C−1)エポキシ樹脂の硬化促進剤の使用量は特に限定されるものではないが、全エポキシ化合物を100重量部としたとき、0.01〜10重量部の範囲内で用いることが好ましい。
【0233】
次に、(C)反応性化合物のうち、(C−2)(メタ)アクリル化合物の場合は、反応を開始するために、熱によりラジカルが発生するような重合開始剤が必要となる。このような重合開始剤としては、具体的には、例えば、過酸化物類、アゾ化合物、過硫酸塩類、その他のレドックス系開始剤等を用いることができる。これら重合開始剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
【0234】
次に、(C)反応性化合物のうち、(C−3)イソシアネート化合物の場合は、硬化剤として、アミン類、ポリオール類等を用いることができる。この(C−3)イソシアネート化合物の硬化剤は1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、その使用量も特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
【0235】
<(D−2)熱硬化成分>
本発明において(D)その他の成分として用いることのできる上記熱硬化成分は、得られる耐熱性樹脂組成物または当該耐熱性樹脂組成物が硬化した後の硬化樹脂において、接着性や耐熱性、加工性等の諸特性を改善するために用いることができる。
【0236】
このような熱硬化性成分としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;高分子鎖の側鎖または末端にアリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子;等を挙げることができる。これら熱硬化成分は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、熱硬化成分の使用量は特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
【0237】
<(D−3)各種添加剤>
本発明においては、耐熱性樹脂組成物の用途等に応じて、各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、必要に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等の無機フィラー;シアニングリーン、シアニンブルー等着色顔料;チクソトロピー剤;消泡剤;レベリング剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;重合禁止剤等を挙げることができる。これら各種添加剤の使用量は特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
【0238】
<(D−4)その他の難燃剤>
本発明においては、難燃性をより向上させる目的で、上記(B)ホスファゼン化合物以外の難燃剤を併用しても良い。(D−4)その他の難燃剤としては、具体的には、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ホスフィンオサイド、ホスフィン、含ハロゲンリン酸エステル、含縮合リン酸エステル、含ハロゲン(メタ)アクリル系化合物、オルガノポリシロキサン化合物等を挙げることができる。これら(D−4)その他の難燃剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
【0239】
なお、上記(D)その他の成分の使用量(配合量)については、上述したように、それぞれ特に限定されるものではないが、具体的な使用量の設定については、得られる耐熱性樹脂組成物または当該耐熱性樹脂組成物が硬化した後の硬化樹脂において、誘電特性や耐熱性、難燃性等の諸物性を損なわないことを基準とすればよい。
【0240】
〔耐熱性樹脂組成物〕
本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を少なくとも含んでおり、好ましくは、(C)反応性化合物や(D)その他の成分を含んでいればよい。
【0241】
<耐熱性樹脂組成物の製造>
本発明に係る耐熱性樹脂組成物の製造(調製)方法、すなわち、上記各成分の配合方法としては、特に限定されるものではないが、上記各成分を良好に溶解する有機溶媒に溶解させることにより、耐熱性樹脂組成物の溶液を得る方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上記各成分を適当な溶媒に添加して攪拌することにより耐熱性樹脂組成物の溶液を得てもよいし、上記各成分をそれぞれ適当な溶媒に溶解して成分毎の溶液を調製し、これを混合することによっても得ることができる。
【0242】
このとき用いられる有機溶媒としては、ポリイミド系樹脂の溶剤として用いられる公知の有機溶媒を用いることができる。具体的には、例えば、芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類、エーテル類(環状エーテル類、グリコールエーテル類など)、N−置換アミド類、アルコール類、カルボン酸類、アミン類、塩素系溶剤等の有機溶媒を挙げることができる。中でも、沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下の低沸点の有機溶媒を好ましく用いることができる。
【0243】
上記低沸点の有機溶媒としては、具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、トリグライム、ジエチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ジエチルエーテル、各種プロピレングリコールエーテル等の鎖状エーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のシクロアルカン類;酢酸エチル等のエステル類;等が好ましく用いられる。また、上記エーテル類に、トルエン、キシレン類、グリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、環状シロキサン、鎖状シロキサン等を混合した混合溶媒も好ましく用いることができる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
【0244】
また、(C)反応性化合物に(A−1)可溶性ポリイミド樹脂が溶解する場合は、当該(C)反応性化合物を溶媒として用いることも可能である。さらに、上記有機溶媒のうち、水と相溶性を有する有機溶媒については、水との混合物として用いても良い。
【0245】
このように、本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、有機溶媒(好ましくは低沸点の有機溶媒)に溶解した溶液であってもよい。このような耐熱性樹脂組成物の溶液は、コーティング材として好適に用いることができる。したがって、本発明に係る耐熱性樹脂組成物においては、上述した有機溶媒や水が、(D)その他の成分に含まれていてもよい。本発明に係る耐熱性樹脂組成物の溶液の代表的な一例を挙げると、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドに、1重量%以上好ましくは5重量%以上溶解した溶液を挙げることができる。
【0246】
<耐熱性樹脂組成物の利用>
本発明に係る耐熱性樹脂組成物の利用方法は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、上記耐熱性樹脂組成物を用いて形成されてなる樹脂フィルムまたは樹脂シート、樹脂製剤等を挙げることができる。
【0247】
上記樹脂フィルムは、例えば、プリント配線板用接着剤シート、カバーレイフィルム、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、またはプリント配線板用基板として好適に用いることができ、上記樹脂製剤は、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用封止剤、回路保護剤、またはカバーインクとして好適に用いることができる。
【0248】
また、上記耐熱性樹脂組成物、またはこれを用いた樹脂フィルムや樹脂製剤を用いて形成された樹脂層を少なくとも1層含む積層体も本発明の利用方法の一つである。この積層体は、例えば、回路基板、または多層プリント配線板として好適に用いることができる。
【0249】
上記樹脂フィルム、樹脂製剤、積層体について、具体的な一例を挙げて説明する。
【0250】
本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、上述した溶液状の状態で樹脂製剤として用いることができる。その他必要に応じて各種溶媒や添加剤を加えて樹脂製剤として用いてもよい。本発明に係る耐熱性樹脂組成物を含む樹脂製剤は、コーティング剤またはワニスとして用いることができ、例えば、ガラス布、ガラスマット、芳香族ポリアミド繊維布、芳香族ポリアミド繊維マット等の各種繊維に含浸させることもできる。このように繊維に含浸させた耐熱性樹脂組成物を半硬化させれば、繊維強化型樹脂シートを得ることができる。
【0251】
また、本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、あらかじめシート状に成形加工しておくことによって、樹脂フィルムまたは樹脂シートとして用いることができる。具体的には、(1)耐熱性樹脂組成物のみからなる単層シート、(2)基材として用いられるフィルム(フィルム基材)の片面あるいは両面に上記耐熱性樹脂組成物からなる樹脂層を設けてなる2層シートまたは3層シート、(3)フィルム基材と耐熱性樹脂組成物からなる樹脂層とを交互に積層した多層シート等の積層体を挙げることができる。
【0252】
上記樹脂シートは、上述した耐熱性樹脂組成物の溶液または樹脂製剤を支持体表面に流延または塗布・乾燥させて、フィルム状に成形することにより製造することができる。このフィルム状の耐熱性樹脂組成物(樹脂フィルム)は、半硬化状態(Bステージ状態)にある。したがって、半硬化状態にある樹脂フィルムを上記支持体から剥離すれば、上記単層シートを得ることができる。また、上記積層体は、上記フィルム基材の表面に、上述した耐熱性樹脂組成物の溶液または樹脂製剤を流延または塗布し、これを乾燥させる操作を繰り返すことによって、製造することができる。
【0253】
上記フィルム基材の具体的な材質は特に限定されるものではなく、公知の樹脂フィルムや樹脂シートを用いることができるが、例えば、銅やアルミニウム等の金属を用いれば、金属付き積層体を得ることができる。すなわち、金属付き積層体は、少なくとも1つの耐熱性樹脂組成物からなる樹脂層と、少なくとも1つの金属層とを含む積層体である。この樹脂層は、金属層の片面にのみ設けてもよいし、金属層と樹脂層とを交互に積層させてもよい。
【0254】
上記金属付き積層体は、上述したように、耐熱性樹脂組成物の溶液または樹脂製剤を金属層表面に流延または塗布して乾燥することによって製造することもできるが、上記樹脂シートに金属箔を貼り合せたり、樹脂シートの表面に化学めっきやスパッタリング等により金属層を形成したりすることでも製造することができる。さらに、上記金属層が回路基板の導体として用いることができる金属であれば、上記金属付き積層体の金属層に、ドライフィルムレジストや液状のレジスト等を用いて金属エッチング等を行って、所望のパターンの回路(以下、パターン回路)を形成することもできる。したがって、上記金属付き積層体の金属層にパターン回路を形成し、本発明に係る耐熱性樹脂組成物からなる樹脂層を設ければ、フレキシブルプリント配線基板やビルドアップ回路基板等の回路基板として用いることが可能になる。
【0255】
上記金属層としてパターン回路が形成された金属層を用いる場合には、樹脂層として上記半硬化状態の樹脂シートを用いてもよい。本発明に係る耐熱性樹脂組成物を用いてなる半硬化状態の樹脂シートは、適度な流動性を有しているため、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合にパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。これにより、金属層と樹脂層とを良好に貼り合わせることができる。
【0256】
上記熱圧着処理における処理温度は、圧着が十分にできる温度であれば特に限定されるものではないが、50〜200℃の範囲内であることが好ましく、60〜180℃の範囲内であることがより好ましく、80〜130℃の範囲内であることが特に好ましい。上記処理温度が200℃を超えると、熱圧着処理時に樹脂層が硬化してしまう可能性がある。一方、上記処理温度が50℃未満であると、樹脂層の流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる。
【0257】
上記パターン回路上に設けられる樹脂層は、パターン回路を保護する保護材料あるいは、多層の回路基板での層間絶縁材料となる。そのため、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、加熱キュア等を行うことによって、完全に硬化させることが好ましい。
【0258】
なお、上記(C)反応性化合物として(C−1)エポキシ化合物を用いた場合、本発明に係る耐熱性樹脂組成物を硬化させるときには、(C−1)エポキシ化合物の硬化反応を十分に進行させるために、金属層と樹脂層とを貼り合せた後に、ポスト加熱処理を実施することが好ましい。ポスト加熱処理の条件は特に限定されるものではないが、150〜200℃の範囲内の温度条件下で、10分以上3時間以下の範囲内で加熱処理を行うことが好ましい。
【0259】
このように、本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、上述した各成分を含んでいるため、誘電特性・耐熱性・難燃性に優れており、熱硬化性成分を含有しているため加工性・取扱性にも優れ、これら諸物性のバランスも優れたものとなっている。それゆえ、従来の絶縁層で生じる問題点を十分に解消することが可能になり、その結果、フレキシブル配線板(FPC)やビルドアップ多層回路基板などの積層材料等、低誘電率、低誘電正接が要求されるような各種積層構造体の製造に好適に用いることができる。
【0260】
なお、本発明に係る耐熱性樹脂組成物には、その特性を低下させない限り、前述した以外の成分が含まれていてもよいことは言うまでもない。同様に、本発明に係る耐熱性樹脂組成物においては、前述した以外の工程が含まれていても良いことも言うまでもない。
【0261】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行い得る。
【0262】
なお、実施例1〜3および比較例2で得られた耐熱性樹脂組成物の樹脂シートを加熱硬化してなる硬化物の各種物性は次のようにして測定・評価した。
【0263】
〔誘電特性〕
空洞共振器摂動法複素誘電率評価装置(商品名、関東電子応用開発社製)を用い、下記条件にて、硬化樹脂シートの誘電率及び誘電正接を測定した。
測定周波数:3GHz、5GHz、10GHz、
測定温度 :22℃〜24℃
測定湿度 :45%〜55%
測定試料 :上記測定温度・測定湿度条件下で、24時間放置した樹脂シート
〔ガラス転移温度〕
DMS−200(セイコー電子工業社製)を用い、測定長(測定治具間隔)を20mmとして、下記の条件下で、硬化樹脂シートの貯蔵弾性率(ε’)の測定を行い、該貯蔵弾性率(ε’)の変曲点をガラス転移温度(℃)とした。
測定雰囲気:乾燥空気雰囲気下
測定温度 :20〜400℃の範囲内
測定試料 :幅9mm,長さ40mmにスリットした硬化樹脂シート
〔半田耐熱性〕
後述の実施例で得られた両面に銅層を有する銅箔積層体を下記条件にて調整、調湿した後に、260℃の溶融半田に1分間ディップし、片側の銅箔のみをエッチングした。その後、目視にて樹脂部分を観察し、発泡や膨れ等異常がなければ合格とした。
試料形状:15mm×30mm
調湿条件:温度22.5℃〜23.5℃、湿度39.5%〜40.5%の環境下で24時間放置した。
【0264】
〔難燃性〕
UL規格に準拠して評価した。
【0265】
〔合成例1:原料ホスファゼン化合物の合成I〕
還流冷却器、温度計、撹拌機、三塩化リン滴下器及び塩素ガス吹き込み管を備えた5Lのフラスコにクロルベンゼン2.5L、塩化アンモニウム182.5g(3.4モル)及び塩化亜鉛2.5gを仕込んで混合分散液を得た。該分散液を温度130℃に加熱して還流下で三塩化リン425.5gを9g/分の速度で48分間にわたって滴下すると同時に塩素ガス227gを5g/分の速度で46分間にわたって供給した。三塩化リン及び塩素ガスを供給した後、更に150分間還流(131℃)を行って反応を完結した。次いで吸引濾過して未反応の塩化アンモニウムを除去し、濾液を1.0〜3.0hPaの減圧下にて30〜50℃でクロルベンゼンを留去して反応生成物352gを得た。該反応生成物の三塩化リンを基準とした収率は98.1%であった。
【0266】
得られた反応性生物をクロルベンゼンに再溶解し、再結晶によってヘキサクロロシクロトリホスファゼン及びオクタクロロシクロテトラホスファゼンの混合物(226g,ヘキサクロロシクロトリホスファゼン:76%,オクタクロロシクロテトラホスファゼン:24%)を得た。
【0267】
再結晶で残ったクロルベンゼン溶液を濃縮し、環状クロロホスファゼンのホスファゼン化合物。但しmは3〜15の混合物)125gを得た。また、先に得たヘキサクロロシクロトリホスファゼン及びオクタクロロシクロテトラホスファゼンの混合物を、ヘキサンを用い3回再結晶することで、純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン155gを得た。
【0268】
〔合成例2:(B−1)フェノキシホスファゼン化合物の合成II〕
還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58g(0.5ユニットモル、NPClを1ユニットとする)、テトラヒドロフラン(THF)100mLを仕込んで溶液を得た。次に別に調製した4−メトキシフェノールのナトリウム塩のTHF溶液(4−メトキシフェノール149.0g(1.2モル)、ナトリウム25.3g(1.1g−atom)、THF600mL)を撹拌しながら、2時間かけて上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液に滴下した。ナトリウム塩の約1/3量を加えるまでは激しい発熱があり、冷却しながら滴下反応を行った。残り2/3量の添加時には激しい発熱反応にならないが、反応温度を30℃以下になるように適宜冷却して反応を行った。
【0269】
滴下終了後、引き続き12時間室温下での撹拌反応を行った。次に反応完結のために溶媒還流下で6時間反応を行った。反応終了後、溶媒のTHFを減圧下に留去し、次にトルエン500mLを加えて再溶解し、さらに水500mLを加えて分液ロート中にて有機層の分液を行った。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液500mLで3回洗浄し、さらに、(1+9)塩酸水溶液500mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水500mLで1回、水500mLで2回洗浄した。この時の水層のpHは7〜8であった。
【0270】
有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水処理し、トルエンを留去して黄色固体状のヘキサ(4−メトキシフェノキシ)シクロトリホスファゼン138.4g(収率95%)を得た。残存塩素量は0.02%で、融点は104℃(文献値103〜104℃)であった。
【0271】
上記の方法で得たヘキサ(4−メトキシフェノキシ)シクロトリホスファゼン130.6g(0.45ユニットモル)とピリジン塩酸塩1040g(9モル)を、2Lの4ツ口フラスコに仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反応を行った。室温冷却後、水300mLを加えて反応生成物及び過剰のピリジン塩酸塩を溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液でpH6〜7に反応溶液を調製した。
【0272】
次に酢酸エチル500mLを用いて抽出を4回行った後に、抽出液を合わせて、飽和硫酸ナトリウム水500mLで4回洗浄し、有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムにより脱水処理後、減圧下にて酢酸エチルを留去した。次に濃縮物をメタノール200mLに溶解し水1.5L中に投入し、結晶を析出させる工程を3回繰り返して行い、得られた結晶を減圧乾燥し、淡黄色結晶94.8g(収率80%)を得た。
【0273】
生成物の残存塩素量は0.01%以下であり、分析化学便覧(日本分析化学会編)、有機編、第316頁に記載されている無水酢酸及びピリジンによるアセチル化法により、水酸基(OH,%)を定量したところ、12.9%であった(理論値12.9%、組成式N(OCOH)、水酸基当量131.8)。また、H−および31P−NMR分析を行い、合成ができていることを確認した。以下、説明の便宜上、得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物をPhP1と称するものとする。
【0274】
〔合成例3:(B−1)フェノキシホスファゼン化合物の合成III〕
合成例1にて合成した環状および鎖状のクロロホスファゼン58g(0.5ユニットモル)を使用した他は合成例2と同様の方法により4−メトキシフェノキシ誘導体を得た。収量は135.7g(収率93%)で、残存塩素量は0.04%で、黄色高粘稠体であった。
【0275】
上記により得た4−メトキシフェノキシ誘導体131.1g(0.45ユニットモル)を使用した他は合成例2と同様の方法によりメチル基の除去を行った。得られた生成物は淡茶色、高粘稠体で収量98.6g(収率75%)であった。生成物の残存塩素量は0.01%以下であり、H−及び31P−NMR分析を行い、合成ができていることを確認した。水酸基含量は12.7%(水酸基当量133.9)であった。以下、説明の便宜上、得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物をPhP2と称するものとする。
【0276】
〔合成例4:(B−1)フェノキシホスファゼン化合物の合成IV〕
還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58g(0.5ユニットモル、NPClを1ユニットとする)、THF100mLを仕込んで溶液を得た。次に、別に調製した4−メトキシフェノールのNa塩のTHF溶液(4−メトキシフェノール68.3g(0.55モル)、ナトリウム11.1g(0.44g−atom)、THF200mL)を撹拌しながら、1時間かけて上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液に滴下した。反応は激しい発熱であるので、反応温度が30℃ を越えないように適宜冷却して反応を行った。滴下終了後、引き続き6時間60℃で撹拌反応を行った。この反応にて得られた部分置換体の残存塩素量は15.78%であり、推定構造は、NCl3.36(OCOCH2.63であった。
【0277】
次に、別に調製したナトリウムフェノラートのTHF溶液(フェノール61.2g(0.65モル)、ナトリウム13.8g(0.6g−atom)、THF200mL)を、反応温度が30℃以下になるように冷却制御し1時間かけて滴下した。次いで室温下で5時間、還流温度で3時間反応を行い、反応を完結した。反応終了後、溶媒のTHFを減圧下に留去し、次にトルエン500mLを加えて生成物を再溶解し、さらに水300mLを加えて水洗分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄及び2%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を各々1回行った後に、(1+9)塩酸水溶液で1回洗浄、5%炭酸水素ナトリウム水で1回洗浄し、さらに水で2回洗浄し、水層を中性とした。次に有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、トルエンを留去して淡黄色油状の生成物122.6g(収率95%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であった。
【0278】
上記の方法で得た4−メトキシフェノキシ基とフェノキシ基が混合置換したシクロトリホスファゼン116.2g(0.45ユニットモル)とピリジン塩酸塩583.6g(5.05モル)を、2Lの4ツ口フラスコに仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反応を行った。その後の操作は合成例2と同様に行い、黄色固体90.5g(収率81.8%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であり、水酸基含有量は6.1%であった(理論値6.1%、組成式N(OPh)3.36(OCOH)2.63、水酸基当量279)。以下、説明の便宜上、得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物をPhP3と称するものとする。
【0279】
〔合成例5:(B−1)フェノキシホスファゼン化合物の合成V〕
還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58g(0.5ユニットモル、NPClを1ユニットとする)、THF100mLを仕込んで溶液を得た。次に別に調製した4−メトキシフェノールのNa塩のTHF溶液(4−メトキシフェノール37.2g(0.3モル)、ナトリウム6.0g(0.26g−atom)、THF200mL)を撹拌しながら、1時間かけて上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液に滴下した。反応は激しい発熱であるので、反応温度が30℃ を越えないように適宜冷却して反応を行った。滴下終了後、引き続き6時間60℃で撹拌反応を行った。該反応にて得られた部分置換体の残存塩素量は35.58%であり、推定構造は、NCl4.45(OCOCH1.55であった。
【0280】
次に、別に調製したナトリウムフェノラートのTHF溶液(フェノール79.1g(0.85モル)、ナトリウム18.4g(0.8g−atom)、THF200mL)を、反応温度が30℃ 以下になるように冷却制御し1時間かけて滴下した。次いで室温下で5時間、還流温度で3時間反応を行い、反応を完結した。反応終了後、溶媒のTHFを減圧下に留去し、次にトルエン500mLを加えて生成物を再溶解し、更に水300mLを加えて水洗分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄及び2%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を各々1回行った後に、(1+9)塩酸水溶液で1回洗浄、5%炭酸水素ナトリウム水で1回洗浄し、さらに水で2回洗浄し、水層を中性とした。次に有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、トルエンを留去して淡黄色油状の生成物110.0g(収率90%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であった。
【0281】
上記の方法で得た4−メトキシフェノキシ基とフェノキシ基が混合置換したシクロトリホスファゼン98.7g(0.40ユニットモル)とピリジン塩酸塩583.6g(5.05モル)を、2Lの4ツ口フラスコに仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反応を行った。その後の操作は合成例2と同様に行い、黄色固体75.0g(収率78.3%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であり、水酸基含有量は4.0%であった(理論値4.0%、組成式N(OPh)4.45(OCOH)1.55、水酸基当量430)。以下、説明の便宜上、得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物をPhP4と称するものとする。
【0282】
〔合成例6:(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物の合成〕
還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58g(0.5ユニットモル、NPClを1ユニットとする)、THF100mLを仕込んで溶液を得た。次に別に調製したフェノール類のNa塩のTHF溶液(4−メトキシフェノール37.2g(0.3モル)、レゾルシノール11.0g(0.10モル)、ナトリウム12.6g(0.55g−atom)、THF400mL)を撹拌しながら、1時間かけて上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液に滴下した。反応は発熱であるので、反応温度が30℃を越えないように適宜冷却して反応を行った。滴下終了後、引き続き6時間60℃で撹拌反応を行った。該反応にて得られた部分置換体の残存塩素量は21.17%であり、推定構造は、(NCl3.15(OCOCH1.78(OCO)0.50(OCOH)0.07)である。
【0283】
次に、別に調製したナトリウムフェノラートのTHF溶液(フェノール79.1g(0.85モル)、ナトリウム18.4g(0.8モル)、THF200mL)を、反応温度が30℃ 以下になるように冷却制御し1時間かけて滴下した。次いで室温下で5時間、還流温度で3時間反応を行い、反応を完結した。反応終了後、溶媒のTHFを減圧下に留去し、次にトルエン500mLを加えて生成物を再溶解し、更に水300mLを加えて水洗分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄及び2%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を各々1回行った後に、(1+9)塩酸水溶液で1回洗浄、5%炭酸水素ナトリウム水で1回洗浄し、さらに水で2回洗浄し、水層を中性とした。次に有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。
【0284】
上記の方法で得た4−メトキシフェノキシ基とフェノキシ基が混合置換したシクロトリホスファゼンとピリジン塩酸塩583.6g(5.05モル)を、2Lの4ツ口フラスコに仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反応を行った。その後の操作は合成例2と同様に行い、黄色固体104.9g(収率92%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であり、水酸基含有量は4.6%であった(理論値4.5%、組成(N(OC3.15(OCOH)1.85(OCO)0.50)、水酸基当量370、なお、上記組成におけるフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合は、架橋前のフェノキシホスファゼン化合物の構造を、例えば[(OC4.15+(OCOH)1.85]とした場合には、[[(OC3.15+(OCOH)1.85]×100]/[(OC4.15+(OCOH)1.85]=(5×100)/6=83.3%となる)。
【0285】
この架橋フェノキシホスファゼン化合物について、TG/DTA分析(熱重量分析)により分析したところ、分解開始温度は、322℃、5%重量減少温度は332℃であった。以下、説明の便宜上、得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋PhPと称するものとする。
【0286】
〔合成例7:(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成例I〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、ジメチルホルムアミド(DMF)に0.95当量の1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)および0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化社製)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌溶解した。さらにフラスコ内を窒素置換雰囲気下、溶液を氷水で冷却しながら撹拌し、1当量の4、4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(IPBP)を添加しさらに3時間攪拌した。これによって、ポリアミド酸重合体溶液を得た。なお、DMFの使用量は、APB、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルおよびIPBPのモノマー仕込み濃度が30重量%となるように設定した。
【0287】
得られたポリアミド酸溶液300gをフッ素樹脂コートしたバットに移し、真空オーブンで200℃×3時間、5mmHg(約0.007気圧、約5.65hPa)の圧力の条件で減圧加熱することによって、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(I)を得た。
【0288】
〔合成例8:(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成例II〕
IPBPに代えて3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を使用した以外は、上記合成例7と同様の方法にて(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(II)を得た。
【0289】
〔実施例1〕
合成例7で得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(I)を50g、エポキシ樹脂としてジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂HP7200(商品名、エポキシ価277、大日本インキ化学工業(株)社製)を24.8g、合成例2で得られた(B−1)フェノキシホスファゼン化合物(水酸基当量279)を25.2g、また、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル(商品名:2E4MZ、四国化成社製)0.3gをジオキソランに溶解し、本発明に係る耐熱性樹脂組成物としての樹脂溶液を得た。その組成の概要を表1に示す。なお、表1中では、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂については、Iの番号で示し、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物については、PhP1の略号で示す。
【0290】
得られた樹脂溶液を、支持体としての125μm厚PETフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に流延した。その後、熱風オーブンにて60℃、80℃、100℃、120℃、140℃の温度で各3分加熱乾燥させて、PETフィルムを基材とする2層の樹脂シートを得た。該樹脂シートから、PETフィルムを剥離除去し、単層の樹脂シートを得た。得られた単層の樹脂シート(加熱硬化前)の厚みは50μmあった。得られた樹脂シートを18μmの圧延銅箔(商品名BHY−22B−T、ジャパンエナジー社製)で樹脂表面と銅箔粗化面が接するように挟み込み、温度180℃、圧力3MPaの条件で1時間加熱加圧した後、銅箔積層体(単層樹脂シートを圧延銅箔で挟持した構成)を得た。
【0291】
得られた両面に銅箔層を有する銅箔積層体を使用して半田耐熱性を評価した。その結果を表2に示す。さらに、得られた銅箔積層体の銅箔をエッチングにより除去し硬化シートを得た。得られた硬化シートを用い誘電特性およびガラス転移温度、難燃性を測定した。その結果を表2に示す。
【0292】
〔実施例2〜3〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(C)反応性化合物としてのエポキシ樹脂、(B)ホスファゼン化合物、(D)その他の成分としてのフェノール樹脂、硬化促進剤を、表1に示すように所定の比率で混合した以外は、実施例1と同様にして本発明に係る耐熱性樹脂組成物を得た。この耐熱性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法・条件にて、樹脂シート(加熱硬化前)、硬化させた樹脂シートを得た。それぞれについて、半田耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、難燃性を測定した。その結果を表2に示す。
【0293】
〔比較例1〕
合成例8で得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(II)を50gのジオキソラン200gに溶解しようとしたが、溶解しなかった。そのため、耐熱性樹脂組成物(樹脂溶液)を調製することができなかった。
【0294】
〔比較例2〕
合成例7で得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(I)を25g、エポキシ樹脂としてジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂HP7200(商品名、エポキシ価277g、大日本インキ化学工業(株)社製)を72.6g、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型フェノール樹脂PSM4324(商品名、水酸基当量104、群栄化学(株)社製)を27.4g、また、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル(四国化成社製)0.3gをジオキソランに溶解し、耐熱性樹脂組成物としての樹脂溶液を得た。
【0295】
得られた樹脂溶液を、支持体としての125μmPETフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に流延した。その後、熱風オーブンにて60℃、80℃、100℃、120℃、140℃の温度で各3分加熱乾燥させて、PETフィルムを基材とする2層の樹脂シートを得た。該樹脂シートから、PETフィルムを剥離除去し、単層の樹脂シートを得た。得られた単層の樹脂シート(加熱硬化前)の厚みは50μmあった。得られた樹脂シートを18μmの圧延銅箔(商品名BHY−22B−T、ジャパンエナジー社製)で樹脂表面と銅箔粗化面が接するように挟み込み、温度180℃、圧力3MPaの条件で1時間加熱加圧した後、銅箔積層体(単層樹脂シートを圧延銅箔で挟持した構成)を得た。
【0296】
得られた両面に銅箔層を有する銅箔積層体を使用して半田耐熱性を評価した。その結果を表2に示す。さらに、得られた銅箔積層体の銅箔をエッチングにより除去し硬化シートを得た。得られた硬化シートを用い誘電特性およびガラス転移温度、難燃性を測定した。その結果を表2に示す。
【0297】
〔比較例3〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(C)反応性化合物、(B)ホスファゼン化合物、(D)その他の成分を、表1に示すように所定の比率で混合した以外は、比較例2と同様にして、耐熱性樹脂組成物としての樹脂溶液、銅箔積層体、硬化シートを得た。銅箔積層体を使用しての半田耐熱性、硬化シートを用いての誘電特性およびガラス転移温度、難燃性について、評価または測定結果を表2に示す。
【0298】
【表1】
Figure 2005047995
【0299】
【表2】
Figure 2005047995
【0300】
次に、合成例9〜11で得られた(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、実施例4〜6および比較例4〜6で得られた耐熱性樹脂組成物の樹脂シートを加熱硬化してなる硬化物の各種物性は次のようにして測定・評価した。
【0301】
〔溶剤溶解性〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂をジメチルアセトアミドに固形分濃度25%となるように溶解させて、目視により残存物の有無により確認した。残存物がなければ溶解と判断した。
【0302】
〔対数粘度〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂0.1gをN−メチル−2−ピロリドン20ccに溶かし、30℃で測定した。
【0303】
〔ガラス転移温度(Tg)〕
荷重1g、サンプルサイズ5×15mm、昇温速度10℃/分で島津製作所製TMA−50Hを用い引張り測定法による測定し、得られたチャートの変曲点の温度をTgとした。
【0304】
サンプルは以下のように作製した。耐熱性樹脂組成物の溶液をバーコーターで、18μm厚みの銅箔の輝面に塗布し、60℃で10分、90度で10分乾燥して、乾燥後の塗布厚みが25μmになるようにした。次に、160℃のオーブンで2時間加熱キュアを行った。このようにして得た銅箔の積層体より、エッチングにより銅箔を除去・水洗・乾燥し、耐熱性樹脂組成物のフィルムを得た。このフィルムを5×15mmにカットして測定サンプルとした。
【0305】
〔ポリイミドフィルムとの積層体の難燃性試験〕
プラスチック材料の難燃性試験規格UL94に従い、以下のように難燃性試験を行った。
【0306】
耐熱性樹脂組成物の溶液をバーコーターで遮光しながら、25μm厚みのポリイミドフィルム(鐘淵化学工業(株)製、25AHフィルム)に塗布し、60℃で5分、90度で5分乾燥して、乾燥後の塗布厚みが25μmになるようにした。次に、160℃のオーブンで2時間加熱キュアを行った。このように作製したサンプルを寸法1.27cm幅×12.7cm長さ×50μm厚み(ポリイミドフィルムの厚みを含む)にカットしたものを20本用意した。
【0307】
20本のうち10本は▲1▼23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は▲2▼70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。
【0308】
これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を10秒間近づけて着火した。10秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定した。各条件(▲1▼、▲2▼)につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で5秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火したものを合格とした。1本でも10秒以内に消火しないサンプルがあったり、炎がサンプル上部のクランプのところまで上昇して燃焼したりするものは不合格とした。
【0309】
〔半田耐熱性〕
まず、電解銅箔(三井金属製、商品名NDP−3 1/2 oz)を10%硫酸水溶液で1分間ソフトエッチング(銅箔表面の防錆剤を除去する工程)し、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。耐熱性樹脂組成物の溶液をバーコーターで、上記電解銅箔に塗布し、60℃で10分、90度で10分乾燥して、乾燥後の塗布厚みが25μmになるようにした。この積層体の耐熱性樹脂組成物を、サンプルを4cm角にカットし、160℃で2時間キュアして硬化させた。このサンプルを40℃/相対湿度85%の環境で48時間、調湿した後に、270℃の溶融半田に1分間ディップし、銅箔とカバーレイの界面に膨れが発生したり剥離したりしていないか観察した(270℃ディップ)。異常がなければ合格とした。
【0310】
また、溶融半田の温度を徐々に上げていき、10℃毎に30秒間ディップして何℃まで異常が発生しないか調べた。異常の発生しなかった最高温度を30秒ディップ可能温度として評価した。
【0311】
〔ブリード〕
ポリイミドフィルムとの積層体の難燃試験で作製したポリイミドとの積層体を、85℃85%RHの環境に100時間保存する。保存後のサンプルを100倍の倍率で光学顕微鏡により観察し、ブリード物の有無を判断した。
【0312】
〔密着性〕
耐熱性樹脂組成物の溶液をバーコーターで、18μm厚みの銅箔の輝面に塗布し、60℃で10分、90度で10分乾燥して、乾燥後の塗布厚みが25μmになるようにした。次に、160℃のオーブンで2時間加熱キュアを行った。このように作製したサンプルをJIS−D−0202に準じて測定した。ハガレがない場合を合格、ハガレがあった場合不合格とした。
【0313】
〔耐マイグレーション〕
新日鐵化学製フレキシブル銅貼積層板(ポリイミド系の樹脂の両面に銅箔を形成している両面銅貼積層板)SC18−25−00WEの片面のみをエッチングにより銅箔を除去し、片面のフレキシブル銅貼積層板とした。この片面のフレキシブル銅貼積層板に図1に示すライン/スペース=40/40μm櫛型パターンを形成した。この櫛型パターンの上に、耐熱性樹脂組成物の溶液をバーコーターで塗布し、60℃で10分、90度で10分乾燥して、乾燥後の銅箔のない部分の塗布厚みが25μmになるようにした。その後、160℃で2時間加熱して、プリント配線板用絶縁性回路保護膜とした。
【0314】
85℃85%RHの環境試験機中で、プリント配線板用絶縁性回路保護膜を被覆した櫛型パターンに両端子に100Vの直流電圧を印加し、抵抗値の変化やマイグレーションの有無を1000時間まで観察した。1000時間後の絶縁抵抗値と、マイグレーションの有無を実験結果として評価した。絶縁抵抗値については、1000時間後で10Ωを保持できていれば合格とした。
【0315】
〔合成例9:(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成III〕
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコに2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を17.3g(0.030モル)、ジメチルホルムアミド(DMF)を45g仕込み、攪拌機で攪拌して溶解させた。次に、和歌山精化製のジアミン(商品名BAPS−M、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン)を9.08g(0.021モル)粉のまま加え、1時間激しく攪拌する。さらに、シリコンジアミンKF−8010(商品名、信越シリコーン製)7.47g(0.009モル)を加え、1時間程度攪拌した。このようにして得たポリアミド溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、5000Paの圧力で2時間減圧乾燥し、30gの(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(III)を得た。この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂(III)は、ジメチルアセトアミドに25重量%以上溶解し、対数粘度は0.9であった。
【0316】
〔合成例10:(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成IV〕
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコに冷却管のついたエステル管を設置した。4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物15.6g(0.030モル)、DMF30gをセパラブルフラスコに仕込み、攪拌機で攪拌して溶解させた。次に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル44.61g(0.023モル)をDMF9gに溶解して加え、1時間激しく攪拌する。さらに、シリコンジアミンKF−8010(商品名、信越シリコーン製)5.81g(0.007モル)を加え、1時間程度攪拌した。このようにして得たポリアミド溶液にキシレン50g、イソキノリン3gを加え、窒素気流下で約160℃に加熱し、共沸によりイミド化により生成する水を系外に積極的に排出した。約4時間加熱し、生成した水は、約1.1mlであった。反応溶液をイソプロピルアルコールに投入し、真空オーブンで80℃、5000Paの圧力で4時間減圧乾燥し、22gの(A−1)可溶性ポリイミド樹脂IVを得た。この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂IVは、ジメチルアセトアミドに25重量%以上溶解し、対数粘度は0.5であった。
【0317】
〔合成例11:(A−1)可溶性ポリイミド樹脂の合成V〕
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコに2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物17.64g(0.060モル)、DMF50gを仕込み、攪拌機で攪拌して溶解させた。次に、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン13.87g(0.045モル)を加え、1時間激しく攪拌した。さらに、シリコンジアミンKF−8010(商品名、信越シリコーン製)12.45g(0.015モル)を加え、1時間程度攪拌した。このようにして得たポリアミド溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、5000Paの圧力で2時間減圧乾燥し、39.0gの(A−1)可溶性ポリイミド樹脂Vを得た。この(A−1)可溶性ポリイミド樹脂Vは、ジメチルアセトアミドに25重量%以上溶解し、対数粘度は0.7であった。
【0318】
〔実施例4〕
表3に示すように、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂IIIを80重量部、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物(PhP1)を20重量部とり、これらをジオキソラン300重量部に溶解し、耐熱性樹脂組成物の溶液(ワニス)を調製した。なお、表3中では、(A−1)可溶性ポリイミド樹脂については、III〜Vの何れかの番号で示し、(B−1)フェノキシホスファゼン化合物または(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物については、PhP1〜4または架橋PhPの略号で示す。
【0319】
上記耐熱性樹脂組成物を用いて、上記Tg・難燃性試験・半田耐熱耐熱性・ブイリード・密着性・耐マイグレーションの各試験法に従って試験を行った。その結果を表4・5に示す。
【0320】
〔実施例5〜8〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(C)反応性化合物、(B)ホスファゼン化合物、(D)その他の成分を、表3に示すように所定の比率で混合した以外は、実施例4と同様にして本発明に係る耐熱性樹脂組成物(ワニス)を得た。この耐熱性樹脂組成物を用いて、上記Tg・難燃性試験・半田耐熱耐熱性・ブイリード・密着性・耐マイグレーションの各試験法に従って試験を行った。その結果を表4・5に示す。
【0321】
〔比較例4〜6〕
(A−1)可溶性ポリイミド樹脂、(C)反応性化合物、(B)ホスファゼン化合物、(D)その他の成分を、表3に示すように所定の比率で混合した以外は、実施例4と同様にして本発明に係る耐熱性樹脂組成物(ワニス)を得た。この耐熱性樹脂組成物を用いて、上記Tg・難燃性試験・半田耐熱耐熱性・ブイリード・密着性・耐マイグレーションの各試験法に従って試験を行った。その結果を表4・5に示す。
【0322】
【表3】
Figure 2005047995
【0323】
【表4】
Figure 2005047995
【0324】
【表5】
Figure 2005047995
【0325】
以上の結果から明らかなように、本発明に係る耐熱性樹脂組成物を用いれば、優れた難燃性を付与できるとともに、各種物性をバランスのよいものとすることが可能となる。
【0326】
【発明の効果】
このように本発明に係る耐熱性樹脂組成物は、耐熱性、加工性(溶媒可溶性も含む)、誘電特性等の諸物性と、難燃性とを十分に両立させることが可能であり、特に、電子機器における情報処理能力の向上に十分に対応できる配線基板の製造に好適に用いることができる。そのため、例えば、本発明に係る耐熱性樹脂組成物をワニス状の溶液等とした場合、接着剤、コーティング剤、あるいはインク等として有用な樹脂製剤とすることができる。また、本発明に係る耐熱性樹脂組成物を樹脂シートまたは樹脂フィルムとした場合、フレキシブルプリント配線板(FPC)やビルドアップ回路基板等の回路基板に代表される積層体や、これを構成する積層材料等として好適に用いることができる。
【0327】
したがって、本発明は、耐熱性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を製造する各種樹脂産業や化学産業だけでなく、樹脂製剤や積層体等を製造する樹脂加工産業や、さらには回路基板等を製造する電子部品産業ひいては電子機器産業にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いられた櫛型パターンの形状を示す模式図である。

Claims (17)

  1. (A)ポリイミド系樹脂および(B)ホスファゼン化合物を少なくとも含む耐熱性樹脂組成物において、
    上記(A)ポリイミド系樹脂として、有機溶媒に可溶性を示す(A−1)可溶性ポリイミド樹脂を含むとともに、
    上記(B)ホスファゼン化合物として、フェノール性水酸基を有する(B−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなり、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含むことを特徴とする耐熱性樹脂組成物。
  2. 上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物として、少なくとも、次に示す一般式(1)
    Figure 2005047995
    (ただし、式中mは3〜25の整数を示し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含む。)
    で表される(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または、次に示す一般式(2)
    Figure 2005047995
    (ただし、式中nは3〜10000の整数を表し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含み、Rは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、または−N=P(O)(OCOH)を示し、Rは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OC)(OCOH)、または−P(O)(OCOH)を示す。)
    で表される(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の耐熱性樹脂組成物。
  3. 上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基または次に示す一般式(3)
    Figure 2005047995
    (ただし、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
    で表されるビスフェニレン基のうち、少なくとも何れか一つを含むフェニレン系架橋基により、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性樹脂組成物。
  4. 上記(B−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、
    上記フェノキシホスファゼン化合物として(B−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(B−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物が用いられるとともに、
    上記フェニレン系架橋基が、上記(B−1)フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、当該架橋フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合が、上記フェノキシホスファゼン化合物中のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の総数を基準として50〜99.9%の範囲内となっている、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(B−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項3に記載の耐熱性樹脂組成物。
  5. 上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、脂肪族化合物成分、脂環族化合物成分、または、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物成分、のうち少なくとも一種から選ばれる有機溶媒溶解性付与成分を含み、低沸点の有機溶媒を含む混合溶媒に可溶性を示すことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物。
  6. 上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、酸二無水物成分とジアミン成分またはイソシアネート成分とを反応させて得られるものであり、
    上記酸二無水物成分には、少なくとも、次に示す一般式(4)
    Figure 2005047995
    (ただし、式中Vは、直接結合、−(C=O)−、−C(CF−、−C(CH−、−O−、−O−T−O−、または−O−CO−T−CO−O−を示し、Tは2価の有機基を示す。)
    で表される酸二無水物が含まれることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物。
  7. 上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、酸二無水物成分とジアミン成分またはイソシアネート成分とを反応させて得られるものであり、
    上記ジアミン成分またはイソシアネート成分には、シロキサンジアミン、ヒドロキシジアミン、メタ位にアミノ基を有するジアミン、オルト位にアミノ基を有するジアミン、メタ位にアミノ基を有するイソシアネート、およびオルト位にアミノ基有するイソシアネートの少なくとも何れか含まれていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物。
  8. 上記(A−1)可溶性ポリイミド樹脂は、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の有機溶媒に、室温〜100℃の温度範囲において1重量%以上溶解することを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物。
  9. さらに、エポキシ化合物、(メタ)アクリル化合物、イソシアネート化合物のうち少なくとも1種から選択される(C)反応性化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の耐熱性樹脂組成物。
  10. 上記(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物が選択された場合、
    上記((A−1)可溶性ポリイミド樹脂と、(B)ホスファゼン化合物成分と、(C−1)エポキシ化合物との合計重量に対する上記(B)ホスファゼン化合物の重量で表される重量混合比(B)/〔(A)+(B)+(C)〕が、0.01以上0.4以下の範囲内となっていることを特徴とする請求項9に記載の耐熱性樹脂組成物。
  11. 上記(C)反応性化合物として、(C−1)エポキシ化合物が選択された場合、当該(C−1)エポキシ化合物として、次に示す一般式群(5)
    Figure 2005047995
    (ただし、各式中g、h、i、jまたはkは、1以上10以下の整数を示す。)より選択される少なくとも1種のエポキシ化合物が用いられることを特徴とする請求項9または10に記載の耐熱性樹脂組成物。
  12. 請求項1ないし11の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物を用いて形成されてなる樹脂フィルム。
  13. プリント配線板用接着剤シート、カバーレイフィルム、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、またはプリント配線板用基板として用いられることを特徴とする請求項12に記載の樹脂フィルム。
  14. 請求項1ないし11の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物を含んでなる樹脂製剤。
  15. プリント配線板用接着剤、プリント配線板用封止剤、回路保護剤、またはカバーインクとして用いられることを特徴とする請求項14に記載の樹脂製剤。
  16. 請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の耐熱性樹脂組成物を用いて形成された樹脂層を少なくとも1層含んでいる積層体。
  17. 回路基板、または多層プリント配線板として用いられることを特徴とする請求項16に記載の積層体。
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