JP2012082159A - ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物 - Google Patents

ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を用いて、難燃性および高温信頼性を損なわずに、柔軟性の高い樹脂成形体を実現する。
【解決手段】ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、下記の式(1)で表され、且つヒドロキシ基当量が360g/eq.以上のものである。

式(1)中、nは1から6の整数を示し、Aは下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示す。A1基:炭素数1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6から20のアリールオキシ基。A2基:下記の式(2)で示されるヒドロキシフェノキシ基。

【選択図】なし

Description

本発明は、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物、特に、ヒドロキシ基当量が360g/eq.以上であるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物、およびそれを用いた難燃性樹脂組成物に関する。
ホスファゼン系難燃剤は、他のリン系難燃剤、例えば、赤リン、リン酸エステル、リン酸アミド、ポリリン酸アンモニウムおよびホスフィネート系難燃剤に比べて、特に、耐加水分解性に優れている。また、ホスファゼン系難燃剤を樹脂に添加した場合、可塑効果が小さく、樹脂組成物に対する添加量を大きくすることができるため、特許文献1から5に記載のように、合成樹脂用の有効な難燃剤として使用されている。しかし、樹脂組成物に対する添加量を増やすと、高温下における樹脂成形体の信頼性を損なう可能性がある。具体的には、高温下において、ホスファゼン系難燃剤が樹脂成形体からブリードアウト(溶出)したり、その樹脂成形体にフクレ等の変形を発生したりする。この結果、当該樹脂成形体が積層基板等の電気・電子分野において用いられる場合は、ブリードアウトや変形によよって絶縁性の低下や短絡等を起こし、その信頼性を低下させる可能性がある。
特開2000−103939号公報 特開2004−83671号公報 特開2004−210849号公報 特開2005−248134号公報 特開2007−45916号公報
そこで、高温下での樹脂成形品の信頼性(高温信頼性)を高めるために、ホスファゼン系難燃剤の改良が検討されており、その例として、特許文献6から15では、ヒドロキシ基等の反応性基を有するホスファゼン系難燃剤並びにそれを用いたエポキシ樹脂組成物およびポリイミド樹脂組成物が開示されている。この種のホスファゼン系難燃剤は、樹脂組成物に対して多量に添加した場合であっても樹脂成形品の高温信頼性を損ないにくいが、添加量を増しても樹脂成形品の難燃性を効果的に高めるのが困難という、それが要求される本質的効果の点で不十分なものもある。また、特に、特許文献7から12では、エポキシ樹脂組成物とヒドロキシ基のような反応性基を有するホスファゼン化合物を用いて難燃性樹脂組成物を得ているが、その樹脂組成物の架橋密度を上げることで、その樹脂成形品(特に封止材の用途)の耐熱性とガラス転移温度を高めようとしている。そのために、反応性基を有するホスファゼン化合物としては、その難燃性樹脂組成物には、その反応性基の数が多い、すなわち、そのヒドロキシ基当量が小さい(一般に、300g/eq.以下)ホスファゼン化合物が使用されている。
特開昭58−219190号公報 特開平10−259292号公報 特開2001−15867号公報 特開2003−138101号公報 特開2003−138102号公報 特開2003−138103号公報 特開2003−226796号公報 特開2003−302751号公報 特開2003−342339号公報 特開2006−117545号公報
一方、フレキシブル回路基板に用いるための材料においては、例えば、レジスト材料においては、難燃性と同時に、高いクラック耐性や柔軟性が要求される。例えば、フレキシブル回路基板に用いるための材料に、エポキシ樹脂組成物と反応するヒドロキシ基を有するホスファゼン系難燃剤を用いた場合、成形体の架橋密度が高くなるような、すなわち、ヒドロキシ基当量の小さい(一般に、300g/eq.以下)ホスファゼン系難燃剤は、難燃性および高温信頼性と同時に、高いクラック耐性や柔軟性の要求を満たすことができない。
本発明の目的は、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を用いて、難燃性および高温信頼性を損なわずに、柔軟性の高い樹脂成形体を実現することにある。
本発明者らは、難燃剤として用いるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物のヒドロキシ基の数に着目した。そして、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物において、特に、そのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上であるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物において、それを樹脂成分に添加して調製した組成物からなる樹脂成形体が、難燃性、高温信頼性、および柔軟性において同時に優れていることを見出した。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、下記の式(1)で表され、且つそのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上である。
式(1)において、nは1から6の整数を示している。また、Aは下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示し、且つ2n+4個のAのうちの少なくとも一つがA2基である。
A1基:炭素数1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6から20のアリールオキシ基。
A2基:下記の式(2)で示されるヒドロキシフェノキシ基。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、式(1)の最小構成単位である(NPA)における2個のAのうち、A2基の数がその平均値で0.33以上で0.67未満であるものが好ましい。また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、例えば、式(1)のA1基がフェノキシ基で、且つA2基が4−ヒドロキシフェノキシ基であるものが好ましい。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、式(1)のnが1若しくは2であるものが好ましい。また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、式(1)で表されるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物が80重量%以上含まれているものが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物とを含んでいる。樹脂成分は、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれたものである。
本発明の樹脂成形体は、本発明に係る難燃性樹脂組成物からなるものである。
本発明の電子部品は、本発明に係る樹脂成形体を用いたものである。また、本発明の回路基板およびその周辺材料は、本発明に係る樹脂成形体を用いたものである。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、上述のような特定の構造を有するものであるため、樹脂成形体の難燃性および高温信頼性を損なわずに、その柔軟性を効果的に高めることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂成分に対し、上述のような特定のホスファゼン組成物を組合せたものであるため、ホスファゼン組成物を用いたものであるにもかかわらず、難燃性および高温信頼性を損なわずに樹脂成形体の柔軟性の高められた樹脂成形体を実現することができる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の難燃性樹脂組成物からなるものであるため、難燃性および高温信頼性において優れているだけではなく、樹脂成形体の柔軟性においても同時に優れている。
本発明の電子部品は、本発明の樹脂成形体を用いたものであるため、難燃性および高温信頼性において優れているだけではなく、樹脂成形体の柔軟性においても同時に優れている。
本発明の回路基板およびその周辺材料は、本発明の樹脂成形体を用いたものであるため、難燃性および高温信頼性において優れているだけではなく、樹脂成形体の柔軟性においても同時に優れている。
ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、下記の式(1)で表され、且つそのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上である。
式(1)において、nは、1から6の整数を示している。但し、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、式(1)のnが小さい化合物の方が、後述する樹脂組成物に用いられた場合において樹脂成分との相溶性が高いことから、難燃性と柔軟性に優れている。このため、式(1)のnは、1から4の整数が好ましく、1若しくは2が特に好ましい。すなわち、このヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物として、特に好ましいものは、nが1のシクロトリホスファゼン(3量体)およびnが2のシクロテトラホスファゼン(4量体)である。
また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、式(1)のnが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。但し、この混合物は、式(1)のnが小さいホスファゼン組成物の含有量の多いものの方が、後述する樹脂組成物に用いられた場合において、難燃性と柔軟性に優れている。したがって、この混合物は、式(1)のnが1から4の整数のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を重量比率で90%以上含む混合物が好ましく、式(1)のnが1若しくは2のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を重量比率で90%以上含む混合物が特に好ましい。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、上記の式(1)で表され、且つそのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上のものである。特に、そのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上である場合において、難燃性および高温信頼性において優れているだけではなく、柔軟性においても同時に優れた樹脂成形体を実現することができる。例えば、エポキシ樹脂と樹脂成形体では、このヒドロキシ基当量が360g/eq.以下である場合、硬化物の架橋密度が高いことから、剛直な成形体となり、その柔軟性を実現することが困難となる。また、ヒドロキシ基当量が1,000g/eq.を超える場合は、硬化物の架橋密度が低いことから、その柔軟性は実現できるが、その難燃性を実現することが困難となる。このため、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物のヒドロキシ基当量は、400g/eq.以上が好ましく、420g/eq.以上が特に好ましい。
このようなヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を実現するには、式(1)におけるAとして、下記のA1基およびA2基から、ヒドロキシ基当量が360g/eq.以上であり、1,000g/eq.以下の範囲になるように、適宜選択すればよい。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物はこれらの任意の混合物であってもよいことから、A2基の数としては、例えば、1.5のように小数点を持つ平均値として表される。通常、式(1)の最小構成単位である(NPA)における2個のAのうち、A2基の数がその平均値で0.33以上で0.67未満になるように選択すればよい。また、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は混合物であることから、式(1)で表されるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物が80重量%以上含まれている場合において、難燃性と高温信頼性の優れた樹脂成形体を実現可能な点において有利である。これに対して、80重量%未満の場合には、難燃性と高温信頼性を両立することが困難となる。
式(1)において、Aは、下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示している。
[A1基]
炭素数が6から20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基が特に好ましい。
[A2基]
下記の式(2)で示されるヒドロキシフェノキシ基。
式(2)としては、例えば、2−ヒドロキシフェノキシ基、3−ヒドロキシフェノキシ基および4−ヒドロキシフェノキシ基を挙げることができる。このうち、3−ヒドロキシフェノキシ基および4−ヒドロキシフェノキシ基が好ましく、4−ヒドロキシフェノキシ基が特に好ましい。
式(1)において、Aは2n+4個含まれており、このうちの少なくとも一つがA2基である。このような形態のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の具体例としては、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:709.6g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:362.8g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:940.8g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:478.4g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(フェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:594.0g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(フェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:401.3g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)デカ(フェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:709.6g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ノナ(フェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:478.4g/eq.)、テトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(フェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:362.8g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(メチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:779.7g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(メチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:390.8g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(メチルフェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:520.5g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(メチルフェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:650.1g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(メチルフェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:434.0g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)デカ(メチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:779.7g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ノナ(メチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:520.5g/eq.)、テトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(メチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:390.8g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタキス(ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:849.8g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラキス(ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:418.9g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサキス(ジメチルフェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:562.5g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタキス(ジメチルフェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:371.0g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタキス(ジメチルフェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:706.2g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタキス(ジメチルフェノキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:466.8g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)デカキス(ジメチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:849.8g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ノナキス(ジメチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:562.5g/eq.)、テトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタキス(ジメチルフェノキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:418.9g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(ナフチルオキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:959.9g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(ナフチルオキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:462.9g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(ナフチルオキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:628.6g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(ナフチルオキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:407.7g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(ナフチルオキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:794.2g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(ナフチルオキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:518.1g/eq.)、テトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(ナフチルオキシ)シクロペンタホスファゼン(ヒドロキシ基当量:380.1g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)デカ(ナフチルオキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:959.9g/eq.)、トリ(4−ヒドロキシフェノキシ)ノナ(ナフチルオキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:628.6g/eq.)、テトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)オクタ(ナフチルオキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:462.9g/eq.)およびテトラ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(ナフチルオキシ)シクロヘキサホスファゼン(ヒドロキシ基当量:363.5g/eq.)並びにこれらの混合物を挙げることができる。
これらのヒドロキシ基を有するホスファゼン組成物でも、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:709.6g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:362.8g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:940.8g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:478.4g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(メチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:779.7g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(メチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:390.8g/eq.)およびジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(メチルフェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:520.5g/eq.)並びにこれらの混合物が好ましく、(4−ヒドロキシフェノキシ)ペンタ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:709.6g/eq.)、ジ(4−ヒドロキシフェノキシ)テトラ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(ヒドロキシ基当量:362.8g/eq.)、(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘプタ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:940.8g/eq.)およびジ(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサ(フェノキシ)シクロテトラホスファゼン(ヒドロキシ基当量:478.4g/eq.)並びにこれらの混合物が特に好ましい。
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、上記の式(1)で表され、且つそのヒドロキシ基当量が360g/eq.以上である。また、上記の式(1)において、Aは2n+4個含まれており、このうちの少なくとも一つが上記A2基であり、そのヒドロキシ基当量が1,000g/eq.以下である。これらのことから、A1基は、全置換基(A基)のうち60から90%置換しており、また、A2基は、全置換基(A基)のうち10から40%置換していることになる。
ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造方法
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、次のような方法により製造することができる。
先ず、下記の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドを用意する。
式(3)において、nは、1から6の整数を示している。また、Xは、ハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子若しくは塩素原子である。因みに、ここで用意する環状ホスホニトリルジハライドは、nが異なる数種類のものの混合物であってもよい。
このような環状ホスホニトリルジハライドの製造方法その他は、各種の文献、例えば、下記のような非特許文献1、2に記載されている。
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS,H.R.ALLCOCK著,1972年刊,ACADEMIC PRESS社 PHOSPHAZENES,A WORLDWIDE INSIGHT,M.GLERIA,R.DE JAEGER著,2004年刊,NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
これらの文献に記載されているように、式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、通常、重合度が3から8程度(式(3)のnとして、1から6程度)の環状ホスホニトリルジハライドと鎖状ホスホニトリルジハライドとの混合物として得られる。このため、式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、上記各文献に記載されているように、当該混合物から溶媒への溶解度の差を利用して鎖状ホスホニトリルジハライドを取り除いて入手するか、或いは、当該混合物から環状ホスホニトリルジハライドを蒸留又は再結晶によって分離して入手する必要がある。
この製造方法において用いる環状ホスホニトリルジハライドとして好ましいものは、例えば、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン(式(3)のnが1のもの)、オクタフルオロシクロテトラホスファゼン(nが2のもの)、デカフルオロシクロペンタホスファゼン(nが3のもの)、ドデカフルオロシクロヘキサホスファゼン(nが4のもの)、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼンとオクタフルオロシクロテトラホスファゼンとの混合物、nが1から6の環状ホスホニトリルジフルオリドの混合物、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(nが1のもの)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン(nが2のもの)、デカクロロシクロペンタホスファゼン(nが3のもの)、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン(nが4のもの)、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが1から6の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物等である。このうち、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが1から6の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物がより好ましく、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが1から6の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物が特に好ましい。
また、上述の環状ホスホニトリルジハライドと反応させる化合物として、次の化合物B1および化合物B2を用意する。
[化合物B1]
炭素数が6から20のフェノール類。
このフェノール類は、炭素数が1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール、エチルメチルフェノール、ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、イソプロピルエチルフェノール、ジイソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ペンチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、ビニルフェノール、1−プロペニルフェノール、2−プロペニルフェノール、イソプロペニルフェノール、1−ブテニルフェノール、sec−ブテニルフェノール、1−ペンテニルフェノール、1−ヘキセニルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール、アントラノールおよびフェナントラノール等を挙げることができる。このうち、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、ジエチルフェノール、2−プロペニルフェノール、フェニルフェノールおよびナフトールが好ましく、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノールおよびナフトールが特に好ましい。
[化合物B2]
下記の式(4)で表されるY基置換フェノール類。
式(4)において、Y基は、酸化反応とそれに続く脱離反応によってヒドロキシ基に変換できる基(Y1基)、または保護基を脱離することでヒドロキシ基に変換できる基(Y2基)である。
より具体的には、酸化反応とそれに続く脱離反応によってヒドロキシ基に変換できる基(Y1基)としては、アシル基が挙げられ、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、オキサリル基、スクシニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基およびアニソイル基等を挙げることができる。但し、化合物B2は、入手しやすく、また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造するための合成操作を簡便に実施することができることから、アシル基としてアセチル基を有するものを用いるのが好ましい。
前記の酸化反応とそれに続く脱離反応によってヒドロキシ基に変換できる基(Y1基)が置換したフェノール類として、例えば、2−アセチルフェノール、3−アセチルフェノールおよび4−アセチルフェノールを挙げることができる。これらの保護基のうち、3−アセチルフェノールおよび4−アセチルフェノールが好ましく、4−アセチルフェノールが特に好ましい。
また、保護基を脱離することでヒドロキシ基に変換できる基(Y2基)としては、例えば、メチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、メチルチオメチルオキシ基、2−メトキシエトキシメチルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロチオピラニルオキシ基、4−メトキシテトラヒドロピラニルオキシ基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、テトラヒドロチオフラニルオキシ基、1−エトキシエチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、アリルオキシ基、ベンジルオキシ基、o−ニトロベンジルオキシ基、トリフェニルメチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基およびトリイソプロピルシリルオキシ基等を挙げることができる。これらの保護基のうち、メチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、4−メトキシテトラヒドロピラニルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、アリルオキシ基、ベンジルオキシ基およびtert−ブチルジメチルシリルオキシ基が好ましく、メチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、アリルオキシ基およびベンジルオキシ基が特に好ましい。
前記の保護基を脱離することでヒドロキシ基に変換できる基(Y2基)が置換したフェノール類として、例えば、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−tert−ブチルオキシフェノール、4−tert−ブチルオキシフェノール、3−アリルオキシフェノール、4−アリルオキシフェノール、3−ベンジルオキシフェノール、4−ベンジルオキシフェノール、3−アセチルフェノールおよび4−アセチルフェノールを挙げることができる。これらの保護基のうち3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−ベンジルオキシフェノール、4−ベンジルオキシフェノール、3−アセチルフェノールおよび4−アセチルフェノールが好ましく、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−アセチルフェノールおよび4−アセチルフェノールが特に好ましい。
[ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造:S工程]
本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造方法では、上述の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドと上述の化合物B1およびB2とを反応させることにより、環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のG2基により置換され、且つヒドロキシ基当量が360g/eq.以上であるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物になるように、下記のG1基およびG2基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する(S工程)。
[G1基]
炭素数1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6から20のアリールオキシ基。
この基は、化合物B1によりハロゲン原子と置換されるものであり、既述のA1基に該当する。
[G2基]
下記の式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
この基は、化合物B2によりハロゲン原子と置換されるものである。
式(5)において、Yは、保護基を脱離することでヒドロキシ基に変換できる基、および酸化反応とそれに続く脱離反応によってヒドロキシ基に変換できる基である。この基がヒドロキシ基に変換されると既述のA2基に該当する。
この製造工程(S工程)では、製造するヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の種類に応じて、化合物B1およびB2を適宜選択して使用する。このための方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
[S工程]<方法A>
環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B2を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B2に由来のG2基により置換した部分置換体を得る(第一工程)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B1を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のG1基で置換する(第二工程)。
この方法の第一工程は、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B2のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B2をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。また、第二工程は、第一工程で得た部分置換体に対して化合物B1のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、第一工程で得た部分置換体に対し、化合物B1をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。
[S工程]<方法B>
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のG1基を置換した部分置換体を得る(第一工程)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B2を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B2に由来のG2基により置換する(第二工程)。
この方法の第一工程は、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B1をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。また、第二工程は、第一工程で得た部分置換体に対して化合物B2のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、第一工程で得た部分置換体に対し、化合物B2をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。
上述の各方法において用いられるアルカリ金属塩は、通常、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩が好ましい。特に、ナトリウム塩およびカリウム塩が好ましい。このようなアルカリ金属塩は、化合物B1またはB2と、金属リチウム、金属ナトリウム若しくは金属カリウム等との脱水素反応、または、化合物B1またはB2と、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物との混合物からの脱水反応によって得ることができる。
また、上述の各方法において用いられる、ハロゲン化水素を捕捉可能な塩基は、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジンおよび4−ジイソプロピルアミノピリジン等の脂肪族若しくは芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩並びに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等を用いるのが好ましい。特に、トリエチルアミン、ピリジン若しくは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いるのが好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1およびB2との反応は、上述のいずれの方法についても、無溶媒で実施することができ、また、溶媒を使用して実施することもできる。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタンおよびジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼンおよびイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルムおよび塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカンおよびドデカン等の脂肪族炭化水素系、ピリジン等の複素環式芳香族炭化水素系、第三級アミン系並びにシアン化合物系等の有機溶媒を用いるのが好ましい。このうち、分子内にエーテル結合を有し、かつ、化合物B1およびB2並びにそれらのアルカリ金属塩の溶解度が高いエーテル系の有機溶媒および水との分離が容易である芳香族炭化水素系の有機溶媒を用いるのが特に好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1およびB2とを反応させる際の反応温度は、上述のいずれの方法によるか、或いは、反応生成物の熱安定性等を考慮して適宜設定することができる。但し、溶媒を用いて当該反応を実施する場合は、通常、−20℃から溶媒の沸点までの温度範囲に反応温度を設定するのが好ましい。一方、無溶媒で当該反応を実施する場合、反応温度は、通常、40から200℃の範囲に設定するのが好ましい。
なお、本発明のヒドロキシ基当量が360g/eq.以上であるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造は、目標とするヒドロキシ基当量の値を有するヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造し易いことから、上述の方法Aを採用するのが好ましい。
ここで、方法Aを採用する場合は、先ず、環状ホスホニトリルジハライドのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を調製する。そして、この溶媒溶液に対し、化合物B2のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B2とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、−20から50℃の温度で3から24時間かけて添加し、また、同温度範囲で1から24時間反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B2に由来のG2基により置換した部分置換体を製造する。次に、得られた部分置換体のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液に対し、化合物B1のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B1とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、0から50℃の温度で3から24時間かけて添加し、また、0℃から溶媒の沸点までの温度で反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のG1基で置換する。
[ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造:H工程]
本発明の製造方法では、次に、上述のS工程において得たヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物から、目的とするヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造する[H工程]。この製造方法として、具体的には、アシル基を酸化してアシルオキシ基に変換<方法C−1>した後、脱アシル化し、アシルオキシ基をヒドロキシ基に変換する方法<方法C−2>、若しくはヒドロキシ基の保護基を脱離する方法<方法D>のいずれかの方法を採用することができる。
[H:工程]<方法C−1,2>
上述のS工程において得たアシル基含有環状ホスファゼン組成物のアシル基を酸化<方法C−1>してアシルオキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造した後、アシルオキシ基含有環状ホスファゼン組成物を脱アシル化し、アシルオキシ基をヒドロキシ基に変換<方法C−2>して、目的とするヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造することができる。
[H:工程]<方法C−1,2>における反応条件は、[H:工程]<方法C−1>で酸化するアシル基含有環状ホスファゼン組成物の種類、酸化剤の種類および使用量、反応溶媒の有無および目的とするヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の物性や用途等に応じて広い範囲から適宜選択することができる。
因みに、[H:工程]<方法C−1>におけるアシル基含有環状ホスホニトリル置換体の酸化および[H:工程]<方法C−2>におけるアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体の脱アシル化は、各種の文献、特に、下記の非特許文献3から5に記載の方法を参照して実施することができる。
HASSALL,C.H.著,IN: ADAMS,R.(ED.),ORGANIC REACTIONS,WEILY社,NEW YORK,1957年刊,VOL.9,73−106. KROW,G.R.著,IN: PAQUETTE,L.A.(ED.),ORGANIC REACTIONS,WEILY社,NEW YORK,1993年刊,VOL.43,251−798. KYTE,B.G.,ROUVIERE,P.,CHENG,Q.,STEWART,J.D.,J.ORG.CHEM.,2004年刊,VOL.69(1),12−17.
[H:工程]<方法C−1>
アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアシル基を酸化する方法<方法C−1>は、アシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、通常はバイヤー−ビリガー酸化によるのが好ましい。アシル基含有環状ホスホニトリル置換体の酸化のためのバイヤー−ビリガー酸化において用いることができる酸化剤は、特に制限されるものではなく、各種の公知の過酸化物である。具体的には、無機過酸化物(過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物、過硫酸アンモニウム、アルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸アンモニウム、アルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸アンモニウム、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ土類金属過酸化物、過酸化亜鉛およびこれらの化合物の任意の組合わせによる混合物)、有機過酸化物(tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルシクロヘキサンヒドロペルオキシドおよびこれらの化合物の任意の組合わせによる混合物)、過酸化水素、過酸化尿素、遷移金属のペルオキソ錯体(遷移金属である鉄、マンガン、バナジウムまたはモリブデンのペルオキソ錯体およびこれらのペルオキソ錯体の任意の組合わせによる混合物であり、2種または3種以上の遷移金属を含んでいてもよい。)並びに有機酸、無機酸、ルイス酸、有機過酸(過蟻酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、モノ過フタル酸マグネシウムおよびこれらの任意の組合わせによる混合物)、無機過酸(過硫酸、過炭酸、過モノ燐酸およびこれらの混合物)およびジオキシランからなる群から選ばれた少なくとも一つとペルオキソ化合物との混合物を挙げることができる。これらの酸化剤は、適宜混合して用いることもできる。また、バイヤー−ビリヤー型モノオキシゲナーゼ(酸素添加酵素)を用いることもできる。なお、上述の酸化剤は、純粋な形態または各種の酸化剤の混合物の形態のいずれの形態で用いてもよいが、純粋な形態で用いるのが好ましい。
この工程において用いられる酸化剤の必要量、特に、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアシル基に対する酸化剤の当量は、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体と酸化剤との反応性に依存するが、通常は、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアセチル基に対する酸化剤の当量を1から10の範囲に設定するのが好ましく、1.05から1.5の範囲に設定するのがより好ましく、1.1から1.3の範囲に設定するのが特に好ましい。
この工程は、無溶媒で実施してもよいし、溶媒を使用して実施してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化炭化水素系化合物(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、パラフィン系化合物(例えば、ヘキサン、ペンタンまたはリグロイン)、エーテル系化合物(例えば、ジエチルエーテル)、酸アミド系化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、ニトリル系化合物(例えば、アセトニトリル)、二硫化炭素、ニトロ脂肪族化合物(例えば、ニトロメタン)若しくはニトロ芳香族化合物(例えば、ニトロベンゼン)またはこれらの溶媒の混合物を使用することができる。このうち、ハロゲン化炭化水素系化合物を用いるのが好ましい。
[H:工程]<方法C−2>
次に、前記の[H:工程]<方法C−1>において得たアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を脱アシル化し、アシルオキシ基をヒドロキシ基に変換する方法<方法C−2>によって、目的とするヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物が得られる。ヒドロキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
この工程での脱アシル化は、無溶媒で実施してもよいし、溶媒を使用して実施してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、通常はS工程において使用可能なものと同様のものを用いることができる。
この工程での脱アシル化は、酸性またはアルカリ性条件下で実施するか、或いは、酵素を用いて実施するのが好ましい。これらの脱アシル化の方法は公知であり、その条件は公知の方法に基づいて適宜設定することが出来る。例えば、酸性またはアルカリ性条件下で加水分解することで脱アシル化する場合は、有機溶媒(例えば、エタノール、THFまたはジオキサン等)中において、酸(例えば、鉱酸や有機酸等)またはアルカリ(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物または炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等)の水溶液を用いて−10から90℃で行うことができる。一方、酵素を用いて加水分解することで脱アシル化する場合は、有機溶媒(例えば、エタノールやジメチルスルフォキシド等)と水との混合溶液中において、エステル分解酵素(例えば、エステラーゼやリパーゼ等)を用いて0から50℃で行うことができる。この際、有機溶媒と水との混合溶液に緩衝液を存在させてもよい。
[H:工程]<方法C−2>は、[H:工程]<方法C−1>で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を反応液から単離し、それに対して適用することで実施することができるが、[H:工程]<方法C−1>で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を含む反応液に対してそのまま適用することで実施することもできる。
なお、[H:工程]<方法C−1>で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を反応液から単離する方法および[H:工程]<方法C−2>で得られたヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を反応液から単離する方法としては、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の分離方法を採用することができる。また、[H:工程]<方法C−1>で得られたアシルオキシ基含有環状ホスファゼン組成物および[H:工程]<方法C−1>で得られたヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を生成する方法としては、同様の方法を採用することができる。
[H:工程]<方法D>
上述のS工程において得たヒドロキシ基が保護基によって保護されたヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物から、保護基を脱離する方法<方法D>によって、目的とする本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物を製造する。
ヒドロキシ基の保護基を脱離するための方法は、各種の文献、特に、下記の非特許文献6に記載の方法を参照して、保護基の種類および保護基の安定性等に応じて各種の脱保護反応から選択することができる。例えば、保護基がメチル基の場合、メトキシ基(ヒドロキシ基が保護)含有環状ホスファゼン組成物を三フッ化ホウ素、ヨウ化トリメチルシラン若しくはピリジン塩酸塩と反応させるのが好ましい。また、保護基がtert−ブチル基の場合、環状ホスホニトリル置換体をトリフルオロ酢酸、臭化水素若しくはヨウ化トリメチルシランと反応させるのが好ましい。さらに、保護基がベンジル基の場合、環状ホスホニトリル置換体を水素/Pd−C、金属ナトリウム/アンモニア、ヨウ化トリメチルシラン、水素化リチウムアルミニウム、三臭化ホウ素若しくは三フッ化ホウ素と反応させるのが好ましい。
PROTECTING GROUPS,3rd Edition,Philip J.Kocienski著,2005年刊,THIEME社
このような保護基の脱離により得られる、目的とするヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の分離精製方法により、反応系から単離精製することができる。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と樹脂成分とを含むものである。
ここで用いられる本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、一種類のものであってもよいし、二種以上のもの、すなわち、既述のような二種以上のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の混合物であってもよい。
また、ここで用いられる樹脂成分としては、各種の熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用することができる。これらの樹脂成分は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。また、これらの混合物であってもよい。
本発明の樹脂組成物を電子部品として、特に、OA機器、AV機器、通信機器および家電製品用の筐体や部品用の材料として用いる場合は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂等を用いるのが好ましい。
また、回路基板およびその周辺材料(例えば、金属張り積層板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電ペースト、多層プリント配線板用封止剤、回路保護剤、カバーレイフィルム、およびカバーインク)形成用や半導体封止用等の電気・電子部品の製造用材料として用いる場合は、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂等を用いるのが好ましい。マレイミド樹脂およびシアン酸エステル樹脂、並びにポリイミド系樹脂は、その取り扱い加工性および接着性を向上するために、熱可塑性や溶媒可溶性が付与されたものであってもよい。また、ポリフェニレンエーテルとしては、ポリフェニレンエーテルの一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、無水ジカルボキシル基などの反応性官能基を、グラフト反応や共重合などの何らかの方法により導入したものが挙げられる。
上述の各種樹脂成分は、それぞれ単独で用いられてもよいし、必要に応じて二種以上のものが併用されてもよい。
本発明の樹脂組成物において、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の使用量は、樹脂成分の種類、樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での樹脂成分100重量部に対して0.1から200重量部に設定するのが好ましく、0.5から100重量部に設定するのがより好ましく、1から50重量部に設定するのがさらに好ましい。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の使用量が0.1重量部未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。逆に、200重量部を超えると、樹脂成分本来の特性を損ない、当該特性による樹脂成形体が得られなくなるおそれがある。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分の種類や樹脂組成物の用途等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。利用可能な添加剤としては、例えば、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、天然マイカ、合成マイカ、アエロジル、カオリン、クレー、タルク、焼成カオリン、焼成クレー、焼成タルク、ウオラストナイト、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラスおよびチタン酸カリウム繊維等の無機充填剤、アラミド繊維またはポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維等の有機繊維、シランカップリング剤などの充填材の表面処理剤、ワックス類、脂肪酸およびその金属塩、酸アミド類およびパラフィン等の離型剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、ホスフィネート、ホスフィネート金属塩、リン酸アンモニウム、赤リン、塩素化パラフィン、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤並びに臭素系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のドリッピング防止剤、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダートフェノール、スチレン化フェノールなどの酸化防止剤、チオキサントン系などの光重合開始剤、スチルベン誘導体などの蛍光増白剤、硬化剤、染料、顔料、着色剤、光安定剤、光増感剤、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤、チクソ性付与剤、可塑剤並びに帯電防止剤等を挙げることができる。
本発明においては、難燃性をさらに向上させる目的で、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物以外の難燃剤を併用しても良い。その他の難燃剤としては、具体的には、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルオキシホスファゼン(例えば、プロピルオキシホスファゼン等)、アリールオキシホスファゼン(例えば、フェノキシホスファゼン、アルキル基置換フェノキシホスファゼン、アルキルオキシ基置換フェノキシホスファゼン、シアノ基置換フェノキシホスファゼン等)、アルキルオキシ(アリールオキシ)ホスファゼン(例えば、プロピルオキシ(フェノキシ)ホスファゼン等)、ホスフィンオサイド、およびオルガノポリシロキサン化合物等を挙げることができる。これらの他の難燃剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は特に限定されるものではなく、その種類に応じて公知の範囲で用いればよい。
さらに、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化剤や硬化促進剤を配合することができる。ここで用いられる硬化剤や硬化促進剤は、一般に使用されるものであれば、特に限定されるものではないが、通常、アミン化合物、フェノール化合物、酸無水物、イミダゾール類および有機金属塩などである。これらは、二種以上を併用することもできる。
本発明の樹脂組成物において利用可能なエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂およびナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類との反応により得られるノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−AD型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロペンタジェン型エポキシ樹脂、アルキル置換ビフェノール型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等のフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン、オリゴプロピレングリコールおよび水添ビスフェノール−A等のアルコール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる脂肪族エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸若しくはフタル酸とエピクロルヒドリン若しくは2−メチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンやアミノフェノール等のアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン系エポキシ樹脂、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られる複素環式エポキシ樹脂、グリシジル基を有するホスファゼン化合物、エポキシ変性ホスファゼン樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂並びにウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、上述のエポキシ樹脂をそのエポキシ基が残るように反応し、エポキシ樹脂で変性したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物とすることもできる。このエポキシ樹脂で変性したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、本発明の樹脂組成物において利用可能なエポキシ樹脂として使用することができる。
樹脂成分として上述のエポキシ樹脂を用いる場合(以下、このような樹脂組成物を「エポキシ樹脂組成物」という場合がある)、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、エポキシ基との反応によって、エポキシ樹脂の硬化剤として機能することができる。また、エポキシ樹脂組成物は、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と共に、他の硬化剤を併せて含んでいてもよい。エポキシ樹脂組成物が、硬化剤として本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と他の硬化剤とを併用している場合、硬化剤の合計量(すなわち、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と他の硬化剤との合計量)に占める本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の割合は、0.1から99重量%が好ましく、0.5から90重量%がより好ましい。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の割合が0.1重量%未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。
エポキシ樹脂組成物において、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と併用され得る他の硬化剤は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンおよびポリアミドポリアミン等のポリアミン系硬化剤、無水ヘキサヒドロフタル酸および無水メチルテトラヒドロフタル酸等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等のフェノール系硬化剤、ヒドロキシ基またはグリシジル基を有するホスファゼン化合物、三フッ化ホウ素等のルイス酸およびそれらの塩類並びにジシアンジアミド類等を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物において、硬化剤(すなわち、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物または本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と上述の他の硬化剤との併用物)の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5から1.5当量になるよう設定するのが好ましく、0.6から1.2当量になるよう設定するのがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。利用可能な硬化促進剤は、公知の種々のものであり、特に限定されるものではないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールおよび2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン系化合物、トリフェニルホスフィン化合物等を挙げることができる。硬化促進剤を用いる場合、その使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01から15重量部に設定するのが好ましく、0.1から10重量部に設定するのがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて公知の反応性希釈剤や添加剤が配合されていてもよい。利用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび3級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイドおよびフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。一方、添加剤としては、既述のようなものを用いることができる。
上述のエポキシ樹脂組成物等の本発明の樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。この樹脂組成物は、樹脂成分に応じて100から250℃程度の温度範囲で1から36時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。例えば、エポキシ樹脂組成物は、通常、150から250℃の温度で2から15時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。このような硬化過程において、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、そのヒドロキシ基が樹脂成分と反応し、硬化物中において安定に保持されることになるため、当該硬化物の高温信頼性を損ないにくい。また、本発明のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物は、そのような硬化物の柔軟性を損なわずに、その難燃性を高めることができる。このため、本発明の樹脂組成物は、各種の樹脂成形体の製造用材料、塗料用材料、接着剤用材料およびその他の用途用材料として、広く用いることができる。
以下に、実施例および比較例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(NPA)を意味し、一般式(3)については(NPX)を意味する。一般式(3)において、Xが塩素の場合、その1unit molは115.87gである。また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例および比較例で得られたホスファゼン組成物は、H−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、CHN元素分析、IRスペクトルの測定、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、マイクロウエーブ湿式分解後のICP−AESによるリン元素の分析、HPLC分析並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。また、水酸基当量は、JIS K 0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価および不けん化物の試験方法」において規定された水酸基価測定方法の中和滴定法に従い測定し、水酸基価mgKOH/gの値をヒドロキシ基当量g/eq.に変換した。
実施例1(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 4−メトキシフェノキシド(81.8g、0.56mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(369.2g、3.18mol)のトルエン(1500mL)懸濁液に投入後、110℃にて24時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、362.1gの生成物を得た。この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、別途調製したピリジン塩酸塩(144.5g、1.25mol)を加えて、内温200℃で加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認した(200℃での反応時間として、3時間)後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて反応物を溶解した。MIBK層を5%塩酸水溶液、1%塩酸水溶液の順に洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、339.2(収率96.0%)の生成物を得た。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(4.7H), 6.9(9.7H),7.1−7.4(14.5H), 8.3(1.2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.7%,H:4.2%,N:5.9%,P:13.0%
実測値 C:60.7%,H:4.3%,N:5.9%,P:13.0%
◎残存塩素分析:
0.002%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
1置換品:78%
2置換品:21%
◎ヒドロキシ基当量:
609g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]とN(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.17(OC4.83]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.39(OC1.61]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.39であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
実施例2(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法C−1,2>
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g,1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム4−アセチルフェノキシド(118.6g,0.75mol)のTHF(400mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃で24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(340.1g、2.93mol)のトルエン(1,250mL)懸濁液に投入後、110℃で3時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄後、希硝酸で中和し、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、373.4g(収率:98.7%)の生成物を得た。この生成物を4つ口フラスコに仕込み、トリフルオロ酢酸無水物(100mL)およびジクロロメタン(200mL)を仕込み、内温0℃以下で60%過酸化水素水(48.7g,1.50mol)を滴下した。滴下後、内温25℃で3時間撹拌した。反応終了を確認後、反応混合物を分液ロートに移し、20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、乾燥、濃縮し306.8g(収率85.5%)の生成物を得た。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(6H), 6.9(9H),7.1−7.4(13.5H), 8.3(1.5H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.3%,H:4.2%,N:5.9%,P:13.0%
実測値 C:60.2%,H:4.1%,N:5.9%,P:12.9%
◎残存塩素分析:
0.003%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
1置換品:32%
2置換品:61%
3置換品: 6%
◎ヒドロキシ基当量:
478g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.5(OC4.5]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.50(OC1.50]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.50であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
実施例3(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 4−メトキシフェノキシド(131.5g、0.9mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(211.3g、1.82mol)のトルエン(1440mL)懸濁液に投入後、110℃にて24時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、366.3gの生成物を得た。この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、別途調製したピリジン塩酸塩(203.4g、1.76mol)を加えて、内温200℃で加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認(200℃での反応時間として、5時間)後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液、1%塩酸水溶液の順に洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、346.7(収率96.0%)の生成物を得た。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(7.2H), 6.9(8.4H),7.1−7.4(12.6H), 8.3(1.8H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:59.9%,H:4.2%,N:5.8%,P:12.9%
実測値 C:59.7%,H:4.1%,N:5.9%,P:13.0%
◎残存塩素分析:
0.003%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
1置換品:13%
2置換品:78%
3置換品: 8%
◎ヒドロキシ基当量:
401g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.8(OC4.2]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.60(OC1.40]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.60であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
実施例4(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>
ヘキサクロロシクロトリホスファゼンの代わりにクロロシクロホスファゼンオリゴマー(式(3)[(NPX+(NPX]のXが塩素原子であり、この式のn=1から6の混合物で、nの平均値として1.8のクロロシクロホスファゼンオリゴマーを使用した)(173.8g,1.50unit mol)を使用する以外は実施例3と同様に操作して、339.2g(収率96.0%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(4.7H), 6.9(9.7H),7.1−7.4(14.5H), 8.3(1.2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
四量体(P=N) −9.5〜−12.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:59.8%,H:4.2%,N:5.8%,P:12.9%
実測値 C:59.9%,H:4.2%,N:5.9%,P:12.9%
◎残存塩素分析:
0.003%
◎TOF−MS(m/z):
693,709,725,741,940,956,972,1172,1188,1403,1419
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
三量体(P=N)
0官能品: 1%
1官能品:51%
2官能品:13%
3官能品: 1%
四量体(P=N)
1官能品: 6%
2官能品:11%
3官能品: 2%
五量体以上(P=N)
15%
◎ヒドロキシ基当量:
389g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCOH)0.62(OC1.38]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.62(OC1.38]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.62であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
実施例5(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>
ナトリウムフェノキシドの代わりにナトリウム 3−メチルフェノキシド(381.3g、2.93mol)を使用する以外は実施例3と同様に操作して、352.9g(収率90.4%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.3(4H) 6.6〜6.9(8H),8.3(1.5H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.3%,H:5.0%,N:5.4%,P:11.9%
実測値 C:62.2%,H:5.0%,N:5.4%,P:11.9%
◎残存塩素分析:
0.003%
◎TOF−MS(m/z):
780,782,784
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
1置換品:33%
2置換品:60%
3置換品: 6%
◎ヒドロキシ基当量:
520g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OCCH]、[N(OCOH)(OCCH]、および[N(OCOH)(OCCH]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.5(OCCH4.5]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.50(OCCH1.50]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.50であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
実施例6(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物の製造)[[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>
ナトリウム 4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム 3−メトキシフェノキシド(147.6g、0.76mol)を使用する以外は実施例3と同様に操作して、327.4g(収率91.3%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(6H), 6.9(9H),7.1−7.4(13.5H), 8.3(1.5H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.3%,H:4.2%,N:5.9%,P:13.0%
実測値 C:60.4%,H:4.3%,N:5.8%,P:12.8%
◎残存塩素分析:
0.03%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
1置換品:35%
2置換品:59%
3置換品: 5%
◎ヒドロキシ基当量:
478g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.5(OC4.5]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.50(OC1.50]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.50であり、0.33以上で0.67未満の範囲内である。
比較例1(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>,ヒドロキシ基当量:360g/eq.未満
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 4−メトキシフェノキシド(219.2g、1.50mol)のTHF(500mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(278.6g、2.40mol)のトルエン(1900mL)懸濁液に投入後、110℃にて24時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、388.6gの生成物を得た。この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、別途調製したピリジン塩酸塩(346.7g、3.00mol)を加えて、内温200℃で加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認(200℃での反応時間として、5時間)後冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液、1%塩酸水溶液の順に洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、348.5g(収率94.0%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(3.9H), 6.9(4.2H),7.1−7.4(10.7H), 8.3(2.1H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.6〜10.8
◎CHNP元素分析:
理論値 C:58.1%,H:4.5%,N:5.6%,P:12.5%
実測値 C:58.0%,H:4.5%,N:5.7%,P:12.5%
◎残存塩素分析:
0.02%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
2置換品:12%
3置換品:75%
4置換品:13%
◎ヒドロキシ基当量:
241g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)3.09(OC2.91]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)1.03(OC0.97]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として1.03であり、0.33以上で0.67未満の範囲外である。
比較例2(ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物)[S工程]<方法A>→[H工程]<方法D>,ヒドロキシ基当量:1,000g/eq.を超える
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 4−メトキシフェノキシド(51.1g、0.35mol)のTHF(100mL)溶液を1時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(412.1g、3.55mol)のトルエン(2200mL)懸濁液に投入後、110℃にて24時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、349.6gの生成物を得た。この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、別途調製したピリジン塩酸塩(121.3g、1.05mol)を加えて、内温200℃で加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認(200℃での反応時間として、3時間)後冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液、1%塩酸水溶液の順に洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、334.7g(収率95.0%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.7(2H), 6.9(2H),7.1−7.4(38H), 8.3(1H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.7〜10.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:61.4%,H:4.3%,N:6.0%,P:13.2%
実測値 C:61.4%,H:4.2%,N:5.9%,P:13.2%
◎残存塩素分析:
0.02%
◎TOF−MS(m/z):
693,709
◎組成分析(HPLC:面積百分率):
0置換品:29%
1置換品:71%
◎ヒドロキシ基当量:
1,021g/eq.
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、および[N(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)0.69(OC5.31]であることを確認した。式(1)の最小構成単位である(NPA)として表すと[NP(OCOH)0.23(OC1.77]となり、この2個のAのうち、ヒドロキシフェノキシ基(A2基)の数がその平均値として0.23であり、0.33以上で0.67未満の範囲外である。
実施例7〜12(樹脂組成物の調製)
実施例1から6で得たヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン社製商品名「ニポール1072」)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製商品名「jER1001」:エポキシ当量475g/eq.)ビフェニル骨格含有ノボラック型フェノール樹脂(明和化成社製商品名「MEH−7851」:エポキシ当量197g/eq.)、水酸化アルミニウムおよびMEKを表2の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニスを調製した。
実施例1から6で得たヒドロキシ基含有ホスファゼン組成物から調製したワニスを厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製商品名「カプトン」に乾燥後の厚さが15μmになるようにロールコーターにて塗布乾燥し、その接着剤面に銅箔(35μm)の処理面と重ね合わせて、120℃のラミネートロールで圧着した後、オーブンで100℃、3時間、130℃、3時間、160℃、3時間処理して接着剤を硬化させ、フレキシブル銅張積層板を作製した。
また、実施例1から6で得たヒドロキシ基含有ホスファゼン組成物から調製したワニスを厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製商品名「カプトン」に乾燥後の厚さが35μmになるようにロールコーターにて塗布乾燥し、半硬化させてカバーレイを作製した。このカバーレイを先に作製したフレキシブル銅張積層板に重ね合わせ、熱プレス機で160℃、4MPa、1時間加熱加圧接着して、カバーレイ付きフレキシブル基板を作製した。
比較例3および4(樹脂組成物の調製)
比較例1および2で得たヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン社製商品名「ニポール1072」)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製商品名「jER1001」:エポキシ当量475g/eq.)ビフェニル骨格含有ノボラック型フェノール樹脂(明和化成社製商品名「MEH−7851」:エポキシ当量199g/eq.)、水酸化アルミニウムおよびMEKを表2の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニスを調製した。
比較例1および2で得たヒドロキシ基含有ホスファゼン組成物から調製したワニスを、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製商品名「カプトン」に乾燥後の厚さが15μmになるようにロールコーターにて塗布乾燥し、その接着剤面に銅箔(35μm)の処理面と重ね合わせて、120℃のラミネートロールで圧着した後、オーブンで100℃、3時間、130℃、3時間、160℃、3時間処理して接着剤を硬化させ、フレキシブル銅張積層板を作製した。
また、比較例1および2で得たヒドロキシ基含有ホスファゼン組成物から調製したワニスを、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製商品名「カプトン」に乾燥後の厚さが35μmになるようにロールコーターにて塗布乾燥し、半硬化させてカバーレイを作製した。このカバーレイを先に作製したフレキシブル銅張積層板に重ね合わせ、熱プレス機で160℃、4MPa、1時間加熱加圧接着して、カバーレイ付きフレキシブル基板を作製した。
評価
実施例7〜12並びに比較例3および4で得たカバーレイ付きフレキシブル基板について、燃焼性、耐折れ強さ、半田耐熱性および高温信頼性を評価した。各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1に示す。
(燃焼性試験)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。(C)試験片5本のうち、少なくとも一本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(耐折れ強さ)
株式会社安田精機製作所のMIT形耐折度試験機(商品名)を用い、JIS P8115「耐折り強さ試験方法」に従って、柔軟性の指標としての耐折り強さを測定した。
(半田耐熱性)
フレキシブル基板から長さ30mm、幅15mmの試験片を切り出し、この試験片を温度22.5〜23.5℃、湿度39.5〜40.5%の環境下で24時間放置した。そして、288℃の溶融半田に試験片を1分間ディップし、片側の銅箔のみをエッチングした。その後、目視にて樹脂部分を観察し、発泡や膨れ等の異常がなければ合格とし、20検体中の不合格数を調べた。
(高温信頼性)
シート状硬化物を85℃、相対湿度85%の恒温恒湿装置に48時間保管した後、288℃で20分間加熱処理し、外観の変化を観察した。表1において「有」は、シート状硬化物の表面にブリードアウトによる外観変化がないこと(すなわち、高温信頼性があること)を示す。また、「無」は、シート状硬化物の表面にブリードアウトによる外観変化があること(すなわち高温信頼性がないこと)を示す。



表1から明らかなように、実施例7から12の樹脂組成物からなるフレキシブル基板は、比較例3および4に比べて、耐折り強さが高く、柔軟性が優れており、優れた難燃性および高温信頼性を有し、さらに、それらに加えて優れた半田耐熱性も有していることがわかる。


































Claims (10)

  1. 下記の式(1)で表され、且つヒドロキシ基当量が360g/eq.以上である、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物。
    (式(1)中、nは1から6の整数を示し、Aは下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示し、且つ2n+4個のAのうちの少なくとも一つがA2基である。
    A1基:炭素数1から6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6から20のアリールオキシ基。
    A2基:下記の式(2)で示されるヒドロキシフェノキシ基。)
  2. 式(1)の最小構成単位である(NPA)における2個のAのうち、A2基の数がその平均値で0.33以上で0.67未満である、請求項1に記載のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物。
  3. 式(1)のA1基がフェノキシ基で、且つA2基が4−ヒドロキシフェノキシ基である、請求項1および2に記載のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物。
  4. 式(1)のnが1若しくは2である、請求項1から3のいずれかに記載のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物。
  5. 式(1)で表されるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物が80重量%以上含まれている、請求項1から4のいずれかに記載のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物。
  6. 樹脂成分と、請求項1から5のいずれかに記載のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン組成物と、を含む樹脂組成物。
  7. 前記樹脂成分が、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれたものである、請求項6に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項6および7に記載の難燃性樹脂組成物からなる樹脂成形体。
  9. 請求項8に記載の樹脂成形体を用いた電子部品。
  10. 請求項8に記載の樹脂成形体を用いた回路基板およびその周辺材料。



























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